JPH07203844A - 乳化性及び熱安定性に優れた乳清蛋白質分解物の製造 法、並びに該乳清蛋白質分解物を使用した抗アレルギ ー性調製乳 - Google Patents

乳化性及び熱安定性に優れた乳清蛋白質分解物の製造 法、並びに該乳清蛋白質分解物を使用した抗アレルギ ー性調製乳

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JPH07203844A JP6014061A JP1406194A JPH07203844A JP H07203844 A JPH07203844 A JP H07203844A JP 6014061 A JP6014061 A JP 6014061A JP 1406194 A JP1406194 A JP 1406194A JP H07203844 A JPH07203844 A JP H07203844A
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禎一郎 大川
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仁志 齋藤
Yasushi Kawaguchi
靖 川口
Yoko Akazome
陽子 赤染
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくとも30%(重量)の純度の乳清蛋白
質を5%(重量)以上20%(重量)以下の濃度で水に
溶解し、溶液のpHを7.5以上10.0以下に調整
し、バシラス・サチリス(Bacillus subtilus) 由来のエ
ンド型プロテアーゼ、トリプシン及びパパインの3種類
の酵素を包含する酵素により加水分解することを特徴と
する抗乳清蛋白質血清を用いたエライザ(ELISA:Enzyme
linked immunosolbent assay) 抑制試験法により測定し
た抗原残存活性が10-4以下であり、乳化性及び熱安定
性に優れた乳清蛋白質加水分解物の製造法、及び該乳清
蛋白質加水分解物を蛋白源とする抗アレルギー性調製
乳。 【効果】 抗原残存活性が著しく低下された抗アレルギ
ー性調製乳製造用の乳清蛋白質分解物及び抗アレルギー
性調製乳が得られ、熱安定性及び乳化性が極めて良好な
抗アレルギー性調製乳製造用の乳清蛋白質分解物並びに
抗アレルギー性調製乳が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗原性が低く、食餌ア
レルギーの予防及び治療に有効であり、乳化性及び熱安
定性に優れた風味の良い乳清蛋白質分解物の製造法及び
該乳清蛋白質分解物を使用した抗アレルギー性調製乳に
関する。
【0002】本明細書において百分率の表示は、特に断
りのない限り重量による値であり、蛋白質は、窒素量に
6.38を乗じた値である。
【0003】
【従来の技術】乳児における食餌アレルギーの発生頻度
は近年増加する傾向にあり、小児保健上重要な問題とな
っている。一般的に食餌アレルギーの予防及び治療には
蛋白質の抗原性を低下させた抗アレルギー性調製乳が使
用されており、窒素源としては蛋白質を加水分解して抗
原性を低減させた分解物、特に乳蛋白質であるカゼイン
又は乳清蛋白質の分解物を単独又は混合して使用されて
いる。
【0004】調製乳の脂肪の吸収を良好にするために
は、調製乳中の脂肪が乳化されていることが望ましいこ
とはいうまでもない。しかしながら、一般的に窒素源と
してエライザ抑制試験での抗原残存活性が10-4以下で
ある乳蛋白質分解物を使用して脂肪を含有する通常の調
製乳を製造する場合、蛋白質分解物の乳化力が分解して
いない蛋白質よりも低いために、脂肪球が完全に分散し
た乳化状態を維持することは困難であり、通常の均質機
(例えば均質バルブを通過させるホモジナイザー)で乳
化を行っても、容易に脂肪球が凝集して脂肪分離状態を
呈し、液の上層部に脂肪が分離する現象が発生する。
【0005】乳化状態が不良であって脂肪の分離した調
製乳は、液の上層部と下層部とで風味及び組成が異なる
ため、大量に哺乳瓶に分注する病産院では各瓶の物性が
変化する可能性があり、極めて不都合であった。更に、
栄養成分の必要量を摂取するためには全量を摂取しなけ
ればならず、外観、風味及び吸収が不良のために、脂肪
の分離する乳化状態の不良な調製乳は商品として不適当
である。
【0006】従って、現在市販されている抗アレルギー
性調製乳は、乳化の点で様々の工夫がなされている。日
本で調製乳に添加が許可されている乳化剤は、レシチ
ン、モノグリセライド、ポリグリセライドであるが、抗
原残存活性が10-4以下である抗アレルギー性調製乳の
場合、栄養学的に意義のあるレシチンのみで十分な乳化
を保持することは困難であり、モノグリセライド、ポリ
グリセライドが使用される場合が多い。又、蛋白質分解
物の抗原残存活性を10-3程度に抑制し、レシチンのみ
で乳化状態を保持した製品も市販されているが、この場
合、最も重要である抗アレルギー性の機能が犠牲となる
ために望ましくない。
【0007】乳化状態の改善のため、クエン酸モノグリ
セライド、ステアリン酸モノグリセライド等の有機酸モ
ノグリセライドが使用される場合もあるが、乳児用製品
に不必要な物質を添加することは、望ましくない。又、
澱粉等(好ましくはタピオカ澱粉)を配合して乳化性を
