JP6721386B2 - 製パン練り込み用水性液 - Google Patents

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本発明は、練り込んだパン生地の生地物性を悪化させることなく食感(ソフト性、もっちり感、歯切れ感、しとり感)が良好なパンを得ることができる製パン練り込み用水性液に関する。
パンに求められる食感としては、ソフト性はもちろんであるが、最近では、もっちり感、歯切れ感やしとり感等も求められている。
ここで、ソフトでしとりのあるパンを得るには、基本的には水分を多く配合すればよい。しかし、水分を多く配合したパン生地は、丸めや成型時にべたついて扱いにくい等、生地物性が悪化してしまうという問題があった。また、得られたパンは、確かにソフトでしっとりとしているが、ねちゃついた食感になってしまうという問題もあった。
一方、歯切れが良好であるパンを得るには、焼成時間を延長する等の方法で水分を減らしたパンにすればよい。しかし、水分含有量の低いパンは当然にしてソフト性やしとり感が絶対的に少なくなってしまう。
また、ソフトでもっちりした食感のパンを得るには、基本的にはあらかじめ使用する澱粉の一部を糊化して添加する湯種法を用いるか、あるいは糊化澱粉や増粘多糖類を添加したパン生地を使用すればよい。しかし、このような方法で得られるパン生地は伸展性の劣る生地になり、丸めや成型時に扱いにくい等、生地物性が悪化してしまうという問題があった。また、得られたパンは、確かにソフトでもっちりとしているが、しとり感に欠ける食感になってしまうという問題もあった。
このようなパンの食感の改良を目的として多くの製パン改良方法が提案されており、例えば、コンパウンド結晶を含有する油脂組成物を使用する方法(例えば特許文献1参照)、直接β型の油脂結晶と特定の乳化剤とを含有する製パン練込油脂を使用する方法(例えば特許文献2参照)、特定の乳清ミネラルを使用する方法(例えば特許文献3参照)、低比重の可塑性油脂組成物を練り込む方法(例えば特許文献4参照)、高度分岐環状デキストリンを使用する方法(例えば特許文献5参照)、特定の分子量のデキストランを使用する方法(例えば特許文献6参照)、特定の乳原料とゲル化剤と水とで構成される複合体を使用する方法(例えば特許文献7参照)、特定の乳原料を含有する懸濁液を使用する方法(例えば特許文献8参照)等が紹介されている。
しかし、油脂結晶を使用する方法は油脂添加量の少ないパンでは効果が低いという問題があり、特定の乳原料を使用した複合体や懸濁液を使用する方法は歯切れの改善効果に比べソフト性やしとり感の改善効果が低いという問題があった。またこれらの方法は、高い効果を得るためにはパン生地への添加量が多くなってしまうという問題もあった。一方、乳清ミネラルや高度分岐環状デキストリンや特定の分子量のデキストランを使用する方法は、少量の添加量で高い効果が得られるが、乳清ミネラルを使用する方法は歯切れの改善効果に比べソフト性の改善効果が低いという問題があり、高度分岐環状デキストリンや特定の分子量のデキストランを使用する方法はしとり感の改善効果が低いという問題があった。
上記の複数の製パン改良効果を示す製パン練り込み用乳化油脂として、水相中にオリゴ糖及び/又はデキストリンを含有し、且つ、特定の乳化剤を特定量配合した乳化油脂組成物(例えば特許文献9参照)や、特定のデキストリンを含有する乳化油脂組成物(例えば特許文献10参照)が提案されている。
しかし、特許文献9記載の乳化油脂組成物は、基本的に乳化剤による効果の割合が高いものであるが、最近では乳化剤を使用しないでこれら文献に記載の油脂組成物を用いたパンと同様の効果を得ることも求められている。
また、特許文献10記載の特定のデキストリンを含有する乳化油脂組成物は、得られたパンは、確かにソフトであるが、しとり感がやや欠ける問題もあった。
また、乳化油脂組成物を使用する方法では、パン生地への練り込み時期が基本的にグルテンが出てからに限定されるため、各改良成分の十分な改良効果が得られない場合もあった。
特開2003−210107号公報 特開2007−267654号公報 特開2009−240261号公報 特開2010−259411号公報 特開2011−087513号公報 特開2015−144592号公報 特開2006−081515号公報 特開2006−204130号公報 特開2012−125236号公報 特開2013−102745号公報
従って、本発明の目的は、練り込んだパン生地の生地物性を悪化させることなく食感(ソフト性、もっちり感、歯切れ感、しとり感)が良好なパンを得ることができる製パン改良用組成物を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく種々検討した結果、特定の3種成分を含有し、油脂及び合成乳化剤を含有しない水性液の形態でパン生地に添加することにより上記問題を解決可能であることを見出した。
