JP3636322B2 - 乳清蛋白質加水分解物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳清蛋白質を酵素で加水分解して得られる優れた特性を有する乳清蛋白質加水分解物、及びその製造方法に関するものであり、消化吸収性が未分解の蛋白質に比較して優れ、遊離アミノ酸が非常に少なく、溶液状で濁りがなく、風味が良好であり、酸性域での熱安定性に優れ、緩衝能が小さく、かつジェランガムによるゲル化形成を阻害しないという特定の性質を有し、酸性域で広範な種々の食品、特にゼリー状食品に好適に利用することが可能な新規乳清蛋白質加水分解物、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
更に詳しくは、本発明は、a)分解率が16〜20%であること、b)乳清蛋白質加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が4〜10%(重量。以下、分解率を除き、特に断りのない限り同じ。)以下であること、c)pH3.8において90℃で10分間加熱処理しても沈殿を生じないこと、d)乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たりの緩衝能が、クエン酸換算で390mg以下であること、及び、e)ジェランガムによるゲル化を阻害しないこと、の理化学的性質[以下、上記a)〜e)をまとめて特定の理化学的性質と記載することがある。]を有する乳清蛋白質加水分解物、及びその製造方法に関するものである。尚、本明細書において、アミノ酸遊離率は、乳清蛋白質加水分解物、即ち、ペプチドと遊離アミノ酸との混合物(乾燥物)、に含まれる全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合(百分率)を意味する。
【0003】
【従来の技術】
従来、乳清蛋白質は、アミノ酸組成や生体内での利用性等において優れた栄養学的特性を有しており、食品、飲料等に広く利用されている。しかしながら、乳清蛋白質は、熱安定性に劣っており、加熱殺菌が必要な液状食品等の用途には事実上使うことができない(月刊フードケミカル、7月号、第42頁、1999年)。従って、最近では、熱安定性の改善、消化吸収性の向上、及び抗原性の低減等を目的として、乳清蛋白質を酵素で加水分解した乳清蛋白質加水分解物が利用されている。
【0004】
しかしながら、乳清蛋白質を高度に加水分解した場合には、発生する呈味性ペプチド又は遊離アミノ酸等により苦味等の不快な風味が生じるという問題があった。また、加水分解率が高い乳清蛋白質加水分解物を酸性飲料等に使用する場合には、緩衝能が大きいため、酸性に達するまでに大量の酸剤を添加しなければならず、最終製品の風味に大きな影響を及ぼすという問題があった。一方、加水分解率を低く抑えた場合には、不快な風味の発生は抑制され、緩衝能も小さくなるが、熱安定性の改善が不十分であり、例えば、加水分解後にプロテアーゼを加熱失活させる工程において、凝集又は沈殿が発生するという問題があった。
【0005】
従来、風味及び熱安定性が改善された乳清蛋白質加水分解物が幾つか開発されているが、これらを例示すれば、次のとおりである。
(1)即ち、分子量5,000〜10,000ダルトンの画分が、全加水分解物の1%未満であり、抗原残存活性が10-5以下に低減され、アミノ酸遊離率が10〜15%であり、乳清蛋白質に含まれる全リジンの量に対する遊離リジンの量の割合が12〜20%であり、アンモニア含量が0.2%以下であり、10%溶液を1cmのセル、540nmで測定した透過率が98%以上であり、pH4〜7の5%溶液を120℃で10分間加熱して沈殿を生じない、風味良好な乳清蛋白質加水分解物が開発されている(特開平8−112063号公報。以下、従来技術1と記載する。)。
【0006】
(2)また、乳清蛋白質を含有する溶液をイオン交換樹脂処理又は脱塩処理し、蛋白質100g当りのカルシウム濃度を350mg以下に調整し、エンド型プロテアーゼを添加し、全窒素量に対する非蛋白態窒素の割合が50%以下の範囲で乳清蛋白質を加水分解することにより、加水分解率が低く、非蛋白態窒素量が適切である、風味良好な乳清蛋白質加水分解物が開発されている(特開平6−153792号公報。以下、従来技術2と記載する。)。
【0007】
しかしながら、前記従来技術1のような乳清蛋白質を高度に加水分解した乳清蛋白質加水分解物は、抗原性が低く、熱安定性が良い点においては優れているが、前記のとおり、緩衝能が大きいため、酸性に達するまでに大量の酸剤を添加しなければならず、最終製品の風味に大きな影響を及ぼすという問題点を有していた。また、前記従来技術2のような乳清蛋白質を軽度に加水分解した乳清蛋白質加水分解物は、カルシウム濃度を低減しているため、中性域での熱安定性は優れているが、酸性域での熱安定性がないため、酸性飲料等へ使用できないという問題点を有していた。
【0008】
そこで、前記従来技術の抱える問題点を解決すべく、本発明者らは、鋭意研究を重ね、分解率が10〜15%であり、アミノ酸スコア100であり、アミノ酸遊離率が1%(重量)未満であり、pH3.8において90℃で10分間加熱処理しても沈殿を生じず、乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たりの緩衝能が、クエン酸換算で280mg以下である、という良好な特性を具備した乳清蛋白質加水分解物を開発した(特開2001−95496号公報。以下、従来技術3と記載する。)。
【0009】
しかしながら、前記従来技術3の乳清蛋白質加水分解物は、風味が良好であり、アミノ酸スコア100であり、酸性域での熱安定性に優れ、かつ緩衝能が小さい点では優れているが、ゼリー食品のゲル化剤として一般的に広く使用されているジェランガムと反応してゲル化を阻害するため、ゼリー状食品へ使用できないという問題点を有していた。
【0010】
このように、従来技術においては、1)抗原性が低く、熱安定性が良い点においては優れているが、緩衝能が大きい点に問題がある乳清蛋白質加水分解物、2)中性域での熱安定性は優れているが、酸性域での熱安定性に問題がある乳清蛋白質加水分解物、及び、3)風味が良好であり、アミノ酸スコア100であり、酸性域での熱安定性に優れ、かつ緩衝能が小さい点では優れているが、ジェランガムとの反応によるゲル化阻害に問題がある乳清蛋白質加水分解物、が知られているのみであり、本発明が目標としている、風味が良好であり、酸性域での熱安定性に優れ、緩衝能が小さく、かつジェランガムとの反応によるゲル化阻害を起こさない乳清蛋白質加水分解物については、従来知られていなかった。
