JP2008220263A - 酸性水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】増粘安定剤、乳清ミネラル及び酸味料を含有することを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物。該酸性水中油型乳化油脂組成物の油脂含量は、好ましくは5〜40質量%である。
【選択図】なし
Description
そのため、酸性水中油型乳化油脂組成物は、高粘性で、ボディー感も保型性も良好であることから、サラダや製パン用のトッピング用調味料として広く使用されている。
例えば、ツヤの面からは、分岐デキストリンと卵白とを添加する方法(例えば特許文献1参照)が提案されている。
また、物性の面からは、乳化剤の存在下で糊化した澱粉を使用する方法(例えば特許文献2参照)や、カッパ・カラギーナンとカリウムとを併用する方法(例えば特許文献3参照)が提案されている。
さらに風味の面からは、特定の有機酸及び/又は有機酸塩を使用する方法(例えば特許文献4、5参照)、アラニンと炭酸水素ナトリウムとを併用する方法(例えば特許文献6参照)等が提案されている。
また、本発明は、乳清ミネラル及び酸味料を含有させた水相と、増粘安定剤を含有させた油相とを乳化し、均質化することを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法を提供するものである。
さらに、本発明は、増粘安定剤及び乳清ミネラルを含有させることを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物の酸味抑制方法を提供するものである。
また、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法によれば、特に優れた酸味抑制効果を示す酸性水中油型乳化油脂組成物を製造することができる。また、本発明の酸味抑制方法によれば、酸性水中油型乳化油脂組成物の酸味をまろやかな又はおだやかなものとすることができ、刺激臭も低減することができる。
上記増粘安定剤としては、例えば、グアーガム、タマリンドガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、微結晶セルロース、ファーセレラン、寒天、ゼラチン、ジェランガム、グルコマンナン、アルギン酸、アルギン酸塩、カードラン、ローカストビーンガム、アラビアガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、卵白粉末等の増粘多糖類やゲル化剤、澱粉、糊化澱粉、糊化化工澱粉等の澱粉類を挙げることができる。
乳清ミネラルとは、乳又はホエー(乳清)から、可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、高濃度に乳の灰分を含有するという特徴を有する。そのため、そのミネラル組成は、原料となる乳やホエー中のミネラル組成に近い比率となる。
また、上記食用油脂には、トコフェロール等の酸化防止剤や、βカロチン等の着色剤の如き、油脂に溶解する成分や添加剤を加えてよい。
上記のpHの調整に用いる酸味料としては、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、食酢、果汁、発酵乳等が挙げられ、これらを単独で用いるか又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物は、最適な風味と物性を達成する上で、食酢を用いることが好ましく、なかでも醸造酢を用いることが好ましい。
上記副原料の使用量は、使用目的等に応じて適宜選択することができるが、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物において合計で好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下とする。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物は、一般のマヨネーズやドレッシング等の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法と同様にして製造することができる。
例えば、酸味料を水相に、増粘安定剤と乳清ミネラルを水相及び/又は油相に添加して、両者を乳化し、均質化することによって得ることができるが、本発明では、酸味抑制効果が顕著である酸性水中油型乳化油脂組成物が得られることから、乳清ミネラル及び酸味料を含有させた水相と、増粘安定剤を含有させた油相とを乳化し、均質化処理することが好ましい。このとき、水相と油相との比率(質量基準)は、水相:油相=95〜15:5〜85とすることが好ましく、より好ましくは95〜55:5〜45、さらに好ましくは90〜65:10〜35である。