本発明は、上記知見により得られたものであり、下記の(1)(2)(3)(4)をすべて満たす製パン練り込み用水性液を提供すものである。
(1)デキストリン及びオリゴ糖を含有する。
(2)乳固形分中のリン脂質の含有量が該乳固形分を基準として2質量%以上である乳原料を含有する。
(3)油脂を実質的に含有しない。
(4)合成乳化剤を含有しない。
また、本発明は、上記製パン練り込み用水性液を使用したパン生地を提供するものである。
さらに、本発明は、上記パン生地を加熱処理してなるパンを提供するものである。
本発明の製パン練り込み用水性液は、食感(ソフト性、もっちり感、歯切れ感、しとり感)が良好なパンを、練り込んだパン生地の生地物性を悪化させることなく安定して得ることができる。
以下、本発明の製パン練り込み用水性液について好ましい実施形態に基づき詳述する。
先ず、本発明で使用するデキストリンについて述べる。
本発明で使用することのできるデキストリンとしては、澱粉を酵素処理、熱処理、アルカリ処理、酸処理等の方法で低分子化したものであり、そのDEは2〜9のものであることが好ましく、4〜8のものであることがより好ましい。尚、上記DEはウィルシュテッター・シューデル法による数値を使用する。
ここで、DEが2より小さいとしとり感の乏しいパンになってしまうことがあることに加え、水相の粘度が高くなりすぎ、水性液の製造が困難となるおそれがある。一方、DEが9より大きいと、性質がオリゴ糖に近似するため、もっちりした食感のパンが得られないおそれがある。
デキストリンは、その質量平均分子量が3600〜1000000のものを使用することが好ましく、より好ましくは質量平均分子量5000〜50000のデキストリンを使用する。ここで、質量平均分子量が1000000を超えるデキストリンであると、しとり感の乏しいパンになってしまう場合があることに加え、水相の粘度が高くなりすぎ、水性液の製造が困難となるおそれがある。一方、質量平均分子量が3600未満であると、性質がオリゴ糖に近似するため、もっちりした食感のパンが得られないおそれがある。
また、上記デキストリンの起源となる澱粉の種類としては、じゃがいも、甘藷、とうもろこし、ワキシーコーン、タピオカ、うるち米、もち米等が挙げられるが、本発明では、ワキシーコーン、タピオカ、もち米のうちの1種又は2種以上の澱粉、特にワキシーコーンの澱粉を使用することが、単位分子量あたりの分岐数が多いデキストリンが得られることから、少量の添加量で得られるパンの改良効果が高いこと、更には、長期保存においてもデキストリンの結晶析出による沈殿や濁りが出ない等、保存性が良好である製パン練り込み用水性液を得られる点において好ましい。
本発明の製パン練り込み用水性液における上記デキストリンの含有量は、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは1〜11質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。上記デキストリンの含有量が1質量%未満では、本発明の効果を得ることができないおそれがある。一方、40質量%超では、得られるパンのもっちり感が強すぎ、しとり感が薄れてしまうことに加え、製パン練り込み用水性液の保管中にデキストリンの結晶析出による沈殿や濁りが発生してしまうおそれがある。
次に、本発明で使用するオリゴ糖について述べる。
本発明においては、オリゴ糖を使用することで、ソフトでしとり感が良好であるパンを得ることができる。
本発明で使用することのできるオリゴ糖としては、結合数2〜20のものであれば問題なく使用可能である。
本発明で使用することのできるオリゴ糖としては、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノース、セロビオース、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、直鎖オリゴ糖、分岐オリゴ糖、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ビートオリゴ糖、寒天オリゴ糖(アガロオリゴ糖)、シアリルオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、カップリングシュガー、ニゲロオリゴ糖、パノースオリゴ糖、セロオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、レバンオリゴ糖、マンノオリゴ糖、環状オリゴ糖(シクロデキストリン)、還元澱粉糖、直鎖オリゴ糖アルコール、分岐オリゴ糖アルコール、ガラクトシルラクトース等を挙げることができ、これらのなかの1種又は2種以上を使用することができるが、なかでも、マルトオリゴ糖、ラフィノース、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖及び大豆オリゴ糖のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましく、マルトオリゴ糖を使用することが特に好ましい。
