JP2002000291A - 乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分解物の製造方法 - Google Patents

乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分解物の製造方法

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JP2002000291A
JP2002000291A JP2000192536A JP2000192536A JP2002000291A JP 2002000291 A JP2002000291 A JP 2002000291A JP 2000192536 A JP2000192536 A JP 2000192536A JP 2000192536 A JP2000192536 A JP 2000192536A JP 2002000291 A JP2002000291 A JP 2002000291A
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lactose
milk protein
nanofiltration
protein hydrolyzate
hydrolyzate
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Hiroki Hayasawa
宏紀 早澤
Hiroshi Miyagawa
博 宮川
Yasushi Kawaguchi
靖 川口
Hiroshi Ochi
浩 越智
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Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間で単糖類及び乳糖の含量が低減され、
加熱による着色及び好ましくない風味の発生を抑制され
た乳蛋白質加水分解物が得られる新規な乳糖含量の少な
い乳蛋白質加水分解物の製造方法を提供する。 【解決手段】 乳糖含有乳蛋白質原料を乳糖分解酵素及
び蛋白質分解酵素で処理すること、並びに乳糖分解酵素
の処理後に乳糖分解物をナノフィルトレーションにより
除去することを特徴とする乳糖含量の少ない乳蛋白質加
水分解物の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳糖不耐症及び食
物アレルギー患者に好適で、加熱等による着色及び好ま
しくない風味の発生が抑制された単糖類及び乳糖の含量
が低減された乳蛋白質加水分解物の製造方法に関する。
【0002】詳しくは、本発明は、乳糖含有乳蛋白質原
料を乳糖分解酵素及び蛋白質分解酵素で処理すること、
並びに乳糖分解酵素の処理後に乳糖分解物をナノフィル
トレーションにより除去することを特徴とする乳糖含量
の少ない乳蛋白質加水分解物の製造方法に関する。本明
細書において百分率は、特に断りのない限り重量による
表示である。
【0003】
【従来の技術】乳糖は乳糖不耐症の原因物質であるとと
もに、食物アレルギー患者に下痢を惹起し、アレルギー
症状を増悪させることがあるので、乳糖含量の少ない乳
蛋白質加水分解物が求められていた。
【0004】前記の理由から、従来、各種の乳糖含量の
少ない乳蛋白質加水分解物の製造方法が開発されてお
り、その方法を例示すれば次のとおりである。
【0005】乳糖を乳糖分解酵素で分解等して低減させ
たホエー蛋白質を蛋白質分解酵素で分解することを特徴
とする蛋白質水解物の製造方法(特開昭57−1947
53号公報。以下、従来技術1と記載する。)が知られ
ている。また、イオン交換法により精製された乳糖を実
質的に含有しないホエー蛋白質単離物を蛋白質分解酵素
で分解することを特徴とするペプチド混合物の製造方法
(特表平11−509727号公報。以下、従来技術2
と記載する。)が知られている。
【0006】更に、ホエー蛋白質を限外濾過膜を使用し
た定容流水透析濾過法(ダイアフィルトレーション)に
より乳糖を除去し、蛋白質分解酵素で分解することを特
徴とするホエー蛋白質加水分解物の製造方法(国際公開
番号WO94/12053号公報。以下、従来技術3と
記載する。)が知られている。また、乳糖を乳糖分解酵
素で分解して低減させたホエーを限外濾過(ウルトラフ
ィルトレーション)して、糖類等を除去した乳糖含有乳
蛋白質原料として使用可能なホエー粉末の製造方法(特
開昭59−120049号公報。以下、従来技術4と記
載する。)が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の技術に開示
されているとおり、各種の乳糖含量の少ない乳蛋白質加
水分解物の製造方法が開発されていた。しかしながら、
