JP2002272375A - コーヒー飲料の製造方法 - Google Patents

コーヒー飲料の製造方法

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JP2002272375A JP2001077581A JP2001077581A JP2002272375A JP 2002272375 A JP2002272375 A JP 2002272375A JP 2001077581 A JP2001077581 A JP 2001077581A JP 2001077581 A JP2001077581 A JP 2001077581A JP 2002272375 A JP2002272375 A JP 2002272375A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】保存安定性に優れたコーヒー飲料の製造方法を
提供する。詳細には、製造時における高温処理や製造後
の長期保存によっても、濁り、沈殿及びリングの発生と
いった不都合がなく、乳化安定性に優れたコーヒー飲料
を製造方法を提供する。 【解決手段】コーヒー飲料の製造工程において、少なく
ともコーヒー抽出液またはコーヒー溶出液を含むコーヒ
ー飲料の原料成分を、ガラクトマンナナーゼ活性および
酸性プロテアーゼ活性を有する糸状菌(Aspergillus ni
ger)起源の酵素で処理する工程を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、保存安定性に優れたコ
ーヒー飲料の製造方法に関する。より詳細には、製造時
における高温処理や製造後の長期保存によっても、濁
り、沈殿及びリングの発生といった不都合がなく、乳化
安定性に優れたコーヒー飲料の製造方法に関する。本発
明によれば、長期間にわたって商品価値を維持すること
のできるコーヒー飲料を製造することができる。
【0002】
【従来の技術】コーヒー飲料は、特に缶、瓶並びにPET
ボトル等の容器に入ったコーヒー飲料は市場に広く流通
し、飲用されている嗜好性飲料の一つである。しかしな
がら、コーヒー飲料は、本来コーヒー抽出液や溶出液に
含まれるコーヒー由来の繊維質や油脂成分に基づいて、
保存中、特にホットベンダー等の高温状態での保存中に
沈殿の発生や脂肪の分離を生じやすいという性質を有し
ている。また、コーヒー飲料中に含まれるコーヒー含量
が生豆換算で6%(重量%、以下同じ)を超える場合には
120〜130℃、20分程度の高温殺菌によってゲル状沈殿物
が発生しやすいことが知られている。
【0003】このため、コーヒー飲料の製造時における
沈殿物の発生を防止し、また保存安定性を確保する目的
で、従来より各種乳化剤や安定剤を単独あるいは多様に
組合せて使用する方法が行われている。具体的には、例
えばコーヒー乳飲料のゲル状沈殿物の発生を防止するた
めに、HLB15〜16のショ糖脂肪酸エステルとHLB3〜7の乳
化剤を1種または2種以上組合せて平均HLBを8〜13に調
整した乳化剤混合製剤を用いる方法が提案されている
(特開平8-116873号公報)。しかし、かかる方法ではコ
ーヒー生豆換算7.5〜10%のコーヒー飲料についてはゲ
ル状沈殿物の発生を充分に抑制できない。
【0004】一方、乳成分を含有するコーヒー乳飲料の
調製には、一般に牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、生クリー
ム等の乳成分が用いられるが、これらの乳成分、特に生
クリームは保存安定性に劣り、また牛乳は加熱により固
形分の分離を起しやすいことが知られている。このた
め、例えばコーヒー乳飲料の製造においてレトルト殺菌
すると、乳成分が分離して乳タンパクを主体とする沈殿
物が発生したり、あるいは乳脂肪によるリングが発生す
るといった不都合が生じ、また一旦生じた沈殿物は再溶
解しないため、コーヒー乳飲料の食感や風味が損なわれ
るという問題がある。
【0005】このような乳成分に由来する沈殿やリング
の発生を防止する方法として、予め牛乳とコーヒー調合
液を短時間で高温殺菌して乳の沈殿を起こさせ、生じた
沈殿物を遠心分離して取り除いた後、レトルト殺菌する
方法が提案されている(特開平3-67548号公報)。しか
し、かかる方法によると原料を2度加熱するために風味
の劣化を避けることができない。また、他の方法として
乳タンパクの沈殿や脂肪の分離を防止するためにタンパ
ク含量の少ない生クリームを使用し、乳化剤としてショ
糖脂肪酸エステルと微結晶セルロースを使用することが
提案されている(特開平6-245703号公報)。しかし、か
かる方法は、乳成分として生クリームよりも乳タンパク
が多い牛乳を配合したコーヒー乳飲料には適用できず、
汎用性に乏しいという問題がある。
