JP2019165722A - コーヒー飲料用牛乳及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コーヒー抽出液とブレンドしてコーヒー飲料とした時に、コーヒーの風味を邪魔することなく引き立てながらも、生乳に近いミルク感と共に、飲用後にスッキリした風味が感じられる、コーヒー飲料用の牛乳、及びその製造方法、並びに、該牛乳を用いたコーヒー飲料及びその製造方法を提供すること。【解決手段】牛乳中のタンパク還元価が5〜10、且つ変性ホエータンパク率が65〜90%である、コーヒー飲料用牛乳。Brixが0.5〜5%のコーヒー抽出液100重量部に対して、前記コーヒー飲料用牛乳100〜2000重量部がブレンドされたコーヒー飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、コーヒー飲料での使用に適した、コーヒー飲料用牛乳及びその製造方法、並びに、コーヒー飲料及びその製造方法に関する。
近年、セルフスタイルのカフェや、コンビニエンスストアで提供されるカウンターコーヒー、家庭向けの全自動コーヒーマシーンの普及に伴い、コーヒー豆の抽出液(以下、コーヒー抽出液ともいう)に牛乳を混ぜ合わせたカフェラテ、カフェオレ、カプチーノ、ミルクコーヒー等のコーヒー飲料を飲用する機会が増加し、その市場は拡大を続けている。
通常これらのコーヒー飲料に使用される牛乳は、保存性や衛生上の観点から、低温保持殺菌製造法、高温短時間(HTST)殺菌製造法、超高温(UHT)加熱殺菌製造法、滅菌製造法等種々の加熱殺菌処理を経て製造される。ところが、従来の加熱殺菌処理では、原料である生乳の持つ独特の乳風味が変化しやすく、生乳に近いフレッシュな乳風味が損なわれ、タンパク質の変性による加熱臭が付与される傾向がある。そのために従来の加熱殺菌処理を経て製造された牛乳をコーヒー抽出液とブレンドしてコーヒー飲料とすると、牛乳の加熱臭があり、そのためコーヒー飲料全体の甘味が増すなどして、コーヒー抽出液が持つ香りや苦味、酸味が邪魔されるという問題があり、コーヒー飲料の美味しさを際立たせるものではなかった。特にブレンドする牛乳の量が多くなるほど、その傾向が顕著であった。
これまでの超高温(UHT)加熱殺菌製造法は、飲用乳を高温で加熱殺菌することにより、低温殺菌するよりも殺菌効果が高く、賞味期限を長く出来るメリットがあるものの、高温殺菌した飲用乳は低温で殺菌したものと比較して風味が異なり、加熱臭を呈することは常識であった。
このような問題を解決するために、例えば特許文献1では、飲用乳の物性および脂肪球の平均粒子径を所定の範囲に調整し、インフュージョン方式の直接加熱殺菌法にて殺菌することで、牛乳のコクの高さと飲用後のキレの良さを両立して、加熱臭を低減できることが示されている。
また、特許文献2では、コーヒー豆抽出液に由来するBrix濃度(X)、乳及び/又は乳製品の乳固形分の割合(Y)の配合割合が、3X≦Y≦12X(但し、0.4≦X≦2.0、Y≦11.2)で表される範囲であり、所定量の乳糖及び乳脂肪が添加されたことを特徴とするミルク入りコーヒーが示されている。これにより、本格的なカフェラテの持つコーヒーの風味と牛乳の濃厚なコクとがバランスよく感じられ、乳のほのかな甘みと滑らかさを併せ持つミルク入りコーヒーを提供すると記載されている。
特開2005−46140号公報 特開2015−89367号公報
しかし、特許文献1に記載の方法によって製造された牛乳は加熱臭が低減されているものの、その度合いは不十分であった。また、当該牛乳をコーヒー飲料で使用することは記載されていない。
また、特許文献2に記載の方法によって製造されたコーヒー飲料は通常のコーヒー飲料と異なり、飲料中の乳タンパクに対する乳糖と乳脂肪の含量が多いために乳感と甘味が強く、コーヒーの風味が弱く感じられ、コーヒー飲料の美味しさを際立たせるには不十分であった。
本発明の目的は、上記現状に鑑み、コーヒー抽出液とブレンドしてコーヒー飲料とした時に、コーヒーの風味を邪魔することなく引き立てながらも、生乳に近いミルク感と共に、飲用後にスッキリした風味が感じられる、コーヒー飲料用の牛乳、及びその製造方法、並びに、該牛乳を用いたコーヒー飲料及びその製造方法を提供することである。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、牛乳のタンパク還元価および変性ホエータンパク率を特定範囲に調節することによって、上記課題を解決できること、また、牛乳のタンパク還元価および変性ホエータンパク率が特定範囲に調節された牛乳は、殺菌加熱工程において特定の加熱条件を採用することで製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち第一の本発明は、牛乳中のタンパク還元価が5〜10、且つ変性ホエータンパク率が65〜90%である、コーヒー飲料用牛乳に関する。
第二の本発明は、Brixが0.5〜5%のコーヒー抽出液100重量部に対して、第一の本発明に係るコーヒー飲料用牛乳100〜2000重量部がブレンドされたコーヒー飲料に関する。
