JPH10165106A - 改質された大豆蛋白素材の製造方法 - Google Patents

改質された大豆蛋白素材の製造方法

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JPH10165106A
JPH10165106A JP8327187A JP32718796A JPH10165106A JP H10165106 A JPH10165106 A JP H10165106A JP 8327187 A JP8327187 A JP 8327187A JP 32718796 A JP32718796 A JP 32718796A JP H10165106 A JPH10165106 A JP H10165106A
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JP
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protein
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soybean protein
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protein material
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JP8327187A
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English (en)
Inventor
Kazuko Ito
和子 伊藤
Yoshinari Kawabata
良成 川端
Noriki Nio
式希 丹尾
Yutaka Nishimura
豊 西村
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゲル化性、泡特性、乳化特性等種々の機能特
性が改質された大豆蛋白素材の製造方法を提供すること
を目的とする。 【構成】 脱脂大豆を水抽出、酸沈、中和・解砕、加熱
殺菌、乾燥して大豆蛋白素材を製造する方法に於いて、
中和・解砕工程中に、蛋白部分加水分解物又は異種蛋白
を添加して、次にトランスグルタミナーゼ処理を行うこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、改質された大豆蛋
白素材の製造方法に関する。更に詳細には、大豆蛋白素
材を製造する際に、蛋白部分加水分解物等を添加後、更
にトランスグルタミナーゼを添加、作用させることによ
り得られる、ゲル化性、泡特性、乳化性等種々の機能特
性が改質された大豆蛋白素材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】脱脂大豆を水抽出、酸沈、中和・解砕、
加熱、乾燥して大豆蛋白素材を製造する基本製法は古く
から行われてきている。また近年、色調、風味、物性が
良好な大豆蛋白素材を得る為に、数多くの上記基本製法
の改良法が報告されている。例えば、上記製造プロセス
中の酸沈工程でアルカリ土類金属を添加することにより
色調の優れた大豆蛋白素材を得る方法(特開平4ー20
7159号参照)等である。しかしながら、既に報告さ
れている種々の改良法は色調等の改良に於いてはいずれ
も優れた方法であるが、残念ながら優れたゲル化性、泡
特性、乳化性を有する大豆蛋白素材を供給するという点
に於いては必ずしも充分な方法とは言えない。
【0003】一方、トランスグルタミナーゼ(以後、T
Gase又はTGと称する場合もある)を用いて優れた
大豆蛋白素材を得る技術も多数報告されている。例え
ば、大豆蛋白含有水溶液にTGaseを作用させた後に
加熱、乾燥して大豆蛋白粉末素材を得る方法(特開平2
ー257931号)、大豆蛋白含有水溶液にTGase
とカルシウム化合物を添加後、加熱、乾燥して風味、色
調に優れた大豆蛋白粉末素材を得る方法(特開平4ー6
5348号)、大豆蛋白含有水溶液にTGaseと乳化