【0006】また別の方法として、乳タンパクを種々の
酵素で分解処理する方法が提案されている。具体的に
は、(i)β-カゼイン等の乳タンパクをサーモライシ
ン等の微生物由来のプロテアーゼで分解し、得られたア
ンジオテンシン変換酵素阻害活性を有するペプチドを乳
タンパクに代えて使用する方法(特開平6-128287号)、
(ii)乳タンパクをプロテアーゼで分解することによっ
て乳化性を高めかつアレルギー反応の発症を低減させた
ペプチドを乳タンパクに代えて使用する方法(特開平4-
320650号)、(iii)金属プロテアーゼまたはセリンプ
ロテアーゼで処理した牛乳を用いて乳入りコーヒー飲料
を製造する方法(特開平9-271323号)、及び(iv)殺菌
処理前のコーヒー抽出液をペクチナーゼ、セルラーゼ、
ヘミセルラーゼ、アラバナーゼ、β-グルカナーゼの1
種または2種以上からなる酵素製剤で処理する方法(特
開平4-45745号)、並びに(v)殺菌処理前のコーヒー抽
出液をマンナン分解酵素とアルカリ性ナトリウム塩との
併用処理に付す方法(特開平7-184546号)が提案されて
いる。しかしながら、(i)の方法では得られるタンパ
ク分解物(ペプチド)に苦味があるためコーヒー飲料の
風味や味が損なわれる、(ii)の方法では、乳成分とし
て牛乳を使用した場合の風味や味を再現することは困難
である、(iii)の方法ではコーヒー含量が生豆換算5%
以上のコーヒー飲料に対してはゲル状沈殿物の生成やリ
ング生成の防止効果が劣るといった問題があり、また
(iv)及び(v)の方法ではコーヒー豆の繊維質に由来
する濁りや沈殿の発生の防止には効果があるが、脂肪分
の分離やリングの発生に対する防止効果は充分とはいえ
ない。
【0007】更にまた、コーヒー飲料の濁りや沈殿の発
生を防止する方法として、コーヒー抽出液にサイクロデ
キストリンや水溶性カゼインを添加し、その後に加熱殺
菌する方法(特開平1-196257号)が、またゲル状沈殿物
の発生や脂肪の分離を防止する方法として、安定化剤と
複数の乳化安定剤を使用する方法(特開平8-116873号)
が検討されているが、未だ効果が十分とはいえず、より
有効な方法の開発が待たれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、製造時の高
温処理や製造後の長期保存によっても沈殿物や脂肪の分
離などが発生せず、安定性に優れたコーヒー飲料を製造
する方法を提供することを目的とするものである。
【0009】なお、コーヒー飲料について製造過程並び
に保存中に沈殿物が生じる原因の詳細は不明であるが、
コーヒー飲料の製造工程においてレトルト殺菌加熱後に
観察されるゲル状沈殿物は、コーヒー抽出液または乳成
分に含まれる糖質、タンパクまたはカルシウムが糖質分
子中の疎水基同士の相互作用によって会合・凝集物の形
成あるいはカルシウムなどの金属イオンを介在したイオ
ン結合作用によって網状構造(ネットワーク)物を形成
することによるものと考えられ、またコーヒー飲料を37
℃以上の温度で保存した場合に観察されるゲル状沈殿物
以外の沈殿物は、乳成分に含まれる乳タンパクが凝集す
るか、あるいは糖質やタンパクなどの成分が複合物とな
って凝集して、不溶解物として沈殿するものと考えられ
る。
【0010】また、脂肪の分離現象は、一般に溶液界面
に浮遊した脂肪が溶液と容器の器壁付近に集まって会合
し、上方からみたときの形状として輪(リング)を形成
したように見えることから「リング」あるいは「リング
の形成」と称される現象を含むものである。かかる脂肪
分離が生じると、通常、乳タンパクまたは乳脂肪が分離
して生じた遊離物(油滴、固形物を含む)が容器壁に付
着若しくは固化するか、またはこれらの遊離物がコーヒ
ー飲料の上層に浮遊した状態が観察される。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、コーヒー飲
料に関する上記従来の問題を解決すべく鋭意研究を行っ
た結果、コーヒー飲料の製造工程において、コーヒー抽
出液やコーヒー溶出液を含むコーヒー調合液を糸状菌
Aspergillus niger)起源のガラクトマンナナーゼ活
性を有する酵素と糸状菌(Aspergillus niger)起源の
酸性プロテアーゼ活性を有する酵素との両方で処理する
か、あるいは両方の酵素活性を有する酵素で処理するこ
とにより、高温殺菌後のゲル状沈殿物の生成が防止で
き、またホットベンダー等における長期の保管条件にお
いても沈殿やリングの発生が認められないコーヒー飲料
を製造することができることを見出し、上記酵素処理
が、製造時並びに保存中における安定性に優れたコーヒ
ー飲料を調製する上で極めて有用であることを確認し
た。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものであ
