JPH06245703A - コーヒー飲料の製造法 - Google Patents

コーヒー飲料の製造法

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JPH06245703A
JPH06245703A JP5656393A JP5656393A JPH06245703A JP H06245703 A JPH06245703 A JP H06245703A JP 5656393 A JP5656393 A JP 5656393A JP 5656393 A JP5656393 A JP 5656393A JP H06245703 A JPH06245703 A JP H06245703A
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Noburo Shimazaki
信郎 嶋崎
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Morinaga and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 缶やビン或は紙容器などに充填されたコーヒ
ー飲料は、乳製品が加えられており、蛋白の沈澱や脂肪
の分離を防ぐためアルカリで中和してから加熱殺菌して
いる。その結果、酸味が乏しく風味の劣るものとなっ
た。この発明は、弱酸性領域で加熱殺菌しても乳蛋白質
の沈澱や脂肪の分離がみられず、しかも加温状態で長時
間貯蔵しておいても安定なコーヒー飲料を得るためのも
のである。 【構成】 生クリームやバターなどの乳製品を加えたコ
ーヒー抽出液に蔗糖脂肪酸エステルなどの乳化剤と微結
晶セルロースを添加し、pHを5.0〜6.5に調整して
加熱殺菌して、pH4.5〜6.0の弱酸性で風味がよ
く、しかもベンダーなどで加温して長時間保存しておい
ても蛋白の沈澱や脂肪の分離がみられな安定なコーヒー
飲料とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の利用分野】この発明は、缶やビン或は紙容器な
どに充填されており、しかも加熱殺菌されているコーヒ
ー飲料の製造法に関するものであり、詳しくは、弱酸性
領域で加熱殺菌しても乳蛋白質の沈澱や脂肪の分離がみ
られず、しかも加温状態で長時間貯蔵しておいても安定
なコーヒー飲料の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コーヒー抽出液は、通常弱酸性をしてい
る。そのため、乳製品を加え、加熱殺菌すると乳蛋白質
の沈澱や脂肪の分離などがみられる。このような殺菌処
理における乳製品による沈澱や脂肪の分離を防ぐため、
加熱の前に炭酸水素ナトリウムなどでpHを中性として
から原料乳を加え、加熱殺菌するのが従来の方法である
が、この方法だとコーヒーの酸味がなくなり、風味も乏
しいものとなってしまう。また、ホットベンダーなどに
入れ、加温状態で長時間貯蔵したとき、乳蛋白質の沈澱
や脂肪の分離、さらに耐熱性芽胞菌の増殖などの心配も
あった。
【0003】このような従来のコーヒー飲料の欠点を防
ぐため、蔗糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エ
ステルを加える方法、有機酸塩を加える方法などが提案
されている。また、蔗糖脂肪酸エステルなどの乳化剤と
カラギーナンを併用する方法も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の方法では、コーヒーが本来もっている好ましい酸味
を有するコーヒー飲料としたくても、加熱殺菌や加温状
態で貯蔵したとき乳蛋白質の沈澱が起き、それを完全に
防止することはできなかった。また、乳製品として乳蛋
白質含量の少ない生クリームやバターなどを用いた場合
でも、脂肪含量が多いため脂肪の分離がみられ、分離し
た脂肪が表面に浮かび見掛けを悪くするだけでなく、風
味の劣ったものとなった。
【0005】この発明は、酸味があって、しかも加熱殺
菌しても乳蛋白質の沈澱や脂肪の分離がみられず、しか
も加温状態で長時間貯蔵しておいても蛋白質の沈澱や脂
肪の分離をみずに安定に貯蔵できるコーヒー飲料を供す
ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の発明者らは、
加熱殺菌や加温して貯蔵したとき、乳蛋白質の沈澱や脂
肪の分離が起こらない酸味のあるコーヒー飲料を開発す
べく研究し、乳化剤と同時に微結晶性セルロースを用い
ることにより解決することを見いだし、この発明を完成
した。
【0007】すなわち、この発明は、生クリームやバタ
ーなどの乳製品を加えたコーヒー抽出液に蔗糖脂肪酸エ
ステルなどの乳化剤と微結晶セルロースを添加して調製
液とし、そのpHを5.0から6.5の間で加熱殺菌して
殺菌後のpHが4.5から6.0の間となるようにした、
コーヒー飲料の製造法である。
【0008】この発明を実施するには、先ずコーヒー抽
出液を調製する。コーヒー抽出液は、コーヒー豆を焙煎
し、湯水で抽出することにより得られるが、コーヒー豆
の種類、焙煎条件、抽出条件などは、特に限定されず、
所望により、又は必要により適宜定めることができる。
【0009】次いで、コーヒー抽出液に乳製品を加え
る。乳製品として生クリームやバターのように蛋白質が
少ないものを用いるのが望ましい。なお、コーヒー抽出
液と乳製品の比率は、コーヒー豆の種類、コーヒー抽出