前記従来技術の乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分解物の
製造方法は、次に記載するとおりの問題点があった。
【0008】即ち、前記従来技術1の製造方法に従って
乳漿蛋白質を加熱沈殿硬化させ洗浄することにより乳糖
を除去する方法は、工程が煩雑であるとの問題点があっ
た。また、前記従来技術1の製造方法に従って乳糖分解
酵素で乳糖を分解した乳漿蛋白質を水解することにより
得られる蛋白質水解物は、乳糖分解物が除去されていな
いことから、後記する試験例からも明らかなとおり、加
熱による着色及び好ましくない風味の発生があるという
問題点があった。
【0009】また、前記従来技術2の製造方法に使用さ
れるホエー蛋白質単離物の製造には、イオン交換法が使
用されており、具体的には、ホエーをイオン交換樹脂に
通液して、蛋白質を結合し、塩類でこれを溶出し、のち
蛋白質から塩類を除去することによりホエー蛋白質単離
物を製造しており、工程が煩雑であるとの問題点があっ
た。更に、前記従来技術3の製造方法に従ってホエー蛋
白質を限外濾過膜を使用した定容流水透析濾過法(ダイ
アフィルトレーション)により乳糖を除去し、蛋白質分
解酵素で分解することは、後記する試験例からも明らか
なとおり、限外濾過膜による糖類の除去に長時間を必要
とするという問題点があった。
【0010】また、乳糖を乳糖分解酵素で分解して低減
させたホエーを限外濾過(ウルトラフィルトレーショ
ン)して、糖類等を除去した従来技術4の製造方法で得
られるホエー粉末を乳糖含有乳蛋白質原料として使用す
ることには、後記する試験例からも明らかなとおり、従
来技術3と同様に、限外濾過(ウルトラフィルトレーシ
ョン)による糖類の除去に長時間を必要とするという問
題点があった。
【0011】本発明者らは、前記従来技術に鑑みて、短
時間で単糖類及び乳糖の含量が低減され、加熱による着
色及び好ましくない風味の発生が抑制された乳蛋白質加
水分解物の製造方法を提供することを目的として、後記
する試験例に一部記載するとおり、種々の工程の組み合
わせ、乳糖の分解条件、及び乳糖分解物の除去条件につ
いて試験した。
【0012】その結果、本発明者らは、乳糖含有乳蛋白
質原料を乳糖分解酵素及び蛋白質分解酵素で処理するこ
と、並びに乳糖分解酵素の処理後に乳糖分解物をナノフ
ィルトレーションにより除去する乳糖含量の少ない乳蛋
白質加水分解物の製造方法が、前記の問題点を解決し、
短時間で単糖類及び乳糖の含量が低減され、加熱による
着色及び好ましくない風味の発生を抑制された乳蛋白質
加水分解物の製造方法を提供できることを見出し、本発
明を完成させた。
【0013】本発明の目的は、短時間で単糖類及び乳糖
の含量が低減され、加熱による着色及び好ましくない風
味の発生を抑制された乳蛋白質加水分解物が得られる新
規な乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分解物の製造方法を
提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明は、乳糖含有乳蛋白質原料を乳糖分解酵素及び蛋白質
分解酵素で処理すること、並びに乳糖分解酵素の処理後
に乳糖分解物をナノフィルトレーションにより除去する
ことを特徴とする乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分解物
の製造方法であり、乳糖含有乳蛋白質原料を乳糖分解酵
素及び蛋白質分解酵素で同時に処理し、のち乳糖分解物
をナノフィルトレーションにより除去すること(以下、
態様1と記載する。)、乳糖含有乳蛋白質原料を乳糖分
解酵素で処理し、蛋白質分解酵素で処理し、のち乳糖分
解物をナノフィルトレーションにより除去すること(以
下、態様2と記載する。)、乳糖含有乳蛋白質原料を蛋
白質分解酵素で処理し、乳糖分解酵素で処理し、のち乳
糖分解物をナノフィルトレーションにより除去すること
(以下、態様3と記載する。)、及び乳糖含有乳蛋白質
原料を乳糖分解酵素で処理し、乳糖分解物をナノフィル
トレーションにより除去し、のち蛋白質分解酵素で処理
すること(以下、態様4と記載する。)を望ましい態様
としてもいる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明について具体的に説
明する。本発明の方法に使用される乳糖含有乳蛋白質原
料は、乳糖を含有する乳蛋白質の原料であれば如何なる
ものであってもよく、具体的には、乳糖及び乳蛋白質を
含有する哺乳動物(例えば、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツ
ジ、ウマ等)の全乳、又はこれらの乳の処理物である全
脂粉乳、脱脂乳、脱脂粉乳、全乳蛋白質濃宿物(TM
