JP3107789B2 - 卵殻カルシウム組成物及びその製造方法並びに該卵殻カルシウム組成物を含有する食品 - Google Patents

卵殻カルシウム組成物及びその製造方法並びに該卵殻カルシウム組成物を含有する食品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、卵殻カルシウム組
成物及びその製造方法並びに該卵殻カルシウム組成物を
含有する食品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、卵殻は、天然のカルシウム源
として用いられており、粉末、顆粒あるいは液状に加工
して、そのまま食したり各種食品に添加されている。液
状とする際には卵殻を有機酸に溶解するのが一般的であ
り、そのような卵殻の有機酸溶液を乾燥し粉末状や顆粒
状にすることもできる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、卵殻を
いったん有機酸に溶解すると、卵殻特有の苦みやえぐみ
が生じ易く、液状でも粉末状でもそのままでは食し難い
傾向があった。また、カルシウム強化のために飲料や菓
子など各種食品に添加する際には、卵殻以外の成分によ
りその苦みやえぐみをマスキングする必要があり、食品
の風味が限定されていた。また、食品中の配合量も制限
されていた。特に、酸性の食品や液状の食品において
は、苦みやえぐみが生じ易く、卵殻カルシウムを含有し
た酸性の食品や液状の食品を提供することは非常に難し
かった。そこで、特開平9−220071号公報に開示
されているように苦みやえぐみが低減された卵殻カルシ
ウム組成物も提案されているが、より味のまろやかさを
求めた場合には満足できるものではなかった。
【0004】一方、従来よりカルシウム強化に用いられ
ている食品添加物、例えば乳酸カルシウム、塩化カルシ
ウムにおいても、そのカルシウム特有の風味が強く、そ
のままでは食し難く、また、各種食品に添加する際に
も、食品が本来有する風味を損なうことがあり、食品へ
の添加量が制限されていた。
【0005】よって、本発明の目的は卵殻特有の苦みや
えぐみが低減され、さらにまろやかさを有する卵殻カル
シウム組成物及びその製造方法、並びに該卵殻カルシウ
ム組成物を含有しているにもかかわらず、本来有する風
味が損なわれていない食品を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために種々検討した結果本発明に到達した。す
なわち、本発明は、 (1)卵殻を有機酸溶液に溶解した溶液であって、蛋白
質、蛋白質分解物及び遊離アミノ酸を含有し、全アミノ
酸成分に対する遊離アミノ酸成分の割合が10%以下で
あり、前記溶液100g中のカルシウム含量が0.00
1g以上であり、全アミノ酸成分として、バリン、ヒス
チジン3.0ppm以下、メチオニン0.3ppm以
下、アスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、アルギ
ニン3.5ppm以上40ppm以下、チロシン2.0
ppm以上40ppm以下、グリシン、アラニン1.0
ppm以上40ppm以下である食品用卵殻カルシウム
組成物。 (2)卵殻を有機酸溶液に溶解後乾燥して粉末状又は顆
粒状にしたものであって、蛋白質、蛋白質分解物及び遊
離アミノ酸を含有し、全アミノ酸成分に対する遊離アミ
ノ酸成分の割合が10%以下であり、前記粉末状又は顆
粒状にしたものを再溶解して100g中のカルシウム含
量が0.001g以上の溶液とした場合、全アミノ酸成
