JPH11196802A - チョコレート成分含有水中油型乳化物及びその製造法 - Google Patents
チョコレート成分含有水中油型乳化物及びその製造法Info
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Abstract
にもかかわらず、粘度の上昇やボテが発生せず、また起
泡安定性に優れ、作業性が良好である、チョコレート成
分含有の水中油型乳化物を提供するを目的とする。 【解決手段】全油脂中にSUS型トリグリセリドを25
〜70重量%含み、SFCが10℃で50%以上、20
℃で20%以上である油脂を油脂成分として含むチョコ
レート成分含有水中油型乳化物及びその製造法。
Description
水中油型乳化物及びその製造法に関し、詳しくは全油脂
中の油脂が特定の組成をもつ、乳化安定性及び作業性が
良く、ホイップ後の物性が安定であり、チョコレート風
味と口溶けの優れた、起泡性を有するチョコレート成分
含有水中油型乳化物(「ガナッシュ」ともいう)及びそ
の製造法に関する。
いられるチョコレート含有のホイップ用クリームは、ガ
ナッシュと呼ばれ、通常、クリームをホイップしたもの
に、細かく刻んで加温融解したチョコレートを加えて製
造される。
造は、チョコレートの混合割合、温度、混合具合の違い
により状態が大きく変化するため、高度の熟練を要す
る。
作成した無菌のガナッシュを製造する技術が提案され、
ガナッシュが大量生産されるようになった(特開昭58-1
29944 号公報、特開昭59-28447号公報、特開昭60-58052
号公報)。
有するため粘性が高くなり易く、またボテ(塑性状態
化)を発生し易いという特性を有しているので、物性を
安定にするために配合油脂にラウリン系油脂以外の硬化
油脂を多く使用しており、そのためホイップ後の食感や
口溶けの悪いものが多かった。
るために、油脂のSFC(固体脂含有指数曲線)がシャ
ープなラウリン系油脂を多く配合すると、ホイップ時に
気泡量が多くなりフワフワしてコシのないものになり、
チョコレート風味が薄くなる傾向を呈する。
は、2−不飽和−1,3−ジ飽和トリグリセリドであ
る、SUS型トリグリセリドを非常に多く含み、そのS
FCは非常にシャープである。そのため、チョコレート
そのものの口溶けは非常にシャープであり、そのことが
チョコレートの特徴ともなっている。
口溶けが良好なことは、その品質にとって非常に重要な
点である。しかし、起泡性乳化物の口溶けを良くするた
めに、SUS型トリグリセリドを利用した場合、一般
に、乳化破壊が起こり易く、ボテを発生し易くなる。ま
た、チョコレート成分を多く含むガナッシュでは、特
に、粘度が高くなり、ボテが非常に発生し易いため、S
US型トリグリセリドを使用することは、チョコレート
成分含有のクリーム用の油脂原料として不適当であると
いわれていた。
脂中にSUS型トリグリセリドを25%以上、ラウリン
系油脂を5〜60%含むクリーム用油脂を使用した、風
味、口溶けの良好な低油分クリームが提案されているが
(特開平5-219887号公報)、このようなクリームにチョ
コレートを加えると粘性が高くなり、ボテが発生し易く
なってしまうと考えられ、試みられなかった。
の風味や食感、口溶けが良好であるにもかかわらず、粘
度の上昇やボテが発生せず、また、起泡安定性に優れ、
作業性が良好である、チョコレート成分含有の水中油型
乳化物を提供するものである。
意研究した結果、チョコレート成分由来のココアバター
を含めた、全油脂中のSUS型トリグリセリドの使用量
を規定することによって、上記欠点を克服することがで
きるという知見を得た。そして、これらの結果より、ホ
イップ後の風味や食感、口溶けが良好であるにもかかわ
らず、粘度の上昇やボテが発生せず、また、起泡安定性
に優れ、作業性が良好な、チョコレート成分含有の水中
油型乳化物を得ることに成功した。
リセリドを25〜70重量%含み、SFCが10℃で5
0%以上、20℃で20%以上である油脂を油脂成分と