P)、ホエー、脱塩ホエー、ホエー蛋白質濃宿物(WP
C)等を例示することができる。尚、大量に生産され、
入手が容易であることから、市販の牛乳又はその処理物
が乳糖含有乳蛋白質原料として望ましい。また、乳糖含
有乳蛋白質原料がホエー蛋白質濃縮物又は全乳蛋白質濃
宿物であることが、蛋白質濃度が高いことから望まし
い。
【0016】本発明の方法に使用される乳糖分解酵素
は、乳糖を乳糖分解物であるグルコース及びガラクトー
スの単糖類に分解できるものであれば如何なるものであ
ってもよく、市販のラクターゼ、β−ガラクトシダーゼ
(例えば、合同酒精社製等)等を例示することができ
る。
【0017】乳糖分解酵素の処理は、乳糖含有乳蛋白質
原料に含有されている乳糖1gに対して2000〜10
000活性単位、望ましくは3000〜8000活性単
位、の乳糖分解酵素を添加し、30〜50℃、望ましく
は35〜40℃、の温度で、0.5〜10時間、望まし
くは1〜5時間、保持して加水分解を、乳糖分解率が少
なくとも80%に達するまで行う。次いで得られた溶液
を70〜85℃に1〜5分間加熱し、乳糖分解酵素を失
活させることにより行われる。
【0018】乳糖含有乳蛋白質原料は、乳糖分解酵素の
処理に当たり、水又は温湯に分散し、5〜20%程度の
濃度に溶解することが効率性及び操作性の点から望まし
い。
【0019】また、乳糖含有乳蛋白質原料を乳糖分解酵
素で乳糖分解率が少なくとも90%に達するまで分解す
ることが、乳糖含量を十分に低減できることから望まし
い。尚、乳糖含量は、高速液体クロマトグラフィーによ
るアルギニン蛍光法(BUNSEKI KAGAKU、
第32巻、第E207頁、1983年)により測定でき
る。詳しくは、シリカゲル−NH2カラム(昭和電工社
製。直径6mm、長さ150mm。)を使用した高速液
体クロマトグラフィーにより、溶出溶媒[アセトニトリ
ル:水(3:1)]により、溶出速度1ml/分の条件
で溶出し、蛍光検出器を使用して乳糖を検出測定する。
また、乳糖分解率は、前記方法により、乳糖含有乳蛋白
質原料中の固形分当りの乳糖含量を測定し算出し、乳糖
分解処理済みの乳蛋白質溶液中のグルコース濃度から固
形分当りのグルコース含量を算出し、次式により乳糖分
解率が求めることができる。
【0020】乳糖分解率(%)=[(グルコース含量)
×2/乳糖含量]×100
【0021】尚、乳糖分解処理済みの乳蛋白質溶液中の
グルコース濃度は、経時的かつ短時間で測定できる酵素
センサ(例えば三和化学研究所社製のグルテスト等)を
使用した測定方法等により測定することができる。
【0022】本発明の方法に使用される蛋白質分解酵素
は、動物由来(例えば、パンクレアチン、トリプシン、
キモトリプシン、ペプシン等)、植物由来(例えば、パ
パイン、ブロメライン等)、微生物由来(例えば、乳酸
菌、酵母、カビ、枯草菌、放線菌等)のエンドプロテア
ーゼ及びエキソプロテアーゼ(ペプチダーゼ)、これら
の粗精製物、菌体破砕物等を例示することができる。
【0023】蛋白質分解酵素の処理は、所望の蛋白質分
解率に調整できる酵素の種類、量、温度、pH、加水分
解時間等の蛋白質分解酵素法による加水分解条件を予備
実験で設定し、のち蛋白質加水分解物を調製する。
【0024】乳糖含有乳蛋白質原料は、蛋白質分解酵素
の処理に当たり、水又は温湯に分散し、5〜20%程度
の濃度に溶解することが効率性及び操作性の点から望ま
しい。
【0025】前記原料に対する蛋白質分解酵素の使用量
は、基質濃度、酵素力価、反応温度及び反応時間により
異なるが、一般的には、原料に含有されている蛋白質1
g当り50〜10000活性単位の割合で酵素を単独、
又は複数組み合わせて添加することにより加水分解が行
われる。尚、酵素の添加は、一括、又は少量若しくは種
類毎に分割し、逐次添加することもできる。
【0026】また、蛋白質加水分解反応のpHは、使用
酵素の至適pHに対応して、pH2〜10の範囲内で酸
又はアルカリ剤の添加により所望のpHに調整すること
により実施される。この場合、酸としては塩酸、クエン
酸、リン酸等を、また、アルカリ剤としては水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等をそれぞれ例
示することができる。
【0027】蛋白質加水分解反応の温度は、格別の制限
はなく、酵素作用の発現する最適温度範囲を含む実用に
供せられ得る範囲、即ち、通常30〜70℃の範囲から
選択される。温度を酵素の至適温度より低温又は高温、
例えば50〜60℃の範囲に維持することにより蛋白質
加水分解中の腐敗を防止することもできる。
【0028】蛋白質加水分解反応の時間は、使用酵素の
種類及び組合せ、反応温度、初発pH等の反応条件によ
って進行状態が異なることから、前記のとおり、予備実
