JP3206507B2 - 水中油型乳化物の製造法 - Google Patents

水中油型乳化物の製造法

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JP3206507B2 JP22125497A JP22125497A JP3206507B2 JP 3206507 B2 JP3206507 B2 JP 3206507B2 JP 22125497 A JP22125497 A JP 22125497A JP 22125497 A JP22125497 A JP 22125497A JP 3206507 B2 JP3206507 B2 JP 3206507B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水中油型乳化物に
関し、詳しくは特定の組成をもつ乳化物と乳脂含有乳化
物とを混合して、生クリームのもつ良好な風味とコク味
及び良好なキメとみずみずしい食感を備えもつ、クリー
ム物性に優れた水中油型乳化物を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】生乳から得られる生クリームは、風味、
コク味といった点で他に類するものがない程優れている
が、物性が不安定であり高価でもある。一方、風味の点
では生クリームに劣るが、植物性油脂を使用したいわゆ
る植物性クリームは乳化状態が生クリームに比べて遙に
安定しており、従来より起泡性クリームあるいはコーヒ
ークリームとして多量に生産されている。通常このよう
な植物性クリームは乳化剤や安定剤を使用して製造する
のが一般的であり、植物性クリームが安定なのは、複数
の乳化剤とリン酸塩やクエン酸塩等の安定剤を使用する
からである。例えば、植物性クリームは油脂分として植
物性油脂と水、無脂乳固形分、各種乳化剤、および安定
剤等を使用して予備乳化、均質化、殺菌、冷却、エージ
ングなどの処理を施して製造されるが、一般に安定剤と
してリン酸あるいはクエン酸のアルカリ金属塩等が0.
1〜1重量%程度使用される。
【0003】また、乳化剤としては大豆レシチン、卵黄
レシチンなどのいわゆる天然乳化剤と蔗糖脂肪酸エステ
ル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エス
テル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリ
コール脂肪酸エステルなどのいわゆる合成乳化剤(以
下、これらの乳化剤を合成乳化剤と記す)が組み合わさ
れて使用されており、その総使用量は乳化物全量に対し
概略1〜5重量%程度である。このようなリン酸塩やク
エン酸塩等の安定剤あるいは合成乳化剤の使用は、良好
なクリーム物性(オーバーラン、作業性、キメなど)を
得るためには不可欠と考えられている(日高徹著,「食
品用乳化剤」「食品添加物の常識」,幸書房)。一方
で、このような乳化剤、特に合成乳化剤はクリームの風
味上好ましからざるものである。
【0004】また他方において、以前より水中油型乳化
物の主として風味を改善する目的で卵黄の使用が提案さ
れてきた(特開昭60-62951号公報,特開昭62-40257号公
報,特開昭62-215356 号公報)。しかしながら、このよ
うな卵黄は殺菌処理に際し卵黄中に含まれる蛋白質成分
が急激に変性して凝集し、その殺菌ラインにおいてスケ
ーリング等が生じ、クリームの製造が困難になるだけで
なく、卵黄が焦げて硫黄臭が強くなり、得られた製品の
風味が悪くなるという問題が生じていた。そして、この
ような問題点を解決するために卵黄を予備加熱して卵黄
中に含まれる蛋白質成分を予備変性させるという提案が
なされた(特開平4-281745号公報)。
【0005】このような状況下において、最近特に消費
者の「健康」意識の増加、天然志向の高まりから、この
ような合成乳化剤とリン酸塩やクエン酸塩等の安定剤の
未使用、または低減させた食品の開発が望まれている
