JP4627058B2 - 酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents

酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP4627058B2
JP4627058B2 JP2006267901A JP2006267901A JP4627058B2 JP 4627058 B2 JP4627058 B2 JP 4627058B2 JP 2006267901 A JP2006267901 A JP 2006267901A JP 2006267901 A JP2006267901 A JP 2006267901A JP 4627058 B2 JP4627058 B2 JP 4627058B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
acidic
mass
kneading
dessert
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006267901A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008086212A (ja
Inventor
俊裕 島田
雅治 鶴巻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Adeka Corp
Original Assignee
Adeka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Adeka Corp filed Critical Adeka Corp
Priority to JP2006267901A priority Critical patent/JP4627058B2/ja
Publication of JP2008086212A publication Critical patent/JP2008086212A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4627058B2 publication Critical patent/JP4627058B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、果汁や酸味料などの酸性食品素材を使用した酸性デザートに練込使用した場合でもザラが生じることがなく、良好な乳風味を呈し、また、酸性食品素材の風味発現を阻害することがない、酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物に関する。
ホイップクリームやコーヒークリーム、濃縮乳等の水中油型乳化油脂組成物は、製菓・製パン業界で、フィリング用、サンド用、トッピング用、練込用として広く使用されている。
これらの水中油型乳化油脂組成物は、製造過程において乳風味が失われたり、乳風味が薄くなる傾向があるため、これらの水中油型乳化油脂組成物に対し優れた乳風味を付与するための発明が各種提案されている。
例えば、無脂乳固形分が15質量%以下で、カリウムを0.3質量%以上及びナトリウムを含有し、且つ該ナトリウムと該カリウムとの質量比が1:1〜10であることを特徴とする濃縮牛乳状組成物や、乳糖を1質量%以下、カリウムを0.1質量%以上及びナトリウムを含有し、且つ該ナトリウムと該カリウムとの質量比が1:0.5〜10であることを特徴とする水中油型乳化脂、や、無脂乳固形分の含量が15質量%以上であり、ナトリウム塩及びカリウム塩を添加したことを特徴とする濃縮牛乳状組成物(例えば特許文献1〜3参照)が提案されている。
これらの発明は水中油型乳化油脂組成物の製造過程における殺菌時等に凝集しやすい蛋白質をできるだけ除去して、殺菌時などの風味変化を抑制し、且つ、塩のバランスを図ることで、乳風味の発現性を改良したものであるが、これらの水中油型乳化油脂組成物は、良好な乳風味を有するものの、果汁や酸味料などの酸性食品素材と直接混合される酸性デザート、特にムース、ババロアなどの気泡を含有する酸性デザートでは、酸により中の蛋白質が凝集し、乳化が破壊されてしまい、ザラが出て、ざらついた食感となってしまったり、起泡性が著しく悪化したり、さらには油分分離や水分分離を起こしたりする問題があった。
そのため、トリプシンにより加水分解された乳清蛋白質を主成分として含む加水分解物と特定の乳化剤を含有水中油型乳化脂組成物を使用する方法(例えば特許文献4参照)や、3種類の乳化剤と食物繊維及び/または化工澱粉とをそれぞれ特定量含有する水中油型乳化油脂組成物を使用する方法(例えば特許文献5参照)などが提案された。
しかし、特許文献4に記載の方法は、加水分解物により乳風味が悪化するという問題があり、特許文献5に記載の方法は、多量の乳化剤や安定剤により乳風味が悪化する問題があることに加え、これらの水中油型乳化物を酸性デザートに練込使用した場合は、酸性食品素材の爽快な風味がマスキングされてしまい酸性食品素材の風味が発現しにくくなるという問題があった。

