JP2014075997A - 油菓子練込用乳化油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽く歯切れのいい食感であり、吸油が抑制され、油性感が低減された油菓子を、安定して得ることができる油菓子練込用油脂組成物を提供する。
【解決手段】水相中に下記の(1)及び(2)成分を含有することを特徴とする油菓子練込用乳化油脂組成物。該油菓子練込用乳化油脂組成物において、水分含量は10〜65質量%であることが好ましい。
(1)オリゴ糖及び/又はデキストリン
(2)グリセリンモノ脂肪酸エステル及び/又はリン脂質
【選択図】なし

Description

本発明は、油菓子練込用乳化油脂組成物、詳しくは、軽く歯切れのいい食感であり、吸油が抑制され、油性感が低減されたドーナツやかりんとうなどの油菓子を得ることができる油菓子練込用乳化油脂組成物に関する。
油菓子は、ドーナツや揚げまんじゅう等に代表されるように、菓子生地を食用油脂でフライすることで得られる。このような油菓子に求められる食感はそれぞれであるが、共通して、油性感の低減が求められている。また、最近の健康志向から、油分含量の低減が求められている。
これらの志向に対し、まず油性感の低減のためには、フライ用の食用油脂として融点の高い油脂を使用すればよく、例えば、極度硬化油脂を含有する油脂を使用する方法(たとえば特許文献1)や、さらに特定の乳化剤を含有する油脂を使用する方法(たとえば特許文献2参照)などが提案されている。しかし、これらの方法では油菓子の油分含量を低減させることができないため、油菓子生地に極度硬化油脂を含有する高融点油脂を練りこむ方法(たとえば特許文献3参照)が提案された。しかし、この方法では口溶けが悪化し、軽く歯切れのいい食感が得られないという問題があった。
一方、油分含量を低減させるためには、フライ用油脂は溶解状態で使用するため、油種の選定だけでは不可能であり、油菓子生地の配合に工夫が必要となる。
ここで、油菓子の油分含量は、油菓子生地の水分がフライ時にフライ用油脂で置換されるものであるため、まず、油菓子生地の水分含量を減じる方法やタンパク質含量の高い小麦粉を使用する方法が一般的に行われる。しかし、これらの方法では、得られる油菓子の食感が硬く、歯切れの悪いものとなってしまう。
そのため、ゲル化剤で油菓子生地をコーティングしてフライする方法(たとえば特許文献4参照)、ブレークダウンさせた生地を使用する方法(たとえば特許文献5参照)、油菓子生地にアルブミンを配合する方法(たとえば特許文献6参照)、特定のベーキングパウダーを使用する方法(たとえば特許文献7参照)、特定の糊料と酵素を併用する方法(たとえば特許文献8参照)、水溶性セルロースを配合する方法(たとえば特許文献9参照)、アルギン酸エステルを使用する方法(たとえば特許文献10参照)、ケーキ用起泡剤を練りこむ方法(たとえば特許文献11参照)などが提案されている。
しかし、特許文献4の方法では、内相がべたついた食感になることに加え軟らかい生地には適用できない問題、特許文献5の方法では小麦粉含量が高い生地にしか適用できない問題、特許文献6の方法では食感がやや脆くなる問題、特許文献7の方法では内相が粗くなりやすく、特許文献8〜11の方法ではややねちゃついた食感になりやすく、軽く歯切れのいい食感が得られない問題があった。また、これらの方法では油性感を低減させることができないという問題もあった。
特開2001−069913号公報 特開2007−267603号公報 特開2001−057844号公報 特開平03−143346号公報 特開平03−297344号公報 特開2000−210026号公報 特開2001−333691号公報 特開2005−058082号公報 特開2010−268693号公報 特開2000−236821号公報 特開平05−328914号公報
従って、本発明の目的は、軽く歯切れのいい食感であり、吸油が抑制され、油性感が低減されたドーナツやかりんとうなどの油菓子を安定して得ることができる油菓子練込用油脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、特定の2種の成分を水相中に含有させた乳化油脂組成物が、上述の従来技術の問題を解決可能であることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、水相中に下記の(1)及び(2)成分を含有することを特徴とする油菓子練込用乳化油脂組成物を提供するものである。
(1)オリゴ糖及び/又はデキストリン
(2)グリセリンモノ脂肪酸エステル及び/又はリン脂質
また、本発明は、上記油菓子練込用乳化油脂組成物を使用した油菓子生地を提供するものである。
さらに、本発明は、上記油菓子生地を成形した後、加熱処理してなる油菓子を提供するものである。
本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物を使用すると、軽く歯切れのいい食感であり、吸油が抑制され、油性感が低減されたドーナツやかりんとうなどの油菓子を安定して得ることができる。
以下に、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物について詳細に説明する。
本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物は、水相中に下記の(1)及び(2)成分を含有する。
(1)オリゴ糖及び/又はデキストリン
(2)グリセリンモノ脂肪酸エステル及び/又はリン脂質
水相中に、上記2成分のどちらかが欠けた油菓子練込用乳化油脂組成物では、本発明の効果は得られない。
先ず、上記(1)成分について述べる。
本発明で使用するオリゴ糖及び/又はデキストリンとしては、単糖が2個以上結合し、且つ、澱粉ではない水溶性の糖であれば問題なく使用することができるが、好ましくは重量平均分子量300〜1,000,000、より好ましくは330〜100,000のものを使用する。
ここで、まず、上記オリゴ糖について述べる。
本発明で使用することのできるオリゴ糖としては、結合数2〜20のものであれば問題なく使用可能である。
また、上記オリゴ糖は、ソフト感が特に良好な油菓子が得られる点で、結合数3の糖類(以下三糖類ということがある)の割合が10〜90質量%のオリゴ糖であることが好ましく、30〜60質量%のオリゴ糖であることがより好ましく、40〜50質量%のオリゴ糖であることが更に好ましい。