が、未だ生クリームのもつ良好な風味とコク味及び良好
なキメとみずみずしい食感を備えもつ、クリーム物性に
優れた水中油型乳化物は開発されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、リン
酸塩やクエン酸塩等の安定剤を使用しなくても、生クリ
ームのもつ良好な風味とコク味及び良好なキメとみずみ
ずしい食感を備えもつ、クリーム物性に優れた水中油型
乳化物を製造する方法を提供することである。又、風味
的に好ましからざる合成乳化剤を使用しても、あるいは
使用しなくても、同様に優れた風味物性を与える水中油
型乳化物を製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成すべく鋭意研究した結果、カゼイネートと卵黄油
を特定量使用することによって、従来よりクリームの製
造のために必須成分として使用されてきたリン酸塩やク
エン酸塩等の安定剤を使用しなくても、クリームの基本
物性を保持したまま、良好な風味と生クリームのような
みずみずしい食感を与えると共に乳化安定性に優れた水
中油型乳化物を製造することができることの知見を得
た。本発明者らはかかる知見を基にして作成した乳化物
に生クリームの風味、コク味を付与する目的で乳脂や生
クリームを原料中に加えると、それらの乳脂や生クリー
ムを加えた割りには風味やコク味の付与効果が得られな
いということがわかった。そこでさらに研究を続けた結
果、全原料を合一的に乳化するのではなく、上記特定組
成の乳化物と生クリームとを別個に調製した後、混合す
ること、すなわち互いの油滴粒子がほとんど一体化しな
いことにより、ホイップ性が良好で、常温耐性に優れ、
口溶けがよく、かつ風味、コク味とも天然の生クリーム
に劣らないクリームを作成することができるという知見
を得た。本発明はかかる知見に基づいて完成されたもの
である。
【0008】すなわち本発明は、40〜80重量%の水
相と20〜60重量%の油相からなり、0.1〜2.0
重量%のカゼイネート、0.1〜10重量%の卵黄油、
2〜10重量%の無脂乳固形分を含む水中油型乳化物
(A)と、乳脂含有乳化物(B)を混合することを特徴
とする水中油型乳化物の製造法、である。
【0009】本発明において、乳化物(A)で使用され
る油脂原料として例えば、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ
種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラ
ワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、
パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム
核油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨
油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類の単独または
混合油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換等を
施した加工油脂(融点15〜40℃程度のもの)が例示
できる。油脂含量としては20〜60重量%が好まし
い。
【0010】また、無脂乳固形分としては、脱脂乳、脱
脂粉乳、ホエー蛋白、乳糖などが使用できる。乳固形分
はクリームに乳味感を付与するのに重要であり、無脂乳
固形分として乳化物(A)全量に対し、2〜10重量
%、好ましくは3〜8重量%程度使用する。
【0011】カゼイネートは、カゼインの金属塩であ
り、高い溶解性を持つ蛋白質であり、種々のカゼイン塩
類、例えば市販のカゼインNa、カゼインK,カゼイン
Ca、カゼインMgなどが使用できる。また、多少の酵
素分解された物や、脱脂乳からカゼイネート成分と乳清
蛋白成分を回収した乳蛋白などであっても、カゼインの
金属塩を含むものであれば使用できる。その添加量は乳
