JPH09173814A - 乳脂肪球皮膜のアポ体、当該アポ体の製造方法、並びにこのアポ体から成る各種基剤 - Google Patents

乳脂肪球皮膜のアポ体、当該アポ体の製造方法、並びにこのアポ体から成る各種基剤

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JPH09173814A
JPH09173814A JP7351998A JP35199895A JPH09173814A JP H09173814 A JPH09173814 A JP H09173814A JP 7351998 A JP7351998 A JP 7351998A JP 35199895 A JP35199895 A JP 35199895A JP H09173814 A JPH09173814 A JP H09173814A
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fat globule
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Nagauemon Sugano
長右エ門 菅野
Yoshihiro Kawaguchi
芳広 川口
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Ishihara Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた乳化組成物の安定化能を担保しなが
ら、常温でも安定な品質を具備した乳脂肪球皮膜を得
る。 【解決手段】 乳脂肪球皮膜にイソプロピルアルコール
などの溶剤を接触させて、乳脂肪球皮膜の脂質成分を溶
剤で抽出し、乳脂肪球皮膜から脂質成分を除去した乳脂
肪球皮膜のアポ体を得る。このアポ体は乳脂肪球皮膜の
中でも酸敗などの主要原因となる脂質成分を除いている
ために常温でも化学的に安定である。また、元の乳脂肪
球皮膜に比しても乳化組成物の安定化能は余り低下せ
ず、様々なHLB価を持つ油類に幅広く対応でき、化粧
料基剤、医薬品基剤などを始め、種々のエマルジョン形
態の化学品を調製する際の基剤としてきわめて有望であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は乳脂肪球皮膜のアポ体及
びその製法、並びにアポ体から成る化粧料基剤、医薬品
基剤、飲食物基剤などの各種基剤に関し、乳化組成物の
安定化能を高く保持しながら、常温保存でも品質の安定
な乳脂肪球皮膜のアポ体を開発して、このアポ体を各種
の基剤として提供するものである。
【0002】
【発明の背景】牛乳中の脂質の大部分は脂肪球の中に含
まれており、脂肪球は厚さ略10nmの乳脂肪球皮膜に
よって覆われて、安定なエマルジョンの形態を保持して
いる。上記乳脂肪球皮膜(MFGM;Milk Fat Globule Memb
rane)は、90%以上がタンパク質と脂質で占められた
構造リポタンパク質であり、そのうちの約45%がタン
パク質で、残りの約55%が脂質(脂肪及びリン脂質な
ど)であり、その詳細な組成は、本発明者の一人が明ら
かにしたように、図1に示す通りである(菅野長右エ
門:「牛乳脂肪皮膜に関する最近の研究−特に構成蛋白
質を中心に−」;日本畜産学会報,51(2):75〜88頁,1980
の第1表参照)。
【0003】図2はこの乳脂肪球皮膜を大幅に概略化し
た模式図であり、乳脂肪球皮膜は内殻の高融点トリグリ
セリド(TG)層と、外殻のリン脂質及び糖タンパク質の
層で構成され、この二重層が外水層との界面を形成する
ために、乳汁中において微小できわめて大きな総表面積
を有する脂肪球が安定に存在できるのである。
【0004】
【従来の技術】本出願人は、特開平3−275611号
公報で、この乳脂肪球皮膜を様々なHLB価の油層成分
に配合して、安定な水中油型の乳化組成物を得る技術を
他の出願人と共同で開示した。乳脂肪球皮膜を乳化剤に
使用すると、幅広いHLBの油類に対応できるため、乳
化剤を取捨選択する煩雑さを省いて種々の油類と組み合
わせることにより、様々な化粧料用乳化組成物を簡単に
調製できる。また、乳脂肪球皮膜は弱酸性でも優れた乳
化能を示すため、皮膚のpH領域である略5.0〜6.5
に合わせた刺激の少ない弱酸性化粧料を製造する場合、
配合する乳化剤として好適である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ように、乳汁から分離した乳脂肪球皮膜は脂質が略55
%を占め、これらの脂質には不飽和結合を有する油脂や