また、上記オリゴ糖としては、スクロース、 ラクトース 、マルトース、トレハロース、ツラノース、セロビオース、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、直鎖オリゴ糖、分岐オリゴ糖、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ビートオリゴ糖、寒天オリゴ糖(アガロオリゴ糖)、シアリルオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、カップリングシュガー、ニゲロオリゴ糖、パノースオリゴ糖、セロオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、レバンオリゴ糖、マンノオリゴ糖、環状オリゴ糖(シクロデキストリン)、還元澱粉糖、直鎖オリゴ糖アルコール、分岐オリゴ糖アルコール、ガラクトシルラクトース等を挙げることができ、これらのなかの1種又は2種以上を使用することができるが、なかでも、マルトオリゴ糖、ラフィノース、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖及び大豆オリゴ糖のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましく、マルトオリゴ糖を使用することが特に好ましい。
即ち、本発明では、上記結合数のマルトオリゴ糖を使用することが最も好ましい。
上記(1)成分としてオリゴ糖を使用することで、ソフトな食感の油菓子を得ることができる。
次に、上記デキストリンについて述べる。
本発明で使用することのできるデキストリンとしては、澱粉を酵素処理、熱処理、アルカリ処理、酸処理等の方法で低分子化したものであって、水溶性であれば特に制限なく使用することができ、その重量平均分子量が3600〜1000000のものを使用することが好ましく、より好ましくは重量平均分子量5000〜50000のデキストリンを使用する。また、上記デキストリンは、DEが2〜10のものであることが好ましく、4〜8のものであることがより好ましい。なお、上記DEはウィルシュテッター・シューデル法による数値を使用する。
ここで、重量平均分子量が1000000を超えるか、又はDEが2より小さいデキストリンであると、水相の粘度が高くなりすぎ、乳化油脂組成物の製造が困難となるおそれがある。一方、重量平均分子量が3600未満であるか、又はDEが10より大きいと、性質がオリゴ糖に近似するため、後述のようにデキストリンとオリゴ糖とを併用した場合に、併用効果が得られにくいことがある。
上記(1)成分としてデキストリンを使用することで、歯切れが良好で油性感の減じられた油菓子を得ることができる。
本発明では、上記(1)成分として、上記オリゴ糖のみを使用してもよく、またデキストリンのみを使用してもよく、さらにはオリゴ糖とデキストリンとを併用してもよいが、好ましくは、オリゴ糖のみを使用するか、あるいはオリゴ糖とデキストリンとを併用する。オリゴ糖とデキストリンとを併用することがさらに好ましい。この理由は、以下の通りである。
デキストリンは、油菓子改良効果は高いものの、溶解度がオリゴ糖に比べて低いため、デキストリンのみを使用した場合には、水相に多くを含有させることができない。しかし、オリゴ糖と併用することで、デキストリンの溶解性が改善され、デキストリンの配合量を増やすことができ、さらには、得られる油菓子が、油性感がなく、ねちゃつきの少ない歯切れが良好なものとなる。
また、デキストリンは、フライ直後の油菓子改良効果は高いものの油菓子生地中に分散した場合、油菓子生地の配合や種類によっては食感が硬くなってしまう場合がある。ここでオリゴ糖を併用することで、食感の硬化を抑制することもできる。
オリゴ糖とデキストリンとを併用する場合、水相中において、その好ましい質量比は、前者:後者が、好ましくは50:50〜99:1、より好ましくは51:49〜90:10、さらに好ましくは70:30〜90:10である。オリゴ糖の含有比が50質量%未満であると、食感、とくにソフト性が弱い油菓子になってしまうおそれがある。
なお、「オリゴ糖」として市販されているものであっても不純物として単糖や多糖を含有するものがある。また、「デキストリン」として市販されているものは一般的に単糖やオリゴ糖成分を含有する。本発明において、オリゴ糖の含有量、デキストリンの含有量、及び、オリゴ糖とデキストリンの比を計算する場合は、それらの含量を考慮に入れて、純分で算出する。すなわち、市販の「オリゴ糖」を使用する場合は、不純物として含まれる単糖の含量を除外し、結合数20超の糖はデキストリン含量に含めて算出するものとする。一方、市販の「デキストリン」を使用する場合も、不純物として含まれる単糖の含量を除外し、結合数2〜20の糖類はオリゴ糖含量に含めて算出するものとする。また、下に述べるオリゴ糖中の三糖類の含有量についても、オリゴ糖含量と三糖類の純分を使用して算出する。
本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物における上記(1)オリゴ糖及び/又はデキストリンの含有量は、下に述べる(3)成分を含有しない場合、固形分として、水相中に、水相量基準で好ましくは10〜50質量%、更に好ましくは10〜25質量%である。上記(1)オリゴ糖及び/又はデキストリンの含有量が10質量%未満では、得られる油菓子の食感改良効果が不足することに加え、下記(2)成分の安定性が低下したり、(2)成分の効果が減じられるおそれがある。一方、50質量%超では、油菓子練込用乳化油脂組成物の保管中に糖の結晶が析出してしまうおそれがある。尚、上記(1)成分の油菓子練込用乳化油脂組成物中の含有量は、好ましくは3〜32質量%、更に好ましくは8〜25質量%である。
なお、上記オリゴ糖は、食感、とくにソフト性が良好な油菓子が得られる点で、三糖類の含量が10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜60質量%、さらに好ましくは40〜50質量%であることが好ましい。
次に、上記(2)成分について述べる。
ここで、まず、(2)成分のうち、グリセリンモノ脂肪酸エステルについて述べる。
本発明で使用するグリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、公知のグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用することができる。グリセリンモノ脂肪酸エステルの脂肪酸に特に制限はなく、飽和酸でも不飽和酸でも問題なく使用可能であり、脂肪酸の鎖長についても制限はないが、好ましくは4〜26、より好ましくは12〜22、さらに好ましくは14〜18である。