特開2002−223697号公報 特開2002−223698号公報 特開2003−265102号公報 特開平2−257838号公報 特開平8−154612号公報
従って、本発明の目的は、果汁や酸味料などの酸性食品素材を使用した酸性デザートに練込使用した場合に、ザラが生じることがなく、良好な乳風味を呈し、また、酸性食品素材の風味発現を阻害することがない、酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物を提供することにある。また、本発明は、該特徴を有する酸性デザートを提供することである。
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、蛋白質含量を低く制限しつつ、特定の乳化成分を用いることで、上記問題を解決可能であることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、カゼイン蛋白質含量が1質量%以下であり、且つ、リン脂質含量が0.003〜0.5質量%であることを特徴とする酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、該酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物、及び、酸性食品素材を含有する酸性デザートを提供するものである。
本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物は、酸性デザートに練込使用した場合でも、ザラが生じることがなく、良好な乳風味を呈し、また、酸性食品素材の風味発現を阻害することがない。
また、本発明の酸性デザートは、ザラがなく、良好な乳風味と、酸性食品素材の爽やかな風味を有する。
本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物はカゼイン蛋白質含量が1質量%以下、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.6質量%以下である。なお、下限については一般的には0.01質量%である。
1質量%を超えると、果汁や酸味料などの酸性食品素材を使用した酸性デザートに練込使用した場合に、得られる酸性デザートにザラが生じてしまい、さらには、それらの酸性食品素材の風味発現を阻害してしまう。
なお、本発明では、上記カゼイン蛋白質含量とは、乳、乳製品、乳蛋白質を使用した場合、それらに含有されるカゼイン蛋白質の合計量とする。
本発明で使用するカゼイン蛋白質としては、酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインカルシウム等の乳蛋白質、及び、それらの塩を使用することもできるが、生乳、牛乳、特別牛乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、バター、クリーム、チーズ、クリームチーズ、冷凍変成したクリームチーズ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖れん乳、加糖脱脂れん乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、トータルミルクプロテイン、バターミルク、さらには、下記の「乳由来の固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上である食品素材を使用してもよく、これらの中の1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物はリン脂質含量が0.003質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、且つ、0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下である。
リン脂質含量が0.003質量%未満であると、果汁や酸味料などの酸性食品素材を使用した酸性デザートに練込使用した場合に、得られる酸性デザートにザラが生じてしまい、さらには、それらの酸性食品素材の風味発現を阻害してしまう。
また、リン脂質含量が1質量%を超えると、果汁や酸味料などの酸性食品素材を使用した酸性デザートに練込使用した場合に、得られる酸性デザートが粘りのある食感となったり、口溶けが悪くなるという問題が生じる。
本発明で使用するリン脂質は、特に限定されるものではなく、食品に使用できるリン脂質であればどのようなリン脂質でも構わない。上記リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸等のジアシルグリセロリン脂質を使用することができ、さらに上記リン脂質に対し、ホスホリパーゼ等により酵素処理を行い、乳化力を向上させたリゾリン脂質、上記リン脂質や上記リゾリン脂質を含有する食品素材を使用することができる。本発明ではリン脂質としてこれらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物では、上記のリン脂質そのものよりも、上記のリン脂質を含有する食品素材を用いる方が好ましい。このリン脂質を含有する食品素材としては、卵黄、大豆、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、馬乳、人乳等の乳があげられるが、風味と食感の面から乳由来のリン脂質を含有する食品素材を用いるのが好ましく、牛乳由来のリン脂質を含有する食品素材を用いるのがさらに好ましい。
上記乳由来のリン脂質を含有する食品素材を使用する場合は、固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは3質量%以上、最も好ましくは4〜40質量%である食品素材を使用することが好ましい。
また、上記のリン脂質を含有する食品素材は、液体状でも、粉末状でも、濃縮物でも構わない。但し、溶剤を用いて乳由来の固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上となるように濃縮した食品素材は、風味上の問題から本発明において用いないのが好ましい。
上記乳由来のリン脂質を含有する食品素材の固形分中のリン脂質の定量方法は、例えば以下のような方法にて測定することができる。但し、抽出方法等については乳由来のリン脂質を含有する食品素材の形態等によって適正な方法が異なるためこの定量方法に限定されるものではない。
まず、乳由来のリン脂質を含有する食品素材の脂質をFolch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から以下の計算式を用いて乳由来のリン脂質を含有する食品素材の固形分100g中のリン脂質の含量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(マイクロg)/乳原料採取量(g)〕×(25.4)×(0.1/1000)
上記の乳由来の固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上である食品素材としては、例えば、クリームまたはバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分があげられる。このクリームまたはバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、通常のクリームからバターを製造する際に生じるいわゆるバターミルクとは組成が大きく異なり、リン脂質を多量に含有しているという特徴がある。バターミルクは、その製法の違いによって大きく異なるが、乳由来の固形分中のリン脂質の含量が、通常、0.5〜1.5質量%程度であるのに対して、クリームまたはバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、乳由来の固形分中のリン脂質の含量が、大凡、2〜15質量%であり、多量のリン脂質を含有している。
