JP3267903B2 - 水中油型乳化物 - Google Patents
水中油型乳化物Info
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Description
関し、詳しくはリン酸塩やクエン酸塩を使用しなくて
も、生クリームのような良好なキメとみずみずしい食感
を与えると共に、クリーム物性に優れた起泡性クリーム
に関する。
に使用されるホイップクリームなどの起泡性クリーム、
あるいはコーヒー用クリームなどの水中油型乳化物は、
複数の乳化剤とリン酸塩やクエン酸塩等の安定剤を使用
するのが一般的である。例えば、油脂分として植物性油
脂を使用した、いわゆる植物性クリームは、水、植物性
油脂、無脂乳固形分、各種乳化剤、および安定剤等を使
用して予備乳化、均質化、殺菌、冷却、エージングなど
の処理を施して製造されるが、リン酸あるいはクエン酸
のアルカリ金属塩等の安定剤が0.1〜1重量%程度使
用されるのが一般的である。
レシチンなどのいわゆる天然乳化剤と蔗糖脂肪酸エステ
ル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エス
テル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリ
コール脂肪酸エステルなどのいわゆる合成乳化剤(以
下、これらの乳化剤を合成乳化剤と記す)が組み合わさ
れて使用されており、その総使用量は乳化物全量に対し
概略1〜5重量%程度である。このようなリン酸塩やク
エン酸塩等の安定剤あるいは合成乳化剤の使用は、良好
なクリーム物性(オーバーラン、作業性、キメなど)を
得るためには不可欠と考えられている(日高徹著,「食
品用乳化剤」「食品添加物の常識」,幸書房)。一方
で、このような乳化剤、特に合成乳化剤はクリームの風
味上好ましからざるものである。
物の主として風味を改善する目的で卵黄の使用が提案さ
れてきた(特開昭60-62951号公報,特開昭62-40257号公
報,特開昭62-215356 号公報)。しかしながら、このよ
うな卵黄は殺菌処理に際し卵黄中に含まれる蛋白質成分
が急激に変性して凝集し、その殺菌ラインにおいてスケ
ーリング等が生じ、クリームの製造が困難になるだけで
なく、卵黄が焦げて硫黄臭が強くなり、得られた製品の
風味が悪くなるという問題が生じていた。そして、この
ような問題点を解決するために卵黄を予備加熱して卵黄
中に含まれる蛋白質成分を予備変性させるという提案が
なされた(特開平4-281745号公報)。
者の「健康」意識の増加、天然志向の高まりから、この
ような合成乳化剤とリン酸塩やクエン酸塩等の安定剤の
未使用、または低減させた食品の開発が望まれている
が、未だ生クリームのような良好なキメとみずみずしい
食感を与えるものは開発されていない。
酸塩やクエン酸塩等の安定剤を使用しなくても、生クリ
ームのような良好なキメとみずみずしい食感を与えると
共にクリーム物性に優れた起泡性クリームを提供するこ
とである。また、風味的に好ましからざる合成乳化剤を
使用しても、あるいは使用しなくても、同様に、優れた
風味物性を与える起泡性クリームを提供することであ
る。
を達成すべく鋭意研究した結果、カゼイネートと卵黄油
を特定量使用することによって、従来よりクリーム製造
のために必須成分とされてきたリン酸塩やクエン酸塩等
の安定剤を使用しなくても、クリームの基本物性を保持
したまま、生クリームのような良好な風味とみずみずし
い食感を与えると共に乳化安定性に優れた起泡性クリー
ムを製造することができることを見出し本発明を完成し
たものである。
と、20〜60重量%の油相からなる水中油型乳化物で
あって、0.1〜2.0重量%のカゼイネート、0.1
〜10重量%の卵黄油、2〜10重量%の無脂乳固形分
を含むことを特徴とするリン酸塩やクエン酸塩を使用し
ない起泡性クリーム、である。
ば、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花
生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、
カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、サ
ル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂並
びに乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂が例
