JP2000210030A - 起泡性カゼイン加水分解物及びその製造方法 - Google Patents
起泡性カゼイン加水分解物及びその製造方法Info
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- JP2000210030A JP2000210030A JP11016124A JP1612499A JP2000210030A JP 2000210030 A JP2000210030 A JP 2000210030A JP 11016124 A JP11016124 A JP 11016124A JP 1612499 A JP1612499 A JP 1612499A JP 2000210030 A JP2000210030 A JP 2000210030A
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Abstract
具備した起泡性カゼイン加水分解物を提供する。 【解決手段】 a)カゼイン加水分解物に含まれる全ア
ミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割
合が1%(重量)未満であること、b)次の分子量分布
を有すること、即ち、10000ダルトン超が25〜4
0(重量)%、5000ダルトン超10000ダルトン
以下が10〜15(重量)%、1000ダルトン超50
00ダルトン以下が25〜30(重量)%、及びc)カ
ゼイン加水分解物が蛋白質100g当りクエン酸を1g
以上含有するものであること、の理化学的性質を有する
起泡性カゼイン加水分解物、カゼインを吸着性樹脂によ
り処理し、該処理カゼインにクエン酸を添加して蛋白質
100g当りクエン酸を1g以上含有させ、のちペプシ
ンを添加して酵素分解することを特徴とする起泡性カゼ
イン加水分解物の製造方法、並びにペプシンが、予め吸
着性樹脂で処理されることを望ましい態様としている。
Description
生地、ムース等のデザート類、ホイップクリーム、カプ
チーノ等の起泡した飲料等の食品に応用可能な風味が良
好な起泡性カゼイン加水分解物及びその収率のよい製造
方法に関するものである。詳しくは、本発明は、 a)カゼイン加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量合
計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が1%(重
量。以下、特に断わりのない限り同じ。)未満であるこ
と、 b)次の分子量分布を有すること、 10000ダルトン超 25〜40% 5000ダルトン超10000ダルトン以下 10〜15% 1000ダルトン超 5000ダルトン以下 25〜30% 1000ダルトン以下 20〜30% c)カゼイン加水分解物が蛋白質100g当りクエン酸
を1g以上含有するものであること、の理化学的性質
[以下、a)〜c)をまとめて特定の理化学的性質と記
載することがある。]を有する起泡性カゼイン加水分解
物、及びカゼインを吸着性樹脂により処理し、該処理カ
ゼインにクエン酸を添加して蛋白質100g当りクエン
酸を1g以上含有させ、のちペプシンを添加して酵素分
解することを特徴とする起泡性カゼイン加水分解物の製
造方法に関するものである。
ゼイン加水分解物、即ちペプチドと遊離アミノ酸との混
合物(乾燥物)、中の全アミノ酸の質量合計に対する遊
離アミノ酸の質量合計の百分率を意味する。
イップクリーム、パン、ケーキ、及びカプチーノ等の一
部の飲料等があり、各種の起泡剤が使用されている。
な起泡食品であるケーキの場合には、起泡力のある蒸留
飽和モノグリセライドにショ糖エステル、ポリグリセリ
ンエステル、ソルビタンエステル等の乳化剤を配合した
製剤が使用されているが、この製剤はバター、マーガリ
ン、植物油等の油脂が配合されたバタースポンジケーキ