る。
【0012】すなわち、本発明は下記(1)〜(4)に
掲げる保存安定性に優れたコーヒー飲料の製造方法であ
る。 (1)少なくともコーヒー抽出液またはコーヒー溶出液
を含むコーヒー飲料の原料成分を、ガラクトマンナナー
ゼ活性および酸性プロテアーゼ活性を有する糸状菌(As
pergillus niger)起源の酵素で処理する工程を含むコ
ーヒー飲料の製造方法。 (2)糸状菌(Aspergillus niger)起源の酵素とし
て、ガラクトマンナナーゼ活性と酸性プロテアーゼ活性
の両方を有する糸状菌起源の酵素、またはガラクトマン
ナナーゼ活性を有する糸状菌起源の酵素と酸性プロテア
ーゼ活性を有する糸状菌起源の酵素の混合物を用いるこ
とを特徴とする、(1)記載のコーヒー飲料の製造方
法。 (3)コーヒー飲料の原料成分が、さらに牛乳由来の乳
原料を含むものである(1)または(2)記載のコーヒ
ー飲料の製造方法。 (4)コーヒー飲料が生豆換算で2.5%以上のコーヒー
を含有するものである、(1)乃至(3)のいずれかに
記載のコーヒー飲料の製造方法。
【0013】さらに本発明は、上記(1)〜(4)に記
載する方法で製造されるコーヒー飲料である。
【0014】なお、本発明は、別の観点から、コーヒー
飲料に関して沈殿物発生を防止する方法、脂肪分離を防
止する方法、または安定性を改善する方法を提供するも
のであり、かかる方法は下記の方法によって達成するこ
とができる。 (i)コーヒー飲料の製造工程において、少なくともコ
ーヒー抽出液またはコーヒー溶出液を含むコーヒー飲料
の原料成分を、ガラクトマンナナーゼ活性および酸性プ
ロテアーゼ活性を有する糸状菌(Aspergillus niger
起源の酵素で処理することからなる、コーヒー飲料の安
定性改善方法(沈殿物発生防止方法、脂肪分離防止方
法)。 (ii)糸状菌(Aspergillus niger)起源の酵素とし
て、ガラクトマンナナーゼ活性と酸性プロテアーゼ活性
の両方を有する糸状菌起源の酵素、またはガラクトマン
ナナーゼ活性を有する糸状菌起源の酵素と酸性プロテア
ーゼ活性を有する糸状菌起源の酵素の混合物を用いるこ
とを特徴とする、(i)記載のコーヒー飲料の安定性改
善方法(沈殿物発生防止方法、脂肪分離防止方法)。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のコーヒー飲料の製造方法
は、少なくともコーヒー抽出液またはコーヒー溶出液を
含むコーヒー飲料の原料成分を糸状菌(Aspergillus ni
ger)起源の酵素で処理する工程を含むことを特徴とす
るものである。
【0016】本発明のコーヒー飲料は、コーヒー豆を原
料とした飲料を広く対象とするものであり、ブラックコ
ーヒー(ブレンドコーヒー、レギュラーコーヒーなどを
いずれも包含する。)、コーヒー抽出液またはコーヒー
溶出液に糖類若しくは甘味料または/及び乳製品等を配
合して調製される乳成分または/及び甘味成分含有コー
ヒー(ミルクコーヒー、コーヒー乳飲料、コーヒー牛
乳、カフェオーレ、カプチーノ等)がいずれも含まれ
る。また加温や冷却の有無も問わず、ホットコーヒーや
アイスコーヒーのいずれもが包含される。さらに、提供
形態(製品形態)によって制限されるものではなく、コ
ーヒーカップ等の容器に注がれた状態で提供されるコー
ヒー、容器に密封充填された状態で提供される容器入り
コーヒーのいずれであってもよい。また本発明のコーヒ
ー飲料は、上記工程を経て調製されるものであればよ
く、該工程後、粉末もしくは顆粒状等に乾燥して調製さ
れるインスタントコーヒー及びそれから調製されるコー
ヒー飲料もまた本発明に包含される。
【0017】好ましくは、本発明が対象とするコーヒー
飲料は、缶、瓶、PETボトル、または紙容器などの各種
の容器に充填された状態で流通される容器入りのコーヒ
ー飲料である。
【0018】また、コーヒー飲料に含まれるコーヒー含
量も特に制限されず、内容量100g中、コーヒー生豆換
算で1g以上2.5g未満のコーヒー豆から抽出若しくは
溶出したコーヒー分を含むもの(生豆換算1%以上2.5
%未満)、2.5g以上5g未満のコーヒー豆からのコー
ヒー分を含むもの(生豆換算2.5%以上5%未満)、5
g以上のコーヒー豆からのコーヒー分を含むもの(生豆
換算5%以上)のいずれもが対象となる。コーヒー含量
が多くなるほど、沈殿発生や脂肪の分離傾向が増加する
ことに鑑みれば、本発明の製造方法は、特に生豆換算1
%以上、好ましくは生豆換算2.5%以上のコーヒー飲料
の製造に好適に使用することができる。
【0019】また本発明のコーヒー飲料に用いるコーヒ
ー豆も特に制限されず、アラビカ種(ブラジル、コロン
ビア、ペルー、キリマンジャロ)、ロブスタ種(インド
