JP6734036B2 - 乳成分含有コーヒー飲料 - Google Patents

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Description

本発明は、加熱殺菌工程後や保存時に生じる沈殿が抑制された、乳成分含有コーヒー飲料に関する。
乳成分を含有するコーヒー飲料(以下、本明細書において「乳成分含有コーヒー飲料」ともいう)は、乳成分由来の豊かな風味が楽しめる等の利点から、幅広い需要者層で飲用されている。一方で、当該飲料は乳成分及びコーヒー分(コーヒー成分)の相互作用により、飲料の加熱殺菌工程後や飲料保存時に沈殿が生じ、品質が損なわれるという問題を有する。
この沈殿を抑制するために乳化剤の種類等に着目した技術として、例えば、特許文献1には、コーヒー飲料中に、カゼインナトリウムを0.03〜0.04質量%、ソルビタン脂肪酸エステルを0.005〜0.5質量%、及び微結晶セルロースを0.015〜0.4質量%含有させてなる、高生豆含有コーヒーの安定化方法が記載されている。
また、乳化剤以外の素材に着目した技術として特許文献2には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸及びリン酸から選ばれる1種又は2種以上を0.005〜0.2重量%、及び炭酸水素ナトリウムを0.075〜0.25重量%含有させる方法が開示されている。更に、コーヒー飲料の製造方法に着目した技術として特許文献3には、コーヒー抽出液と乳タンパク質含有液とを別々にUHT殺菌する方法が開示されている。
特開2012−105638号公報 特許第4503285号公報 特開2015−33368号公報
特許文献1に開示された技術はカゼインナトリウムを必須成分とする技術である。また、本文献をはじめ、乳成分含有コーヒー飲料における沈殿抑制剤として、カゼインナトリウムが汎用されている。しかしながら、カゼインナトリウムは乳から得られる脱脂乳に酸を添加して生じる沈殿(酸カゼイン)を中和して製造される素材である。このため、乳自体の供給不足や、脱脂乳や他の乳原料などの需要増大に応じて製造量が削減され、結果として、供給不安や価格高騰などを招くという問題を有する。
特許文献2〜3に開示された技術は、乳成分含有コーヒー飲料における沈殿抑制において一定の効果が認められるものの、その抑制効果の更なる向上が望まれる。また、特許文献2に開示された技術は、十分な沈殿抑制効果を得るために有機酸含量を増加させた場合に、有機酸特有の呈味が飲料の呈味に悪影響を与える場合がある。更に、保存中に飲料のpHが低下しやすく、有機酸を添加した意図に反して、乳成分が沈殿する場合がある。特許文献3に開示された技術は、コーヒー抽出液と乳タンパク質含有溶液とを別々にUHT殺菌する必要があるため、当該製造工程に応じた製造ラインが必要となる、又は既存の設備で製造する場合に製造効率が低下するなどの問題を有する。
かかる課題に鑑み、本発明では簡便な方法で、乳成分含有コーヒー飲料を加熱殺菌又は保存した際に生じる沈殿を有意に抑制することを目的とする。また、本発明では、飲料の呈味に大きな影響を与えることなく、乳成分含有コーヒー飲料を加熱殺菌又は保存した際に生じる沈殿を有意に抑制することを目的とする。
本発明者らは上記のごとき課題を解決すべく鋭意研究した結果、乳成分含有コーヒー飲料に以下の(A)及び(B)を含有することで、加熱殺菌工程後や保存時に生じる沈殿を顕著に抑制できることを見出し、本願発明を完成するに至った;
(A)300ppm未満のリンゴ酸及び/又は100ppm以下のクエン酸、並びに、
(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリド。
すなわち、本発明は以下の態様を有する乳成分含有コーヒー飲料、乳成分含有コーヒー飲料の製造方法、並びに乳成分含有コーヒー飲料の保存時に生じる沈殿を抑制する方法に関する;
項1.
(A)300ppm未満のリンゴ酸及び/又は100ppm以下のクエン酸、並びに、
(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを含有する、乳成分含有コーヒー飲料。
項2.前記コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドの構成脂肪酸として、ステアリン酸、パルミチン酸及びミリスチン酸からなる群から選択される1種以上の脂肪酸を含有する、項1に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
項3.前記コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドのHLBが3〜10の範囲である、項1又は2に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
項4.前記リンゴ酸及び/又はクエン酸1質量部に対する、
前記コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドの含量が0.03〜20質量部である、項1〜3のいずれか1項に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
項5.更に、ショ糖脂肪酸エステルを含有する、項1〜4のいずれか1項に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
項6.