化物(A)全量に対し、0.1〜2.0重量%、好まし
くは0.2〜2.0重量%の範囲内で使用する必要があ
る。下限未満では効果を得難く、逆に上限を越えると風
味的に悪化させる傾向にあるので好ましくない。
【0012】卵黄油は、一般には生卵黄に抽出溶剤を加
えて抽出、濾過して卵黄蛋白質を除去した後、溶剤を完
全に除去して抽出卵黄油を得、これを乾燥して水分を除
去することにより得られ、中性脂肪を約70〜80重量
%、リン脂質を約20〜30重量%含有する卵黄色、卵
黄臭を有する液体であって、市販品を容易に入手し使用
できる。なお、リン脂質中にはフォスファチジルコリン
もしくはリゾフォスファチジルコリンが約80重量%、
フォスファチジルエタノールアミンもしくはリゾフォス
ファチジルエタノールアミンが約20〜25重量%含ま
れる。このような卵黄油はフォスフォリパーゼやリパー
ゼ等の酵素で処理した酵素処理卵黄油(就中、フォスフ
ォリパーゼで処理した卵黄油)であっても使用すること
ができ、乳化物(A)全量に対し0.1〜10重量%使
用するのが好ましい。下限未満では効果を得難く、上限
を越えて使用すると卵黄の風味が強すぎるようになるの
で好ましくない。
【0013】また、乳化物(A)においては公知の乳化
剤を併用することができ、大豆レシチンや卵黄レシチ
ン、またはそれらの酵素分解物、あるいは蔗糖脂肪酸エ
ステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸
エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレン
グリコール脂肪酸エステルなどのいわゆる合成乳化剤を
併用することができる。さらに所望により蛋白成分、生
クリーム、糖類、増粘剤、フレーバー、エッセンス類な
どを含むこともできる。
【0014】本発明によれば、乳化物(A)においては
少量の卵黄油の使用で乳化剤に由来する臭味を改善する
効果があり、ひいては少量のカゼイネートとの併用によ
り乳化剤そのものの使用量を著しく減じることができ、
端的には乳化剤を使用することなく乳化物(A)全量に
対し卵黄油0.1〜0.5重量%でも充分使用すること
ができて、風味も最も優れた水中油型乳化物を製造する
ことができる。
【0015】乳化物(A)を製造するには、油相と無脂
乳固形分を含む水相とを、カゼイネートおよび卵黄油の
存在下に予備乳化した後、均質化することによって乳化
物(A)を得ることができる。なお、均質化後、超高温
瞬間(UHT)殺菌処理し、再均質化し、冷却、エージ
ングしたものを乳化物(A)として用いてもよい。
【0016】乳化物(B)は、生乳、牛乳を濃縮分離し
たいわゆる生クリームが使用でき、通常殺菌した状態の
市販品で入手することができる。生クリームの油分含量
は通常45〜47重量%である場合が多いが、もとより
このような油分には限定されない。また、乳化物(B)
は乳脂、全脂粉乳、脱脂粉乳などの乳固形分などを使用
して、任意の油脂含量のクリームに再構成したものであ
ってもよい。
【0017】次に、乳化物(A)と乳化物(B)を混合
する。混合割合は任意である。乳化物(B)が殺菌済み
である場合、乳化物(A)が乳化されていれば何れの工
程においても混合することができ、好ましくはその後均
質化する。より好ましくは乳化物(A)を殺菌、均質化
した後無菌的に混合するのがよい。殺菌には超高温瞬間
(UHT)殺菌処理するのが好ましい。
【0018】超高温瞬間(UHT)殺菌処理には、間接
加熱方式と直接加熱方式の2種類があり、間接加熱処理
する装置としてはAPVプレート式UHT処理装置(A
PV社製)、CP─UHT滅菌装置(クリマティ・パッ
ケージ社製)、ストルク・チューブラー型滅菌装置(ス
トルク社製)、コンサーム掻取式UHT滅菌装置(テト
ラパック・アルファラバル社製)等が例示できるが、特
にこれらにこだわるものではない。また、直接加熱式滅
菌装置としては、ユーペリゼーション滅菌装置(テトラ