剤を作用させた後に加熱、乾燥して良好な風味、色調、
弾力を有する大豆蛋白粉末素材を得る方法(特開平4ー
79842号)等が報告されている。しかし、これらの
技術はいずれも優れたものであるが、ゲル化性、泡特
性、乳化性がより優れた大豆蛋白素材を得るという点に
於いて、必ずしも充分なものでは無かった。
【0004】また、特開平4ー126039号には食用
蛋白をプロテアーゼで限定加水分解して得られたペプチ
ドにTGaseを作用させて苦み、渋みの無い機能性ペ
プチドを調製する技術が報告されているが、大豆蛋白素
材の製造過程で1)蛋白部分加水分解物等を添加後、T
Gaseを作用させて、ゲル化性、泡特性、乳化性の良
好な大豆蛋白素材を得る手法については全く報告されて
いない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はゲル化
性、泡特性、乳化性の良好な大豆蛋白素材の製造方法の
提供である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を行った結果、大豆蛋白質の製造工
程に於いて、1)蛋白部分加水分解物又は2)異種蛋白
を添加後、更にTGaseを添加、作用させることによ
り、上記課題を解決できることを見出し本発明を完成す
るに至った。即ち、本発明は、脱脂大豆を水抽出、酸
沈、中和・解砕、加熱、乾燥して大豆蛋白素材を製造す
る方法に於いて、中和・解砕工程中に、蛋白部分加水分
解物又は異種蛋白を添加し、更にトランスグルタミナー
ゼを添加、作用させた後、従来どおり加熱、乾燥するこ
とを特徴とする改質された大豆蛋白素材の製造方法であ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細を述べる。本
発明の脱脂大豆は、通常の食品用又は製油用大豆を脱脂
したものを用いれば良い。尚、脱脂の方法は通常の脱
皮、圧扁、抽出、脱溶剤処理という工程、即ち未変性の
脱脂大豆を得る為に通常用いられている工程を用いれば
良い。この様にして得られた未変性脱脂大豆に対し5〜2
0倍量、好ましくは7〜15倍量の水又は温水を加えて蛋白
質を抽出し、オカラ画分(水不溶の非蛋白固体区分)を遠
心分離等の方法により分離、除去する。この工程が水抽
出工程である。
【0008】次に、上記水抽出液を攪拌等の方法により
均一に分散し、酸を加えて等電点(pH約4〜約5.5近辺)付
近まで酸性化し、生成する酸沈澱大豆蛋白(酸沈カー
ド、Curd)を採取する。この工程が酸沈工程である。こ
こで使用する酸は食品添加物として使用可能なものであ
れば何を用いても良く特に限定されるものではないが、
使用する装置、容器の耐久性等を考慮して硫酸、塩酸、
リン酸、酢酸等が好ましい。
【0009】さて、中和・解砕工程で工程で添加する蛋
白部分加水分解物(尚、本明細書中に於いて、蛋白部分
加水分解物をペプチドフラグメントと称することもあ
る)の調製について記す。攪拌させた水又は温水にカゼ
イン類、乳ホエイ蛋白、血漿蛋白、ゼラチン、コラーゲ
ン、大豆蛋白、小麦蛋白、トウモロコシ蛋白等のうちい
ずれか一種以上を適当量添加した後、該水溶液にプロテ
アーゼを添加して反応させる。本発明で使用されるプロ
テアーゼ(本発明に於いてはペプチダーゼもプロテアー
ゼに含めることにする)は食品用として通常用いられて
いるものであれば何を用いても良い。例えば、トリプシ
ン、キモトリプシン、ブロメライン、パパイン等を用い
ることができる。また、これらプロテアーゼを2種以上
組み合わせて用いても構わない。
【0010】取り分け、トリプシンは、蛋白質、ペプチ
ドのカルボキシル側、及びアルギニン、リジンのエステ
ル結合を加水分解するセリンプロテアーゼである。従っ
て、TGaseが蛋白部分加水分解物と併用して使用さ
れる場合は、TGaseがグルタミン酸残基のγ−カル
ボキシルアミド基とリジン残基のε−アミノ基との間で
ε−(γ−Glu)Lys架橋結合を生成させることを考
慮すると、Lys残基を露出されることができるトリプ
シンを用いる事が好ましい。