上記グリセリンモノ脂肪酸エステルは、油溶性であるため、通常、乳化油脂組成物中では、油相中に溶解して使用される。しかし、本発明では、上記グリセリンモノ脂肪酸エステルを、油相ではなく水相に含有させることに特徴がある。尚、本発明において、グリセリンモノ脂肪酸エステルは、水相だけではなく、油相にも含有させてもよい。
水相中に上記グリセリンモノ脂肪酸エステルを安定して分散させるためには、水分散型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用することが好ましい。この水分散型のグリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、水溶液中でカゼインナトリウム等の高分子物質と複合体を形成させた後噴霧乾燥した粉末状のグリセリンモノ脂肪酸エステルや、親水基を外側に向けた薄片状のミセル構造である、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを挙げることができ、本発明では、ハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用することが好ましい。また、水分散型でないグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用することも可能であるが、その場合は、使用するグリセリンモノ脂肪酸エステルの少なくとも10質量%以上、特に20質量%以上を、水分散型、特にハイドレート型として使用することが好ましい。その場合、まず水相に水分散型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを分散させてから、水分散型でないグリセリンモノ脂肪酸エステルを分散させる。
本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物において、(2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルのみを使用する場合であって下に述べる(3)成分を含有しない場合、上記(2)グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は、水相中に、水相量基準で好ましくは10〜30質量%、更に好ましくは10〜25質量%である。上記(2)グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量が10質量%未満では、水相の粘度が不足し、乳化安定性が低下しやすいことに加え、水分含量が高い油菓子練込用乳化油脂組成物を得ることが困難になる場合がある。また、30質量%を超えると、粘度が高くなりすぎ、乳化安定性が低下しやすいことに加え、得られる油菓子の食感がねちゃつくおそれがある。
尚、グリセリンモノ脂肪酸エステルの油菓子練込用乳化油脂組成物中の含有量は、油相中に含有させたグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量も含め、好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは3〜20質量%である。この範囲でグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有させると、食感の良好な油菓子をより確実に得ることができる。
本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物が、後述する好ましい実施態様である油中水型(特に高水分含量の油中水型)であり、且つ水相に水分散型のグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する場合、さらに水相及び油相の両者に水分散型でないグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有させると、乳化安定性が高まるため好ましい。この場合、水相中の水分散型のグリセリンモノ脂肪酸エステルと水分散型でないグリセリンモノ脂肪酸エステルとの使用比率(前者:後者、質量基準)は20:80〜50:50の範囲とすることが好ましい。
次に、(2)成分のうち、リン脂質について述べる。
本発明で使用するリン脂質は、特に限定されるものではなく、食品に使用できるリン脂質であればどのようなリン脂質でも構わない。上記リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸等のジアシルグリセロリン脂質を使用することができ、更に、これらのリン脂質に対し、ホスホリパーゼ等の酵素により酵素処理を行い、乳化力を向上させたリゾリン脂質や、リン脂質及び/又はリゾリン脂質を含有する食品素材を使用することもできる。本発明では、リン脂質としてこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記リン脂質は、油溶性であるため、通常、乳化油脂組成物中では、油相中に溶解して使用される。しかし、本発明では、上記リン脂質を、油相ではなく水相に含有させることに特徴がある。尚、リン脂質は、水相だけではなく、油相にも含有させてもよい。
水相中に上記リン脂質を安定して分散させるためには、上記リン脂質として、水分散型のリン脂質を使用する。水分散型のリン脂質としては、水溶液中でカゼインナトリウム等の高分子蛋白質と複合体を形成させた後濃縮あるいは粉末化した人工の脂質蛋白質複合体や、天然の脂質蛋白質複合体である、生体に存在するリン脂質と蛋白質の複合体(脂質二重膜)等を挙げることができるが、本発明では、昨今の天然物志向に合致すること及び風味が良好であること、更には乳化安定性が良好であることから、天然の脂質蛋白質複合体を使用することが好ましい。尚、水分散型でないリン脂質を使用することも可能であるが、その場合は、使用するリン脂質の少なくとも10質量%、特に20質量%以上を水分散型として使用することが好ましい。その場合、まず水相に水分散型のリン脂質を分散させてから、水分散型でないリン脂質を分散させる。