示でき、上記油脂類の単独または混合油あるいはそれら
の硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂(融点
15〜40℃程度のもの)が例示できる。油脂含量とし
ては20〜60重量%が好ましい。
脂粉乳、ホエー蛋白、乳糖などが使用できる。乳固形分
はクリームに乳味感を付与するのに重要であり、無脂乳
固形分としてクリーム全体に対し、2〜10重量%、好
ましくは3〜8重量%程度使用する。
り、高い溶解性を持つ蛋白質である。本発明において必
須成分として含むカゼイネートは、種々のカゼイン塩
類、例えば市販のカゼインNa、カゼインK,カゼイン
Ca、カゼインMgなどが使用できる。また、多少の酵
素分解された物や、脱脂乳からカゼイネート成分と乳清
蛋白成分を回収した乳蛋白などであっても、カゼインの
金属塩を含むものであれば使用できる。その添加量は
0.1〜2.0重量%、好ましくは0.2〜2.0重量
%の範囲内で使用する必要がある。下限未満では効果を
得難く、逆に上限を越えると風味的に悪化させる傾向に
あるので好ましくない。
えて抽出、濾過して卵黄蛋白質を除去した後、溶剤を完
全に除去して抽出卵黄油を得、これを乾燥して水分を除
去することにより得られ、中性脂肪を約70〜80重量
%、リン脂質を約20〜30重量%含有する卵黄色、卵
黄臭を有する液体であって、市販品を容易に入手し使用
できる。なお、リン脂質中にはフォスファチジルコリン
もしくはリゾフォスファチジルコリンが約80重量%、
フォスファチジルエタノールアミンもしくはリゾフォス
ファチジルエタノールアミンが約20〜25重量%含ま
れる。本発明においては、卵黄油がフォスフォリパーゼ
やリパーゼ等の酵素で処理した酵素処理卵黄油(就中、
フォスフォリパーゼで処理した卵黄油)であっても使用
することができ、乳化物全量に対し0.1〜10重量%
使用するのが好ましい。下限未満では効果を得難く、上
限を越えて使用すると卵黄の風味が強すぎるようになる
ので好ましくない。
用することができ、大豆レシチンや卵黄レシチン、また
はそれらの酵素分解物、あるいは蔗糖脂肪酸エステル、
グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコ
ール脂肪酸エステルなどのいわゆる合成乳化剤を併用し
てもよい。本発明の水中油型乳化物は、さらに所望によ
り蛋白成分、生クリーム、糖類、増粘剤、フレーバー、
エッセンス類などを含むこともできる。
分を含む水相とを、リン酸塩およびクエン酸塩等の安定
剤を使用しなくても、カゼイネートおよび卵黄油を添加
して予備乳化した後、均質化し、超高温瞬間(UHT)
殺菌処理後、再均質化し、冷却、エージングすることに
よって目的とする乳化物を得ることができる。
化剤に由来する臭味を改善する効果があり、ひいては少
量のカゼイネートとの併用により乳化剤そのものの使用
量を著しく減じることができ、端的には乳化剤を使用す
ることなく卵黄油0.1〜0.5重量%でも充分使用す
ることができて、風味も最も優れた起泡性クリームを製
造することができる。
加熱方式と直接加熱方式の2種類があり、間接加熱処理
する装置としてはAPVプレート式UHT処理装置(A
PV社製)、CP─UHT滅菌装置(クリマティ・パッ
ケージ社製)、ストルク・チューブラー型滅菌装置(ス
トルク社製)、コンサーム掻取式UHT滅菌装置(テト
ラパック・アルファラバル社製)等が例示できるが、特
にこれらにこだわるものではない。また、直接加熱式滅
菌装置としては、ユーペリゼーション滅菌装置(テトラ
パック・アルファラバル社製)、VTIS滅菌装置(テ
トラパック・アルファラバル社製)、ラギアーUHT滅
菌装置(ラギアー社製)、パラリゼーター(パッシュ・
アンド・シルケボーグ社製)、C.P.Vac−Hea
t・UHT滅菌装置(クリマティー・パッケージ社製)
等のUHT滅菌処理装置が例示でき、これらの何れの装
置を使用してもよい。
的に説明するが、これらは例示であって権利範囲を限定
するものではない。なお、例中の%は重量基準を意味す
る。
0部に大豆レシチン0.1部を添加した油相と、水55
部に脱脂粉乳4部、ナトリウムカゼイネート0.6部お
よびシュガーエステル(HLB6)0.2部を加えて水
相としたもの、および卵黄油0.45部とを混合し、ホ
モミキサーにより60℃で30分間予備乳化した後、2
0kg/cm2 の均質化圧力で均質化し、次いでUHT
滅菌装置(VTIS滅菌装置(テトラパック・アルファ
ラバル社製))にて145℃4秒間の殺菌処理を行った