【0011】
更に、従来、分解率が16〜20%であり、アミノ酸遊離率が4〜10%であり、pH3.8において90℃で10分間加熱処理しても沈殿を生じない、乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たりの緩衝能が、クエン酸換算で390mg以下である、という特性を有する、いわゆる風味が良好で、酸性域での優れた熱安定性を有し、緩衝能が小さく、ジェランガムによるゲル化を阻害しない乳清蛋白質加水分解物は、知られていなかった。従って、当技術分野においては、優れた栄養価を有する乳清蛋白質を原料として用い、酸性域で広範な種々の食品及び飲料等に応用可能な、消化吸収性が未分解の蛋白質に比較して優れ、遊離アミノ酸が少なく、風味が良好であり、酸性域での熱安定性に優れ、緩衝能が小さく、かつジェランガムによるゲル化を阻害しない新しいタイプの乳清蛋白質加水分解物を開発することが待望されていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者らは、前記従来技術に鑑みて、従来製品の有する前記各種問題点を抜本的に解決し得る新しい製品を開発することを目的として鋭意研究を行った結果、乳清蛋白質を溶解し、ブロメライン及びパパインからなるグループ1、アルカラーゼ及びトリプシンからなるグループ2、乳酸菌由来のプロテアーゼからなるグループ3において、グループ1、グループ2及びグループ3からそれぞれ単独又は複数のプロテアーゼを選択し、それらを併用して分解率16〜20%及び全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が4〜10%の範囲に加水分解し、該加水分解液を限外濾過処理して50,000ダルトン以上の画分を完全に除去する方法を採用することにより所期の目的を達成し得ることを見出した。
【0013】
即ち、上記方法を採用することにより得られる特定の理化学的性質を有する乳清蛋白質加水分解物が、従来の乳清蛋白質加水分解物では成し得なかった、消化吸収性が未分解の蛋白質に比較して優れ、適度な量及び種類の遊離アミノ酸で、風味が良好であり、酸性域での熱安定性に優れ、緩衝能が小さく、かつジェランガムによるゲル化を阻害しないという良好な特性を具備すること、及び上記方法が該乳清蛋白質加水分解物を安定して製造できる方法であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、風味が良好であり、酸性域での熱安定性に優れ、緩衝能が小さく、かつジェランガムによるゲル化を阻害しない新規乳清蛋白質加水分解物を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、風味が良好であり、酸性域での熱安定性に優れ、緩衝能が小さく、かつジェランガムによるゲル化を阻害しない乳清蛋白質加水分解物を高効率で製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の第一の発明は、乳清蛋白質を酵素で加水分解した乳清蛋白質加水分解物であって、次のa)〜e);
a)分解率が16〜20%であること、
b)乳清蛋白質加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が4〜10%(重量)であること、
c)pH3.8において90℃で10分間加熱処理しても沈殿を生じないこと、
d)乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たりの緩衝能が、クエン酸換算で390mg以下であること、及び、
e)ジェランガムによるゲル化を阻害しないこと、
の理化学的性質を有することを特徴とする乳清蛋白質加水分解物、である。
【0015】
前記課題を解決する本発明の第二の発明は、乳清蛋白質を溶解し、ブロメライン及びパパインからなるグループ1、アルカラーゼ及びトリプシンからなるグループ2、乳酸菌由来のプロテアーゼからなるグループ3において、グループ1、グループ2及びグループ3からそれぞれ単独又は複数のプロテアーゼを選択し、それらを併用して分解率16〜20%及び全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が4〜10%の範囲に加水分解し、該加水分解液を限外濾過処理して50,000ダルトン以上の画分を完全に除去することを特徴とする乳清蛋白質加水分解物の製造方法、である。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。本発明の理解を容易にするために、最初に、本発明の第二の発明、即ち、乳清蛋白質加水分解物の製造方法(以下、本発明の方法と略記する。)から説明する。本発明の方法に使用する乳清蛋白質は、乳清蛋白質を主成分とするものであれば、如何なるものでも使用することができるが、好適には、市販の各種乳清蛋白質、例えば、乳清蛋白質濃縮物(WPC)、乳清蛋白質分離物(WPI)等を使用することが望ましい。また、牛乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳から乳清蛋白質を常法により精製することもできる。この原料乳清蛋白質を水又は温湯に分散し、溶解する。該乳清蛋白質を含有する溶液の濃度は、格別の制限はないが、通常、蛋白質換算で5〜15%前後の濃度範囲にするのが効率性及び操作性の点から望ましい。前記乳清蛋白質を含有する溶液を、70〜90℃で15秒間〜10分間程度加熱殺菌して使用することが、雑菌汚染による変敗防止の点から望ましい。
【0017】
次いで、前記乳清蛋白質を含有する溶液に、アルカリ剤を添加し、pHをブロメライン、パパイン、トリプシン、アルカラーゼ等のプロテアーゼの至適pH又はその付近であるpH7〜10に調整する。この場合、アルカリ剤は、食品に許容されるものであれば如何なるアルカリ剤であってもよいが、好適には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等を使用することができる。次いで、乳清蛋白質を含有する溶液に、ブロメライン及びパパインからなるグループ1、アルカラーゼ及びトリプシンからなるグループ2、乳酸菌由来のプロテアーゼからなるグループ3において、グループ1、グループ2及びグループ3からそれぞれ単独又は複数のプロテアーゼを選択し、それらを併用して添加する。