本発明の製パン練り込み用水性液における上記オリゴ糖の含有量は、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは15〜35質量%である。上記オリゴ糖の含有量が10質量%未満では、本発明の効果を得ることができないおそれがある。一方、40質量%超では、得られるパンがねちゃついた食感になりやすいことに加え、製パン練り込み用水性液の保管中にオリゴ糖の結晶析出による沈殿や濁りが発生してしまうおそれがある。
また、上記オリゴ糖は、しとり感が特に良好なパンが得られる点で、結合数3のオリゴ糖、即ち三糖類の割合が10〜90質量%のオリゴ糖であることが好ましく、より好ましくは、三糖類の割合は30〜60質量%、特に40〜50質量%である。
本発明では、上記デキストリンと上記オリゴ糖を併用する。この理由は、以下の通りである。
デキストリンは、製パン改良効果は高いものの、溶解度がオリゴ糖に比べて低いため、デキストリンのみを使用した場合には、水に多くを含有させることができない。しかし、オリゴ糖と併用することで、デキストリンの溶解性が改善され、デキストリンの配合量を増やすことができ、さらには、得られるパンが、ソフトでありながらしとり感があり、さらにねちゃつきの少ない歯切れが良好なものとなる。
また、デキストリンは、焼成直後の製パン改良効果は高いものの、パン生地中に分散した場合、パンの配合や種類によっては老化を促進する場合がある。ここでオリゴ糖を併用することで、老化の促進を抑制することもできる。
デキストリンとオリゴ糖との好ましい質量比(前者:後者)は、好ましくは1:99〜50:50、より好ましくは4:96〜40:60、さらに好ましくは7:93〜20:80である。デキストリンの含有比が1質量%未満であると、上記併用効果が見られないおそれがある。一方、デキストリンの含有比が50質量%超であると、上記併用効果が見られないことに加え、しとり感が弱いパンになってしまうおそれがある。
尚、「オリゴ糖」として市販されているものであっても不純物として単糖や多糖を含有するものがある。また、「デキストリン」として市販されているものは一般的に単糖やオリゴ糖成分を含有する。本発明において、オリゴ糖の含有量、デキストリンの含有量、及び、デキストリンとオリゴ糖との比を計算する場合は、それらの含有量を考慮に入れて、純分で算出する。即ち、市販の「オリゴ糖」を使用する場合は、不純物として含まれる単糖の含有量を除外し、結合数20超の糖はデキストリン含有量に含めて算出するものとする。一方、市販の「デキストリン」を使用する場合も、不純物として含まれる単糖の含有量を除外し、結合数2〜20の糖類はオリゴ糖含有量に含めて算出するものとする。また、上述のオリゴ糖中の三糖類の含有量についても、オリゴ糖含有量と三糖類の純分を使用して算出する。
本発明の製パン練り込み用水性液における上記デキストリン及びオリゴ糖を合計した含有量は、好ましくは6〜75質量%、より好ましくは11〜51質量%、さらに好ましくは16〜40質量%である。上記デキストリン及びオリゴ糖を合計した含有量が6質量%未満では、本発明の効果、特に、得られるパンのしとり感が不足するおそれがある。一方、75質量%超では、製パン練り込み用水性液の保管中に糖の結晶が析出してしまうおそれがある。
本発明の製パン練り込み用水性液は、乳固形分中のリン脂質の含有量が該乳固形分を基準として2質量%以上である乳原料を含有する。該乳原料を含有することで、ソフト性を維持しながらパンの歯切れ感を向上することができる。該乳原料の乳固形分中のリン脂質の含有量は、好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、最も好ましくは5〜40質量%である。
上記の乳原料は、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳から製造されたものであることが好ましく、特に牛乳から製造されたものであることが好ましい。
上記の乳原料としては、乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料であればどのようなものでも構わないが、具体的な例としてクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分が挙げられる。
上記のクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、バターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
本発明では、上記の乳原料をさらに濃縮したものや乾燥したもの、冷凍処理をしたもの等を用いることも可能である。溶剤を用いて濃縮したものは、風味上の問題から用いないことが好ましい。