第三の本発明は、コーヒー飲料用牛乳を製造する方法であって、生乳を、1次加熱として10℃未満の温度から0.1〜5℃/秒の速度で60〜75℃まで昇温し、その温度で15〜120秒間加熱した後、更に2次加熱として0.1〜5℃/秒の速度で115〜132℃まで昇温し、その温度で2〜8秒間、加熱することを特徴とする、コーヒー飲料用牛乳の製造方法に関する。
第四の本発明は、コーヒー飲料を製造する方法であって、10〜98℃の水でコーヒー豆から抽出して得られるコーヒー抽出物と、第一の本発明に係るコーヒー飲料用牛乳を混合することを特徴とするコーヒー飲料の製造方法に関する。当該製造方法においては、Brixが0.5〜5%のコーヒー抽出液100重量部に対して、前記コーヒー飲料用牛乳100〜2000重量部をブレンドすることが好ましい。
本発明に従えば、コーヒー抽出液とブレンドしてコーヒー飲料とした時に、コーヒーの風味を邪魔することなく引き立てながらも、生乳に近いミルク感と共に、飲用後にスッキリした風味が感じられるコーヒー飲料用の牛乳、及びその製造方法、並びに、該牛乳を用いたコーヒー飲料及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
(コーヒー飲料用牛乳)
本発明は、牛乳のタンパク還元価と変性ホエータンパク率の双方をそれぞれ特定範囲に設定することによって、コーヒー抽出液とブレンドしてコーヒー飲料とした時に、コーヒーの風味を邪魔することなく引き立てながらも、生乳に近いミルク感と共に、飲用後にスッキリした風味が感じられるという、コーヒー飲料での使用に適した牛乳を提供するものである。
本発明のコーヒー飲料用牛乳における牛乳とは、乳等省令において定義されている牛乳類の中でも、生乳の使用割合が100%の牛乳類であって特別牛乳を除く牛乳類に限る。特に、具体的な種類別名称が、牛乳、又は成分調整牛乳である牛乳類が好適である。牛乳類に含まれる乳脂肪分は、特に限定されないが、例えば、3.0%以上が好適である。乳脂肪分の上限値は、例えば5.0%未満であってよい。
前記牛乳類における種類別名称が牛乳に該当するものは、生乳(牛から搾ったままの乳)が加熱殺菌されたものであり、水や他の原料を添加したり、本来含まれている成分を低減したりといった成分調整がなされていないものである。好適には、乳脂肪分3.0%以上、及び、無脂乳固形分8.0%以上を含み、細菌数(1ml中)が5万以下、大腸菌群が陰性のものである。
前記牛乳類における種類別名称が成分調整牛乳に該当するものは、生乳から乳脂肪分の一部と無脂乳固形分、水分などの成分の一部を除去したものが加熱殺菌されたものである。好適には、乳脂肪分3.0%以上、及び、無脂乳固形分8.0%以上を含み、細菌数(1ml中)が5万以下、大腸菌群が陰性のものである。
本発明において、タンパク還元価とは、牛乳の加熱度合いを数値化したものである。タンパク還元価の値が低いほど牛乳があまり加熱されておらず、生乳に近いミルク感となり、値が高いほど牛乳が加熱されて、加熱臭が強くなる。牛や餌の種類、環境にもよるが、一般的にタンパク還元価は生乳で0〜5、UHT殺菌牛乳では9〜17である。
タンパク還元価は、牛乳を加熱するとタンパク質の変性によるSH基の増加および褐変反応により形成された化合物により増加する還元力をフェリシアナイド還元法によって測定するものである。タンパク還元価の測定は、「日本薬学会編 乳製品試験法・注解」(金原出版株式会社、p.131、昭和59年3月20日発行)に準拠した。
本発明の牛乳中のタンパク還元価は5〜10であることが好ましい。これにより、従来の加熱殺菌処理による過度の加熱変性で生じていた加熱臭を抑制することができ、コーヒーの風味を邪魔することなく引き立てると共に、生乳に近いミルク感を維持することができる。前記タンパク還元価は、より好ましくは5.5〜9.5であり、さらに好ましくは6〜9であり、よりさらに好ましくは6.5〜9である。
本発明の牛乳は、コーヒー飲料を飲用後にスッキリした風味が感じられると共に、生乳に近いミルク感が感じられるように、若干の変性タンパク質が含まれていることが好ましい。これを示す指標として、本発明では変性ホエータンパク率を用いる。変性ホエータンパク率とは、牛乳中の全ホエータンパクに対する、加熱によって変性したホエータンパクの割合を示す指標である。変性ホエータンパク率が低いほど、加熱によるホエータンパクの変性が少ないことを表す。一般的に変性ホエータンパク率は生乳で20〜45%、UHT殺菌牛乳では85〜95%程度である。
変性ホエータンパク率の測定は以下の通りである。蓋つき試験管に牛乳を20ml入れ、NaClを8.0g加えた後、蓋をして30分間37℃±1℃の水浴につける。この間、試験管をよく振とうして、牛乳を完全にNaClで飽和させる。その後、冷却することなくすぐに定量ろ紙(No.7)にて桐山ロートを用いて吸引濾過を行い、ろ液を3ml採取する。ろ液が混濁している場合は、ろ紙で再度ろ過し、透明なろ液を得る。NaCl飽和溶液10mlを採取した試験管に、ろ液1.0mlを加えて混合する。その後23%HCl溶液を5mlピペットで2滴添加して混合し、液を混濁させる。