【0018】
ブロメライン、パパイン、アルカラーゼ及びトリプシンは、市販品等が使用可能であり、ブロメラインとしてはブロメラインF(天野エンザイム社製)、パパインとしてはパパイン300(日本バイオコン社製)、アルカラーゼとしてはアルカラーゼ2.4L(ノボザイム・ジャパン社製)、トリプシンとしてはPTN6.0S(ノボザイム・ジャパン社製)等を例示することができる。また、乳酸菌由来のプロテアーゼは、例えば、特公昭54−36235号公報の第6欄第4行「(3)使用する酵素について」の項に記載の方法により、次のとおり製造することができる。乳酸菌(ビフィズス菌を含む)を公知の方法(例えば、特公昭48−43878号公報に記載の方法)により培養し、得られた培養液を遠心分離して乳酸菌菌体を回収し、滅菌水に菌体を懸濁し、遠心分離して乳酸菌菌体を回収する操作を2回繰り返し、菌体を洗浄し、20%の濃度で菌体を滅菌水に懸濁し、菌体破砕機[ 例えば、ダイノミル(Willy Bachnfen Engineering)社製。KDL型]により菌体を破砕し、凍結乾燥し、乳酸菌由来のプロテアーゼ粉末を得る。
【0019】
乳酸菌としては、ラクトバチルス属の乳酸菌であるラクトバチルス・ヘルベチクス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)など、ストレプトコッカス属の乳酸菌であるストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)など、ビフィドバクテリウム属の乳酸菌であるビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンチス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)などを例示することができる。
【0020】
これらのプロテアーゼを、4〜10℃の冷水に分散し、溶解して使用する。該プロテアーゼ溶液の濃度は、格別の制限はないが、通常、3〜10%程度の酵素濃度として使用することが効率性及び操作性の点から望ましい。プロテアーゼの使用量は、基質濃度、酵素力価、反応温度、及び反応時間により異なるが、一般的には、グループ1及びグループ2のプロテアーゼについては、乳清蛋白質1g当たり1000〜20000活性単位の割合で添加し、グループ3のプロテアーゼについては、乳清蛋白質1g当たり20〜400活性単位の割合で添加する。尚、活性単位の定義は、グループ1及びグループ2のプロテアーゼについては、カゼイン(商品名:ハマーシュタイン;メルク社製)にプロテアーゼを作用させ、30℃で1分間に1μgのチロシンに相当するアリルアミノ酸のフォリン試薬での呈色反応を示す酵素活性力価を1活性単位とする。
【0021】
また、グループ3のプロテアーゼについては、乳酸菌由来のプロテアーゼ又はそれを含有する菌体粉末を0.2g/100mlの割合で0.1モルのリン酸緩衝液(pH7)に分散又は溶解して酵素溶液を調製する。一方、ロイシルパラニトロアニリド(国産化学社製)を0.1モルのリン酸緩衝液(pH7)に溶解して2mMの基質溶液を調製する。酵素溶液1mlに基質溶液1mlを添加し、37℃で5分間反応させた後、30%の酢酸溶液2mlを添加して反応を停止させ、反応液をメンブランフィルターで濾過し、波長410nmで吸光度を測定する。乳酸菌由来のプロテアーゼの活性単位は1分間に1μmolのロイシルパラニトロアニリドを分解するのに必要な酵素量を1活性単位と定義し、次式により求めた。
乳酸菌由来のプロテアーゼの活性単位=20×(P/Q)
但し、Pは波長410nmにおける試料の吸光度、Qは波長410nmにおける0.25mMパラニトロアニリンの吸光度を示す。
【0022】
プロテアーゼの添加に当っては、1種類ずつ溶解し、添加することが望ましいが、添加の順番には特に制限はない。酵素反応の温度は、格別の制限はなく、酵素作用の発現する最適温度範囲を含む実用に供され得る範囲から選ばれ、通常、30〜60℃の範囲から選ばれる。本発明における加水分解反応時間は、反応温度、初発pH等の反応条件によって反応の進行状態が異なり、酵素反応の反応継続時間を一定とすると製造バッチ毎に異なる理化学的性質を有する分解物が生じる可能性があるため、一該に決定できない。従って、酵素反応をモニターし、反応継続時間を決定する必要がある。加水分解の程度は、蛋白質の分解率を経時的に測定し、モニターすることができる。分解率を測定する方法は、ホルモール滴定(Jens Aldler―Nissen編、「ENZYMIC HYDROLYSIS OF FOOD PROTEINS」、第12〜13ページ、ELSEVIER APPLIED SCIENCE PUBLISHERS LTD.発行、1986年)を例示することができる。
【0023】
また、遊離アミノ酸の程度は、加水分解を開始し、分解液中に遊離した特定アミノ酸の量を経時的に測定することでモニターする。具体的には、例えば、公知の方法(例えば、特開平8−112064号公報)により、HPLC、バイオテックアナライザー(旭化成工業社製)、パフュージョン・クロマトグラフィー(パーセプティブ・バイオシステム社製。BioCAD)等を用いて経時的に遊離する特定アミノ酸を測定することによりモニターすることができる。使用する原料蛋白質及び酵素の種類により遊離するアミノ酸の量が異なるので、最も遊離し易いアミノ酸を特定アミノ酸として選択するのが望ましい。
【0024】
これらにより、分解率及び分解液中に遊離したアミノ酸の量を経時的に測定し、分解率と出発原料である蛋白質に含まれるアミノ酸の総量に対する遊離したアミノ酸量の割合とがともに予め設定された範囲である、分解率16〜20%、全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合4〜10%(好ましくは4〜6%)に達した時、直ちに反応液中の酵素を失活又は除去し、加水分解を停止する。酵素反応の停止は、加水分解液中の酵素の失活により行われ、常法による加熱失活処理により実施することができる。加熱失活処理の加熱温度と保持時間は、使用した酵素の熱安定性を考慮し、十分に失活できる条件を適宜設定することができるが、例えば、80〜130℃の温度範囲で30分間〜2秒間の保持時間で行うことができる。
