JP2010166862A - 水中油型乳化物およびその製造方法ならびに水中油型気泡含有乳化物およびその製造方法 - Google Patents

水中油型乳化物およびその製造方法ならびに水中油型気泡含有乳化物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸性条件下であってもホイップ機能を有する水中油型乳化物および酸性条件下においてオーバーラン値と硬さとが良くバランスした水中油型気泡含有乳化物を提供する。
【解決手段】(1)グリセロリン脂質とホスホリパーゼA2を除くホスホリパーゼを配合して成る水中油型乳化物、(2)オーバーラン値が80〜200%であり、レオメーターで測定した硬さが30〜300gfであり、pHが5.5以下である水中油型気泡含有乳化物。本発明の好ましい態様においては、グリセロリン脂質としてレシチン、ホスホリパーゼとしてはホスホリパーゼA1が使用される。
【選択図】なし

Description

本発明は水中油型乳化物およびその製造方法ならびに水中油型気泡含有乳化物およびその製造方法に関する。
ホイップクリームやコーヒークリーム、濃縮乳等の水中油型乳化物は、製菓・製パン業界において、フィリング用、サンド用、トッピング用、練り込み用として広く使用されている。これら水中油型乳化物のpH値は殆どの場合中性付近であるため、安定した乳化状態を保持することが容易であり、また、ホイップ時のホイップ性や保型性も良好であるものが得られやすい。しかしながら、風味が画一的であるという欠点がある。また、近年、嗜好の多様化に伴い、各種の果実や果汁、ヨーグルト等の酸味を帯びた酸性成分を配合した、清涼感のあるクリーム類が要望されている。なお、本願におけるホイップクリームとは、水中油型乳化物の一つで、ホイップした際に良好なホイップ機能を有するものである。また、ホイップの結果得られる水中油型気泡含有乳化物をホイップドクリームとする。
酸性水中油型乳化食品として、リゾ化率70%以上となるようにホスホリパーゼA2で処理した大豆レシチン0.6重量%以上と卵黄とを含有することを特徴とする耐熱性のものが提案されている(特許文献1)。また、リン脂質にホスホリパーゼA2を添加して処理した後、該リン脂質にホスホリパーゼA1を添加して処理することを特徴とするリン脂質処理物の製造方法が知られている(特許文献2)。
しかしながら、上記の耐熱性酸性水中油型乳化食品は、ドレッシングやマヨネーズを対象としており、ホイップクリームについては考慮されていない。実際、特許文献1の記載を参考にリゾ化率ほぼ100%と考えられるSLP−ホワイトリゾ(辻製油製)を使用してホイップクリームを製造し酸性条件下ホイップを試みたが、十分なホイップ機能は認められなかった。さらには、ホスホリパーゼA2を用いてホイップクリームを製造し酸性条件下でホイップを試みたが、十分なホイップ機能は認められず、ホイップドクリームの製造は不可能であった。また、特許文献2に記載の方法によれば、レシチンの2位および1位の脂肪酸の両方を加水分解しグリセロリン酸誘導体および脂肪酸の混合物とした物質、あるいは特許文献1に記載と同等の物質あるいは両物質の混合物のいずれかが効果があるものと解釈することが出来る。しかしながらグリセロリン酸誘導体は乳化に関する機能が全くないことは周知のことであり、ホイップに際してもその効果は期待できるものではない。したがって特許文献2の内容を酸性ホイップに反映させることは非常に困難である。
また、酸性水中油型気泡乳化物で乳タンパクを含む例はいくつか報告されている。しかしながら、乳タンパクとしてはカゼインを含むと不都合である旨記載があったり(特許文献3および4)カゼインとホエーの比が規定されている上に様々な配合を行わなくては目的物が製造できなかったりすることが述べられている(特許文献5)。すなわち、さまざまな配合を行うことなく、風味の点でホエーよりも優れているカゼインを含む酸性水中油型気泡乳化物を製造することは非常に困難であった。したがって、酸性水中油型気泡乳化物を製造する方法を確立することは、大いなる技術的な進歩であり、市場から期待されていることであった。