分として、バリン、ヒスチジン3.0ppm以下、メチ
オニン0.3ppm以下、アスパラギン酸、グルタミン
酸、ロイシン、アルギニン3.5ppm以上40ppm
以下、チロシン2.0ppm以上40ppm以下、グリ
シン、アラニン1.0ppm以上40ppm以下である
食品用卵殻カルシウム組成物。 (3)全アミノ酸の一部又は全部が卵殻由来である
(1)又は(2)記載の卵殻カルシウム組成物。(4) (1)乃至(3)いずれかに記載の卵殻カルシウ
ム組成物を含有する食品、である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本発明において「%」はすべて「重量%」を、
「部」はすべて「重量部」を意味する。
【0008】まず、本発明において卵殻カルシウム組成
物とは、鳥類一般の卵殻を有機酸溶液に溶解して液状と
したもの、あるいは、その溶解液を乾燥して粉末状や顆
粒状に加工したものである。
【0009】本発明の卵殻カルシウム組成物は、蛋白質
及び蛋白質分解物を含有する。これは、カルシウム特有
のえぐみや苦みが、蛋白質や蛋白質分解物によってマス
キングされ、まろやかな味になるからである。また、蛋
白質及び蛋白質分解物の一部又は全部は卵殻由来が好ま
しい。これは、卵殻カルシウムがカルシウム源として優
れている要因の一つとして、卵殻中に含まれる蛋白質成
分が関与していると考えられているからである。
【0010】また、全アミノ酸とは、アミノ酸、ペプチ
ド等蛋白質分解物、蛋白質等の形で含まれている各アミ
ノ酸の全量で、卵殻中にはアスパラギン酸、トレオニ
ン、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラ
ニン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、
チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、リジン、ア
ルギニンが存在する。これらのうち、本発明の卵殻カル
シウム組成物においては、100g中のカルシウム含量
が0.001g以上の溶液とした場合に、全アミノ酸成
分として、バリン、ヒスチジン3.0ppm以下、メチ
オニン0.3ppm以下を含有する。これらのアミノ酸
は苦みやえぐみに関与しているため、少なければ少ない
ほど好ましく、0ppmならばいうことはない。
【0011】また、本発明の卵殻カルシウム組成物にお
いては、100g中のカルシウム含量が0.001g以
上の溶液とした場合に、全アミノ酸成分として、アスパ
ラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、アルギニン3.5
ppm以上、チロシン2.0ppm以上、グリシン、ア
ラニン1.0ppm以上を含有する。これらのアミノ酸
は味のまろやかさに関与しているが、あまり多すぎても
他の食品中の糖質などの成分と反応し、褐変や沈殿を生
じ、品位に影響が出る場合もあるため、40ppm以下
が好ましい。
【0012】本発明においては、全アミノ酸成分の含有
量を、100g中にカルシウムを0.001g以上含有
する場合に限定している。これは、卵殻カルシウムを有
機酸溶液に溶解して液状とした場合、あるいはその溶解
液を乾燥して粉末状や顆粒状としたものは水などに再溶
解して液状とした場合に、100g中のカルシウム含量
が0.001g未満であるとカルシウム強化の目的を満
たすためには大量に摂取しなければならないからであ
る。また、本発明品を液状品とし、100g中のカルシ
ウム含量が10gを越えるようにする場合、いずれの有