HCl溶液添加前のNaCl飽和溶液10mlに、ろ液1.0mlを加えて混合したものの混濁度(N100)を420nmの波長で測定する。そして、HCl溶液添加後5〜10分以内に420nmの波長で測定した混濁度(N)も用いて、以下の式で変性ホエータンパク率を算出した。尚、測定はU−2900型分光光度計(株式会社日立製作所製)にて%Tモード設定にて行うことができる。
変性ホエータンパク率(%)={(N/N100)×100}
ろ液について二反復試験を行い、得られた2点の変性ホエータンパク率の測定値が2%以内の誤差であれば、その2点の平均値を以て変性ホエータンパク率とする。2点の変性ホエータンパク率の測定値の誤差が2%を超える場合は、再試験を繰り返し、4点の測定値を得て、その4点の平均値を以て変性ホエータンパク率とする。
本発明の牛乳は、変性ホエータンパク率が65〜90%であることが好ましい。より好ましくは70〜90%であり、さらに好ましくは75〜85%である。この範囲内では、本発明の牛乳をブレンドしたコーヒー飲料において、コーヒーの風味が邪魔されず引き立てられながらも、生乳に近いミルク感と共に、飲用後にスッキリした風味を感じることができる。
(コーヒー飲料用牛乳の製造方法)
本発明のコーヒー飲料用牛乳は、最初に1次加熱を行なった後、2次加熱を行なうという二段階の加熱殺菌処理を行なうことによって製造することができる。本発明における二段階の加熱殺菌処理は、牛乳の加熱殺菌方法として最も一般的な従来の超高温(UHT)加熱殺菌製造法と比較して1次加熱の温度が低く、かつ、1次加熱の実施時間が短いという特徴がある。
まず、1次加熱では、10℃未満の温度で保存されている生乳を、0.1〜5℃/秒の速度で60〜75℃まで昇温し、その温度で15〜120秒間加熱することが好ましい。1次加熱時の温度は60〜75℃が好ましく、60〜70℃がより好ましく、60〜65℃がさらに好ましい。60℃より低くなると、1次加熱による殺菌処理の効果を得ることが難しくなり、75℃より高くなると、上述した牛乳中のタンパク還元価が大きくなってしまい、コーヒーの風味を邪魔することなく引き立てながらも、生乳に近いミルク感と、飲用後にスッキリした風味を得るという効果を達成することが難しくなる。なお、加熱時の温度とは、当該加熱時における牛乳の温度を指す。
また、昇温速度は、0.1〜5℃/秒の範囲が好ましく、0.5〜2.5℃/秒の範囲がより好ましく、1.3〜1.8℃/秒の範囲がさらに好ましい。昇温速度が0.1℃/秒より遅くなると、加熱殺菌に時間を要し、生産性が低下する。一方、昇温速度が5℃/秒より速くなると、加熱に必要な蒸気等のユーティリティーの使用量が多くなり、生産コストが上昇したり、加熱面に牛乳中のタンパクが付着し、コゲによる風味低下が起こる場合がある。
さらに、1次加熱の実施時間は15〜120秒間であることが好ましく、16〜100秒間がより好ましく、17〜80秒間がさらに好ましく、17〜60秒間が特に好ましく、17〜40秒間が最も好ましい。15秒間より短くなると、1次加熱中に、均質化処理をするための配管長を確保することが難しくなり、120秒間より長くなると、上述した変性ホエータンパク率が大きくなってしまい、コーヒーの風味を邪魔することなく引き立てながらも、生乳に近いミルク感と、飲用後にスッキリした風味を得るという効果を達成することが難しくなる。なお、加熱の実施時間とは、当該加熱時に牛乳の温度を所定の温度範囲に保持する時間を指す。
1次加熱処理を実施するための装置は特に限定されず、牛乳の加熱殺菌に用いる装置を適宜選択することができるが、生産性を考慮して、流路式殺菌装置が好ましい。そのような殺菌装置としては、例えば、プレート式殺菌装置、チューブ式殺菌装置、スピンジェクション式殺菌装置、ジュール式殺菌装置等が挙げられるが、これらに限定されない。
1次加熱中に、生乳に含まれる脂肪球の径をそろえて品質を安定化することを目的に、従来公知の均質化処理をあわせて実施してもよい。その場合、ホモゲナイザー、マイクロフルダイザー、コロイドミル等の装置を用いることができる。なお、このような均質化処理は、後述する2次加熱後の冷却中に行なうこともできる。
次いで、2次加熱を行なう。2次加熱では、1次加熱によって処理された生乳を、0.1〜5℃/秒の速度で115〜132℃まで昇温し、その温度で2〜8秒間の加熱を行なうことが好ましい。2次加熱時の温度は115〜132℃が好ましく、115〜130℃がより好ましく、115〜125℃がさらに好ましく、115〜120℃が最も好ましい。115℃より低くなると、2次加熱による殺菌処理の効果を得ることが難しい場合があり、132℃より高くなると、上述した牛乳中のタンパク還元価が大きくなってしまい、コーヒーの風味を邪魔することなく引き立てながらも、生乳に近いミルク感と、飲用後にスッキリした風味を得るという効果を達成することが難しい場合がある。
また、2次加熱の実施時間は2〜8秒間であることが好ましい。2秒間より短くなると、2次加熱による殺菌処理の効果を得ることが難しい場合があり、8秒間より長くなると、上述した変性ホエータンパク率が大きくなってしまい、コーヒーの風味を邪魔することなく引き立てながらも、生乳に近いミルク感と、飲用後にスッキリした風味を得ることが難しい場合がある。