本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物では、上述の理由から、リン脂質そのものよりも、リン脂質を含有する食品素材を用いることが好ましい。リン脂質を含有する食品素材としては、例えば、卵黄、大豆、及び牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳が挙げられる。本発明では、風味と食感の面から、乳由来のリン脂質を含有する食品素材を用いるのが好ましく、牛乳由来のリン脂質を含有する食品素材を用いるのが更に好ましい。
上記乳由来のリン脂質を含有する食品素材を使用する場合は、固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上であることが好ましく、更に好ましくは3質量%以上、最も好ましくは4〜40質量%である。
また、上記のリン脂質を含有する食品素材は、液体状でも、粉末状でも、濃縮物でも構わない。但し、溶剤を用いて乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上となるように濃縮した食品素材は、風味上の問題から、本発明においては用いないのが好ましい。
上記乳由来のリン脂質を含有する食品素材の固形分中のリン脂質の定量方法は、例えば以下のような方法にて測定することができる。但し、抽出方法等については乳由来のリン脂質を含有する食品素材の形態等によって適正な方法が異なるため、この定量方法に限定されるものではない。
まず、乳由来のリン脂質を含有する食品素材の脂質を、Folch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から、以下の計算式を用いて、乳由来のリン脂質を含有する食品素材の固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳由来のリン脂質を含有する食品素材−乳由来のリン脂質を含有する食品素材の水分(g))〕×25.4×(0.1/1000)
上記の乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材としては、例えば、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分が挙げられる。このクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、通常のクリームからバターを製造する際に生じるいわゆるバターミルクとは組成が大きく異なり、リン脂質を多量に含有しているという特徴がある。バターミルクは、その製法の違いによって大きく異なるが、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、通常、0.5〜1.5質量%程度であるのに対して、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、大凡、2〜15質量%であり、多量のリン脂質を含有している。
また、上記水相成分としては、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上であれば、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分をそのまま用いてもよく、また噴霧乾燥、濃縮、冷凍等の処理を施したものを用いてもよい。
但し、乳由来のリン脂質は、高温加熱すると、その機能が低下するため、加温処理や濃縮処理中、あるいは殺菌等により加熱する際は、100℃未満であることが好ましく、60℃未満であることが更に好ましい。
また、本発明では、上記の乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材中のリン脂質をリゾ化したものを使用することもできる。尚、この場合、上記食品素材を直接リゾ化してもよく、また濃縮した後にリゾ化してもよい。また、得られたリゾ化物に、更に濃縮あるいは噴霧乾燥処理等を施してもよい。
上記の乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材中のリン脂質をリゾ化するには、ホスホリパーゼAで処理すればよい。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置き換える作用を有する酵素である。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。ホスホリパーゼAは作用する部位の違いによってA1、A2に分かれるが、A2が好ましい。
また、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物において、(2)成分としてリン脂質のみを使用する場合であって下に述べる(3)成分を含有しない場合、上記(2)リン脂質の含有量は、水相中に、水相量基準で好ましくは0.1〜2質量%、更に好ましくは0.2〜1質量%である。上記(2)リン脂質の含有量が0.1質量%未満では、得られる油菓子が歯切れが悪く、口溶けが悪化しやすいことに加え、油菓子練込用乳化油脂組成物の乳化安定性が低下しやすい。また2質量%を超えると、得られる油菓子がねちゃついた食感になりやすい。尚、リン脂質の油菓子練込用乳化油脂組成物中の含有量は、油相中に含有させたリン脂質の含有量も含め、好ましくは0.05〜1.5質量%、更に好ましくは0.1〜0.7質量%である。
本発明では、上記(2)成分として、上記グリセリンモノ脂肪酸エステルのみを使用してもよく、またリン脂質のみを使用してもよく、更にはグリセリンモノ脂肪酸エステルとリン脂質とを併用してもよいが、好ましくは、少ない乳化剤含量で良好な食感の油菓子を得ることが可能な点で、リン脂質のみを使用するか、あるいはグリセリンモノ脂肪酸エステルとリン脂質とを併用する。更に好ましくは、生地物性改良効果が高い点、及び、より食感の良好な油菓子を得ることが可能な点でグリセリンモノ脂肪酸エステルとリン脂質を併用する。この理由は、以下の通りである。
グリセリンモノ脂肪酸エステルは、油菓子改良効果は高いものの、上述のように、その効果を得るためには、水相中に多量に含有させる必要があり、更に、油中水型乳化物である場合には、水相中の、水分散型のグリセリンモノ脂肪酸エステルの安定化のために、油相及び/又は水相に更に乳化剤を添加する必要がある。それに対してリン脂質の場合は、グリセリン脂肪酸エステルに比べて低い含有量でも同等の効果を示し、しかも安定的に存在させることが可能である。そして本発明において、リン脂質は、水相中の水分散型のグリセリン脂肪酸エステルの安定化にも、少量の添加で高い効果を示す。
また、グリセリン脂肪酸エステルは、フライ直後の油菓子の改良効果は高いものの、その風味が問題になりやすい。ここで、リン脂質を併用することで、グリセリン脂肪酸エステルの使用量を抑制しながら、更にその風味を抑制することもできる。