脂肪が少なくなく、また、遊離脂肪酸なども含有するた
め、−20℃程度で冷凍保存する場合には問題はない
が、室温では不安定になり、1週間ほどで遊離の低級脂
肪酸や脂肪の酸化生成物などの揮発性成分が増え、酪酸
臭などが発生して乳臭くなり、腐敗・酸敗が進行する。
また、実際には、飼料、品種、季節、泌乳期などの外因
的・生理的・環境的要因や、乳汁の新鮮度、乳脂肪球皮膜
の製法などにより、図3の分析値に示すように、乳脂肪
球皮膜の脂質、タンパク質成分の含有率には幅が生じ
て、脂質成分が大きいものではその分だけ酸化し易くな
る。
【0006】このため、乳脂肪球皮膜を乳化剤に使用し
ても化粧料用又は医薬品用などの乳化組成物は室温下で
安定な品質を保持することに困難があるうえ、脂質の含
有率を異にする乳脂肪球皮膜では腐敗の進行度も異な
る。即ち、乳脂肪球皮膜自体が天然物であるために、工
業材料として市場に流通させる場合に、品質管理・規格
化が難しいという問題がある。
【0007】一方、室温下でも乳脂肪球皮膜により調製
した乳化組成物を安定に保つために、酸化防止剤や防腐
剤などを併用することも考えられるが、乳化組成物を化
粧料や医薬品などに供する場合には、安全性の見地から
これらの添加剤の混入は避けるのが好ましい。本発明
は、優れた乳化組成物の安定化能を担保しながら、常温
でも安定な品質を具備した乳脂肪球皮膜を得ることを技
術的課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、乳脂肪球
皮膜の中でも酸敗などの主要原因となる脂質成分を排除
することを着想するとともに、この脂質成分を排除した
乳脂肪球皮膜のアポ体(以下、アポMFGMという)は元
の乳脂肪球皮膜(以下、原MFGMという)に比しても乳
化組成物の安定化能は余り低下しないこと、並びに原M
FGMの含有成分でもあるレシチンなどを補填すると、
この安定化能を回復又は向上できることを発見して、本
発明を完成した。
【0009】即ち、本発明1は、乳脂肪球皮膜から脂質
成分を除去する精製処理で得られた、糖タンパク質成分
を主成分とする乳脂肪球皮膜のアポ体である。
【0010】本発明2は、乳脂肪球皮膜に溶剤を接触さ
せて、乳脂肪球皮膜内の脂質成分を溶剤で抽出し、乳脂
肪球皮膜から脂質成分を除去することを特徴とする乳脂
肪球皮膜のアポ体の製造方法である。
【0011】本発明3は、上記本発明1の乳脂肪球皮膜
のアポ体を配合して、安定な乳化組成物を生成可能にす
ることを特徴とする乳脂肪球皮膜のアポ体から成る基剤
である。
【0013】本発明4は、上記本発明3において、乳脂
肪球皮膜のアポ体に加えて、さらにレシチンを併用する
ことを特徴とするものである。
【0014】本発明5は、上記本発明3又は4の乳化組
成物が化粧料であることを特徴とする乳脂肪球皮膜のア
ポ体から成る化粧料基剤である。
【0015】本発明6は、上記本発明3又は4の乳化組
成物が医薬品であることを特徴とする乳脂肪球皮膜のア
ポ体から成る医薬品基剤である。
【0016】上記乳脂肪球皮膜は、基本的には、牛、
馬、羊などの動物の乳汁を遠心分離してクリームを得、
水で数回洗浄し、この洗浄クリームをチャーニング工程
で脂肪球を破壊して得る。即ち、乳汁を遠心分離すると
クリームと副生物の脱脂乳が得られ、さらに、洗浄クリ
ームをチャーニングすると下方の白濁層とバターオイル
に別れ、この白濁層を超遠心分離して乳脂肪球皮膜を得
るのである。また、上記クリームを洗浄せずにそのまま
チャーニングするとバターとバターミルクが得られる
が、このバターミルクも乳脂肪球皮膜を多く含有するの
で、精密濾過膜などで処理して乳脂肪球皮膜を分離する
こともできる。但し、本発明の原材料である乳脂肪球皮
膜は純粋成分のみを意味するものではなく、乳脂肪球皮
膜を含有し、且つそれ以外の成分を混有しても差し支え
なく、上記バターミルク(或は、脱脂乳成分やバターセラ
ム画分)を始めとする酪農副産物なども原材料としての
乳脂肪球皮膜に包含される。
【0017】上記アポMFGMは、乳脂肪球皮膜から脂
質画分を除去した糖タンパク質画分である。このアポM
FGMは、例えば、乳脂肪球皮膜に溶剤を接触させて、
乳脂肪球皮膜内の脂質成分を溶剤で抽出し、乳脂肪球皮
膜から脂質成分を除去することにより製造するが、この
外にも、シリカゲル、アルミナゲルなどの吸着剤を用い
て脱脂処理するなど、種々の方式で得られる。上記溶剤
は基本的には脂質成分を溶解可能な一般的な有機溶媒で
あれば良いが、具体的には、薬局方に収載されたイソプ
ロピルアルコール、食品衛生法で許可されたn−ヘキサ
