JP4603962B2 - 合成クリーム - Google Patents

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Description

本発明は、コーヒー用クリーム、ホイップ用クリームとして用いることが可能な合成クリームに関する。
また、本発明は、油脂に乳由来リン脂質を添加する油相調製工程、乳タンパク質を水に溶解する水相調製工程、水相と油相の予備乳化工程及び均質処理工程からなる合成クリーム製造方法に関する。
さらに、本発明は、乳化剤、安定剤、塩類等の食品添加物表示を必要とする原材料を添加することなく、油脂を乳由来リン脂質と乳タンパク質で乳化して得られた冷蔵下での乳化安定性及び常温域での温度変化に対して乳化安定性を有する合成クリームに関する。
本来、合成クリームとは、油脂、乳成分、乳化剤、安定剤、塩類及び水を主原料として調製された水中油型乳化油脂組成物である。乳から分離して調製される生クリームに比べ、各種食品添加物の添加により、多種多様な品質設計が可能であるという特徴を有する。実際の調製方法として、従来、油脂に適当な乳化剤等を溶解した油相と、水に適当な乳化剤、乳タンパク質、安定剤、塩類等を溶解した水相をホモミキサーや均質機を用いて乳化して調製する方法が広く知られている。合成クリーム製品に乳化剤、安定剤、塩類等の食品添加物を添加することによって乳化安定性等の諸特性を付与する技術は公知である。
一方、消費者の食の安全に対する関心の高まりや健康志向から、食品添加物を添加しない製品を望む声が増えている。合成クリームにおいても、乳化剤、安定剤、塩類等の食品添加物を低減もしくは完全に添加しない製品が望まれているが、合成クリームはその製造工程で、油相を水相に乳化分散する必要性があることから、乳化力の強い乳化剤や安定剤を添加することなく、安定な合成クリームを調製することは非常に困難となっている。
さらに、一般的な合成クリームには、冷蔵下で経時的に乳化状態を維持する乳化安定性のみならず、常温域での温度変化に対しての安定性も求められる。すなわち、合成クリームに口溶けを良好にするために口中温度よりも少し低い融点を持つ油脂がよく用いられる。このような油脂を含有する混合油脂を用いて調製される合成クリームは、何らかの原因で配合油脂の融点近くまで一時的に温度が上昇してしまうと、その後冷却しても固化が生じやすくなる。また、温度上昇した後に振動が加わるとより増粘固化が起こりやすくなるといった報告がある(野田ら:日本食品工業学会誌、1994、Vol.41、No.5、p327-334)。このように、合成クリームは、常温域での温度変化による影響を受けやすいため、温度変化に対して増粘固化を生じにくくする必要がある。
このような中、食品添加物を添加しない乳化安定性を有する合成クリームの製造方法として、卵黄油と乳タンパク質から乳化物を調製する技術(特開平10−304821号公報)、卵黄油とバターミルク粉から乳化物を調製する技術(特開2001−352901号公報)、乳脂に乳タンパク質と澱粉を添加して乳化物を調製する技術(特開2001−269114号公報)、乳脂に乳由来ホスファチジルコリンを添加して乳化物を調製する技術(特開2004−121158号公報)、更には、脂肪酸組成と固体脂含量を規定した油脂に乳脂肪球皮膜タンパク質とラクトアルブミンを添加して乳化物を調製する技術(特開2003−325104号公報)等が開示されている。しかしながら、これらの食品添加物を配合しない合成クリームは、常温域での温度変化に対して増粘固化を生じやすい、すなわち常温域での温度変化に対する乳化安定性が低い現状にある。
また、合成クリームの温度変化に対する増粘固化抑制の方法としては、乳化剤としてカルボキシル基を有する有機酸モノグリセリド、レシチン及びポリグリセリン脂肪酸エステルの3種の組み合わせを用いる技術(特開平11−276106号公報)やHLBが1以下の飽和脂肪酸結合型ショ糖脂肪酸エステルを用いる技術(特許第3443049号)等が開示されている。このように、これまでの合成クリームの温度変化に対する増粘固化抑制技術は、食品添加物である乳化剤を利用している。