2次加熱時の昇温速度は、0.1〜5℃/秒の範囲が好ましく、0.5〜2.5℃/秒の範囲がより好ましく、0.8〜1.3℃/秒の範囲がさらに好ましい。昇温速度が0.1℃/秒より遅くなると、加熱殺菌に時間を要し、生産性が低下しすぎる場合がある。一方、昇温速度が5℃/秒より速くなると、加熱に必要な蒸気等のユーティリティーの使用量が多くなり、生産コストが上昇したり、加熱面に牛乳中のタンパクが付着し、コゲによる風味低下が起こる場合がある。
以上の処理を行なって加熱殺菌された牛乳を、箱詰めまたは瓶詰めするなど容器に詰めることで製品化すればよい。
(コーヒー飲料)
本発明におけるコーヒー飲料とは、コーヒー抽出液と、牛乳とをブレンドしたものである。コーヒー抽出液とは、焙煎および粉砕されたコーヒー豆を水や温水などを用いて抽出して得たものが挙げられるが、これに限定されず、コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキスや、コーヒー抽出液を乾燥したインスタントコーヒーなどを、水や温水などで適量に調整した溶液などであってもよい。
前記コーヒー抽出液の濃度は、Brixが0.5〜5%が好ましく、0.8〜4%がより好ましく、1〜3%が更に好ましい。Brixが0.5%より低いとコーヒー飲料においてコーヒーの風味が不足する場合がある。一方、5%を越えるとコーヒー飲料において、生乳に近いミルク感や飲用後にスッキリした風味が感じられなくなる場合がある。なお、Brixの測定には株式会社アタゴ製のPR−201αを使用した。また、サンプルの測定は自動温度補正が適応される20℃前後で実施し、Brixのゼロ点補正については、蒸留水を用いて行った。
本発明のコーヒー飲料に用いるコーヒー豆の栽培樹種としては特に限定されず、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種などが挙げられる。また、品種名も特に限定されず、いずれの品種でも本発明の効果を達成することができる。具体的には、モカ、ブラジル、コロンビア、グアテマラ、ブルーマウンテン、コナ、マンデリン、キリマンジャロなどが挙げられる。コーヒー豆は1種でもよいし、複数種をブレンドして用いてもよい。コーヒー豆を焙煎する方法に関しても特に制限はなく、通常の方法を採用できる。また、焙煎度に関しても特に制限はない。さらに、その焙煎コーヒー豆からの抽出方法についても何ら制限はなく、例えば焙煎コーヒー豆を粗挽き、中挽き、細挽き等に粉砕した粉砕物から水を用いて抽出する方法が挙げられる。抽出方法は、ドリップ式、サイフォン式、ボイリング式、ジェット式、連続式、加圧式などであってよい。
抽出時の水の温度は適宜決定することができ、例えば10〜98℃の範囲にあってよい。すなわち抽出には温水だけではなく、常温の水も用いることができる。温水を用いて抽出した場合には、コーヒー飲料を飲用した際、コーヒーの風味を強く感じることができ、常温の水を用いて抽出した場合には、牛乳の甘味が強く感じられる傾向がある。抽出時の水の温度は20〜95℃が好ましく、25〜90℃がより好ましい。
本発明のコーヒー飲料は、以上説明したコーヒー抽出液と、本発明のコーヒー飲料用牛乳をブレンドすることで製造することができる。ブレンド時の温度は特に限定されず、コーヒー抽出液と、コーヒー飲料用牛乳いずれの温度も、5〜90℃の範囲にあればよく、10〜90℃がより好ましい。ブレンドの割合は適宜決定することができるが、コーヒー抽出液100重量部に対して、本発明のコーヒー飲料用牛乳の使用量が100〜2000重量部であることが好ましい。この範囲において、コーヒーの風味と、生乳に近いミルク感を両立することができる。より好ましくは100〜900重量部であり、さらに好ましくは100〜700重量部であり、よりさらに好ましくは100〜500重量部であり、特に好ましくは100〜300重量部であり、特により好ましくは200〜300重量部である。
以上のようにして得られたコーヒー飲料には、甘味料(ショ糖、異性化糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、パラチノース、マルチトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、パラチニット、還元デンプン糖化物、ステビア、グリチルリチン、タウマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、アセスルファムK、スクラロース、ズルチンなど)、酸化防止剤(エリソルビン酸ナトリウムなど)、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなど)、香料(コーヒーフレーバーなど)等を適宜配合することができる。
また、本発明のコーヒー飲料は、冷やして飲用することもできるし、温めて飲用することもできる。いずれの場合においても、コーヒーの風味が牛乳によって邪魔されず引き立てられながらも、生乳に近いミルク感と共に、飲用後にスッキリした風味を感じることができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(タンパク還元価の測定方法)