後、同圧条件にて再均質化後、10℃以下まで冷却し、
さらに一晩冷蔵庫(5℃)でエージングして起泡性水中
油型乳化物を得た。なお、製造工程中は特にラインにお
いてスケーリング等を生じることはなかった。この乳化
物は乳化状態が安定で流動状を呈しており、5℃におけ
る粘度は80センチポイズ(東京計器(株)製,B型粘
度計2号ローター使用)であった。この乳化物に砂糖8
%添加しケンウッドミキサーにてホイップしたところ、
ホイップ時間3分2秒で、オーバーラン120%の起泡
物が得られた。この起泡物はキメが良好であり、また風
味も卵黄の焦げた硫黄臭はなく、みずみずしい食感を有
した良好なクリームであった。なお、ボテテスト(ホイ
ップする前のクリームを20℃で2時間インキュベート
し、その後2分攪拌したときの可塑化現象 (ボテ発生)
の有無を調査)の結果、ボテの発生は無かった。
実施例1と同様に実施して乳化物を得、これと実施例1
で得た乳化物とで風味を比較したところ、実施例1で得
た乳化物の方が風味が良く、卵黄油の使用により乳化剤
に由来する臭味が改善されていることが判った。
0部に大豆レシチン0.2部を添加した油相と、水55
部に脱脂粉乳4部、ナトリウムカゼイネート0.6部を
加えて水相としたもの、および卵黄油0.45部とを混
合し、ホモミキサーにより60℃で30分間予備乳化し
た後、20kg/cm2 の均質化圧力で均質化し、次い
でUHT滅菌装置(VTIS滅菌装置(テトラパック・
アルファラバル社製))にて145℃4秒間の殺菌処理
を行った後、再均質化後、10℃以下まで冷却し、さら
に一晩冷蔵庫(5℃)でエージングして起泡性水中油型
乳化物を得た。なお、製造工程中は特にラインにおいて
スケーリング等を生じることはなかった。この乳化物は
乳化状態が安定で流動状を呈しており、5℃における粘
度は80センチポイズ(東京計器(株)製,B型粘度計
2号ローター使用)であった。この乳化物に砂糖8%添
加しケンウッドミキサーにてホイップしたところ、ホイ
ップ時間3分45秒で、オーバーラン103%の起泡物
が得られた。この起泡物はキメが良好であり、また風味
も卵黄の焦げた硫黄臭はなく、みずみずしい食感を有し
た良好なクリームであった。なお、ボテテスト(ホイッ
プする前のクリームを20℃で2時間インキュベート
し、その後2分攪拌したときの可塑化現象 (ボテ発生)
の有無を調査)の結果、ボテの発生は無かった。
0部から成る油相と、水55部に脱脂粉乳4部、ナトリ
ウムカゼイネート0.6部を加えて水相としたもの、お
よび卵黄油0.45部とを混合し、ホモミキサーにより
60℃で30分間予備乳化した後、20kg/cm2 の
均質化圧力で均質化し、次いでUHT滅菌装置(VTI
S滅菌装置(テトラパック・アルファラバル社製))に
て145℃4秒間の殺菌処理を行った後、再均質化後、
10℃以下まで冷却し、さらに一晩冷蔵庫(5℃)でエ
ージングして起泡性水中油型乳化物を得た。なお、製造
工程中は特にラインにおいてスケーリング等を生じるこ
とはなかった。この乳化物は乳化状態が安定で流動状を
呈しており、5℃における粘度は80センチポイズ(東
京計器(株)製,B型粘度計2号ローター使用)であっ
た。この乳化物に砂糖8%添加しケンウッドミキサーに
てホイップしたところ、ホイップ時間3分50秒で、オ
ーバーラン105%の起泡物が得られた。この起泡物は
キメが良好であり、また風味も卵黄の焦げた硫黄臭はな
く、みずみずしい食感を有した良好なクリームであっ
た。なお、ボテテスト(ホイップする前のクリームを2
0℃で2時間インキュベートし、その後2分攪拌したと
きの可塑化現象 (ボテ発生) の有無を調査)の結果、ボ
テの発生は無かった。
となく、他は全て実施例3と同様に実施したところ、1
0℃以下に冷却した時点で固化を呈し、全く商品価値の
無いものであった。
0部から成る油相と、水55部に脱脂粉乳4部、ナトリ
ウムカゼイネート0.6部を加えて水相としたもの、お
よび酵素処理した卵黄油0.45部とを混合し、ホモミ
キサーにより60℃で30分間予備乳化した後、20k
g/cm2 の均質化圧力で均質化し、次いでUHT滅菌
装置(VTIS滅菌装置(テトラパック・アルファラバ
ル社製))にて145℃4秒間の殺菌処理を行った後、
再均質化後、10℃以下まで冷却し、さらに一晩冷蔵庫
(5℃)でエージングして起泡性水中油型乳化物を得
た。なお、製造工程中は特にラインにおいてスケーリン
グ等を生じることはなかった。この乳化物は乳化状態が
安定で流動状を呈しており、5℃における粘度は100
センチポイズ(東京計器(株)製,B型粘度計2号ロー