(A)300ppm未満のリンゴ酸及び/又は100ppm以下のクエン酸、並びに、
(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを含有させることを特徴とする、乳成分含有コーヒー飲料の製造方法。
項7.乳成分含有コーヒー飲料に、
(A)300ppm未満のリンゴ酸及び/又は100ppm以下のクエン酸、並びに、
(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを
含有させることを特徴とする、前記乳成分含有コーヒー飲料の保存時に生じる沈殿を抑制する方法。
本発明により、加熱殺菌後や保存時に生じる沈殿が顕著に抑制された乳成分含有コーヒー飲料を提供できる。また、本発明によれば、飲料の呈味に大きな影響を与えることなく、乳成分含有コーヒー飲料を加熱殺菌又は保存した際に生じる沈殿を有意に抑制することができる。
実験例1において、実施例1−5の乳成分含有コーヒー飲料を80℃で3日間保存後、缶底部の沈殿の様子を示した写真である。 実験例1において、比較例1−3の乳成分含有コーヒー飲料を80℃で3日間保存後、缶底部の沈殿の様子を示した写真である。
本発明の乳成分含有コーヒー飲料は、(A)300ppm未満のリンゴ酸及び/又は100ppm以下のクエン酸を含有することを特徴とし、本発明では、従来技術と比べて少量のリンゴ酸及び/又はクエン酸を用いることで、乳成分含有コーヒー飲料に与える呈味の影響や、経時的に生じる飲料のpH低下を低減することができる。
乳成分含有コーヒー飲料の呈味に与える影響をより低減する観点からは、乳成分含有コーヒー飲料におけるリンゴ酸含量は250ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることがより好ましく、180ppm以下であることが更に好ましい。同様に、乳成分含有コーヒー飲料におけるクエン酸含量は100ppm未満であることが好ましく、90ppm以下であることがより好ましく、80ppm以下であることが更に好ましい。
なお、乳成分含有コーヒー飲料におけるリンゴ酸及び/又はクエン酸の含量の下限は特に制限ないが、例えば5ppm以上が挙げられ、好ましくは20ppm以上、より好ましくは40ppm以上、更に好ましくは50ppm以上である。
本発明の乳成分含有コーヒー飲料はまた、(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを含有することを特徴とする。
ここで、乳成分含有コーヒー飲料における(A)リンゴ酸及び/又はクエン酸含量が各々300ppm未満、又は100ppm以下であると、乳成分やコーヒー含量によって、加熱殺菌工程後や保存時に多量の沈殿が生じる。しかし、本発明では(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを更に併用することで、リンゴ酸及び/又はクエン酸含量が少ない場合においても、加熱殺菌工程後や保存時に生じる沈殿が顕著に抑制された乳成分含有コーヒー飲料を提供することができる。
本発明で用いるコハク酸モノグリセリドは、グリセリンの3つのヒドロキシ基の1つに脂肪酸がエステル結合したグリセリンモノ脂肪酸エステルの水酸基に、さらにコハク酸が結合したものである。同様に、本発明で用いる酒石酸モノグリセリドは、グリセリンの3つのヒドロキシ基の1つに脂肪酸がエステル結合したグリセリンモノ脂肪酸エステルの水酸基に、さらに酒石酸又は酒石酸の誘導体が結合したものである。なお、本発明で用いる酒石酸モノグリセリドには、ジアセチル酒石酸モノグリセリドが含まれる。
本発明で用いるコハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドにおいて、グリセリンに結合している脂肪酸の種類は特に制限されない。例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、パルミトレイン酸、リノレン酸、リノール酸又はアラキジン酸等の、炭素数12〜25程度の飽和または不飽和の脂肪酸を挙げることができる。本発明で用いる有機酸モノグリセリドは、これらから選択される1種の脂肪酸がグリセリンに結合してなるものであってもよく、2種以上の脂肪酸がグリセリンに結合してなるものであってもよい。本発明で用いるコハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを構成する好ましい脂肪酸は、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸及びベヘニン酸からなる群から選択される1種以上を含むものであり、より好ましい脂肪酸はステアリン酸、パルミチン酸及びミリスチン酸からなる群から選択される1種以上を含むものである。
本発明で用いる、コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドのHLBも特に制限されないが、好ましいHLBは2〜16であり、より好ましくは2.5〜13、更に好ましくは3〜10である。