特開平10−304821号公報 特開2001−352901号公報 特開2001−269114号公報 特開2004−121158号公報 特開2003−325104号公報 特開平11−276106号公報 特許第3443049号
本発明は、上述するように食品添加物表示を必要とする原材料を添加することなく、冷蔵下での乳化安定性及び常温域での温度変化に対する乳化安定性を付与することを課題とする。温度変化は、外気温の高い夏場における流通、保存時に特に生じやすく、本発明では、常温域での温度変化に対する乳化安定性とは、合成クリームの品温が冷蔵下から配合油脂の融点近くまで一時的に上昇した後、再度冷蔵下に置かれた際に増粘固化を生じにくいことを意味する。
また、本発明では、リン脂質とはアルコール類に脂肪酸及びリン酸、塩基等が結合した構造を持つ脂質を意味するものとして用いる。
本発明者らは、上述した課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、油系成分として油相に乳由来リン脂質を、水系成分として水相に乳タンパク質を添加することにより、課題が解決されることを見いだし、以下の発明に到達した。
(1) 乳脂含有量が50重量%未満の原料油脂を用いた水中油型乳化油脂組成物であって、油脂を0.05〜3.0重量%の乳脂肪球皮膜脂質画分と乳タンパク質で乳化して得られことを特徴とする合成クリーム。
(2) 乳由来タンパク質が、合成クリームの1.5〜3.0重量%含有されていることを特徴とする(1)に記載の合成クリーム。
(3) 食品添加物表示を必要とする原材料を含有していないことを特徴とする(1)又は(2)に記載の合成クリーム。
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の合成クリームの製造方法であって、以下の工程からなることを特徴とする合成クリームの製造方法。
a)油脂に乳脂肪球皮膜脂質画分を添加して油相を調製する工程
b)乳タンパク質を水に溶解して水相を調製する工程
c)水相に油相を徐々に添加しつつ、乳化機で予備乳化する工程
d)均質機で均質処理を行って乳化物を得る工程
(5) 均質化処理後に更に以下の工程を有することを特徴とする(4)記載の合成クリームの製造方法。
e)乳化物を急速冷却後、容器に充填する工程
f)3〜7℃で24時間以上エージングする工程
(6) 均質機として2段式均質機を使用し、均質圧力が30〜250kg/cmの範囲にあることを特徴とする(4)又は(5)に記載の合成クリームの製造方法。
(7) 乳化時の油相と水相を合わせた全量に対する油相比率が、20〜50重量%であることを特徴とする(4)〜(6)のいずれかに記載の合成クリームの製造方法。
本発明の合成クリームは、食品添加物を含まないものを望む消費者の要望に沿うものであり、本発明では、食品添加物を添加することなく、冷蔵下での乳化安定性及び常温域での温度変化に対して乳化安定性を有する合成クリームを調製することができる。
本発明の合成クリームは次のようにして調製することができる。すなわち、乳由来リン脂質を油脂に添加し、70〜80℃に加温して油相を調製する。一方、乳タンパク質と必要に応じて寒天、ゼラチン、澱粉等の食品を水に溶解し、60〜70℃に加温して水相を調製する。このように調製した水相に油相を徐々に添加し、ホモミキサー等を用いて予備乳化を行う。その後、2段式均質機等の均質機を用い、均質圧力30〜250kg/cm2で均質処理を行い乳化物を得る。乳化物を急速冷却後、容器に充填し、3〜7℃で1日以上エージングすることで得られる。
なお、乳化時の油相と水相を合わせた全量に対する油相比率は20〜50重量%、好ましくは30〜40重量%が望ましい。油相が20重量%未満の場合は、風味の低下や保存時の離水が生じ易く、油相が50重量%を越える場合は、冷蔵保存時の乳化安定性が低下し易くなるため好ましくない。
本発明において、油脂としては、一般に合成クリームに用いられる食用油脂であれば、いずれの油脂でも使用することができる。例えば、乳脂、ラード、牛脂等の動物性油脂、なたね油、パーム油、大豆油、コーン油、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂、さらにはこれらの油脂を化学的に処理した硬化油、分別油、エステル交換油等を挙げることができ、これらの複数の油脂を任意の割合で混合した混合油脂も用いることができる。口溶け等を考慮すると、上昇融点が30〜35℃付近にある油脂を用いることが望ましい。
