JP2736829B2 - 不快味のない蛋白質加水分解物の製造法 - Google Patents

不快味のない蛋白質加水分解物の製造法

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JP2736829B2 JP3221287A JP22128791A JP2736829B2 JP 2736829 B2 JP2736829 B2 JP 2736829B2 JP 3221287 A JP3221287 A JP 3221287A JP 22128791 A JP22128791 A JP 22128791A JP 2736829 B2 JP2736829 B2 JP 2736829B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不快味のない蛋白質加
水分解物の製造法に関する。本発明の蛋白質加水分解物
は、不快味がなく、高栄養価であるので、経腸栄養剤、
医療食、栄養補強食品、栄養飲料等の窒素源として有用
である。
【0002】
【従来の技術】近年、蛋白質を酵素により加水分解して
得られるペプチド、特にジおよびトリペプチドを主成分
とする低分子ペプチドは、それと同一組成のアミノ酸混
合物に比べ腸管吸収が優れていることから、経腸栄養
剤、医療食品、栄養補強食品に利用されてきている。
【0003】しかし、卵白、大豆等の蛋白質を用い、こ
れを酵素で従来法に従い加水分解を行って得られるペプ
チドは苦味や硫黄臭、豆臭等の不快味を発することが多
く、従って、その摂食上障害をきたすことがあった。加
うるに、酵素反応の際、蛋白質分子の立体的構造や変性
により酵素分解反応の障害となって、高分子ペプチドが
残り、ジおよびトリペプチド高含有量のものが製造困難
であった。また、場合により高分子ペプチドが不溶化し
てペプチド製造時の収率を低くしたり、残存する高分子
ペプチドがいまだ抗原を持ち、アレルギー患者には摂食
できない状況にあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、蛋白質を酵
素分解して得られるペプチドの利用上の問題点に鑑み、
蛋白質原料から、不快味がなく高栄養価の低分子蛋白質
加水分解物を有利に製造するための酵素的加水分解方法
を提供することを目的とする。本発明者らは、乳蛋白質
以外の蛋白質に乳蛋白質を添加混合した液を酵素的に加
水分解することにより、単一原料での分解物やその分解
物の混合物よりも極めて不快味がなく、しかも低分子ペ
プチドにまで分解されることを見出して、上記目的を達
成することに成功し、本発明をなすに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、乳蛋白質を除
く蛋白質を原料として酵素加水分解物を製造するに際し
て、原料蛋白質に乳蛋白質を添加、混合して、複数種の
酵素を同時に作用させるか、段階的に作用させて酵素加
水分解を行うことを特徴とする不快味のない蛋白質加水
分解物の製造法である。本発明の特徴は、乳蛋白質以外
の蛋白質、例えば、卵、肉類、魚肉類等の動物性蛋白
質、大豆、小麦等の植物性蛋白質や微生物蛋白質等に代
表される蛋白質およびその含有物に、乳蛋白質を添加混
合し、得られた溶液ないしは分散液中で、単一もしくは
複数の蛋白分解酵素を、同時もしくは段階的に作用させ
て加水分解し、蛋白質加水分解物を製造することであ
る。
【0006】ここで用いる乳蛋白質は、生乳、濃縮乳、
全脂粉乳、脱脂粉乳など乳蛋白質含有物を包含し、カゼ
インも例示し得る。不快味のない製品は、原料に添加混
合する蛋白質として、乳蛋白質およびその含有物を使用
してはじめて得られるものであって、他の蛋白質を使用
したのでは得られない。これは、カゼイン等の乳蛋白質
が、ペプチド製造時にしばしば発生する原料蛋白質の変
性ゲル化や不溶化を抑え、しかも乳蛋白質が原料蛋白質
の構造を緩めたり、ゲル化や不溶化を起こさない程度に
変性させることにより、酵素分解を受けやすくするため