ンを始め、クロロホルム、エーテル、ベンゼン、アセト
ン、メチレンクロライド、メタノール、エタノール等の
単独溶媒や、メタノール・クロロホルム、エタノール・n
−ヘキサン、エタノール・イソプロピルアルコール、エ
タノール・エーテル等の混合溶媒などが挙げられ、抽出
効率の点でイソプロピルアルコールの単独溶媒などが好
ましい。
【0018】上記アポMFGMは機能剤(具体的には、化
粧料基剤、医薬品基剤、飲食物基剤など)として、幅広
いHLB価の様々な油類と組み合わせることにより、化
粧料、医薬品、飲食物を初め、種々のエマルジョン形態
の化学品を調製できる。上記化粧料は乳液類、ローショ
ン類、クリーム類、軟膏類、パック類、シャンプー・リ
ンス類などの種々のものをいう。
【0019】上記医薬品も様々な医薬用の乳化組成物を
いうが、水に難溶ないし不溶で有機溶媒に可溶な脂溶性
物質、並びに水及び有機溶媒のいずれにも溶け難いが、
物質の分配係数が水に比べて有機溶媒側に大きく傾いて
いる物質(この両者を総称して「脂溶性物質等」という)を
含有する医薬用エマルジョンなどに適している。特に好
ましい例としては、前者の脂溶性薬物として、ビタミン
A、ビタミンE等の脂溶性ビタミンが、後者としてある
種のステロイドなどが夫々挙げられる。
【0020】上記アポMFGMにより乳化組成物を調製
する場合、レシチンを併用すると、原MFGMを単用し
た場合よりも乳化組成物の安定化能が高まる。さらに、
アポMFGMにレシチン又は油性活性剤であるソルビタ
ンモノステアレートのいずれかを併用しても良いし、ア
ポMFGMとレシチンとソルビタンモノステアレートの
三者を組み合わせると、より一層の安定性が得られる。
また、化粧料用、医薬品用などの乳化組成物に適用する
場合には、人体への親和性の観点から、原MFGMの含
有成分でもあるレシチンは、配合適性が優れている点で
好都合である。上記レシチンは、卵黄レシチン、大豆レ
シチンなどである。上記油性活性剤は、ソルビタンモノ
ステアレートの外に、グリセリルモノステアレート、ジ
エチレングリコールステアレート、ポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテル等の親油性ノニオン系界面活性
剤などが挙げられる。
【0021】
【作用】原MFGMに溶剤抽出などを施して脂質画分を
除去したアポMFGMは、原MFGMのように室温下で
酸敗・腐敗する恐れはなく、化学的に安定である。
【0022】しかも、アポMFGMの最大の特長は、後
述の試験例に示すように、原MFGMに比べても乳化組
成物の安定化能はそれほど低下しないことである。この
場合、構造上親水性及び疎水性の両原子団を有するレシ
チンをこのアポMFGMに併用すると、乳化組成物の安
定化能は原MFGMが具備する安定化能の水準にまで回
復するか、さらに向上する。これは、アポMFGMが原
MFGMを脱脂精製したものなので、原MFGMの含有
成分(リン脂質)であるレシチンはこの脱脂工程時に除去
されるが、アポMFGMにレシチンを補うことで原MF
GMの本来的な組成に近付くことができ、乳化組成物の
安定化能が回復又は向上するためと推定できる。因み
に、このレシチンに替えてソルビタンモノステアレート
などの油性活性剤を加えても、或は、このレシチンとソ
ルビタンモノステアレートを共に加えても同様な乳化活
性の回復又は向上が期待できる(後述の試験例参照)。
【0023】
【発明の効果】
(1)原MFGMに脱脂処理を施したアポMFGMは、原
MFGMに比しても充分な乳化組成物の安定化能を保持
しているうえ、アポMFGMを配合した乳液が長時間に
亘り高い乳化安定性を示すことからも判るように(後述
の試験例参照)、当該アポMFGMは常温でも品質が安
定であるため、酸敗や腐敗の心配なく乳化組成物を良好
に調製できる。なによりも、このアポMFGMは、原M
FGMと同様に、幅広いHLB価の油類に対応して様々
な乳化組成物を簡便に調製できるというきわめて優れた
乳化特性を具備している。
【0024】(2)アポMFGMは室温でも化学的に安定
で、市場に供する際に流通・保管が楽であり、工業製品
として品質管理・規格化が容易になるので、各種の工業
用基剤として優れた実用性を備えている。
【0025】(3)上記(1)に示すように、アポMFGMは
優れた乳化組成物の安定化能を保持しながら、常温でも
安定であるため、化粧料、医薬品、飲食物を始め、エマ
ルジョン形態の様々な化学品を製造する場合の基剤とし
てきわめて有効である。特に、アポMFGMは有機天然
物である乳汁を原料とするため、化粧料基剤、医薬品基
剤、飲食物基剤などに好適である。例えば、アポMFG