改良する製造方法も市販されているが、この場合、成分
を人乳組成に近似させることが不可能となる。
【0008】更に、病産院においては、大量に乳児用調
製乳を調製するため、調製乳を殺菌又は滅菌する操作が
採用されている。この操作は、調製乳にとって極めて過
酷なものであり、乳化の破壊のみならず、凝固物、沈澱
の生成等著しく調製乳の品質を低下させる。従来知られ
ている抗アレルギー性調製乳においては、このような過
酷な条件下での取扱いについて一切考慮されておらず、
その改善についても何ら報告されていない。
【0009】一方、乳蛋白質を酵素分解して低抗原性の
分解物を製造する方法については、従来種々の方法が開
示されている。例えば、乳清蛋白質をバシラス・サチリ
ス(Bacillus subtilus) 由来のエンド型プロテアーゼと
トリプシン、キモトリプシンの酵素で加水分解し、抗原
残存活性が10-4以下であるオリゴペプチドを製造する
方法(特開平4−248959号公報)、乳清蛋白質を
熱変性させながら耐熱性の酵素で分解し、抗原残存活性
が10-4以下であるオリゴペプチドを製造する方法(特
開平4−112753号公報)等が開示されている。し
かしながら、これらの方法では、ペプチドの抗原性、風
味等が言及されているのみであり、該ペプチドを用いて
製造した調製乳の乳化状態及び熱安定性については何等
記載されていない。
【0010】又、α−ラクトアルブミン含量を低減した
乳清蛋白質を酵素分解することにより、乳化性の良い低
抗原性のペプチドを製造する方法(特開平4−3206
50号公報)も知られているが、この方法ではα−ラク
トアルブミンを低減する操作が繁雑であり、更に、酵素
の種類が乳化及び熱安定性に及ぼす影響及び該ペプチド
を利用した調製乳の乳化安定性についても何ら記載され
ていない。
【0011】低抗原性の蛋白質分解物を用いて低アレル
ギ−性食品を製造する方法に関しても種々の方法が知ら
れている。例えば、牛乳を強い蛋白分解作用を持つ酵素
を使用して分解し、パシイブ・キュタネアス・アナフイ
ラキシス(Passive cutaneousanaphylaxis)反応を陰性な
らしめることを特徴とする液状乳製品及び粉乳の製造方
法(特公昭45−31912号公報)、乳清蛋白質の部
分加水分解物及び該加水分解物を含有する低アレルギ−
性滋養特別食用乳製品(特公平1−182745号公
報)が開示されている。しかしながら、これらの発明に
は、それらの製品の乳化安定性及び熱安定性について
は、何ら記載されていない。
【0012】本発明者らは、先に抗原性の低いオリゴペ
プチド及びその製造法(特開平4−248959号公
報)及び抗アレルギー性調製乳(特開平4−36544
4号公報)を発明して特許出願した。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術におい
て、抗原性が低く、食餌アレルギーの予防及び治療に有
効であり、風味及び栄養学的に優れた抗原残存活性が1
-4以下である抗アレルギー性調製乳の乳化性に関して
は、乳化剤及びその組合わせが主として検討されている
だけであり、窒素源である乳蛋白質分解物の乳化性及び
熱安定性を使用酵素の面から検討して調製乳の乳化性を
改善しようとする試みはなされておらず、抗原残存活性
が10-4以下であり、乳化性及び熱安定性のよい調製乳
も知られていない。
【0014】従って、抗原残存活性が10-4以下であ
り、優れた乳化性及び熱安定性を有し、風味の良好な抗
アレルギー性調製乳が待望されていた。
【0015】本発明者等は、前記の特許出願後、更に乳
化性及び熱安定性に優れた乳蛋白質分解物の製造条件、
及び該分解物を利用した調製乳の乳化性及び熱安定性に
ついて鋭意検討を行った結果、乳清蛋白質をバシラス・
サチリス由来のエンド型プロテアーゼ、トリプシン及び
パパインの3種類の酵素を包含する酵素を用いて加水分
解することにより、抗原残存活性が10-4以下であり乳
化性に優れた風味の良い乳清蛋白質分解物が得られるこ
と、及び窒素源として該乳清蛋白質分解物40〜100
%、抗カゼイン血清を用いたエライザ抑制試験法により
測定した抗原残存活性が10-4以下であるカゼイン加水
分解物60〜0%を配合することにより、乳化性及び熱
安定性に優れた抗アレルギー性調製乳が製造できること
を見出し、本発明を完成した。
【0016】本発明の目的は、抗原性が低く食餌アレル
ギーの予防及び治療に有効であり乳化性及び熱安定性に
優れた風味の良い乳清蛋白質分解物を製造する方法を提
供することである。
【0017】本発明の他の目的は、該乳清蛋白質分解物
を使用し、抗原性が低く、食餌アレルギーの予防及び治
療に有効であり、かつ乳化性及び熱安定性に優れた風味
の良い抗アレルギー性調製乳を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の第1の発明は、少なくとも30%(重量)の純度の
乳清蛋白質を5%(重量)以上20%(重量)以下の濃
度で水に溶解し、溶液のpHを7.5以上10.0以下
に調整し、バシラス・サチリス(Bacillus subtilus) 由
来のエンド型プロテアーゼ、トリプシン及びパパインの
3種類の酵素を包含する酵素により加水分解することを
特徴とする乳化性及び熱安定性に優れた乳清蛋白質加水
分解物の製造法、である。
【0019】前記課題を解決する本発明の第2の発明