本発明で用いる上記の乳原料における乳固形分中のリン脂質の定量方法は、例えば以下のような方法にて測定することができる。但し、抽出方法等については、乳原料の形態等によって適正な方法が異なるため、以下の定量方法に限定されるものではない。
まず、乳原料の脂質をFolch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から以下の計算式を用いて乳原料の乳固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳由来のリン脂質を含有する食品素材−乳由来のリン脂質を含有する食品素材の水分(g))〕×25.4×(0.1/1000)
また、本発明では、上記の乳原料中のリン脂質の一部又は全部がリゾ化されたリゾ化物を使用することもできる。該リゾ化物としては、乳原料をそのままリゾ化したものたや、乳原料を濃縮した後にリゾ化したものが挙げられる。また、得られたリゾ化物に、さらに濃縮あるいは噴霧乾燥処理等を施すこともできる。これらのリゾ化物は、本発明におけるリン脂質の含有量に含めるものとする。
上記の乳原料中のリン脂質をリゾ化するには、ホスホリパーゼAで処理する方法を用いることができる。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
また、本発明では、上記の乳原料は、パンのソフト性をさらに向上させることができる点で、好ましくはpHが3〜6、より好ましくはpH4〜6、さらに好ましくは4.7〜5.8となるように酸処理を行ったものであることが好ましい。
上記酸処理を行うには、酸を添加する方法又は乳酸醗酵等の醗酵処理を行う方法等を採用することができるが、好ましくは酸を添加する。該酸としては、無機酸又は有機酸を用いることができるが、有機酸であることが好ましい。該有機酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、フィチン酸、ソルビン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられ、果汁、濃縮果汁、発酵乳、ヨーグルト等の有機酸を含有する飲食品も用いることができるが、本発明においてはより酸味が少なく、風味に影響しない点でフィチン酸及び/又はグルコン酸を使用することが好ましい。
上記酸の添加によるpHの調整は、上記酸を上記乳原料自体に添加することにより行うことができ、また、上記乳原料とデキストリン等の製パン練り込み用水性液の材料とを混合する際に又は混合した後に上記酸を添加することにより行うこともできる。
また、本発明では、上記の乳原料に、パンのソフト性をさらに向上させることができる点で、リン脂質含有量1質量部あたり、好ましくは0.01〜1質量部、より好ましくは0.02〜0.5質量部、さらに好ましくは0.05〜0.3質量部のカルシウム塩を添加することができる。
上記カルシウム塩としては、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム等が例示され、これらのうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、本発明においては得られる製パン練り込み用水性液の風味が良好である点で、塩化カルシウム及び/又は乳酸カルシウムを使用することが好ましい。
また、本発明で用いる上記の乳原料は、パン生地への分散性を高めることが可能である点及び得られるパンのソフト性向上効果をより高めることができる点で、均質化処理を行なったものであることが好ましい。特に、上記のリゾ化処理、酸処理、カルシウム塩添加を行なう場合は、その効果を高めるために均質化処理を行なうことが好ましい。均質化処理は1回又は2回以上行うことができる。また、粘性が高い場合等は、加水により粘度を調整してから均質化処理を行うこともできる。該均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミル等が挙げられる。均質化圧力は特に制限はないが、好ましくは0〜100MPaである。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行うことができる。
さらに本発明で用いる上記の乳原料には、UHT加熱処理を行うこともできる。UHT加熱処理の条件としては特に制限はないが、処理温度は好ましくは120〜150℃であり、処理時間は好ましくは1〜6秒である。
このようにして得られる本発明で用いる上記の乳原料や乳原料加工品は、液状、ペースト状、粉末状、固形状等の状態のものとすることができ、本発明の製パン練り込み用水性液ではいずれの状態のものでも使用できる。
本発明の製パン練り込み用水性液における上記乳原料の含有量は、固形分として、好ましくは2〜15質量%、更に好ましくは4〜12質量%である。上記乳原料の含有量が固形分として2質量%未満では、得られるパンの歯切れ感とソフト性が不足するおそれがある。一方、15質量%超では、製パン練り込み用水性液の保管中に糖の結晶が析出してしまうおそれがある。
