JP2003235462A - 乳化活性物質及び水中油型乳化脂 - Google Patents

乳化活性物質及び水中油型乳化脂

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JP2003235462A
JP2003235462A JP2002033029A JP2002033029A JP2003235462A JP 2003235462 A JP2003235462 A JP 2003235462A JP 2002033029 A JP2002033029 A JP 2002033029A JP 2002033029 A JP2002033029 A JP 2002033029A JP 2003235462 A JP2003235462 A JP 2003235462A
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milk
emulsified fat
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Toshihiro Shimada
俊裕 島田
Kenji Ikeda
憲司 池田
Yasuo Okutomi
保雄 奥冨
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Adeka Corp
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Asahi Denka Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乳由来の強力な乳化活性と乳化安定性を有す
る乳化活性物質、及び該乳化活性物質を含有する水中油
型乳化脂を提供すること。 【解決手段】 クリーム又はバターからバターオイルを
製造する際に生じる、リン脂質を含有する水相成分を、
リゾ化してなる乳化活性物質。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳化活性物質及び
該乳化活性物質を含有する水中油型乳化脂に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、消費者の間に天然志向が広まり、
乳化剤の使用が敬遠される傾向にある。また、同時に、
乳化剤の添加は、それ自身が持つ味や匂いにより、食品
本来の風味を損なう等の課題がある。
【0003】乳化剤以外の乳化活性を持つ代表的な食品
原料として、卵黄が挙げられる。しかし、例えば乳製品
等本来卵黄を含まない食品に多量の卵黄を添加すること
は、風味の低下につながり好ましくない。そこで、クリ
ームからバターを製造する際に生じる水相成分(バター
ミルク)を使用する方法が提案されているが、バターミ
ルク中には乳化活性物質の含有量が極めて少なく、満足
できる効果は得ることができなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、乳中の
乳化活性物質を更に高濃度で得る方法として、クリーム
又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相
成分を利用する方法を提案した(特願2000−243
231号)。この方法により、かなりの改善効果が見ら
れるが、乳化安定性等において更なる改良の余地がある
ものであった。従って、本発明の目的は、乳由来の強力
な乳化活性と乳化安定性を有する乳化活性物質、及び該
乳化活性物質を含有する水中油型乳化脂を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、クリーム又は
バターからバターオイルを製造する際に生じる、リン脂
質を含有する水相成分を、リゾ化してなる乳化活性物
質、及び該乳化活性物質を含有する水中油型乳化脂を提
供することにより、上記目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の乳化活性物質は、クリー
ム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水
相成分をリゾ化して得られる。このクリーム又はバター
からバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、通
常のクリームからバターを製造する際に生じるいわゆる
バターミルクとは組成が大きく異なり、乳脂肪皮膜成分
を多量に含有しているという特徴がある。通常のバター
ミルクは、製法によって大きく異なるが、大凡、乳脂肪
皮膜成分の含有量が固形分当り1〜5重量%程度である
のに対して、クリーム又はバターからバターオイルを製
造する際に生じる水相成分は、固形分当り5〜40重量
%もの多量の乳脂肪皮膜成分を含有している。
【0007】この乳脂肪皮膜成分とは蛋白質とリン脂質
の複合体である。乳脂肪皮膜成分の含有量がバターミル
クよりも、クリーム又はバターからバターオイルを製造
する際に生じる水相成分のほうが多いのは、以下の理由
である。バターは、乳脂肪分が80重量%程度で、残り
が水相成分であり、油中水型の乳化状態である。そのた
め、バターには、乳脂肪と水の界面に存在する乳脂肪皮
膜成分が多量に残存している。従って、バターに乳脂肪
皮膜成分が多く残存するため、クリームからバターを製
造する際に生じるバターミルクには乳脂肪皮膜成分が少
なくなる。
【0008】これに対し、バターオイルでは乳脂肪分が
99重量%以上であり、ほとんど水相成分を含有しな
い。そのため、バターオイルには、乳脂肪と水の界面に
存在する乳脂肪皮膜成分があまり残存していない。従っ
て、バターオイルに乳脂肪皮膜成分があまり残存しない
ため、クリーム又はバターからバターオイルを製造する
際に生じる水相成分には乳脂肪皮膜成分が多くなる。
【0009】上記のクリーム又はバターからバターオイ
ルを製造する際に生じる水相成分としては、乳脂肪皮膜