【0025】
得られた加水分解失活液を限外ろ過膜処理し、分子量50,000ダルトン以上の画分を完全に除去し、目的とする乳清蛋白質加水分解物を含む溶液を得る。限外ろ過膜は、公知の装置を用いることができ、例えば、限外ろ過モジュールSLP1053(旭化成社製、分画分子量10,000)、NTU3306(日東電工社製、分画分子量20,000)等を例示することができる。得られた本発明の乳清蛋白質加水分解物を含有する溶液は、そのまま使用することもでき、また、必要に応じて濃縮して濃縮液として使用することもでき、更に、この濃縮液を乾燥し、粉末として使用することもできる。
【0026】
次に、本発明の第一の発明について説明する。前記のとおり、本発明の第二の発明により得られた本発明の第一の発明の乳清蛋白質加水分解物は、後記する実施例からも明らかなとおり、次のa)〜e)の理化学的性質を有している。a)分解率が16〜20%である、b)乳清蛋白質加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が4〜10%(重量)である、c)pH3.8において90℃で10分間加熱処理しても沈殿を生じない。d)乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たりの緩衝能が、クエン酸換算で390mg以下である、及び、e)ジェランガムによるゲル化を阻害しない。
【0027】
前記a)〜e)に示したとおり、本発明の第一の発明の乳清蛋白質加水分解物は、乳清蛋白質を含有する溶液に、ブロメライン及びパパインからなるグループ1、アルカラーゼ及びトリプシンからなるグループ2、乳酸菌由来のプロテアーゼからなるグループ3において、グループ1、グループ2及びグループ3からそれぞれ単独又は複数のプロテアーゼを選択し、それらを併用して添加し、蛋白質の分解率が16〜20%の範囲で乳清蛋白質を加水分解し、アミノ酸遊離率を4〜10%とし、加熱失活後、限外濾過処理して50,000ダルトン以上の画分を完全に除去することにより得られる。
【0028】
この乳清蛋白質加水分解物は、風味が良好であり、消化吸収性が未分解の蛋白質に比較して優れ、酸性域での熱安定性に優れ、緩衝能が小さく、かつジェランガムによるゲル化を阻害しないという良好な性質を有する。なお、アミノ酸遊離率を4〜6%とすると、一層風味が良好で好ましい。このように、本発明の第一の発明の乳清蛋白質加水分解物は、風味が良好であり、緩衝能が小さいにも拘らず、酸性域での熱安定性に優れ、かつジェランガムによるゲル化を阻害しないという従来の乳清蛋白質加水分解物にはない特徴を有しており、酸性域で広範な種々の食品、特にゼリー状食品に好適に利用することができる。
【0029】
次に、試験例を示して本発明を詳細に説明する。本発明においては、次の試験方法を採用した。
(1)蛋白質の分解率の算出方法
ケルダール法(日本食品工業学会編、「食品分析法」、第102ページ、株式会社光琳、昭和59年)により試料の全窒素量を測定し、ホルモール滴定法(満田他編、「食品工学実験書」、上巻、第547ページ、養賢堂、1970年)により試料のホルモール態窒素量を測定し、これらの測定値から分解率を次式により算出した。
分解率(%)=(ホルモール態窒素量/全窒素量)×100
【0030】
(2)アミノ酸組成の測定方法
トリプトファン、システイン及びメチオニン以外のアミノ酸については、試料を6規定の塩酸で110℃、24時間加水分解し、トリプトファンについては、水酸化バリウムで110℃、22時間アルカリ分解し、システイン及びメチオニンについては、過ギ酸処理後、6規定の塩酸で110℃、18時間加水分解し、それぞれ、アミノ酸自動分析機(日立製作所製。835型)により分析し、アミノ酸の質量を測定した。
【0031】
(3)アミノ酸遊離率の算定方法
試料中の各アミノ酸組成を、前記(2)の方法により測定し、これを合計して試料中の全アミノ酸の質量を算出する。次いで、スルホサリチル酸で試料を除蛋白し、残留する各遊離アミノ酸の質量を、前記(2)の方法により測定し、これを合計して試料中の全遊離アミノ酸の質量を算出する。これらの値から、試料中の遊離アミノ酸含有率を次式により算出した。
アミノ酸遊離率(%)=(全遊離アミノ酸の質量/全アミノ酸の質量)×100
【0032】
(4)酸性域の熱安定性の試験方法
試料を、クエン酸の添加によりpH3.8に調整し、固形分濃度10%で水に溶解し、250mlの透明ガラスビンに充填し、90℃で10分間加熱して水冷し、沈殿又は凝集の発生を肉眼観察し、沈殿又は凝集の発生の有無を酸性域での熱安定性の指標とした。
【0033】
(5)緩衝能の試験方法
試料を水に溶解し、予めクエン酸又は水酸化ナトリウムの添加によりpH7.0に調整した後、水を加えて蛋白質濃度10%に濃度調整し、これにクエン酸を添加し、pH3.8に調整するために必要なクエン酸の量(mg)を測定し、蛋白質1g当たりのクエン酸の量(mg)を緩衝能の指標とした。
【0034】
(6)各試料の風味試験方法
20歳から40歳までの男女各20人からなるパネルにより、苦味やアミノカルボニル反応由来の風味などの不快な風味の有無及びその強さについて、次の評価方法により官能的に試験した。各試料を
0点:不快な風味なし
1点:不快な風味弱い
2点:不快な風味やや強い
3点:不快な風味強い
の4段階に評価し、各試料の評価点の平均値を算出し、
良:0.5点未満
やや良:0.5点以上1.5未満
やや不良:1.5点以上2.5未満
不良:2.5点以上3.0未満
の基準により判定した。
【0035】
(7)ジェランガムによるゲル化試験
ジェランガムを精製水で0.5%に分散させ、90℃に加温し、完全に溶解し、ジェランガム溶液を作製した。これと別に、乳清蛋白質加水分解物を精製水に溶解し、クエン酸でpH3.8に調整し、乳清蛋白質加水分解物の10%溶液を作製した。乳清蛋白質加水分解物の10%溶液30gに1%乳酸カルシウム溶液70gを混合し、そこへ90℃に加温した0.5%ジェランガム溶液を混合し、冷却し、ゲル化の有無及びその程度について、外観により各試料を下記の基準;
良:ゲル化する、
やや良:全体がゲル化するが、軟らかく、振動等により崩れる可能性がある、
やや不良:一部はゲル化するが、流動性のある部分が残っている、
不良:液状で全くゲル化しない、