本発明の製パン練り込み用水性液は、乳脂等の油脂を実質的に含有しないものであることが必要である。
ここで、「油脂を実質的に含有しない」とは、レーゼゴットリーブ法で測定した場合に、製パン練り込み用水性液における油脂の含有量が、5質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下となる含有量である。油脂の含有量が5質量%を超えると、本発明の効果、特に乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料の効果及びデキストリンの効果が弱まってしまう。この理由は明確ではないが、おそらくは、油脂が介在することによって、これらの各成分は油脂と結合あるいは乳化しやすいために、グルテンへの作用が抑制されてしまうためと思われる。
また、油脂を含有すると、製パン練り込み用水性液の保管中に油相が分離してしまうおそれもある。
本発明の製パン練り込み用水性液は、合成乳化剤を含有しないことが必要である。合成乳化剤は、製パン時に少量の添加で、生地物性の改良、生地吸水量の調整、乳化安定性の向上、冷凍耐性付与、パンのボリューム向上、ソフト性付与、老化防止等、様々な効果をもたらすため、従来、広く使用されていた。
しかし、最近では、天然志向や添加物使用量低下の要請等により、そのような合成乳化剤を使用せずとも同様の効果を得ることが求められる場面も多々存在する。
また、本発明の製パン練り込み用水性液は、合成乳化剤を使用せずとも、良好な保存安定性を有し、また得られるパン生地の物性、得られるパンの品質も良好なものとすることができるため、合成乳化剤を添加する必要がない。
また、本発明の製パン練り込み用水性液は、合成乳化剤を含有すると、本発明の効果、特にデキストリンの効果が出にくくなってしまう。
上記合成乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。
本発明の製パン練り込み用水性液に使用する水としては、特に限定されず、天然水や水道水等が挙げられる。
本発明の製パン練り込み用水性液における水分含有量は、好ましくは25〜90質量%、より好ましくは50〜80質量%である。水分含有量が、25質量%未満であると、上述の原材料、特にデキストリンを安定的に配合することが困難になってしまうおそれがある。一方、水分含有量が、90質量%超であると、得られるパン生地が、べとつきやすく、得られるパンもねちゃついた食感になりやすい。尚、上記デキストリン及びオリゴ糖、上記乳原料に水分が含まれる場合、さらには下記のその他の原料として水分を含有する原料を使用した場合は、上記水分含有量には、それらの原料に含まれる水分も含めるものとする。
本発明の製パン練り込み用水性液は、必要に応じ上述した各成分以外のその他の原料を使用することができる。該その他の原料としては、例えば、酵素、澱粉類、食物繊維、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、脱脂粉乳・カゼイン・ホエーパウダー・脱脂濃縮乳等の乳や乳製品、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、全卵・卵黄・酵素処理卵黄・卵白・卵蛋白質等の卵及び各種卵加工品、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
上記その他の原料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、本発明の製パン練り込み用水性液中、合計で好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下となる範囲で使用する。
本発明の製パン練り込み用水性液は、以上に述べた原料を含む水性液である。ここで、本発明において、水性液とは、水溶液のほか、水相を主体として少量の油脂や油溶性成分が分散した水中油型乳化物を含むものとする。但し、油脂の量は、前述の通り、「油脂を実質的に含有しない」レベルであることが必要である。
本発明の製パン練り込み用水性液の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を使用することができる。
例えば、水や水分を主体とする原材料に、上記デキストリン及びオリゴ糖並びに上記乳原料、必要に応じてその他の成分を溶解又は分散し、必要に応じ、さらに均質化することによって得ることができる。水を使用する場合を例に挙げると、まず水に、上記デキストリン及びオリゴ糖並びに上記乳原料を溶解し、必要に応じさらにその他の水溶性の原料を溶解させた水相を用意する。そして、この水相を殺菌することが好ましい。尚、本発明における殺菌には滅菌も含む。
