JP4937156B2 - 乳脂含有水中油型乳化物の製造方法 - Google Patents

乳脂含有水中油型乳化物の製造方法 Download PDF

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本発明は、乳脂含有水中油型乳化物の製造方法に関するものである。
乳脂を含有する水中油型乳化物は、乳化安定性が悪いため増粘しやすい。また、乳脂を含有する水中油型乳化物をホイップしたホイップクリームは、モドリ(軟化)現象、シマリ(硬化)現象と呼ばれる物性の変化が起こりやすく、扱い難いものである。
乳脂を含有する水中油型乳化物については、次のような先行文献がある。
特許文献1には、SUS型トリグリセリドに富む油脂とラウリン系油脂を含む乳化物(A)と、乳脂含有乳化物(B)を混合する低油分クリームの製造法が記載されている。特許文献1の課題を解決するための手段の項には、全原料を合一的に乳化するのではなく、上記特定油脂の乳化物(乳化物(A))と生クリーム(乳脂含有乳化物(B))とを別個に調製した後、混合すること、すなわち互いの油滴粒子がほとんど一体化しないことにより、ホイップ性が良好で、常温耐性に優れ、口溶けがよく、かつ、風味、コク味とも天然の生クリームに劣らない低油分クリームが作成できたことが記載されている。
このように2つの乳化物を別個に調製した後、両者を混合するという特許文献1に記載の製造法は、工程が煩雑であるという欠点がある。特許文献1に記載の製造法において、全原料を合一的に乳化すると、得られた乳化物の安定性が悪く、乳化物が増粘してしまう。この理由は定かではないが、経験的に乳化物に部分硬化油を用いているためであると考えられている。
特許文献2には、特定の性質を有する水中油型乳化物用油脂が開示されている。該水中油型乳化物用油脂は、具体的には、パーム系油脂と、液状油及び/又はラウリン系油脂からなる油脂とを、質量比40:60〜80:20でエステル交換することにより得られたものであることが、請求項2に記載されている。
特許文献2に記載の水中油型乳化物用油脂は、エステル交換油中のパーム系油脂の割合が多いため、ホイップしたクリームのモドリ現象を抑制する効果を有するC6〜C14の飽和脂肪酸の含有量が構成脂肪酸組成中において少ない。乳脂を含有する水中油型乳化物をホイップしたクリームは、ホイップ後にモドリ現象を強く引き起こすが、特に高含量の乳脂を含む水中油型乳化物において、特許文献2に記載の水中油型乳化物用油脂を使用した場合、水中油型乳化物中のC6〜C14の飽和脂肪酸含有量が少ないために、ホイップしたクリームのモドリ現象を十分に抑制できないという問題があった。
特許文献3には、トランス型脂肪酸を実質的に含まないホイップクリーム用油脂組成物が記載されている。該ホイップクリーム用油脂組成物は、特定の組成である極度硬化油脂と液状油脂からなる。
特許文献3に記載のホイップクリーム用油脂組成物は、構成脂肪酸に炭素数20〜24の飽和脂肪酸を含むことを特徴としているため、該ホイップクリーム用油脂組成物をホイップしたクリームは、口どけが悪くなるという欠点があった。
特開平5−328928号公報 特開2006−254805号公報 特開2007−244218号公報
従って、本発明の目的は、乳脂を含有していながら、全原料を合一的に乳化することができる乳脂含有水中油型乳化物の製造方法を提供することにある。
また、本発明のさらなる目的は、乳脂含有水中油型乳化物そのものが増粘しにくく、しかも、ホイップすると、モドリ現象、シマリ現象が起こりにくく、且つ口どけが良好なホイップクリームとなる乳脂含有水中油型乳化物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく種々検討した結果、部分硬化油を使用せず、特定の油脂を用い、炭素原子数(以下、単にCと表す)16〜18の飽和脂肪酸とC6〜14の飽和脂肪酸との質量比率を特定範囲とした油相と、水相とを乳化することにより、上記問題を解決可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸の含有量が30〜80質量%で且つC6〜C14の飽和脂肪酸の含有量が10質量%以下である油脂A、構成脂肪酸組成においてC6〜C14の飽和脂肪酸の含有量が50質量%以上である油脂B、及び乳脂を混合して、構成脂肪酸組成において、C16〜C18の飽和脂肪酸とC6〜C14の飽和脂肪酸との質量比率が40〜60:60〜40であり、且つトランス型脂肪酸が5質量%未満である油相を調製し、該油相と水相とを乳化する乳脂含有水中油型乳化物の製造方法を提供するものである。
本発明の乳脂含有水中油型乳化物の製造方法によれば、乳脂を含有していながら、全原料を合一的に乳化して、乳脂含有水中油型乳化物を得ることができる。また、本発明の製造方法により得られた乳脂含有水中油型乳化物は、衝撃や温度変化により増粘しにくい。さらに、本発明の製造方法により得られた乳脂含有水中油型乳化物をホイップしたクリームは、モドリ現象やシマリ現象が起こりにくく、しかも口どけが良好である。
本発明の乳脂含有水中油型乳化物の製造方法について、好ましい実施形態に基づき、詳細に説明する。
先ず、本発明の製造方法では、構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸の含有量が30〜80質量%で且つC6〜C14の飽和脂肪酸の含有量が10質量%以下である油脂A、構成脂肪酸組成においてC6〜C14の飽和脂肪酸の含有量が50質量%以上である油脂B、及び乳脂を混合し、さらに必要によりその他の原料を混合して、油相を用意する。このとき、該油相は、構成脂肪酸組成において、C16〜18の飽和脂肪酸とC6〜14の飽和脂肪酸との質量比率(前者:後者)が40〜60:60〜40で、且つトランス型脂肪酸が5質量%未満となるように調製する。
一方、水に必要によりその他の原料を加えた水相を用意する。
次に、上記油相と上記水相とを混合し、乳化する。
本発明の製造方法において、上記の水相と油相との質量比率(前者:後者)は、好ましくは80〜40:20〜60、さらに好ましくは70〜50:30〜50、最も好ましくは65〜55:35〜45である。
