JP2689820B2 - 低油分クリーム及びその製造法 - Google Patents
低油分クリーム及びその製造法Info
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Description
脂を含む乳化物と、乳脂含有乳化物とを混合してなる低
油分クリームと、その製造法に関するものである。
康志向の高まりから、食品の低カロリー化、ライト化、
ソフト化などが要求されてきた。
ク味といった点で他に類するものがない程優れている
が、高脂肪のものが多いため最近の低カロリー志向には
必ずしも適合していなかった。さらに、物性が不安定で
あり高価でもあった。
したホイップ用クリームを作成するようになった。この
ようなホイップ用クリームは、生クリームよりも低カロ
リーにすることが可能ではあるが、それでも、油分がク
リーム全体に対して40%を越えていないと、ホイップ
した後の物性は安定し難いものであったので、油分を低
減させて、よりカロリーの低いクリームを作成する試み
が行われてきた。すなわち、特公昭62─118855
号、特公昭63─32421号、特開昭64─5105
4号などでは、クリームに特定の乳化剤を選択的に多量
加える方法が、また、特開平2─100646号では、
クリームに含まれるラウリン系油脂の量及び油脂のSF
Cを規定して低油分クリームを製造する方法が提案され
ている。
用クリームは、多量の乳化剤の為に風味が著しく損なわ
れたものであったり、ホイップ後の口溶けの悪い、冷感
のないものであったりした。また、口あたりはライトで
あるが、生クリームのもつ優れた風味、コク味といっ
た、食品のもつ本来の「旨さ」を感じるものにはならな
かった。
型のトリグリセリドに富む油脂とラウリン系の油脂を混
合したクリーム用油脂を使用した低油分クリームを発明
し、先に出願した(特願平4─118160号)。
性、食感の改善された低油分クリームが得られた。さら
に、これに生クリームの風味、コク味を付与する目的
で、乳脂や生クリームを原料中に加えると、それらの加
配量が増すにつれて、ホイップ後のクリームの保形性
や、造花性が低下してくるなど先の発明の効果が減じる
ことがわかった。
肪含有の低油分クリームであっても、良好にホイップで
き、ホイップした後のオーバーラン、造花性などが良好
で、常温での耐性があり、かつ生クリームのもつ良好な
風味、コク味の付与された低油分クリームとその製造法
を提供する点にある。
に、先の発明のSUS型のトリグリセリドに富む油脂に
ラウリン系の油脂を混合したクリーム用油脂と生クリー
ムを併用することにつき、さらに種々検討を行ったとこ
ろ、全原料を合一的に乳化するのではなく、上記特定油
脂の乳化物と生クリームとを別個に調製した後、混合す
ること、すなわち互いの油滴粒子がほとんど一体化しな
いことにより、ホイップ性が良好で、常温耐性に優れ、
口溶けがよく、かつ、風味、コク味とも天然の生クリー
ムに劣らない低油分クリームが作成できた。この発明
は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
トリグリセリドを25%以上、ラウリン系油脂を5〜6
0%含む乳化物(A) 〔以下乳化物(A) と略す〕と、乳脂
含有乳化物(B) 〔以下乳化物(B) と略す〕を混合するこ
とを骨子とする低油分クリームの製造法及び、全油脂中
にSUS型トリグリセリドを20%以上、ラウリン系油
脂を5〜60%、乳脂を5〜25%含有する低油分クリ
ームに関するものである。なお、この明細書中、配合量
に係る%は重量%を意味する。
質、水などの基礎原料を含む起泡性の水中油型もしくは
水中油中水型の乳化物をいう。このクリームは、”ホイ
ップ用クリーム”とも呼ばれ、これを泡立器具、又は専
用のミキサーを用いて空気を抱き込ませるように攪拌し
たとき、俗に”ホイップド・クリーム”または”ホイッ
プクリーム”と称されるものになる。
(B) はクリームと同様、油脂、蛋白質、水などを含む。
平4─118160号)と同様に作成できる。
リセリドに富む油脂とラウリン系の油脂とから成る。S
US型のトリグリセリドに富む油脂としては、例えば、
パーム油、イリッペ脂、シア脂、それらの硬化もしくは
分別油脂、または2位が不飽和脂肪酸に富む油脂の1,
3位に飽和脂肪酸を導入して得たエステル交換脂などが
例示できる。SUS型油脂とは、2─不飽和1,3─ジ
飽和トリグリセリドのことであり、脂肪酸残基の炭素数
は8〜22(少量の短鎖脂肪酸を含んでいてもよい)で
ある。2位の不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノ
ール酸、リノレン酸などが例示できる。
核油、またはその硬化、分別、エステル交換を実施した
油脂などが例示できる。
S型トリグリセリドを25%以上、好ましくは35%以
上とする。さらにラウリン系油脂を5〜60%となるよ
うに配合する。SUS型トリグリセリドが少なすぎた