及びバターケーキでは、油脂の消泡作用により、ほとん
ど起泡力を発揮せず、このような油脂の消泡作用を抑制
するため、油脂にモノグリセライド又はプロピレングリ
コールを配合して起泡性をもたせた起泡性ショートニン
グ又は起泡性乳化油脂が市販されている(戸田義郎ら編
著、「食品用乳化剤−基礎と応用−」、第296頁、株
式会社光琳、平成9年)。
は通常ペースト又は液状であるため粉末食品であるケー
キ用ミックス粉への添加が困難で作業性が悪い。また、
油脂の消泡作用を抑制する目的で添加される脂肪酸モノ
グリセライド等に代表される合成乳化剤及びこれらを含
んだ起泡剤は風味が劣るうえに、近年の天然物志向から
化学合成品を忌避する傾向が強く、天然物由来の起泡剤
の開発が求められている。
蛋白質、大豆蛋白質、乳清蛋白質等の種々の蛋白質又は
その加水分解物が使用されているが、卵白蛋白質は加熱
により凝固するため用途が制限されており、卵白蛋白質
加水分解物は油脂を含む系での起泡性が十分ではないと
いう問題があった。
は、起泡性を有する大豆蛋白質の部分加水分解物の製造
方法として、特開昭49−109551号公報、特許第
2789840号公報等が知られていた。しかしなが
ら、特開昭49−109551号公報に記載の方法で製
造された大豆蛋白質由来の起泡性物質は、その色調及び
風味が悪く、起泡性、特に含油系下における起泡性が十
分ではないという問題点があった。
の方法は水系及び含油系下において優れた起泡性を有す
ると共に色調及び風味に優れた起泡性大豆蛋白を製造で
きるが、原料蛋白質当りの収率が悪く20%以下である
という問題点があった。更に、大豆蛋白質由来の起泡剤
では、純粋に乳製品のみの製品を製造したいとの市場の
要請に応えられないという問題点があった。
は、未分解の乳清蛋白質濃縮物(WPC)又はカゼイン
ナトリウム等が使用されている例があるが、WPCは油
脂及び砂糖が共存する系においては起泡性が低下してし
まうほか熱安定性が悪いため用途が制限されるという問
題点があり、また、カゼインナトリウムは起泡剤として
起泡性が不十分であり、大量に使用する必要があること
から用途が制限されてしまうという問題点があった。
泡剤の問題点を解決する目的で、次のとおりの牛乳由来
の蛋白質を酵素により加水分解する起泡剤の製造方法が
開示されている。 (1)ホエー蛋白質をトリプシンで部分加水分解するこ
とを特徴とする起泡安定性が良好なホエー蛋白質の調製
法(特開昭61−96956号公報:以下、従来技術1
と記載する。)。 (2)カゼイン等の乳蛋白質に蛋白分解酵素を作用させ
分解度5〜20%の範囲に部分的に加水分解した乳蛋白
性界面活性剤及びその製造方法が開示されている(特開
平1−160458号公報:以下、従来技術2と記載す
る。)。
に記載するとおりの不都合があった。
されるとおり、ホエー蛋白質をトリプシンで部分加水分
解することを特徴とする起泡安定性が良好なホエー蛋白
質が知られているが、このホエー蛋白質は、風味が劣っ
ており、油脂及び砂糖の共存する系において起泡性が悪
いという問題点を有していた。
り、カゼイン等の乳蛋白質に蛋白分解酵素を作用させ分
解度5〜20%の範囲に部分的に加水分解した乳蛋白性
界面活性剤が知られているが、この乳蛋白性界面活性剤
は、風味が劣っており、油脂及び砂糖の共存する系にお
いて起泡性が悪いという問題点を有していた。
の問題点を解決すべく鋭意研究を行った結果、カゼイン
を吸着性樹脂により処理し、該処理カゼインにクエン酸
を添加して蛋白質100g当りクエン酸を1g以上含有
させ、のちペプシンを添加して酵素分解することによ
り、得られる特定の理化学的性質を有するカゼイン加水
分解物が、風味に優れており、油脂及び砂糖の共存する
系においても起泡性に優れるという良好な特性を具備す
ること、並びに該カゼイン加水分解物を収率よく製造す
る方法を見い出し、本発明を完成した。
し、風味及び起泡性に優れるという良好な特性を具備し
た起泡性カゼイン加水分解物を提供することである。