乳化の際には、先ず予備乳化物を調製し、次にこれを、必要により、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により圧力0〜100MPaの範囲で均質化してもよい。また、必要により、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理を施してもよく、あるいは直火等の加熱調理により加熱してもよい。また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。また、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
以下に本発明の製造方法で用いる原料についてさらに詳細に説明する。
本発明の製造方法では、構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸の含有量が30〜80質量%、好ましくは35〜70質量%、さらに好ましくは35〜65質量%であり、且つ構成脂肪酸組成において、C6〜C14の飽和脂肪酸を10質量%以下、好ましくは5質量%、さらに好ましくは2質量%以下である油脂Aを用いる。油脂Aの構成脂肪酸組成において、C6〜C14の飽和脂肪酸は少ないほど好ましい。
本発明の製造方法において上記油脂Aを用いないと、乳脂含有水中油型乳化物をホイップしたクリームが硬化するシマリ現象が起きる。
上記油脂Aの構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸の含有量が30質量%よりも少ないと、乳脂含有水中油型乳化物をホイップしたクリームが硬化するシマリ現象を起こし、また耐熱性が劣る物性になり、80質量%よりも多いと、乳脂含有水中油型乳化物をホイップしたクリームの口どけが悪くなる。
上記油脂Aの構成脂肪酸組成においてC6〜C14の飽和脂肪酸の含有量が10質量%よりも多いと、ホイップしたクリームが硬化するシマリ現象が起きる。
上記油脂Aとしては、例えば、(1)パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パーム中融点画分等のパーム分別油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂、(2)パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パーム中融点画分等のパーム分別油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂をエステル交換したエステル交換油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂、(3)コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、アマニ油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂の極度硬化油と、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、ハイオレイックナタネ油、サフラワー油、ヒマワリ油、アマニ油、米油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂をエステル交換したエステル交換油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂、(4)パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パーム中融点画分等のパーム分別油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、アマニ油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂の極度硬化油と、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パーム中融点画分等のパーム分別油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂をエステル交換したエステル交換油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂を挙げることができ、さらに、(1)〜(4)の油脂を分別した分別油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂も挙げることができる。尚、上記のエステル交換は、酵素又は化学触媒により行なうことができ、位置特異性のあるエステル交換でもランダムエステル交換のいずれでもよい。
本発明の製造方法では、上記油脂Aとして、上記の(1)〜(4)の油脂、(1)〜(4)の油脂を分別した分別油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂を用いることができる。上記油脂Aとして、パームスーパーオレインのランダムエステル交換油を用いることが好ましい。
本発明の製造方法では、乳脂含有水中油型乳化物中の上記油脂Aの含有量は、油相中、好ましくは0.1〜70質量%、さらに好ましくは2〜75質量%、最も好ましくは3〜60質量%である。油相中の上記油脂Aの含有量が0.1質量%よりも少ないと、乳脂含有水中油型乳化物が経日的に増粘しやすく、70質量%よりも多いと、乳脂含有水中油型乳化物をホイップしたクリームが腰のないクリームとなりやすい。
本発明の製造方法では、構成脂肪酸組成においてC6〜C14の飽和脂肪酸を50質量%以上、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上含む油脂Bを用いる。油脂Bの構成脂肪酸組成において、C6〜C14の飽和脂肪酸は多いほど好ましい。
本発明の製造方法において油脂Bを用いないと、乳脂含有水中油型乳化物をホイップしたクリームが軟化するモドリ現象を起こしやすくなる。
上記油脂Bの構成脂肪酸組成においてC6〜C14の飽和脂肪酸の含有量が50質量%よりも少ないと、乳脂含有水中油型乳化物をホイップしたクリームのモドリ現象を抑制する効果が得られない。