本発明では、リン脂質として、上記のような通常のクリームからバターを製造する際に生じるいわゆるバターミルクそのものを用いることはできないが、バターミルクを乳由来の固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上となるように濃縮したものを用いることは可能である。
次に上記のクリームまたはバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法について説明する。
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
一方、バターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まずバターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
また、本発明で用いられる上記水相成分としては、乳由来の固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上であれば、クリームまたはバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分をそのまま用いてもよく、また噴霧乾燥、濃縮、冷凍等の処理を施したものを用いてもよい。
ただし、乳由来のリン脂質は高温加熱すると、その機能が低下するため、上記加温処理や、濃縮処理中、あるいは殺菌等により加熱する際は100℃未満であることが好ましく、60℃未満であることがさらに好ましい。
また、本発明では、上記の乳由来の固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上である食品素材のリン脂質の一部または全部をそのままリゾ化してもよく、また濃縮した後にリゾ化してもよい。またさらに得られたリゾ化物をさらに濃縮、あるいは、噴霧乾燥処理等を施してもよい。
上記乳由来の固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上である食品素材中の、リン脂質をリゾ化するにはホスホリパーゼAで処理すればよい。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置き換える作用を有する酵素である。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。ホスホリパーゼAは作用する部位の違いによってA1、A2に分かれるが、A2が好ましい。
また、本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物は、リン脂質として上記の乳由来の固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上である食品素材を用いる場合、該食品素材を固形分として、好ましくは0.1〜8質量%、さらに好ましくは0.5〜7質量%、最も好ましくは1〜4質量%含有するのがよい。
本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物の油脂の含量は、特に制限はないが、好ましくは3〜80質量%、さらに好ましくは5〜70質量%、最も好ましくは20〜50質量%である。
なお、この油脂含量とは、上記カゼイン蛋白質やリン脂質を含有する食品素材を使用した場合や、下記その他の成分に含まれる油分も合計した含量とする。
本発明で使用する油脂の種類としては、特に限定されないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、馬油、鯨油などの各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明ではこれらのうち、大豆油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂を用いるのが好ましい。これらの油脂は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物の水分含量は、特に制限はないが、好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは20〜70質量%である。なお、この水分含量とは、上記カゼイン蛋白質やリン脂質を含有する食品素材を使用した場合や、下記その他の成分に含まれる水分も合計した含量とする。
また、本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物には、必要により、油性成分及び/又は水性成分に乳化剤、安定剤、「カゼイン蛋白質以外の蛋白質」、糖類、調味料、着香料、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤などを配合してもよい。
上記乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリドなどの合成乳化剤が挙げられる。また、サポニン、植物ステロール等の天然の乳化剤も用いることができる。これらの乳化剤は単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできるが、本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物はリン脂質を含有するため、上記乳化剤を使用しなくても、安定性が良好な水中油型乳化物を製造可能であることから使用しないことが好ましく、特に、上記合成乳化剤はリン脂質と異なり、酸性デザートに使用すると乳風味や、酸性食品素材の風味を阻害することがあるため、上記乳化剤の含量は、本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物中、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0〜0.5質量%、さらに好ましくは0〜0.3質量%である。
上記安定剤としては、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩など)、無機塩類(炭酸塩など)、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチン、カードラン、澱粉、化工澱粉、結晶セルロース、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストランなどの安定剤が挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記安定剤のうち、本発明では、乳風味が阻害されやすいことから、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩などのリン酸塩を用いないのが好ましい。
さらに好ましくはリン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩など)、無機塩類(炭酸塩など)のカルシウム封鎖能を有する安定剤を用いないのがよい。これは、本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物は、カゼイン蛋白質含量が少ないため、カゼイン蛋白質の可溶化のために使用する、これらカルシウム封鎖剤がなくとも、リン脂質のみで十分に乳化が可能であるためである。