であり、原料蛋白質を有効に分解でき、苦味ペプチドや
アレルゲンペプチドを発生しないまで低分子に分解でき
るからである。
【0007】さらに、原料蛋白質分解時に発生する硫黄
臭や豆臭等の不快味を乳蛋白質加水分解物がマスキング
すること、乳蛋白質分解時にしばしば発生する苦味が原
料蛋白質と共に加水分解されるという相互の相乗効果に
よって不快味のないものが得られると解される。また、
乳蛋白質は、卵白、大豆等の栄養価の高い蛋白質と同等
程度の栄養価を有しているので、乳蛋白質を添加混合す
ることによる著しい栄養価の低下を引き起こすことはな
く、原料蛋白質の栄養価を維持ないしは向上することが
可能である。
【0008】本発明では、原料である乳蛋白質以外の蛋
白質もしくはその含有物に、上記したような乳蛋白質を
添加混合する。その混合する割合は、乳蛋白質以外の原
料蛋白質に対し、乳蛋白質を蛋白質量で5〜90重量%、
好ましくは20〜70重量%である。また、粉体で混合後、
水に溶解ないしは分散させてもよいし、別個に溶解ない
しは分散させた後、混合してもよい。加えて、乳蛋白質
溶液に原料蛋白質の粉体ないしは溶液を添加してもよ
く、その溶解ないしは分散方法および混合方法は蛋白質
が均一になっていればよいので、特に限定はない。
【0009】必要であれば酵素添加前に殺菌を行う。蛋
白質原料と乳蛋白質を別個に溶解した場合、混合する時
期は殺菌前後のいずれでもよい。しかし、卵白のごとき
加熱凝固する蛋白質の場合、混合後に殺菌した方が凝固
しないか、しても容易に分散できる程度の固体強度なの
で好ましい。さらに、酵素反応途中で乳蛋白質を混合す
る方法でも目的達成は可能である。
【0010】溶解するpHは限定されないが、pH5以
下の酸性領域で混合溶液を調製した場合、乳蛋白質中の
カゼインが凝集し、ポンプや攪拌機等製造器への負担が
大きくなるので、中性付近ないしは弱アルカリ性で行っ
た方が好ましい。なお乳蛋白質として酸カゼインのよう
に水中で溶解し難いものを用いる場合、水中に可及的少
量の酸もしくはアルカリを添加し、加温下に溶解ないし
は分散するとよい。
【0011】次いで調製した溶液にプロテアーゼを加え
酵素分解を行う。用いられる酵素としては、いずれも市
販のものでよく、トリプシン、パンクレアチン等の動物
性プロテアーゼ、パパイン、ブロメライン等の植物性プ
ロテアーゼ、アスペルギルス属、バチルス属、リゾプス
属等由来の微生物プロテアーゼが例示できる。また、こ
れらの酵素を単独で使用することも可能であるが、複数
の酵素を同時にないしは段階的に作用させると、さらに
有利な蛋白質加水分解物が製造できる。特に有利に製造
できる酵素としては、動物性プロテアーゼである「PT
N(ノボ社製)」「パンクレアチン(天野製薬社
製)」、植物性プロテアーゼである「パパインW−40
(天野製薬社製)」、「ブロメラインF(天野製薬社
製)」、微生物プロテアーゼである「プロテアーゼA
(天野製薬社製)」、「プロテアーゼN(天野製薬社
製)」、「アクチナーゼAS(科研製薬社製)」等から
複数の組み合わせを例示できる。
【0012】これらの酵素の使用量は、基質である蛋白
質の種類、乳蛋白質の混合比率および反応温度と時間に
より異なるが、一般的には基質に対して0.01〜10重量
%、好ましくは0.1 〜5重量%である。また、これらの
酵素を作用させるための反応温度は、特に限定はない
が、雑菌の繁殖を防ぐために40〜60℃が好ましい。一
方、反応時間は、蛋白質の種類、乳蛋白質の混合比率、
酵素添加量および反応温度により異なるが、通常2〜48
時間、好ましくは6〜24時間である。溶液のpHは特に
限定はないが、適当な酸もしくはアルカリを用い酵素の
反応至適pHに調整することが好ましい。また、溶液が
酵素が反応できるpHにある場合は、無論、pH調整の
必要はない。
【0013】本発明では、上記酵素を併用してもよい
が、その使用にあたっては、蛋白質の水溶液ないしは分
散液へ同時に添加し作用させるか、段階的に添加して作