特開2000−60481号公報 特開2003−213288号公報 国際公開第2005/063039号パンフレット 国際公開第2006/035543号パンフレット 特開平8−154612号公報
本発明の目的は、酸性条件下であってもホイップ機能を有する水中油型乳化物およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、酸性条件下においてオーバーラン値と硬さとが良くバランスした水中油型気泡含有乳化物およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、次のような意外な知見を得た。
(i)ホスホリパーゼはリン脂質分解酵素であって、脂質の分解されるエステル結合の位置の違いにより、A1、A2等に区別されるが、水中油型乳化物に乳化剤のグリセロリン脂質と共に、ホスホリパーゼA2以外のホスホリパーゼを配合するならば、酸性条件下であっても、驚くべきことに、ホイップ機能を有する水中油型乳化物が得られる。
(ii)そして、上記の水中油型乳化物のホイップにより得られる水中油型気泡含有乳化物は、従来のものとは異なり、酸性条件下においてオーバーラン値と硬さとが良くバランスしている。
本発明は、上記の知見を基に更に検討を重ねて完成されたものであり、1群の発明から成り、各発明の要旨は次の通りである。
(1)グリセロリン脂質とホスホリパーゼA2を除くホスホリパーゼを配合して成ることを特徴とする水中油型乳化物。
(2)グリセロリン脂質を含む油相とホスホリパーゼA2を除くホスホリパーゼを含む水相との混合工程、予備乳化工程、均質化工程を順次に包含することを特徴とする水中油型乳化物の製造方法。
(3)オーバーラン値が80〜200%であり、レオメーターで測定した硬さが30〜300gfであり、pHが5.5以下であることを特徴とする水中油型気泡含有乳化物。
(4)グリセロリン脂質を含む油相とホスホリパーゼA2を除くホスホリパーゼを含む水相との混合工程、予備乳化工程、均質化工程、エージング工程、ホイッピング工程を順次に包含し、そして、予備乳化工程とエージング工程との間の任意の位置にホスホリパーゼの加熱失活工程を含むことを特徴とする水中油型気泡含有乳化物の製造方法。
本発明によれば、酸性条件下であっても、適度な気泡の保持率と適度な硬度を有するために風味が良好な水中油型気泡含有乳化物を与える水中油型乳化物が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。
本発明において「水中油型乳化物」とは、水を主成分とする水相中に油脂を主成分とする油相が分散した乳化物を意味する。水中油型乳化物は、気泡を含む状態、気泡を含まない状態の何れでもよいが、気泡を含む状態であっても当該気泡を除いた乳化物部分を意味するものとする。また、本発明において「水中油型気泡含有乳化物」とは、水中油型乳化物が気泡を含んだ状態そのものを意味し、ホイップクリームなどの水中油型乳化物をホイップすることによって得られるホイップドクリーム等はこれに該当する。
先ず、水中油型乳化物について説明する。
水中油型乳化物の水分量は、特に制限されないが、通常10〜99質量%、好ましくは30〜90質量%、更に好ましくは40〜80質量%である。水分量が前記範囲外の場合は、適度な気泡の保持率と適度な硬度を有する水中油型気泡含有乳化物を得ることが困難な場合がある。