成分の含有量が固形分当り5〜40重量%、特に8〜4
0重量%で、リン脂質の含有量が固形分当り2〜15重
量%、特に3〜15重量%であるものが好ましい。
【0010】次に、上記のクリーム又はバターからバタ
ーオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法につ
いて説明する。上記のクリームからバターオイルを製造
する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通
りである。先ず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度
30〜40重量%のクリームをプレートで加温し、遠心
分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95重量%
まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び
遠心分離機で処理することによってバターオイルが得ら
れる。本発明に係る水相成分は、最後の遠心分離の工程
でバターオイルの副産物として発生するものである。
【0011】一方、上記のバターからバターオイルを製
造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の
通りである。先ず、バターを溶解機で溶解し、熱交換機
で加温する。これを遠心分離機で分離することによって
バターオイルが得られる。そして、本発明に係る水相成
分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物と
して発生するものである。
【0012】本発明の乳化活性物質は上記のようにして
得られた水相成分をリゾ化することによって得られる。
該水相成分には前述したように乳脂肪皮膜成分が多く存
在しており、この乳脂肪皮膜成分のリン脂質をリゾ化す
ることによって乳化安定性を大幅に改善することができ
る。
【0013】上記リン脂質をリゾ化するには、上記のク
リーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じ
る水相成分をホスホリパーゼAで処理すればよい。ホス
ホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂
肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸
残基を水酸基で置き換える作用を有する酵素である。ホ
スホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホ
リパーゼA1、ホスホリパーゼA2に分かれるが、本発
明においてはホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリ
パーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の
2位の脂肪酸残基が選択的に切り離され、水酸基に置き
換えられる。
【0014】上記ホスホリパーゼAの使用量は、好まし
くはリン脂質1gに対して10〜5000IU、さらに
好ましくは50〜2000IUである。
【0015】また、上記のクリーム又はバターからバタ
ーオイルを製造する際に生じる水相成分は、そのままリ
ゾ化してもよく、濃縮物をリゾ化してもよい。
【0016】リゾ化は、上記のクリーム又はバターから
バターオイルを製造する際に生じる水相成分と上記ホス
ホリパーゼAとを混合した後、該混合物をインキュベー
トすることにより行われる。この際のインキュベート温
度は、好ましくは30〜70℃、さらに好ましくは40
〜60℃、最も好ましくは45〜55℃であり、インキ
ュベート時間は、好ましくは5分〜5時間、さらに好ま
しくは15分〜3時間、最も好ましくは30分〜2時間
である。
【0017】本発明の乳化活性物質の総リン脂質含量に
占めるリゾリン脂質の割合(リゾ化率)は、乳化安定性
の点から、30%以上が好ましく、50%以上がより好
ましく、70%以上が一層好ましい。
【0018】上記リゾ化率は、以下の方法により測定し
た。先ず、本発明の乳化活性物質から水分を除去し、ク
ロロホルム:メタノール=2:1(重量比)の溶媒に溶
解する。これをろ過した後、溶媒を飛ばし乳脂肪成分を
得る。この乳脂肪成分を3回アセトン洗浄することによ
り中性脂質を除去し、残渣のリン脂質を得る。次に、イ
アトロスキャン((株)ヤトロン製)を用い、TLC/
FID法にてリン脂質の定量を行う。先ず、ベンゼン:
クロロホルム:酢酸=50:20:0.7(重量比)の
溶媒で一次展開し、不純物の除去とリン脂質の濃縮を行
う。次に、クロロホルム:メタノール:29%アンモニ
ア水=65:35:5(重量比)で2次展開し、これを
FID法により検出し、予め作製した検量線をもとに定
量する。リゾ化率は{〔(リゾリン脂質含量)/(総リ
ン脂質含量)〕×100}の計算式により求められる。
【0019】得られた本発明の乳化活性物質は、水相の
まま使用してもよいし、噴霧乾燥処理等を施してもよ
い。
【0020】本発明の水中油型乳化脂は、上記のクリー
ム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水
相成分をリゾ化して得られる本発明の乳化活性物質を含
有する。該水中油型乳化脂は、乳由来の自然な風味を有
し、乳化安定性等に優れる。乳化安定性の具体例として
は、例えば、輸送時の振とう耐性が向上すること、ヒー
トショック耐性が向上すること、また、起泡性水中油型
乳化脂に使用した場合、機械耐性(連続ホイップマシー
ン等の機械を使用して起泡する際、クリームが機械の物
理的衝撃により転相反転して使い物にならなかったり、
所定の扱いやすい硬さを得るための機械の条件範囲が極
めてせまかったりする場合、あるいはナッペマシーン、
トッピングマシーン等の機械を使用してケーキに塗り付
