JP5859282B2 - 製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物 - Google Patents
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Description
(1)オリゴ糖及びデキストリン
(2)グリセリンモノ脂肪酸エステル及びリン脂質
(3)ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル
上記水相中における上記オリゴ糖と上記デキストリンとの質量比が、50:50〜99:1であり、
上記水相と油相との質量比率(前者:後者)が20:80〜80:20であり、上記水相中において、水相量基準で、上記(1)成分の含有量が10〜50質量%であり、上記(2)成分の含有量が水相量基準で10〜20質量%である製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を提供するものである。
また本発明は、下記の(3)成分を含有し、且つ水相中に下記の(1)及び(2)成分を含有することを特徴とする製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物であって、
(1)オリゴ糖及びデキストリン
(2)グリセリンモノ脂肪酸エステル及び/又はリン脂質
(3)ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル
上記水相中における上記オリゴ糖と上記デキストリンとの質量比が、50:50〜99:1であり、
上記水相と油相との質量比率(前者:後者)が20:80〜80:20であり、上記水相中において、水相量基準で、上記(1)成分の含有量が3〜30質量%であり、上記(2)成分の含有量が以下のとおりであり、(3)成分の含有量が組成物基準で0.5〜5質量%である製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を提供するものである。
(2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルのみ使用の場合、水相量基準で1〜10質量%
(2)成分としてリン脂質のみ使用の場合、水相量基準で0.1〜2質量%
(2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルとリン脂質を併用する場合、水相量基準で1.1〜12質量%
さらに、本発明は、上記パン生地を成形した後、加熱処理してなるパンを提供するものである。
本発明の製パン練り込み用乳化油脂組成物は、水相中に下記の(1)及び(2)成分を含有する。
(1)オリゴ糖及び/又はデキストリン
(2)グリセリンモノ脂肪酸エステル及び/又はリン脂質
水相中に、上記2成分のどちらかが欠けた製パン練り込み用乳化油脂組成物では、本発明の効果は得られない。
本発明で使用するオリゴ糖及び/又はデキストリンとしては、単糖が2個以上結合し、且つ、澱粉ではない水溶性の糖であれば問題なく使用することができるが、好ましくは重量平均分子量300〜1000000、より好ましくは330〜100000のものを使用する。
本発明で使用することのできるオリゴ糖としては、結合数2〜20のものであれば問題なく使用可能である。
また、上記オリゴ糖は、しとり感が特に良好なパンが得られる点で、結合数3の糖類(以下三糖類ということがある)の割合が10〜90質量%のオリゴ糖であることが好ましく、30〜60質量%のオリゴ糖であることがより好ましく、40〜50質量%のオリゴ糖であることが更に好ましい。
また、上記オリゴ糖としては、スクロース、 ラクトース 、マルトース、トレハロース、ツラノース、セロビオース、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、直鎖オリゴ糖、分岐オリゴ糖、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ビートオリゴ糖、寒天オリゴ糖(アガロオリゴ糖)、シアリルオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、カップリングシュガー、ニゲロオリゴ糖、パノースオリゴ糖、セロオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、レバンオリゴ糖、マンノオリゴ糖、環状オリゴ糖(シクロデキストリン)、還元澱粉糖、直鎖オリゴ糖アルコール、分岐オリゴ糖アルコール、ガラクトシルラクトース等を挙げることができ、これらのなかの1種又は2種以上を使用することができるが、なかでも、マルトオリゴ糖、ラフィノース、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖及び大豆オリゴ糖のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましく、マルトオリゴ糖を使用することが特に好ましい。
即ち、本発明では、上記結合数のマルトオリゴ糖を使用することが最も好ましい。