油脂の種類は、特に限定されないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、馬油、鯨油などの各種植物油脂、動物油脂、これらに水素添加、分別、エステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。これらの中では、大豆油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、これらの加工油脂が好ましい。油脂は、2種以上を組み合わせて使用することも出来る。油脂量は、特に制限されないが、通常1〜90質量%、好ましくは5〜70質量%、更に好ましくは20〜50質量%である。油脂量が前記範囲外の場合は、適度な気泡の保持率と適度な硬度を有する水中油型気泡含有乳化物を得ることが困難な場合がある。
本発明の水中油型乳化物を酸性にするための酸味成分としては、クエン酸、リンゴ酸などが挙げられる。酸味成分により調節されるpHは、通常5.5以下、好ましくは4.5以下、更に好ましくは4.0以下である。なお、pHの下限は限定されないが、通常3である。ここで、pHとは、実質的に水相のpHを意味する。
本発明の水中油型乳化物の特徴はグリセロリン脂質とホスホリパーゼA2を除くホスホリパーゼを配合して成る点にある。
グリセロリン脂質は、グリセリンを骨格とするリン脂質であり、レシチン、ヒドロキシル化レシチン、ケファリン、リゾケファリン、プラスマローゲン等が挙げられるが、レシチンが好適に使用される。レシチンとしては、大豆レシチン、卵黄レシチン等が挙げられるが、その由来は限定されない。グリセロリン脂質は乳化剤として作用し、その配合量は、特に制限されないが、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5量%、更に好ましくは0.1〜3質量%である。グリセロリン脂質の配合量が前記範囲外の場合は、適度な気泡の保持率と適度な硬度を有する水中油型気泡含有乳化物を得ることが困難な場合がある。
ホスホリパーゼは、リン脂質を加水分解する位置によりホスホリパーゼA,B,C,Dに分類されている。ホスホリパーゼAはリン脂質の脂肪酸残基を加水分解する酵素であり、1位に作用し、1−リゾー2−アシルグリセロリン脂質と脂肪酸とに加水分解する酵素はホスホリパーゼA1、2位に作用し、2−リゾー1−アシルグリセロリン脂質(通称リゾレシチン)と脂肪酸とに加水分解する酵素はホスホリパーゼA2と定義されている。またホスホリパーゼBは1位および2位に同時に作用し、グリセロリン酸誘導対と脂肪酸とに加水分解する酵素、ホスホリパーゼCは3位に作用し、ジアシルグリセロールとリン酸誘導体に加水分解する酵素、ホスホリパーゼDはリン脂質のリン酸部分に作用し、ホスファチジン酸とコリンやエタノールアミン等の部分とに加水分解する酵素と定義されている。本発明ではホスホリパーゼA2以外のホスホリパーゼ、例えば、好適にはホスホリパーゼA1を使用する。ホスホリパーゼA1としては、例えば、三菱化学フーズ株式会社製から製剤として市販されている商品を利用することが出来る。ホスホリパーゼの配合量は、特に制限されないが、通常0.00001〜10質量%、好ましくは0.001〜5質量%、更に好ましくは0.01〜1質量%である。ホスホリパーゼの配合量が前記範囲外の場合は、適度な気泡の保持率と適度な硬度を有する水中油型気泡含有乳化物を得ることが困難な場合がある。なお、ホスホリパーゼは、油相、水相の何れに存在してもよいが、それ自体が水溶性であるため、通常は水相に存在する。
本発明の水中油型乳化物には、風味改善の目的で乳タンパクとともにカゼインを加えることが出来る。乳タンパクはホエーとカゼインとがあるが、ホエー単独では風味がよくなく、カゼインをも添加することで改善が期待できる。ここでカゼインにはカゼインのほか、カゼインナトリウム等を含む概念とする。カゼインを含む乳タンパクの配合量は、特に制限されないが、通常0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。
更に、本発明の水中油型乳化物には、必要により、油相及び/又は水相の成分として、上記以外の乳化剤、安定剤、蛋白質、糖類、調味料、着香料、着色料、保存料、酸化防止剤などを配合してもよい。