本発明における乳由来リン脂質としては、特開2004−121158号公報に記載があるように高純度に精製された乳由来ホスファチジルコリンや、乳由来リン脂質を多く含む脂肪球皮膜脂質画分を用いることができる。高純度精製品としては、例えば、脱脂粉乳やバターミルク等から脂質を抽出し、濃縮乾固したものをアセトンで抽出し、得られたアセトン不溶分を液々分配クロマトグラフにより精製することにより得られたもの(特開平03−047192号公報)を用いることができる。脂肪球皮膜脂質画分としては、例えば、バターミルクに硫酸アンモニウムを加え50%飽和にして一晩放置した後、遠心分離により得た上清を蒸留水に対して透析し、遠心分離による沈殿を回収し凍結乾燥させたもの(特開昭60−072819号公報)を用いることができる。合成クリームへの添加を考える場合には、コスト面において後者がより好ましい。
乳由来リン脂質の添加量としては、クリームに対して0.05〜3重量%の範囲、更に望ましくは、0.2〜1重量%の範囲、最も好ましくは、0.3〜0.5重量%の範囲が好ましい。0.05重量%未満の添加量では、冷蔵保存時の乳化安定性の低下が認められるため好ましくない。3重量%を越えた添加量では、風味のマスキングが困難であるため好ましくない。
なお、乳由来のリン脂質は油系添加物として油脂に添加する。
本発明における乳タンパク質としては、脱脂粉乳、乳タンパク質濃縮物(MPC)、ホエータンパク質濃縮物(WPC)、ホエータンパク質精製物(WPI)、バターミルク粉等を用いることができる。これらの素材は食品添加物には含まれず、本発明における食品添加物を添加しない合成クリームの調製に沿うものである。乳タンパク質の添加量はクリームに対して1.0〜5.0重量%、特に1.5〜3.0重量%添加することが好ましい。添加量が1.0重量%未満では、冷蔵保存時の乳化安定性の低下が認められることから好ましくなく、添加量が5.0重量%を越える場合は、粘度が上昇しすぎることがあることやタンパク風味が強すぎることから好ましくない。さらに、粘度調製や離水抑制のため、食品としての表示が可能な寒天、ゼラチン、澱粉等を必要に応じ添加してよい。
(実施例)
本発明を実施例により詳細に説明する。
以下に述べる配合で合成クリームを2kgずつ調製した。
試作品1:なたね硬化油30重量%及びパーム核硬化油10重量%を混合して混合油脂を調製し、これに乳由来リン脂質素材である脂肪球皮膜脂質画分(リン脂質含量35%)を1.0重量%添加し、75℃まで加温することで乳由来リン脂質を溶解した油相を調製した。水57重量%に乳タンパク濃縮物(MPC)2.0重量%を添加し、65℃まで加温することでMPCを溶解した水相を調製した。水相に油相を少量ずつ添加し、ホモミキサーを用いた高速剪断により予備乳化を行った後、2段式均質機を用いて均質圧120kg/cm2(1段目100kg/cm2、2段目20kg/cm2)で均質処理を行って乳化物を得た。得られたクリームを5℃まで急速冷却し、5℃冷蔵庫で保存した。
〔比較例1〕
試作品2:なたね硬化油30重量%及びパーム核硬化油10重量%を混合して混合油脂を調製し、これに乳由来リン脂質素材である脂肪球皮膜脂質画分(調製品、リン脂質含量約35%)を1.0重量%添加し、75℃まで加温することで乳由来リン脂質を溶解した油相を調製した。水59重量%を65℃まで加温することで水相を調製した。水相に油相を少量ずつ添加し、ホモミキサーを用いた高速剪断により予備乳化を行った後、2段式均質機を用いて均質圧120kg/cm2(1段目100kg/cm2、2段目20kg/cm2)で均質処理を行って乳化物を得た。得られたクリームを5℃まで急速冷却し、5℃冷蔵庫で保存した。
〔比較例2〕
試作品3:なたね硬化油30重量%及びパーム核硬化油10重量%を混合して混合油脂を調製し、75℃まで加温することで油相を調製した。水58重量%に乳タンパク濃縮物(MPC)2.0重量%を添加し、65℃まで加温することでMPCを溶解した水相を調製した。水相に油相を少量ずつ添加し、ホモミキサーを用いた高速剪断により予備乳化を行った後、2段式均質機を用いて均質圧120kg/cm2(1段目100kg/cm2、2段目20kg/cm2)で均質処理を行って乳化物を得た。得られたクリームを5℃まで急速冷却し、5℃冷蔵庫で保存した。