り、ラウリン系油脂が多すぎたりすると、最終的に得ら
れるクリームがホイップしがたく、また、ラウリン系油
脂が少なすぎると、クリーム製造工程において乳化破壊
をおこしやすい。さらに、他の油脂を少量加えてもよい
が、乳化物(A) 中の油脂全体としては、体温付近でシャ
ープな融解特性をもたせるために油脂のSFCが5℃で
50%以上、15℃で40%以上であるように配合する
のが好ましい。
下、10〜30%であることが好ましい。乳化物(A) 中
の油脂含量が35%越えると、通常高油分である生クリ
ームを併用する場合、全クリームの油分が高くなりクリ
ームがボテやすくなる。
例として、脱脂粉乳、全脂粉乳などの粉乳、濃厚獣乳等
が挙げられる。これらは低油分クリームへの乳味感を付
与する。使用量は、一般に、無脂固形分として乳化物
(A) 全体に対し、3〜8%、好ましくは4〜7%使用す
るのがよい。
化剤を共存させることもできる。塩類は公知のクリーム
用の塩類、例えば、リン酸のアルカリ金属塩、クエン酸
のアルカリ金属塩などを用いることができる。また、乳
化剤も、例えば、大豆レシチン、ジアセチル酒石酸モノ
グリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂
肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなど公知のも
のを使用することができ、特に、ジアセチル酒石酸モノ
グリセリドを使用すると、オーバーラン、食感などがよ
り良い低油分クリームを得ることができる。これらの添
加量は乳化物(A) 全体に対して塩類が0.1%程度、乳化
剤が1%程度の少量でよい。
またはイミテーションクリームの製造法に従って製造で
きる。すなわち、乳化物(A) の上記各組成は、公知の乳
化方法によって乳化されるが、単なる予備乳化的なもの
にとどまるよりは、油滴粒子を可及的微細にする条件で
実施するのがよく、通常は、予備乳化の後に公知の方法
で均質化を行い、乳化しておくのがよい。この乳化を行
うことなく、上記各組成を生クリーム等と混合すると、
生クリーム等の使用量にもよるが、その後均質化処理を
行っても得られる乳化物は、ホイップしなかったり、ホ
イップしても保形性、造花性が悪く、また、生クリーム
の風味、コク味の付与の程度も弱いのである。均質化
は、殺菌に前後する所謂前均質、後均質、または両者を
組み合わせた二段均質を採用することができる。殺菌
は、公知の方法、例えば数秒程度の超高温加熱殺菌(U
HT)を実施することができるが、乳化物(A) の調製段
階で殺菌することは必須ではない。
所謂生クリームが使用でき、通常殺菌した状態の市販品
で入手することができる。生クリームの油分含量は通常
45〜47%である場合が多いが、もとよりこのような
油分には限定されない。また、乳化物(B) は、乳脂、全
脂粉乳、脱脂粉乳などの乳固形分などを使用して、任意
の油脂含量のクリームに再構成したものであってもよ
い。
る。混合割合は任意であるが、乳化物(B) の乳化物(A)
に対する比率は、1.2 重量倍以下、好ましくは0.2 〜1
重量倍とし、最終的にクリーム中の全油分が40%以下
の低油分であるようにする。
(A) が乳化されていれば何れの工程においても混合する
ことができ、好ましくはその後均質化する。より好まし
くは乳化物(A) を殺菌、均質化した後無菌的に混合する
のがよい。
を行い低油分クリームを得る。上記のようにしてられた
クリームは、一般にクリームの全油脂中のSUS型トリ
グリセリドが10〜70%、ラウリン系油脂が2〜45
%、乳脂が10〜75%の範囲であり、通常好ましく
は、SUS型トリグリセリドが15〜50%、ラウリン
系油脂が5〜25%、乳脂が30〜70%である。乳脂
が10%未満であっても、クリームの物性には何ら影響
を与えるものではないが、風味、コク味の付与はわずか
であり、75%を超えると起泡性及び起泡後の保形性も
低下する。
〜3に記した配合方法に従って低油分クリームを製造し
た。さらに、ホイップする前のクリームを20℃で2時
間インキュベートし、その後5分攪拌した時のボテ発生
の有無、ホイップした後の0ーバーラン、5〜20℃で
の保形性などを評価した。ホイップは、ケンウッドミキ
サーを使用して行った。また比較実験を行った結果を比
較例1に示した。各例は単に例示であって、発明精神の
限定または制限を意図したものではない。なお、配合量
の部、比、及び%は何れも重量基準で、%はそれぞれの
乳化物に対する割合で表した。
のと、水に乳固形分、塩類を加えて水相としたものとを
混合し、高速ミキサー中、70℃で20分間予備乳化し
た後、70kg/cm2 の加圧条件下に均質化して、1
45℃、数秒程度の超高温加熱殺菌(UHT)した。そ
の後、70kg/cm2 の加圧条件下に均質化して乳化
物(A) を得た。乳化物(B) は、油分45%に調整した殺
菌済の生クリームを使用した。乳化物(A):乳化物(B) を