は、少なくとも30%(重量)の純度の乳清蛋白質を5
%(重量)以上20%(重量)以下の濃度で水に溶解
し、溶液のpHを7.5以上10.0以下に調整し、バ
シラス・サチリス(Bacillus subtilus) 由来のエンド型
プロテアーゼ、トリプシン及びパパインの3種類の酵素
を包含する酵素により加水分解して得られ、抗乳清蛋白
質血清を用いたエライザ(ELISA:Enzyme linked immunos
olbent assay) 抑制試験法により測定した抗原残存活性
が10-4以下である乳清蛋白質加水分解物40〜100
%(重量)及び少なくとも80%(重量)の純度のカゼ
インを加水分解して得られ、抗カゼイン血清を用いたエ
ライザ抑制試験法により測定した抗原残存活性(以下カ
ゼインの抗原残存活性と記載する)が10-4以下である
カゼイン加水分解物60〜0%(重量)との混合物から
なる窒素源の蛋白質当量10〜15部当たり、脂肪15
〜40部、並びに炭水化物70〜40部の組成からなる
乳化性及び熱安定性に優れた抗アレルギー性調製乳、で
ある。
【0020】次に本発明について詳述する。
【0021】本発明の方法に使用する乳清蛋白質は、市
販品であっても良く、又、ホエーから常法(例えば、ウ
ルトラフィルトレーション、イオン交換法等)により分
離精製した乳清蛋白質濃縮物、乳清蛋白質単離物、又は
これらの乳清蛋白質及びホエー等(例えば、ホエー粉
末、脱塩ホエー粉末等)を混合し、乳清蛋白質の純度を
少なくとも30%以上に調整した混合物であってもよ
い。乳清蛋白質の純度が30%未満の場合、乳清蛋白質
分解物中に占める乳糖の割合が高くなり、これを一成分
とした調製乳の乳糖含量が必要以上に高くなり過ぎるた
めに望ましくない。
【0022】乳清蛋白質を5%以上20%以下、望まし
くは10%以上15%の濃度で水又は精製水に溶解し、
溶液のpHを7.5以上10.0以下に調整する。溶解
濃度が5%未満の場合、製造上の効率が悪く、20%を
超える場合は、分解効率の低下、加熱処理時の焦付き、
冷却時の粘度上昇等が生じるために望ましくない。又、
本発明で使用する酵素の至適pHは中性から弱アルカリ
性にあるために、分解前のpHは7.5以上10.0以
下に調整するのが望ましい。さらに分解前処理工程とし
て、pH調整前若しくは後、又はその両方で加熱処理、
イオン交換処理等を適宜実施することもできる。
【0023】pH調整後、バシラス・サチリス(Bacillu
s subtilus) 由来のエンド型プロテアーゼ、トリプシン
及びパパインの3種類の酵素を包含する酵素の組合わせ
により、乳清蛋白質の抗原残存活性を10-4以下に酵素
分解する。酵素は食品衛生上無害な市販品であればよ
く、バシラス・サチリス(Bacillus subtilus) 由来のエ
ンド型プロテアーゼとしてはプロテアーゼNアマノ(天
野製薬社製)、ビオプラーゼ(長瀬産業社製)、ニュー
トラーゼ(ノボノルディスク社製)等を例示することが
でき、トリプシンとしてはPTN6.0S(ノボノルデ
ィスク社製)、パパインとしてはパパインW−40(天
野製薬製)、精製パパイン(アサヒビール社製)等を例
示することができる。
【0024】本発明における乳清蛋白質あたりの酵素の
添加量は活性単位により規定され、トリプシンはUSP
単位(アメリカ薬局法に基づく単位。ザ・ユナイテッド
・ステーツ・ファーマコピア・ザ・ナショナル・フォー
ミュラリー[The United States Pharmaccopeia The Na
tional Formulary) 、第307ページ及び第1431ペ
ージ、ユナイテッド・ステーツ・ファーマコピアル・コ
ンベンション・インコーポレーテッド(United States P
harmacopeial Convention,Inc.) 、1990年]によ
り、1,000〜30,000USP単位、望ましくは
2,000〜20,000USP単位であり、バシラス
・サチリス由来のエンドペプチダーゼについては、PU
N単位[ミルクカゼイン(例えばハマーシュタイン(Hem
mersten)。メルク社製)に酵素を作用させた場合に、3
0℃で1分間に1μgのチロシンに相当するアリルアミ
ン酸のフォリン試薬での呈色反応を示す酵素活性度が1
単位として規定される]により、250〜3,000P
UN単位、望ましくは500〜2,000PUN単位で
あり、パパインについては、500〜6,000PUN
単位、望ましくは1,000〜5,000PUN単位で
ある。これら3種類の酵素が所定量添加されていれば、
これら以外のエンド又はエキソ型のプロテアーゼを30
0PUN単位以下、望ましくは200PUN単位以下、
の範囲で更に添加することもできる。
【0025】前記乳清蛋白質溶液に、乳清蛋白質の量に
より所定量の酵素を添加し、前記酵素の至適温度である
30〜60℃、望ましくは40〜55℃、の温度で2〜
24時間、望ましくは5〜12時間、加水分解する。前
記酵素は同時、又は適宜の間隔で添加することもでき、
固定化酵素を使用することもできる。又、酵素の至適p
Hを維持するため、分解中に溶液のpHを適宜調整する
こともできる。
【0026】この分解物を調製乳の原料として使用する
場合、分解液のpHは中性付近であることが望ましい。
従って、分解後の溶液のpHが7.0±0.5の範囲に
あればそのまま、この範囲外であれば適宜7.0±0.