本発明で使用することのできるデキストリンとしては、澱粉を酵素処理、熱処理、アルカリ処理、酸処理等の方法で低分子化したものであって、水溶性であれば特に制限なく使用することができ、その重量平均分子量が3600〜1000000のものを使用することが好ましく、より好ましくは重量平均分子量5000〜50000のデキストリンを使用する。また、上記デキストリンは、DEが2〜10のものであることが好ましく、4〜8のものであることがより好ましい。なお、上記DEはウィルシュテッター・シューデル法による数値を使用する。
デキストリンは、製パン改良効果は高いものの、溶解度がオリゴ糖に比べて低いため、デキストリンのみを使用した場合には、水相に多くを含有させることができない。しかし、オリゴ糖と併用することで、デキストリンの溶解性が改善され、デキストリンの配合量を増やすことができ、さらには、得られるパンが、ソフトでありながらしとり感があり、さらにねちゃつきの少ない歯切れが良好なものとなる。
また、デキストリンは、焼成直後の製パン改良効果は高いものの、パン生地中に分散した場合、パンの配合や種類によっては老化を促進する場合がある。ここでオリゴ糖を併用することで、老化の促進を抑制することもできる。
なお、「オリゴ糖」として市販されているものであっても不純物として単糖や多糖を含有するものがある。また、「デキストリン」として市販されているものは一般的に単糖やオリゴ糖成分を含有する。本発明において、オリゴ糖の含有量、デキストリンの含有量、及び、オリゴ糖とデキストリンの比を計算する場合は、それらの含量を考慮に入れて、純分で算出する。すなわち、市販の「オリゴ糖」を使用する場合は、不純物として含まれる単糖の含量を除外し、結合数20超の糖はデキストリン含量に含めて算出するものとする。一方、市販の「デキストリン」を使用する場合も、不純物として含まれる単糖の含量を除外し、結合数2〜20の糖類はオリゴ糖含量に含めて算出するものとする。また、下に述べるオリゴ糖中の三糖類の含有量についても、オリゴ糖含量と三糖類の純分を使用して算出する。
なお、上記オリゴ糖は、しとり感が特に良好なパンが得られる点で、三糖類の含量が10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜60質量%、さらに好ましくは40〜50質量%であることが好ましい。
ここで、まず、(2)成分のうち、グリセリンモノ脂肪酸エステルについて述べる。
本発明で使用するグリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、公知のグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用することができる。グリセリンモノ脂肪酸エステルの脂肪酸に特に制限はなく、飽和酸でも不飽和酸でも問題なく使用可能であり、脂肪酸の鎖長についても制限はないが、好ましくは4〜26、より好ましくは12〜22、さらに好ましくは14〜18である。
尚、グリセリンモノ脂肪酸エステルの製パン練り込み用乳化油脂組成物中の含有量は、油相中に含有させたグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量も含め、好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは3〜20質量%である。この範囲でグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有させると、ソフトなパンをより確実に得ることができる。
本発明で使用するリン脂質は、特に限定されるものではなく、食品に使用できるリン脂質であればどのようなリン脂質でも構わない。上記リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸等のジアシルグリセロリン脂質を使用することができ、更に、これらのリン脂質に対し、ホスホリパーゼ等の酵素により酵素処理を行い、乳化力を向上させたリゾリン脂質や、リン脂質及び/又はリゾリン脂質を含有する食品素材を使用することもできる。本発明では、リン脂質としてこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
また、上記のリン脂質を含有する食品素材は、液体状でも、粉末状でも、濃縮物でも構わない。但し、溶剤を用いて乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上となるように濃縮した食品素材は、風味上の問題から、本発明においては用いないのが好ましい。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳由来のリン脂質を含有する食品素材−乳由来のリン脂質を含有する食品素材の水分(g))〕×25.4×(0.1/1000)
但し、乳由来のリン脂質は、高温加熱すると、その機能が低下するため、加温処理や濃縮処理中、あるいは殺菌等により加熱する際は、100℃未満であることが好ましく、60℃未満であることが更に好ましい。
また、グリセリン脂肪酸エステルは、焼成直後の製パン改良効果は高いものの、その風味が問題になりやすい。ここで、リン脂質を併用することで、グリセリン脂肪酸エステルの使用量を抑制しながら、更にその風味を抑制することもできる。