験で設定された所望の蛋白質分解率となる範囲で、反応
継続時間を決定する必要がある。
【0029】酵素反応の停止は、予備実験で設定された
加水分解条件に基づいて加水分解の程度が、所望の蛋白
質分解率となった時点で、酵素を失活又は除去すること
により行う。失活操作は加熱処理(例えば、85℃で1
5分間等)により行うことができる。また、除去操作は
限外濾過膜(ウルトラフィルトレーション)等により実
施することができる。分解液中の酵素の失活又は除去
後、必要に応じて、ケイソウ土(例えば、セライト
等)、精密濾過(マイクロフィルトレーション)、限外
濾過、遠心分離等の操作により分解液から沈殿を除去す
る。
【0030】本発明の方法に使用されるナノフィルトレ
ーション膜は、分画分子量が1000以下で、塩化ナト
リウムの阻止率が90%以下で、グルコース等の単糖類
が透過する膜であれば如何なるものであってもよく、市
販のナノフィルトレーション膜(例えば、日東電工社製
等)を例示することができる。
【0031】ナノフィルトレーションは、前記乳糖分解
済み水溶液を、ナノフィルトレーション膜を使用して、
3MPa以下の操作圧力でナノフィルトレーションを実
施し、乳糖分解物の除去を開始し、膜非透過画分中の乳
糖分解物であるグルコースの濃度を、酵素センサ(例え
ば、三和化学研究所社製等)により、経時的かつ短時間
で測定し、所望のグルコース濃度に到達した時点で、ナ
ノフィルトレーションを停止し、膜非透過画分を回収す
ることにより行われる。
【0032】また、乳糖分解物をグルコース除去率とし
て70乃至90%の範囲に、ナノフィルトレーションに
より除去することが、回収率よく、加熱による着色及び
好ましくない風味の発生が抑制された乳蛋白質加水分解
物を得られることから望ましい。
【0033】乳糖分解酵素処理及び蛋白質分解酵素処理
の順序は特に制限されず、同時又は別個に実施すること
ができるが、乳糖分解酵素の処理後に乳糖分解物をナノ
フィルトレーションにより除去することが必要である。
具体的な望ましい態様としては、次のとおりである。
【0034】即ち、態様1において記載されているとお
り、乳糖含有乳蛋白質原料を乳糖分解酵素及び蛋白質分
解酵素で同時に処理し、のち乳糖分解物をナノフィルト
レーションにより除去すること、態様2において記載さ
れているとおり、乳糖含有乳蛋白質原料を乳糖分解酵素
で処理し、蛋白質分解酵素で処理し、のち乳糖分解物を
ナノフィルトレーションにより除去すること、態様3に
おいて記載されているとおり、乳糖含有乳蛋白質原料を
蛋白質分解酵素で処理し、乳糖分解酵素で処理し、のち
乳糖分解物をナノフィルトレーションにより除去するこ
と、並びに、態様4において記載されているとおり、乳
糖含有乳蛋白質原料を乳糖分解酵素で処理し、乳糖分解
物をナノフィルトレーションにより除去し、のち蛋白質
分解酵素で処理することが列挙される。
【0035】本発明は前記態様のいずれでも実施可能で
あるが、態様3が、グルコースに代表される乳糖分解物
によって蛋白質分解後の加熱失活時に風味、特に臭気を
増悪させたり製品の着色度を増加させることが比較的少
なく、また、蛋白質分解の結果生じる一部の苦味成分等
をナノフィルトレーションにより除去できることから一
層望ましい。
【0036】また、本発明の製造方法の各工程を連続的
に実施することは必須ではなく、途中の工程で中間産物
を一旦取得した後、改めて中間産物を出発物質として次
工程の処理を行ってもよい。
【0037】次に試験例を示して本発明を詳細に説明す
る。 試験例1 この試験は、従来技術と比較して本発明の乳糖含量の低
い乳蛋白質加水分解物の製造方法が優れていることを示
すために行った。
【0038】(1)試料の調製 次に示す6種類の試料を調製した。 試料1:本発明の実施例1と同一の方法により製造した
乳蛋白質加水分解物 試料2:乳糖分解処理後、蛋白質分解処理前に乳糖分解
物をナノフィルトレーションにより除去することを除
き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳蛋
白質加水分解物 試料3:従来技術1に示されるとおり、乳糖分解物をナ
ノフィルトレーションにより除去しないことを除き、実
施例1と同一の方法により製造した乳蛋白質加水分解物 試料4:従来技術3に示されるとおり、乳糖分解処理及
びナノフィルトレーションを行わないこと、並びに乳糖
含有乳蛋白質原料を限外濾過膜(分画分子量6000ダ
ルトン。旭化成社製。)を使用した定容流水透析濾過法
(ダイアフィルトレーション)により乳糖を除去し、蛋
白質分解処理を行うことを除き、実施例1と同一の方法
により製造した乳蛋白質加水分解物 試料5:従来技術4に示されるとおり、乳糖分解処理
後、蛋白質分解処理前に乳糖分解物を、ナノフィルトレ
ーションに変えて、限外濾過膜(分画分子量6000ダ