用させてもよい。なお、乳蛋白質を混合する時期は、乳
蛋白質以外の蛋白質の酵素反応途中の適当時でもよい。
【0014】反応終了後、得られた蛋白質加水分解物溶
液は、酵素失活および殺菌のため、例えば85℃以上100
℃以下の温度で5分以上、あるいは100 ℃以上の温度で
1秒以上加熱処理する。次いで、必要に応じpH調整
や、遠心あるいは濾過処理により生成した不溶物の除去
を行い、凍結乾燥ないしは噴霧乾燥を行なう。このよう
にして得られる蛋白質加水分解物製品は、蛋白質単一原
料より製造した製品や、製造後に乳蛋白質加水分解物を
混合させた製品よりも明らかに苦味、不快味がなく、低
分子のペプチドとなる。複数の酵素の使用、特にパンク
レアチンとバチルス属由来プロテアーゼ、パンクレアチ
ンとアスペルギルス属由来プロテアーゼ、バチルス属由
来プロテアーゼとアスペルギルス属由来プロテアーゼ、
アスペルギルス属由来プロテアーゼとリゾプス属、スト
レプトマイセス属ないしはペニシリウム属由来プロテア
ーゼの酵素の組合せは、単一原料使用時には蛋白質の高
次構造(立体構造)の障害で酵素分解が成し得なかった
と考えられるペプチド結合部位まで反応し、分子量1,00
0 以下が85%以上のジおよびトリペプチドが主要成分で
ある低分子ペプチドを、容易に、しかも有利に製造する
ことが可能となる。さらに、反応時に発生する中程度分
子の苦味ペプチドも十分に分解され低分子ペプチドにな
るため、調整したペプチドは苦味がないか、不快味にな
らない程度まで低苦味化される。
【0015】また、卵白のごとき原料を単一に使用し、
酵素分解ペプチドを製造した場合では、蛋白質が十分に
酵素分解できず、難水溶性ペプチドの不溶物として反応
液に多量に残るものの、本発明においては、その不溶物
は極めて少量であり、この少量の不溶物を遠心分離や濾
過等により除去することにより、高収率で飲料、特に透
明飲料に使用できる窒素源素材を提供し得る。
【0016】従って、本発明により得られる製品は、経
腸栄養剤、栄養補給飲料等の窒素源素材または医薬品素
材として有効に利用し得る。
【0017】
【実施例】以下に、実施例を示して本発明をさらに具体
的に説明する。なお、実施例に示した収率、可溶性窒素
指数、平均ペプチド鎖長、遊離アミノ酸含量、分子量分
布は下記式により測定した。 収率
【0018】
【数1】
【0019】 可溶性窒素指数
【0020】
【数2】
【0021】窒素量はケルダール法により測定した。 平均ペプチド鎖長(APL)
【0022】
【数3】
【0023】アミノ基の定量はTNBS(トリニトロベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム)法により測定し、完全加
水分解は6N塩酸溶液にして110℃、24時間反応さ
せた。 遊離アミノ酸含量 試料溶液を4%スルホサリチル酸濃度にして除蛋白処理
した後、測定可能なアミノ酸濃度に調整し、日立835
型アミノ酸分析計にて定量した。 分子量分布 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のゲル濾過法
(GPC法)にて測定した。カラムにTSKgelG3
000PWχL(東ソー社製)2本、溶出液に45%ア
セトニトリル−0.1%トリフルオロ酢酸溶液、検出は
吸光度210nmを用いた。チトクロームC(分子量1
2,500)、インスリン(分子量5,750)、アン
ギオテンシンII(分子量1,046)、グルタチオン
還元型(分子量307)を用い、分子量分布検量線を作
成後、分子量1,000以下の溶出時間を求め、その溶
出時間以降に溶出する分解物の窒素量を、分取した画分
から共存するアセトニトリルを完全に留去した後、ケル
ダール法で測定して分子量1,000以下のペプチド量
(遊離アミノ酸を含む)とした。
【0024】また、以下の式により、分子量1,000 以下
の分解物含量とした。
【0025】
【数4】
【0026】実施例1 乾燥卵白 (キューピー社製Nタイプ、80%蛋白) 64gを