このように、グリセリン脂肪酸エステルとリン脂質とを併用する場合、その好ましい質量比は、水相中に、前者:後者が、好ましくは80:20〜98:2、より好ましくは85:15〜98:2である。
また、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物において、上記(2)成分として、グリセリンモノ脂肪酸エステルとリン脂質を併用する場合であって下に述べる(3)成分を含有しない場合、その合計した含有量は、水相中に、水相量基準で好ましくは5〜20質量%、より好ましくは10〜20質量%、更に好ましくは10〜15質量%である。
本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物では、上記(1)(2)成分に加え、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを組成物基準で0.5〜5質量%、好ましくは1〜3質量%含有することが、上記(1)(2)成分の含有量を削減した場合であっても同等の効果が得られる点で好ましい。
本発明で使用するポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、結合脂肪酸数及びグリセリンの重合度については特に制限されることなく用いることができる。
この効果がなぜ得られるかというと、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを使用することで油中水型乳化が強固なものとなり、結果として、水相に含まれる(1)成分や(2)成分が油菓子生地に希薄分散することなく、油相中に閉じ込められた形態で油菓子生地中に存在するためと考えられる。
尚、上記効果は、(2)成分の含有量が低く(1)成分の含有量が高い場合や、(2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用しないか使用した場合であってもその添加量が少ない場合に、特に有効である。
これは、本発明において(2)成分の含有量が低く(1)成分の含有量が高い場合、特に(1)成分としてデキストリンを使用する場合、その種類や濃度によっては得られる油菓子が硬化しやすくなるが、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを使用して、フライ直前まで油相中に閉じ込められた形態で油菓子生地中に存在させることにより、これを防止することが可能だからである。
また、同様に、本発明において(2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用する場合、上述のように、水相中に多量に含有させることが好ましく、その場合、水相含量や、油菓子生地に対する練込量によっては、該乳化剤に由来する風味や口溶けの悪さが得られる油菓子に顕れてしまうおそれがあるが、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを使用することで、(2)成分含量が少なくても効率的に油菓子生地、更には油菓子の品質の改良効果を得ることが可能だからである。
本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物が、油中水型乳化物であって上記(3)成分を含有する場合の好ましい(1)(2)成分の含量は以下のとおりである。
(1)オリゴ糖及び/又はデキストリンの含有量は、固形分として、水相中に、水相量基準で好ましくは3〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%である。
(2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルのみを使用する場合、上記(2)グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は、水相中に、水相量基準で好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは1〜5質量%である。
(2)成分としてリン脂質のみを使用する場合、上記(2)リン脂質の含有量は、水相中に、水相量基準で好ましくは0.1〜2質量%、更に好ましくは0.2〜1質量%である。
また、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物において、上記(2)成分として、グリセリンモノ脂肪酸エステルとリン脂質を併用する場合、その合計した含有量は、水相中に、水相量基準で好ましくは1.1〜12質量%、より好ましくは1.2〜10質量%、更に好ましくは1.2〜6質量%である。
本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物で使用する油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、キャノーラ油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂等が挙げられる。これらの油脂は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明では、これらの中でも、ヨウ素価52〜70、好ましくはヨウ素価60〜70のパーム分別軟部油を70質量%、好ましくは100質量%含む油脂配合物をランダムエステル交換したエステル交換油脂を、その含有量が油脂中に50〜100質量%、好ましくは80〜100質量%となるように使用することが望ましい。
上記油脂の含有量は、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物中、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜50質量%である。上記油脂の含有量が20質量%未満では、油菓子生地に添加した際の油菓子生地への練りこまれやすさ(混合性)が悪化しやすいことに加え、得られる油菓子生地が麺帯生地である場合などはとくに、その伸展性が悪化することがあり、その場合、得られる油菓子生地が縮みやすく、形が均質でない油菓子となってしまうおそれがある。一方、80質量%超では、上記(1)及び(2)成分を安定的に配合することが困難になってしまうおそれがある。尚、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物に、油脂を含有する副原料を使用した場合は、上記油脂の含有量には、それらの副原料に含まれる油脂分も含めるものとする。