なお、上記安定剤の含量は、本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物中、好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下である。
また、本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物は、上記の乳由来の固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上である乳原料に加えて、さらに、乳清ミネラルを含有することにより、より豊かなコクのある乳風味を得ることが可能となる。
該乳清ミネラルとは、ホエイから乳糖とホエイ蛋白質を除去したもので、乳由来の固形分中の灰分の含量が、大凡、10〜90質量%であり、多量のミネラルを含有している。該乳清ミネラルには乳風味のコク味を呈する成分が濃縮されているため、この乳清ミネラルを含有することにより、豊かなコク味のある乳風味を酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物、及び、酸性デザートに付与することができる。
本発明では、乳清ミネラルの中でも、乳由来の固形分中の灰分の含量が10質量%以上、好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20〜90質量%である乳清ミネラルを使用することが好ましい。
なお、上記乳清ミネラルは、液体状でも、粉末状でも、濃縮物でも構わない。
本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物における、上記の乳清ミネラルの含量は、乳由来の固形分として、好ましくは0.05〜7質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%、最も好ましくは0.15〜2.5質量%である。
上記の「カゼイン蛋白質以外の蛋白質」としては、特に限定されないが、例えば、ホエイパウダー、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC)、ホエイ蛋白質単離物(WPI)などのホエイ蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイドなどの卵蛋白質、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリンなどの小麦蛋白質、その他の動物性及び植物性蛋白質などの蛋白質及びこれらの加水分解物が挙げられる。
上記の「カゼイン蛋白質以外の蛋白質」の含量は、本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物中、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。
上記糖類としては、特に限定されないが、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテームなどの糖類が挙げられる。これらの糖類は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記糖類の含量は、本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物中、好ましくは0〜50質量%、さらに好ましくは0〜40質量%である。
次に、本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物の製造方法について説明する。
本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物は、カゼイン蛋白質、及び、リン脂質を水性相及び/又は油性相に添加し、該水性相と該油性相とを乳化することにより得ることができる。
具体的には、まず水性相及び油性相を用意する。次に上記の水性相及び/又は油性相にカゼイン蛋白質、及び、リン脂質を添加する。
次いで、上記水性相と上記油性相とを水中油型に乳化する。
さらにこれを、好ましくはバルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミルなどの均質化装置により圧力0〜100MPaの範囲で均質化してもよい。
そして、必要によりインジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式などの間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理を施してもよく、あるいは直火などの加熱調理により加熱してもよい。
さらにこれを、好ましくはバルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミルなどの均質化装置により圧力0〜100MPaの範囲でさらに均質化してもよい。そして、必要により急速冷却、徐冷却などの冷却操作を施してもよい。
また、本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物は、必要により、冷蔵若しくは冷凍状態で保存してもよい。
このようにして得られた上記酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物は、酸性デザートに、練込用として使用する。
次に本発明の酸性デザートについて述べる。
本発明の酸性デザートは、上記酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物と酸性食品素材を含有するものである。
本発明における酸性デザートとは、果汁や酸味料などの酸性食品素材を使用した、水相のpHが5.5以下、好ましくは3.5〜5.0のデザートであり、例えば、クリームソーダ等の酸性飲料、ソフトクリーム、ホイップクリーム、アイスクリームなどのペースト状〜可塑性食品、ムース、ババロア、ゼリー、レアチーズケーキ、プリン等のゲル状食品が挙げられる。
本発明では、上記酸性デザートの中でも、従来、酸性食品素材の風味発現が特に阻害されやすいとされていたゲル状食品であっても良好な酸性食品素材の風味発現性を呈することから、ムース、ババロア、ゼリー、レアチーズケーキ、プリン、等のゲル状食品であることが好ましく、さらには、上記酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物は、良好な起泡力、及び気泡安定性を有するため、ムース、ババロアのような気泡を含有するゲル状食品であることが好ましい。
本発明で使用する果汁としては、ストロベリー、カシス、ブルーベリー、ゆず、アセロラ、あんず、梅、みかん、オレンジ、キウイフルーツ、グァバ、グレープフルーツ、さくらんぼ、シークワーサー、すいか、洋梨、なつみかん、パインアップル、ハスカップ、パッションフルーツ、パパイア、びわ、ぶどう、マンゴー、メロン、マンゴスチン、黄桃、白桃、ライチ、ラズベリー、りんご、レモンなどの果汁、その水分含量を減じたピューレ、ペースト、ジャムなどの加工品が挙げられる。
また、本発明で使用する酸味料としては、具体的には、アジピン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、炭素、酢酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、及びこれらの塩のうちの、1種または2種以上を用いることができる。