「日本薬学会編 乳製品試験法・注解」(金原出版株式会社、p.131、昭和59年3月20日発行)に準拠して測定を行なった。
(変性ホエータンパク率の測定方法)
上で詳述した方法によって測定を行なった。
<牛乳の衛生面の評価>
実施例および比較例で得られた各牛乳を、滅菌容器に充填し、10℃で21日間保存後の一般生菌数を測定し、以下の基準で評価した。一般生菌数の測定は、牛乳を滅菌生理食塩水により適宜希釈したものをサンプルとし、混釈法により実施した。培地は標準寒天培地を使用し、35℃で48時間培養して、48時間培養後の集落(コロニー)の数を数えて、一般生菌数(CFU/ml)とした。
○:一般生菌数が、5.0×10(CFU/ml)以下であり衛生的に問題ない。
×:一般生菌数が、5.0×10(CFU/ml)を超え、衛生的に問題がある。
<コーヒー抽出液の作製>
コーヒー豆(ブラジル産、No.4/5、L値16)100gをミキサー(ヴァイタミクス社製)にかけて、粒度が1〜2mmになるように最高速度で粉砕した。粉砕したコーヒー豆10gに、88℃の水140gでペーパードリップして、Brix2.7%のコーヒー抽出液を得た。ただし、実施例12では抽出時の水の温度を、88℃ではなく、20℃とし、Brix1.1%のコーヒー抽出液を得た。また、実施例13では、上記ブラジル産のコーヒー豆の代わりに、コロンビア産のコーヒー豆(EX、L値16)を使用し、Brix2.7%のコーヒー抽出液を得た。
<コーヒー飲料の作製>
上記で得たコーヒー抽出液100重量部に対して、実施例および比較例で得られた牛乳を、各表に記載の添加量でブレンドし、さらにコーヒー抽出液と牛乳の合計100重量部に対して砂糖を5重量部添加して、コーヒー飲料としてカフェオレを得た。
<コーヒー飲料の官能評価>
上記で得られたコーヒー飲料を各表に記載の温度(55℃又は10℃)に温調した後、熟練した10人のパネラーに飲用してもらい、コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさの観点で各々の官能評価を行い、その評価点の平均値を官能評価の評価値として各表に記載した。その際の評価基準は以下の通りとした。
(コーヒーの風味)
5点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料よりも良く、コーヒーの風味(香り、苦味および酸味)が全く邪魔されず、非常に引き立てられている
4点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料と同等で、コーヒーの風味(香り、苦味および酸味)が邪魔されず、引き立てられている
3点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料よりもやや劣るが、コーヒーの風味(香り、苦味および酸味)が邪魔されず、その風味が感じられる
2点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料よりも悪く、コーヒーの風味(香り、苦味および酸味)が少し邪魔されており、コーヒーの風味が感じられ難い
1点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料よりも非常に悪く、コーヒーの風味(香り、苦味および酸味)が邪魔されており、コーヒーの風味が感じられない。
(生乳に近いミルク感)
5点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料よりも良く、生乳に近いミルク感が非常に感じられる
4点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料と同等で、生乳に近いミルク感が僅かに感じられる
3点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料よりもやや劣るが、生乳に近いミルク感もあるが、甘味の方が強く感じられる
2点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料よりも悪く、生乳に近いミルク感が殆どなく、甘味を強く感じる
1点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料よりも非常に悪く、生乳に近いミルク感が全くなく、甘味を非常に強く感じる。
(スッキリさ)
5点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料よりも良く、コーヒーと牛乳の風味が一体となっており、後口に非常にスッキリさがある
4点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料と同等で、コーヒーと牛乳の風味が一体感があり、後口にスッキリさがある
3点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料よりもやや劣るが、コーヒーと牛乳の風味の一体感はあるが、後口のスッキリさは弱い