的性質を有し、風味及び起泡性に優れるという良好な特
性を具備した起泡性カゼイン加水分解物の製造方法を提
供することである。
明の第一の発明は、次のa)〜c)、 a)カゼイン加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量合
計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が1%未満で
あること b)次の分子量分布を有すること 10000ダルトン超 25〜40% 5000ダルトン超10000ダルトン以下 10〜15% 1000ダルトン超 5000ダルトン以下 25〜30% 1000ダルトン以下 20〜30% c)カゼイン加水分解物が蛋白質100g当りクエン酸
を1g以上含有するものであること の理化学的性質を有する起泡性カゼイン加水分解物であ
る。
は、カゼインを吸着性樹脂により処理し、該処理カゼイ
ンにクエン酸を添加して蛋白質100g当りクエン酸を
1g以上含有させ、のちペプシンを添加して酵素分解す
ることを特徴とする起泡性カゼイン加水分解物の製造方
法であり、ペプシンが、予め吸着性樹脂で処理されるこ
と(以下、態様1と記載する。)を望ましい態様として
もいる。
が、本発明の理解を容易にするために、最初に本発明の
第二の発明、即ち、起泡性カゼイン加水分解物の製造方
法(以下、本発明の方法と略記する。)から説明する。
インは、市販品又は牛乳、脱脂乳等から公知の方法によ
り分離された乳酸カゼイン、塩酸カゼイン等の酸カゼイ
ン、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼイン
カルシウム等のカゼイン塩、又はこれらの任意の混合物
である。
必要に応じて水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を添加し
て、溶解する。該溶解液の濃度は格別の制限はないが、
通常、蛋白質換算で5〜15%前後の濃度範囲にするの
が効率性及び操作性の点から望ましい。
間程度加熱殺菌することが、雑菌汚染による変敗防止の
点から望ましい。
性樹脂で処理する。
ては、ダウエックスS−112(ダウケミカル社製)、
XAD−7(オルガノ社製)、KS−35(北越炭素社
製)等の市販品を例示することができる。
脂での処理は、吸着性樹脂をカゼイン溶液へ投入して所
定時間接触させるバッチ式、吸着性樹脂を充填したカラ
ムへカゼイン溶液を通液するカラム式のいずれの方式で
も可能であり、バッチ式では、前記カゼイン溶液に、そ
の味及び臭いの成分を吸着除去するために十分な量の吸
着性樹脂を、その吸着能を考慮して添加し、吸着処理後
の吸着性樹脂を濾過等により分離する。
たカラムに、その吸着能を考慮して、前記カゼイン溶液
を、その味及び臭いの成分を吸着除去するために十分な
流速で通液し、吸着処理後のカゼイン溶液を回収するこ
とにより実施することができる。
てKS−35(北越炭素社製)を使用した場合には、カ
ゼイン(蛋白質含有量85%)1重量部に対して吸着性
樹脂0.3重量部以上を使用することにより、その味及
び臭いの成分を吸着除去することができる。
イン溶液にクエン酸を添加して蛋白質100g当りクエ
ン酸を1g以上含有させる。
有させることにより、後記する試験例からも明らかなと
おり、最終製品である起泡性カゼイン加水分解物の風味
を改善することができる。
は、無水クエン酸、結晶クエン酸等の市販品を例示する
ことができる。
上含有させることにより、カゼイン溶液のpH5.9以
下となり、ペプシンの最適pH範囲内に入るが、カゼイ
ンの等電点が4.6であることからカゼインの沈殿を生
じさせないためには、クエン酸の添加量を調整してpH
を5.0乃至5.9に調整することが望ましい。従っ
て、望ましいクエン酸の添加量の上限は蛋白質100g
当り8gである。
り1g以上のクエン酸に加えて、クエン酸以外の酸を使