Mを医薬品基剤又は飲食物基剤に用いると、前述のよう
に、ビタミンA、ビタミンE等の脂溶性ビタミンのエマ
ルジョン化及びドライエマルジョン化などに有望であ
る。
【0026】(4)アポMFGMにレシチンを併用する
と、アポMFGMを単用した場合の乳化組成物の安定化
能が回復又は向上することから、アポMFGMとレシチ
ンの複合物は上記(3)の化粧料基剤や医薬品基剤などの
各種基剤として実用性がより高まる。また、当該レシチ
ンに替えてソルビタンモノステアレートなどの油性活性
剤を併用しても、或はアポMFGMにレシチンとソルビ
タンモノステアレートを組み合わせても同様の乳化特性
の回復又は向上が期待できる。
【0027】
【実施例】以下、アポMFGMの製造実施例(各種溶剤
による脱脂効率試験を含む)、当該アポMFGMの糖タ
ンパク質画分の電気泳動試験例と組成分析試験例、アポ
MFGMによる乳化特性試験例、アポMFGMを利用し
た乳液の製造実施例並びにこの乳液の安定性試験例など
を述べる。但し、本発明は下記の実施例に拘束されるも
のではない。
【0028】《アポMFGMの製造実施例》先ず、ホル
スタイン牛から得た牛乳を遠心分離してクリームを得、
水で数回洗浄し、この洗浄クリームをチャーニングし、
副生物のバターオイルを除いた後、水層部分を超遠心分
離して、沈殿物に原MFGMを得た。そして、下述のよ
うに、当該原MFGMを水に懸濁し、固形分4.9%と
して以後の試料に供した。また、上記クリームを洗浄せ
ずにチャーニングしてバターミルクを得、このバターミ
ルクを洗浄し、精密濾過膜処理で得られた乳脂肪球皮膜
の懸濁液を凍結乾燥して粉末化し、この凍結乾燥粉末を
水に再分散したものを別種の原MFGMの懸濁液とし
た。
【0029】上記乳脂肪球皮膜の懸濁液10.0g(上記
乳脂肪球皮膜の凍結乾燥粉末(98%固形物)0.45g)
を脱イオン水に分散し、4.9%の懸濁液とした。この
懸濁液に下記の(a)〜(f)の各種溶剤を夫々加えて撹拌
し、遠心分離を行うという溶媒抽出操作を複数回繰り返
して、原MFGMの脱脂処理によりアポMFGMを製造
した。 (a)メタノール:クロロホルム(1:2、V/V) (b)n−ヘキサン (c)イソプロピルアルコール (d)エタノール:n−ヘキサン(1:2、V/V) (e)エタノール:イソプロピルアルコール(1:2、V/
V) (f)クロロホルム
【0030】即ち、第一段の抽出操作として、(a)、
(d)及び(e)の各混合溶媒の抽出では、当該懸濁液にメ
タノール(又はエタノール)10mlを加えて20分間撹
拌し、その後クロロホルム(又はn−ヘキサン、イソプ
ロピルアルコール)20mlを加えて60分間撹拌した
後、3000rpm、10分間、室温の条件で遠心分離
して、溶剤層をガラス製シリンジで吸引し、予め秤量し
た秤量管に回収した。また、(b)、(c)及び(f)の各単
独溶媒の抽出では、懸濁液に各種溶媒を30ml加えて
60分間撹拌した後、上記混合溶媒の場合と同様の条件
で遠心分離し、秤量管に溶媒層を回収した。第二段の抽
出操作として、前記混合溶媒の抽出ではメタノール(又
はエタノール)10mlと他方の溶媒20mlを、ま
た、前記単独溶媒の抽出では溶媒30mlを、夫々上記
懸濁液に加えて20分間撹拌し、第一段と同様の条件で
遠心分離し、溶媒層を回収した。さらに、第三段の抽出
操作として、各混合溶媒又は単独溶媒を上記懸濁液に2
0ml加えて20分間撹拌し(上記混合溶媒の比率は
(a)、(d)及び(e)に示す通り)、第一段操作と同様の条
件で遠心分離し、溶媒層を回収することにより、乳脂肪
球皮膜に脱脂処理を施したアポMFGMを得た。
【0031】尚、前記洗浄クリームから得た乳脂肪球皮
膜(原MFGM−A)を原材料にしたものをアポMFGM
−Aとし、前記バターミルクから得た乳脂肪球皮膜(原
MFGM−B)を原材料にしたものをアポMFGM−B
とした。
【0032】そこで、上記第一段〜第三段の抽出操作で
回収した溶媒層から溶媒を除去し、コンスタントな数値
を示すようになるまで乾燥した後、各種溶媒により抽出
された脂質含量を測定した。
【0033】図4はその結果を示す。同図によると、前
記(a)の混合溶媒(メタノール・クロロホルム)で抽出さ
れた脂質含量は原MFGM−Aを使用した場合には5
3.19%(原MFGM-Bでは39.97%)であり、そ
の残りはタンパク質含量46.81%(又は60.03%)
であるため、同図のタンパク質残存比(%)は、各種溶媒
を使用した場合のタンパク質含量(これを100とする)
に対する当該(a)のタンパク質含量の割合(即ち、46.