【0011】ペプチドフラグメントの原料、即ち基質と
なる蛋白質としては、カゼイン、カゼインナトリウム、
カゼインカリウム、カゼインカルシウム、脱脂粉乳、全
脂粉乳等のカゼイン類、乳ホエイ、ラクトアルブミン、
ラクトグロブリン等の乳ホえイ蛋白、牛、羊等の各種動
物由来の血漿蛋白、ゼラチン、コラーゲン、分離大豆蛋
白、抽出大豆蛋白等の大豆蛋白、小麦蛋白、トウモロコ
シ蛋白等から選ばれた一種、又二種以上を組み合わせて
用いれば良い。また、これらの蛋白の中でも取り分け、
カゼイン類、乳ホエイ蛋白、血漿蛋白がより優れた効果
を呈するので、上記三種類の内から選ばれた一種以上を
用いるのが好ましい。
【0012】これらの蛋白に適当量の水又は温水を加え
た後に、プロテアーゼを添加して加水分解反応を行う。
次に、反応を触媒するプロテアーゼのこの溶液に対する
添加量は特に制限される訳ではないが、基質となる蛋白
質1g重量部当たり通常0.01〜50,000ユニット、好まし
くは0.1〜6,000ユニット添加すればよい。また、この時
の反応温度及び反応時間も特に制限されるものではない
が、通常0〜90℃、好ましくは10〜60℃で、5分〜48時
間、好ましくは15分〜8時間反応させればよい。尚、通
常反応液のpH調整は不要であるが、用いるプロテアー
ゼの種類により反応液のpHを調整しても良い。プロテ
アーゼ反応終了後、得られた反応液を加熱して反応を停
止させ、これをペプチドフラグメント溶液とする。
【0013】反応を停止する為の加熱であるが、通常蛋
白質の変性を回避し、かつ殺菌を行うために、高温短時
間の処理、例えばUHT(Ultra high temperature heat
ung)装置による瞬間加熱処理を行う。その具体的な条件
は、通常120℃以上で10秒以上、好ましくは130℃〜140
℃、60〜180秒である。
【0014】ペプチドフラグメントを前述のように酵素
を用いて調製してもよいし、酸又はアルカリによる加水
分解を利用して調製しても構わない。この時用いる酸、
アルカリは特に限定される訳ではないが、例えば塩酸、
硫酸、リン酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム等のアルカリを用いればよい。更に、小麦蛋白部分加
水分解物、カゼイン部分加水分解物等の市販されている
蛋白部分加水分解物を購入して使用しても良い。購入品
を用いる場合は適当量を水又は温水に溶解させたものを
用いればよい。いずれの場合も蛋白部分加水分解物とし
ては、その平均分子量が通常約500〜約40000、
好ましくは約1000〜約15000程度のものを用い
ればよい。
【0015】尚、蛋白部分加水分解物としては、前述し
たような天然の蛋白質の蛋白部分加水分解物以外にも市
販されているリジンペプチドなどの単一のアミノ酸から
なるペプチドもその同効物として使用できる。
【0016】また、本発明に於いては蛋白部分加水分解
物に代えて、上述したカゼイン、カゼインナトリウム、
カゼインカリウム、カゼインカルシウム等のカゼイン
類、乳ホエイ、ラクトアルブミン、ラクトグロブリン等
の乳ホセイ蛋白、血漿蛋白、ゼラチン、コラーゲン、小
麦蛋白、トウモロコシ蛋白等の各異種蛋白を1種類以上
用いてもよい。また、蛋白部分加水分解物と異種蛋白を
併せて用いても構わない。 しかし、蛋白部分加水分解
物の方が異種蛋白よりもやや効果高いので、蛋白加水分
解物を用いる方が好ましい。尚、ここで異種蛋白とは大
豆蛋白以外の蛋白質を意味する。
【0017】次に、酸沈カードを中和・解砕する工程の
際に、先程のペプチドフラグメント(蛋白部分加水分解
物)又は異種蛋白溶液を添加する。即ち、酸沈カードに
ペプチドフラグメント又は異種蛋白溶液を加えてよく混
合する。この混合液のpHが約6〜約7.5の範囲になる様に
水、アルカリ、又はアルカリ水溶液を徐々に加えながら
解砕する。尚、このようにして得られた溶液を中和液と
称する。さて、酸沈カードに添加するペプチドフラグメ
ント又は異種蛋白の配合比は、対固形分比で酸沈カード
当たり5〜95重量%、好ましくは20〜60%重量となる様に