用してもよいが、塩酸等の無機酸に比較して有機酸を使
用することが最終製品である起泡性カゼイン加水分解物
中の塩素等のミネラルの含有量を低減できる点で望まし
く、リンゴ酸又はグルコン酸を使用することが最終製品
である起泡性カゼイン加水分解物の風味を損なわない点
で一層望ましい。
に、ペプシンを添加して酵素分解する。
は、ウシ由来又はブタ由来のペプシンのいずれであって
もよく、簡便には、市販のペプシン・パウダー1:10
000NF(ボルフガング・ミュールバウアー社製)、
ペプシン1:10000NFXII (日本バイオコン社
製)、ペプシン(シグマ社製)等を使用することができ
る。
し、溶解して使用する。該溶解液の濃度は格別の制限は
ないが、通常3〜10%程度の酵素濃度として使用する
ことが効率性及び操作性の点から望ましい。
価、反応温度、及び反応時間により異なるが、一般的に
は、カゼイン溶液中の蛋白質1g当り1000〜100
00活性単位の割合で添加する。
作用の発現する最適温度範囲を含む実用に供せられ得る
範囲から選ばれ、通常30〜60℃の範囲から選ばれ
る。
分解反応時間は、反応温度、初発pH等の反応条件によ
って進行状態が異なり、酵素反応の反応継続時間を一定
とすると製造バッチ毎に異なる理化学的性質を有する分
解物が生じる可能性があるため、一該に決定できない。
従って、酵素反応をモニターし、反応継続時間を決定す
る必要がある。
が、アミノ酸遊離率が1%未満であり、かつ次の分子量
分布 10000ダルトン超 25〜40% 5000ダルトン超10000ダルトン以下 10〜15% 1000ダルトン超 5000ダルトン以下 25〜30% 1000ダルトン以下 20〜30% の範囲で、反応温度、反応時間、酵素添加量等の反応条
件を設定する。
により行われ、常法による加熱失活処理により実施する
ことができる。加熱失活処理の加熱温度と保持時間は、
使用した酵素の熱安定性を考慮し、十分に失活できる条
件を設定することができるが、例えば、80〜130℃
の温度範囲で30分間〜2秒間の保持温度で行うことが
できる。
してpH6以上に調整し、ペプシンの活性を一時的に停
止することもできる。この際、使用できるアルカリ剤と
しては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を例示で
きる。
液は、このまま使用することも可能であり、また、必要
に応じて、この溶液を公知の方法により濃縮した濃縮
液、更に、この濃縮液を公知の方法により乾燥した粉
末、として使用することもできる。
ンが、予め吸着性樹脂で処理される場合に、最終製品で
ある起泡性カゼイン加水分解物の風味を一層改善するこ
とができる。
樹脂としては、ダウエックスS−112(ダウケミカル
社製)、XAD−7(オルガノ社製)、KS−35(北
越炭素社製)等の市販品を例示することができる。
吸着性樹脂での処理は、吸着性樹脂をペプシン溶液へ投
入して所定時間接触させるバッチ式、吸着性樹脂を充填
したカラムへペプシン溶液を通液するカラム式のいずれ
の方式でも可能である。
味及び臭いの成分を吸着除去するために十分な量の吸着
性樹脂を、その吸着能を考慮して添加し、吸着処理後の
吸着性樹脂を濾過等により分離する。また、カラム式で
は、吸着性樹脂を充填したカラムに、その吸着能を考慮
して、前記ペプシン溶液を、その味及び臭いの成分を吸
着除去するために十分な流速で通液し、吸着処理後のペ
プシン溶液を回収することにより実施することができ
る。
としてKS−35(北越炭素社製)を使用した場合に
は、ペプシン(蛋白質含量40%)1重量部に対して吸
着性樹脂0.2重量部以上を使用することにより、その
味及び臭いの成分を吸着除去することができる。
る。前記のとおり本発明の第二の発明により得られた起
泡性カゼイン加水分解物は、後記する実施例からも明ら
かなとおり、次のa)〜c)の理化学的性質を有してい