なお、果汁、酸味料以外の酸性食品素材として、チーズ、発酵乳、発酵果汁、ワインなどの発酵食品や、コーヒーなどが挙げられる。
上記酸性デザートにおける、本発明の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物の含量は、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜60質量%である。
一方、上記酸性デザートにおける、酸性食品素材の含量は、得られる酸性デザートの水相のpHが5.5以下、好ましくは3.5〜5.0となるような量であればよいが、好ましくは、1〜80質量%、より好ましくは5〜60質量%である。
また、本発明の酸性デザートは、上記酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物と酸性食品素材に加え、必要に応じ、水、油脂、乳化剤、酸化防止剤、糖類及び糖アルコール、澱粉、小麦粉、無機塩及び有機酸塩、ゲル化剤、乳製品、卵製品、カカオ及びカカオ製品、その他酸性食品素材以外の各種食品素材全般、着香料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、pH調整剤等のその他の成分を用いることができる。これら成分の含有量は一般的な酸性デザートに準じたものであれば良い。
次に本発明の酸性デザートの製造方法について述べる。
本発明の酸性デザートは、カゼイン蛋白質含量が1質量%以下であり、且つ、リン脂質含量が0.003〜0.5質量%である酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物と、酸性食品素材に加え、必要に応じその他の成分を混合し、更に必要に応じ、加熱、冷却することにより得ることができる。
ここで、酸性デザートが気泡を含有するものである場合は、酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物と酸性食品素材を混合した後に含起泡操作を行なうよりも、酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物を含起泡操作を行って後、酸性食品素材と混合するほうが、より比重が低く、均質で安定した酸性デザートを得ることができる点で好ましい。
以下、酸性デザートの具体的な好ましい製造方法を記す。
例えば酸性デザートがホイップクリームである場合は、カゼイン蛋白質含量が1質量%以下であり、且つ、リン脂質含量が0.003〜0.5質量%である酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物を含気泡操作した後に、酸性食品素材を混合するか、カゼイン蛋白質含量が1質量%以下であり、且つ、リン脂質含量が0.003〜0.5質量%である酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物に酸性食品素材を混合した後含気泡操作することによって得ることができる。
例えば酸性デザートがアイスクリームである場合は、カゼイン蛋白質含量が1質量%以下であり、且つ、リン脂質含量が0.003〜0.5質量%である酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物に酸性食品素材を混合した後、アイスクリーム製造機等で急冷可塑化と含起泡を行うことによって得ることができる。
例えば酸性デザートがゼリーなどのゲル化食品である場合は、カゼイン蛋白質含量が1質量%以下であり、且つ、リン脂質含量が0.003〜0.5質量%である酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物と、酸性食品素材とゲル化剤を溶解混合した後に冷却することによって得ることができる。
例えば酸性デザートがプリンなどの熱硬化性ゲル化食品である場合は、カゼイン蛋白質含量が1質量%以下であり、且つ、リン脂質含量が0.003〜0.5質量%である酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物と、酸性食品素材と、全卵、卵白等の熱硬化性ゲル化素材とを溶解混合した後に加熱し、冷却することによって得ることができる。
例えば酸性デザートがムースやババロアなどの気泡を含有するゲル化食品である場合は、 酸性食品素材とゲル化剤を溶解混合したものと、カゼイン蛋白質含量が1質量%以下であり、且つ、リン脂質含量が0.003〜0.5質量%である酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物を含気泡したものを混合し、冷却することによって得ることができる。
<酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物の製造>
〔実施例1〕
水を60℃に昇温し、撹拌しながら、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(乳固形分38%、乳固形分中のリン脂質の含量9.8%、リン脂質含量3.7%、蛋白質含量12%、カゼイン蛋白質含量7.5%)5質量部を水55質量部に溶解させた水性相を用意した。
一方、パーム油12質量部、大豆硬化油(融点31℃)8質量部、パームオレイン硬化油の混合油(融点29℃)20質量部からなる油性相を用意し、上記水性相に該油性相を加え混合撹拌して予備乳化物を調製した。予備乳化後5MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で142℃、4秒間殺菌し、再度30MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Aを得た。
得られた酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Aの蛋白質含量は0.6%、カゼイン蛋白質含量は0.38%であり、リン脂質含量は0.19%であった。
この酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Aを使用して、下記の配合と製法で、水相のpHが4である容器入りムースを製造し、ザラの発生状況、乳風味、及び、カシス風味について評価を行い、結果を表1に記載した。
〔実施例2〕
乳清ミネラル(乳固形分97%、乳固形分中の灰分の含量23.7%、リン脂質含量0%、蛋白質含量0%)1質量部を添加し、水を54質量部に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Bを得た。
得られた酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Bの蛋白質含量は0.36%、カゼイン蛋白質含量は0.38%であり、リン脂質含量は0.19%であった。
この酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Bを使用して、下記の配合と製法で、水相のpHが4である容器入りムースを製造し、ザラの発生状況、乳風味、及び、カシス風味について評価を行い、結果を表1に記載した。
〔実施例3〕
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物に代えて、大豆レシチン(リン脂質含量65%)0.2質量部、及び、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC)(蛋白質含量80%、カゼイン蛋白質含量0%)0.5質量部に変更し、更に、水を59.3質量部に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Cを得た。得られた酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Cの蛋白質含量は0.4%、カゼイン蛋白質含量は0%であり、リン脂質含量は0.13%であった。
この酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Cを使用して、下記の配合と製法で、水相のpHが4である容器入りムースを製造し、ザラの発生状況、乳風味、及び、カシス風味について評価を行い、結果を表1に記載した。
〔比較例1〕
脱脂粉乳(蛋白質含量34%、カゼイン蛋白質含量26%)5質量部を添加し、水を50質量部に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、比較例の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Dを得た。得られた酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Dの蛋白質含量は2.3%、カゼイン蛋白質含量は1.3%であり、リン脂質含量は0.6%であった。
この酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Dを使用して、下記の配合と製法で、水相のpHが4である容器入りムースを製造し、ザラの発生状況、乳風味、及び、カシス風味について評価を行い、結果を表1に記載した。
〔比較例2〕
大豆レシチンを無添加とし、乳化剤としてグリセリン脂肪酸モノエステル(HLB3.8)を0.2質量部添加した以外は、実施例3と同様の配合・製法で、比較例の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Eを得た。得られた水酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Eの蛋白質含量は0.4%、カゼイン蛋白質含量は0%であり、リン脂質含量は0%であった。
この酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Eを使用して、下記の配合と製法で、水相のpHが4である容器入りムースを製造し、ザラの発生状況、乳風味、及び、カシス風味について評価を行い、結果を表1に記載した。
<カシスムース配合>
カシスピューレ(pH=3.5)220質量部、上白糖100質量部、卵黄60質量部、水170質量部、粉末ゼラチン12質量部、冷水60質量部、カシスリキュール30質量部、酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物300質量部
<カシスムース製法>
カシスピューレ220質量部、上白糖100質量部、卵黄60質量部、水170質量部をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサーにセットし、中速でクリーム状になるまでミキシングした。
ここに、粉末ゼラチン12質量部を冷水60質量部に投入して、10分膨潤させたのち、湯煎で80℃に加熱したゼラチン液を投入し、低速で十分に混合した後、30℃まで冷却し、カシスリキュール30質量部を加え、裏ごしした後、縦型ミキサーを使用して含気泡操作を行った酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物(オーバーラン=120%)300質量部とあわせ、ムース生地を得た。
このムース生地を、デザートカップ(PS-185スタンダードカップ、東光製)に75g流しこみ、冷蔵庫で品温が2℃になるまで冷却し、固化させた。
<ザラの評価>
○:外観上ザラの発生が全く見られず、食した際もなめらかな食感である
△:外観上ザラの発生は見られないが、食した際に舌の上でざらつきを感じる
×:外観上、明瞭なザラが認められる
<乳風味の評価>
◎:コク味のある極めて良好な乳風味を感じる
○:良好な乳風味を感じる
△:乳風味がやや不良である
×:乳風味が不良である。
<カシス風味の評価>
◎:爽快なカシスの風味を感じる
○:爽快なカシスの風味を感じるが、やや酸味が弱く感じる
△:カシスの風味がやや不明瞭である
×:ぼやけたカシス風味である
Figure 0004627058
上記評価結果からわかるとおり、カゼイン蛋白質含量が1質量%以下であり、且つ、リン脂質含量が0.003〜0.5質量%である酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物を使用した、実施例1〜3のカシスムースは、ザラの発生がまったくなく、また良好な乳風味と、爽快なカシス風味を有するものであった。
特に、リン脂質として、由来の固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上である食品素材を使用した実施例1、2のカシスムースは、特に爽快なカシス風味を有しており、さらに乳清ミネラルを使用した、実施例2のカシスムースはさらに乳風味が優れていた。
それに対し、カゼイン蛋白質を多く含有する酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物を使用した、比較例1のカシスムースは、ザラが発生している上に、乳風味がやや不良であり、また爽快なカシスの風味が感じにくいものであった。
さらに、リン脂質に代えて合成乳化剤であるグリセリン脂肪酸モノエステルを用いた酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物を使用した、比較例2のカシスムースは、ザラの発生はないものの、乳化剤の風味が感じられるため、乳風味が不良であり、爽快なカシスの風味が全く感じられないものであった。
〔実施例4〕
実施例1で得られた酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物Aを使用して、下記配合、製法で容器入りレアチーズムースを製造し、ザラの発生状況、及び、風味について評価を行い、結果を表2に記載した。
<レアチーズムース配合>
クリームチーズ(pH=4.7)200質量部、上白糖120質量部、レモン果汁(pH=2)15質量部、水275質量部、粉末ゼラチン10質量部、冷水50質量部、酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物330質量部
<レアチーズムース製法>
クリームチーズ、上白糖、レモン果汁、水をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサーにセットし、中速でクリーム状になるまでミキシングした。
ここに、粉末ゼラチンを冷水に投入して、10分膨潤させたのち、湯煎で80℃に加熱したゼラチン液を投入し、低速で十分に混合した後、30℃まで冷却し、裏ごしした後、縦型ミキサーを使用して含気泡操作を行った酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物(オーバーラン=120%)とあわせ、ムース生地を得た。
このムース生地を、デザートカップ(PS-185スタンダードカップ、東光製)に75g流しこみ、冷蔵庫で品温が2℃になるまで冷却し、固化させ水相のpHが4である容器入りムースを製造した。
得られたレアチーズムースは、外観上ザラの発生が全く見られず、食した際もなめらかな食感であり、また、コク味のある乳風味と、爽やかなクリームチーズ風味、及び、レモン風味を感じるものであった。