5に調整する。
【0027】バッチ処理により分解した場合には常法に
より分解液を加熱し、酵素を失活させる。加熱温度と保
持時間は使用した酵素の熱安定性を配慮し、十分に失活
できる条件を適宜設定することができる。加熱処理後、
常法により冷却し、そのまま、又は必要に応じて濃縮
し、乾燥し、粉末製品を得ることもできる。このように
して得られた乳清蛋白質分解物は、優れた乳化性及び熱
安定性を有し、抗原残存活性は10-4以下である。
【0028】次に本発明の第2の発明である抗アレルギ
ー性調製乳の製造について記載する。本発明の調製乳に
使用するカゼイン分解物の原料カゼインとしては、純度
が少なくとも80%であり、常法により分離された乳酸
カゼイン、塩酸カゼイン等の酸カゼイン、ナトリウム・
カゼイネイト、カリウム・カゼイネイト等のカゼイネイ
ト、又はこれらの任意の混合物を使用することができ
る。原料カゼインを5%以上15%以下、望ましくは1
0%以上13%以下、の濃度で水に分散し、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等の溶解塩を添
加し、溶液のpHを6.6以上10以下に調整して溶解
する。濃度が5%未満の場合は製造上の効率が悪く、
又、15%を超える場合には粘度が上昇して製造が困難
となるために、それぞれ望ましくない。
【0029】溶液のpHが6.6未満では酸カゼインを
溶解することが困難であり、pHが10.0を超えるほ
ど溶解塩を添加した場合は、カゼイン分解物のミネラル
量が過剰となるため、それぞれ望ましくない。
【0030】使用する酵素は至適pHが中性からアルカ
リ性であり、食品衛生上無害な市販品であり、パンクレ
アチン、トリプシン、キモトリプシン等の動物由来の酵
素、パパイン、ブロメライン等の植物由来の酵素、細
菌、黴等の微生物由来の酵素、を例示し得る。又、風味
改良の目的で乳酸菌菌体又は菌体抽出物を添加すること
もできる。
【0031】前記カゼイン溶液のpHを調整し、カゼイ
ン溶液のカゼイン量により所定量の酵素を添加し、前記
酵素の至適温度である30〜60℃、望ましくは40〜
55℃、の温度で2〜24時間、望ましくは5〜12時
間加水分解する。添加する酵素の種類、組合わせ及び活
性単位は、抗原残存活性が10-4以下の範囲で適宜決定
することができる。前記酵素は同時、又は適宜の間隔で
添加することもでき、又、固定化酵素を使用することも
できる。
【0032】次いで、バッチ処理により分解した場合に
は常法により加熱処理又は限外濾過し、酵素を失活又は
除去する。加熱温度と保持時間は使用した酵素の熱安定
性を配慮し、十分に失活できる条件を適宜設定すること
ができる。加熱処理後、常法により冷却し、セライト濾
過、精密濾過、限外濾過、遠心分離等の工程により沈殿
を除去し、さらに必要に応じて樹脂吸着、活性炭濾過等
の工程で精製することもできる。このようにして得られ
た抗原残存活性が10-4以下のカゼイン分解物はそのま
ま、又は濃縮し、乾燥し、本発明の抗アレルギー性調製
乳の原料とすることができる。
【0033】抗アレルギー性調製乳は、液状、粉状のい
ずれでも良いが、特に望ましい粉末製品の製造法の態様
を例示すれば次のとおりである。
【0034】前記のようにして製造した乳清蛋白質分解
物とカゼイン分解物との比率(乳清蛋白質分解物/カゼ
イン分解物)が100/0〜40/60であって、最終
製品の全固形分中に占める蛋白質当量が10〜15%の
割合にそれぞれの加水分解物を計量し、水に5〜15%
の濃度で溶解し、所定量のミネラル類を加えて40〜6
5℃に加熱し、更に蛋白質当量10〜15部当り脂肪を
15〜40部、デキストリン及び乳糖を主体とする糖類
40〜70部、及び所定量のビタミン類を添加して混合
し、高圧均質機により乳化し、常法により加熱殺菌し、
濃縮し、噴霧乾燥し、抗アレルギー性調製粉乳を得るこ
とができる。
【0035】液状の抗アレルギー性調製乳についても、
粉末製品と同様に製造し得る。ただし最終製品の濃度が
5〜40%の液状物となるため、腐敗防止の点から12
0℃以上、望ましくは130℃以上、の温度で加熱殺菌
を行う必要がある。
【0036】以上のようにして得られた本発明の抗アレ
ルギー性調製乳は、後述する試験から明らかなように、
乳化性と熱安定性に優れ、風味が良好であり、抗原性が
低下しているためにアレルギーの予防及び治療に有効で
あり、更に、アミノ酸バランス、蛋白質効率においても
優れた性質を有している。
【0037】次に試験例を示して本発明を詳述する。 試験例1 この試験は、抗原性が10-4以下であり、乳化性、熱安
定性に優れた乳清蛋白質分解物を得るための酵素の組合
わせを調べるために行なった。
【0038】(1)試料の調製 市販の乳清蛋白質濃縮物(以下WPCと記載することが
ある。ミライ社製)を5%の濃度で水に溶解し、水酸化
ナトリウムを添加して溶液のpHを9.0に調整し、の
ち蛋白質1g当たり5,000単位の酵素を添加し、5
0℃で5時間分解し、分解後にpHを7.0に調整し、
次いで85℃で10分間加熱して酵素を失活させ、冷却
して試料とした。
【0039】添加する酵素が1種類の場合は該酵素を