上記油脂Bは、構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸の含有量が好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下、最も好ましくは25質量%以下である。上記油脂Bの構成脂肪酸組成において、C16〜C18の飽和脂肪酸は、少ないほど好ましい。
上記油脂Bとしては、例えば、(5)パーム核油、ヤシ油、パーム核軟部油、パーム核硬部油等の分別油、ヤシ軟部油、ヤシ硬部油等の分別油、パーム核油の極度硬化油、ヤシ油の極度硬化油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂、(6)パーム核油、ヤシ油、パーム核軟部油、パーム核硬部油等の分別油、ヤシ軟部油、ヤシ硬部油等の分別油、パーム核油の極度硬化油、ヤシ油の極度硬化油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂をエステル交換したエステル交換油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂、(7)パーム核油、ヤシ油、パーム核軟部油、パーム核硬部油等の分別油、ヤシ軟部油、ヤシ硬部油等の分別油、パーム核油の極度硬化油、ヤシ油の極度硬化油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂と、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、アマニ油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂をエステル交換したエステル交換油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂を挙げることができ、さらに、(5)〜(7)の油脂を分別した分別油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂も挙げることができる。尚、上記のエステル交換は、酵素又は化学触媒により行なうことができ、位置特異性のあるエステル交換でもランダムエステル交換のいずれでもよい。
本発明の製造方法では、上記油脂Bとして、上記の(5)〜(7)の油脂、(5)〜(7)の油脂を分別した分別油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂を用いることができる。上記油脂(B)としては、パーム核硬部油、及びパーム核油とパーム極度硬化油とのランダムエステル交換油のいずれかを用いるか、両者を併用することが好ましく、さらに好ましくはパーム核硬部油を用いる。
本発明の製造方法において、上記油脂Bの含有量は、油相中、好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは14〜80質量%、最も好ましくは18〜70質量%である。油相中の上記油脂Bの含有量が10質量%よりも少ないと、乳脂含有水中油型乳化物をホイップしたクリームの耐熱性が弱くなりやすく、90質量%よりも多いと、乳脂含有水中油型乳化物をホイップしたクリームがボソつき、造花性を損ないやすい。
本発明の製造方法では乳脂を用いる。本発明において用いる乳脂の起源はいかなるものでもよい。本発明において乳脂を用いないと乳風味が乏しくなる。
本発明の製造方法では、上記乳脂の含有量は、油相中、好ましくは10〜86質量%、さらに好ましくは15〜65質量%、最も好ましくは20〜60質量%である。油相中の乳脂の含有量が10質量%よりも少ないと、ホイップしたクリームの乳風味が感じにくくなり、86質量%よりも多いと、結晶量の不足によりホイップしにくくなったり、ホイップ終点が狭くなったり、ホイップしたクリームの艶が失われたりすることがある。
本発明の製造方法では、さらに、構成脂肪酸組成においてC18〜C20の不飽和脂肪酸の含有量が70〜100質量%である油脂Cを用いてもよい。本発明の製造方法において油脂Cを用いると、乳脂含有水中油型乳化物をホイップしたクリームの安定性をさらに向上させ、乳化物の増粘現象を一層抑制することができる。
上記油脂Cは、構成脂肪酸組成において、C18〜C20の不飽和脂肪酸をさらに好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上含有することが望ましい。
上記油脂Cとしては、例えば、(8)大豆油、菜種油、米油、綿実油、とうもろこし油、サフラワー油、ひまわり油、落花生油、ゴマ油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂、(9)大豆油、菜種油、米油、綿実油、とうもろこし油、サフラワー油、ひまわり油、落花生油、ゴマ油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂をエステル交換したエステル交換油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂、(10)パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パーム中融点画分等のパーム分別油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、アマニ油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂の極度硬化油と、大豆油、菜種油、米油、綿実油、とうもろこし油、サフラワー油、ひまわり油、落花生油、ゴマ油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂をエステル交換油したエステル交換油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂、(11)大豆油、菜種油、米油、綿実油、とうもろこし油、サフラワー油、ひまわり油、落花生油、ゴマ油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂と、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パーム中融点画分等のパーム分別油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂をエステル交換したエステル交換油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂を挙げることができ、さらに、(8)〜(11)の油脂を分別した分別油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂も挙げることができる。尚、上記のエステル交換は、酵素又は化学触媒により行なうことができ、位置特異性のあるエステル交換でもランダムエステル交換のいずれでもよい。