Claims (10)

  1. カゼイン蛋白質含量が1質量%以下であり、且つ、リン脂質含量が0.003〜0.5質量%であることを特徴とする酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物。
  2. 上記リン脂質として、乳由来の固形分中のリン脂質の含量が2質量%以上である食品素材を使用してなる請求項1記載の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物。
  3. 合成乳化剤を含まない請求項1又は2記載の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物。
  4. カルシウム封鎖剤を含まない請求項1〜3のいずれかに記載の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物。
  5. さらに、乳清ミネラルを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物、及び、酸性食品素材を含有する酸性デザート。
  7. ゲル状であることを特徴とする請求項6記載の酸性デザート。
  8. 気泡を含有することを特徴とする請求項7記載の酸性デザート。
  9. カゼイン蛋白質含量が1質量%以下であり、且つ、リン脂質含量が0.003〜0.5質量%である酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物と、酸性食品素材を混合することを特徴とする酸性デザートの製造方法。
  10. 酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物を、含起泡操作を行って後、酸性食品素材と混合することを特徴とする請求項9記載の酸性デザートの製造方法。

JP2006267901A 2006-09-29 2006-09-29 酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物 Active JP4627058B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006267901A JP4627058B2 (ja) 2006-09-29 2006-09-29 酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006267901A JP4627058B2 (ja) 2006-09-29 2006-09-29 酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008086212A JP2008086212A (ja) 2008-04-17
JP4627058B2 true JP4627058B2 (ja) 2011-02-09