〔比較例3〕
試作品4:なたね硬化油30重量%及びパーム核硬化油10重量%を混合して混合油脂を調製し、これに大豆レシチン素材であるレシチンDX(日清オイリオ製、レシチン含量約45%)を0.8重量%添加し、75℃まで加温することで大豆レシチンを溶解した油相を調製した。水57.2重量%に乳タンパク濃縮物(MPC)2.0重量%を添加し、65℃まで加温することでMPCを溶解した水相を調製した。水相に油相を少量ずつ添加し、ホモミキサーを用いた高速剪断により予備乳化を行った後、2段式均質機を用いて均質圧120kg/cm2(1段目100kg/cm2、2段目20kg/cm2)で均質処理を行って乳化物を得た。得られたクリームを5℃まで急速冷却し、5℃冷蔵庫で保存した。
〔比較例4〕
試作品5:なたね硬化油30重量%及びパーム核硬化油10重量%を混合して混合油脂を調製し、これに卵黄レシチン素材であるPL-30S(キユーピー製、レシチン含量約30%)を1.2重量%添加し、75℃まで加温することで卵黄レシチンを溶解した油相を調製した。水56.8重量%に乳タンパク濃縮物(MPC)2.0重量%を添加し、65℃まで加温することでMPCを溶解した水相を調製した。水相に油相を少量ずつ添加し、ホモミキサーを用いた高速剪断により予備乳化を行った後、2段式均質機を用いて均質圧120kg/cm2(1段目100kg/cm2、2段目20kg/cm2)で均質処理を行って乳化物を得た。得られたクリームを5℃まで急速冷却し、5℃冷蔵庫で保存した。
試作品6:加温溶解したバターよりろ別したバター抽出油40重量%に乳由来リン脂質素材である脂肪球皮膜脂質画分(リン脂質含量35%)を1.0重量%添加し、75℃まで加温することで乳由来リン脂質を溶解した油相を調製した。水57重量%に乳タンパク濃縮物(MPC)2.0重量%を添加し、65℃まで加温することでMPCを溶解した水相を調製した。水相に油相を少量ずつ添加し、ホモミキサーを用いた高速剪断により予備乳化を行った後、2段式均質機を用いて均質圧120kg/cm2(1段目100kg/cm2、2段目20kg/cm2)で均質処理を行って乳化物を得た。得られたクリームを5℃まで急速冷却し、5℃冷蔵庫で保存した。
試作品7:なたね硬化油30重量%及びパーム核硬化油10重量%を混合して混合油脂を調製し、これに乳由来リン脂質素材である脂肪球皮膜脂質画分(リン脂質含量35%)を1.0重量%添加し、75℃まで加温することで乳由来リン脂質を溶解した油相を調製した。水54重量%に脱脂粉乳5.0重量%を添加し、65℃まで加温することで脱脂粉乳を溶解した水相を調製した。水相に油相を少量ずつ添加し、ホモミキサーを用いた高速剪断により予備乳化を行った後、2段式均質機を用いて均質圧120kg/cm2(1段目100kg/cm2、2段目20kg/cm2)で均質処理を行って乳化物を得た。得られたクリームを5℃まで急速冷却し、5℃冷蔵庫で保存した。
試作品8:なたね硬化油30重量%及びパーム核硬化油10重量%を混合して混合油脂を調製し、これに乳由来リン脂質素材である脂肪球皮膜脂質画分(リン脂質含量35%)を1.0重量%添加し、75℃まで加温することで乳由来リン脂質を溶解した油相を調製した。水57重量%にホエータンパク濃縮物(WPC)2.0重量%を添加し、65℃まで加温することでWPCを溶解した水相を調製した。水相に油相を少量ずつ添加し、ホモミキサーを用いた高速剪断により予備乳化を行った後、2段式均質機を用いて均質圧120kg/cm2(1段目100kg/cm2、2段目20kg/cm2)で均質処理を行って乳化物を得た。得られたクリームを5℃まで急速冷却し、5℃冷蔵庫で保存した。
(試験例1)
実施例及び比較例で調製した合成クリーム試作品1〜8について、冷蔵時の乳化安定性の指標となる脂肪球の粒径測定及び温度変化に対する乳化安定性試験を行った。
脂肪球の粒径測定:測定はレーザー回折式粒度分布測定装置SALD-2000(島津製作所社製)を用いて行い、冷蔵庫に保存した試作品をイオン交換水で希釈したものをサンプルとした。体積基準の粒度分布における10%、50%、90%積算値を算出するモードで測定を行った。