上記の乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤が挙げられる。また、サポニン、植物ステロール等の天然の乳化剤も使用することが出来る。これらの乳化剤の配合量は、特に制限されないが、通常0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは0.2〜5質量%である。
本発明の水中油型乳化物の水相は、通常、水、ホスホリパーゼ、脂肪酸エステル等で構成される。一方、油相は、通常、油脂、グリセロリン脂質、脂肪酸エステル等で構成される。なお、本発明の水中油型乳化物においては、前記の通り、通常グリセロリン脂質は油相に、通常ホスホリパーゼは水相に配合されるが、これらの成分は何れも前記とは逆の相に存在していてもよい。
グリセロリン脂質とホスホリパーゼA2を除くホスホリパーゼを配合して成る本発明の水中油型乳化物は、ホスホリパーゼA2を使用した場合と著しく異なり、中性条件下であっても酸性条件下であっても優れたホイップ機能を有する。
すなわち、水中油型乳化物を加熱してホスホリパーゼを失活させたのちに、中性のまま、あるいは酸性条件下でホイップは行われるが、水中油型乳化物の調製にホスホリパーゼA2を使用した場合は、酸性条件下ではタンパク質の凝集沈殿が起こり、十分なホイップ機能は認めらない。一方、上記以外のホスホリパーゼ、例えばホスホリパーゼA1を使用した場合には、中性条件下でも酸性条件下でもタンパク質の凝集沈殿が起こらない。本願発明においては、中性・酸性に拘わらず、タンパク質の凝集沈殿を懸念することなく、所望する乳化状態及びホイップ機能を達成するために各種のタンパク質を幅広く選択することが出来る。
乳タンパクとしては、上記のカゼイン系乳蛋白、例えば、カゼイン、カゼインナトリウムの他、ホエイ系乳蛋白、例えば、チーズホエー等が挙げられる。
次に、本発明の水中油型気泡含有乳化物について説明する。本発明の水中油型気泡含有乳化物の特徴は、後述する条件でのホイップ時間が通常2〜12の間、好ましくは5〜10分の間に、オーバーラン値が80〜200%であり、レオメーターで測定した硬さが30〜300gfであり、pHが5.5以下である点にある。オーバーラン値は、好ましくは110〜180%である。硬さは、好ましくは50〜200gf以上、更に好ましくは80〜200gfである。pHは、好ましくは4.5以下、更に好ましくは4.0以下である。なお、pHの下限は通常3である。
オーバーラン値の測定は次のように行う。すなわち、内容積100mlのビーカーに水中油型気泡含有乳化物を充填してその質量を測定し、下記式によりオーバーラン値算出する。この場合、ホイップは、装置としてケンミックスミキサー(株式会社愛工舎製作所、アイコープロKM−600型)を使用し、温度20℃、回転数400rpmの条件で行う。
[数1]
オーバーラン(%)=[(測定物の無気泡状態での密度(g/cm))−(測定物の気泡化状態での密度(g/cm)]÷(測定物の気泡化状態での密度(g/cm)×100
硬さの測定は次のように行う。すなわち、直径5.5cm、容量100mlのカップに水中油型気泡含有乳化物を入れ、レオメーター(サン科学社製「RHEO METER CR−500DX」)を使用し、テーブル速度20mm/minで直径30mm円盤状プランジャー(No.14)を水中油型気泡含有乳化物中に沈め、5mm進入時の硬さ(gf)を測定する。
レオメーターで測定した硬さが前記の範囲を超過する場合は、食感が悪化したりホイップクリームを絞り出した際の形状が悪化する傾向があり、前記の範囲より低すぎる場合は、形状保持性が悪化する傾向がある。一方、オーバーランが前記の範囲を超過する場合は、食感が軽すぎたり、風味の乏しいものになる傾向がある。オーバーランが前記の範囲より低すぎる場合は、風味、口溶け感が悪くなる。