ネシア、ウガンダ)、リベリカ種などの、通常コーヒー
飲料の調製に使用されるコーヒー豆を広く用いることが
できる。
【0020】本発明の製造方法において、酵素処理は、
少なくともコーヒー抽出液またはコーヒー溶出液を含む
コーヒー飲料の原料成分に対して実施され、コーヒー抽
出液またはコーヒー溶出液に対して直接行っても、また
これらのコーヒー抽出液等に加えて乳成分、糖類、甘味
料、カラメル、香料、食塩、食用油脂、乳化剤、安定
剤、酸化防止剤、保存料、色素及び酸味料等の少なくと
も1種の可食成分を含有するコーヒー調合液に対して行
ってもよい。なお、コーヒー抽出液またはコーヒー溶出
液としては、焙煎豆から抽出した液、それを濃縮したエ
キス、あるいは一旦インスタントコーヒーに加工したも
のを水或いは湯で溶解した溶液を挙げることができる。
【0021】上記コーヒー抽出液に配合する乳成分とし
ては、一般に牛乳またはその加工製品(クリーム、濃縮
乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、全粉乳、クリームパウダ
ー、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉
乳、調製粉乳、コンデンスミルク、全脂加糖練乳、脱脂
加糖練乳、無糖練乳、エバミルク、特別牛乳、加工乳
等)を挙げることができ、これらは1種若しくは2種以
上組み合わせて使用することができる。また、配合する
乳化剤としても、食品添加物として認可されている添加
物であれば制限はなく、具体的にはHLB15〜16のショ糖
脂肪酸エステルまたはグリセリン脂肪酸エステル、プロ
ピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、ソルビタ
ン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、カ
ゼインナトリウム、乳成分の加水分解物などを例示する
ことができる。これらは1種で使用されても、また2種
以上の混合物として使用してもよい。
【0022】本発明で用いられる酵素は糸状菌(Asperg
illus niger)起源の酵素であって、ガラクトマンナナ
ーゼ活性及び酸性プロテアーゼ活性を有するものであ
る。当該酵素は、糸状菌(Aspergillus niger)起源の
酵素であれば、ガラクトマンナナーゼ活性と酸性プロテ
アーゼ活性の両方を有する単一の酵素であっても、また
ガラクトマンナナーゼ活性を有する酵素と酸性プロテア
ーゼ活性を有する酵素の混合物であってもよい。
【0023】ガラクトマンナナーゼ活性とは、植物組織
の構成成分である高分子多糖類のガラクトマンナンを低
分子物質に加水分解する活性である。本発明では、制限
はされないが、100〜100,000単位のガラクトマンナナー
ゼ活性(糖化力)をもつ酵素を使用することが好まし
い。なお、ここでいう酵素の活性単位は、ガラクトマン
ナナーゼがローカストビーンガムを基質とするpH5.0、4
0℃の反応条件で、反応初期の1分間に1μmoleのマンノ
ースに相当する還元力の増加をもたらすガラクトマンナ
ナーゼの量を1単位とするものである。
【0024】酸性プロテアーゼは、一般にタンパクのア
ミノ末端及びカルボキシル末端から順次アミノ酸を遊離
させる作用(エキソ型酸性プロテアーゼ活性)を有する
エキソ型と、タンパクを大まかに分解して低分子化して
いく作用(エンド型酸性プロテアーゼ活性)を有するエ
ンド型に大別できる。好ましくはエンド型である。本発
明では、制限はされないが、10,000〜1,000,000単位の
プロテアーゼ活性(蛋白分解力)をもつ酵素を使用する
ことが好ましい。なお、ここでいう酵素の活性単位は、
酸性プロテアーゼが乳製カゼインを基質とするpH3.0、
30℃の反応条件で、反応初期の1分間に1μgのチロシン
に相当する非タンパク性のフォリン試液呈色物質の増加
をもたらす酸性プロテアーゼの量を1単位とするもので
ある。
【0025】酵素処理は、上記酵素を前述するコーヒー
抽出液若しくは溶出液、またはコーヒー調合液に添加配
合し、好ましくは撹拌しながら、所定の温度下で所定時
間、反応させることによって行われる。ここで使用する
酵素の量は、限定されないが、処理液中、通常0.001〜
5.0重量%の範囲(ガラクトマンナナーゼ活性:0.001〜
5,000単位、酸性プロテアーゼ活性:0.1〜50,000単位)
で用いられる。好ましくは0.001〜2.0重量%、より好ま
しくは0.001〜1.0重量%の範囲で使用されることが望ま
しい。
【0026】酵素は、固体粉末状態で用いても、液体状
態で用いてもよく、またコーヒー抽出液やコーヒー調合
液中に酵素を添加する使用態様以外に、該酵素を固定化
酵素として調製して、該固定化酵素にコーヒー抽出液等