機酸溶液に卵殻粉末を溶解しても水溶液中でのカルシウ
ム結晶の析出を抑えられないため、使用する際によく振
る、必要に応じて加熱溶解する、あるいは、予めガム質
などにより析出物を分散させる等の処置をするとよい。
【0013】また、本発明において全アミノ酸の一部又
は全部が卵殻由来である。これは、卵殻カルシウムを有
機酸に溶解した時に卵殻から溶液中に溶け出す蛋白質や
蛋白質分解物を含むからである。
【0014】また、本発明において、全アミノ酸成分に
対する遊離アミノ酸成分の割合が10%以下である。全
アミノ酸とは、前述のとおりであり、遊離アミノ酸と
は、他のアミノ酸と結合してペプチドなどを形成してい
ないものである。卵殻粉末を有機酸に溶解すると、卵殻
中の蛋白質やペプチドの中からロイシン、フェニルアラ
ニン、アルギニン、チロシン、ヒスチジン、リジンが遊
離する。本発明の卵殻カルシウム組成物においては、全
アミノ酸成分に対する遊離アミノ酸成分の割合が10%
以下である。これは、割合が10%を越えるとアミノ酸
の苦みやえぐみが生じやすいからである。
【0015】尚、本発明の効果を損なわないかぎり、他
の任意の原料、成分を含有していてもさしつかえない。
例えば、糖類、食塩、香料などのほか、炭酸カルシウム
などを添加して、よりカルシウム含量を高めてもよい。
【0016】次に、本発明の卵殻カルシウム組成物の製
造方法について述べる。まず、卵殻粉末を用意する。通
常市販されているもので差し支えないが、自ら製造する
場合には次のようにするとよい。鳥卵を割卵して卵白と
卵黄を除去し、そのまま、あるいは粗粉砕してから清水
でよく洗浄し、付着した卵白や卵殻膜を除去する。次い
で、常法に従って乾燥粉砕する。例えば、通気乾燥、回
転乾燥、並行乾燥、流動層乾燥、真空乾燥、凍結乾燥な
どにより乾燥した後、粗粉砕機で粗砕きしてから微粉砕
機にかけるとよい。微粉砕機にかける回数や設定により
卵殻粉末の粒子径を調整することができ、粒子径が小さ
いほど、有機酸との反応効率がよくなる。
【0017】一方、有機酸を用意する。市販の有機酸の
結晶、粉末、あるいは高濃度の有機酸溶液に清水を加
え、希望の濃度にしても良いし、市販されている適当な
濃度の有機酸液をそのまま用いてもよい。有機酸の種類
は特に限定しないが、食用に適し卵殻と反応して有機酸
カルシウムとなるものが良い。例えば、乳酸、L型醗酵
乳酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸などがあ
げられ、風味や卵殻の溶解性の点で乳酸やL型醗酵乳酸
が好ましい。卵殻に対する添加量は、使用する有機酸の
種類や濃度によって異なるので適宜決定すれば良いが、
例えば、卵殻粉末100部に対し、10%L型発酵乳酸
水溶液であれば500〜80000部、5%酢酸水溶液
であれば、100〜80000部が好ましい。
【0018】また、卵殻の蛋白質及び蛋白質分解物を可
溶化するため蛋白分解酵素を作用させてもよい。蛋白質
分解酵素としては、例えば、ペプシン、トリプシン、プ
ロナーゼ等各種プロテアーゼなどがあげられ、市販の結
晶、粉末を用いてもよいし、液状のものを用いてもよ
い。
【0019】このような有機酸溶液、蛋白質分解酵素と
卵殻粉末を混合する。卵殻粉末が有機酸に溶解すると二
酸化炭素が発生して発泡するため脱気装置付の装置を用
いるとよい。数10分〜数日間適宜攪拌するか、あるい
は、そのまま放置してなるべく発泡を抑えながら穏やか
に反応を進め、完全に溶解させる。この際、溶解を早め
るために、50〜80℃程度に加熱したり、発泡を抑え
るために消泡剤を投入してもよい。溶解液中に卵殻に含