5,000単位、2種類の場合はそれぞれ2,500単
位、3種類の場合はそれぞれ1,667単位とした。
又、酵素としては、パパイン(天野製薬社製)、ブロメ
ライン(天野製薬社製)、プロテアーゼN[バシラス・
サチリス(Bacillus subtilis)由来。天野製薬社製]、
プロテアーゼA[アスペルギルス・オリゼ(Aspergillu
s oryzae)由来。天野製薬社製]、ビオプラーゼ[バシ
ラス・サチリス(Bacillus subtilis)由来。長瀬産業社
製]、トリプシン(ノボ社製)、アルカラーゼ[バシラ
ス・リチェニホルミス(Bacillus licheniformis)由
来。ノボ社製]、アクチナーゼ[ストレプトマイセス・
グリセウス(Streptomyces griseus)由来。科研ファル
マ社製]、PD酵素[ペニシリウム・デュポンチ(Peni
cillium duponti)由来。盛進製薬社製]を使用した。
【0040】(2)試験方法 1)沈殿生成量の測定 試料を1,000Gで10分間遠心し、生じる沈殿量
(容量/容量)を測定した。
【0041】2)熱安定性試験 試料を2%濃度に希釈して試験管に分注し、オートクレ
ーブを使用して120℃で10分間処理し、1,000
Gで10分間遠心し、生じる沈殿量(容量/容量)を測
定した。
【0042】3)抗原残存活性の測定 エライザ試験法(日本小児アレルギー学会誌、第1巻、
第36ページ、1987年)により次のようにして測定
した。96穴プレート(ヌンク社製)に乳清蛋白質をコ
ーティングし、洗浄し、ウサギ抗乳清蛋白質血清と試料
の混合液をプレートの穴に供給して反応させ、洗浄後、
アルカリホスファターゼ標識ヤギ抗ウサギIgG抗体
(ツァイメド・ラボラトリー社製)を反応させ、のち洗
浄し、p−ニトロフェニルリン酸ナトリウムを添加し、
30分後に5規定水酸化ナトリウムを添加して反応を停
止させ、反応生成物をマイクロプレートリーダーで測定
した。
【0043】4)乳化性試験 試料1,000mlに植物脂肪(ヤシ油、パーム油の混
合物。太陽油脂社製)100gを添加し、均質バルブを
通過させるホモジナイザーを用いて120kgf/cm
2 の圧力で乳化し、得られた乳化液中の脂肪球の直径を
顕微鏡で測定して乳化性の指標とした。更に、乳化液を
100℃で瞬間加熱し、のち脂肪層分離の有無を肉眼で
観察し、乳化の安定性を試験した。
【0044】(3)試験結果 この試験の結果は表1に示すとおりである。表1から明
らかなように、加熱失活時に沈殿を生成せず、抗原性が
10-4以下であり、熱安定性、乳化性に優れた乳清蛋白
質分解物を得るための酵素の組合わせは、トリプシン、
パパイン及びバシラス・サチリス由来のエンド型プロテ
アーゼ(ビオプラーゼ及びプロテアーゼN)の3種の酵
素が必須であることが判明した。又、表1には記載して
いないが、この試験ではトリプシン、パパイン及びバシ
ラス・サチリス由来のエンド型プロテアーゼの組合わせ
以外の酵素の組合わせでは、前記全ての条件を満たすこ
とができなかった。尚、その他の酵素の組合わせについ
ても同様に試験を行ったが、前記全ての条件を満たす酵
素の組合わせは認められなかった。
【0045】
【表1】 試験例2 この試験は試験例1で決定した酵素の組合わせにおける
酵素の量を調べるために行なった。
【0046】(1)試料の調製 試験例1と同一の方法によりWPCを溶解し、トリプシ
ン、パパイン及びビオプラーゼ[バシラス・サチリス
(Bacillus subtilis)由来]の添加量を表2に示すとお
りに変更して添加し、試験例1と同一の方法により分解
物を製造して試料とした。
【0047】(2)試験方法 試験例1と同一の方法により、沈殿生成量、熱安定性、
抗原残存活性及び乳化性を試験した。
【0048】(3)試験結果 この試験の結果は表2に示すとおりである。表2から明
らかなように、加熱失活時に沈殿を生成せず、抗原性が
10-4以下であり、熱安定性、乳化性に優れた乳清蛋白
質分解物を得るためのトリプシン、パパイン及びビオプ
ラーゼの酵素量の範囲は、蛋白質1g当たりの添加下限
量は、パパインが1,000単位であり、かつトリプシ
ンが2,000単位の場合、ビオプラーゼが250単位
以上、望ましくは500単位以上、ビオプラーゼが50
0単位であり、かつトリプシンが2,000単位の場
合、パパインが500単位以上、望ましくは1,000
単位以上、ビオプラーゼが500単位であり、かつパパ
インが1,000単位の場合、トリプシンが1,000
単位以上、望ましくは2,000単位以上、であること
が判明した。
【0049】又、蛋白質1g当たりの添加上限量は、パ
パインが5,000単位であり、かつトリプシンが2
0,000単位の場合、ビオプラーゼが3,000単位
以下、望ましくは2,000単位以下、ビオプラーゼが
2,000単位であり、かつトリプシンが20,000
単位の場合、パパインが6,000単位以下、望ましく
は5,000単位以下、ビオプラーゼが2,000単位
であり、かつパパインが5,000単位の場合、トリプ
シンが30,000単位以下、望ましくは20,000
単位以下、であることが判明した。
【0050】従って、本発明の方法においては、乳清蛋