本発明の乳成分含有コーヒー飲料における、コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドの含量は特に制限されないが、例えば10〜600ppmが挙げられ、好ましい含量は15〜500ppmであり、より好ましくは20〜400ppm、更に好ましくは30〜300ppm、更により好ましくは40〜280ppmである。
また、本発明の乳成分含有コーヒー飲料は、前記リンゴ酸及び/又はクエン酸1質量部に対し、コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを0.03〜20質量部含むことが好ましい。また、本発明の乳成分含有コーヒー飲料は、リンゴ酸及び/又はクエン酸含量が100ppm以上400ppm未満の場合は、リンゴ酸及び/又はクエン酸1質量部に対し、コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを0.05〜5質量部含むことがより好ましく、0.07〜4質量部含むことが更に好ましい。
また、リンゴ酸及び/又はクエン酸含量が100ppm未満の場合は、リンゴ酸及び/又はクエン酸1質量部に対し、コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを0.1〜20質量部含むことがより好ましく、0.5〜15質量部含むことが更に好ましい。
本発明の乳成分含有コーヒー飲料は、飲料の更なる安定性向上の観点から、ショ糖脂肪酸エステルを含有することが好ましい。乳成分含有コーヒー飲料におけるショ糖脂肪酸エステルの含量は特に制限されないが、例えば、0.001〜2質量%が挙げられ、好ましい含量は0.005〜1.5質量%、より好ましい含量は0.01〜1質量%である。
本発明の乳成分含有コーヒー飲料は、(A)300ppm未満のリンゴ酸及び/又は100ppm以下のクエン酸、並びに、(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを必須成分として用いることで、従来、沈殿抑制剤として汎用されているカゼインナトリウム含量が少なくとも、加熱殺菌後や長期保存時に生じる沈殿が顕著に抑制されている。
この点、本発明の乳成分含有コーヒー飲料が、カゼインナトリウムを含有する場合は、当該飲料におけるカゼインナトリウム含量を、コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリド1質量部に対して20質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは1.5質量部以下、更により好ましくは1質量部以下とすることができる。また、本発明の乳成分含有コーヒー飲料がカゼインナトリウムを含有する場合は、その含量は800ppm未満であることが好ましく、600ppm以下であることがより好ましく、450ppm未満であることが更に好ましく、300ppm以下であることが更により好ましい。
更に、本発明によれば、カゼインナトリウムを含有せずとも、加熱殺菌後や長期保存時に生じる沈殿が抑制された乳成分含有コーヒー飲料を提供することができる。
本発明において「コーヒー飲料」とは、コーヒー分を原料として使用し、加熱殺菌工程を経て製造される飲料製品を意味する。製品の種類は特に限定されないが、例えば、1977年に認定された「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」の定義である「コーヒー」、「コーヒー飲料」、「コーヒー入り清涼飲料」が主に挙げられる。また、コーヒー分を原料とした飲料であっても、乳固形分が3質量%以上のものは「飲用乳の表示に関する公正競争規約」の適用を受け、「乳飲料」として取り扱われるが、これも、本発明におけるコーヒー飲料に含まれるものとする。
本発明の乳成分含有コーヒー飲料に用いられるコーヒー分は、豆の種類、品質、焙煎方法、焙煎度合、抽出条件等によって特に制限されない。例えば、豆の種類としては、アラビカ種、ロブスタ種、リベリア種等が挙げられ、豆の焙煎の程度を示すL値としては15〜28、好ましくは16〜23が挙げられる。また、本発明ではコーヒー分として、コーヒー豆から抽出されるコーヒー抽出液をそのまま用いてもよく、また、インスタントコーヒーやコーヒー濃縮物(コーヒーエキス)を用いてもよい。
本発明の乳成分含有コーヒー飲料におけるコーヒー分の含量は特に制限されない。例えば、生豆換算で2.5〜15質量%が挙げられる。コーヒー飲料の嗜好性の観点からは、生豆換算が高まるにつれ、コーヒーの風味が強調され望ましい飲料となる(例えば、本物嗜好の飲料)となるが、コーヒー分が高い乳成分含有コーヒー飲料は、加熱殺菌後や飲料保存時に多量の沈殿が生じる。しかしながら、本発明によれば、例えば、乳成分含有コーヒー飲料におけるコーヒー分が生豆換算で3質量%以上、更には4質量%以上、特には5質量%以上であっても、当該沈殿が顕著に抑制された飲料を提供することができる。
本発明のコーヒー飲料に用いる乳成分は、飲食品に利用可能なものであれば特に制限されない。例えば、生乳又はその加工品(例えば、濃厚牛乳、低脂肪乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、全脂粉乳、調製粉乳、脱脂粉乳、練乳、発酵乳、クリーム、チーズ、バター、ホエイパウダー、バターミルクパウダー等)が挙げられる。