本発明の製造方法では、上記油脂Cとして、上記の(8)〜(11)の油脂、(8)〜(11)の油脂を分別した分別油の中から選ばれた1種又は2種以上の油脂を用いることができる。上記油脂(C)としては、大豆油及び/又は菜種油を用いることが好ましい。
本発明の製造方法において、上記油脂Cの含有量は、油相中、好ましくは1〜40質量%、さらに好ましくは3〜30質量%、最も好ましくは5〜20質量%である。
本発明の製造方法において、乳脂含有水中油型乳化物中の油脂の合計含有量は、好ましくは20〜50質量%、さらに好ましくは30〜48質量%、最も好ましくは35〜45質量%である。
本発明の製造方法では、トランス型脂肪酸を含有する部分硬化油を用いないのが好ましい。本発明の製造方法において、トランス型脂肪酸の含有量は、油相中、好ましくは0〜5質量%、さらに好ましくは0〜4質量%、最も好ましくは0〜2質量%である。
本発明の製造方法では、油相中の構成脂肪酸組成において、C16〜18の飽和脂肪酸とC6〜14の飽和脂肪酸との質量比率(前者:後者)は40〜60:60〜40、好ましくは42〜58:58〜42、最も好ましくは44〜56:56〜44である。
本発明の製造方法では、油相中の構成脂肪酸組成において、C16〜18の飽和脂肪酸とC6〜14の飽和脂肪酸の質量比率が40〜60:60〜40の範囲を外れ、C16〜18の飽和脂肪酸の割合が多くなるとホイップしたクリームが軟化するモドリ現象が起こりやすくなり、C6〜14の飽和脂肪酸の割合が多くなるとホイップしたクリームが硬化するシマリ現象が起こりやすくなる。
本発明の製造方法では、油相中の構成脂肪酸組成において、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との質量比率(前者:後者)は、好ましくは50〜90:50〜10、さらに好ましくは55〜80:45〜20、最も好ましくは60〜75:40〜25であることが望ましい。
本発明の製造方法では、油相中の構成脂肪酸組成において、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との質量比率が50〜90:50〜10の範囲を外れ、飽和脂肪酸の割合が大きくなると、乳脂含有水中油型乳化物が増粘しやすく、不飽和脂肪酸の割合が多くなると、乳脂含有水中油型乳化物をホイップする際のホイップタイムが長くなりやすい。
本発明の製造方法では、油相中の乳脂以外の油脂に由来するSUS型トリグリセリドの含有量は10質量%未満、好ましくは8質量%未満、さらに好ましくは7質量%未満、最も好ましくは5質量%未満である。
本発明の製造方法において、油相中の乳脂以外のSUS型トリグリセリドの含有量が10質量%以上であると、乳脂含有水中油型乳化物をホイップしたクリームのモドリ現象が起こりやすくなるため好ましくない。
尚、乳脂のSUS型トリグリセリドの含有量については、現段階では正確な定量が困難であるため、ここでは、乳脂以外の油脂に由来するSUS型トリグリセリドの含有量とした。
本発明の製造方法では、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料(以下、単に乳原料という)を用いてもよい。本発明の製造方法においては、該乳原料を用いることにより、生クリームのようなみずみずしい食感を強く乳脂含有水中油型乳化物に付与することができる。
上記の乳原料の乳固形分(乳由来の固形分)中のリン脂質の含有量は、好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、最も好ましくは5〜40質量%である。
本発明の製造方法では、乳脂含有水中油型乳化物中に上記の乳原料を好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、最も好ましくは5〜40質量%となるように含有させる。
また、上記の乳原料は、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳から製造されたものであるのが好ましく、特に牛乳から製造されたものであるのが好ましい。
上記の乳原料としては、乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料であればどのようなものでも構わないが、具体的な例として、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分が挙げられる。
上記のクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。
先ず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いることができる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。
先ず、バターを溶解機で溶解し、熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いることができる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
本発明の製造方法では、上記の乳原料をさらに濃縮したもの、乾燥したもの、冷凍処理をしたもの等を用いることも可能である。溶剤を用いて濃縮したものは、風味上の問題から用いないのが好ましい。