して含むチョコレート成分含有水中油型乳化物、及び、
乳化物中の油脂成分がSUS型トリグリセリドを25〜
70重量%含み、且つSFCが10℃で50%以上、2
0℃で20%以上となる要件を満足するようにSUS型
トリグリセリドに富む油脂を使用し、チョコレート成分
及び水性成分とを使用してこれらを混合乳化し、その
後、殺菌、冷却することを特徴とするチョコレート成分
含有水中油型乳化物の製造法、である。
ては、ココアバター、パーム油、イリッペ脂、シア脂、
それらの硬化もしくは分別油脂、又は、2位が不飽和脂
肪酸に富む油脂の1,3位に飽和脂肪酸を導入して得た
エステル交換油などが例示できる。SUS型トリグリセ
リドとは、2−不飽和1,3−ジ飽和トリグリセリドの
ことであり、脂肪酸残基の炭素原子数は8〜22個(少
量の短鎖脂肪酸を含んでいてもよい)である。2位の不
飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレ
ン酸などが例示できる。
てできた乳化物中の、全油脂中に含まれるSUS型トリ
グリセリドが、全油脂分に対して25〜70重量%、好
ましくは30〜68重量%含まれる。SUS型トリグリ
セリドが25重量%未満ではホイップ時間が非常に長く
て気泡量が多くなり易く口溶けが悪化する傾向にある。
なお、気泡量が多くなると口当たりがソフトになるが、
反面、意図に反して口溶けが悪く、口中でもたつくよう
な感じになり、恰も紙を噛んでいるような食感を生ず
る。逆に、SUS型トリグリセリドが70重量%を越え
ると乳化破壊が起こり、ボテ易くなる。また、口溶けが
シャープで保形性を損なわないガナッシュを得るため
に、当該油脂はSFCが10℃で50%以上、20℃で
20%以上でなければならない。
の要件を満足する範囲内において、SUS型トリグリセ
リドに富む油脂に他の油脂が含まれていても良い。この
ような油脂原料としては、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ
種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラ
ワー油、オリーブ油、胡麻油、パーム油、シア脂、ヤシ
油、パーム核油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、豚
脂、魚油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類をその
まま、もしくは硬化、分別、エステル交換等を施した加
工油脂を混合使用することができる。
ては、ココアバター、カカオマス、ココアパウダー、ス
ィートチョコレート、ミルクチョコレート等が例示で
き、これらの一種又は二種以上を、3〜40重量%とな
るように使用する。3重量%より少ないとチョコレート
の風味が弱く、40重量%より多くなると、粘度が高く
なり、起泡性が低下し、好ましくない。
油相と水相及びチョコレート成分とを乳化剤の存在下に
混合し、65〜75℃にて15〜30分ホモミキサー等
により予備乳化した後、0〜150kg/cm2 の条件
下にて均質化する。次いで超高温瞬間殺菌処理(UHT
処理)した後、再度、0〜150kg/cm2 の条件下
にて均質化し、冷却後、約24時間エージングする。但
し、均質化は殺菌処理の前又は後の何れか一方でも、両
方を組み合わせた二段均質化処理でも良い。
肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン
グリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エス
テル、蔗糖脂肪酸エステル等が例示でき、これらの中か
ら親油性のものと親水性のものを適宜組み合わせて使用
するのが好ましい。その添加量は全成分に対して0.0
5〜2.0重量%で併用するのが適当であり、0.05
重量%より少ないと乳化剤としての効果を得難く、2.