81%又は60.03%を各種溶媒によるタンパク質含
量で除した百分率)で算出した。また、この数値をアポ
MFGMの量に乗じたものが、同図に示すアポMFGM
約50mg中のタンパク質含量である。
【0034】一方、図5は、上記(a)の混合溶媒で抽出
された脂質含量53.19%(又は39.97%)を100
として、各種溶媒で抽出した場合の脂質含量の相対比率
を脂質の抽出率(%)として表したものである。
【0035】図4及び図5によると、混合溶媒(a)、
(d)及び(e)での脂質の抽出率は、(c)のイソプロピル
アルコールの抽出率を除いて、単独溶媒(b)及び(f)よ
りも高かった。特に、(c)のイソプロピルアルコールは
単独溶媒であるにも拘わらず、いずれの溶媒よりも最も
高い脂質含量と抽出率を示した。また、(a)、(d)及び
(e)の混合溶媒と(c)のイソプロピルアルコールでは、
原MFGM−Aによる脂質の抽出率の方が原MFGM−
Bによる抽出率より高い傾向が認められた。しかし、
(b)と(f)の単独溶媒では、この逆で、原MFGM−B
による方が高い抽出率を示した。これは、原MFGM−
Bでは、乳脂肪球皮膜を凍結乾燥する乾燥粉末化によ
り、脂質とタンパク質の相互作用が弱められるために、
単独溶媒での抽出率が増加したものと推定できる。
【0036】《アポMFGMの糖タンパク質画分の分析
試験例》ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は原MFGM
及びアポMFGMのタンパク質成分の強力な可溶化剤と
なる。従って、下記に示すように、上記製造実施例で使
用した原MFGM、及び原MFGMから得られたアポM
FGMを試料として、SDS存在下のポリアクリルアミ
ド電気泳動(SDS-PAGE)をLaemmli法により行っ
て、各試料の構成ポリペプチドの組成を分析した。即
ち、アクリルアミドとメチレンビスアクリルアミドの比
率は37:1(W/W)で、アクリルアミド濃度は10%で
あった。試料の可溶化は、2%SDS、2%2−メルカ
プトエタノール及び30%ショ糖を含む0.1%M Tris
−HCl緩衝液(pH6.8)を等量加え、沸騰水中で2
分間加熱し、冷却後、遠心分離し、上清を泳動用試料と
した。尚、チャージタンパク質量はタンパク質染色用に
は10μg、糖染色用には100μgを夫々使用し、タ
ンパク質バンドはクーマシーブリリアントブルー(CB)
R250で、また、糖質バンドは過ヨウ素酸−シッフ試
薬(PAS)で各々染色した。
【0037】図6A〜B並びに図7A〜Bの結果を見る
と、原MFGM及びアポMFGMは多くのポリペプチド
から構成されていることが判る。タンパク質染色で検出
されるCBバンドに着目すると、CB-1、-5及び-7+8
バンドは原MFGMとアポMFGMの間で顕著な差異は
認められず、糖染色で検出されるPASバンドでも同様
の傾向を示し、総じて、脱脂処理をしたアポMFGMの
構成ポリペプチドのパターンは元の原MFGMのそれを
良好に保存していた。ただ、アポMFGM−Bにはカゼ
インと思われる移動度の速いバンドが検出された。
【0038】《アポMFGMの組成分析試験例》前記ア
ポMFGMの製造実施例の手法に基づき、成分比の異な
る3種類の牛乳から調製した乳脂肪球皮膜の凍結乾燥粉
末を原MFGMとして用意し、これらを懸濁液に戻すこ
となく粉末のままで直接にイソプロピルアルコールに接
触させて溶剤抽出し、各種のアポMFGMを得た。そし
て、上記原MFGM、並びに原MFGMを脱脂精製した
アポMFGMに常法の定量分析法を用いて夫々組成分析
を行った。
【0039】図8は原MFGMの、図9はアポMFGM
の分析結果を各々示す。図8に示すように、原MFGM
では脂肪分やリン脂質などが60%近くを占めるが、図
9では、各アポMFGM−D1〜D3ともにエーテル可溶
分が微量であることから、原MFGMの脂質成分は有効
に除去されていることが認められた。また、乳糖などの
乳化活性に関係しない成分も微量であった。さらには、
上記エーテル可溶分が共に3%オーダーか、それ以下で
あり、タンパク質成分を示す全窒素が13〜14%の狭
い範囲に収まっていることから、原材料である牛乳の種
類(引いては、乳脂肪球皮膜の種類)が異なっても、これ
らの脱脂精製で得られた各アポMFGMについては、そ
の主要成分であるタンパク質含量のバラつきは小さく抑
えられる。このことからも、本発明で得られるアポMF
GMは、市販品としての規格化の点で利便性が高いこと
が判る。
【0040】《アポMFGMの乳化特性試験例》前記製
造実施例のアポMFGM−A並びにBを使用して、この
アポMFGMの存在下で脂肪のエマルジョンがいかなる
乳化活性並びに乳化安定性を示すかを調べた。
【0041】即ち、乳脂肪1.25g(25%)と上記ア
ポMFGM(−A又はB)50mg(脂質40mg/g、1%)を含
む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)3.75mlを試
験管(1.8×16.5cm)に採取し、予め45℃に10〜15