ルトン。旭化成社製。)を使用した限外濾過(ウルトラ
フィルトレーション)により除去することを除き、実施
例1と同一の方法により製造した乳蛋白質加水分解物 試料6:従来技術4に示されるとおり、蛋白質分解処理
後、乳糖分解物を、ナノフィルトレーションに変えて、
限外濾過膜(分画分子量6000ダルト旭化成社製。)
を使用した限外濾過(ウルトラフィルトレーション)に
より除去することを除き、実施例1と同一の方法により
製造した乳蛋白質加水分解物
【0039】(2)試験方法 各試料の回収率、製造に要する時間(所要時間)、加熱
による着色(褐変)及び好ましくない風味の発生、いわ
ゆる色度及び風味(苦味及び臭気)を、次の試験方法に
より各試料毎に5回測定し、それらの平均値を算出して
評価した。
【0040】(a)回収率の算出方法 乳糖含有乳蛋白質原料の乾燥重量(A)に対する前記原
料から製造された乳蛋白質加水分解物の乾燥重量(B)
に基づいて回収率を次式により算出した。
【0041】回収率(%)=B/A×100
【0042】(b)所要時間の算出方法 乳糖含有乳蛋白質原料から乳蛋白質加水分解物を製造す
るまでの総所要時間を各工程の所要時間を積算すること
により算出した。
【0043】(c)色度の測定方法 各試料を精製水に10%濃度で溶解し、120℃で15
分間加熱処理し、20℃に冷却し、分光式色彩計(SE
−2000。日本電色工業社製)を使用して、試料のL
値(明度)、a値(赤色度)、及びb値(黄色度)を測
定した。着色(褐変)すると、L値(明度)が低下し、
a値(赤色度)及びb値(黄色度)が増加することか
ら、L値(明度)、a値(赤色度)、及びb値(黄色
度)に基づいて、着色(褐変)の状態を判定できる。
【0044】(d)苦味試験方法 各試料を精製水に10%濃度で溶解し、120℃で15
分間加熱処理し、20℃に冷却し、20歳から40歳ま
での男女各20人のパネルにより官能的に風味を試験
し、苦味なし(0点)、苦味ややあり(1点)、苦味あ
り(2点)、苦味強くあり(3点)の4段階に評価し、
評価点の平均値から、0.5点未満をなし、0.5点以
上1.5点未満をややあり、1.5点以上2.5点未満
をあり、及び2.5点以上3.0点未満を強くありと判
定した。
【0045】(e)臭気試験方法 各試料を精製水に10%濃度で溶解し、120℃で15
分間加熱処理し、20℃に冷却し、20歳から40歳ま
での男女各20人のパネルにより官能的に風味を試験
し、臭気なし(0点)、臭気ややあり(1点)、臭気あ
り(2点)、臭気強くあり(3点)の4段階に評価し、
評価点の平均値から、0.5点未満をなし、0.5点以
上1.5点未満をややあり、1.5点以上2.5点未満
をあり、及び2.5点以上3.0点未満を強くありと判
定した。
【0046】(3)試験結果 この試験の結果を表1に示す。表1から明らかなとお
り、本発明の製造方法(試料1及び試料2)は、従来技
術の方法(試料3乃至試料6)に比較して、回収率、製
造に要する時間(所要時間)、加熱による着色(褐変)
及び好ましくない風味の発生、いわゆる色度及び風味
(苦味及び臭気)のいずれにおいても優れていることが
判明した。即ち、本発明の製造方法は、従来技術の方法
に比較して、回収率が高く、所要時間が短く、得られた
乳蛋白質加水分解物の加熱による着色(褐変)及び好ま
しくない風味の発生が少ないことから優れていた。これ
に対して、従来技術の方法で得られた試料3は、乳糖分
解の結果生じたグルコース等の糖類が残存しているた
め、臭気の発生が著しく、かつ、L値(明度)が低下
し、a値(赤色度)及びb値(黄色度)が増加する、い
わゆる褐変化が顕著に進行していた。また、試料4及び
試料5は、限外濾過による乳糖又は乳糖分解物の除去に
長時間を要した。更に、試料6は、限外濾過では、低分
子量化した乳蛋白質加水分解物が限外濾過膜を透過する
ため、回収率が著しく低下した。
【0047】尚、本発明の製造方法(試料1)におい
て、乳糖分解処理工程と蛋白質分解処理工程の順序を入
れ替えて試料を調製した場合、及びこれらの工程を同時
に行なって調製した場合のいずれの場合においても、試
料1とほぼ同様の結果が得られた。
【0048】また、従来技術の方法(試料6)におい
て、乳糖分解処理工程と蛋白質分解処理工程の順序を入
れ替えて試料を調製した場合、及びこれらの工程を同時
に行なって調製した場合のいずれの場合においても、試
料6とほぼ同様の結果が得られた。
【0049】更に、前記各試料の製造方法において、乳
糖含有乳蛋白質原料、乳糖分解酵素、蛋白質分解酵素、
ナノフィルトレーション膜、又は限外濾過膜の種類を適
宜変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0050】
【表1】