本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物の乳化形態は油中水型乳化物であっても水中油型乳化物であってもよいが、好ましくは油中水型乳化物とする。油中水型乳化物とすることで、上記(1)及び(2)成分を長期にわたって安定的に配合可能なことに加え、油菓子生地への添加時に上記(1)及び(2)成分を効率的に均質に油菓子生地中に分散させることが可能である。
本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物における水分含有量は、好ましくは10〜65質量%、より好ましくは30〜50質量%である。水分含有量が、組成物中10質量%未満であると、上記(1)及び(2)成分を安定的に配合することが困難になってしまうおそれがある。一方、水分含有量が、組成物中65質量%超であると、得られる油菓子生地が、べとつきやすく、得られる油菓子もねちゃついた食感になりやすい。尚、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物に、水分を含有する副原料を使用した場合は、上記水分含有量には、それらの副原料に含まれる水分も含めるものとする。
本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物において、水相は、上記水分、上記(1)及び(2)成分、並びに必要に応じて副原料として用いられる後述のその他の原料のうちの水溶性成分を含むものである。油相は、上記油脂、及び必要に応じて上記(3)成分、並びに副原料として用いられる後述のその他の原料のうちの油溶性成分を含むものである。本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物において、水相と油相との質量比率(前者:後者)は、20:80〜80:20であることが好ましく、50:50〜70:30であることが更に好ましい。
なお、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物は、可塑性を有していることが好ましい。
更に、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物は、油中水型乳化物であって(3)ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含有するものである場合、特に可塑性を有していることが好ましい。これは、上述のようにポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの効果がより高く発揮されるためである。
本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物は、必要に応じ一般の油菓子練込用油脂組成物に使用することのできる以上に挙げた各成分以外のその他の原料を使用することができる。該その他の原料としては、例えば、酵素、グリセリンモノ脂肪酸エステル、リン脂質及びポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル以外の乳化剤、澱粉類、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、脱脂粉乳・カゼイン・ホエーパウダー等のリン脂質を含まない乳や乳製品、単糖類又は二糖類、あるいはその糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、卵白・卵蛋白質等のリン脂質を含まない卵及び各種卵加工品、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
上記その他の原料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物中、合計で好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下となる範囲で使用する。
次に、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物の好ましい製造方法について、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物が油中水型乳化物の場合に基づいて説明する。
先ず、油脂に、必要に応じ上記(3)成分並びにその他の成分としての油溶性成分を添加して油相とする。一方、水に、上記(1)及び(2)成分並びに必要に応じその他の成分としての水溶性成分を添加して水相とする。上記(1)及び(2)成分を水に溶解する際は、先ず(1)成分を溶解してから、(2)成分を溶解する、2段階で溶解することが好ましい。これは、先に(2)成分を添加すると、水相の粘度が上昇しすぎて、(1)成分を均質に溶解させることができなくなる可能性があるためである。
次に、上記油相を溶解し、そこへ上記水相を加え、混合乳化し予備乳化物を得る。そして次に、この予備乳化物を殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。
次に、上記予備乳化物を冷却し、結晶化させて、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物を得る。冷却の際には、好ましくは冷却可塑化する。冷却条件は、好ましくは−0.5℃/分以上、更に好ましくは−5℃/分以上とする。この際、徐冷却より、急速冷却の方が好ましい。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組み合わせも挙げられる。
また、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物を製造する際の何れかの工程で、窒素、空気等を含気させてもよい。
本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物は、かりんとう、揚げパン、揚げまんじゅう、デニッシュドーナツ、イーストドーナツ、ケーキドーナツ、チュロス、フレンチクルーラー、サーターアンダギー、あられ、えびせんべい、せんべい、かりんとうまんじゅう、鈴カステラ等の各種油菓子生地に用いることができる。
次に、本発明の油菓子生地について述べる。