る。 a)カゼイン加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量合
計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が1%未満で
ある。 b)図1に示すとおり、次の分子量分布を有する。
ン加水分解物の分子量分布を示し、縦軸及び横軸は、そ
れぞれ分布割合及び分子量を示す。 c)カゼイン加水分解物が蛋白質100g当りクエン酸
を1g以上含有するものである。
起泡性カゼイン加水分解物は、カゼインを吸着性樹脂に
より処理し、該処理カゼインにクエン酸を添加して蛋白
質100g当りクエン酸を1g以上含有させ、のちペプ
シンを添加して酵素分解することにより、分子量分布を
10000ダルトンを超える画分が25〜40%、50
00ダルトンを超え10000ダルトン以下の画分が1
0〜15%、1000ダルトンを超え5000ダルトン
以下の画分が25〜30%、1000ダルトン以下の画
分が20〜30%とすることにより、油脂及び砂糖の共
存する系においても起泡性に優れ、望ましくない味及び
臭いの成分を吸着除去し、アミノ酸の遊離を抑制してア
ミノ酸遊離率を1%未満とし、かつ蛋白質100g当り
クエン酸を1g以上含有することにより風味に優れると
いう良好な性質を有するカゼイン加水分解物である。
味に優れており、油脂及び砂糖の共存する系においても
起泡性に優れるという従来の牛乳由来の蛋白質の起泡剤
にはない特徴を有している。
るが、本発明においては、次の試験方法を採用した。
ら編、「タンパク質・ペプチドの高速液体クロマトグラ
フィー」、化学増刊第102号、第241頁、株式会社
化学同人、1984年)。ポリハイドロキシエチル・ア
スパルタミド・カラム[Poly Hydroxyethyl Aspartamid
e Column:ポリ・エル・シー(Poly LC)社製。直径
4.6mm及び長さ200mm]を用い、20mM塩化
ナトリウム、50mMギ酸により溶出速度0.4ml/
分で溶出した。検出は、UV検出器(島津製作所製)を
用い、データ解析はGPC分析システム(島津製作所
製)を使用した。
ノ酸については、試料を6規定の塩酸で110℃、24
時間加水分解し、トリプトファンについては、水酸化バ
リウムで110℃、22時間アルカリ分解し、システイ
ン及びメチオニンについては、過ギ酸処理後、6規定の
塩酸で110℃、18時間加水分解し、それぞれアミノ
酸自動分析機(日立製作所製。835型)により分析
し、アミノ酸の質量を測定した。
し、これを合計して試料中の全アミノ酸の質量を算出す
る。次いで、スルホサリチル酸で試料を除蛋白し、残留
する各遊離アミノ酸の質量を前記(2)の方法により測
定し、これを合計して試料中の全遊離アミノ酸の質量を
算出する。これらの値から、試料中の遊離アミノ酸含有
率を次式により算出した。 アミノ酸遊離率(%)=(全遊離アミノ酸の質量/全ア
ミノ酸の質量)×100
からなるパネルにより、次の評価方法により官能的に試
験した。
れにサラダ油(日清製油社製)10g及び砂糖(三井製
糖社製)125gを混合した混合物を、卓上型ミキサー
であるケンミックス(愛工舎社製)に付属のホイッパー
を装着した起泡装置を使用して、25℃で回転速度目盛
5(回転速度370rpm/分に相当)の条件で、5分
間撹拌することにより起泡した。得られた起泡物を直ち
に100ml容量のカップに隙間無く充填し、その重量
A(g)を測定し、次式により起泡性H(%)とし、H
が500%以上の場合を起泡性が優れていると判定し
た。 H(%)=[100(ml)/A(g)]×100
ン加水分解物が優れていることを示すために行った。
ゼイン加水分解物 試料2:従来技術1の実施例1の方法により5時間部分
加水分解することにより調製された起泡安定性が良好な
ホエー蛋白質 試料3:従来技術2の実施例の方法によりカゼインを原
料として製造された乳蛋白性界面活性剤
より試験した。
明らかなとおり、従来技術の試料2及び試料3に比較し