まれている不溶成分等がオリとなって浮遊するので、常
法に従って除去する。例えば、ろ布、シフター、ろ紙な
どによるろ過のほか、真空ろ過、加圧ろ過、珪藻土ろ
過、フィルターろ過、遠心ろ過などがあげられ、製造時
の設備、効率等により適宜選択すればよい。
【0020】次いで、卵殻特有の苦みやえぐみに関与す
る遊離アミノ酸、ペプチド、蛋白質を各種活性炭、イオ
ン交換樹脂あるいは脱苦み酵素等で除去する。例えば活
性炭の場合、卵殻粉末100部に対し1〜100部程度
を反応が終了した溶液に投入する。数10分〜数時間作
用させた後、アミノ酸、ペプチド、蛋白質を吸着した担
体を常法により除去する。除去の方法は、上記した溶解
液中の不溶成分の除去と同様にすればよい。尚、不溶成
分の除去を行う前に、アミノ酸、ペプチド、蛋白質の除
去処理を行い、その後不溶成分とともに担体を除去して
もよい。
【0021】尚、カルシウム含量が使用した有機酸によ
る各有機酸カルシウムの水への溶解度を越えるような卵
殻カルシウム組成物や、さらに100g中のカルシウム
含量が10.0gを超えるような卵殻カルシウム組成物
では、いずれの有機酸溶液に卵殻粉末を溶解しても水溶
液中でのカルシウム結晶の析出が抑えられないため、本
発明の食品に添加する際にはよく振る、あるいは、卵殻
カルシウム組成物中にガム質などを添加しておきカルシ
ウム結晶の析出物を分散させておくとよい。
【0022】さらに、本発明を満たすため、アスパラギ
ン酸、グルタミン酸、ロイシン、アルギニン3.5pp
m以上、チロシン2.0ppm以上、グリシン、アラニ
ン1.0ppm以上となるよう、各種アミノ酸、ペプチ
ド、蛋白質を添加してもよい。
【0023】卵殻カルシウム組成物を粉末状とする場合
には、上述のようにして得られた液状の卵殻カルシウム
組成物を噴霧乾燥、凍結乾燥などにより乾燥すればよ
い。このようにして得られた卵殻カルシウム組成物は、
適当な容器に充填し、冷凍処理、殺菌処理などを施して
保存性を付与してもよい。さらに、適宜希釈してそのま
ま食してもよいし、飲料、ゼリー、飴、シャーベット、
ヨーグルト、ジャム、菓子、マヨネーズ、ドレッシン
グ、味噌、醤油、漬物等各種調理食品に添加してもよ
い。
【0024】
【実施例】実施例1 卵白と卵黄を除去した鶏卵の卵殻200kgを水でよく洗
浄し、卵白や卵殻膜を除去した。この卵殻を通気熱風乾
燥機(不二パウダル(株)製、400A)を用い90℃
で1時間乾燥後、粗粉砕機((株)パウレックス製、パ
ラプレックスFD−5A、スクリーン4m/mφ)で粉
砕し、さらに微粉砕機((株)パウレックス製、コロプ
レックス160Z、回転数18000r.p.m )で粉砕
し、卵殻粉末(平均粒径18μm)とした。清水59k
g、発酵乳酸(乳酸含量50%)30kg、トリプシン粉
末1kgをミキサーに投入し、混合した後、上述のように
して得られた卵殻粉末10kgを投入し、さらに3時間攪
拌、混合して、卵殻カルシウム溶液とした。次いで、活
性炭(武田薬品工業(株)製、「粒状白鷺KL」)1kg
を投入し、攪拌混合した後30分間保持した。さらに、
珪藻土1kgを投入し、攪拌混合した後、珪藻土ろ過装置
にてろ過し、本発明の液状の卵殻カルシウム組成物とし
た。(組成を表1に示す。)
【0025】このようにして得られた本発明の卵殻カル
シウム組成物は、卵殻特有の苦みやえぐみが低減されて
いて、10倍に希釈するとそのままでも食することがで
きる。また、まろやかさも有しており、各種食品の風味
を損なうことなく、カルシウム強化できる。
【0026】
【表1】
【0027】実施例2 醸造酢(酢酸含量10%)89kg、トリプシン粉末0.