80:20で混合し、冷却後、約24時間エージングす
ることにより低油分クリームを作成した。
油20部の混合油脂で、SUS型トリグリセリド含量は
56.0%である。
となく乳化状態は良好であった。ホイップ時間は2分2
8秒で、オーバーラン121.8%の起泡物が得られ、保
形性も良好であった。また、口溶けが良好で、天然の生
クリームのように風味が極めてよく、コク味を有したも
のであった。
相としたものと、水に乳固形分、塩類を加えて水相とし
たものとを混合し、高速ミキサー中、70℃で20分間
予備乳化した後、70kg/cm2 の加圧条件下に均質
化して乳化物(A) を得た。ここで、実施例1と同様の乳
化物(B) を乳化物(A) と乳化物(B) が80:20となる
ように混合した後、145℃、数秒程度の超高温加熱殺
菌(UHT)した。再度70kg/cm2 の加圧条件下
に均質化して冷却後、約24時間エージングすることに
より低油分クリームを作成した。この低油分クリーム
は、ボテを発生することなく乳化状態は良好であった。
ホイップ時間は2分01秒で、オーバーラン125.0%
の起泡物が得られ、保形性も良好であった。また、口溶
けが良好で、天然の生クリームのように風味が極めてよ
く、コク味を有したものであった。
れた。また、乳化物(B) は実施例1と同じものを使用し
た。乳化物(A):乳化物(B) が60:40となるように混
合し、145℃、数秒程度の超高温加熱殺菌(UHT)
した後、70kg/cm2 の加圧条件下に均質化して冷
却後、約24時間エージングすることにより作成した。
この低油分クリームは、ボテを発生することなく乳化状
態は良好であった。ホイップ時間は1分37秒で、オー
バーラン125.0%の起泡物が得られ、保形性も良好で
あった。また、口溶け、風味も良く、コク味を有したも
のであった。
れた。また、乳化物(B) は実施例1と同じものを使用し
た。乳化物(A):乳化物(B) が50:50となるように混
合し、145℃、数秒程度の超高温加熱殺菌(UHT)
した後、70kg/cm2 の加圧条件下に均質化して冷
却後、約24時間エージングすることにより作成した。
この低油分クリームは、ボテを発生することなく乳化状
態は良好であった。ホイップ時間は1分37秒で、オー
バーラン125.2%の起泡物が得られたが、保形性は実
施例1及び2の低油分クリームに比べると若干悪かっ
た。しかし、口溶け、風味は良く、コク味を有したもの
であった。
乳化を行う前に実施例1と同様の乳化物(B) を、乳化物
(A) の全原料: 乳化物(B) が80:20となるように混
合した。この混合物を高速ミキサー中、70℃で20分
間予備乳化した後、70kg/cm2 の加圧条件下に均
質化した。そして、実施例1と同様の条件で殺菌、再度
均質化を行って低油分クリームを得た。このクリーム
は、実施例1から3ほどの優れた風味やコク味を呈して
いないうえにホイップしなかった。
む油脂を、蛋白質、水、乳化剤などと混合し、乳化後
に、生クリームなど、乳脂を含有する乳化物と混合する
と、互いの油的粒子がほとんど一体化することなく、そ
れぞれの特性、すなわち、一旦強い機械的な攪拌を受け
ると解乳化性に優れたSUS型トリグリセリドの層が現
れ、良好なホイップ性を示すといった低油分系における
0者の特性と、極めて優れた風味、コク味を呈するとい
った後者の特性とを充分に生かすことができる。
もかかわらず、通常の高油分のホイップ用クリームと同
様の泡沫特性、すなわち、ホイップした後のオーバーラ
ン、造花性、保形性、常温耐性などが良好で、かつ天然
の生クリームに匹敵するような風味、コク味のある低油
分クリームとその製造法を提供することが可能になった
のである。
Claims (3)
- 【請求項1】 油脂中にSUS型トリグリセリドを25
%以上、ラウリン系油脂を5〜60%含む乳化物(A)
と、乳脂含有乳化物(B) を混合することを特徴とする低
油分クリームの製造法。 - 【請求項2】 全クリーム中の油分が40%以下である
請求項1記載の低油分クリームの製造法。 - 【請求項3】 全油脂中にSUS型トリグリセリドを1
0〜70%、ラウリン系油脂を2〜45%、乳脂を10
〜75%含有する低油分クリーム。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP4170239A JP2689820B2 (ja) | 1992-06-03 | 1992-06-03 | 低油分クリーム及びその製造法 |
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-
1992
- 1992-06-03 JP JP4170239A patent/JP2689820B2/ja not_active Expired - Fee Related
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