を接触させる態様で使用されてもよい。
【0027】酵素処理のpH条件並びに温度条件は、特
に制限されないが、ガラクトマンナナーゼは一般にpH
に関してはpH3〜9の間で、温度に関しては75℃までは
安定であり、酸性プロテアーゼは一般にpHに関しては
pH3〜6の間で、温度に関しては60℃までは安定であ
る。従って、このpHと温度の範囲から各酵素の至適p
Hまたは至適温度を適宜選択して用いることができる。
具体的には、pHは通常2〜7、好ましくは3〜6の範
囲から、温度は通常25〜70℃、好ましくは30〜60℃の範
囲から選択使用される。また反応時間も特に制限されな
いが、上記反応条件下で10分間以上、好ましくは30分間
以上かけて反応することが望ましい。
【0028】コーヒー飲料は、一般に、コーヒー焙煎豆
からコーヒー抽出液またはコーヒー溶出液を調製し、ま
た必要に応じてさらにこれらのコーヒー抽出液等に、乳
成分、糖類、甘味料、カラメル、香料、食塩、食用油
脂、乳化剤、安定剤、酸化防止剤、保存料、色素または
酸味料といった原料成分を水とともに配合溶解してコー
ヒー調合液を調製し、次いでこれらを均質機での均質
化、例えばプレートヒーター上での加温、密封容器への
注入、充填、巻き締め、殺菌処理及び冷却といった一連
の工程に付すことによって製造される。前述するガラク
トマンナナーゼ並びに酸性プロテアーゼによる酵素処理
は、通常上記工程において、均質化工程前のコーヒー抽
出液若しくはコーヒー溶出液、またはコーヒー調合液に
対して行われることが好ましい。
【0029】なお、上記製造工程において各処理方法は
特に制限されず、常法に従って実施することができる。
例えば、殺菌処理としては、通常は120〜125℃で約20〜
40分処理するレトルト殺菌が用いられるが、特にこれに
限定されず、プレート殺菌、オートクレーブ殺菌等、一
般的に食品に採用される殺菌条件を広く採用することが
できる。
【0030】また、殺菌処理時のコーヒー調合液のpH
は、殺菌後の溶液がpH5.2〜8の範囲、好ましくはpH5.5
〜6.8程度になるように適宜調整されることが好まし
く、この条件を採用することによって、殺菌処理によっ
て生じるといわれるゲル状沈殿物の発生をより効果的に
防止することができる。この範囲にpHを調整する必要が
ある場合は、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸水素ナトリウムなどの中和剤を用いることがで
きる。これらの中和剤の添加量としては、0.005〜0.2重
量%、好ましくは0.005〜0.05重量%の範囲が適切であ
る。
【0031】斯くして調製される本発明のコーヒー飲料
は、レトルト殺菌といった比較的苛酷な条件での殺菌処
理によっても、ゲル状沈殿物の発生が有意に防止されて
おり、また保存安定性に優れており、室温〜加温状態で
の長期保存によっても沈殿物や脂肪分離などの発生が有
意に防止されている。
【0032】
【実施例】以下に参考例、実験例及び実施例を示し、本
発明を詳しく説明する。ただしこれらの実施例等「は本
発明をなんら限定もしくは制限するものではない。ま
た、下記の実施例中、特に言及しない限り、部は重量部
を、また、%は重量%を意味するものとする。
【0033】参考例 酵素の調製 ガラクトマンナナーゼ活性と酸性プロテアーゼ活性を有
する糸状菌(Aspergillus niger)由来の酵素(セルロ
シンGM5P、阪急バイオインダストリー社製)1gを50mlの
20mMリン酸塩緩衝液(pH5.5)に溶解し、同リン酸塩緩
衝液で平衡化したイオン交換樹脂(DEAE Toyopearl 650
s、東ソー社製)を用いて精製を行った。当該イオン交
換樹脂を素通りする区分(素通り区分)と、該樹脂に吸
着した成分を200mMリン酸塩緩衝液(pH5.5)で溶出させ
た区分(溶出区分)とをそれぞれ限外ろ過膜(分子量カ
ット20,000)を用いて50mlに濃縮し、各区分のガラクト
マンナナーゼ活性及び酸性プロテアーゼ活性を測定し
た。具体的には、ガラクトマンナナーゼ活性について
は、ローカストビーンガムを基質として、これに各区分
溶液(pH5.0に調整)を40℃の条件下で反応させてマン
ノシット結合の切断に伴って増加する還元力を測定し
た。かかる還元力は上記条件下で反応初期の1分間に1
μmoleのマンノースに相当する還元力をもたらす酵素量
を1単位として評価した。また酸性プロテアーゼ活性に
ついては、乳製カゼインを基質として、これにpH3.0に
調整した各区分溶液を30℃の条件下で反応させて、ペプ
チド結合の切断に伴って増加する酸可溶性分解産物の量
を測定した。かかる酸性プロテアーゼ活性は、具体的に
は、上記条件下で反応初期の1分間に1μgのチロシン
に相当する非タンパク性のフォリン試液呈色物質の増加