上記殺菌は、インジェクション式、インフュージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式・チューブラー式・掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理、あるいは直火等の加熱調理により行うことができる。そして冷却することにより、本発明の製パン練り込み用水性液が得られる。
また、殺菌する前又は後で、ホモジナイザーにより均質化することもできる。均質化処理を行う場合の均質化圧力は、3MPa〜30MPaとするのが好ましい。
本発明の製パン練り込み用水性液は、山形食パン、角型食パン、コッペパン、バラエティブレッド、ロールパン、菓子パン、スイートロール、デニッシュ・ペストリー、バンズ、ブリオッシュ、マフィン、ベイグル、スコーン、イングリッシュマフィン、ドーナツ、ピザ、蒸しパン、ワッフル等の各種パン生地に用いることができる。
次に、本発明のパン生地について述べる。
本発明のパン生地は、本発明の製パン練り込み用水性液を使用したパン生地である。本発明のパン生地における製パン練り込み用水性液の使用量は、パンの種類によっても異なるが、パン生地に含まれる穀粉類100質量部に対し、固形分として好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.3〜1質量部である。
上記穀粉類としては、小麦粉(薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉)をはじめ、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉等を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明では、これらの中でも、小麦粉を、穀粉類中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは100質量%使用する。
小麦粉以外の穀粉類を使用する場合、グルテンを別途添加することが好ましい。その添加量は、穀粉類とグルテンをあわせた合計量に対し、タンパク質含有量が好ましくは5〜20質量%、より好ましくは10〜18質量%となる量である。
本発明のパン生地においては、必要に応じ、一般の製パン材料として使用することのできるその他の原料を使用することができる。該その他の原料としては、例えば、水、油脂、イースト、糖類や甘味料、増粘安定剤、着色料、酸化防止剤、デキストリン、乳や乳製品、チーズ類、蒸留酒、醸造酒、各種リキュール、乳化剤、膨張剤、無機塩類、食塩、ベーキングパウダー、イーストフード、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、蛋白質、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、香辛料、香料、各種食品素材や食品添加物等を挙げることができる。
上記その他の原料は、本発明の効果を損なわない限り、任意に使用することができるが、水については、上記澱粉類100質量部に対して、好ましくは30〜100質量部、より好ましくは30〜80質量部となる範囲で使用する。また、水以外のその他の原料については、上記澱粉類100質量部に対して、合計で好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下となる範囲で使用する。尚、その他の原料として、水分を含有する原料を使用した場合は、上記の水には、その他の原料に含まれる水分も含めるものとする。
次に、本発明のパン生地の製造方法について説明する。
本発明のパン生地は、本発明の製パン練り込み用水性液を生地に練り込むことにより、製造することができる。
本発明のパン生地の製造方法としては、中種法、直捏法、液種法、中麺法、湯種法等、従来製パン法として使用されるあらゆる製パン法を採ることができる。
本発明のパン生地を中種法で製造する場合は、本発明の製パン練り込み用水性液を中種生地及び/又は本捏生地に練り込むことにより製造することができるが、本捏生地に練り込むことが好ましい。
また、本発明のパン生地を湯種法で製造する場合は、本発明の製パン練り込み用水性液を湯種生地及び/又は本捏生地に練り込むことにより製造することができるが、本捏生地に練り込むことが好ましい。
また、得られた本発明のパン生地は、冷蔵、冷凍保存することが可能である。
次に、本発明のパンについて述べる。
本発明のパンは、上記の本発明のパン生地を、必要に応じ適宜、分割、成形、ホイロ、リタード、レストをとった後、加熱処理することにより得ることができる。
上記成形は、どのような形状に成形してもよく、型詰めを行っても構わない。成形は、手作業で行っても、連続ラインを用いて全自動で行っても構わない。
上記加熱処理としては、焼成、蒸し、フライ等を挙げることができる。これらのうちの2種以上の加熱処理を併用してもよいが、焼成することが好ましい。