パック・アルファラバル社製)、VTIS滅菌装置(テ
トラパック・アルファラバル社製)、ラギアーUHT滅
菌装置(ラギアー社製)、パラリゼーター(パッシュ・
アンド・シルケボーグ社製)、C.P.Vac−Hea
t・UHT滅菌装置(クリマティー・パッケージ社製)
等のUHT滅菌処理装置が例示でき、これらの何れの装
置を使用してもよい。
【0019】なお、本発明において無菌という表現は、
事実上完全に無菌であることを意味するのではなく加熱
殺菌処理したときの状態をいい、いわゆる商業的殺菌、
即ち品質低下をきたすことなく長期間保存が可能で、病
原性微生物、毒素を含まず、一般的な貯蔵環境で繁殖し
品質劣化につながる微生物を含まない状態をいう。
【0020】かくして、常法に従って冷却、エージング
を行うことによって、目的とする水中油型乳化物を得
る。このようにして得られた水中油型乳化物は、リン酸
塩やクエン酸塩等の安定剤を使用しなくても、ホイップ
性が良好で、常温耐性に優れ、口溶けがよく、かつ風
味、コク味とも天然の生クリームに劣らない起泡性クリ
ームを製造することができるという効果を有するのであ
り、さらに風味的に好ましからざる合成乳化剤を使用し
てもしなくても同様な効果を得ることができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明の実施様態を具体
的に説明するが、これらは例示であって権利範囲を限定
するものではない。なお、例中の%は重量基準を意味す
る。
【0022】実施例1 ナタネ油とパーム油の混合硬化油(上昇融点36℃) 4
0部に大豆レシチン0.1部を添加した油相と、水55
部に脱脂粉乳4部、ナトリウムカゼイネート0.6部お
よびシュガーエステル(HLB6)0.2部を加えて水
相としたもの、および卵黄油0.45部とを混合し、ホ
モミキサーにより60℃で30分間予備乳化した後、2
0kg/cm2 の均質化圧力で均質化し、次いでVTI
S滅菌装置(テトラパック・アルファラバル社製)にて
145℃4秒間の殺菌処理を行った後、同圧条件にて再
均質化後、10℃以下まで冷却して乳化物(A)を得
た。なお、乳化物(A)の製造工程中は特にラインにお
いてスケーリング等を生じることはなかった。乳化物
(B)は、油分45%に調整した殺菌済みの生クリーム
を使用した。乳化物(A):乳化物(B)を80:20
で混合し、冷却後、さらに一晩冷蔵庫(5℃)でエージ
ングして起泡性水中油型乳化物を得た。この乳化物は乳
化状態が安定で流動状を呈しており、5℃における粘度
は80センチポイズ(東京計器(株)製,B型粘度計2
号ローター使用)であった。この乳化物に砂糖を8%添
加しケンウッドミキサーにてホイップしたところ、ホイ
ップ時間2分30秒で、オーバーラン90%の起泡物が
得られた。この起泡物はキメが良好であり、また風味も
卵黄の焦げた硫黄臭はなく、生クリームの風味とコク味
を有し、みずみずしい食感を有した良好なクリームであ
った。
【0023】比較例1 実施例1において、卵黄油を加えることなく調製した乳
化物(A)を用い、他は全て実施例1と同様に実施して
得た乳化物と、実施例1で得た乳化物とで風味を比較し
たところ、実施例1で得た乳化物の方が風味が良く、卵
黄油の使用により乳化剤に由来する臭味が改善されてい
ることが判った。
【0024】実施例2 ナタネ油とパーム油の混合硬化油(上昇融点36℃) 4
0部に大豆レシチン0.2部を添加した油相と、水55
部に脱脂粉乳4部、ナトリウムカゼイネート0.6部を
加えて水相としたもの、および卵黄油0.45部とを混
合し、ホモミキサーにより60℃で30分間予備乳化し
た後、20kg/cm2 の均質化圧力で均質化して乳化
物(A)を得た。ここで実施例1と同様の乳化物(B)
を乳化物(A)と乳化物(B)が80:20となるよう
に混合した後、VTIS滅菌装置(テトラパック・アル
ファラバル社製)にて145℃4秒間の殺菌処理を施
し、再均質化後、10℃以下まで冷却し、さらに一晩冷
蔵庫(5℃)でエージングして起泡性水中油型乳化物を