また、本発明の製造方法で用いる上記の乳原料は、均質化処理を行っても良い。均質化処理は1回でも良く、2回以上行っても良い。該均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミル等が挙げられる。均質化圧力は特に制限はないが、好ましくは0〜100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行っても良い。
さらに、本発明の製造方法で用いることができる上記の乳原料は、UHT加熱処理を行っても良い。UHT加熱処理の条件としては、特に制限はないが、温度条件は好ましくは120〜150℃であり、処理時間は好ましくは1〜6秒である。
また、本発明の製造方法では、上記の乳原料中のリン脂質の一部又は全部がリゾ化されたリゾ化物を用いることもできる。該リゾ化物は、上記の乳原料をそのままリゾ化したものであっても良く、また上記の乳原料を濃縮した後にリゾ化したものであっても良い。また、得られたリゾ化物に、さらに濃縮あるいは噴霧乾燥処理等を施しても良い。これらのリゾ化物は本発明におけるリン脂質の含有量に含めるものとする。
上記の乳原料中のリン脂質をリゾ化するには、ホスホリパーゼAで処理すれば良い。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
本発明の製造方法で用いる上記の乳原料における乳固形分中のリン脂質は、例えば以下のような方法にて定量することができる。但し、抽出方法等については乳原料の形態等によって適正な方法が異なるため、以下の定量方法に限定されるものではない。
先ず、乳原料の脂質をFolch法を用いて抽出する。図1にFolch法のフローを示す。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から、以下の計算式を用いて、乳原料の乳固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳原料−乳原料の水分(g))〕×25.4×(0.1/1000)
また、本発明の製造方法で用いる上記の乳原料は、乳原料に乳酸菌を接種して乳酸発酵物としても良く、乳原料に必要により水や乳糖等の資化性糖を添加し、乳酸菌を接種して乳酸発酵物としても良い。この場合、乳酸菌を接種し乳酸発酵物とした乳原料を殺菌した後、本発明に用いる原料としても良く、殺菌をせずに本発明に用いる原料としても良い。
本発明の製造方法において、乳脂含有水中油型乳化物中の水の含有量は好ましくは40〜80質量%、さらに好ましくは45〜75質量%、最も好ましくは50〜70質量%である。尚、ここでいう水とは、水道水や天然水のほか、牛乳、液糖等の水分も含めたものである。
本発明の製造方法では、必要により、乳化剤、安定剤、上記の乳原料以外の蛋白質、糖類、乳清ミネラル、穀類、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、食塩、岩塩、海塩、卵製品、果汁、ジャム、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品等の呈味成分、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、グリシン、しらこたん白抽出物、ポリリジン、エタノール等の保存料、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、酸化防止剤、pH調整剤等を配合してもよい。
上記乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。これらの乳化剤は単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の製造方法において上記乳化剤の含有量は、好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、最も好ましくは0.6質量%以下である。
上記安定剤としては、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭酸塩等)、グァーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチン、カードラン、澱粉、化工澱粉、結晶セルロース、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストラン等の安定剤が挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。但し、カルシウム封鎖剤は用いないほうが好ましい。尚、ここでいうカルシウム封鎖剤としては、例えば、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭酸塩等)等が挙げられる。
本発明の製造方法において上記安定剤の含有量は、好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、最も好ましくは0.05質量%以下である。
上記乳原料以外の蛋白質としては、特に限定されないが、例えば、ホエイ蛋白質、カゼイン蛋白質、その他の乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦蛋白質、その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質が挙げられる。これらの蛋白質は、目的に応じて一種ないし二種以上の蛋白質として、あるいは一種ないし二種以上の蛋白質を含有する食品素材の形で添加してもよい。
本発明の製造方法では、上記の蛋白質として乳蛋白質を用いるのが好ましい。
上記の乳蛋白質としては、ホエイ蛋白質のみ、カゼイン蛋白質のみ、カゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との併用のいずれでもよいが、ホエイ蛋白質とカゼイン蛋白質とを併用するのが好ましい。