【0051】試験例2 この試験は、乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分解物の製
造方法の各工程の適切な順序及び組合せを調べるために
行った。
【0052】(1)試料の調製 次に示す6種類の試料を調製した。 試料7:本発明の実施例1と同一の方法により製造した
乳蛋白質加水分解物 試料8:乳糖分解処理工程と蛋白質分解処理工程の順序
を入れ替えたことを除き、本発明の実施例1と同一の方
法により製造した乳蛋白質加水分解物 試料9:乳糖分解処理工程と蛋白質分解処理工程を同時
に行ったことを除き、本発明の実施例1と同一の方法に
より製造した乳蛋白質加水分解物 試料10:蛋白質分解処理工程とナノフィルトレーション
工程の順序を入れ替えたことを除き、本発明の実施例1
と同一の方法により製造した乳蛋白質加水分解物 試料11:蛋白質分解処理工程、ナノフィルトレーション
工程、及び乳糖分解処理工程の順序で行うことを除き、
実施例1と同一の方法により製造した乳蛋白質加水分解
物 試料12:ナノフィルトレーション工程、乳糖分解処理工
程、及び蛋白質分解処理工程の順序で行うことを除き、
実施例1と同一の方法により製造した乳蛋白質加水分解
【0053】(2)試験方法 各試料の回収率、製造に要する時間(所要時間)、加熱
による着色(褐変)及び好ましくない風味の発生、いわ
ゆる色度及び風味(苦味及び臭気)を、前記試験例1に
記載した試験方法により各試料毎に5回測定し、それら
の平均値を算出して評価した。
【0054】(3)試験結果 この試験の結果を表2に示す。表2から明らかなとお
り、乳糖分解酵素の処理後に乳糖分解物をナノフィルト
レーションにより除去することが必要であることが判明
した。即ち、乳糖分解酵素の処理後に乳糖分解物をナノ
フィルトレーションによる除去を行なっていない試料1
1及び試料12は、乳糖分解物がナノフィルトレーショ
ンにより除去されている試料7乃至試料10に比較し
て、乳糖分解により生成するグルコース等の糖類が残存
しているため、加熱により著しい臭気の発生と褐変化が
進行することが確認された。
【0055】また、試料8の製造方法が、臭気の発生が
少ないことから望ましいことが判明した。更に、試料1
2の製造方法において、乳糖分解処理工程と蛋白質分解
処理工程の順序を入れ替えて試料を調製した場合、及び
これらの工程を同時に行なって調製した場合のいずれの
場合においても、試料12とほぼ同様の結果が得られ
た。
【0056】また、前記各試料の製造方法において、乳
糖含有乳蛋白質原料、乳糖分解酵素、蛋白質分解酵素、
又はナノフィルトレーション膜の種類を適宜変更して試
験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0057】
【表2】
【0058】次に実施例を示して本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。
【0059】
【実施例】実施例1 ホエー蛋白質濃縮物(エム・デイ・フーズ社製。蛋白質
含量75%、乳糖含量4%。)10kgを脱イオン水9
0kgに溶解し、この水溶液をプレート式加熱殺菌機
(森永エンジニアリング社製)を使用して、72℃で3
0秒間加熱殺菌し、40℃に冷却した。
【0060】前記殺菌済み水溶液に、乳糖分解酵素(合
同酒精社製。ラクターゼGODOYNL。)を50g
(250万活性単位)添加し、40℃に保持し、乳糖分
解処理を開始し、酵素センサ(三和化学研究所社製。グ
ルテスト。)によりグルコース濃度に基づいて乳糖分解
率を経時的かつ短時間で測定し、乳糖分解率が93%に
到達した時点で、80℃で5分間加熱し、乳糖分解酵素
を失活させ、50℃に冷却した。
【0061】前記乳糖分解済み水溶液のpHを、水酸化
ナトリウム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)の10%水
溶液により、9.2に調整し、のち蛋白質分解酵素(天
野製薬社製。プロテアーゼNアマノ。)を75g添加
し、50℃に保持し、蛋白質分解処理を開始し、5時間
経過した時点で、プレート式加熱殺菌機(森永エンジニ
アリング社製)を使用して、120℃で15秒間加熱
し、蛋白質分解酵素を失活させ、10℃に冷却した。
【0062】前記乳糖分解及び蛋白質分解済み水溶液
を、ナノフィルトレーション膜(日東電工社製。NTR
−7410HG。)を使用して、操作圧力2MPaでナ
ノフィルトレーションを実施し、乳糖分解物の除去を開
始し、膜非透過画分中の乳糖分解物であるグルコースの
濃度を、酵素センサ(三和化学研究所社製。グルテス
ト。)により、経時的かつ短時間で測定し、グルコース
除去率が78%に到達した時点(3時間処理後)で、ナ
ノフィルトレーションを停止し、膜非透過画分を回収
し、常法により噴霧乾燥し、乳糖含量の少ない乳蛋白質