また、本発明の製パン練り込み用乳化油脂組成物において、上記(2)成分として、グリセリンモノ脂肪酸エステルとリン脂質を併用する場合であって下に述べる(3)成分を含有しない場合、その合計した含有量は、水相中に、水相量基準で好ましくは5〜20質量%、より好ましくは10〜20質量%、更に好ましくは10〜15質量%である。
本発明の製パン練り込み用乳化油脂組成物では、上記(1)(2)成分に加え、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを組成物基準で0.5〜5質量%、好ましくは1〜3質量%含有することが、上記(1)(2)成分の含有量を削減した場合であっても同等の効果が得られる点で好ましい。
本発明で使用するポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、結合脂肪酸数及びグリセリンの重合度については特に制限されることなく用いることができる。
尚、上記効果は、(2)成分の含有量が低く(1)成分の含有量が高い場合や、(2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用しないか使用した場合であってもその添加量が少ない場合に、特に有効である。
これは、本発明において(2)成分の含有量が低く(1)成分の含有量が高い場合、特に(1)成分としてデキストリンを使用する場合、その種類や濃度によっては得られるパンが老化しやすくなるが、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを使用して、焼成直前までグルテン近傍に局在化させることにより、これを防止することが可能だからである。
また、同様に、本発明において(2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用する場合、上述のように、水相中に多量に含有させることが好ましく、その場合、水相含量や、パン生地に対する練り込み量によっては、該乳化剤に由来する風味や口溶けの悪さが得られるパンに顕れてしまうおそれがあるが、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを使用することで、(2)成分含量が少なくても効率的にパン生地、更にはパンの品質の改良効果を得ることが可能だからである。
(1)オリゴ糖及び/又はデキストリンの含有量は、固形分として、水相中に、水相量基準で好ましくは3〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%である。
(2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルのみを使用する場合、上記(2)グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は、水相中に、水相量基準で好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは1〜5質量%である。
(2)成分としてリン脂質のみを使用する場合、上記(2)リン脂質の含有量は、水相中に、水相量基準で好ましくは0.1〜2質量%、更に好ましくは0.2〜1質量%である。
また、本発明の製パン練り込み用乳化油脂組成物において、上記(2)成分として、グリセリンモノ脂肪酸エステルとリン脂質を併用する場合、その合計した含有量は、水相中に、水相量基準で好ましくは1.1〜12質量%、より好ましくは1.2〜10質量%、更に好ましくは1.2〜6質量%である。
更に、本発明の製パン練り込み用乳化油脂組成物は、油中水型乳化物であって(3)ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有するものである場合、特に可塑性を有していることが好ましい。これは、上述のようにポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの効果がより高く発揮されるためである。
先ず、油脂に、必要に応じ上記(3)成分並びにその他の成分としての油溶性成分を添加して油相とする。一方、水に、上記(1)及び(2)成分並びに必要に応じその他の成分としての水溶性成分を添加して水相とする。上記(1)及び(2)成分を水に溶解する際は、先ず(1)成分を溶解してから、(2)成分を溶解する、2段階で溶解することが好ましい。これは、先に(2)成分を添加すると、水相の粘度が上昇しすぎて、(1)成分を均質に溶解させることができなくなる可能性があるためである。
次に、上記予備乳化物を冷却し、結晶化させて、本発明の製パン練り込み用乳化油脂組成物を得る。冷却の際には、好ましくは冷却可塑化する。冷却条件は、好ましくは−0.5℃/分以上、更に好ましくは−5℃/分以上とする。この際、徐冷却より、急速冷却の方が好ましい。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組み合わせも挙げられる。
また、本発明の製パン練り込み用乳化油脂組成物を製造する際の何れかの工程で、窒素、空気等を含気させてもよい。