上記カゼイン蛋白質としては、αs1−カゼイン、αs2−カゼイン、β−カゼイン、γ−カゼイン、κ−カゼインの各単体や、これらの混合物、若しくはこれらを含有する食品素材であるアルカリカゼイン(カゼイネート)、酸カゼイン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記ホエイ蛋白質としては、ラクトアルブミン、βラクトグロブリン、血清アルブミン、免疫グロブリン、プロテオースペプトンの各単体や、これらの混合物、若しくはこれらを含有する食品素材として、乳清蛋白質、ホエイ、ホエイパウダー、脱乳糖ホエイ、脱乳糖ホエイパウダー、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC及び/又はWPI)等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記カゼイン蛋白質及び上記ホエイ蛋白質の両方を含有する食品素材として、例えば、生乳、牛乳、加糖練乳、加糖脱脂れん乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、バターミルク、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン(TMP)、脱脂粉乳、全粉乳、ミルクプロテインコンセントレート(MPC)、クリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料、サワークリ―ム、醗酵乳等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の製造方法において、乳脂含有水中油型乳化物中の上記蛋白質の含有量は、好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは2〜8質量%、最も好ましくは2〜6質量%である。
上記糖類としては、特に限定されないが、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム等の糖類が挙げられる。これらの糖類は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の製造方法において上記糖類の含有量は、好ましくは固形分として1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、最も好ましくは5〜40質量%である。
本発明の製造方法により得られた乳脂含有水中油型乳化物は、起泡性水中油型乳化物として、これをホイップしたクリームとして好適に用いられる他、洋菓子用素材、コーヒーホワイトナー、アイスクリーム、及びパン練り込み等の用途に用いることができる。本発明の乳脂含有水中油型乳化物と生クリームとを混合しブレンド物として使用することも可能である。また、本発明の製造方法により得られた乳脂含有水中油型乳化物をホイップし、ホイップ済みクリームとして、冷蔵、冷凍、常温の保管流通条件で用いることもできる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等により限定されるものではない。
(実施例1)
構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を37.7質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を1.4質量%含有するパームスーパーオレインのランダムエステル交換油を2.3質量%、構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を37.7質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を1.4質量%含有するパームスーパーオレイン2.3質量%、構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を10.3質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を82.4質量%含有するパーム核硬部油10.5質量%、バター由来の乳脂20質量%、キサンタンガム0.01質量%、グァーガム0.03質量%、脱脂粉乳6質量%、トータルミルクプロテイン(TMP)1質量%、モノグリセリド0.04質量%、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル0.1質量%、レシチン0.15質量%、及びソルビタン脂肪酸エステル0.15質量%を混合し、油相とした。この油相のC16〜18の飽和脂肪酸とC6〜14の飽和脂肪酸の質量比率は47.1:52.9で、トランス型脂肪酸の含有量は2.2質量%であった。また、油相の乳脂以外の油脂由来のSUS型トリグリセリドの含有量は2.3質量%であった。一方、水57.32質量%とショ糖脂肪酸エステル0.1質量部を混合し、水相とした。
上記水相と上記油相を混合し、乳化し、予備乳化物を調製した。
予備乳化後30MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度30MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明に係る乳脂含有水中油型乳化物を得た。
得られた乳脂含有水中油型乳化物を20℃で1時間調温した後、回転速度160min-1で10分間振盪による衝撃を与えたが増粘しなかった。また、得られた乳脂含有水中油型乳化物を、5、15℃の温度で1時間調温した後、ホイッパーをつけたホバートミキサーを用い、低速にて1分間攪拌してホイップしたところ、ホイップしたクリームが軟化してしまうモドリや、ホイップしたクリームが硬化してしまうシマリ現象はみられなかった。
(実施例2)