加水分解物である乳蛋白質加水分解物約9.1kgを得
た。
【0063】得られた乳蛋白質加水分解物を前記試験方
法により試験した結果、乳糖含量は0.1%であり、加
熱による着色及び好ましくない風味の発生が抑制された
乳蛋白質加水分解物であった。
【0064】実施例2 ホエー蛋白質濃縮物(ミライ社製。蛋白質含量75%、
乳糖含量3%。)7.5kgを脱イオン水67.5kg
に溶解し、この水溶液をプレート式加熱殺菌機(APV
社製)を使用して、75℃で20秒間加熱殺菌し、50
℃に冷却した。
【0065】前記殺菌済み水溶液に、乳糖分解酵素(大
和化成社製。ビオラクタ。)150g(75万活性単
位)及び蛋白質分解酵素(天野製薬社製。パパインW−
40。)90gを同時に添加し、50℃に保持し、乳糖
分解処理及び蛋白質分解処理を開始し、酵素センサ(三
和化学研究所社製。グルテスト。)によりグルコース濃
度に基づいて乳糖分解率を経時的かつ短時間で測定し、
乳糖分解率が90%に達した時点で、プレート式加熱殺
菌機(APV社製)を使用して120℃で3秒間加熱
し、乳糖分解酵素及び蛋白質分解酵素を失活させ、10
℃に冷却した。
【0066】前記乳糖分解及び蛋白質分解済み水溶液
を、ナノフィルトレーション膜(日東電工社製。NTR
−7450HG。)を使用して、操作圧力2.5MPa
でナノフィルトレーションを実施し、乳糖分解物の除去
を開始し、膜非透過画分中の乳糖分解物であるグルコー
スの濃度を、酵素センサ(三和化学研究所社製。グルテ
スト。)により経時的かつ短時間で測定し、グルコース
除去率が77%に到達した時点で、ナノフィルトレーシ
ョンを停止し、膜非透過画分を回収し、常法により噴霧
乾燥し、乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分解物である乳
蛋白質加水分解物約7kgを得た。
【0067】得られた乳蛋白質加水分解物を前記試験方
法により試験した結果、乳糖含量は0.2%であり、加
熱による着色及び好ましくない風味の発生が抑制された
乳蛋白質加水分解物であった。
【0068】実施例3 全乳蛋白質濃縮物(ミライ社製。蛋白質含量80%、乳
糖含量4.5%。)8kgを脱イオン水72kgに溶解
し、この水溶液をプレート式加熱殺菌機(森永エンジニ
アリング社製)を使用して、75℃で20秒間加熱殺菌
し、45℃に冷却した。
【0069】前記殺菌済み水溶液のpHを、水酸化カリ
ウム(日本曹達社製)の10%水溶液により、7.0に
調整し、のち蛋白質分解酵素(ノボ・ノルディスク社
製。PTN6.0S。)を96g添加し、45℃に保持
し、蛋白質分解処理を開始し、6時間経過した時点で、
プレート式加熱殺菌機(森永エンジニアリング社製)を
使用して、130℃で2秒間加熱し、蛋白質分解酵素を
失活させ、45℃に冷却した。
【0070】前記蛋白質分解済み水溶液に、乳糖分解酵
素(新日本化学工業社製。スミラクトL。)を160g
(80万活性単位)添加し、45℃に保持し、乳糖分解
処理を開始し、酵素センサ(三和化学研究所社製。グル
テスト。)によりグルコース濃度に基づいて乳糖分解率
を経時的かつ短時間で測定し、乳糖分解率が90%に達
した時点で、プレート式加熱殺菌機(森永エンジニアリ
ング社製)を使用して80℃で5分間加熱し、乳糖分解
酵素を失活させ、10℃に冷却した。
【0071】前記乳糖分解及び蛋白質分解済み水溶液
を、ナノフィルトレーション膜(日東電工社製。NTR
−7410HG。)を使用して、操作圧力2.2MPa
でナノフィルトレーションを実施し、乳糖分解物の除去
を開始し、膜非透過画分中の乳糖分解物であるグルコー
スの濃度を、酵素センサ(三和化学研究所社製。グルテ
スト。)により経時的かつ短時間で測定し、グルコース
除去率が74%に到達した時点で、ナノフィルトレーシ
ョンを停止し、膜非透過画分を回収し、常法により噴霧
乾燥し、乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分解物である乳
蛋白質加水分解物約7.3kgを得た。
【0072】得られた乳蛋白質加水分解物を前記試験方
法により試験した結果、乳糖含量は0.3%であり、加
熱による着色及び好ましくない風味の発生が抑制された
乳蛋白質加水分解物であった。
【0073】実施例4 ホエー蛋白質濃縮物(ミライ社製。蛋白質含量75%、
乳糖含量3%。)10kgを脱イオン水90kgに溶解
し、この水溶液をプレート式加熱殺菌機(森永エンジニ
アリング社製)を使用して、75℃で15秒間加熱殺菌
し、45℃に冷却した。
【0074】前記殺菌済み水溶液に、乳糖分解酵素(天
野製薬社製。ラクターゼFアマノ。)を130g(11
7万活性単位)添加し、45℃に保持し、乳糖分解処理
を開始し、酵素センサ(旭化成社製。グルコースセン