得た。なお、製造工程中は特にラインにおいてスケーリ
ング等を生じることはなかった。この乳化物は乳化状態
が安定で流動状を呈しており、5℃における粘度は80
センチポイズ(東京計器(株)製,B型粘度計2号ロー
ター使用)であった。この乳化物に砂糖を8%添加しケ
ンウッドミキサーにてホイップしたところ、ホイップ時
間2分45秒で、オーバーラン98%の起泡物が得られ
た。この起泡物はキメが良好であり、また風味も卵黄の
焦げた硫黄臭はなく、生クリームの風味とコク味を有
し、みずみずしい食感を有した良好なクリームであっ
た。
【0025】実施例3 ナタネ油とパーム油の混合硬化油(上昇融点36℃) 4
0部から成る油相と、水55部に脱脂粉乳4部、ナトリ
ウムカゼイネート0.6部を加えて水相としたもの、お
よび卵黄油0.45部とを混合し、ホモミキサーにより
60℃で30分間予備乳化した後、20kg/cm2
均質化圧力で均質化して乳化物(A)を得た。ここで実
施例1と同様の乳化物(B)を乳化物(A)と乳化物
(B)が80:20となるように混合した後、VTIS
滅菌装置(テトラパック・アルファラバル社製)にて1
45℃4秒間の殺菌処理を施し、再均質化後、10℃以
下まで冷却し、さらに一晩冷蔵庫(5℃)でエージング
して起泡性水中油型乳化物を得た。なお、製造工程中は
特にラインにおいてスケーリング等を生じることはなか
った。この乳化物は乳化状態が安定で流動状を呈してお
り、5℃における粘度は75センチポイズ(東京計器
(株)製,B型粘度計2号ローター使用)であった。こ
の乳化物に砂糖を8%添加しケンウッドミキサーにてホ
イップしたところ、ホイップ時間2分5秒で、オーバー
ラン90%の起泡物が得られた。この起泡物はキメが良
好であり、また風味も卵黄の焦げた硫黄臭はなく、生ク
リームの風味とコク味を有し、みずみずしい食感を有し
た良好なクリームであった。
【0026】比較例2 実施例3において、ナトリウムカゼイネートを加えるこ
となく、他は全て実施例3と同様にして乳化物(A)を
得るべく実施したところ、10℃以下に冷却した時点で
固化を呈し、全く商品価値の無いものであった。
【0027】実施例4 ナタネ油とパーム油の混合硬化油(上昇融点36℃) 4
0部から成る油相と、水55部に脱脂粉乳4部、ナトリ
ウムカゼイネート0.6部を加えて水相としたもの、お
よび酵素処理した卵黄油0.45部とを混合し、ホモミ
キサーにより60℃で30分間予備乳化した後、20k
g/cm2 の均質化圧力で均質化し、次いでVTIS滅
菌装置(テトラパック・アルファラバル社製)にて14
5℃4秒間の殺菌処理を行った後、同圧条件にて再均質
化後、10℃以下まで冷却して乳化物(A)を得た。な
お、乳化物(A)の製造工程中は特にラインにおいてス
ケーリング等を生じることはなかった。次いで実施例1
と同様の乳化物(B)を乳化物(A)と乳化物(B)が
60:40となるように混合し、さらに一晩冷蔵庫(5
℃)でエージングして起泡性水中油型乳化物を得た。こ
の乳化物は乳化状態が安定で流動状を呈しており、5℃
における粘度は70センチポイズ(東京計器(株)製,
B型粘度計2号ローター使用)であった。この乳化物に
砂糖を8%添加しケンウッドミキサーにてホイップした
ところ、ホイップ時間1分45秒で、オーバーラン90
%の起泡物が得られた。この起泡物は実施例1と同様
に、キメが良好でありまた風味も卵黄の焦げた硫黄臭は
なく、生クリームの風味とコク味を有し、みずみずしい
食感を有した良好なクリームであった。
【0028】比較例3 実施例4において、ナトリウムカゼイネートを加えるこ
となく、他は全て実施例4と同様にして乳化物(A)を
得るべく実施したところ、本例も10℃以下に冷却した
時点で固化を呈し、商品価値の全く無いものであった。
【0029】実施例5 実施例4において、酵素処理卵黄油を0.35部使用し
た以外は全て実施例4と同様に実施して乳化物(B)と
混合した起泡性水中油型乳化物を得た。この乳化物は5