構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を37.7質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を1.4質量%含有するパームスーパーオレインのランダムエステル交換油8.7質量%、構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を37.7質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を1.4質量%含有するパームスーパーオレイン7.5質量%、構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を10.3質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を82.4質量%含有するパーム核硬部油8.7質量%、バター由来の乳脂10質量%、キサンタンガム0.01質量%、グァーガム0.03質量%、脱脂粉乳6質量%、トータルミルクプロテイン(TMP)1質量%、モノグリセリド0.04質量%、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル0.1質量%、レシチン0.15質量%、及びソルビタン脂肪酸エステル0.15質量%を混合し、油相とした。この油相のC16〜18の飽和脂肪酸とC6〜14の飽和脂肪酸の質量比率は54.3:45.7で、トランス型脂肪酸の含有量は1.5質量%であった。また、油相の乳脂以外の油脂由来のSUS型トリグリセリドの含有量は7.9質量%であった。一方、水57.52質量%とショ糖脂肪酸エステル0.1質量部を混合し、水相とした。
上記の油相と水相を用いたほかは実施例1と同様の製法にて本発明に係る乳脂含有水中油型乳化物を得た。
得られた乳脂含有水中油型乳化物を20℃で1時間調温した後、回転速度160min-1で10分間振盪による衝撃を与えたが増粘しなかった。また、得られた乳脂含有水中油型乳化物を、5、15℃の温度で1時間調温した後、ホイッパーをつけたホバートミキサーを用い、低速にて1分間攪拌してホイップしたところ、ホイップしたクリームが軟化してしまうモドリや、ホイップしたクリームが硬化してしまうシマリ現象はみられなかった。
(実施例3)
構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を37.7質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を1.4質量%含有するパームスーパーオレイン3.8質量%、構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を32.7質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を50.6質量%含有するパーム極度硬化油とパーム核油のランダムエステル交換油11.4質量%、構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を10.3質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を82.4質量%含有するパーム核硬部油3.8質量%、バター由来の乳脂16質量、キサンタンガム0.01質量%、グァーガム0.03質量%、脱脂粉乳6質量%、トータルミルクプロテイン(TMP)1質量%、モノグリセリド0.04質量%、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル0.1質量%、レシチン0.15質量%、及びソルビタン脂肪酸エステル0.15質量%を混合し、油相とした。この油相のC16〜18の飽和脂肪酸とC6〜14の飽和脂肪酸の質量比率は50.3:49.7で、トランス型脂肪酸の含有量は2.2質量%であった。また、油相の乳脂以外の油脂由来のSUS型トリグリセリドの含有量は3質量%であった。
一方、水54.72質量%に、乳糖2質量%、ショ糖脂肪酸エステル0.1質量%及びクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(乳固形分38重量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8重量%)0.7質量%を混合し、水相とした。
上記の油相と水相を用いたほかは実施例1と同様の製法にて本発明に係る乳脂含有水中油型乳化物を得た。
得られた乳脂含有水中油型乳化物を20℃で1時間調温した後、回転速度160min-1で10分間振盪による衝撃を与えたが増粘しなかった。また、得られた乳脂含有水中油型乳化物を、5、15℃の温度で1時間調温した後、ホイッパーをつけたホバートミキサーを用い、低速にて1分間攪拌してホイップしたところ、ホイップしたクリームが軟化してしまうモドリや、ホイップしたクリームが硬化してしまうシマリ現象はみられなかった。
(実施例4)
構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を37.7質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を1.4質量%含有するパームスーパーオレインのランダムエステル交換油6.4質量%、構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を10.3質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を82.4質量%含有するパーム核硬部油9.8質量%、構成脂肪酸組成においてC18〜C20の不飽和脂肪酸を84.7質量%含む大豆油を2.8質量%、バター由来の乳脂16質量%、キサンタンガム0.01質量%、グァーガム0.03質量%、脱脂粉乳6質量%、トータルミルクプロテイン(TMP)1質量%、モノグリセリド0.04質量%、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル0.1質量%、レシチン0.15質量%、及びソルビタン脂肪酸エステル0.15重量%を混合し、油相とした。この油相のC16〜18の飽和脂肪酸とC6〜14の飽和脂肪酸の質量比率は48.3:51.7で、トランス型脂肪酸の含有量は2.2質量%であった。また、油相の植物油脂由来のSUS型トリグリセリドの含有量は1.5質量%であった。一方、水57.42質量%とショ糖脂肪酸エステル0.1質量部を混合し、水相とした。