て本発明の試料1が、風味において優れており、油脂及
び砂糖の共存する系において起泡性に優れていることが
判明した。
種類、吸着性樹脂の種類、又はクエン酸の含有量を蛋白
質100g当り1乃至8gの範囲で変更して試験した
が、ほぼ同様の結果が得られた。
水分解物のアミノ酸遊離率及び適正な分子量分布(各分
子量画分の比率)を調べるために行った。
ゼイン加水分解物のアミノ酸遊離率及び分子量分布(各
分子量画分の比率)を段階的に変更したことを除き、実
施例1と同一の方法により4種類の試料(試料番号4〜
7)を調製した。
より試験した。
明らかなとおり、風味が良好で、油脂及び砂糖の共存す
る系において起泡性に優れたカゼイン加水分解物は、ア
ミノ酸遊離率が1%未満であり、分子量が10000ダ
ルトンを超える画分の比率が25〜40%、5000ダ
ルトンを超え10000ダルトン以下の画分の比率が1
0〜15%、1000ダルトンを超え5000ダルトン
以下の画分の比率が25〜30%、及び1000ダルト
ン以下の画分の比率が20〜30%であることが判明し
た。
又はクエン酸の含有量を蛋白質100g当り1乃至8g
の範囲で変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られ
た。
水分解物の蛋白質100g当りのクエン酸の含有量を調
べるために行った。
を変更して、表3に示すとおり、カゼイン加水分解物の
蛋白質100g当りのクエン酸の含有量を変更したこと
を除き、実施例1と同一の方法により3種類の試料(試
料番号8〜10)を調製した。
より試験した。
明らかなとおり、風味が良好で、油脂及び砂糖の共存す
る系において起泡性に優れたカゼイン加水分解物を得る
ためには、カゼイン加水分解物の蛋白質100g当りの
クエン酸の含有量が1g以上であることが必要であると
判明した。
を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
水分解物の製造方法における吸着性樹脂処理の条件を調
べるために行った。
性樹脂の処理の有無を変更したことを除き、実施例3と
同一の方法により4種類の試料(試料番号11〜14)
を調製した。
より試験した。
明らかなとおり、風味が良好なカゼイン加水分解物を得
るためには、加水分解処理前に、少なくともカゼインを
吸着性樹脂により処理する必要があることが判明した。
物を得るためには、ペプシンが、予め吸着性樹脂で処理
されることが望ましいことも判明した。
又はクエン酸の含有量を蛋白質100g当り1乃至8g
の範囲で変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られ
た。
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。
製。蛋白質含有量85%)1kgに蒸留水9kgを添加
し、十分分散させ、10%水酸化ナトリウム水溶液を添
加し、pHを6.4に調整し、カゼインを完全に溶解
し、濃度約10%のカゼイン水溶液を調製した。該カゼ
イン水溶液を85℃で10分間加熱殺菌し、液温を50
℃に調整し、吸着性樹脂(北越炭素社製。KS−35)
に対して、該溶液をSV(空間速度)=2h−1の条件
で吸着処理し、吸着性樹脂処理したカゼイン溶液を得
た。
溶液(pH6.4)の温度を45℃に調整し、これに無
水クエン酸(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を蒸留水に
溶解して5%に調整したクエン酸水溶液290gを添加
し、蛋白質100g当りクエン酸を1.7g含有させる
と共にpHを5.5に調整し、ペプシン1:1000N
F(ヴォルフガングミュールバウアー社製)954万活
性単位(蛋白質1g当り11223活性単位)を添加
し、45℃に保持して加水分解し、4時間加水分解した
時点で、10%水酸化ナトリウムを添加し、pHを6.