0重量%以上であれば、ボテ易く、風味が悪くなる傾向
を示す。
感付与と、乳化安定化のために全成分に対し1〜15重
量%、好ましくは2〜10重量%使用することができ
る。これらの無脂乳固形分としては脱脂粉乳、全脂粉
乳、生クリーム、加糖練乳などが例示でき、脱脂粉乳あ
るいは全脂粉乳はこれらの粉乳をメイラード処理したも
のであっても良い。
するのが好ましく、ヘキサメタリン酸塩、第2リン酸
塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸塩、重曹等を単独
又は二種以上を使用することが望ましい。
てもよく、糖類としては蔗糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、
麦芽糖、転化糖あるいはソルビトール等の糖アルコー
ル、コーンシロップ、水飴等の液糖類が例示でき、これ
らの一種又は二種以上を用いても良い。その他、ゼラチ
ン、澱粉、加工澱粉、カラギーナン、ペクチン、ガム質
(ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガ
ム、カラヤガム、トラガントガム、アラビアガム)等を
安定剤として適宜使用することができる。
のため、チョコレート成分を水相下で酵素処理したもの
を使用することができる。酵素としては、アミラーゼ、
殊にα−アミラーゼが有効であり、例えばクライスター
ゼL1、クライスターゼT5、コクゲンT、(何れも商
品名、大和化成(株)製)等が例示でき、全製品成分に
対し、0.01〜1.0重量%の添加で有効である。な
お、チョコレート成分を酵素処理する方法に関しては本
出願人が既に提案済みである(特開昭60-58052号公
報)。
油型乳化物は、保型性、造花性に優れており、パン、菓
子、ケーキ等の洋菓子全般に使用できる。また、粘度の
増加、ボテの発生が抑えられ、風味、口溶け共に良好な
チョコレート風味のホイップクリームが得られる。
一層明瞭にするが、本発明の精神が以下の例示によって
限定されるものではない。特に、添加剤の添加順序或い
は油相を水相へ又は水相を油相へ加える等の乳化順序が
以下の例示によって限定されるものではないことは言う
までもない。なお、配合量の部及び%は何れも重量基準
である。
ート類(例えばチョコレートそのものような油脂含量の
高いチョコレート成分)、親油性乳化剤を加え油相とし
たものと、水に乳固形分、糖類、チョコレート類(例え
ばココアのような油脂含量の低いチョコレート成分)、
塩類、親水性乳化剤を加え水相としたものを混合し、酵
素を添加する。高速ミキサーで攪拌しながら、70℃で
30分間予備乳化した後、149℃、数秒程度の超高温
加熱殺菌(UHT処理)し、その後、30kg/cm2
の均質化し、冷却後、約24時間エージングすることに
より作成した。
た。 (1)ホイップタイム:カントーミキサーを使用し、ク
リーム5kgをホイップし、最適起泡状態に達するまで
の時間。 (2)オーバーラン:〔(一定容積のクリーム重量)−
(一定容積の起泡後のクリーム重量)〕÷(一定容積の
起泡後のクリーム重量)×100 (3)保型性:造花したホイップドクリームを15℃で
24時間放置した場合の外観の美しさ。 (4)ボテ:ホイップするクリームを20℃で2時間イ
ンキュベートし、その後5分攪拌(180 rpm )した時の
ボテの発生の有無を確認。 (5)保存性:クリームを5℃に7日間保存したときの
状態。
US型トリグリセリドの使用量を規定することによっ
て、ホイップ後の口溶け、風味が良好であるにもかかわ
らず、粘度の上昇やボテが発生せず、また、起泡安定性
に優れ、作業性が良好なチョコレート成分含有の水中油
型乳化物を得ることが可能になったのである。
Claims (4)
- 【請求項1】全油脂中にSUS型トリグリセリドを25
〜70重量%含み、SFCが10℃で50%以上、20
℃で20%以上である油脂を油脂成分として含む、チョ
コレート成分含有水中油型乳化物。 - 【請求項2】チョコレート成分を、乳化物全量に対し3
〜40重量%含む、請求項1記載の乳化物。 - 【請求項3】乳化物中の油脂成分がSUS型トリグリセ
リドを25〜70重量%含み、且つSFCが10℃で5
0%以上、20℃で20%以上となる要件を満足するよ
うにSUS型トリグリセリドに富む油脂を使用し、チョ
コレート成分及び水性成分とを使用してこれらを混合乳
化し、その後、殺菌、冷却することを特徴とする、チョ
コレート成分含有水中油型乳化物の製造法。 - 【請求項4】殺菌前後の何れか一方または両方で均質化
処理する、請求項3記載の製造法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP00463698A JP3391246B2 (ja) | 1998-01-13 | 1998-01-13 | チョコレート成分含有水中油型乳化物及びその製造法 |
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- 1998-01-13 JP JP00463698A patent/JP3391246B2/ja not_active Expired - Lifetime
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