本発明の水中油型気泡含有乳化物の上記の特性は、乳化物の配合比、特に、グリセロリン脂質とホスホリパーゼの配合量を最適化したり、水中油型乳化物の気泡化条件を最適化することによって達成される。すなわち、これらの最適化により、得られる水中油型気泡含有乳化物の前記した良好なホイップ状態が達成され、斯かるホイップ状態は通常30秒以上、好ましくは1分以上保持される。
次に、本発明に係る水中油型乳化物および水中油型気泡含有乳化物の製造方法の製造方法について説明する。
本発明に係る水中油型乳化物の製造方法は、グリセロリン脂質を含む油相とホスホリパーゼA2を除くホスホリパーゼを含む水相との混合工程、予備乳化工程、均質化工程を順次に包含することを特徴とする。混合工程、予備乳化工程、均質化工程は、水中油型乳化物の従来の製造方法における各工程と同様に行うことが出来る。一般に、予備乳化工程にはホモミキサーが使用され、均質化工程にはホモジナイザーが使用される。水中油型乳化物を酸性にするための酸味成分の配合工程の位置は任意に選択することが出来る。
本発明に係る水中油型気泡含有乳化物の製造方法は、グリセロリン脂質を含む油相とホスホリパーゼA2を除くホスホリパーゼを含む水相との混合工程、予備乳化工程、均質化工程、エージング工程、ホイッピング工程を順次に包含し、そして、予備乳化工程とエージング工程との間の任意の位置にホスホリパーゼの加熱失活工程を含むことを特徴とする。エージング工程、ホイッピング工程は、水中油型気泡含有乳化物の従来の製造方法における各工程と同様に行うことが出来る。
エージング工程は、脂肪の結晶を整えてエージング機能を発現させる工程であり、十分に冷却した後に一昼夜以上放置するのが好ましい。一般に、ホイップ装置としては、ケンミックスミキサーを初め、起泡性クリームをホイップする場合に汎用されている縦型または横型のコートミキサー等が使用される。
ホスホリパーゼの加熱失活工程は、好ましくは予備乳化工程と均質化工程との間で行われる。通常、加熱温度は80〜100℃、加熱時間は1〜10分である。
水中油型乳化物を酸性にするための酸味成分の配合工程の位置は、前述の通り任意に選択することが出来るが、ホイッピング工程の後工程に位置させる実施態様の1つとして、水中油型気泡含有乳化物を酸味成分と一緒に使用してもよい。例えば、酸味成分として、苺、林檎、蜜柑、梨、桃、葡萄、パイン、オレンジ、キウイ等の果実塊を使用し、水中油型気泡含有乳化物としてのホイップクリームと共に、フィリング用、サンド用、トッピング用として使用することが出来る。
本発明において、水中油型乳化物中に特定のホスホリパーゼを含有することにより、中性下のみならず酸性下においても水中油型乳化物中に含まれるタンパク質の凝集を抑制することが出来、更に、当該水中油型乳化物に気泡を含有させた際に、ホイップ機能の低下を抑制することが出来、離水や油分の分離を抑制することが出来る。このため、中性下のみならず酸性下においても水中油型気泡含有乳化物における気泡の保持率が高く、かつ高い硬度を有することが出来る。
本発明の水中油型乳化物の用途は、特に限定されないが、コーヒークリーム、濃縮乳、アイスクリーム、ミルクコーヒー等に使用することが出来る。本発明の水中油型気泡含有乳化物の用途は、特に限定されないが、ホイップクリーム、エアロゾルタイプのクリーム、アイスクリーム等に使用することが出来る。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1:
[水中油型乳化物の製造]
表1に示す通り、精製パーム油(ミヨシ油脂株式会社)22.5質量部、ナタネ硬化油(ミヨシ油脂株式会社)22.5質量部、ショ糖脂肪酸エステル−1(三菱化学フーズ株式会社、製品名:リョートーシュガーエステルS−270、HLB2)0.25質量部、ショ糖脂肪酸エステル−2(三菱化学フーズ株式会社、製品名:リョートーシュガーエステルS−170、HLB1)0.05質量部、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社、製品名:エマルジーMS、HLB4)0.05質量部、レシチン(辻製油株式会社、製品名:SLPホワイト)0.15質量部を70℃で混合溶解して油相とした。