により判定した。
【0036】
(8)固形分回収率
原料に用いた乳清蛋白質粉末の質量と最終的に得られた乳清蛋白質加水分解物粉末の質量とから、次式により算出した。
固形分回収率(%)=(得られた乳清蛋白質加水分解物粉末の質量/原料乳清蛋白質粉末の質量)×100
【0037】
試験例1
この試験は、従来技術の乳清蛋白質加水分解物と比較して、本発明の乳清蛋白質加水分解物が良好な風味を有し、酸性域での熱安定性に優れ、緩衝能が小さく、及びジェランガムによるゲル化を阻害せず、優れていることを示すために行った。
(1)試料の調製
次に示す4種類の試料を調製した。
1)試料1
本発明の実施例1と同一の方法により製造した本発明の乳清蛋白質加水分解物
2)試料2
従来技術1の実施例2の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
3)試料3
従来技術2の実施例1の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
4)試料4
従来技術3の実施例1の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
【0038】
(2)試験方法
各試料の蛋白質の分解率、アミノ酸遊離率、風味、酸性域での熱安定性、緩衝能、及びジェランガムによるゲル化を、いずれも、前記の試験方法により各試料毎に5回測定して、それらの平均値を算出して試験した。
【0039】
(3)試験結果
この試験の結果は、表1に示すとおりである。表1から明らかなとおり、従来技術の試料2に比較して、本発明の試料1は、アミノ酸遊離率がやや低く、風味が良く、緩衝能が小さい点で優れていることが判明した。また、従来技術の試料3に比較して、本発明の試料1は、酸性域での熱安定性が優れ、ジェランガムによるゲル化を阻害しない点で優れていることが判明した。更に、従来技術の試料4に比較して、本発明の試料1は、ジェランガムのゲル化を阻害しない点で優れていることが判明した。尚、本発明の試料については、乳清蛋白質の種類、プロテアーゼの種類、及び限外ろ過膜の種類を適宜変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0040】
【表1】
【0041】
試験例2
この試験は、分解率、アミノ酸遊離率、風味、緩衝能、及び原料蛋白質からの固形分回収率を指標として、適正な蛋白質分解酵素の種類を調べるために行った。
(1)試料の調製
蛋白質分解酵素の種類を変更したことを除き、実施例1と同一の方法により、次に示す19種類の試料(試料番号5〜23)を調製した。
5)試料5
本発明の実施例1と同一の方法により製造した本発明の乳清蛋白質加水分解物
6)試料6
蛋白質分解酵素として、ブロメライン(商品名:ブロメラインF;天野エンザイム社製)、トリプシン(商品名:PTN6.0S;ノボザイム・ジャパン社製)及び乳酸菌(ラクトバチルス・ヘルベチクス)由来のプロテアーゼを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した本発明の乳清蛋白質加水分解物
7)試料7
蛋白質分解酵素として、パパイン(日本バイオコン社製)、ブロメライン(天野エンザイム社製)、トリプシン(ノボザイム・ジャパン社製)及び乳酸菌(ラクトバチルス・ヘルベチクス)由来のプロテアーゼを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した本発明の乳清蛋白質加水分解
【0042】
8)試料8
蛋白質分解酵素として、パパイン(日本バイオコン社製)、アルカラーゼ(商品名:アルカラーゼ2.4L;ノボザイムズ・ジャパン社製)及び乳酸菌(ラクトバチルス・ヘルベチクス)由来のプロテアーゼを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
9)試料9
蛋白質分解酵素として、ブロメライン(商品名:ブロメラインF ;天野エンザイム社製)、アルカラーゼ(商品名:アルカラーゼ2.4L;ノボザイムズ・ジャパン社製)及び乳酸菌(ラクトバチルス・ヘルベチクス)由来のプロテアーゼを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
【0043】
10)試料10
蛋白質分解酵素として、パパイン(日本バイオコン社製)、ブロメライン(商品名:ブロメラインF;天野エンザイム社製)、アルカラーゼ(商品名:アルカラーゼ2.4L;ノボザイムズ・ジャパン社製)及び乳酸菌(ラクトバチルス・ヘルベチクス)由来のプロテアーゼを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
11)試料11
蛋白質分解酵素として、パパイン(日本バイオコン社製)、ブロメライン(商品名:ブロメラインF;天野エンザイム社製)、トリプシン(ノボザイム・ジャパン社製)、アルカラーゼ(商品名:アルカラーゼ2.4L;ノボザイムズ・ジャパン社製)及び乳酸菌(ラクトバチルス・ヘルベチクス)由来のプロテアーゼを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
【0044】
12)試料12
蛋白質分解酵素として、パパイン(日本バイオコン社製)及び乳酸菌(ラクトバチルス・ヘルベチクス)由来のプロテアーゼを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
13)試料13
蛋白質分解酵素として、ブロメライン(商品名:ブロメラインF;天野エンザイム社製)及び乳酸菌(ラクトバチルス・ヘルベチクス)由来のプロテアーゼを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
14)試料14
蛋白質分解酵素として、トリプシン(ノボザイム・ジャパン社製)及び乳酸菌(ラクトバチルス・ヘルベチクス)由来のプロテアーゼを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
【0045】
15)試料15
蛋白質分解酵素として、アルカラーゼ(商品名:アルカラーゼ2.4L;ノボザイムズ・ジャパン社製)及び乳酸菌(ラクトバチルス・ヘルベチクス)由来のプロテアーゼを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