5として酵素反応を一時的に停止し、のち85℃で10
分間加熱して酵素を失活させ、酵素反応を完全に停止
し、10℃に冷却した。
液を常法により濃縮し、噴霧乾燥し、粉末状の起泡性カ
ゼイン加水分解物約0.98kgを得た。
試験方法により試験した結果の一部は、図1に示すとお
りである(図1については前記のとおりである。)。こ
れらの結果から、起泡性カゼイン加水分解物は、アミノ
酸遊離率が0.3%であり、分子量が10000ダルト
ンを超える画分の比率が33.7%、5000ダルトン
を超え10000ダルトン以下の画分の比率が12.0
%、1000ダルトンを超え5000ダルトン以下の画
分の比率が29.0%、及び1000ダルトン以下の画
分の比率が25.3%であり、蛋白質100g当りのク
エン酸の含有量が1.7gであった。
性カゼイン加水分解物は、風味が良好で、油脂及び砂糖
の共存する系において起泡性が510%であって優れて
いた。
造工程で無機酸を使用しないことから、塩素等のミネラ
ルの含有量が少ない点で優れていた。
(蛋白質含有量85%)]500gに蒸留水4500g
を添加し、十分分散させ、10%水酸化ナトリウム水溶
液を添加し、pHを6.5に調整し、カゼインを完全に
溶解し、濃度約10%のカゼイン水溶液を調製した。該
カゼイン水溶液を85℃で10分間加熱殺菌し、液温を
50℃に調整し、吸着性樹脂(オルガノ社製。XAD−
7)に対して、該溶液をSV(空間速度)=2.5h
−1の条件で吸着処理し、吸着性樹脂処理したカゼイン
溶液を得た。
溶液(pH6.5)の温度を40℃に調整し、これに無
水クエン酸(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を蒸留水に
溶解して3%に調整したクエン酸水溶液158gを添加
し、蛋白質100g当りクエン酸を1.1g含有させ、
次いで50%グルコン酸水溶液(藤沢薬品工業社製)を
蒸留水に溶解して5%に調整したグルコン酸水溶液19
4gを添加し、pHを5.6に調整し、ペプシン(シグ
マ社製)477万活性単位(蛋白質1g当り11224
活性単位)を添加し、40℃に保持して加水分解し、6
時間加水分解した時点で、120℃で3秒間加熱して酵
素を失活させ、酵素反応を完全に停止し、10℃に冷却
した。
液を常法により濃縮し、噴霧乾燥し、粉末状の起泡性カ
ゼイン加水分解物約488gを得た。
試験方法により試験した結果、起泡性カゼイン加水分解
物は、アミノ酸遊離率が0.2%であり、分子量が10
000ダルトンを超える画分の比率が27.4%、50
00ダルトンを超え10000ダルトン以下の画分の比
率が14.9%、1000ダルトンを超え5000ダル
トン以下の画分の比率が27.7%、及び1000ダル
トン以下の画分の比率が30.0%であり、蛋白質10
0g当りのクエン酸の含有量が1.1gであった。
性カゼイン加水分解物は、風味が良好で、油脂及び砂糖
の共存する系において起泡性が500%であって優れて
いた。
造工程で無機酸を使用しないことから、塩素等のミネラ
ルの含有量が少ない点で優れていた。
・ボード製。アラネート(蛋白質含有量80%)]1.
4kgを蒸留水12.6kgに溶解し、濃度約10%の
カゼイン水溶液を調製した。該カゼイン水溶液を85℃
で10分間加熱殺菌し、液温を50℃に調整し、吸着性
樹脂(ダウケミカル社製。ダウエックスS−112)に
対して、該溶液をSV(空間速度)=1.5h−1の条
件で吸着処理し、吸着性樹脂処理したカゼイン溶液を得
た。
社製)2000万活性単位を10℃の蒸留水に分散して
溶解し、酵素蛋白質の濃度として約10%のペプシン溶
液を調製した。該ペプシン溶液を、吸着性樹脂(ダウケ
ミカル社製。ダウエックスS−112)に対して、該溶
液をSV=2.0h−1の条件で吸着処理し、吸着性樹
脂処理したペプシン溶液を得た。
溶液の液温を45℃に調整し、これに無水クエン酸(三
栄源エフ・エフ・アイ社製)を蒸留水に溶解して2%に
調整したクエン酸水溶液672gを添加し、蛋白質10
0g当りクエン酸を1.2g含有させ、次いでDL−リン
ゴ酸(理研化学社製)を蒸留水に溶解して3%に調整し
たリンゴ酸水溶液888gを添加し、pHを5.4に調
整し、前記吸着性樹脂処理ペプシン溶液をペプシン活性
として1335.6万活性単位(蛋白質1g当り119
25活性単位)添加し、45℃に保持して加水分解し、
5時間加水分解した時点で、120℃で3秒間加熱して
酵素を失活させ、酵素反応を完全に停止し、10℃に冷
却した。
液を常法により濃縮し、噴霧乾燥し、粉末状の起泡性カ
ゼイン加水分解物約1.3kgを得た。
試験方法により試験した結果、起泡性カゼイン加水分解
物は、アミノ酸遊離率が0.3%であり、分子量が10
000ダルトンを超える画分の比率が39.8%、50
00ダルトンを超え10000ダルトン以下の画分の比
率が10.1%、1000ダルトンを超え5000ダル