水936ml に加え溶解した。別に酸カゼイン(NZラクテ
ィックカゼイン、83%蛋白) 96gを水900ml に分散さ
せ、水酸化ナトリウム2.2gを添加し溶解した。調製した
卵白溶液とカゼイン溶液を混合し均一にした後、110
℃、5分間殺菌した。この時、蛋白溶液は凝固を認めな
かった。得られた殺菌溶液にパンクレアチン(天野製薬
社製)1gとプロテアーゼA(天野製薬社製)1.4gを同
時に添加し、50℃、14時間酵素反応を行った。なお反応
中には凝固やカード化は認められなかった。酵素反応終
了後、反応液を90℃で15分間加熱し、酵素を失活させ、
次いで生成した不溶物を遠心分離 (7,000rpm、15分間)
し、凍結乾燥して、蛋白加水分解物148gを得た。(収率
91.0%、可溶性窒素指数 >99%)。
【0027】調製した蛋白質加水分解物の平均ペプチド
鎖長は1.9 で、遊離アミノ酸含量は27.9%、分子量1,00
0 以下の分解物量は92.8%であった。また、苦味、不快
味は感じなかった。
【0028】実施例2 分離大豆蛋白質(不二製油社製、PP1500、蛋白85%) 80
gを水920ml に加え溶解した。別に酸カゼイン(NZラ
クティックカゼイン、83%蛋白) 80gを水920mlに分散
させ、水酸化ナトリウム1.84g を添加し溶解した。調製
した分離大豆蛋白質溶液とカゼイン溶液を混合し均一に
した後、110 ℃、5分間殺菌した。次いで殺菌溶液にパ
ンクレアチン(天野製薬社製)1gとプロテアーゼA
(天野製薬社製)1.4gを同時に添加し、50℃、14時間酵
素反応を行った。酵素反応終了後、反応液を90℃で15分
間加熱し酵素を失活させ、次いで、生成した不溶物を遠
心分離 (7,000rpm、15分間) し、凍結乾燥して、蛋白質
加水分解物148gを得た。 (収率91.4%、可溶性窒素指数
>99%) 調製した蛋白質加水分解物の平均ペプチド鎖長は1.8
で、遊離アミノ酸含量は30.1%、分子量1,000 以下の分
解物質は93.0%であった。また、苦味、不快味は感じな
かった。
【0029】実施例3 乾燥卵白 (キューピー社製Nタイプ、蛋白80%) 50gと
分離大豆蛋白質(不二製油社製、PP1500、蛋白85%)50
gを水1200mlに溶解した。別に脱脂粉乳(蛋白31.2%)
150g (蛋白質46.8g)を水1000mlに溶解した。調製した溶
液を混合均一にした後、110 ℃、5分間殺菌した。次い
で殺菌溶液にパンクレアチン(天野製薬社製)1gとプ
ロテアーゼA(天野製薬社製)1.4gを同時に添加し、50
℃、14時間酵素反応を行った。酵素反応終了後、反応液
を90℃で15分間加熱し酵素を失活させ、次いで、生成し
た不溶物を遠心分離 (7,000rpm、15分間) し、凍結乾燥
して、蛋白質加水分解物241gを得た。 (収率96.4%、可
溶性窒素指数 >99%)。
【0030】調製した蛋白質加水分解物の平均ペプチド
鎖長は2.2 で、遊離アミノ酸含量は26.6%、分子量1,00
0 以下の分解物質は90.9%であった。また、苦味、不快
味は感じなかった。
【0031】実施例4 実施例1に従い調製した殺菌後の混合蛋白質溶液にプロ
テアーゼN(天野製薬社製)1gとプロテアーゼA(天
野製薬社製)1gを同時に添加し、50℃、14時間酵素反
応を行った。得られた反応液は実施例1に従い酵素失活
と不溶物除去、乾燥を行い、粉末144gを得た。( 収率8
8.8%、可溶性窒素指数98.7%) 調製した蛋白質加水分解物の平均ペプチド鎖長は2.6
で、遊離アミノ酸含量は15.5%、分子量1,000 以下の分
解物質は87.9%であった。また、苦味、不快味は感じな
かった。
【0032】実施例5 実施例2に従い調製した殺菌後の混合蛋白溶液にプロテ
アーゼN(天野製薬社製)1gを添加し、50℃、2時間
反応した後、プロテアーゼA(天野製薬社製)1gを添
加して、さらに50℃、14時間酵素反応を行った。得られ
た反応液は、実施例2に従い酵素失活と不溶物除去、乾