本発明の乳成分含有コーヒー飲料における乳成分の含量は特に制限されない。例えば、無脂乳固形分換算で0.4〜6質量%が挙げられる。また、当該飲料における乳成分含量が増加するにつれ、沈殿量も増加するが、本発明によれば、乳成分含量が無脂乳固形分換算で0.6質量%以上、更には0.8質量%以上、特には1質量%以上であっても、当該沈殿が顕著に抑制された飲料を提供でき、乳成分由来の風味に優れる飲料を提供することができる。
本発明の乳成分含有コーヒー飲料のpHは特に制限されないが、殺菌後の当該飲料のpHが6〜7であることが好ましく、6〜6.8であることがより好ましく、6.1〜6.6であることが更に好ましい。
本発明の乳成分含有コーヒー飲料は、(A)300ppm未満のリンゴ酸及び/又は100ppm以下のクエン酸、(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリド、並びに、必要に応じてショ糖脂肪酸エステルを含有させる以外は常法に従って製造することができる。
例えば、以下に本発明にかかる乳成分含有コーヒー飲料の製造方法の一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
製法I:焙煎したコーヒー豆に5〜15倍量の水(例えば、80〜100℃)を加えて濾過抽出し、コーヒー抽出液を得る。別途、水に(A)300ppm未満のリンゴ酸及び/又は100ppm以下のクエン酸、(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリド、並びに、必要に応じて他の乳化剤(例えば、ショ糖脂肪酸エステル等)、糖質等を加え、60〜80℃に加温した、乳化剤含有溶液を調製する。当該乳化剤含有溶液と、コーヒー抽出液及び乳成分を混合した原料液を調製する。原料液を必要に応じて加温後、均質化処理、殺菌処理を行うことでコーヒー飲料を調製する。
製法II:焙煎したコーヒー豆に5〜15倍量の水(例えば、80〜100℃)を加えて濾過抽出し、コーヒー抽出液を得る。別途、水に(A)300ppm未満のリンゴ酸及び/又は100ppm以下のクエン酸、(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリド、及び乳成分、並びに、必要に応じて他の乳化剤(例えば、ショ糖脂肪酸エステル等)、糖質等を加え、60〜80℃に加温した、乳成分を含有する乳化剤含有溶液を調製する。当該乳化剤含有溶液と、コーヒー抽出液を混合した原料液を必要に応じて加温後、均質化処理、殺菌処理を行うことでコーヒー飲料を調製する。
乳成分含有コーヒー飲料の均質化条件としては、例えば、高圧ホモジナイザーであれば5〜30MPa・sが挙げられる。また、加熱殺菌方法及び条件としては、例えば、110〜130℃で2〜60分間のレトルト殺菌や、120〜150℃で2〜60秒間のUHT殺菌等が挙げられる。
以下に実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
実験例1 乳成分含有コーヒー飲料(1)
(コーヒー抽出液)
粗挽きしたコーヒー豆(アラビカ種、L値20)に10倍量の熱湯を加えて抽出を行い、ブリックス3.3のコーヒー抽出液を得た。
(乳化剤含有溶液)
表1及び2に示す処方に従って、イオン交換水に砂糖、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド及びショ糖脂肪酸エステルを適宜添加し、80℃で10分間加熱後、室温まで冷却し、乳化剤含有溶液を調製した。
(乳成分含有コーヒー飲料の調製)
コーヒー抽出液、乳化剤含有溶液、乳成分(牛乳、全粉乳、及び脱脂粉乳)、並びに重曹を混合して75℃まで加熱後、高圧ホモジナイザーにて均質化処理を行った(第1段階10MPa、第2段階5MPa)。均質化処理後、容器(缶)に充填し、123℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、乳成分含有コーヒー飲料を調製した(実施例1−1〜1−14、及び比較例1−1〜1−4)。殺菌後の乳成分含有コーヒー飲料のpHは6.1〜6.4であった。
また、参考例として、ショ糖脂肪酸エステルのみを含有する参考例1−1、当該参考例に沈殿抑制剤としてカゼインナトリウムを含有する参考例1−2及び1−3の乳成分含有コーヒー飲料を調製した。
酒石酸モノグリセリド:ジアセチル酒石酸モノグリセリド、ステアリン酸及びパルミチン酸を構成脂肪酸として含有、HLB5〜8。
コハク酸モノグリセライド:ステアリン酸及びパルミチン酸を構成脂肪酸として含有、HLB5.3。
クエン酸モノグリセライド:ステアリン酸及びパルミチン酸を構成脂肪酸として含有、HLB3。
調製した乳成分含有コーヒー飲料について、保存安定性試験を行った。
(保存安定性試験)
調製した乳成分含有コーヒー飲料を80℃で3日間保存後、容器(缶)を開封した。次いで、内容物(飲料)をビーカーに移し、缶の底に残存する沈殿の様子を目視で確認した。