分間加温した後、45℃でST−10シャフト(外径12m
m)を用いたポリトロンホモジナイザー(最高回転Mark11、
19,500rpm)で2分間撹拌することにより、エマルジョン
を調製し、下記の乳化活性及び乳化安定性試験(1)〜(2)
に供した。混合液中におけるホモジナイザーのシャフト
の位置は全実験を通して一定にし、特にシャフトの先端
は常に試験管の底部から5mm離れているようにした。
また、エマルジョンの空気の取り込みは本実験では特に
防止しなかった。
【0042】(1)乳化活性試験例 乳化直後に管底部から上記エマルジョン0.5mlを採
取し、0.1%SDS溶液で連続的に希釈し、波長50
0nmにおける吸光値Aを測定するとともに、次式によ
り濁度(T)を算出した。 T=2.303A/L(L:キューベットの光路長 cm) 乳化活性は、この濁度Tに希釈倍率を乗じて表した。
【0043】(2)乳化安定性試験例 上記エマルジョンを試験管(13×90mm)に採取し、試験管
を37℃のインキュベーター中に静置して、乳化24時
間後における管底からのエマルジョンの全長A、並びに
底部に分離したドレーン層の層幅Bを測定し、次式によ
り液層全幅に対する乳化層幅の割合を算出して乳化安定
性を表した。 乳化安定性=(A−B)/A
【0044】図10A〜Bは乳化活性試験、図11A〜
Bは乳化安定性試験の各結果を示し、両試験において
は、各アポMFGM−A及びBに関して、次の二つの乳
化特性値を併記した。 実測の乳化特性(薄墨色の棒線参照) アポMFGMのタンパク質当たりに換算した乳化特性
(黒点状の棒線参照) (この換算タンパク質量は前記図4参照)
【0045】図10及び図11によると、脱脂率の高い
イソプロピルアルコールを始め、メタノール・クロロホ
ルム、エタノール・n−ヘキサン、エタノール・イソプロ
ピルアルコールの混合溶媒で処理したアポMFGMの乳
化特性は、脱脂率の低いn−ヘキサン、クロロホルムの
単独溶媒で処理したアポMFGM、並びに原MFGMの
乳化特性(乳化活性及び乳化安定性)に比してやや低い傾
向を示した。従って、このような脱脂率の高・低と乳化
特性の関係を見ると、タンパク質成分の外に、アポMF
GMに残存する脂質成分が乳化特性に寄与していること
が推測できる。そこで、このアポMFGMを化粧料基剤
に用いた化粧料(乳液)の実施例を述べるとともに、この
乳液の安定性を調べた。
【0046】
【0047】上記アポMFGMとしては、後述の各種の
乳化安定性試験に合わせて、所定の乳脂肪球皮膜から下
記の手法を基本として調製した様々のアポMFGMを使
用した。即ち、アポMFGMの前記製造実施例で述べた
ように、バターミルクを精密濾過膜処理し、凍結乾燥し
た乳脂肪球皮膜の凍結乾燥粉末を原MFGM粉末として
用いた。そして、この原MFGM粉末200gにイソプ
ロピルアルコール3lを直接加えて、50℃で3時間撹
拌し、全体を濾過した後、温イソプロピルアルコールで
洗浄して脱脂精製を行い、乾燥してアポMFGMを得
た。尚、上記原MFGM粉末による脱脂精製はソックス
レー抽出方式で行っても良く、この場合には、例えば、
当該原MFGM粉末100gをソックスレー抽出器に入
れ、イソプロピルアルコール1.5lで2時間還流する
ことにより、アポMFGMを得るのである。
【0048】このように、乳脂肪球皮膜の乾燥粉末に直
接溶剤を接触させて脱脂精製する方式は、乳脂肪球皮膜
を懸濁液に戻す手間を要さずに簡便にアポMFGMを調
製できる点で、原MFGMからアポMFGMへの生産効
率が高く、実用的で工業レベルの生産に適している。
【0049】そこで、前記乳液の製造方式を具体的に述
べると、先ず、上記(A)の各成分を60℃で溶解し、上
記(C)の各成分をホモミキサーにより8000rpm、
15分間の条件で分散し、(A)の油溶性成分と(C)の分
散液を混合した。この混合液にさらに50℃で上記(B)
の水溶性成分を溶解し、ホモミキサーにより5000r
pm、5分間の条件で乳化してo/w型乳化組成物を得
るとともに、室温まで冷却して実施例の乳液とした。但
し、上記成分の混合割合は乳液全体に対する重量%であ
り、全ての成分を混合した時点で100%になるように
(B)の精製水の混合量で調整した。また、上記アポMF
GMに替えて原MFGMを配合したものを比較例とし
た。
【0050】一方、アポMFGMを配合する乳液の実施
例では、上記実施例に加えて、レシチン又は/及び油性
活性剤のソルビタンモノステアレートを追加配合したも
のを他の実施例として、後述の安定性試験に供した。こ
の場合、レシチンは対アポMFGM比25%の配合率で
上記成分(C)に加え、また、ソルビタンモノステアレー
トは乳液全量に対して0.6%の配合率で上記成分(A)
に加えた。これに合わせて、上記成分(B)と(C)の精製
水の配合率を調整した。尚、レシチンは精製卵黄レシチ
ンを使用した。
【0051】《乳液の乳化安定性試験例》図12に示す
ように、上記製造実施例に基づいて調製した各種の乳液
を直ちに試験管に入れ、45℃の温度下で乳液が油層・
クリーム層・水層の各層に分離する程度を目視で経時的