する。またここで使用するアルカリとしては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等であ
る。次に得られた中和液を、TGase処理した後加熱
する。
【0018】本発明で使用されるTGaseは、蛋白質
及びペプチド鎖中のグルタミン酸残基のγ−カルボキシ
ルアミド基と一級アミンとの間でアシル転移反応を触媒
する酵素である(Folk et al.,Advances in Enzymelogy,
38, 109〜191(1973) 及び Folk et al.,Advances in Pr
otein Chemistry,31,1〜133(1977)参照)。即ち、TGa
seは、アシル受容体として蛋白質中のリジン残基のε
−アミノ基を一級アミンとして認識するので、蛋白質分
子内及び蛋白質分子間にε−(γ−Glu)Lys架橋結
合を生成させることができる。また、蛋白質中のリジン
残基のε−アミノ基をブロックした状態でTGaseを
作用させると、一級アミンであるアミノ酸、アミノ酸エ
ステル、及びペプチドとの間に架橋結合を生成し、それ
らを蛋白質に導入することができる。更に、反応系内に
一級アミンを存在させなければ、水をアシル受容体とし
てグルタミン残基を脱アミド化しグルタミン酸残基に変
換させることができる酵素である。
【0019】従って、本発明に於いては、中和液中に含
まれる成分のうち大豆酸沈カード由来のものが母体蛋白
として、又同じく中和液に含まれるペプチドフラグメン
ト又は異種蛋白由来のものが導入される一級アミンとし
て作用し、架橋結合を形成するのである。
【0020】さて、本発明で使用されるTGaseとし
てはカルシウム非依存性のものとカルシウム依存性のも
のがある。前者の例としては微生物由来のもの(例え
ば、特開平1ー27471号公報参照)を挙げることが
できる。後者の例としてはモルモット肝臓由来のもの
(特公平1ー50382号公報参照)、動物血液由来の
もの(Factor XIIIとも呼ばれる)、魚由来のもの(例
えば、関信夫ら「日本水産学会誌」第56巻、第1号、
第125ー132頁(1990)年参照)を挙げること
ができる。この他、遺伝子組換え法により製造されたも
の(特開平1ー300889号公報、特開平5ー199
883号公報、特開平6ー225775号公報参照)な
ど、いずれのTGaseでも用いることができ、起源及
び製法に限定される訳ではない。
【0021】但し、機能性及び経済性の点から、好まし
くはカルシウム非依存性のものがよい。例えば、上述の
微生物由来のものTGase(特開平1ー27471号
公報)などは、いずれの条件も満足するものであり、現
時点では最も好ましいと思われる。
【0022】TGaseの添加量は中和液中の蛋白1g
当たり0.01−100ユニット、好ましくは0.1−30ユニット
である。また、反応温度及び反応時間は特に制限される
ものではないが、通常0〜65℃、好ましくは10〜55℃
で、通常5分〜48時間、好ましくは20分〜8時間反
応させればよい。
【0023】TGase処理を行った中和液を次に加熱
処理する。この加熱処理は殺菌工程を兼ねるものであ
る。加熱は前述したプロテアーゼの反応を停止する場合
と同様に、通常蛋白質の変性を回避するために、高温短
時間の処理、例えばUHT(Ultra high temperature he
atung)装置による瞬間加熱を行う。その具体的な条件
は、通常120℃以上で10秒以上、好ましくは130
℃〜140℃、60〜180秒である。
【0024】最後に、加熱殺菌液を乾燥させる。その方
法は特に限定されるものではなく、凍結乾燥、噴霧乾燥
等のいずれを用いても構わないが、乾燥後に得られる改
質された大豆蛋白素材粉末の溶解性が十分確保されるこ
とが必要である。このようにして得られた改質された大
豆蛋白は、例えば蒲鉾、竹輪、生揚げ、はんぺん等の水
産練製品、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、肉団子等の