液を調製するときの条件や使用する乳製品の種類やグレ
ードなどにより異なるが、好みにより任意に定めること
ができる。
【0010】このようにして得た乳製品を加えたコーヒ
ー抽出液に乳化剤と微結晶セルロースを添加し、調製液
とする。ここに用いる乳化剤として、蔗糖脂肪酸エステ
ル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸
エステルなどを用いることができるが、蔗糖脂肪酸エス
テルが最も好ましい結果が得られる。
【0011】乳化剤の添加量は、少ないと目的とする効
果が得られず、多いと乳化剤の不快な味やにおいを感じ
るため、調製液の0.01%から0.2%、好ましくは
0.03%から0.1%とするのが望ましい。また、微結
晶セルロースの添加量は、少ないと脂肪の分離がみら
れ、多いと風味を損なうため、調製液の0.01%から
0.2%、好ましくは0.05%以上とするのが好まし
い。このようにすることにより、最終製品の沈澱や脂肪
の分離を防ぎ、加温状態で貯蔵しても沈澱や脂肪の分離
が起こらない安定な製品とすることができる。
【0012】調製液は、缶やビンに充填し、密閉して加
熱殺菌したり、加熱殺菌して紙容器に充填して密閉し、
常温まで冷しコーヒー飲料とする。
【0013】加熱殺菌後のコーヒー飲料のpHが4.5
より低くなると、酸味が強すぎて飲みにくくなり、pH
6.0より高くなると酸味がなくなりコーヒー本来の風
味に欠けるものとなるので、pHがこの間となるように
する。すなわち、コーヒー調製液は加熱殺菌によりpH
が低くなるので、加熱殺菌前の調製液のpHが5.0〜
6.5であることが望ましく、必要により調製液に炭酸
水素ナトリウムなどを加え、pHを調整する。これによ
り、風味が優れたコーヒー飲料が得られる。
【0014】
【実施例】次にこの発明を実施例により説明する。 実施例1 コロンビア産アラビカ種のコーヒー豆をL値25となる
ように焙煎し、粉砕したコーヒー豆を抽出してコーヒー
抽出液を得た。この抽出液100部(重量部、以下同
じ)に、生クリーム2部、グラニュー糖6部、蔗糖脂肪
酸エステル0.1部、微結晶セルロース0.2部を添加し
てpH5.2の調合液を調製した。この調合液に、炭酸
水素ナトリウムを添加してpHを5.9及び6.9に調整
した。
【0015】各々の調合液をそれぞれ別々に200cc
の缶に充填し、巻締めて密封し、124℃、20分間の
加熱殺菌を行い、直ちに室温まで冷却して缶入りのコー
ヒー飲料を得た。これらのコーヒー飲料は、いずれも蛋
白質の沈澱や脂肪の分離が見られなかった。また、飲ん
だときコーヒーが本来持っている好ましい酸味が感じら
れ、しかも55℃のホットベンダーに45日間入れてお
いても沈澱や脂肪の分離が見られなかった。なお、pH
を5.9として加熱殺菌したコーヒー飲料のpHは5.
4、pH6.9としたコーヒー飲料はpH6.4であっ
た。
【0016】比較試験 実施例1の炭酸水素ナトリウムを加えpHを調整し、最
終製品のpHを5.4に調整したコーヒー飲料を20℃
及び55℃に30日間保存した後、沈澱及び脂肪の分離
の状態を目視により観察し、同時に官能試験による風味
のチエックを行った。その結果は、表1のようになっ
た。
【0017】なお、表1の比較例1は蔗糖脂肪酸エステ
ルを用いない以外は実施例1と同様に、比較例2は微結
晶セルロースを用いない以外は実施例1と同様に各々処
理して得た缶入りコーヒー飲料を用いた結果である。ま
た、比較例3は微結晶セルロースの代わりにカラギーナ
ンを用いた以外実施例1と同様に処理して得られたコー
ヒー飲料の結果である。それぞれの比較例のコーヒー飲
料を調製するとき調合液のpHは5.9とした。
【0018】
【表1】
【0019】表の「状態」の欄の−は沈澱や脂肪の分離
が全く認められない、+は沈澱は認められないがわずか
に脂肪の分離が認められた、++は沈澱は認められないが
脂肪の分離が認められたことを示す。また、「官能」の
欄は、20名の専門パネラーにより試飲したとき、非常
に優れているを5点、普通を3点、非常に劣るを1点と
した5点法で採点してもらい、平均した値を示す。
【0020】30日間貯蔵した後内容物を缶からビーカ
ーに移し、目視にて状態を検査した結果は、比較例では
ホットベンダーに入れ、55℃に加温して30日間貯蔵
した場合油の分離が認められたが、実施例では沈澱や油
の分離が認められなかった。また、官能検査の結果は、
20℃で貯蔵の場合カラギーナンを用いた比較例3では
実施例と変わらない結果となったが、55℃にて貯蔵し
た場合実施例はどの比較例よりも評価が高かった。
【0021】
【発明の効果】この発明を実施することにより、例えば
比較試験の結果にも見られるように、加熱殺菌による乳
蛋白質の沈澱や脂肪の分離がみられず、しかも長期間加
温状態で貯蔵しておいても沈澱や脂肪の分離がみられ
ず、長期間安定に貯蔵でき、いつまでも好ましい風味を
維持したコーヒー飲料が得られた。また、従来の方法で
は得ることが困難であったコーヒー本来の酸味を有する
コーヒー飲料とすることが可能となった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生クリームやバターなどの乳製品を加え
    たコーヒー抽出液に蔗糖脂肪酸エステルなどの乳化剤と
    微結晶セルロースを添加し、pHを5.0〜6.5として
    加熱殺菌することを特徴とするコーヒー飲料の製造法。
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