に測定した。即ち、液層の全長をA、分離した油、水、
クリーム層の合計幅をBとして、次式で示す分離度(%)
により乳液の乳化安定性を表した(このため、分離度が
小さいほど、乳化安定性が大きいことになる)。 分離度=B/A×100
【0052】(1)アポMFGMの配合乳液と原MFGM
の配合乳液の比較試験例。 先ず、原MFGMの脱脂精製で得たアポMFGMを配合
した乳液を、原MFGMの配合乳液と比較しながら、こ
れらの乳液の乳化安定性(以下、単に安定性という)を試
験した。
【0053】図13はその結果を示し、アポMFGM−
Eの配合乳液は、対応する原MFGM−Eの配合乳液に
比べて分離度が高い(即ち、乳化安定性が低い)傾向を示
した。しかしながら、アポMFGM−Eでは、60時間
を経過した時点から原MFGM−Eに迫るような安定性
を示したうえ、120時間を経過した時点でも高い安定
性を保持していた。また、図14は、別種のアポMFG
M−Fと原MFGM−Fを比較試験した結果であり、や
はりアポMFGMでは原MFGMより乳液の安定性がや
や低下する傾向を示した。
【0054】図13〜図14によると、アポMFGMで
は乳液の安定性が原MFGMに比べると低下傾向を示す
ものの、最も重要な点は、各種のアポMFGMの配合乳
液が120時間経過時点でもなお大きな安定性を示した
点である。このことから、冒述のように、原MFGMが
常温では不安定で腐敗・酸敗が進行するのに対して、ア
ポMFGMは常温でも化学的に安定であり、高い乳液の
安定化能を長期に保持することが判った。
【0055】(2)アポMFGMとレシチンを併用した乳
液の試験例。 上記(1)の試験結果に鑑み、アポMFGMとレシチンを
併用添加した乳液を、原MFGM又はアポMFGMを各
々単独添加した乳液と比較した。
【0056】図15はその結果を示し、アポMFGM−
Gの単独添加乳液では原MFGM−Gの配合乳液よりも
安定性がやや低い傾向を示しが、40時間経過後ではほ
とんど変わらなかった。これに対して、アポMFGM−
Gとレシチンを併用添加した乳液では、アポMFGM−
Gの単独添加乳液のみならず、原MFGM−Gの配合乳
液に比べても、乳液安定性が大きく改善されたうえ、時
間が経過してもこの安定性の差異は大きく広がったまま
であった。
【0057】即ち、原MFGMの含有成分であるレシチ
ンをアポMFGMに併用すると、アポMFGM単独の示
す乳液の安定化能がレシチンによって大きく補われて、
原MFGMが示す乳化安定化能の水準にまで回復する
か、或は、本試験例のように原MFGMよりさらに向上
することが認められた。
【0058】(3)アポMFGMとソルビタンモノステア
レートを併用した乳液の試験例。 上記(1)の試験結果に鑑み、アポMFGMとソルビタン
モノステアレートを併用添加した乳液を、アポMFGM
を各々単独添加した乳液と比較した。
【0059】図16はその結果を示し、アポMFGM−
1〜H2とソルビタンモノステアレートを併用添加した
乳液では、アポMFGM−H1〜H2の単独添加乳液に比
べて、乳液安定性が大きく改善された。特に、一方の種
類のアポMFGM−H1では、このソルビタンモノステ
アレートと併用することで、45時間ほど経過した時点
でも、乳液調製初期の安定性を保持していた。即ち、油
性活性剤であるソルビタンモノステアレートを上記(2)
のレシチンに替えてアポMFGMと併用しても、乳液の
安定化能がアポMFGM単独の場合よりも大きく向上す
ることが判った。
【0060】(4)アポMFGMとレシチンとソルビタン
モノステアレートを併用した乳液の試験例。 上記(2)と(3)の試験結果に鑑みて、先ず、一種類の原M
FGM−J4と三種類のアポMFGM−J1〜J3を用意
し、当該アポMFGM−J1〜J3(又は原MFGM−
4)にソルビタンモノステアレートを配合した乳液の安
定性を試験して、図17Aに示す結果を得た。次いで、
ソルビタンモノステアレートの配合下で、上記一種類の
原MFGM−J4と三種類のアポMFGM−J1〜J3
ついて、各アポMFGM−J1〜J3にさらにレシチンを
配合した乳液と、原MFGM−J4を配合した乳液の安
定性を試験して、図17Bに示す結果を得た。
【0061】図17Aと図17Bを比較すると、三種類
のアポMFGMの全てに関して、各アポMFGMとソル
ビタンモノステアレートを併用添加した乳液に比して、
各アポMFGMとソルビタンモノステアレートとレシチ
ンの三者を併用添加した乳液の乳化安定性が大きく向上
するともに、この改善傾向は40時間の経過時点まで変
わらないことが認められた。即ち、アポMFGMの配合
条件下でレシチンとソルビタンモノステアレートの両者
をさらに併用すると、乳液は大きな安定性を獲得できる
ことが判った。
【0062】以上のように、(1)〜(4)の試験結果による
と、アポMFGMによる乳液の安定化能は元の原MFG
Mに比して低下する傾向にあるが、アポMFGMにレシ
チン又はSSを併用すると、この低下傾向を改善して原
MFGMが示す安定化能のレベルにまで回復するか、或
は原MFGMの安定化能より向上できる。しかも、アポ