サ。)によりグルコース濃度に基づいて乳糖分解率を経
時的かつ短時間で測定し、乳糖分解率が88%に達した
時点で、プレート式加熱殺菌機(森永エンジニアリング
社製)を使用して80℃で5分間加熱し、乳糖分解酵素
を失活させ、10℃に冷却した。
【0075】前記乳糖分解及び蛋白質分解済み水溶液
を、ナノフィルトレーション膜(日東電工社製。NTR
−7410HG。)を使用して、操作圧力2MPaでナ
ノフィルトレーションを実施し、乳糖分解物の除去を開
始し、膜非透過画分中の乳糖分解物であるグルコースの
濃度を、酵素センサ(旭化成社製。グルコースセン
サ。)により経時的かつ短時間で測定し、グルコース除
去率が78%に到達した時点で、ナノフィルトレーショ
ンを停止し、膜非透過画分を回収した。
【0076】前記乳糖分解及び乳糖分解物除去済み水溶
液のpHを、クエン酸結晶(三栄源エフ・エフ・アイ社
製)の10%水溶液により、3.6に調整し、のち蛋白
質分解酵素(日本バイオコン社製。ペプシン1:100
00。)を150g添加し、45℃に保持し、蛋白質分
解処理を開始し、7時間経過した時点で、プレート式加
熱殺菌機(森永エンジニアリング社製)を使用して、1
30℃で2秒間加熱し、蛋白質分解酵素を失活させ、常
法により噴霧乾燥し、乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分
解物である乳蛋白質加水分解物約9.4kgを得た。
【0077】得られた乳蛋白質加水分解物を前記試験方
法により試験した結果、乳糖含量は0.3%であり、加
熱による着色及び好ましくない風味の発生が抑制された
乳蛋白質加水分解物であった。
【0078】
【発明の効果】以上詳記したとおり、乳糖不耐症及び食
物アレルギー患者に好適で、加熱等による着色及び好ま
しくない風味の発生が抑制された単糖類及び乳糖の含量
が低減された乳蛋白質加水分解物の製造方法に関するも
のであり、本発明により奏せられる効果は次のとおりで
ある。 1)本発明の乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分解物の製
造方法は、短時間で単糖類及び乳糖の含量を低減するこ
とができる。 2)本発明の乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分解物の製
造方法によれば、加熱による着色及び好ましくない風味
の発生が抑制された乳蛋白質加水分解物を製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川口 靖 神奈川県座間市東原五丁目1番83号 森永 乳業株式会社栄養科学研究所内 (72)発明者 越智 浩 神奈川県座間市東原五丁目1番83号 森永 乳業株式会社栄養科学研究所内 Fターム(参考) 4B001 AC05 AC25 BC99 EC07 4B064 AG01 CA21 CB05 CB07 CE06 DA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳糖含有乳蛋白質原料を乳糖分解酵素及
    び蛋白質分解酵素で処理すること、並びに乳糖分解酵素
    の処理後に乳糖分解物をナノフィルトレーションにより
    除去することを特徴とする乳糖含量の少ない乳蛋白質加
    水分解物の製造方法。
  2. 【請求項2】 乳糖含有乳蛋白質原料を乳糖分解酵素及
    び蛋白質分解酵素で同時に処理し、のち乳糖分解物をナ
    ノフィルトレーションにより除去する請求項1に記載の
    乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分解物の製造方法。
  3. 【請求項3】 乳糖含有乳蛋白質原料を乳糖分解酵素で
    処理し、蛋白質分解酵素で処理し、のち乳糖分解物をナ
    ノフィルトレーションにより除去する請求項1に記載の
    乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分解物の製造方法。
  4. 【請求項4】 乳糖含有乳蛋白質原料を蛋白質分解酵素
    で処理し、乳糖分解酵素で処理し、のち乳糖分解物をナ
    ノフィルトレーションにより除去する請求項1に記載の
    乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分解物の製造方法。
  5. 【請求項5】 乳糖含有乳蛋白質原料を乳糖分解酵素で
    処理し、乳糖分解物をナノフィルトレーションにより除
    去し、のち蛋白質分解酵素で処理する請求項1に記載の
    乳糖含量の少ない乳蛋白質加水分解物の製造方法。
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