沈殿の様子は、参考例1−1と同等の沈殿量であり、多量の沈殿が確認されるものを「+++」、参考例1−3と同等の沈殿量であるものを「±」、参考例1−3より更に沈殿量が少ないもの、又は沈殿が殆ど確認されないものを「−」として、沈殿が多い順に+++>++>+>±>−で評価した。結果を表3に示す。
表3に示すように、280ppm以下のリンゴ酸と、コハク酸モノグリセリド又は酒石酸モノグリセリドを併用した乳成分含有コーヒー飲料は、カゼインナトリウムを含有せず、また、80℃で3日間という苛酷な保存条件にもかかわらず、沈殿が顕著に抑制され、沈殿が殆どない又は沈殿量が少なかった(実施例1−1〜1−13)。同様に、100ppmのクエン酸と、コハク酸モノグリセリドを併用した実施例1−14の乳成分含有コーヒー飲料も、沈殿量が少なかった。
更に、実施例1−1〜1−14の乳成分含有コーヒー飲料は、有機酸等の含量が少なく、コーヒー飲料の呈味が損なわれず、コーヒー及び乳独特の呈味に優れる飲料であった。呈味の観点からは、特に、実施例1−6、1−7及び1−9の飲料が優れていた。
一方、リンゴ酸を含有しつつも、有機酸モノグリセリドを含有しなかった比較例1−1の乳成分含有コーヒー飲料や、リンゴ酸とクエン酸モノグリセリドを併用した比較例1−2の乳成分含有コーヒー飲料は、沈殿量が非常に多く、沈殿抑制効果は確認されなかった。また、酒石酸及び酒石酸モノグリセリドを併用した比較例1−3の乳成分含有コーヒー飲料、並びに、コハク酸モノグリセリドを含有しつつも、有機酸を含有しなかった比較例1−4の乳成分含有コーヒー飲料も同様に、沈殿を抑制することができなかった。
以上より、本発明の効果は、特定の有機酸と、特定の有機酸モノグリセリドを併用した場合に奏する特異的な効果であることが示された。
実験例2 乳成分含有コーヒー飲料(2)
表4に示す処方に変更する以外は、実験例1と同様にして、乳成分含有コーヒー飲料を調製した。殺菌後の乳成分含有コーヒー飲料のpHは6.3〜6.4であった。
また、調製した乳成分含有コーヒー飲料について、実験例1と同様に、80℃で3日間の保存安定性試験を行い、沈殿の様子を評価した。なお、実験例1で調製した参考例1−1、1−2及び1−3を沈殿の評価基準として用いた。結果を表5に示す。
実施例2−1〜2−3の乳成分含有コーヒー飲料はいずれも、参考例1−1に比べて沈殿が顕著に抑制されて沈殿が殆どない、又は沈殿量が少なかった。
また、実施例2−1〜2−3の乳成分含有コーヒー飲料はリンゴ酸等の含量が少なく、コーヒー飲料の呈味が損なわれず、コーヒー及び乳独特の呈味に優れる飲料であった。

Claims (7)

  1. (A)5ppm以上300ppm未満のリンゴ酸及び/又は5ppm以上100pp
    m以下のクエン酸、並びに、
    (B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを含有する、乳成分含 有コーヒー飲料(ただし、カラギナンを含有するものを除く)。
  2. 前記コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドの構成脂肪酸として、ステアリン酸、パルミチン酸及びミリスチン酸からなる群から選択される1種以上の脂肪酸を含有する、請求項1に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
  3. 前記コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドのHLBが3〜10の範囲である、請求項1又は2に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
  4. 前記リンゴ酸及び/又はクエン酸1質量部に対する、
    前記コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドの含量が0.03〜20質量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
  5. 更に、ショ糖脂肪酸エステルを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
  6. (A)5ppm以上300ppm未満のリンゴ酸及び/又は5ppm以上100ppm以下のクエン酸、並びに、
    (B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを含有させることを特徴とする、乳成分含有コーヒー飲料(ただし、カラギナンを含有するものを除く)の製造方法。
  7. 乳成分含有コーヒー飲料に、
    (A)5ppm以上300ppm未満のリンゴ酸及び/又は5ppm以上100ppm以下のクエン酸、並びに、
    (B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを
    含有させることを特徴とする、前記乳成分含有コーヒー飲料(ただし、カラギナンを含有するものを除く)の保存時に生じる沈殿を抑制する方法。
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