温度変化に対する乳化安定性試験:製造後冷蔵庫内に15日間保管した後の実施例及び比較例の合成クリーム試作品をプラスチック容器に250gずつサンプリングし、25℃又は30℃に調整した恒温水槽中にそれぞれ1時間浸漬し、その後5℃冷蔵庫で24時間保存した。24時間経過後のサンプルについて振動試験を行い温度変化に対する乳化安定性を評価した。振動試験はサンプルから試作品200gを分取し、紙容器(容量250mL)に入れ、振動機(SA-31型、ヤマト社製)を用い、毎分166回で水平方向に振動させ、クリームが流動性を失うまでの振動回数を測定した。
なお、振動回数が多いほどクリームは凝集、固化を生じにくく、温度変化に対する乳化安定性を有することを示す。本発明の合成クリームは、この試験における振動回数が25℃処理で8000回以上、30℃処理で3000回以上の乳化安定性を有するものである。
試験結果を表1に示す。
Figure 0004603962
比較例1(試作品2)については、安定な合成クリームの調製に至らず、均質処理直後に脂肪分離が認められ、冷却後のクリームは固体状になり、脂肪球の粒径の測定が不可能であった。比較例2(試作品3)については、脂肪球の粒径分布の90%値が他の試作品より大きい結果となり、15日後には、クリーム上層に脂肪分離が確認された。すなわち、一時的な乳化は達成されたものの、合成クリームとして有すべき脂肪球の粒径分布を維持できない結果となったので、振動試験は行わなかった。
これに対し、実施例1(試作品1)と実施例2〜4(試作品6〜8)は、製造3日後と15日後の脂肪球の粒径分布に差が認められず、冷蔵時の乳化安定性を有する結果となった。すなわち、乳化安定性を維持した実施例1(試作品1)と実施例2〜4(試作品6〜8)について、振動試験を実施した結果、本発明である乳由来リン脂質と乳タンパク質の組み合わせからなる実施例1(試作品1)と実施例2〜4(試作品6〜8)の振動回数が、25℃処理時、30℃処理時のそれぞれにおいて他よりも高くなる結果となった。
さらに、比較例3(試作品4)、比較例4(試作品5)は、振動回数が少ない段階でクリームの流動性を失った。
以上の結果から、本発明である乳由来リン脂質と乳タンパク質の組み合わせからなる実施例1(試作品1)と実施例2〜4(試作品6〜8)は、食品添加物を添加することなく、温度変化に対する増粘固化をより生じにくく、常温域での温度変化に対する乳化安定性が高いことが確認できた。

Claims (7)

  1. 乳脂含有量が50重量%未満の原料油脂を用いた水中油型乳化油脂組成物であって、油脂を0.05〜3.0重量%の乳脂肪球皮膜脂質画分と乳タンパク質で乳化して得られことを特徴とする合成クリーム。
  2. 乳由来タンパク質が、合成クリームの1.5〜3.0重量%含有されていることを特徴とする請求項に記載の合成クリーム。
  3. 食品添加物表示を必要とする原材料を含有していないことを特徴とする請求項1又は2に記載の合成クリーム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の合成クリームの製造方法であって、以下の工程からなることを特徴とする合成クリームの製造方法。
    a)油脂に乳脂肪球皮膜脂質画分を添加して油相を調製する工程
    b)乳タンパク質を水に溶解して水相を調製する工程
    c)水相に油相を徐々に添加しつつ、乳化機で予備乳化する工程
    d)均質機で均質処理を行って乳化物を得る工程
  5. 均質化処理後に更に以下の工程を有することを特徴とする請求項記載の合成クリームの製造方法。
    e)乳化物を急速冷却後、容器に充填する工程
    f)3〜7℃で24時間以上エージングする工程
  6. 均質機として2段式均質機を使用し、均質圧力が30〜250kg/cmの範囲にあることを特徴とする請求項4又は5に記載の合成クリームの製造方法。
  7. 乳化時の油相と水相を合わせた全量に対する油相比率が、20〜50重量%であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の合成クリームの製造方法。
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