℃における粘度が70センチポイス(東京計器(株)
製,B型粘度計2号ローター使用)であった。この乳化
物に砂糖を8%添加しケンウッドミキサーにてホイップ
したところ、ホイップ時間1分55秒で、オーバーラン
90%の起泡物が得られた。この起泡物は実施例4と同
様に、キメが良好でありまた風味も卵黄の焦げた硫黄臭
はなく、生クリームの風味とコク味を有し、みずみずし
い食感を有した良好なクリームであった。
【0030】比較例4 乳化物(A)の配合組成は実施例1と同様であるが、予
備乳化を行う前に実施例1と同様の乳化物(B)を、乳
化物(A)の全原料:乳化物(B)が80:20となる
ように混合した。この混合物をホモミキサーにより60
℃で30分間予備乳化した後、20kg/cm2 の均質
化圧力で均質化した。そして、実施例1と同様の条件で
殺菌、再均質化を行ってクリームを得た。このクリーム
は実施例1〜実施例5で得たクリームほどの優れた風味
やコク味を呈していなかった。
【0031】実施例6 ナタネ油とパーム油の混合硬化油(上昇融点36℃) 4
0部から成る油相と、水55部に脱脂粉乳4部、ナトリ
ウムカゼイネート0.6部を加えて水相としたもの、お
よび卵黄油0.45部とを混合し、ホモミキサーにより
60℃で30分間予備乳化した後、20kg/cm2
均質化圧力で均質化し、次いでVTIS滅菌装置(テト
ラパック・アルファラバル社製)にて145℃4秒間の
殺菌処理を行った後、同圧条件にて再均質化後、10℃
以下まで冷却して乳化物(A)を得た。この乳化物
(A)30部と油分45%の市販の生クリーム70部と
を混合し、これに砂糖を8%添加しケンウッドミキサー
にてホイップしたところ、ホイップ時間1分2秒で、オ
ーバーラン80%の起泡物が得られた。この起泡物はキ
メが良好であり、また風味も卵黄の焦げた硫黄臭はな
く、生クリームの風味とコク味を有し、みずみずしい食
感を有した良好なクリームであった。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、リン酸
塩やクエン酸塩を使用しなくても、クリームの基本物性
を保持したまま、生クリームのもつ風味とコク味を有し
た良好なキメとみずみずしい食感を与えると共に乳化安
定性に優れた水中油型乳化物を製造することができると
いう効果を有し、また合成乳化剤が使用されてもかかる
合成乳化剤の好ましからざる風味に影響されることな
く、風味の良好なクリームを得ることができ、さらに合
成乳化剤を使用しなくても、同様に、乳化安定性に優れ
た水中油型乳化物を製造することができるという効果を
有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 鈴木 恵理子 (56)参考文献 特開 平1−39939(JP,A) 特開 平5−328928(JP,A) 特開 昭59−28447(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/19 A23C 11/00 - 11/06 A23C 13/14 A23D 7/00 JICSTファイル(JOIS) JAFICファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】40〜80重量%の水相と20〜60重量
    %の油相からなり、0.1〜2.0重量%のカゼイネー
    ト、0.1〜10重量%の卵黄油、2〜10重量%の無
    脂乳固形分を含む水中油型乳化物(A)と、乳脂含有乳
    化物(B)を混合することを特徴とする水中油型乳化物
    の製造法。
  2. 【請求項2】水中油型乳化物が起泡性クリームである、
    請求項1記載の製造法。
JP22125497A 1997-08-18 1997-08-18 水中油型乳化物の製造法 Expired - Fee Related JP3206507B2 (ja)

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