本発明の油菓子生地は、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物を使用した油菓子生地である。本発明の油菓子生地における油菓子練込用乳化油脂組成物の使用量は、従来の油菓子練込用油脂組成物と同様であり、油菓子生地の種類によっても異なるが、油菓子生地に含まれる穀粉類100質量部に対し、好ましくは2〜100質量部、より好ましくは4〜50質量部、さらに好ましくは5〜20質量部である。
上記穀粉類としては、小麦粉(薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉)をはじめ、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉等を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明では、これらの中でも、小麦粉を、穀粉類中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは100質量%使用する。
本発明の油菓子生地においては、必要に応じ、一般の油菓子材料として使用することのできるその他の原料を使用することができる。該その他の原料としては、例えば、水、油脂、イースト、糖類や甘味料、増粘安定剤、着色料、酸化防止剤、デキストリン、乳や乳製品、チーズ類、蒸留酒、醸造酒、各種リキュール、乳化剤、膨張剤、無機塩類、食塩、ベーキングパウダー、イーストフード、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、蛋白質、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、香辛料、香料、各種食品素材や食品添加物等を挙げることができる。
上記その他の原料は、本発明の効果を損なわない限り、任意に使用することができる。
次に、本発明の油菓子生地の製造方法について説明する。
本発明の油菓子生地は、本発明の油菓子練込用乳化油脂組成物を生地に練り込むことにより、製造することができる。
本発明の油菓子生地の製造方法としては、特に制限なく従来の各種油菓子生地の製造方法を採ることができる
また、得られた本発明の油菓子生地は、冷蔵、冷凍保存することが可能である。
次に、本発明の油菓子について述べる。
本発明の油菓子は、上記の本発明の油菓子生地を、適宜、分割、成形し、必要に応じホイロ、リタード、レスト、ラックをとった後、フライすることにより得ることができる。
上記成形は、どのような形状に成形してもよく、型詰めを行っても構わない。成形は、手作業で行っても、連続ラインを用いて全自動で行っても構わない。
フライの前後に焼成及び/又は蒸しを施してもよい。
また、得られた本発明の油菓子を、冷蔵、冷凍保存したり、該保存後に電子レンジ加熱することも可能である。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等によって制限されるものではない。
<油菓子練込用乳化油脂組成物の製造>
〔実施例1〕
パームスーパーオレイン(ヨウ素価65)のランダムエステル交換油脂95質量部及びパームステアリン5質量部を均一に混合した混合油脂38質量部に、グリセリンモノパルミチン酸エステル2質量部を、添加、混合、溶解した油相を60℃に保温した。
一方、水29.73質量部に、(1)成分としてオリゴ糖(商品名「ピュアトースS」:サンエイ糖化株式会社製)(結合数3の糖の含量:46%)7質量部及びデキストリン(DE=8、オリゴ糖25%、単糖0.5%、結合数3の糖3%含有)3質量部を、添加、溶解し、ここに(2)成分としてハイドレート型のグリセリンモノ脂肪酸エステル(商品名「ダイモダンHP85S6」:ダニスコ製)1.67質量部を添加し、十分に分散させた後、更に、(2)成分としてグリセリンモノパルミチン酸エステル5.5質量部を添加し、十分に分散させた。続いて、食塩1質量部及びグルコン酸0.1質量部を添加溶解後、(2)成分としてリゾリン脂質を含有する食品素材12質量部を添加し、十分に分散させ、水相を得た。
尚、上記のリゾリン脂質を含有する食品素材は、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(固形分40質量%、固形分中のリン脂質の含有量5質量%)にホスホリパーゼA2を0.1質量%添加し、50℃で1時間攪拌した後、UHTにて120℃で10秒間加熱殺菌し、掻き取り式熱交換器にて60℃に冷却したものであり、固形分40質量%、固形分中のリン脂質の含有量5質量%であり、リン脂質の95質量%がリゾ化されていた。
上記油相に上記水相を添加し、予備乳化液を製造した後、90℃にて1分間、蒸気を用いて殺菌処理し、次いでコンビネーターを用いて急冷可塑化を行い、可塑性油中水型乳化物である本発明の実施例1の油菓子練込用乳化油脂組成物Aを得た。
〔実施例2〕
実施例1における混合油脂の使用量を38質量部から36質量部に変更し、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル2質量部を配合した油相、及び、グリセリンモノパルミチン酸エステル5.5質量部を無添加とし、水の配合量を29.73質量部から35.23質量部に変更した水相を使用した以外は実施例1と同様の配合・製法で、可塑性油中水型乳化物である本発明の実施例2の油菓子練込用乳化油脂組成物Bを得た。
〔比較例1〕
実施例1における(1)成分及び(2)成分を無添加とし、水の配合量を29.73質量部から58.9質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法で、可塑性油中水型乳化物である比較例1の油菓子練込用乳化油脂組成物Cを得た。
得られた油菓子練込用乳化油脂組成物A〜Cの、各成分の配合量について表1に記載し、水相中の(1)成分含量(質量%)、水相中の(2)成分含量(質量%)、組成物中の(1)成分含量(質量%)、組成物中の(2)成分含量(質量%)、組成物中の(3)成分含量(質量%)、オリゴ糖:デキストリン(質量比)、三糖類/オリゴ糖(質量%)、水相中の、グリセリンモノ脂肪酸エステル(以下、MGともいう):リン脂質(質量比)、組成物中の水分含量(質量%)、組成物中の油分含量(質量%)について、表2に記載した。
Figure 2014075997
Figure 2014075997
<ドーナツの製造>
〔実施例3〕