トン以下の画分の比率が27.6%、及び1000ダル
トン以下の画分の比率が22.5%であり、蛋白質10
0g当りのクエン酸の含有量が1.2gであった。
性カゼイン加水分解物は、風味が良好で、油脂及び砂糖
の共存する系において起泡性が505%であって優れて
いた。
造工程で無機酸を使用しないことから、塩素等のミネラ
ルの含有量が少ない点で優れていた。
理化学的性質を有し、風味及び起泡性に優れるという良
好な特性を具備した起泡性カゼイン加水分解物及びその
製造方法に関するものであり、本発明により奏せられる
効果は次のとおりである。 1)本発明の起泡性カゼイン加水分解物は、風味が良好
で、油脂及び砂糖の共存する系において起泡性が優れて
いるので、使用対象が限定されることなく、アイスクリ
ーム、ホイップクリーム、パン、ケーキ、及びカプチー
ノ等の食品に広範に使用できる。 2)本発明の起泡性カゼイン加水分解物は、乳製品由来
の起泡剤であることから、純粋に乳製品のみの製品の製
造に使用できる。 3)本発明の方法により、起泡剤として広範な用途を有
する起泡性カゼイン加水分解物を高収率で製造すること
ができる。
分子量分布を示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 次のa)〜c)、 a)カゼイン加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量合
計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が1%(重
量)未満であること b)次の分子量分布を有すること 10000ダルトン超 25〜40%(重量) 5000ダルトン超10000ダルトン以下 10〜15%(重量) 1000ダルトン超 5000ダルトン以下 25〜30%(重量) 1000ダルトン以下 20〜30%(重量) c)カゼイン加水分解物が蛋白質100g当りクエン酸
を1g以上含有するものであること の理化学的性質を有する起泡性カゼイン加水分解物。 - 【請求項2】 カゼインを吸着性樹脂により処理し、該
処理カゼインにクエン酸を添加して蛋白質100g当り
クエン酸を1g以上含有させ、のちペプシンを添加して
酵素分解することを特徴とする起泡性カゼイン加水分解
物の製造方法。 - 【請求項3】 ペプシンが、予め吸着性樹脂で処理され
る請求項2に記載のカゼイン加水分解物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11016124A JP2000210030A (ja) | 1999-01-25 | 1999-01-25 | 起泡性カゼイン加水分解物及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11016124A JP2000210030A (ja) | 1999-01-25 | 1999-01-25 | 起泡性カゼイン加水分解物及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000210030A true JP2000210030A (ja) | 2000-08-02 |
Family
ID=11907770
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11016124A Pending JP2000210030A (ja) | 1999-01-25 | 1999-01-25 | 起泡性カゼイン加水分解物及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000210030A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018050600A (ja) * | 2016-09-30 | 2018-04-05 | 日油株式会社 | 液体栄養組成物 |
CN113710094A (zh) * | 2019-04-15 | 2021-11-26 | 巴斯夫欧洲公司 | 用于烘焙产品的发泡剂 |
-
1999
- 1999-01-25 JP JP11016124A patent/JP2000210030A/ja active Pending
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JP2018050600A (ja) * | 2016-09-30 | 2018-04-05 | 日油株式会社 | 液体栄養組成物 |
CN113710094A (zh) * | 2019-04-15 | 2021-11-26 | 巴斯夫欧洲公司 | 用于烘焙产品的发泡剂 |
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