をもたらす酵素量を1単位として評価した。結果を表1
に示す。
【0034】
【表1】
【0035】結果からわかるように、セルロシンGM5
P(酸性プロテアーゼ活性:5250単位/g、ガラクトマ
ンナナーゼ活性:10150単位/g)をイオン交換樹脂で
精製することにより、素通り区分に酸性プロテアーゼ活
性(4500単位/g)だけを有する酵素(以下、「酸性プ
ロテアーゼ活性画分酵素」という)が、溶出区分にガラ
クトマンナナーゼ活性(9250単位/g)だけを有する酵
素(以下、「ガラクトマンナナーゼ活性画分酵素」とい
う)が得られた。これらの各酵素を用いて、下記の実験
例及び実施例に従ってコーヒー飲料を調製した。
【0036】実験例1 砂糖5部及びショ糖脂肪酸エステル0.06部を粉体混合
し、これを水47部に添加し、次に牛乳10部及びコーヒー
抽出液(Brix=4.6)37部を加え、ここに各酵素0.05部
(乾燥物換算量、酵素活性については最終コーヒー飲料
100mlあたりの活性を表2中に記載)を添加し、60℃で2
0分間撹拌混合した。なお、酵素として、参考例で使用
したセルロシンGM5P(実験区)、参考例で調製したガ
ラクトマンナナーゼ活性画分酵素(実験区)、参考例
で調製した酸性プロテアーゼ活性画分酵素(実験区
)、上記参考例で調製したガラクトマンナナーゼ活性
画分酵素(0.05部)と酸性プロテアーゼ活性画分酵素
(0.05部)の混合物(実験区)を使用し、さらに比較
実験として酵素無添加の実験区(実験区)を作成し
た。
【0037】次に10%重曹溶液でpHを6.8に調整した。こ
の混合溶液を80℃まで加熱し、水にて全量100部に調製
し、ホモジナイズ(第1段100kg/cm2、第2段50kg/cm2
した。ホモジナイズ後の溶液を90℃までさらに加温して
容器に充填し120℃で20分間の条件でレトルト殺菌機で
殺菌を行って、コーヒー飲料(コーヒー生豆換算8%)を
調製した。できたコーヒー飲料を開封し、通常レトルト
殺菌直後に認められる、ゲル状沈殿物の有無を調べた。
また調製した容器入りコーヒー飲料について、通常容器
入りコーヒー飲料を37℃で保存したときに認められる、
ゲル状沈殿物以外の沈殿の発生や脂肪分離の有無を観察
した。これらの結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】なお、ゲル状沈殿物、ゲル状沈殿物以外の
沈殿物、脂肪分離に関しては、下記の基準にしたがって
判定した。 (ゲル状沈殿物) ○:ゲル状沈殿物なし △:ゲル状沈殿物微量発生 ×:ゲル状沈殿物が発生。
【0040】(ゲル状沈殿物以外の沈殿物の有無) ○:沈殿物は認められない △:沈殿が認められる ×:沈殿が多い。
【0041】(脂肪の分離) ○:脂肪の分離がほとんど認められない △:脂肪の分離が認められるが、軽く振動すると分散す
る ×:脂肪の分離があり、振動しても分散しない。
【0042】表2の結果からわかるように、酵素を添加
しなかった実験区ではゲル状沈殿物、それ以外の沈殿
物並びに脂肪分離のすべてが観察され、保存安定性が悪
かった。また、ガラクトマンナナーゼ活性を有し酸性プ
ロテアーゼ活性を有しない酵素を使用した実験区では
ゲル状沈殿物は微量認めるに過ぎなかったが、それ以外
の沈殿並びに脂肪の分離が顕著に認められ、また酸性プ
ロテアーゼ活性を有しガラクトマンナナーゼ活性を有し
ない酵素を使用した実験区では脂肪の分離はやや認め
られる程度であったが、ゲル状沈殿物及びそれ以外の沈
殿物の発生が顕著に認められ、いずれの酵素処理によっ
てもコーヒー飲料の保存安定性はあまり改善されなかっ
た。
【0043】一方、ガラクトマンナナーゼ活性と酸性プ
ロテアーゼ活性とを有する酵素(セルロシンGM5P)を用
いた実験区と、ガラクトマンナナーゼ活性画分酵素と
酸性プロテアーゼ活性画分酵素とを併用した実験区で
は、ゲル状沈殿物、それ以外の沈殿物並びに脂肪分離の
いずれも観察されず、コーヒー飲料の保存安定性が顕著
に改善された。このことから、コーヒー飲料の安定性
(沈殿防止、脂肪分離防止)に対して、ガラクトマンナ
ナーゼ活性を有する酵素と酸性プロテアーゼ活性を有す
る酵素とが相乗的に作用して貢献することがわかった。
【0044】実験例2 配合する酵素を代える以外は実験例1と同様にしてコー
ヒー飲料〜を調製し、レトルト殺菌後のゲル状沈殿
物発生の有無、37℃保存における沈殿物発生の有無並び
に脂肪分離の有無について調べた。
【0045】なお、下記に示す各酵素の活性は、酸性プ
ロテアーゼ活性およびガラクトマンナナーゼ活性は参考
例に記載する1単位に従って、また中性プロテアーゼお
よびトリプシンは、乳製カゼインを基質とするpH7.0、
30℃での反応条件において反応初期の1分間に1μgのチ
ロシンに相当する非タンパク性のフォリン試液呈色物質