まず、水に、加塩卵黄等の卵黄類、食酢等の酸味料、乳清ミネラル、食塩、水飴等の糖類、コショウ等の香辛料等を分散溶解させた水相を調製し、また、大豆油等の油脂に、増粘安定剤等を分散させた油相を調製する。次いで、水相を撹拌しつつ油相を加え、水中油型予備乳化物を得る。該水中油型予備乳化物をコロイドミル等の乳化機、ホモゲナイザー等の均質化機で均質化して、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物が得られる。一層高い酸味抑制効果を奏させる上で、増粘安定剤は、油相のみに含有させ、水相には含有させないことが好ましい。
本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物の酸味抑制方法は、酸性水中油型乳化油脂組成物を製造する際に、増粘安定剤及び乳清ミネラルを配合して、これらを酸性水中油型乳化油脂組成物に含有させるものである。
酸性水中油型乳化油脂組成物中のそれらの好ましい配合量は、増粘安定剤については、好ましくは0.01〜15質量%、より好ましくは0.1〜5質量%であり、乳清ミネラルについては、固形分として好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%である。
増粘安定剤及び乳清ミネラルの具体的な配合方法としては、上述の酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法において記載したように、酸性水中油型乳化油脂組成物の製造時に、油相及び/又は水相に添加する方法や、増粘安定剤及び乳清ミネラルを含有する水溶液をあらかじめ製造し、それを既存の酸性水中油型乳化油脂組成物に対して添加し、混合する方法等を挙げることができる。
このように、増粘安定剤及び乳清ミネラルが配合されていることによって、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物は、まろやかな又はおだやかな酸味を呈し、刺激臭も低減されている。
〔製造例1〕
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離した後、さらに逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し、次いで、これをさらにエバポレーターで濃縮し、スプレードライ法により、固形分98質量%の乳清ミネラルAを得た。得られた乳清ミネラルAの固形分中のカルシウム含量は2.2質量%であった。
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離した後、さらに逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し、次いで、80℃、20分の加熱処理をして生じた沈殿を遠心分離して除去し、これをさらにエバポレーターで濃縮し、スプレードライ法により、固形分98質量%の乳清ミネラルBを得た。得られた乳清ミネラルBの固形分中のカルシウム含量は0.4質量%であった。
〔実施例1〕
水51.2質量部、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖(糖分70質量%、水分30質量%)10質量部、食酢(酢酸含量15質量%)7質量部、食塩2.5質量部、グルタミン酸ナトリウム0.3質量部、からし粉0.4質量部、乳清ミネラルA0.5質量部、及び、酵素処理10%加塩卵黄6質量部を混合して水相を調製した。別に、菜種サラダ油15質量部、ホエー蛋白濃縮物2質量部、ワキシーコーンスターチをリン酸架橋後に糊化した糊化化工澱粉4質量部、卵白粉末1質量部、及びキサンタンガム0.1質量部を混合して油相を調製した。次いで、上記水相を撹拌しつつ上記油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをホモゲナイザーにて均質化し、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
乳清ミネラルA0.5質量部を乳清ミネラルB0.2質量部に変更し、水の配合量を51.5質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法で、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
乳清ミネラルA0.5質量部を乳清ミネラルB0.5質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法で、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
乳清ミネラルA0.5質量部を乳清ミネラルB1質量部に変更し、水の配合量を50.7質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法で、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
糊化化工澱粉を油相ではなく水相に添加した以外は、実施例4の配合・製法で、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
乳清ミネラルを無添加とし、水の配合量を51.7質量部に変更した以外は実施例1の配合・製法で、比較例の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