2点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料よりも悪く、コーヒーと牛乳の風味が一体感がなく、コーヒーまたは牛乳のどちらか一方の風味を感じて、スッキリさを殆ど感じない
1点:実施例1の牛乳を用いて作製したコーヒー飲料よりも非常に悪く、コーヒーと牛乳が一体感が全くなく、コーヒーまたは牛乳のどちらか一方の風味を強く感じて、スッキリさが全くない
(コーヒー飲料の総合評価)
コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさの各評価結果を基に、総合評価を行った。その際の評価基準は以下の通りである。
A:コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさが全て4.5点以上5.0点以下を満たすもの。
B:コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさが全て4.0点以上5.0点以下であって、且つ4.0以上4.5未満が少なくとも一つあるもの。
C:コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさが全て3.0点以上5.0点以下であって、且つ3.0以上4.0未満が少なくとも一つあるもの。
D:コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさが全て2.0点以上5.0点以下であって、且つ2.0以上3.0未満が少なくとも一つあるもの。
E:コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさの評価において、2.0未満が少なくとも一つあるもの。
(実施例1)
5℃の生乳(乳脂肪3.7%、無脂乳固形分8.8%)を、チューブラー式熱交換器にて1.4℃/秒の昇温速度で60℃に昇温し、この温度で30秒間保持して1次加熱を行った。1次加熱中に、ホモゲナイザーにて17MPaの圧力下で均質化処理を実施した後、チューブラー式熱交換器にて0.9℃/秒の昇温速度で115℃に昇温し、この温度で7秒間保持して殺菌(2次加熱)を行った後、同チューブラー式熱交換器にて4℃に冷却し、牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は6.5、変性ホエータンパク率は84%であった。
(実施例2)
1次加熱及び2次加熱の昇温速度は表1に示す昇温速度であり、1次加熱時の温度を70℃に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は7.0、変性ホエータンパク率は77%であった。
(実施例3)
1次加熱及び2次加熱の昇温速度は表1に示す昇温速度であり、1次加熱時の温度を75℃に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は8.9、変性ホエータンパク率は85%であった。
(比較例1)
1次加熱及び2次加熱の昇温速度は表1に示す昇温速度であり、1次加熱時の温度を85℃に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は10.5、変性ホエータンパク率は88%であった。
実施例1〜3及び比較例1で得た各牛乳を用いて、上記によってコーヒー飲料を作製し、上記した評価基準により各コーヒー飲料の官能評価を行い、その結果を表1に示した。
Figure 2019165722
表1より、実施例1〜3で得られた牛乳は、1次加熱時の温度が60〜75℃の範囲にあり、タンパク還元価は5〜10の範囲、且つ変性ホエータンパク率は65〜90%の範囲にあったことが分かる。その結果、これを用いて作製したコーヒー飲料は、コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。
一方、比較例1で得られた牛乳は、1次加熱時の温度が85℃と高く、タンパク還元価が10.5と高い値を示した。これを用いて作製したコーヒー飲料は、コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で不十分な結果となった。
(実施例4)
1次加熱の保持時間を17秒に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は6.5、変性ホエータンパク率は85%であった。
(実施例5)
1次加熱の保持時間を70秒に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は7.2、変性ホエータンパク率は85%であった。
(比較例2)
1次加熱の保持時間を150秒に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は7.5、変性ホエータンパク率は91%であった。
実施例4〜5及び比較例2で得た各牛乳を用いて、上記によってコーヒー飲料を作製し、上記した評価基準により各コーヒー飲料の官能評価を行い、その結果を、実施例1とともに表2に示した。