けたり造花したりする際、機械による外部からの衝撃に
よりクリームが経時的に硬くなり、作業に支障をきたす
ような場合、機械耐性が劣ると表現している)が向上す
ること等が挙げられる。
【0021】本発明の乳化活性物質を水中油型乳化脂に
使用する場合、乳化活性と乳化安定性の点から、水中油
型乳化脂全量に対して、本発明の乳化活性物質が、固形
分として0.1〜10重量%となるように使用するのが
好ましく、0.5〜10.0重量%がより好ましく、
1.0〜10.0重量%が一層好ましい。
【0022】本発明の水中油型乳化脂で用いる油脂の種
類としては、特に限定されないが、例えばパーム油、パ
ーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大
豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛
脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核
油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油
脂、動物油脂、並びにこれらを水素添加、分別及びエス
テル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加
工油脂が挙げられる。これらのうち、大豆油、ナタネ
油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、これらを水素添
加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上
の処理を施した加工油脂を用いるのが好ましい。これら
の油脂は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組
み合わせて用いることもできる。
【0023】本発明の水中油型乳化脂の油脂の含有量
は、特に制限はないが、好ましくは1〜50重量%、さ
らに好ましくは5〜45重量%である。
【0024】本発明の水中油型乳化脂の水の含有量は、
特に制限はないが、好ましくは50〜99重量%、さら
に好ましくは55〜90重量%である。
【0025】また、本発明の水中油型乳化脂は、必要に
より、油性成分及び/又は水性成分に乳化剤、安定剤、
蛋白質、糖類、果汁、ジャム、カカオ及びカカオ製品、
コーヒー及びコーヒー製品等の呈味成分、調味料、着香
料、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等を配合
してもよい。
【0026】上記乳化剤としては、特に限定されない
が、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシ
チン、卵黄リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、
グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸
エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセ
リンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪
酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪
酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリ
セリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコ
ール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ス
テアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビ
タンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン
モノグリセリド等が挙げられる。これらの乳化剤は単独
で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用い
ることもできるが、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆
リゾレシチン、卵黄リゾレシチン以外の合成乳化剤は使
用しないのが好ましい。
【0027】上記乳化剤の含有量は、本発明の水中油型
乳化脂中、好ましくは0〜1重量%、さらに好ましくは
0.05〜0.5重量%である。
【0028】上記安定剤としては、リン酸塩、メタリン
酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエ
ン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭酸塩等)、グアー
ガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナ
ン、アルギン酸塩、ファーセルラン、ローカストビーン
ガム、ペクチン、カードラン、澱粉、化工澱粉、結晶セ
ルロース、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストラ
ン等の安定剤が挙げられる。これらの安定剤は、単独で
用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いる
こともできる。但し、カルシウム封鎖剤は用いないほう
が好ましく、ここでいうカルシウム封鎖剤として、例え
ばリン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸
塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類