16)試料16
蛋白質分解酵素として、パパイン(日本バイオコン社製)、ブロメライン(商品名:ブロメラインF;天野エンザイム社製)及び微生物(バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis))由来の中性プロテアーゼであるプロテアーゼN(天野エンザイム社製)を使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
【0046】
17)試料17
蛋白質分解酵素として、パパイン(日本バイオコン社製)、トリプシン(ノボザイム・ジャパン社製)及び微生物(バチルス・スブチリス)由来の中性プロテアーゼであるプロテアーゼN(天野エンザイム社製)を使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
18)試料18
蛋白質分解酵素として、ブロメライン(商品名:ブロメラインF;天野エンザイム社製)、トリプシン(ノボザイム・ジャパン社製)及び微生物(バチルス・スブチリス))由来の中性プロテアーゼであるプロテアーゼN(天野エンザイム社製)を使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
【0047】
19)試料19
蛋白質分解酵素として、ブロメライン(商品名:ブロメラインF;天野エンザイム社製)、アルカラーゼ(商品名:アルカラーゼ2.4L;ノボザイムズ・ジャパン社製)及び微生物(バチルス・スブチリス)由来の中性プロテアーゼであるプロテアーゼN(天野エンザイム社製)を使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
20)試料20
蛋白質分解酵素として、パパイン(日本バイオコン社製)、ブロメライン(商品名:ブロメラインF;天野エンザイム社製)及び微生物(アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae))由来の中性プロテアーゼであるプロテアーゼA(天野エンザイム社製)を使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
【0048】
21)試料21
蛋白質分解酵素として、パパイン(日本バイオコン社製)、トリプシン(ノボザイム・ジャパン社製)及び微生物(アスペルギルス・オリゼ)由来の中性プロテアーゼであるプロテアーゼA(天野エンザイム社製)を使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
22)試料22
蛋白質分解酵素として、ブロメライン(商品名:ブロメラインF;天野エンザイム社製)、トリプシン(ノボザイム・ジャパン社製)及び微生物(アスペルギルス・オリゼ)由来の中性プロテアーゼであるプロテアーゼA(天野エンザイム社製)を使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
23)試料23
蛋白質分解酵素として、ブロメライン(商品名:ブロメラインF ;天野エンザイム社製)、アルカラーゼ(商品名:アルカラーゼ2.4L;ノボザイムズ・ジャパン社製)及び微生物(アスペルギルス・オリゼ)由来の中性プロテアーゼであるプロテアーゼA(天野エンザイム社製)を使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
【0049】
(2)試験方法
各試料の分解率、アミノ酸遊離率、風味、緩衝能、及び原料蛋白質からの固形分回収率を、いずれも、前記の試験方法により各試料毎に5回測定して、それらの平均値を算出して試験した。
【0050】
(3)試験結果
この試験の結果は、表2に示すとおりである。表2から明らかなとおり、風味が良好で、緩衝能が390mg以下と小さく、かつ固形分回収率が低すぎず70%以上となる乳清蛋白加水分解物を製造するためには、蛋白質分解酵素として、ブロメライン及び/又はパパインから単独又は複数、及びアルカラーゼ及び/又はトリプシンから単独又は複数、及び乳酸菌由来のプロテアーゼを組み合わせて使用することが必要であることが判明した。尚、乳酸菌以外の微生物に由来するプロテアーゼとして、バチルス・スブチリス由来の中性プロテアーゼであるプロテアーゼN(天野エンザイム社製)及びアスペルギルス・オリゼ由来の中性プロテアーゼであるプロテアーゼA(天野エンザイム社製)以外の微生物プロテアーゼについても種類を適宜変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。また、乳清蛋白質の種類及び限外ろ過膜の種類を適宜変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0051】
【表2】
【0052】
試験例3
この試験は、風味、緩衝能、及び原料蛋白質からの固形分回収率を指標として、適正な蛋白質の分解率及びアミノ酸遊離率を調べるために行った。
(1)試料の調製
蛋白質の分解率を段階的に変更したことを除き、実施例1と同一の方法により次に示す9種類の試料(試料番号24〜32)を調製した。
24)試料24
蛋白質の分解率を14%及びアミノ酸遊離率を3%としたことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
25)試料25
蛋白質の分解率を14%及びアミノ酸遊離率を4%としたことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
26)試料26
蛋白質の分解率を16%及びアミノ酸遊離率を3%としたことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
27)試料27
蛋白質の分解率を16%及びアミノ酸遊離率を4%としたことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
【0053】
28)試料28
蛋白質の分解率を17%及びアミノ酸遊離率を6%としたことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
29)試料29
蛋白質の分解率を20%及びアミノ酸遊離率を10%としたことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
30)試料30