MFGMの配合下でさらにレシチンとソルビタンモノス
テアレートの両者を併用しても、乳液の安定性に著大の
効果がある。
【0063】これらのことから、本質的に、アポMFG
Mにはレシチンとの配合特性の良さが備わっていること
が証明され、しかも、このレシチンは既に工業的に安定
生産されているため、アポMFGM配合の乳化組成物を
実用化する際にも、別途に添加することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】天然の乳脂肪球皮膜の詳細な組成を示す図表で
ある。
【図2】乳脂肪球皮膜の概略的模式図である。
【図3】異なる牛乳から得た複数種の乳脂肪球皮膜の組
成分析値を示す図表である。
【図4】乳脂肪球皮膜に各種溶剤抽出を施した場合の脂
質含量、タンパク質残存比、並びにタンパク質含量を示
す図表である。
【図5】乳脂肪球皮膜に各種溶剤抽出を施した場合の脂
質抽出率を示す図である。
【図6】洗浄クリームから得られた乳脂肪球皮膜のアポ
体における糖タンパク質画分の電気泳動試験の結果を示
す写真であり、図6Aはタンパク質バンドに関する写
真、図6Bは糖質バンドに関する写真である。
【図7】バターミルクから得られた乳脂肪球皮膜のアポ
体における糖タンパク質画分の電気泳動試験の結果を示
す写真であり、図7Aは図6Aの相当写真、図7Bは図
6Bの相当写真である。
【図8】工業的に製造した乳脂肪球皮膜の組成分析値を
示す図表である。
【図9】各種の乳脂肪球皮膜を脱脂精製して得られた乳
脂肪球皮膜のアポ体についての組成分析値を示す図表で
ある。
【図10】乳脂肪球皮膜のアポ体についての乳化活性試
験の結果を示す図であり、図10Aは洗浄クリームから
得られたアポ体、図10Bはバターミルクから得られた
アポ体の各図である。
【図11】乳脂肪球皮膜のアポ体についての乳化安定性
試験の結果を示す図であり、図11Aは洗浄クリームか
ら得られたアポ体、図11Bはバターミルクから得られ
たアポ体の各図である。
【図12】乳脂肪球皮膜のアポ体を配合した乳液につい
ての乳化安定性試験の説明図である。
【図13】乳脂肪球皮膜のアポ体を配合した乳液の乳化
安定性を、元の乳脂肪球皮膜を配合した乳液のそれと比
較した試験結果を示す図である。
【図14】同じく別種の乳脂肪球皮膜のアポ体を配合し
た乳液の乳化安定性を、元の乳脂肪球皮膜を配合した乳
液のそれと比較した試験結果を示す図である。
【図15】乳脂肪球皮膜のアポ体とレシチンを併用した
乳液の乳化安定性を、乳脂肪球皮膜のアポ体を配合した
乳液及び元の乳脂肪球皮膜を配合した乳液の夫々の乳化
安定性と比較した試験結果を示す図である。
【図16】乳脂肪球皮膜のアポ体とソルビタンモノステ
アレートを併用した乳液の乳化安定性を、乳脂肪球皮膜
のアポ体を単用した乳液の乳化安定性と比較した試験結
果を示す図である。
【図17】乳脂肪球皮膜のアポ体とソルビタンモノステ
アレートとレシチンの三者を併用した乳液の乳化安定性
を試験した結果を示す図であり、図17Aは夫々ソルビ
タンモノステアレートの配合下で乳脂肪球皮膜のアポ体
を使用した乳液の乳化安定性と元の乳脂肪球皮膜を使用
した乳液のそれとを比較した試験結果を示す図、図17
Bは夫々ソルビタンモノステアレートの配合下で乳脂肪
球皮膜のアポ体並びにレシチンを併用した乳液の乳化安
定性と元の乳脂肪球皮膜を使用した乳液のそれとを比較
した試験結果を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 11/04 B01D 11/04 C

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳脂肪球皮膜から脂質成分を除去する精
    製処理で得られた、糖タンパク質成分を主成分とする乳
    脂肪球皮膜のアポ体。
  2. 【請求項2】 乳脂肪球皮膜に溶剤を接触させて、乳脂
    肪球皮膜内の脂質成分を溶剤で抽出し、乳脂肪球皮膜か
    ら脂質成分を除去することを特徴とする乳脂肪球皮膜の
    アポ体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の乳脂肪球皮膜のアポ体
    を配合して、安定な乳化組成物を生成可能にすることを
    特徴とする乳脂肪球皮膜のアポ体から成る基剤。
  4. 【請求項4】 乳脂肪球皮膜のアポ体に加えて、さらに
    レシチンを併用することを特徴とする請求項3に記載の
    乳脂肪球皮膜のアポ体から成る基剤。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4に記載の乳化組成物が化
    粧料であることを特徴とする乳脂肪球皮膜のアポ体から
    成る化粧料基剤。
  6. 【請求項6】 請求項3又は4に記載の乳化組成物が医
    薬品であることを特徴とする乳脂肪球皮膜のアポ体から
    成る医薬品基剤。
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