白質1g当たりトリプシンが1,000単位以上30,
000単位以下、望ましくは2,000単位以上20,
000単位以下、パパインが500単位以上6,000
単位以下、望ましくは1,000単位以上5,000単
位以下、バシラス・サチリス由来のエンド型プロテアー
ゼが250単位以上3,000単位以下、望ましくは5
00単位以上2,000単位以下の範囲で添加すれば良
いことが判明した。
【0051】
【表2】 試験例3 この試験は試験例1及び試験例2で決定した酵素の組合
わせ及び量に加えて、これら以外の酵素を添加する場合
の酵素の添加量を調べるために行なった。
【0052】(1)試料の調製 試験例1と同一の方法によりWPCを溶解し、トリプシ
ン(ノボ社製)20,000単位、パパイン(天野製薬
製)5,000単位、ビオプラーゼ(長瀬産業社製)
2,000単位に添加し、更にプロテアーゼA[アスペ
ルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来。天野製
薬製]、ブロメライン(天野製薬製)を添加し、50℃
で5時間分解し、次いで85℃で10分間加熱して酵素
を失活させ、のち冷却して試料とした。
【0053】(2)試験方法 試験例1と同一の方法により、沈殿生成量、熱安定性、
抗原残存活性、及び乳化性を試験した。
【0054】(3)試験結果 この試験の結果は表3に示すとおりである。表3から明
らかなように、トリプシン、パパイン及びビオプラーゼ
の所定量に加えて、それ以外の酵素を添加する場合、該
酵素の添加量を300単位以下、望ましくは200単位
以下、に調整すれば、熱安定性、乳化性が維持できるこ
とが明らかとなった。尚、その他の酵素についても同様
に試験を行ったが、ほぼ同様な結果が得られた。
【0055】次に実施例を記載して本発明を更に詳述す
るが、本発明は以下の実施例により限定されるものでは
ない。
【0056】
【実施例】
実施例1 市販のWPC(蛋白質含量76%。ミライ社製)1kg
を9kgの精製水に溶解し、プレート型殺菌装置で75
℃で15秒間殺菌し、のち水酸化ナトリウムを添加して
溶液のpHを9.0に調整し、蛋白質1g当たりビオプ
ラーゼ(長瀬産業社製)500PUN単位、トリプシン
(ノボ社製)5,000USP単位及びパパイン(天野
製薬社製)1,000PUN単位の割合で添加し、50
℃で5時間分解した。分解終了後の分解液のpHが7.
0であったので、そのまま90℃で20分間加熱して酵
素を失活させた。次いで常法により濃縮し、乾燥し、粉
末状の乳清蛋白質分解物約1kg得た。
【0057】得られた乳清蛋白質分解物の抗原残存活性
を試験例1と同一の方法により試験した結果、10-4
あり、熱安定性及び乳化性ともに良好であった。
【0058】実施例2 市販のWPC(蛋白質含量85%。デンマークプロテイ
ン社製)3kgを17kgの精製水に溶解し、プレート
型殺菌装置で75℃で15秒間殺菌し、のち水酸化カリ
ウムを添加して溶液のpHを8.0に調整し、蛋白質1
g当たりビオプラーゼ(長瀬産業社製)1,000PU
N単位、トリプシン(ノボ社製)10,000USP単
位、パパイン(天野製薬社製)2,000PUN単位及
びプロテアーゼAアマノ(天野製薬社製)200PUN
単位の割合で添加し、50℃で12時間分解した。分解
後の分解液のpHが6.4であったので、水酸化ナトリ
ウムを添加してpHを7.3に調整し、のちプレート型
殺菌装置を用いて85℃で5分間、130℃で2秒間加
熱して酵素を失活させ、次いで常法により濃縮し、乾燥
し、粉末状の乳清蛋白質分解物約3kg得た。
【0059】得られた乳清蛋白質分解物の抗原残存活性
を試験例1と同一の方法により試験した結果、10-5
あり、熱安定性及び乳化性とも良好であった。
【0060】実施例3 市販のWPC(蛋白質含量76%。ミライ社製)1.5
kgを8.5kgの精製水に溶解し、カリウム型陽イオ
ン交換樹脂(ダイヤイオンSK−1B。三菱化成社製)
1lに通液し、凍結乾燥し、イオン交換WPC粉末約
1.4kgを調製した。得られたイオン交換WPC粉末
1kg及び脱塩ホエー粉末(蛋白質含量14%。ドモ社
製)1kgを精製水13kgに溶解し、80℃で10分
間殺菌し、のち炭酸カリウムを添加してpHを7.5に
調整し、蛋白質1g当たりプロテアーゼNアマノ(天野
製薬社製)500PUN単位の割合で添加し、45℃で
1時間分解し、次いでトリプシン(ノボ社製)10,0
00USP単位を添加し、更に2時間分解した。得られ
た分解液のpHが6.5であったので、水酸化カリウム
を添加してpHを7.5に調整し、次いでパパイン(天
野製薬社製)4,000PUN単位を添加し、更に55
℃で3時間分解した。分解後の分解液のpHが6.8で
あったので、pHを調整せずに、プレート型殺菌装置を
用いて85℃で5分間、130℃で2秒間加熱し、酵素
を失活させた。次いで常法により濃縮し、液状の乳清蛋
白質分解物約15kg得た。
【0061】得られた乳清蛋白質分解物の抗原残存活性
を試験例1と同一の方法により試験した結果、10-5
あり、熱安定性及び乳化性とも良好であった。
【0062】実施例4 市販の乳酸カゼイン(純度85%。ニュージーランドデ