蛋白質の分解率を20%及びアミノ酸遊離率を11%としたことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
31)試料31
蛋白質の分解率を21%及びアミノ酸遊離率を10%としたことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
32)試料32
蛋白質の分解率を21%及びアミノ酸遊離率を11%としたことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
【0054】
(2)試験方法
各試料の分解率、アミノ酸遊離率、風味、緩衝能、及び原料蛋白質からの固形分回収率を、いずれも、前記の試験方法により各試料毎に5回測定して、それらの平均値を算出して試験した。
【0055】
(3)試験結果
この試験の結果は、表3に示すとおりである。表3から明らかなとおり、風味が良好で、緩衝能が390mg以下と小さく、かつ固形分回収率が低すぎず70%以上となる乳清蛋白加水分解物を製造するためには、蛋白質の分解率が16〜20%の範囲で、かつアミノ酸遊離率が4〜10%の範囲に乳清蛋白質を加水分解することが必要であることが判明した。また、一層風味が良好な乳清蛋白加水分解物を製造するためには、アミノ酸遊離率が4〜6%の範囲に乳清蛋白質を加水分解することが好ましいことが判明した。尚、乳清蛋白質の種類、プロテア−ゼの種類、及び限外ろ過膜の種類を適宜変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0056】
【表3】
【0057】
試験例4
この試験は、ジェランガムによるゲル化を指標として、乳清蛋白質加水分解物の製造方法の条件を調べるために行った。
(1)試料の調製
限外ろ過膜の分画分子量を変更したことを除き、実施例1と同一の方法により次に示す6種類の試料(試料番号33〜38)を調製した。
33)試料33
本発明の実施例1と同一の方法により製造した本発明の乳清蛋白質加水分解物
34)試料34
限外ろ過膜として、分画分子量3,000の限外ろ過膜モジュールを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
【0058】
35)試料35
限外ろ過膜として、分画分子量6,000の限外ろ過膜モジュールを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
36)試料36
限外ろ過膜として、分画分子量20,000の限外ろ過膜モジュールを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
37)試料37
限外ろ過膜として、分画分子量50,000の限外ろ過膜モジュールを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
38)試料38
限外ろ過膜として、分画分子量80,000の限外ろ過膜モジュールを使用したことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水分解物
【0059】
(2)試験方法
各試料のジェランガムによるゲル化を、前記の試験方法により各試料毎に5回外観目視測定して試験した。
【0060】
(3)試験結果
この試験の結果は、表4に示すとおりである。表4から明らかなとおり、ジェランガムによるゲル化を阻害しない乳清蛋白加水分解物を製造するためには分画分子量が50,000以下の限外ろ過膜を用いることが望ましいことが判明した。尚、乳清蛋白質の種類、及びプロテアーゼの種類を適宜変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0061】
【表4】
【0062】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
市販の乳清蛋白質濃縮物(蛋白質含有量75%。ミライ社製)1kgを精製水9kgに溶解し、水酸化ナトリウム(日本曹達社製)5.5gを添加してpHを7.5に調整し、パパイン(商品名:パパイン300;日本バイオコン社製)382.5万活性単位(蛋白質1g当たり5,100活性単位)、トリプシン(商品名:PTN6.0S;ノボザイムズ・ジャパン社製)112.5万活性単位(蛋白質1g当たり1,500活性単位)及び乳酸菌ラクトバチルス・ヘルベチクス由来のプロテアーゼ13.5万活性単位(蛋白質1g当たり180活性単位)を添加し、50℃で加水分解し、酵素反応を分解率によりモニターし、分解率が15.8%及びアミノ酸遊離率6.1%に達した時点で、130℃で2秒間加熱して酵素を失活させ、10℃に冷却した。
【0063】
この加水分解液を、分画分子量10,000の限外ろ過膜モジュール(商品名:SLP−1053;旭化成社製)により処理し、膜透過画分を濃縮し、噴霧乾燥し、粉末状の乳清蛋白質加水分解物約0.75kgを得た。得られた乳清蛋白質加水分解物は、前記試験方法で試験した結果、分解率16.0%、アミノ酸遊離率6.1%、及び蛋白質1g当りの緩衝能が、クエン酸換算で362mgであった。また、風味が良好であり、酸性域での熱安定性に優れており、沈殿又は凝集を発生せず、かつジェランガムによるゲル化を阻害しないことから、酸性のゼリー状食品等にそのまま使用することが可能な優れた特性を有するものであった。
【0064】
実施例2
乳清蛋白質濃縮物(蛋白質含有量75%。ワーナンブール・チーズ・アンド・バター社製)10kgを精製水90kgに溶解し、水酸化ナトリウム(日本曹達社製)55.5gを添加してpHを7.4に調整し、ブロメライン(商品名:ブロメラインF;天野エンザイム社製)4,500万活性単位(蛋白質1g当たり6,000活性単位)、アルカラーゼ(商品名:アルカラーゼ2.4L;ノボザイムズ・ジャパン社製)1050万活性単位(蛋白質1g当たり1400活性単位)及び乳酸菌ラクトバチルス・カゼイ由来のプロテアーゼ120万活性単位(蛋白質1g当たり160活性単位)を添加し、50℃で加水分解し、酵素反応を分解率によりモニターし、分解率が16.7%及びアミノ酸遊離率6.8%に達した時点で、90℃で10分間加熱して酵素を失活させ、10℃に冷却した。
【0065】