5kg、ペプシン粉末0.5kg、卵殻粉末(実施例1と同
様にして得られたもの)10kgをミキサーに投入し、攪
拌混合したほかは、実施例1と同様にして卵殻カルシウ
ム組成物を製造した。次いで、卵殻カルシウム組成物3
kgと食酢40kg、サラダ油52kg、食塩4.5kg、こし
ょう0.4kg、砂糖0.1kgをミキサーに投入し攪拌混
合してドレッシングを製造した。このようにして得られ
た本発明のドレッシングは、本来の風味を有しており、
卵殻の苦みやえぐみは感じられなかった。
【0028】実施例3 リンゴ果汁(1/7濃縮果汁)3kg、砂糖混合ぶどう糖
果糖液糖15kg、清水79kg、卵殻カルシウム組成物
(実施例1と同様にして得られたもの)3kgをミキサー
に投入し、攪拌混合して飲料を製造した。このようにし
て得られた本発明の飲料は、本来の風味を有しており、
卵殻の苦みやえぐみは感じられなかった。
【0029】
【試験例】試験例1 試験方法 実施例1で得られた卵殻カルシウム組成物(本発明
品)、実施例1において蛋白質分解酵素を混合しなかっ
た卵殻カルシウム溶液(比較品1)、実施例1において
活性炭処理を行わなかった卵殻カルシウム溶液(比較品
2)を用意した。それぞれ、全アミノ酸成分のうち、バ
リン、ヒスチジン、メチオニン、アスパラギン酸、グル
タミン酸、ロイシン、アルギニン、チロシン、グリシ
ン、アラニンを測定したところ、表2に示すようになっ
た。それぞれ、10倍に希釈し、苦み、えぐみとまろや
かさを調べた。
【0030】試験結果 表2に示すとおりである。すなわち、表より、本発明の
卵殻カルシウム組成物は、苦みやえぐみが低減され、ま
ろやかさも有し、適宜希釈することで、そのままでも食
することができる。また、比較品をみると明らかなよう
に、本発明のような全アミノ酸組成中、バリン、ヒスチ
ジン、メチオニンが所定量以下でも、アスパラギン酸、
グルタミン酸、ロイシン、アルギニン、チロシン、グリ
シン、アラニンを所定量以上含有していないと、苦みや
えぐみが低減されているもののまろやかさに欠け(比較
品1)、バリン、ヒスチジン、メチオニンが所定量以上
であると、アスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、
アルギニン、チロシン、グリシン、アラニンを所定量以
上含有していても、苦みやえぐみが強く、まろやかさは
感じられない(比較品2)ことが理解できる。さらに、
表1より本発明の卵殻カルシウム組成物はカルシウムな
ど各種微量成分を含有しており、カルシウム強化の目的
を達するものである。
【0031】
【表2】
【0032】試験例2 実施例1において、蛋白質分解酵素の種類と量を変え表
3に示すような遊離アミノ酸量の卵殻カルシウム組成物
を用意した。それぞれ、全アミノ酸に対する遊離アミノ
酸の配合と苦み、えぐみ、まろやかさを調べた。
【0033】試験結果 表3に示すとおりである。すなわち、表より、全アミノ
酸に対する遊離アミノ酸の割合が10%以下であると、
苦みやえぐみが少なく、まろやかであることが理解でき
る。
【0034】
【表3】
【0035】試験例3 実施例3で得られた卵殻カルシウム組成物を含有する飲
料(本発明品)、実施例3において、当該カルシウム組
成物を試験例1で用いた比較品1、比較品2に置き換え
て製造した飲料(比較品1、比較品2)、さらに乳酸カ
ルシウム(太平化学産業(株))0.8kgと清水2.2
kgに置き換えて製造した飲料(比較品3)を用意した。
それぞれ、風味を調べた。
【0036】試験結果 表4に示すとおりである。すなわち、表より、本発明品
は食品本来の風味が損なわれることがなく、カルシウム
のえぐみも低減されている。さらに、食品の旨味成分と
いわれている各種アミノ酸を含み、これがカルシウム特
有の風味をマスキングすると共に、食品に旨味を与えて
いることが理解できる。また、比較品をみると明らかな
ように、本発明のような全アミノ酸組成中、バリン、ヒ
スチジン、メチオニンが所定量以下でも、アスパラギン
酸、グルタミン酸、ロイシン、アルギニン、チロシン、
グリシン、アラニンを所定量以上含有していないと、苦
みやえぐみが低減されているもののまろやかさに欠け
(比較品1)、バリン、ヒスチジン、メチオニンが所定
量以上であると、アスパラギン酸、グルタミン酸、ロイ
シン、アルギニン、チロシン、グリシン、アラニンを所
定量以上含有していても、苦みやえぐみが強く風味が良
好でない(比較品2)ことが理解できる。さらに、他の
カルシウム(比較品3)と比較して、食品の旨味を増す
ことが理解できる。
【0037】
【表4】