得られた上記油菓子練込用乳化油脂組成物Aを用いて、下記に示す配合及び製法によりドーナツ生地、さらにドーナツを製造した。得られたドーナツについて、20℃にて1日保管後の食感及び油性感について、下記評価基準に従って4段階で評価し、結果を表3に示した。また、フライ前のドーナツ生地の油分含量及びフライ後のドーナツの油分含量を測定し、その差を吸油量とし、結果を併せて表3に記載した。
[ドーナツの配合・製法]
強力粉80質量部、薄力粉20質量部、生イースト3質量部、イーストフード0.1質量部、ベーキングパウダー2質量部、上白糖15質量部、食塩1.5質量部、脱脂粉乳3質量部、全卵(正味)8質量部及び水46質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で4分、中速で3分混合した。ここで、油菓子練込用乳化油脂組成物15質量部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で4分、高速で1分ミキシングを行ない、ドーナツ生地を得た。得られたドーナツ生地の捏ね上げ温度は24℃であった。ここで、フロアタイムを40分とった後、2℃の冷蔵庫で一晩リタードし、リバースシーターにて4つ折り2回実施し、麺帯生地とした。いったん2℃の冷蔵庫で60分リタードした後、リバースシーターを用いて生地厚5mmまで圧延し、直径80mmのセルクルで打ち抜き成形し、展板に並べた後、33℃、相対湿度65%で50分ホイロをとった後、ラックタイム10分おいて、180℃に設定したフライヤーに入れ片面90秒ずつフライし、ドーナツを得た。
[評価基準]
・食感(歯切れ)
◎:歯切れが極めて良好
○:歯切れが良好
△:ややねちゃつく
×:ねちゃつきが激しい
・食感(油性感)
◎:極めて良好
○:良好
△:やや油性感を感じる
×:油性感が強く不快である
〔実施例4〕
油菓子練込用乳化油脂組成物Aに代えて油菓子練込用乳化油脂組成物Bを使用し、生地水分の統一のため、水の配合量を46質量部から45.2質量部に変更した以外は実施例3の配合・製法に従って、ドーナツ生地、さらにドーナツを製造した。得られたドーナツについて、実施例3同様の評価を行い、結果を表3に記載した。
〔比較例2〕
油菓子練込用乳化油脂組成物Aに代えて油菓子練込用乳化油脂組成物Cを使用し、生地水分の統一のため、水の配合量を46質量部から42.7質量部に変更した以外は実施例3の配合・製法に従って、ドーナツ生地、さらにドーナツを製造した。得られたドーナツについて、実施例3同様の評価を行い、結果を表3に記載した。
Figure 2014075997
表3の結果を見るとわかるとおり、水相中に下記の(1)及び(2)成分を含有する油菓子練込用乳化油脂組成物を使用すると、軽く歯切れのいい食感であり、吸油が抑制され、油性感が低減された油菓子を得ることができることがわかる。
(1)オリゴ糖及び/又はデキストリン
(2)グリセリンモノ脂肪酸エステル及び/又はリン脂質
尚、実施例1と実施例2を比較するとわかるように、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを使用すると、水相中の(2)成分を減じても、減じる前と同等の油菓子が得られることがわかる。
一方、実施例1及び実施例2と比較例1を比較するとわかるとおり、水相中に(1)(2)成分を含有しない油菓子練込用乳化油脂組成物を使用すると、吸油量が多く、また、得られる油菓子が十分な品質とならないことがわかる。

Claims (9)

  1. 水相中に下記の(1)及び(2)成分を含有することを特徴とする油菓子練込用乳化油脂組成物。
    (1)オリゴ糖及び/又はデキストリン
    (2)グリセリンモノ脂肪酸エステル及び/又はリン脂質
  2. 水分含量が10〜65質量%である請求項1に記載の油菓子練込用乳化油脂組成物。
  3. 上記水相と油相との質量比率(前者:後者)が20:80〜80:20であり、上記水相中において、水相量基準で、上記(1)成分の含有量が10〜50質量%であり、上記(2)成分の含有量が以下のとおりである請求項1又は2に記載の油菓子練込用乳化油脂組成物。
    (2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルのみ使用の場合、水相量基準で10〜30質量%
    (2)成分としてリン脂質のみ使用の場合、水相量基準で0.1〜2質量%
    (2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルとリン脂質を併用する場合、水相量基準で5〜20質量%
  4. 更に下記の(3)成分を0.5〜5質量%(組成物基準)含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の油菓子練込用乳化油脂組成物。
    (3)ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル
  5. 上記水相と油相との質量比率(前者:後者)が20:80〜80:20であり、上記水相中において、水相量基準で、上記(1)成分の含有量が3〜30質量%であり、上記(2)成分の含有量が以下のとおりであり、上記の(3)成分の含有量が組成物基準で0.5〜5質量%である請求項1又は2に記載の油菓子練込用乳化油脂組成物。
    (2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルのみ使用の場合、水相量基準で1〜10質量%
    (2)成分としてリン脂質のみ使用の場合、水相量基準で0.1〜2質量%
    (2)成分としてグリセリンモノ脂肪酸エステルとリン脂質を併用する場合、水相量基準で1.1〜12質量%
  6. 上記水相中における上記オリゴ糖と上記デキストリンとの質量比が、50:50〜99:1である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の油菓子練込用乳化油脂組成物。
  7. 上記水相中における上記グリセリン脂肪酸エステルと上記リン脂質との質量比が、80:20〜98:2である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の油菓子練込用乳化油脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の油菓子練込用乳化油脂組成物を使用した油菓子生地。
  9. 請求項8に記載の油菓子生地を成形した後、フライ処理してなる油菓子。
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