(炭酸塩等)等が挙げられる。
【0029】上記安定剤の含有量は、本発明の水中油型
乳化脂中、好ましくは0.1重量%以下、さらに好まし
くは0.05重量%以下である。
【0030】上記蛋白質としては特に限定されないが、
例えばα−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、
血清アルブミン等のホエイ蛋白質、カゼイン、その他の
乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホス
ビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コ
ンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジ
ン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦蛋白
質、その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質が挙げら
れる。これらの蛋白質は、目的に応じて一種ないし二種
以上の蛋白質として、あるいは一種ないし二種以上の蛋
白質を含有する食品素材の形で添加してもよい。
【0031】この蛋白質を含有する食品素材としては、
生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん
羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、バター、クリー
ム、チーズ、クリームチーズ、冷凍変成したクリームチ
ーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃
縮乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖れん乳、加糖
脱脂れん乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳、全
卵、卵黄、卵白、加塩卵黄、加糖卵黄、酵素処理卵黄な
どの粉体以外の形状を持つ食品素材と、全粉乳、脱脂粉
乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホ
エイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製
粉乳、カゼインカルイウム、ホエープロテインコンセン
トレート、トータルミルクプロテイン、粉末全卵、粉末
卵黄、粉末卵白、卵白分解物、小麦蛋白、大豆粉、濃縮
大豆蛋白、エンドウ蛋白、トウモロコシ蛋白、血漿粉末
などの粉体状の食品素材が挙げられる。
【0032】上記蛋白質の含有量は、本発明の水中油型
乳化脂中、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ま
しくは1〜5重量%である。
【0033】上記糖類としては、特に限定されないが、
例えばブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水
飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水
飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトー
ル、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトー
ル、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フ
ラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳
果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノ
ースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム等の糖類が挙
げられる。これらの糖類は、単独で用いることもでき、
又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0034】上記糖類の配合量は、本発明の水中油型乳
化脂中、好ましくは0〜30重量%、さらに好ましくは
0〜10重量%である。
【0035】次に、本発明の水中油型乳化脂の製造方法
について説明する。先ず、クリーム又はバターからバタ
ーオイルを製造する際に生じる水相成分をリゾ化して得
られた本発明の乳化活性物質、水及び必要に応じてその
他の水性成分を含む水性相と、油脂及び必要に応じてそ
の他の油性成分を含む油性相をそれぞれ個別に調製し、
該水性相と該油性相とを混合乳化し、水中油型に乳化す
る。
【0036】これを、必要により、バルブ式ホモジナイ
ザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置によ
り、圧力0〜100MPaの範囲で均質化してもよい。
また、必要により、インジェクション式、インフージョ
ン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブ
ラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・
HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波
加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理を施してもよ
く、あるいは直火等の加熱調理により加熱してもよい。
また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。ま
た、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施して
もよい。