燥を行い、粉末150gを得た。 (収率92.7%、可溶性窒素
指数99.0%) 調製した蛋白質加水分解物の平均ペプチド鎖長は2.5
で、遊離アミノ酸含量は18.7%、分子量1,000 以下の分
解物質は93.4%であった。また、苦味、不快味は感じな
かった。
【0033】次に、本発明の実施例に対する比較例を挙
げ、更に詳細に説明する。比較例1 乾燥卵白 (キューピー社製Nタイプ、蛋白80%) 64gを
水1936mlに溶解し殺菌した。殺菌後の蛋白溶液は凝固し
たので、ホモジナイズし分散させた後、パンクレアチン
(天野製薬社製)1gとプロテアーゼA(天野製薬社
製)1.4gを同時に添加し、50℃、14時間酵素反応を行っ
た。得られた反応液は実施例1に従い酵素失活と不溶物
除去、乾燥を行い、粉末43.6g を得た。(収率68.2%、
可溶性窒素指数 >99.0%) 調製した卵白加水分解物の平均ペプチド鎖長は3.5 で、
遊離アミノ酸含量は16.6%、分子量1,000 以下の分解物
質は67.7%であった。また、苦味はさほど感じなかった
が、不快な硫黄臭と卵臭を強く感じた。
【0034】比較例2 分離大豆蛋白質 (不二製油社製、PP1500、蛋白85%) 80
gを水1920mlに加え溶解した。調製した分離大豆蛋白質
溶液を110 ℃、5分間殺菌し、次いでパンクレアチン
(天野製薬社製)1gとプロテアーゼA(天野製薬社
製)1.4gを同時に添加し、50℃、14時間酵素反応を行っ
た。得られた反応液は実施例2に従い酵素失活と不溶物
除去、乾燥を行い、粉末6259gを得た。(収率78.1%、
可溶性窒素指数99.0%)。
【0035】調製した卵白加水分解物の平均ペプチド鎖
長は3.2 で、遊離アミノ酸含量18.3%、分子量1,000 以
下の分解物量は75.3%であった。また、苦味と不快な豆
臭、大豆油臭を強く感じた。
【0036】比較例3 酸カゼイン(NZラクティックカゼイン、83%蛋白) 96
gを水900ml に分散させ水酸化ナトリウム2.2gを添加し
溶解した。調製したカゼイン溶液を110 ℃、5分間殺菌
後、パンクレアチン(天野製薬社製)1gとプロテアー
ゼA(天野製薬社製)1.4gを同時に添加し、50℃、14時
間酵素反応を行った。得られた反応液は実施例1に従い
酵素失活と不溶物除去、乾燥を行い、粉末91.9gを得
た。(収率93.6%、可溶性窒素指数 >99%)。
【0037】調製した卵白加水分解物の平均ペプチド鎖
長は2.1 で、遊離アミノ酸含量28.6%、分子量1,000 以
下の分解物量は93.4%であった。また、苦味を強く感じ
た。実施例1、2と比較例1、2、3での蛋白質加水分
解物調製時の収率、分解物の平均ペプチド鎖長、遊離ア
ミノ酸含量、分子量1000以下の分解物量の結果を、まと
めて表1に示した。参考例として比較例1、2、3で得
た蛋白質加水分解物の混合物を試料No.6(卵白分解物:
カゼイン分解物=64:96) 、試料No.7 (分離大豆蛋白分
解物:カゼイン分解物=1:1)に示した。
【0038】また、それぞれの試料のHPLCで測定し
た分子量分布パターンを第1図、第2図に示した。これ
らのことから明らかなように、本発明により調製した蛋
白質加水分解物(試料No.1;実施例1により調製、試料
No.2;実施例2により調製)は、単一の蛋白質基質で調
製した加水分解物(試料No.3、4)や、加水分解物の混合
物(試料No.6、7 )よりも、高収率で製造でき、しか
も、比較試料では分子量1000以上の高分子ペプチドの存
在がHPLCの分子量パターンで認められるが、本発明
品では高分子ペプチドは殆ど認められない。すなわち、
発明品のみが分子量1000以下が85%以上の低分子分解物
となっており、この結果は、本発明により分子量1000以
下が85%以上の低分子蛋白質加水分解を容易に、しかも
有利に製造可能であることを示している。
【0039】
【表1】
【0040】次に、上述のようにして得られた蛋白質加