Family

ID=39371035

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006267901A Active JP4627058B2 (ja) 2006-09-29 2006-09-29 酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4627058B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5735259B2 (ja) * 2010-11-08 2015-06-17 松谷化学工業株式会社 レアチーズケーキ及びその製造方法
JP6552845B2 (ja) * 2015-03-09 2019-07-31 株式会社Adeka 油中水型クリーム用改良材

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005046139A (ja) * 2003-07-11 2005-02-24 Asahi Denka Kogyo Kk 醗酵乳製品及びその製造方法
JP2005046090A (ja) * 2003-07-30 2005-02-24 Asahi Denka Kogyo Kk 畜肉加工食品用水中油型乳化組成物

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2647082B2 (ja) * 1987-03-03 1997-08-27 旭電化工業株式会社 水中油型乳化用乳化組成物
JP3118155B2 (ja) * 1994-12-01 2000-12-18 アサヒフーズ株式会社 低脂肪分、耐酸性および凍結耐性を有するホイップクリーム組成物並びにその製造方法
JP3392580B2 (ja) * 1995-05-08 2003-03-31 花王株式会社 起泡性水中油型乳化物

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005046139A (ja) * 2003-07-11 2005-02-24 Asahi Denka Kogyo Kk 醗酵乳製品及びその製造方法
JP2005046090A (ja) * 2003-07-30 2005-02-24 Asahi Denka Kogyo Kk 畜肉加工食品用水中油型乳化組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008086212A (ja) 2008-04-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4502839B2 (ja) 起泡性水中油型乳化組成物
JP4397170B2 (ja) 油中水型可塑性乳化油脂組成物
JP4390598B2 (ja) 可塑性水中油型乳化組成物およびその製造方法
JP4578055B2 (ja) 水中油型乳化脂
JP5851153B2 (ja) 起泡性水中油型乳化物
JPWO2005063039A1 (ja) クリーム類、その起泡物若しくは乾燥化粉末並びにそれらの製造法
KR20220023981A (ko) 유제품 및 공정
JP4882749B2 (ja) 水中油型乳化物
JP2011244735A (ja) プリン練り込み用水中油型乳化油脂組成物
JP5301373B2 (ja) 起泡性水中油型乳化油脂組成物
JP2009082099A (ja) 酸性デザートの製造方法
JP4937156B2 (ja) 乳脂含有水中油型乳化物の製造方法
JP6509508B2 (ja) 水中油型乳化脂用乳化材
JP2017029022A (ja) 水中油型乳化脂用乳化材
JP5714290B2 (ja) 起泡性水中油型乳化組成物
JP2010075083A (ja) 殺菌済濃縮牛乳状組成物
JP4627058B2 (ja) 酸性デザート練込用水中油型乳化油脂組成物
US20060134304A1 (en) O/W emulsion and process for producing food with the same
JP2001292695A (ja) 水中油型乳化組成物
JP6228789B2 (ja) 水中油型乳化脂用乳化材の製造方法
JP2003235462A (ja) 乳化活性物質及び水中油型乳化脂
JP6654359B2 (ja) 乳風味付与材
JP2012075430A (ja) カスタード風味を呈する起泡性水中油型乳化油脂組成物
JP2002223697A (ja) 濃縮牛乳状組成物
JP6062683B2 (ja) プリン用水中油型乳化物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090915

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20090915

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101019

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101102

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101102

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131119

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4627058

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131119

Year of fee payment: 3