【0037】本発明の水中油型乳化脂は、主としてホイ
ップ用クリームとして用いられる他、洋菓子用素材、コ
ーヒーホワイトナー、アイスクリーム、及びパン練り混
み等の用途に用いられるが、本発明の水中油型乳化脂と
生クリームとを混合しブレンド物としても本発明の水中
油型乳化脂の特性を失うことがない。また、起泡済みク
リームとして、冷蔵、冷凍、常温の保管流通条件で用い
ることもできる。
【0038】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0039】〔実施例−1〕クリームからバターオイル
を製造する際に生じる水相成分の濃縮物(固形分40重
量%)に、該濃縮物に対して0.03重量%のレシター
ゼ10L(登録商標、ノボノルディスクバイオインダス
トリー社製、ホスホリパーゼA2を10000IU/m
l含む)を攪拌しながら加えた。得られた混合物を50
℃で4時間インキュベートした後、5℃に保管し、本発
明の乳化活性物質を得た。得られた乳化活性物質は、固
形分が40重量%、乳脂肪皮膜成分含量が7.75重量
%、総リン脂質含量が3.10重量%、リゾリン脂質含
量が2.20重量%、リゾ化率が71%であった。
【0040】下記表1の配合に従って、この乳化活性物
質及び水からなる水性相と、大豆硬化油及びパームオレ
イン硬化油からなる油性相とを60℃で混合し、予備乳
化液を調製した。上記予備乳化液を5MPaの圧力で均
質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UH
T殺菌機ステリラボ)で142℃で4秒間殺菌し、再度
5MPaの圧力で均質化後、5℃まで冷却した。
【0041】得られた水中油型乳化脂について乳化安定
性の評価を行った。振動器を用い100回/37秒で水
平方向に振動させ、水中油型乳化脂が流動性を失うまで
の振動回数が15000回以上を優、10000〜15
000回のものを良、5000〜10000回のものを
可、5000回以下のものを不可とした。結果は表1に
示すとおり優であった。
【0042】〔実施例−2〕クリームからバターオイル
を製造する際に生じる水相成分に、該水相成分に対して
0.03重量%のレシターゼ10L(登録商標、ノボノ
ルディスクバイオインダストリー社製、ホスホリパーゼ
A2を10000IU/ml含む)を攪拌しながら加え
た。得られた混合物を50℃で4時間インキュベートし
た後、噴霧乾燥処理を施し、本発明の乳化活性物質を得
た。得られた乳化活性物質は固形分が100重量%、乳
脂肪皮膜成分含量が20.25重量%、総リン脂質含量
が8.10重量%、リゾリン脂質含量が5.75重量
%、リゾ化率が71%であった。
【0043】この乳化活性物質を用い、下記表1の配合
に従って、実施例−1と同じ方法で水中油型乳化脂を調
製し、乳化安定性の評価を行った。乳化安定性評価の結
果は表1に示す通り優であった。
【0044】〔実施例−3〕バターからバターオイルを
製造する際に生じる水相成分に、該水相成分に対して
0.03重量%のレシターゼ10L(登録商標、ノボノ
ルディスクバイオインダストリー社製、ホスホリパーゼ
A2を10000IU/ml含む)を攪拌しながら加え
た。得られた混合物を50℃で4時間インキュベートし
た後、噴霧乾燥処理を施し、本発明の乳化活性物質を得
た。得られた乳化活性物質は固形分が100重量%、乳
脂肪皮膜成分含量が19.13重量%、総リン脂質含量
が7.65重量%、リゾリン脂質含量が5.28重量
%、リゾ化率が69%であった。
【0045】この乳化活性物質を用い、下記表1の配合
に従い、実施例−1と同じ方法で水中油型乳化脂を調製
し、乳化安定性の評価を行った。乳化安定性評価の結果
は表1に示す通り優であった。
【0046】〔比較例−1及び2〕表1の配合に従い、
実施例−1と同じ方法で水中油型乳化脂を調製し、乳化
安定性の評価を行った。乳化安定性評価の結果は表1に
示す通り、実施例−1〜3と比べ劣っていた。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、乳由来の強力な乳化活
性と乳化安定性を有する乳化活性物質、及び該乳化活性
物質を含有する水中油型乳化脂を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥冨 保雄 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 Fターム(参考) 4B025 LB21 LG12 LG14 LG25 LG53 LK01 LP11 4B026 DC06 DG01 DG11 DK05 DL08 DX04 4B035 LC01 LE03 LG04 LG44 LK13 LP22 LP59

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クリーム又はバターからバターオイルを
    製造する際に生じる、リン脂質を含有する水相成分を、
    リゾ化してなる乳化活性物質。
  2. 【請求項2】 総リン脂質含量に占めるリゾリン脂質の
    割合が30%以上である請求項1記載の乳化活性物質。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の乳化活性物質を含
    有する水中油型乳化脂。
  4. 【請求項4】 上記乳化活性物質を固形分として0.1
    〜10重量%含有する請求項3記載の水中油型乳化脂。
  5. 【請求項5】 合成乳化剤を含まない請求項3又は4記
    載の水中油型乳化脂。
  6. 【請求項6】 カルシウム封鎖剤を含まない請求項3〜
    5のいずれかに記載の水中油型乳化脂。
  7. 【請求項7】 請求項1又は2記載の乳化活性物質を含
    有する水性相と油性相とを乳化することを特徴とする水
    中油型乳化脂の製造方法。
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