の増加をもたらす酵素量を1単位とするものである。
【0046】コーヒー飲料:セルロシンGM5P(起源As
p. niger:酸性プロテアーゼ活性5,250単位/g、ガラク
トマンナナーゼ活性10,150単位/g)、添加量0.05部/100
部 コーヒー飲料:酸性プロテアーゼ(起源Asp. niger
酸性プロテアーゼ活性 50,000単位/g、ガラクトマンナ
ナーゼ活性0単位/g)、添加量0.05部/100部 コーヒー飲料:中性プロテアーゼ(起源Bac. subtill
is:プロテアーゼ活性50,000単位/g、ガラクトマンナナ
ーゼ活性0単位/g)、添加量0.05部/100部 コーヒー飲料:トリプシン(起源Bovine pancreas
プロテアーゼ活性50,000単位/g、ガラクトマンナナーゼ
活性0単位/g)、添加量0.05部/100部。
【0047】コーヒー飲料:精製酸性プロテアーゼ
(起源Asp. niger酸性プロテアーゼ活性50,000単位/
g、ガラクトマンナナーゼ活性0単位/g)添加量0.05部/1
00部、及び参考例で調製したガラクトマンナナーゼ活性
画分酵素(起源Asp. niger:酸性プロテアーゼ活性0単
位/g、ガラクトマンナナーゼ活性9,250単位/g)添加量
0.05部/100部 コーヒー飲料:中性プロテアーゼ(起源Bac. subtill
is:プロテアーゼ活性50,000単位/g、ガラクトマンナナ
ーゼ活性0 単位/g)、添加量0.05部/100部、及び参考例
で調製したガラクトマンナナーゼ活性画分酵素(起源As
p. niger:酸性プロテアーゼ活性0単位/g、ガラクトマ
ンナナーゼ活性9,250単位/g)添加量0.05部/100部 コーヒー飲料:トリプシン(起源Bovine pancreas
プロテアーゼ活性50,000単位/g、ガラクトマンナナー
ゼ活性0 単位/g)、添加量0.05部/100部、及び参考例で
調製したガラクトマンナナーゼ活性画分酵素(起源Asp.
niger:酸性プロテアーゼ活性0単位/g、ガラクトマン
ナナーゼ活性9,250単位/g)添加量0.05部/100部。
【0048】結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】表3の結果からわかるように、いずれもAs
pergillus nigerに起源するガラクトマンナーゼと精製
酸性プロテアーゼを用いて酵素処理して調製したコーヒ
ー飲料とは、ゲル状沈殿物、それ以外の沈殿物並び
に脂肪分離のいずれも認められず、レトルト殺菌並びに
高温保存に対して優れた安定性を示した。一方、プロテ
アーゼだけで酵素処理して調製したコーヒー飲料、
及び、並びにガラクトマンナーゼとプロテアーゼで酵
素処理するもののプロテアーゼがAspergillusnigerに起
源しない酵素を用いて調製したコーヒー飲料及び
は、いずれもゲル状沈殿物、それ以外の沈殿物並びに脂
肪分離の発生が観察され、保存安定性が悪かった。
【0051】実施例1 砂糖5部、ショ糖脂肪酸エステル0.06部を粉体混合して
水に添加し、これに牛乳10部(乳固形分11.7%、乳脂肪
3.5%含有)、全脂粉乳1部、脱脂粉乳0.5部、コーヒー抽
出液(Brix=4.6)37部、酵素(セルロシンGM5P:起源As
p. niger、酸性プロテアーゼ活性 5250単位 、ガラクト
マンナナーゼ活性10150単位)0.01部を加え、60℃、30
分間撹拌溶解した後、10%重曹溶液でpHを6.8に調整し
た。この混合溶液を80℃まで加熱し、水にて全量100部
に調製し、ホモジナイズ(第1段100kg/cm2、第2段50kg
/cm2)した。ホモジナイズ後の溶液を90℃まで加温して
容器に充填し120℃、20分間の条件でレトルト殺菌機を
用いて殺菌を行って、コーヒー飲料(コーヒー生豆換算
8%)を調製した。できたコーヒー飲料を開封したとこ
ろ、ゲル状沈殿物ならびに脂肪の分離、リングの生成は
認められず、また風味、味ともに良好であった。
【0052】実施例2 砂糖5部、ショ糖脂肪酸エステル0.06部を粉体混合し
て、水に添加し、これに牛乳25部(乳固形分11.7%、乳
脂肪3.5%含有)、コーヒー抽出液(Brix=3.6)26部、酵
素〔酸性プロテアーゼ(起源Asp. niger)と参考例で調
製したガラクトマンナナーゼ活性画分酵素(起源Asp. n
iger)との混合物(酸性プロテアーゼ活性9250単位、ガ
ラクトマンナナーゼ活性 4500単位)〕0.05部を加えて6
0℃、20分間撹拌溶解した。次に10%重曹溶液でpHを6.8
に調整した。この混合溶液を80℃まで加熱し、水にて全
量100部に調製し、ホモジナイズ(第1段100kg/cm2、第
2段50kg/cm2)した。ホモジナイズ後の溶液を90℃まで
加温し120℃、4秒間の条件でチューブラー殺菌機を用