ター使用)であった。この乳化物に砂糖8%添加しケン
ウッドミキサーにてホイップしたところ、ホイップ時間
4分39秒で、オーバーラン130%の起泡物が得られ
た。この起泡物は実施例1と同様に、キメが良好であり
また風味も卵黄の焦げた硫黄臭はなく、みずみずしい食
感を有した良好なクリームであった。なお、ボテテスト
の結果もボテの発生は無かった。
となく、他は全て実施例4と同様に実施したところ、本
例も10℃以下に冷却した時点で固化を呈し、商品価値
の全く無いものであった。
た以外は全て実施例4と同様に実施して、5℃における
粘度が105センチポイス(東京計器(株)製,B型粘
度計2号ローター使用)であった。この乳化物に砂糖8
%添加しケンウッドミキサーにてホイップしたところ、
ホイップ時間4分45秒で、オーバーラン125%の起
泡物が得られた。この起泡物は実施例1と同様に、キメ
が良好でありまた風味も卵黄の焦げた硫黄臭はなく、み
ずみずしい食感を有した良好なクリームであった。な
お、ボテテストの結果もボテの発生は無かった。
塩やクエン酸塩を使用しなくても、クリームの基本物性
を保持したまま、生クリームのような良好なキメとみず
みずしい食感を与えると共に乳化安定性に優れた起泡性
クリームを製造することができるという効果を有し、ま
た合成乳化剤が使用されてもかかる合成乳化剤の好まし
からざる風味に影響されることなく、風味の良好なクリ
ームを得ることができるという効果を有する。
Claims (1)
- 【請求項1】40〜80重量%の水相と、20〜60重
量%の油相からなる水中油型乳化物であって、0.1〜
2.0重量%のカゼイネート、0.1〜10重量%の卵
黄油、2〜10重量%の無脂乳固形分を含むことを特徴
とするリン酸塩やクエン酸塩を使用しない起泡性クリー
ム。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP22337897A JP3267903B2 (ja) | 1997-07-24 | 1997-08-20 | 水中油型乳化物 |
Applications Claiming Priority (3)
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---|---|---|---|
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JP19825197 | 1997-07-24 | ||
JP22337897A JP3267903B2 (ja) | 1997-07-24 | 1997-08-20 | 水中油型乳化物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1189531A JPH1189531A (ja) | 1999-04-06 |
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ID=26510865
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP22337897A Expired - Fee Related JP3267903B2 (ja) | 1997-07-24 | 1997-08-20 | 水中油型乳化物 |
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JP4753163B2 (ja) * | 2006-07-05 | 2011-08-24 | 不二製油株式会社 | 酸性の起泡性水中油型乳化物 |
JP5146080B2 (ja) * | 2008-04-25 | 2013-02-20 | 不二製油株式会社 | 起泡性水中油型乳化物 |
JP5348953B2 (ja) * | 2008-07-01 | 2013-11-20 | キユーピー株式会社 | 酵素失活味噌加工品の製造方法及び酵素失活味噌加工品を配合した食品の製造方法 |
JP2021058205A (ja) * | 2020-12-25 | 2021-04-15 | メロディアン株式会社 | 飲料用白濁性付与剤 |
-
1997
- 1997-08-20 JP JP22337897A patent/JP3267903B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1189531A (ja) | 1999-04-06 |
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