水分解物の4%溶液の呈味性について、パネリストによ
り試験した結果を表2に示す。なお、比較例1、2、3
により調製した蛋白質加水分解物およびそれらの混合物
についても、同様に試験を行い、その結果も併せて表に
示した。 試料溶液の調製:各試料を4重量%濃度になるように水
に溶解した。
【0041】パネルテスト:各試料溶液について、年齢
が10代から50代の各10名づつ(計50名) を選んで官能テ
ストを行い、そのあてはまる項目を選択してもらった。
表2は、各試料の選択した項目毎の人数をまとめたもの
である。表2にみられる通り、本発明の方法に従って調
製された蛋白質加水分解物(試料A、B)は、従来法の
ごとく単一の蛋白質原料で調製した加水分解物や調製し
た後混合したもの(試料C〜G)に比べて不快味のない
ことがわかる。
【0042】さらに各試料の抗原性を調べるために、標
準卵白抗原、その抗卵白ウサギ血清及びPOD標識標準
抗うさぎIgG(ヤギ)を用いた阻害ELISA法によ
り評価した。実験に使用した標準卵白抗原と同等の抗原
性を持つ試料濃度、即ち、卵白抗原を50%阻害した濃度
(ID50) は、原料卵白で2.5 μg/ml、試料No.3(卵白
加水分解物:比較例1で調製)で63.1μg/mlに対し、本
発明品である試料No.1では39,800μg/mlとなり、本発明
品は、原料卵白に対し約1/4000倍に、また、比較試料N
o.3に対し約1/630 倍に抗原性が低下していた。このこ
とは本発明品No.1の卵白由来窒素源が全体の40%しかな
いことを加味しても、卵白由来の抗原性は約1/250 倍に
低減化されていることを示している。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】以上のことから、本発明の方法は、従来
のごとく単一の蛋白質を基質として酵素分解する方法と
比べ、不快味がなく、分子量が1000以下が85%以上の低
分子分解物を容易に、しかも有利に調製できるので、本
発明により得られる製品は、経腸栄養剤、栄養補給飲料
等の素材ないしは医薬品素材として有効に使用できる優
れた窒素源素材を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例における試料No.1:本発明品(実
施例1調製品)、試料No.3 (比較例1調製品)、試料N
o.5 (比較例3調製品)のHPLCで測定した分子量分
布パターンを示す図であり、縦軸は210nm における吸収
率、横軸は保持時間を示している。
【図2】本発明実施例における試料No.5:本発明品(実
施例2調製品)、試料No.4 (比較例2調製品)、試料N
o.5 (比較例3調製品)のHPLCで測定した分子量分
布パターンを示す図であり、縦軸は210nm における吸収
率、横軸は保持時間を示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A23L 1/305 A23L 1/305 C12P 21/06 C12P 21/06 // A61K 38/00 ADD A61K 37/18 ADD

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】乳蛋白質を除く蛋白質を原料として酵素加
    水分解物を製造するに際して、原料蛋白質に乳蛋白質を
    添加、混合して、複数種の酵素を同時に作用させるか、
    段階的に作用させて酵素加水分解を行うことを特徴とす
    る不快味のない蛋白質加水分解物の製造法。
  2. 【請求項2】原料蛋白質に添加、混合する乳蛋白質の割
    合が、原料蛋白質に対して蛋白質量で5〜90重量%であ
    る請求項1に記載の製造法。
  3. 【請求項3】原料蛋白質に添加、混合する乳蛋白質の割
    合が、原料蛋白質に対して蛋白質量で20〜70重量%であ
    る請求項1に記載の製造法。
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