実施例1〜5及び比較例1でそれぞれ得られた酸性水中油型乳化油脂組成物について、下記の評価基準に従い、ツヤ、物性、食感、酸味の強さ及び酸味の質について評価を行った。それらの結果を表1に記載する。
表面のツヤについて、下記の5点評価を行った。
◎:極めて良好である。
○:ややツヤがないが良好である。
△:半光沢である。
×:ツヤがなく不良である。
××:油分分離を起こしている。
物性について、下記の4点評価を行った。
◎:極めて良好である。
○:良好である。
△:やや粘つきやべたつきが感じられる。
×:曳糸性が高く、粘つきやべたつきがあり不良である。
食感について、下記の4点評価を行った。
◎:極めて良好である。
○:良好である。
△:ややもったりした食感である。
×:もったりした食感で不良である。
酸味の強さについて、下記の4点評価を行った。
◎:まろやかな酸味であり、刺激臭も感じない。
○:おだやかな酸味であるが、やや刺激臭を感じる。
△:やや鋭い酸味であり刺激臭を感じる。
×:鋭い酸味及び刺激臭を感じる。
酸味の感じ方について、下記の4点評価を行った。
◎:口に入れて直ぐに酸味を感じ、且つ、キレもよい。
○:口に入れてから遅れて酸味を感じるが、キレはよい。
△:口に入れて直ぐに酸味を感じるが、ややキレが悪い。
×:口に入れてから遅れて酸味を感じ、キレも悪い。
特に、実施例1と実施例3とを比較すると、固形分中のカルシウム含量が2質量%以下である乳清ミネラルは、固形分中のカルシウム含量が2質量%を超える乳清ミネラルとちがって、酸味抑制効果が顕著であることがわかる。
また、実施例4と実施例5とを比較するとわかるとおり、乳清ミネラル、増粘安定剤(糊化化工澱粉)及び酸味料を含有する水相と、増粘安定剤(卵白粉末及びキサンタンガム)を含有する油相とを乳化し、均質化することで得られた実施例5の酸性水中油型乳化油脂組成物よりも、乳清ミネラル及び酸味料を含有する水相と、増粘安定剤(卵白粉末、キサンタンガム及び糊化化工澱粉)を含有する油相とを乳化し、均質化することで得られた実施例4の酸性水中油型乳化油脂組成物の方が、酸味抑制効果が顕著である。即ち、製造時に増粘安定剤を油相にのみ含有させる方が、酸味抑制効果が顕著である。
〔実施例6〕
水8.9質量部、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖(糖分70質量%、水分30質量%)4質量部、食酢(酢酸含量15質量%)2.5質量部、食塩1質量部、乳清ミネラルA0.5質量部、及び、10%加塩卵黄8質量部を混合して水相を調製した。別に、菜種サラダ油75質量部、及びキサンタンガム0.1質量部を混合して油相を調製した。次いで、上記水相を攪拌しつつ上記油相を加え、水中油型予備乳化物を得、これをホモジナイザーにて均質化し、本発明の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
キサンタンガムを無添加とし、水の配合量を9質量部に変更した以外は実施例6の配合・製法で、比較例の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
乳清ミネラルを無添加とし、水の配合量を9.4質量部に変更した以外は実施例6の配合・製法で、比較例の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
乳清ミネラル及びキサンタンガムを無添加とし、水の配合量を9.5質量部に変更した以外は実施例6の配合・製法で、比較例の酸性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた酸性水中油型乳化油脂組成物は、光学顕微鏡下で測定したところ、油粒子の平均粒径が3μm以下であった。
実施例6及び比較例2〜4でそれぞれ得られた酸性水中油型乳化油脂組成物について、上述の評価基準に従い、ツヤ、物性、食感、酸味の強さ及び酸味の質について評価を行った。それらの結果を表2に記載する。
Claims (6)
- 増粘安定剤、乳清ミネラル及び酸味料を含有することを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物。
- 上記増粘安定剤の含量が0.01〜15質量%であり、上記乳清ミネラルの含量が0.01〜5質量%であり、上記酸味料の含量が1〜30質量%である請求項1記載の酸性水中油型乳化油脂組成物。
- 油脂含量が5〜40質量%である請求項2又は3記載の酸性水中油型乳化油脂組成物。
- 上記乳清ミネラルの固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である請求項1〜3のいずれかに記載の酸性水中油型乳化油脂組成物。
- 乳清ミネラル及び酸味料を含有させた水相と、増粘安定剤を含有させた油相とを乳化し、均質化することを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
- 増粘安定剤及び乳清ミネラルを含有させることを特徴とする酸性水中油型乳化油脂組成物の酸味抑制方法。
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