畜肉製品を始め、メレンゲ、マシュマロ、スポンジケー
キ、ワッフル、チーズ等の洋菓子、練り羊かん、団子、
餅菓子等の和菓子、アイスクリーム、ヨーグルト等の乳
製品、等の種々の加工食品に利用できる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
尚、本発明の技術的範囲は以下の実施例に基づくもので
はない。
【0026】(実施例1)未変性脱脂大豆0.7kgを6.3kg
の温水(50℃)中に投入し10%NaOH溶液にてpH7.0に調整し
た後攪拌しながら30分間抽出した。次に、遠心分離でオ
カラを除去した後攪拌して均一に分散させたところへ硫
酸を加えてpH4.5に調整し、その後遠心分離にてホエー
を除去し酸沈カードを得た。
【0027】一方、攪拌させた温水2.7kgに対してカゼ
インナトリウム0.3kgを添加して均一な溶液とした後10%
NaOH溶液にてpH7.0に調整した。これにトリプシンを蛋
白1g当たり0.5Uになるように添加して50℃で20分
間の反応させた。その後、135℃で2分間UHT処理を施し
て反応を停止させ、平均分子量約5000のカゼインナ
トリウムペプチドフラグメント(蛋白部分加水分解物)
を得た。これら酸沈カード及びペプチドフラグメント溶
液を、固形分比率が1:1に又トータル固形分が10%に
なる様にそれぞれ加えてよく混合した。次に、この混合
液のpHが7.0になる様に10%NaOH溶液を徐々に加えながら
解砕して中和液を得た。
【0028】この中和液に蛋白1g当たり1UのTGa
seを添加して50℃で30分間反応させた後、135℃で2分
間のUHT処理により反応停止並びに加熱殺菌を行った。
この加熱殺菌液を凍結乾燥により乾燥し、改質された大
豆蛋白素材粉末を得た。
【0029】さて、得られた改質大豆蛋白素材(本発明
品)を用いて以下の通り、肉混合ゲルをそれぞれ調製し
た。豚赤身もも挽肉70gを松下電器(株)製スピード
カッターにて1分間カッティングを行い肉ペーストとし
た。一方、食塩2gを市水21gに溶解させた中に、先
程得た改質大豆蛋白素材7gを徐々に添加して蛋白ペー
ストとした。
【0030】この蛋白ペーストをスピードカッターに移
して肉ペーストと共に15秒間カッティングを行い混
合、均一化を図った。次いで、5分間真空らいかいを行
い脱気しながらさらにカッティングを行った後、直径3
0mmの塩化ビニリデンケーシングチューブに充填し肉
混合ゲルを調製した。
【0031】これを一晩冷蔵した後、翌日70℃で50
分間加熱した。加熱後、少し冷却させた後、さらに一晩
冷蔵し翌日(即ち調製日から三日目)室温に戻した後物
性を評価した。この肉混合ゲルを5mm厚にスライス
し、その両端を指で摘んで半分に折り曲げたところ、表
面にひび割れを生ずることなくしなやかに曲がり、指を
離すと初めの平らな形に復元した。この結果から分かる
ように、蛋白部分加水分解物とTGaseで処理を得た
製品は極めて、しなやかでかつ弾力性のあるものであっ
た。
【0032】一方、本発明の蛋白部分加水分解物とTG
ase処理により得られた改質大豆蛋白素材の代わり
に、市販されている分離大豆蛋白7gを添加して蛋白ペ
ーストを調製する以外は全く同じようにして得た肉混合
ゲルを5mm厚にスライスし、その両端を指で摘んで半
分に折り曲げたところ、表面がひび割れて二つに折れ
た。即ち、この結果は従来の大豆蛋白では不可能であっ
た畜魚肉製品へのスライス歩留向上、しなやかさの付与
が可能となったことを示している。従って、本発明の改
質大豆蛋白素材を、例えばハムのピックル製剤成分とし
て使用すれば、スライス歩留の良好なしなやかなハムを
得ることが出来ると思われる。
【0033】(実施例2)未変性脱脂大豆0.8kgを7.1kg
の温水(45℃)中に投入し10%NaOH溶液にてpH7.0に調整
した後攪拌しながら40分間抽出した。次に、遠心分離で
オカラを除去した後攪拌して均一に分散させたところへ
硫酸を加えてpH4.5に調整した。その後、遠心分離にて
ホエーを除去し酸沈カードを得た。
【0034】一方、攪拌させた温水2.8kgに対して乳ホ