Figure 2019165722
表2より、実施例1、4〜5で得られた牛乳は、1次加熱の保持時間が15〜120秒の範囲にあり、タンパク還元価は5〜10の範囲、且つ変性ホエータンパク率は65〜90%の範囲にあったことが分かる。その結果、これを用いて作製したコーヒー飲料は、コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。
一方、比較例2で得られた牛乳は、1次加熱の保持時間が150秒と長く、変性ホエータンパク率が91%と高い値を示した。これを用いて作製したコーヒー飲料は、コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で不十分な結果となった。
(実施例6)
2次加熱の保持時間を2秒に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は6.5、変性ホエータンパク率は71%であった。
(実施例7)
2次加熱の昇温速度は表3に示す昇温速度であり、2次加熱時の温度を125℃に変更した以外は実施例6と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は8.0、変性ホエータンパク率は83%であった。
(比較例3)
2次加熱の昇温速度は表3に示す昇温速度であり、2次加熱時の温度を135℃に変更した以外は実施例6と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は11.4、変性ホエータンパク率は88%であった。
実施例6〜7及び比較例3で得た各牛乳を用いて、上記によってコーヒー飲料を作製し、上記した評価基準により各コーヒー飲料の官能評価を行い、その結果を表3に示した。
Figure 2019165722
表3より、実施例6〜7で得られた牛乳は、2次加熱時の温度が115〜132℃の範囲にあり、タンパク還元価は5〜10の範囲、且つ変性ホエータンパク率は65〜90%の範囲にあったことが分かる。その結果、これを用いて作製したコーヒー飲料は、コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。
一方、比較例3で得られた牛乳は、2次加熱時の温度が135℃と高く、タンパク還元価が11.4と高い値を示した。これを用いて作製したコーヒー飲料は、コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で不十分な結果となった。
(比較例4)
2次加熱の保持時間を10秒に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は6.9、変性ホエータンパク率は92%であった。
(比較例5)
1次加熱の昇温速度は表4に示す昇温速度であり、1次加熱時の温度を66℃に、保持時間を1800秒に変更し、2次加熱を実施しなかった以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は6.1、変性ホエータンパク率は58%であった。
比較例4〜5で得た各牛乳を用いて、上記によってコーヒー飲料を作製し、上記した評価基準により各コーヒー飲料の官能評価を行い、その結果を表4に示した。
Figure 2019165722
表4より、比較例4で得られた牛乳は、2次加熱の保持時間が10秒と長く、変性ホエータンパク率が92%と高い値を示したことが分かる。これを用いて作製したコーヒー飲料は、コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で不十分な結果となった。
また、比較例5で得られた牛乳は、2次加熱を行なわず、66℃、1800秒での低温殺菌のみを行なった例である。変性ホエータンパク率が58%と低い値を示し、衛生面の評価も低いものであった。これを用いて作製したコーヒー飲料は、コーヒーの風味の評価項目で不十分な結果となった。
(実施例8〜10及び比較例6〜7)
実施例2で得た牛乳を用いてコーヒー飲料を作製するにあたって、コーヒー抽出液に対する牛乳の添加量を表5に記載の数値に従って変更した以外は、実施例2と同様にコーヒー飲料を作製し、上記した評価基準により各コーヒー飲料の官能評価を行い、その結果を表5に示した。
(実施例11)
実施例2で得た牛乳を用いて実施例2と同様にコーヒー飲料を作製し、官能評価をするにあたって、官能評価の際のコーヒー飲料の温度を55℃から10℃に変更した。このコーヒー飲料の官能評価を上記した評価基準により行い、その結果を表5に示した。
(実施例12)
コーヒー抽出液を作製する際の抽出時の水の温度を88℃から20℃に変更した以外は、実施例11と同様にコーヒー飲料を作製し、上記した評価基準により各コーヒー飲料の官能評価を行い、その結果を表5に示した。
(実施例13)
コーヒー豆の種類を、コロンビア豆(EX、L値16)に変更した以外は、実施例11と同様にコーヒー飲料を作製し、上記した評価基準により各コーヒー飲料の官能評価を行い、その結果を表5に示した。
Figure 2019165722