本発明のパン生地は、本発明の製パン練り込み用乳化油脂組成物を使用したパン生地である。本発明のパン生地における製パン練り込み用乳化油脂組成物の使用量は、従来の製パン練り込み用油脂組成物と同様であり、パンの種類によっても異なるが、パン生地に含まれる穀粉類100質量部に対し、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは4〜20質量部である。
本発明のパン生地は、本発明の製パン練り込み用乳化油脂組成物を生地に練り込むことにより、製造することができる。
本発明のパン生地の製造方法としては、中種法、直捏法、液種法、中麺法、湯種法等、従来製パン法として使用されるあらゆる製パン法を採ることができる。尚、本発明のパン生地を中種法で製造する場合は、本発明の製パン練り込み用乳化油脂組成物を中種生地及び/又は本捏生地に練り込むことにより製造することができるが、本捏生地に練り込むことが好ましい。
また、得られた本発明のパン生地は、冷蔵、冷凍保存することが可能である。
本発明のパンは、上記の本発明のパン生地を、適宜、分割、成形し、必要に応じホイロ、リタード、レストをとった後、加熱処理することにより得ることができる。
上記成形は、どのような形状に成形してもよく、型詰めを行っても構わない。成形は、手作業で行っても、連続ラインを用いて全自動で行っても構わない。
上記加熱処理としては、焼成、蒸し、フライ等を挙げることができる。これらのうちの2種以上の加熱処理を併用してもよい。
また、得られた本発明のパンを、冷蔵、冷凍保存したり、該保存後に電子レンジ加熱することも可能である。
<製パン練り込み用乳化油脂組成物の製造>
パームスーパーオレイン(ヨウ素価65)のランダムエステル交換油脂95質量部及びパームステアリン5質量部を均一に混合した混合油脂38質量部に、グリセリンモノパルミチン酸エステル2質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水29.73質量部に、(1)成分としてオリゴ糖(商品名「ピュアトースS」:サンエイ糖化株式会社製)(結合数3の糖の含量:46%)10質量部を、添加、溶解し、ここに(2)成分としてハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステル(商品名「ダイモダンHP85S6」:ダニスコ製)1.67質量部を添加し、十分に分散させた後、更に、(2)成分としてグリセリンモノパルミチン酸エステル5.5質量部を添加し、十分に分散させた。続いて、食塩1質量部及びグルコン酸0.1質量部を添加溶解後、(2)成分としてリゾリン脂質を含有する食品素材12質量部を添加し、十分に分散させ、水相を得た。
尚、上記のリゾリン脂質を含有する食品素材は、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(固形分40質量%、固形分中のリン脂質の含有量5質量%)にホスホリパーゼA2を0.1質量%添加し、50℃で1時間攪拌した後、UHTにて120℃で10秒間加熱殺菌し、掻き取り式熱交換器にて60℃に冷却したものであり、固形分40質量%、固形分中のリン脂質の含有量5質量%であり、リン脂質の95質量%がリゾ化されていた。
上記油相に上記水相を添加し、予備乳化液を製造した後、90℃にて1分間、蒸気を用いて殺菌処理し、次いでコンビネーターを用いて急冷可塑化を行い、油中水型乳化物である本発明の実施例1の製パン練り込み用乳化油脂組成物を得た。
表1に記載の配合に従い、製造方法は実施例1と同様にして、製パン練り込み用乳化油脂組成物2〜24を得た。これらはいずれも油中水型乳化物であった。得られた製パン練り込み用乳化油脂組成物の、各成分の配合量について表1に記載し、水相中の(1)成分含量(質量%)、水相中の(2)成分含量(質量%)、組成物中の(1)成分含量(質量%)、組成物中の(2)成分含量(質量%)、組成物中の(3)成分含量(質量%)、オリゴ糖:デキストリン(質量比)、三糖類/オリゴ糖(質量%)、水相中の、MG:リン脂質(質量比)、組成物中の水分含量(質量%)、組成物中の油分含量(質量%)について、実施例1同様に表2に記載した。
得られた上記製パン練り込み用乳化油脂組成物1〜24を用いて、下記に示す配合及び製法によりプルマン型食パンを製造し、分割・丸目時の生地作業性、得られた食パンの体積、20℃にて2日保管後の風味並びに食感(ソフト性、しとり感及び口溶け)について、下記評価基準に従って4段階で評価し、結果を表3に示した。
強力粉(商品名「カメリア」:日清製粉製、タンパク質含量11.8%及び灰分0.37%)70質量部、生イースト2質量部、イーストフード0.1質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、更に、強力粉(商品名「イーグル」:日本製粉製)30質量部、上白糖5質量部、脱脂粉乳2質量部、食塩1.5質量部及び水25質量部を添加し、低速で3分、中速で3分本捏ミキシングした。ここで、製パン練り込み用乳化油脂組成物8質量部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、食パン生地を得た。得られた食パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。ここで、フロアタイムを20分とった後、230gに分割・丸目を行なった。次いで、ベンチタイムを20分とった後、モルダー成形し、6本をU字にして3斤型プルマン型に入れ、38℃、相対湿度85%で50分ホイロをとった後、200℃に設定した固定窯に入れ40分焼成してプルマン型食パンを得た。