エイ0.4kgを添加して均一な溶液とした後10%NaOH溶液に
てpH7.0に調整した。これにトリプシンを蛋白1g当た
り0.5Uになるように添加して50℃で30分間の反応
させた。その後、135℃で2分間UHT処理を施して反応を
停止させ、平均分子量約13000の乳ホエイ蛋白部分
加水分解物を得た。これら酸沈カード及び乳ホエイ蛋白
部分加水分解物溶液を、固形分比率が1:1に又トータ
ル固形分が10%になる様にそれぞれ加えてよく混合し
た。次に、この混合液のpHが7.0になる様に10%NaOH溶液
を徐々に加えながら解砕して中和液を得た。
【0035】この中和液に蛋白1g当たり2UのTGa
seを添加して50℃で45分間反応させた後、135℃
で2分間のUHT処理により反応停止並びに加熱殺菌を行っ
た。この加熱殺菌液を凍結乾燥により乾燥し、改質され
た大豆蛋白素材粉末を得た。一方、乳ホエイ部分加水分
解物及びTGaseを添加作用させない以外は、全く同
一の方法で調製した大豆蛋白素材をコントロール1、T
Gaseを添加しない以外は全く同一の方法で調製した
大豆蛋白素材をコントロール2とした。
【0036】さて、得られた改質大豆蛋白素材(本発明
品)、コントロール1及び2をそれぞれ用いて実施例1
と全く同じ方法で肉混合ゲルを調製して評価した。
【0037】本発明の改質大豆蛋白素材を用いて調製し
た肉混合ゲルは5mm厚にスライスし、その両端を指で
摘んで半分に折り曲げても、表面にひび割れを生ずるこ
となくしなやかに曲がり、指を離すと初めの平らな形に
復元した。一方、コントロール1及び2を用いて調製し
た肉混合ゲルは5mm厚にスライスし、その両端を指で
摘んで半分に折り曲げたところ、表面がひび割れて、二
つに折れた。この結果から分かるように、乳ホエイ蛋白
部分加水分解物とTGaseで処理を得た改質大豆蛋白
素材を用いて調製した製品は極めて、しなやかでかつ弾
力性のあるものであった。
【0038】(実施例3)未変性脱脂大豆0.9kgを8.1kg
の温水(50℃)中に投入し10%NaOH溶液にてpH7.0に調整し
た後攪拌しながら30分間抽出した。次に、遠心分離でオ
カラを除去した後攪拌して均一に分散させたところへ硫
酸を加えてpH4.5に調整した。その後、遠心分離にてホ
エーを除去し酸沈カードを得た。
【0039】一方、攪拌させた温水2.7kgに対して牛血
漿蛋白0.3kgを添加して均一な溶液とした後10%NaOH溶液
にてpH7.0に調整した。これにトリプシンを蛋白1g当
たり0.45Uになるように添加して50℃で30分間の反
応させた。その後、135℃で2分間UHT処理を施して反応
を停止させ、平均分子量約7500の牛血漿蛋白部分加
水分解物を得た。これら酸沈カード及び牛血漿蛋白部分
加水分解物溶液を、固形分比率が1:1に又トータル固
形分が10%になる様にそれぞれ加えてよく混合した。次
に、この混合液のpHが7.0になる様に10%NaOH溶液を徐々
に加えながら解砕して中和液を得た。
【0040】この中和液に蛋白1g当たり1UのTGa
seを添加して50℃で40分間反応させた後、135℃
で2分間のUHT処理により反応停止並びに加熱殺菌を行っ
た。この加熱殺菌液を凍結乾燥により乾燥し、改質され
た大豆蛋白素材粉末を得た。一方、蛋白部分加水分解物
を添加しない以外は全く同一の方法で調製したものをコ
ントロールとして、以下の評価をおこなった。
【0041】さて、得られた改質大豆蛋白素材(本発明
品)及びコントロールを用いて実施例1と全く同じ方法
で肉混合ゲルを調製して評価した。
【0042】本発明の改質大豆蛋白素材を用いて調製し
た肉混合ゲルは5mm厚にスライスし、その両端を指で
摘んで半分に折り曲げても、表面にひび割れを生ずるこ
となくしなやかに曲がり、指を離すと初めの平らな形に
復元した。一方、コントロール品を用いて調製した肉混
合ゲルも優れた復元力を有していたが、10名の選ばれ
たパネルによる官能検査の結果、本発明品に比較すると
若干弾力性、しなやかさに欠けた。
【0043】(比較例1)泡立たない様に緩く攪拌させ