イリーボード製)1kgを19kgの精製水に分散し、
水酸化カリウムを添加してpHを7.0に調整し、80
℃で10分間加熱して完全に溶解した。溶液の温度を5
0℃に冷却し、更に水酸化ナトリウムを添加してpHを
10.0に調整し、蛋白質1g当たりプロテアーゼNア
マノ(天野製薬社製)1,500PUN単位、ビオプラ
ーゼ(長瀬産業社製)500PUN単位及びトリプシン
(ノボ社製)3,000USP単位の割合で添加し、5
0℃で12時間分解し、のち80℃で30分間加熱して
酵素を失活させた。次いでハイフロスーパーセル(マン
ビル社製)を用いてセライト濾過して沈殿を除去し、常
法により濃縮し、乾燥し、粉末状のカゼイン分解物約8
00g得た。得られたカゼイン分解物の抗原残存活性を
試験例1と同一の方法により試験した結果、10-5であ
った。
【0063】得られたカゼイン分解物0.48kgと、
実施例1と同一の方法で得られた乳清蛋白質分解物1.
2kgとを10kgの精製水に溶解し、250gの精製
水に溶解した所定量のミネラル類を添加し、60℃に加
熱して植物性脂肪(太陽油脂社製)2.5kgを添加
し、更に20%の濃度で水に溶解したマルツデキストリ
ン(昭和産業社製)1.0kgと乳糖(ドモ社製)4.
2kgとの混合液を添加し、次いで所定量のビタミン類
を混合し、この混合液を高圧均質機ーで乳化し、常法に
より殺菌し、濃縮し、噴霧乾燥し、粉末状の抗アレルギ
ー性調製乳約9kg得た。
【0064】得られた抗アレルギー性調製乳の抗原残存
活性を試験例1と同一の方法により試験した結果、10
-5であり、熱安定性及び乳化性とも良好であり、蛋白質
当量に対する乳清蛋白質分解物の割合は70%、カゼイ
ン分解物の割合は30%であり、常法により測定した一
般成分組成は次のとおりであった。
【0065】 蛋白質 14.5(%) 脂肪 26.5 炭水化物 53.5 (うち乳糖 45.0) 灰分 2.5 水分 3.0
【0066】実施例5 市販のナトリウム・カゼイネイト(純度90%。ユニー
レ社製)を1kgを9kgの精製水に溶解し、プレート
型殺菌装置で75℃で15秒間加熱し、のち水酸化ナト
リウムを添加して溶液のpHを8.5に調整し、蛋白質
1g当たりプロテアーゼNアマノ(天野製薬社製)2,
000PUN単位、トリプシン(ノボ社製)5,000
USP単位及び乳酸菌破砕物(森永乳業社製)5mgの
割合で添加し、50℃で12時間分解し、4℃に冷却
し、分画分子量3,000の限外濾過膜(旭化成社製)
で限外濾過し、透過液をプレート型殺菌装置を用いて8
5℃で5分間、130℃で2秒間加熱し、のち常法によ
り濃縮し、乾燥し、粉末状のカゼイン分解物約700g
得た。得られたカゼイン分解物の抗原残存活性につい
て、抗乳清蛋白質血清を抗カゼイン血清に変更したこと
を除き、試験例1と同一の方法により試験した結果、1
-6であった。
【0067】得られたカゼイン分解物0.5kgと、実
施例2と同一の方法で得られた乳清蛋白質分解物1.0
kgとを50kgの精製水に溶解し、1kgの精製水に
溶解した所定量のミネラル類を添加し、60℃に加熱し
て植物性脂肪(太陽油脂社製)2.5kgを添加し、マ
ルツデキストリン(昭和産業社製)0.5kgと乳糖
(ドモ社製)4.5kgとを精製水50kgに溶解した
混合液を添加し、次いで所定量のビタミン類を混合し、
この混合液を高圧均質機で乳化し、プレート殺菌装置で
140℃で3秒間殺菌し、200mlずつ無菌的に充填
し、液状の抗アレルギー性調製乳500個を得た。
【0068】得られた抗アレルギー性調製乳の抗原残存
活性を試験例1と同一の方法により試験した結果、10
-5.5であり、熱安定性及び乳化性とも良好であり、蛋白
質当量に対する乳清蛋白質分解物の割合は65%、カゼ
イン分解物の割合は35%であり、常法により測定した
一般成分組成は次のとおりであった。
【0069】 蛋白質 1.05(%) 脂肪 2.5 炭水化物 4.7 (うち乳糖 4.0) 灰分 0.3 水分 82.0
【0070】実施例6 市販の乳酸カゼイン(純度85%。ニュージーランドデ
イリーボード製)を1kgを9kgの精製水に分散し、
水酸化ナトリウムを添加してpHを7.0に調整し、8
0℃で10分間加熱して完全に溶解した。溶液の温度を
50℃に冷却し、蛋白質1g当たりパンクレアチン(天
野製薬社製)3,000PUN単位、プロテアーゼAア
マノ(天野製薬社製)100PUN単位、乳酸菌破砕物
(森永乳業社製)5mgの割合で添加し、50℃で20
時間分解し、のち95℃で10分間加熱して酵素を失活
させた。次いで4℃に冷却し、活性炭(商品名「白
鷺」。武田薬品工業社製)50gを添加して12時間静
置し、スタンダードスーパーセル(マンビル社製)を用
いてセライト濾過し、沈殿及び活性炭を除去し、常法に
より濃縮し、乾燥し粉末状のカゼイン分解物約700g
を得た。得られたカゼイン分解物の抗原残存活性につい
て、抗乳清蛋白質血清を抗カゼイン血清に変更したこと
を除き、試験例1と同一の方法により試験した結果、1
-4であった。
【0071】得られたカゼイン分解物0.65kgと、
実施例1と同一の方法で得られた乳清蛋白質分解物1.