表1に示す通り、脱脂粉乳(よつ葉乳業株式会社)2質量部、カゼインナトリウム(フォンテラジャパン株式会社、製品名:ALANATE180)1質量部、メタリン酸ソーダ(国産化学株式会社)0.1質量部、ショ糖脂肪酸エステル−3(三菱化学フーズ株式会社、製品名:リョートーシュガーエステルS−1670、HLB16)0.05質量部、ソルビタン脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社、製品名:ソルマンS−300V、HLB5)0.05質量部、水51.30質量部を70℃で混合溶解して水相とした。
上記水相を55℃に調温してからホスホリパーゼA1(三菱化学フーズ株式会社)0.05質量部を加えた後、これに油相を混合し、TKホモミキサー(プライミクス株式会社)で55℃、30分間撹拌して予備乳化させた。その後、予備乳化で得られた水中油型乳化物を700Wの市販の電子レンジで3分30秒加熱することにより、ホスホリパーゼA1を失活させた。この時の水中油型乳化物の温度は89±3℃であった。
電子レンジで加熱後の水中油型乳化物をゴーリンホモジナイザー(A.P.V.GAULIN社製)にて70℃、1段目80kg/cm、2段目20kg/cmでホモジナイズ(均質化)し、直ちに氷水にて5℃に冷却し、一晩エージングして水中油型乳化物(ホイップクリーム)を得た。
[中性ホイップドクリームの製造および評価]
得られた水中油型乳化物100質量部に砂糖(上白糖)15質量部を加えた後、ケンミックスミキサー(株式会社愛工舎製作所、アイコープロKM−600型)にて400rpm、20℃でホイップして水中油型気泡含有乳化物を得た。ホイップ中にミキサーを一時停止してサンプリングを行い、ホイップを再開する操作を繰り返し、最長15分間ホイップした。この方法で得たものを中性ホイップドクリームとした。pHは6.5であった。得られた中性ホイップドクリームを使用し、前述の方法でオーバーラン値および硬さを測定し、その結果を表2に示した。
[酸性ホイップドクリームの製造および評価]
得られた水中油型乳化物100質量部に砂糖(上白糖)15質量部を加えた後、10%クエン酸水溶液をホイップする前の水中油型乳化物にpH4になるまで添加した後、中性ホイップクリームの製造と同様にしてホイップし、水中油型気泡含有乳化物を得た。この方法で得たものを酸性ホイップドクリームとした。得られた酸性ホイップドクリームを使用し、前述の方法でオーバーラン値および硬さを測定し、その結果を表2に示した。表2に示す通り、ホイップ時間5.5分の時点でオーバーラン値が80〜200%、硬さが30〜300gfの範囲となり、好適なホイップ状態となった。また、ホイップ時間85分までの間、この好適なホイップ状態を維持していた。
[ホイップ性の評価]
ホイップ時間が2〜12分、好ましくは5〜10分の間にオーバーラン値が80〜200%、好ましくは110〜180%の範囲となり、且つ、硬さが30〜300gf、好ましくは50〜200gfの範囲となる状態を30秒以上、好ましくは1分以上保つ場合を、良好なホイップ性を示すと判断した。表2に示す通り、ホイップ時間5.0分の時点でオーバーラン値が80〜200%、硬さが30〜300gfの範囲となり、好適なホイップ状態となった。また、ホイップ時間8.0分までの間、この好適なホイップ状態を維持していた。
実施例2:
実施例1において、ホスホリパーゼA1の配合量を半量とし、表1に示す配合比とした以外は、実施例1と同様にして水中油型乳化物、中性ホイップドクリーム及び酸性ホイップドクリームを製造し、実施例1と同様にしてオーバーラン値および硬さの測定を行い、ホイップ性およびホイップ状態を評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例1:
実施例1において、ホスホリパーゼA1を使用せず、表1に示す配合比とした以外は、実施例1と同様にして水中油型乳化物およびホイップドクリームを製造し、実施例1と同様にしてオーバーラン値および硬さの測定を行い、ホイップ性およびホイップ状態を評価した。得られた結果を表2に示す。中性ホイップドクリームでは良好なホイップ性を示したが、酸性ホイップドクリームではホイップ時間を延長してもオーバーラン値が上昇せず、ホイップ性が不良であった。
比較例2:
実施例1において、ホスホリパーゼA1に代えてホスホリパーゼA2(ノボザイムズジャパン株式会社)を使用し、表1に示す配合比とした以外は,実施例1と同様にして水中油型乳化物およびホイップドクリームを製造し、実施例1と同様にしてオーバーラン値および硬さの測定を行い、ホイップ性およびホイップ状態を評価した。得られた結果を表2に示す。中性ホイップドクリームでは良好なホイップ性を示したが、酸性ホイップドクリームではホイップ時間を延長してもオーバーラン値が上昇せず、ホイップ性が不良であった。
比較例3:
実施例1において、油相中のレシチンに代えて水相中にリゾレシチン(SLP−ホワイトリゾ/辻製油製)を使用し、ホスホリパーゼA1を使用せずに、表1に示す配合比とした以外は、実施例1と同様にして水中油型乳化物およびホイップドクリームを製造し、実施例1と同様にしてオーバーラン値および硬さの測定を行い、ホイップ性およびホイップ状態を評価した。得られた結果を表2に示す。中性ホイップドクリームでは良好なホイップ性を示したが、酸性ホイップドクリームではホイップ時間を延長してもオーバーラン値が上昇せず、ホイップ性が不良であった。
Figure 2010166862
Figure 2010166862

Claims (15)

  1. グリセロリン脂質とホスホリパーゼA2を除くホスホリパーゼを配合して成ることを特徴とする水中油型乳化物。
  2. グリセロリン脂質がレシチンである請求項1に記載の水中油型乳化物。
  3. ホスホリパーゼがホスホリパーゼA1である請求項1又は2に記載の水中油型乳化物。
  4. 水中油型乳化物が乳タンパクを含有する請求項1〜3の何れかに記載の水中油型乳化物。
  5. 乳タンパクがカゼインを含む請求項4に記載の水中油型乳化物。
  6. pHが5.5以下である請求項1〜5の何れかに記載の水中油型乳化物。
  7. グリセロリン脂質を含む油相とホスホリパーゼA2を除くホスホリパーゼを含む水相との混合工程、予備乳化工程、均質化工程を順次に包含することを特徴とする水中油型乳化物の製造方法。
  8. オーバーラン値が80〜200%であり、レオメーターで測定した硬さが30〜300gfであり、pHが5.5以下であることを特徴とする水中油型気泡含有乳化物。
  9. グリセロリン脂質を含む油相とホスホリパーゼA2を除くホスホリパーゼを含む水相との混合工程、予備乳化工程、均質化工程、エージング工程、ホイッピング工程を順次に包含し、そして、予備乳化工程とエージング工程との間の任意の位置にホスホリパーゼの加熱失活工程を含むことを特徴とする水中油型気泡含有乳化物の製造方法。
  10. グリセロリン脂質がレシチンである請求項9に記載の水中油型気泡含有乳化物の製造方法。
  11. ホスホリパーゼがホスホリパーゼA1である請求項9又は10記載の水中油型気泡含有乳化物の製造方法。
  12. 水中油型乳化物が乳タンパクを含有する請求項9〜11の何れかに記載の水中油型気泡含有乳化物の製造方法。
  13. 乳タンパクがカゼインを含む請求12に記載の水中油型気泡含有乳化物の製造方法。
  14. 任意の位置に酸味成分の配合工程を含む請求項9〜13の何れかに記載の水中油型気泡含有乳化物の製造方法。
  15. 水中油型気泡含有乳化物のpHが5.5以下である請求項9〜14の何れかに記載の水中油型気泡含有乳化物の製造方法。
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