【0038】試験例4 実施例2で得られた卵殻カルシウム組成物(本発明
品)、実施例2において蛋白質分解酵素を混合しなかっ
た卵殻カルシウム溶液(比較品1)、実施例2において
活性炭処理を行わなかった卵殻カルシウム溶液(比較品
2)を用意した。これらを用いて、実施例2と同様にし
てドレッシングを製造した。それぞれ風味を調べた。
【0039】試験結果 表5に示すとおりである。すなわち、表より、本発明品
は、食品本来の風味が損なわれることがなく、カルシウ
ムの風味も低減されている。さらに、他のカルシウムと
比較して、食品の旨味を増すことができる。また、比較
品をみると明らかなように、蛋白質分解酵素等を用いな
いと苦みやえぐみが低減されているもののまろやかさに
欠け(比較品1)、活性炭処理を行わないと苦みやえぐ
みが強く風味が良好でない(比較品2)ことが理解でき
る。
【0040】
【表5】
【0041】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の卵殻カルシ
ウム組成物は、卵殻特有の苦みやえぐみが低減され、か
つ、まろやかさも有しているため、適宜希釈すればその
まま食することができる。さらに、本発明の製造方法に
よれば、そのような卵殻カルシウム組成物を容易に製造
することができる。さらに、本発明の卵殻カルシウム組
成物を含有した食品は、カルシウムが強化されていると
ともに、食品が本来有している風味が損なわれておら
ず、飲料、ゼリー、シャーベット、ヨーグルト、ジャ
ム、マヨネーズ、ドレッシング、味噌、醤油、漬物など
各種食品の風味が限定されることなく、所望の風味にす
ることができるとともに、添加量も幅広く設定でき、よ
り簡便にカルシウム強化をすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有泉 雅弘 東京都府中市住吉町5丁目13番地の1キ ユーピー株式会社研究所内 審査官 鈴木 恵理子 (56)参考文献 特開 平9−220071(JP,A) 特開 昭53−44662(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/304 A23L 1/32

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 卵殻を有機酸溶液に溶解した溶液であっ
    て、蛋白質、蛋白質分解物及び遊離アミノ酸を含有し、
    全アミノ酸成分に対する遊離アミノ酸成分の割合が10
    %以下であり、前記溶液100g中のカルシウム含量が
    0.001g以上であり、全アミノ酸成分として、バリ
    ン、ヒスチジン3.0ppm以下、メチオニン0.3p
    pm以下、アスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、
    アルギニン3.5ppm以上40ppm以下、チロシン
    2.0ppm以上40ppm以下、グリシン、アラニン
    1.0ppm以上40ppm以下である食品用卵殻カル
    シウム組成物。
  2. 【請求項2】 卵殻を有機酸溶液に溶解後乾燥して粉末
    状又は顆粒状にしたものであって、蛋白質、蛋白質分解
    物及び遊離アミノ酸を含有し、全アミノ酸成分に対する
    遊離アミノ酸成分の割合が10%以下であり、前記粉末
    状又は顆粒状にしたものを再溶解して100g中のカル
    シウム含量が0.001g以上の溶液とした場合、全ア
    ミノ酸成分として、バリン、ヒスチジン3.0ppm以
    下、メチオニン0.3ppm以下、アスパラギン酸、グ
    ルタミン酸、ロイシン、アルギニン3.5ppm以上4
    0ppm以下、チロシン2.0ppm以上40ppm以
    下、グリシン、アラニン1.0ppm以上40ppm以
    下である食品用卵殻カルシウム組成物。
  3. 【請求項3】 全アミノ酸の一部又は全部が卵殻由来で
    ある請求項1又は2記載の卵殻カルシウム組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の卵殻
    カルシウム組成物を含有する食品。
JP10270736A 1998-09-25 1998-09-25 卵殻カルシウム組成物及びその製造方法並びに該卵殻カルシウム組成物を含有する食品 Expired - Fee Related JP3107789B2 (ja)

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