・生地作業性
◎:べとつきもなく伸展性もよく、極めて良好な作業性であった。
○:良好な作業性であった。
△:ややべとつきが感じられるか、又は、やや伸展性が悪く、若干劣る作業性であった。
×:べとつきがあるか、又は、伸展性が悪く、作業性が劣るものであった。
・外観(体積)
◎:体積が大きく、細い均一なホワイトラインを有し、上面の4隅の角もしっかり出たプルマンブレッドであった。
○:体積が大きく、ホワイトラインを有し、上面の4隅の角もしっかり出たプルマンブレッドであった。
△:体積がやや小さく、明瞭なホワイトラインがなく、上面の4隅の角も丸いプルマンブレッドであった。
×:体積が小さいため、上面が平らにならず、曲面であるプルマンブレッドであった。
・風味
◎:極めて良好
○:良好
△:エグ味がありムレ臭がある
×:エグ味がありムレ臭が激しい
◎:極めて良好
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
・食感(しとり感)
◎:極めて良好
○:良好
△:ややぱさついた感じである
×:乾いた食感である
・食感(口溶け)
◎:歯切れが極めて良好
○:歯切れが良好
△:ややねちゃつく
×:ねちゃつきが激しい
(1)オリゴ糖及び/又はデキストリン
(2)グリセリンモノ脂肪酸エステル及び/又はリン脂質
また、実施例1、2、6〜8を比較するとわかるように、(1)成分としてオリゴ糖とデキストリンを併用し、その比が一定範囲内であると、食感(ソフト性、しとり感、口溶け)がより良好なパンが得られることがわかる。
更に、実施例2と実施例9〜12を比較するとわかるように、(2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルとリン脂質を共に一定の範囲の量で併用すると、食感(ソフト性、しとり感、口溶け)がより良好なパンが得られることがわかる。
Claims (6)
- 下記の(3)成分を含有せず、且つ水相中に下記の(1)及び(2)成分を含有することを特徴とする製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物であって、
(1)オリゴ糖及びデキストリン
(2)グリセリンモノ脂肪酸エステル及びリン脂質
(3)ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル
上記水相中における上記オリゴ糖と上記デキストリンとの質量比が、50:50〜99:1であり、
上記水相と油相との質量比率(前者:後者)が20:80〜80:20であり、上記水相中において、水相量基準で、上記(1)成分の含有量が10〜50質量%であり、上記(2)成分の含有量が水相量基準で10〜20質量%である製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物。 - 下記の(3)成分を含有し、且つ水相中に下記の(1)及び(2)成分を含有することを特徴とする製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物であって、
(1)オリゴ糖及びデキストリン
(2)グリセリンモノ脂肪酸エステル及び/又はリン脂質
(3)ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル
上記水相中における上記オリゴ糖と上記デキストリンとの質量比が、50:50〜99:1であり、
上記水相と油相との質量比率(前者:後者)が20:80〜80:20であり、上記水相中において、水相量基準で、上記(1)成分の含有量が3〜30質量%であり、上記(2)成分の含有量が以下のとおりであり、(3)成分の含有量が組成物基準で0.5〜5質量%である製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物。
(2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルのみ使用の場合、水相量基準で1〜10質量%
(2)成分としてリン脂質のみ使用の場合、水相量基準で0.1〜2質量%
(2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルとリン脂質を併用する場合、水相量基準で1.1〜12質量% - 水分含量が10〜65質量%である請求項1又は2記載の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物。
- 上記水相中における上記グリセリン脂肪酸エステルと上記リン脂質との質量比が、80:20〜98:2である、請求項1〜3のいずれか一項に製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製パン練り込み用油中水型乳化油脂組成物を生地に練り込むことを特徴とするパン生地の製造方法。
- 請求項5記載のパン生地の製造方法により得られたパン生地を成形した後、加熱処理することを特徴とするパンの製造方法。
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