また、得られた本発明のパンを、冷蔵、冷凍保存したり、該保存後に電子レンジ加熱することも可能である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、別段記載しない場合、「%」は「質量%」を意味する。
<製パン練り込み用水性液の製造>
〔実施例1〕
DE=8、質量平均分子量=30000のワキシーコーン由来のデキストリン(オリゴ糖25%、単糖0.5%、三糖類3%含有)5質量部、「ピュアトースS」(サンエイ糖化株式会社製、オリゴ糖98.3%、単糖1.7%、三糖類46%含有)25質量部、及びクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(乳固形分38%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8%)25質量部に、水45質量部を添加し、これをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し、本発明の製パン練り込み用水性液Aを得た。
〔実施例2〕
DE=8、質量平均分子量=30000のワキシーコーン由来のデキストリン(オリゴ糖25%、単糖0.5%、三糖類3%含有)5質量部、「ピュアトースS」(サンエイ糖化株式会社製、オリゴ糖98.3%、単糖1.7%、三糖類46%含有)25質量部、及びクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(乳固形分38%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8%)25質量部に、水44.93質量部を添加し、さらにフィチン酸0.07質量部を添加して、pHを5.5に調整した。これをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し、本発明の製パン練り込み用水性液Bを得た。
〔実施例3〕
実施例2で使用した「ピュアトースS」25質量部を、上白糖(オリゴ糖99%、単糖1%含有)25質量部に変更した以外は、実施例2と同様の配合及び製法で本発明の製パン練り込み用水性液Cを得た。
〔実施例4〕
実施例2で使用したDE=8、質量平均分子量=30000のワキシーコーン由来のデキストリン5質量部を、DE=4、質量平均分子量=8500のワキシーコーン由来のデキストリン(オリゴ糖15%、単糖0.5%、三糖類0.8%含有)5質量部に変更した以外は、実施例2と同様の配合及び製法で本発明の製パン練り込み用水性液Dを得た。
〔実施例5〕
DE=8、質量平均分子量=30000のワキシーコーン由来のデキストリン5質量部を2質量部に変更し、「ピュアトースS」25質量部を28質量部に変更した以外は、実施例2と同様の配合及び製法で本発明の製パン練り込み用水性液Eを得た。
〔実施例6〕
「ピュアトースS」25質量部を7質量部に変更し、水44.93質量部を62.93質量部に変更した以外は、実施例2と同様の配合及び製法で本発明の製パン練り込み用水性液Fを得た。
〔実施例7〕
DE=8、質量平均分子量=30000のワキシーコーン由来のデキストリン5質量部を2質量部に変更し、「ピュアトースS」25質量部を10質量部に変更し、水44.93質量部を62.93質量部に変更した以外は、実施例2と同様の配合及び製法で本発明の製パン練り込み用水性液Gを得た。
〔実施例8〕
DE=8、質量平均分子量=30000のワキシーコーン由来のデキストリン5質量部を10質量部に変更し、「ピュアトースS」25質量部を50質量部に変更し、水44.93質量部を14.93質量部に変更した以外は、実施例2と同様の配合及び製法で本発明の製パン練り込み用水性液Hを得た。
〔比較例1〕
実施例2で使用したDE=8、質量平均分子量=30000のワキシーコーン由来のデキストリン5質量部を無添加とし、水44.93質量部を49.93質量部に変更した以外は、実施例2と同様の配合及び製法で比較例の製パン練り込み用水性液Iを得た。
〔比較例2〕
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(乳固形分38%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8%)25質量部を無添加とし、水44.93質量部を69.93質量部に変更した以外は、実施例2と同様の配合及び製法で比較例の製パン練り込み用水性液Jを得た。
〔比較例3〕