たpH7の0.1Mリン酸緩衝液100ml中に実施例
1〜3で得た改質大豆蛋白素材並びに対照として市販さ
れている分離大豆蛋白、カゼインナトリウム、牛血漿蛋
白及び粉末卵白を各1gずつ添加して調製した蛋白溶液
を、3,000rpmで10分間攪拌させた際の起泡ま
でに要する時間を調べた。
【0044】本発明の改質大豆蛋白素材(実施例1〜
3)はいずれも従来の大豆蛋白素材に比べて格段に短縮
された。また、泡特性が良好とされるカゼインナトリウ
ムや卵白粉末と比較しても十分優位性が認められた(表
1)。尚、表1に於いて起泡時間が短い程、起泡力が良
好なことを意味する。また、表1中の不完全起泡とは1
0分間の攪拌を終了した時点で、未だ全体の起泡に至ら
ず溶液状態のままの部分が残っている場合を意味する。
【0045】
【表1】
【0046】表1の結果から、本発明により泡立ち時間
が大幅に短縮され、作業性を著しく改善し得る。また、
従来起泡特性良好な素材として一般に卵白が用いられて
いるが、大豆蛋白に比べ価格が高いものであった。従っ
て、本発明の改質大豆蛋白を用いれば卵白代替を図るこ
とができ、著しいコストダウンを図ることができる。
【0047】(比較例2)泡立たない様に緩く攪拌させ
たpH7の0.1Mリン酸緩衝液100ml中に、実施
例1〜3で得た改質大豆蛋白素材並びに対照として市販
されている分離大豆蛋白を各1gずつ徐々に添加して調
製した蛋白溶液を、3,000rpmで10分間攪拌さ
せた際の泡立ちを調べた。その結果、本発明に係る改質
大豆蛋白素材(実施例1〜3)はいずれも従来の大豆蛋
白素材に比べて格段に向上が認めらた。表2にその結果
を示した。尚、表2中の起泡力とは10分間攪拌後の泡
量(ml)/元の溶液量(100ml)であり、この数値が高
い程、起泡力が高いことを意味する。
【0048】
【表2】
【0049】また、泡の質を観察すると、従来の大豆蛋
白素材では不均一で“す”の多い泡を形成したのに対
し、本発明品はクリーミーな泡を形成した。このこと
は、従来大豆蛋白単独では不可能であった良好な起泡特
性の付与も、本発明によって可能となることを意味して
いる。従って、本発明の改質大豆蛋白素材を例えばスポ
ンジケーキの配合素材として使用すれば、きめが細か
く、かつ膨らみの良好な生地のスポンジケーキを得るこ
とが出来ると思われる。
【0050】
【発明の効果】本発明は、大豆蛋白製造工程中の中和・
解砕工程に於いて、蛋白部分加水分解物又は異種蛋白を
添加後、更にTGaseを添加、作用させることによ
り、従来の大豆蛋白素材では不十分であったゲル特性、
泡特性、乳化特性等種々の機能特性が付与された。
【0051】更に本発明で示すように、ペプチドフラグ
メント等を大豆蛋白に導入した結果、全体に対する大豆
の割合が下がる為、大豆臭が低減されるという副次的な
効果ももたらされた。従って、本発明は様々な加工食品
の品質向上、コスト削減に寄与することが大いに期待さ
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A23J 3/12 A23J 3/12 (72)発明者 西村 豊 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社食品総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱脂大豆を水抽出、酸沈、中和・解砕、
    加熱、乾燥して大豆蛋白素材を製造する方法に於いて、
    中和・解砕工程中に、蛋白部分加水分解物又は異種蛋白
    を添加し、更にトランスグルタミナーゼを添加、作用さ
    せた後、従来どおり加熱、乾燥することを特徴とする、
    改質された大豆蛋白素材の製造方法。
  2. 【請求項2】 蛋白部分加水分解物がカゼイン類、乳ホ
    エイ蛋白、血漿蛋白の部分加水分解物である請求項1記
    載の改質された大豆蛋白素材の製造方法。
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