0kgとを20kgの精製水に溶解し、1kgの精製水
に溶解した所定量のミネラル類を添加し、60℃に加熱
して植物性脂肪(太陽油脂社製)2.5kgを添加し、
さらに20%の濃度で溶解したマルツデキストリン(昭
和産業社製)1.0kgと乳糖(ドモ社製)4.2kg
との混合液を添加し、次いで所定量のビタミン類を混合
し、この混合液を高圧均質機で乳化し、常法により殺菌
し、濃縮し、噴霧乾燥し、粉末状の抗アレルギー性調製
乳を約9kg得た。
【0072】得られた抗アレルギー性調製乳の抗原残存
活性を試験例1と同一の方法により試験した結果、10
-4.5であり、熱安定性及び乳化性とも良好であり、蛋白
質当量に対する乳清蛋白質分解物の割合は60%、カゼ
イン分解物の割合は40%であり、常法により測定した
一般成分組成は次のとおりであった。
【0073】 蛋白質 13.5(%) 脂肪 26.5 炭水化物 55.5 (うち乳糖 45.0) 灰分 2.5 水分 2.0
【0074】
【発明の効果】本発明によって奏せられる効果は、次の
とおりである。 1)抗原残存活性が著しく低下された抗アレルギー性調
製乳製造用の乳清蛋白質分解物が得られる。 2)熱安定性及び乳化性が極めて良好な抗アレルギー性
調製乳製造用の乳清蛋白質分解物が得られる。 3)抗原残存活性が著しく低下された抗アレルギー性調
製乳が得られる。 4)熱安定性及び乳化性が極めて良好な抗アレルギー性
調製乳が得られる。
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23J 3/34 // A61K 38/17 ABF 38/00 (72)発明者 川口 靖 神奈川県横浜市旭区南希望が丘118 森永 希望が丘寮 (72)発明者 赤染 陽子 神奈川県相模原市相武台2−22−5−504 (72)発明者 越智 浩 神奈川県横浜市旭区南希望が丘118 森永 希望が丘寮 (72)発明者 北川 重文 神奈川県相模原市南台5−19−5 ドーミ ー小田急相模原312

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも30%(重量)の純度の乳清
    蛋白質を5%(重量)以上20%(重量)以下の濃度で
    水に溶解し、溶液のpHを7.5以上10.0以下に調
    整し、バシラス・サチリス(Bacillus subtilus) 由来の
    エンド型プロテアーゼ、トリプシン及びパパインの3種
    類の酵素を包含する酵素により加水分解することを特徴
    とする抗乳清蛋白質血清を用いたエライザ(ELISA:Enzym
    e linked immunosolbent assay) 抑制試験法により測定
    した抗原残存活性が10-4以下であり、乳化性及び熱安
    定性に優れた乳清蛋白質加水分解物の製造法。
  2. 【請求項2】 少なくとも30%(重量)の純度の乳清
    蛋白質を5%(重量)以上20%(重量)以下の濃度で
    水に溶解し、溶液のpHを7.5以上10.0以下に調
    整し、バシラス・サチリス(Bacillus subtilus) 由来の
    エンド型プロテアーゼ、トリプシン及びパパインの3種
    類の酵素を包含する酵素により加水分解して得られ、抗
    乳清蛋白質血清を用いたエライザ(ELISA:Enzyme linked
    immunosolbent assay) 抑制試験法により測定した抗原
    残存活性が10-4以下である乳清蛋白質加水分解物40
    〜100%(重量)及び少なくとも80%(重量)の純
    度のカゼインを加水分解して得られ、抗カゼイン血清を
    用いたエライザ抑制試験法により測定した抗原残存活性
    が10-4以下であるカゼイン加水分解物60〜0%(重
    量)との混合物からなる窒素源の蛋白質10〜15部当
    たり、脂肪15〜40部、並びに炭水化物70〜40部
    の組成からなる乳化性及び熱安定性に優れた抗アレルギ
    ー性調製乳。
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