表5より、コーヒー抽出液100重量部に対して、実施例2で得られた牛乳を100〜900重量部の範囲でブレンドした実施例2、8〜10のコーヒー飲料は、コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。しかし、牛乳の添加量が100重量部未満であった比較例6は、生乳に近いミルク感の項目で不十分な結果となった。また、牛乳の添加量が2000重量部を超過した比較例7は、コーヒーの風味の項目で不十分な結果となった。
実施例2と同じコーヒー飲料をコールドで飲用して官能評価を行なった実施例11〜13のいずれでも、コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。なかでも、実施例12の結果より、常温の水で抽出したコーヒー抽出液を用いても本発明の効果が得られ、苦味は少なく強いコーヒー風味で、生乳に近いミルク感とスッキリさが感じられるものであった。また、実施例13の結果より、産地が異なるコーヒー豆を用いても本発明の効果が得られることが分かる。
(実施例14)
実施例1で使用した5℃の生乳を55℃に加温し、クリームセパレーターでクリームとの分離を行い、脂肪分0.08%の画分を得た。この画分16.5重量部と生乳83.5重量部とを混合し、脂肪分3.1%、無脂乳固形分8.5%に調整した。このものを実施例1と同じ条件で加熱処理して乳脂肪分が3.1%の成分調整牛乳を得た。得られた成分調整牛乳のタンパク還元価は7.9、変性ホエータンパク率は78%であった。
(実施例15)
1次加熱及び2次加熱の昇温速度は表6に示す昇温速度であり、1次加熱時の温度を75℃に変更した以外は実施例14と同様に成分調整牛乳を得た。得られた成分調整牛乳のタンパク還元価は9.0、変性ホエータンパク率は80%であった。
(比較例8)
1次加熱及び2次加熱の昇温速度は表6に示す昇温速度であり、1次加熱時の温度を85℃に変更した以外は実施例14と同様に成分調整牛乳を得た。得られた成分調整牛乳のタンパク還元価は10.4、変性ホエータンパク率は87%であった。
(比較例9)
1次加熱の昇温速度は表6に示す昇温速度であり、1次加熱時の温度を66℃に、保持時間を1800秒に変更し、2次加熱を実施しなかった以外は実施例14と同様に成分調整牛乳を得た。得られた成分調整牛乳のタンパク還元価は4.5、変性ホエータンパク率は49%であった。
実施例14,15及び比較例8,9で得た各成分調整牛乳を用いて、上記によってコーヒー飲料を作製し、上記した評価基準により各コーヒー飲料の官能評価を行い、その結果を、表6に示した。
Figure 2019165722
表6より、実施例14及び15で得られた乳脂肪分が3.1%の成分調整牛乳は、1次加熱時の温度が60〜75℃の範囲にあり、タンパク還元価は5〜10の範囲、且つ変性ホエータンパク率は65〜90%の範囲にあったことが分かる。その結果、これを用いて作製したコーヒー飲料は、コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。
一方、比較例8で得られた脂肪分が3.1%の成分調整牛乳は、1次加熱時の温度が85℃と高く、タンパク還元価が10.4と高い値を示した。これを用いて作製したコーヒー飲料は、コーヒーの風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で不十分な結果となった。
また、比較例9で得られた脂肪分が3.1%の成分調整牛乳は、2次加熱を行なわず、66℃、1800秒での低温殺菌のみを行なった例である。タンパク還元価が4.5、変性ホエータンパク率が49%と共に低い値を示し、衛生面の評価も低いものであった。これを用いて作製したコーヒー飲料は、コーヒーの風味の評価項目で不十分な結果となった。

Claims (5)

  1. 牛乳中のタンパク還元価が5〜10、且つ変性ホエータンパク率が65〜90%である、コーヒー飲料用牛乳。
  2. Brixが0.5〜5%のコーヒー抽出液100重量部に対して、請求項1に記載のコーヒー飲料用牛乳100〜2000重量部がブレンドされたコーヒー飲料。
  3. 請求項1に記載のコーヒー飲料用牛乳を製造する方法であって、
    生乳を、1次加熱として10℃未満の温度から0.1〜5℃/秒の速度で60〜75℃まで昇温し、その温度で15〜120秒間加熱した後、更に2次加熱として0.1〜5℃/秒の速度で115〜132℃まで昇温し、その温度で2〜8秒間、加熱することを特徴とする、コーヒー飲料用牛乳の製造方法。
  4. 請求項2に記載のコーヒー飲料を製造する方法であって、
    10〜98℃の水でコーヒー豆から抽出して得られるコーヒー抽出物と、前記コーヒー飲料用牛乳を混合することを特徴とするコーヒー飲料の製造方法。
  5. Brixが0.5〜5%のコーヒー抽出液100重量部に対して、前記コーヒー飲料用牛乳100〜2000重量部をブレンドすることを特徴とする請求項4に記載のコーヒー飲料の製造方法。
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