上記の油相と水相を用いたほかは実施例1と同様の製法にて本発明に係る乳脂含有水中油型乳化物を得た。
得られた乳脂含有水中油型乳化物を20℃で1時間調温した後、回転速度160min-1で10分間振盪による衝撃を与えたが増粘しなかった。また、得られた乳脂含有水中油型乳化物を、5、15℃の温度で1時間調温した後、ホイッパーをつけたホバートミキサーを用い、低速にて1分間攪拌してホイップしたところ、ホイップしたクリームが軟化してしまうモドリや、ホイップしたクリームが硬化してしまうシマリ現象はみられなかった。
(比較例1)
構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を37.7質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を1.4質量%含有するパームスーパーオレイン2質量%、構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を10.3質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を82.4質量%含有するパーム核硬部油17質量%、バター由来の乳脂16質量%、キサンタンガム0.01質量%、グァーガム0.03質量%、脱脂粉乳6質量%、トータルミルクプロテイン(TMP)1質量%、モノグリセリド0.04質量%、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル0.1質量%、レシチン0.15質量%、及びソルビタン脂肪酸エステル0.15質量%を混合し、油相とした。この油相のC16〜18の飽和脂肪酸とC6〜14の飽和脂肪酸の質量比率は35.4:64.6で、トランス型脂肪酸の含有量は1.8質量%であった。また、油相の乳脂以外の油脂由来のSUS型トリグリセリドの含有量は1.6質量%であった。一方、水57.42質量%とショ糖脂肪酸エステル0.1質量部を混合し、水相とした。
上記の油相と水相を用いたほかは実施例1と同様の製法にて乳脂含有水中油型乳化物を得た。
得られた乳脂含有水中油型乳化物を20℃で1時間調温した後、回転速度160min-1で10分間振盪による衝撃を与えたが増粘しなかった。しかし、得られた乳脂含有水中油型乳化物を、5、15℃の温度で1時間調温した後、ホイッパーをつけたホバートミキサーを用い、低速にて1分間攪拌してホイップしたところ、ホイップしたクリームが硬化してしまうシマリ現象が見られ、ホイップしたクリームにボソツキ、ひび割れがみられた。
(比較例2)
構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を37.7質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を1.4質量%含有するパームスーパーオレインのランダムエステル交換油10.5質量%、構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を37.7質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を1.4質量%含有するパームスーパーオレイン3.8質量%、構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸を10.3質量%、C6〜C14の飽和脂肪酸を82.4質量%含有するパーム核硬部油4.8質量%、バター由来の乳脂20質量%、キサンタンガム0.01質量%、グァーガム0.03質量%、脱脂粉乳6質量%、トータルミルクプロテイン(TMP)1質量%、モノグリセリド0.04質量%、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル0.1質量%、レシチン0.15質量%、及びソルビタン脂肪酸エステル0.15質量%を混合し、油相とした。この油相のC16〜18の飽和脂肪酸とC6〜14の飽和脂肪酸の質量比率は63.1:36.9で、トランス型脂肪酸の含有量は2.2質量%であった。また、油相の乳脂以外の油脂由来のSUS型トリグリセリドの含有量は4.8質量%であった。一方、水53.32質量%とショ糖脂肪酸エステル0.1質量部を混合し、水相とした。
上記の油相と水相を用いたほかは実施例1と同様の製法にて乳脂含有水中油型乳化物を得た。
得られた乳脂含有水中油型乳化物を20℃で1時間調温した後、回転速度160min-1で10分間振盪による衝撃を与えたところ、3分で増粘してしまった。また、得られた乳脂含有水中油型乳化物を、5、15℃の温度で1時間調温した後、ホイッパーをつけたホバートミキサーを用い、低速にて1分間攪拌してホイップしたところ、ホイップしたクリームが軟化してしまうモドリ現象が見られ、ホイップしたクリームがダレてしまった。
図1は、乳原料中のリン脂質の定量において乳原料から脂質を抽出するためのFolch法のフローである。

Claims (4)

  1. 構成脂肪酸組成においてC16〜C18の飽和脂肪酸の含有量が30〜80質量%で且つC6〜C14の飽和脂肪酸の含有量が10質量%以下である油脂A、構成脂肪酸組成においてC6〜C14の飽和脂肪酸の含有量が50質量%以上である油脂B、及び乳脂を混合して、構成脂肪酸組成において、C16〜C18の飽和脂肪酸とC6〜C14の飽和脂肪酸との質量比率が40〜60:60〜40であり、且つトランス型脂肪酸が5質量%未満である油相を調製し、該油相と水相とを乳化する乳脂含有水中油型乳化物の製造方法。
  2. 上記油相中、上記油脂Aの含有量が0.1〜70質量%、上記油脂Bの含有量が10〜90質量%、上記乳脂の含有量が10〜86質量%である請求項1記載の乳脂含有水中油型乳化物の製造方法。
  3. 上記油相の調製の際に、さらに、構成脂肪酸組成においてC18〜C20の不飽和脂肪酸の含有量が70〜100質量%である油脂Cを混合する請求項1又は2記載の乳脂含有水中油型乳化物の製造方法。
  4. 部分硬化油を使用しない請求項1〜3のいずれかに記載の乳脂含有水中油型乳化物の製造方法。
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