DE=8、質量平均分子量=30000のワキシーコーン由来のデキストリン(オリゴ糖25%、単糖0.5%、三糖類3%含有)5質量部、「ピュアトースS」(サンエイ糖化株式会社製、オリゴ糖98.3%、単糖1.7%、三糖類46%含有)25質量部、及びクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(乳固形分38%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8%)25質量部に、水25.93質量部を添加し、さらにフィチン酸0.07質量部を添加して、pHを5.5に調整した水相を得た。ここに、パームスーパーオレイン(ヨウ素価65)のランダムエステル交換油脂95質量部及びパームステアリン5質量部を均一に混合した混合油脂19質量部を加熱溶解した油相を添加して乳化し、これをホモゲナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモゲナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し、比較例の製パン練り込み用水性液Kを得た。
得られた製パン練り込み用水性液A〜Kの、デキストリン含有量、オリゴ糖含有量、デキストリン及びオリゴ糖を合計した含有量、オリゴ糖:デキストリン(質量比)、三糖類/オリゴ糖(質量%)について表1に記載した。
Figure 0006721386
<プルマン型食パンの製造試験>
上記<製パン練り込み用水性液の製造>で得られた製パン練り込み用水性液A〜Kを用いて、下記に示す配合及び製法によりプルマン型食パンを製造し、分割・丸目時の生地物性、20℃にて3日保管後の食感(ソフト性、もっちり感、歯切れ感、しとり感)について、下記評価基準に従って4段階で評価した。その結果を表2に示す。
[プルマン型食パンの配合・製法]
強力粉(商品名「カメリア」:日清製粉製、タンパク質含有量11.8%及び灰分0.37%)70質量部、生イースト2質量部、イーストフード0.1質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、更に、強力粉(商品名「カメリア」)30質量部、上白糖5質量部、脱脂粉乳2質量部、食塩1.5質量部、製パン練り込み用水性液2質量部及び水25質量部を添加し、低速で3分、中速で3分本捏ミキシングした。ここで、製パン練り込み用マーガリン(「フロイデプレミアムPV」:株式会社ADEKA製)5質量部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、食パン生地を得た。得られた食パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。ここで、フロアタイムを20分とった後、230gに分割・丸目を行なった。次いで、ベンチタイムを20分とった後、モルダー成形し、6本をU字にして3斤型プルマン型に入れ、38℃、相対湿度85%で50分ホイロをとった後、200℃に設定した固定窯に入れ40分焼成してプルマン型食パンを得た。
[評価基準]
・生地物性
◎:べとつきもなく伸展性もよく、極めて良好な作業性であった。
○:良好な作業性であった。
△:ややべとつきが感じられるか、又は、やや伸展性が悪く、作業性が若干劣っていた。
×:べとつきがあるか、又は、伸展性が悪く、作業性が劣っていた。
・食感(ソフト性)
◎:極めて良好
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
・食感(もっちり感)
◎:極めて良好
○:良好
△:あまり感じられない
×:感じられない
・食感(歯切れ感)
◎+:この上なく良好
◎:極めて良好
○:やや良好
△:ややねちゃつくか、又はボソボソして不良
×:ねちゃつき又はぼそつきが激しい
・食感(しとり感)
◎:極めて良好
○:良好
△:ややぱさついた感じである
×:乾いた食感である
Figure 0006721386

Claims (7)

  1. 下記の(1)(2)(3)(4)をすべて満たす製パン練り込み用水性液。
    (1)DEが2〜9のデキストリン及びオリゴ糖を含有する。
    (2)乳固形分中のリン脂質の含有量が該乳固形分を基準として2質量%以上である乳原料を含有する。
    (3)油脂を実質的に含有しない。
    (4)合成乳化剤を含有しない。
  2. 水分含有量が25〜90質量%である請求項1記載の製パン練り込み用水性液。
  3. 上記デキストリンと上記オリゴ糖との質量比が、1:99〜50:50である、請求項1又は2記載の製パン練り込み用水性液。
  4. 上記デキストリン及び上記オリゴ糖を合計した含有量が6〜75質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製パン練り込み用水性液。
  5. 上記デキストリンの含有量が1〜11質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製パン練り込み用水性液。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の製パン練り込み用水性液を使用したパン生地。
  7. 請求項記載のパン生地を加熱処理してなるパン。
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