この加水分解液を、分画分子量20,000の限外ろ過膜モジュール(商品名:NTU−3250;日東電工社製)により処理し、膜透過画分を濃縮し、噴霧乾燥し、粉末状の乳清蛋白質加水分解物約7.8kgを得た。得られた乳清蛋白質加水分解物は、前記試験方法で試験した結果、分解率16.7%アミノ酸遊離率6.8%、及び蛋白質1g当りの緩衝能が、クエン酸換算で369mgであった。また、風味が良好であり、酸性域での熱安定性に優れており、沈殿又は凝集を発生せず、かつジェランガムによるゲル化を阻害しないことから、酸性のゼリー状食品等にそのまま使用することが可能な、優れた特性を有するものであった。
【0066】
実施例3
乳清蛋白質濃縮物(蛋白質含有量75%。アーラ・フーズ・イングリディエンツ社製)10kgを精製水80kgに溶解し、水酸化ナトリウム(鶴見曹達社製)48gを添加してpHを7.5に調整し、パパイン(商品名:パパインW−40;天野エンザイム社製)1875万活性単位、(蛋白質1g当たり 2500活性単位)、ブロメライン(商品名:ブロメラインF;天野エンザイム社製)1875万活性単位(蛋白質1g当たり2500活性単位)、トリプシン(商品名:トリプシンV;日本バイオコン社製)1012.5万活性単位(蛋白質1g当たり1350活性単位)及び乳酸菌ストレプトコッカス・サーモフィルス由来のプロテアーゼ142.5万活性単位(蛋白質1g当たり190活性単位)を添加し、50℃で加水分解し、酵素反応を分解率によりモニターし、分解率が16.5%及びアミノ酸遊離率7.0%に達した時点で、130℃で2秒間加熱して酵素を失活させ、10℃に冷却した。
【0067】
この加水分解液を、分画分子量6,000の限外ろ過膜モジュール(商品名:SIP1030;旭化成社製)により処理し、膜透過画分を濃縮し、噴霧乾燥し、粉末状の乳清蛋白質加水分解物約7.5kgを得た。得られた乳清蛋白質加水分解物は、前記試験方法で試験した結果、分解率16.5%、アミノ酸遊離率7.1%、及び蛋白質1g当りの緩衝能が、クエン酸換算で380mgであった。また、風味が良好であり、酸性域での熱安定性に優れており、沈殿又は凝集を発生せず、かつジェランガムによるゲル化を阻害しないことから、酸性のゼリー状食品等にそのまま使用することが可能な、優れた特性を有するものであった。
【0068】
実施例4
乳清蛋白質分離物(蛋白質含有量90%。ミライ社製)3kgを精製水27kgに溶解し、パパイン(商品名:パパインW−40;天野エンザイム社製)865万活性単位(蛋白質1g当たり3200活性単位)、アルカラーゼ(商品名:アルカラーゼ2.4L;ノボザイムズ・ジャパン社製)945万活性単位(蛋白質1g当たり3500活性単位)及び乳酸菌ビフィドバクテリウム・ロンガム由来のプロテアーゼ54万活性単位(蛋白質1g当たり200活性単位)を添加し、50℃で加水分解し、酵素反応を分解率によりモニターし、分解率が16.4%及びアミノ酸遊離率6.4%に達した時点で、85℃で6分間加熱して酵素を失活させ、10℃に冷却した。
【0069】
この加水分解液を、分画分子量50,000の限外ろ過膜モジュール(商品名:AHP−1050;旭化成社製)により処理し、得られた乳清蛋白質加水分解物を含有する溶液を濃縮し、噴霧乾燥し、粉末状の乳清蛋白質加水分解物約2.3kgを得た。得られた乳清蛋白質加水分解物は、前記試験方法で試験した結果、分解率16.4%、アミノ酸遊離率6.5%、及び蛋白質1g当りの緩衝能が、クエン酸換算で366mgであった。また、風味が良好であり、酸性域での熱安定性に優れており、沈殿又は凝集を発生せず、かつジェランガムによるゲル化を阻害しないことから、酸性のゼリー状食品等にそのまま使用することが可能な、優れた特性を有するものであった。
【0070】
【発明の効果】
以上詳記したとおり、本発明は、消化吸収性が未分解の蛋白質に比較して優れ、遊離アミノ酸が適度に存在し、風味が良好であり、酸性域での熱安定性に優れ、緩衝能が小さく、かつジェランガムによるゲル化形成を阻害しないという優れた特性を有する、酸性域で広範な種々の食品及び飲料、特にゼリー状食品等に利用できる新規な乳清蛋白質加水分解物及びその製造方法に係るものであり、本発明により、次のような効果が奏される。
(1)従来の乳清蛋白質加水分解物では成し得なかった優れた特性を有する新規乳清蛋白質加水分解物を提供することができる。
(2)本発明の乳清蛋白質加水分解物は、風味が良好であり、酸性域での熱安定性に優れ、かつ緩衝能が小さいことから、酸性域で広範な種々の食品及び飲料等に使用することができる。
(3)本発明の乳清蛋白質加水分解物は、苦味あるいは過度のアミノカルボニル反応に由来する不快な呈味がなく、風味が良好であることから、一般食品、栄養食品及び医療用の蛋白質素材として広範な用途に使用することができる。
(4)本発明の乳清蛋白質加水分解物は、ジェランガムによるゲル化を阻害しないことから、ゼリー状食品の蛋白質素材として使用することができる。
(5)本発明の方法により、上記特性を有し、広範な用途を有する乳清蛋白質加水分解物を効率良く製造することができる。
Claims (2)
- 乳清蛋白質を酵素で加水分解した乳清蛋白質加水分解物であって、次のa)〜e);
a)分解率が16〜20%であること、
b)乳清蛋白質加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が4〜10%(重量)であること、
c)pH3.8において90℃で10分間加熱処理しても沈殿を生じないこと、
d)乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たりの緩衝能が、クエン酸換算で390mg以下であること、及び、
e)ジェランガムによるゲル化を阻害しないこと、
の理化学的性質を有することを特徴とする乳清蛋白質加水分解物。 - 乳清蛋白質を溶解し、ブロメライン及びパパインからなるグループ1、アルカラーゼ及びトリプシンからなるグループ2、乳酸菌由来のプロテアーゼからなるグループ3において、グループ1、グループ2及びグループ3からそれぞれ単独又は複数のプロテアーゼを選択し、それらを併用して分解率16〜20%及び全アミノ酸の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が4〜10%の範囲に加水分解し、該加水分解液を限外濾過処理して50,000ダルトン以上の画分を完全に除去することを特徴とする乳清蛋白質加水分解物の製造方法。
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