いて殺菌を行ってコーヒー飲料(コーヒー生豆換算7%)
を調製し、PET容器に充填した。できたコーヒー飲料を
開封したところ、ゲル状沈殿物の生成は認められなかっ
た。また試飲したところ、風味、味ともに良好であっ
た。
【0053】実施例3 砂糖5部、ショ糖脂肪酸エステル0.06部をそれぞれ粉体
混合し、これに牛乳35部(乳固形分11.7%、乳脂肪3.5%
含有)、コーヒー抽出液(Brix=4.6)20部、酵素(セル
ロシンGM5P:起源Asp. niger、酸性プロテアーゼ活性 5
250単位 、ガラクトマンナナーゼ活性 10150単位)0.1
部を加えて60℃、30分間撹拌混合し、10%重曹溶液でpH
を6.8に調整した。この混合溶液を80℃まで加熱し、水
にて全量100部に調製し、ホモジナイズ(第1段100kg/c
m2、第2段50kg/cm2)した。ホモジナイズ後の溶液を90
℃まで加温して容器に充填し120℃、20分間の条件でレ
トルト殺菌機を用いて殺菌を行って、コーヒー飲料(コ
ーヒー生豆換算4.3%、乳固形分4%)を調製した。できた
コーヒー飲料を開封したところ、ゲル状沈殿物の生成は
認められなかった。また試飲したところ、風味、味とも
に良好であった。
【0054】実施例4 砂糖5部、ショ糖脂肪酸エステル0.06部、酵素(セルロ
シンGM5P(起源Asp. niger)の凍結乾燥品:酸性プロテ
アーゼ活性 5250単位 、ガラクトマンナナーゼ活性1015
0単位)0.03部をそれぞれ粉体混合して水に添加し、こ
れに牛乳35部(乳固形分11.7%、乳脂肪3.5%含有)、コ
ーヒー抽出液(Brix=4.6)20部を加え、60℃で10分間撹
拌溶解した。この混合溶液を80℃まで加熱し、水にて全
量100部に調製し、ホモジナイズ(第1段100kg/cm2、第
2段50kg/cm2)した。ホモジナイズ後の溶液を90℃まで
加温し、120℃、20秒間の条件でプレート殺菌機を用い
て殺菌を行って、ブリックパック容器に無菌充填してコ
ーヒー飲料(コーヒー生豆換算4.3%、乳固形分4%)を調
製した。室温で60日保存した後、コーヒー飲料を開封し
たところ、沈殿物(ゲル状沈殿物を含む)並びに脂肪の
分離、リングの生成は認められず、乳の風味、味ともに
良好であった。
【0055】
【発明の効果】コーヒー飲料の製造において、コーヒー
抽出液またはコーヒー溶出液を含む原料成分を糸状菌
Aspergillus niger)起源とするガラクトマンナナー
ゼ活性を有する酵素と酸性プロテアーゼ活性を有する酵
素との併用処理、またはこれら両方の活性を有する糸状
菌(Aspergillus niger)起源とする酵素で処理するこ
とにより、高温殺菌処理によって生じるゲル状沈殿物の
生成を抑制し、また保存時に生じる沈殿物の生成や脂肪
の分離(リングの発生)を有意に防止することができ、
これによって濁り、沈殿及び脂肪の分離などが生じない
コーヒー飲料を提供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 坂上 和之 大阪府豊中市三和町1丁目1番11号 三栄 源エフ・エフ・アイ株式会社内 (72)発明者 佐々木 勝 大阪府大阪市北区天神橋7丁目1番10号 阪急共栄物産株式会社内 (72)発明者 堰口 義明 大阪府寝屋川市高柳1丁目2番6号 阪急 バイオインダストリー株式会社内 Fターム(参考) 4B027 FB24 FK07 FK18 FQ19

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともコーヒー抽出液またはコーヒー
    溶出液を含むコーヒー飲料の原料成分を、ガラクトマン
    ナナーゼ活性および酸性プロテアーゼ活性を有する糸状
    菌(Aspergillus niger)起源の酵素で処理する工程を
    含むコーヒー飲料の製造方法。
  2. 【請求項2】糸状菌(Aspergillus niger)起源の酵素
    として、ガラクトマンナナーゼ活性と酸性プロテアーゼ
    活性の両方を有する糸状菌起源の酵素、またはガラクト
    マンナナーゼ活性を有する糸状菌起源の酵素と酸性プロ
    テアーゼ活性を有する糸状菌起源の酵素の混合物を用い
    ることを特徴とする、請求項1記載のコーヒー飲料の製
    造方法。
  3. 【請求項3】コーヒー飲料の原料成分が、さらに牛乳由
    来の乳原料を含むものである請求項1または2記載のコ
    ーヒー飲料の製造方法。
  4. 【請求項4】コーヒー飲料が生豆換算で2.5%以上のコ
    ーヒーを含有するものである、請求項1乃至3のいずれ
    かに記載のコーヒー飲料の製造方法。
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