JP6734036B2 - 乳成分含有コーヒー飲料 - Google Patents
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Description
この沈殿を抑制するために乳化剤の種類等に着目した技術として、例えば、特許文献1には、コーヒー飲料中に、カゼインナトリウムを0.03〜0.04質量%、ソルビタン脂肪酸エステルを0.005〜0.5質量%、及び微結晶セルロースを0.015〜0.4質量%含有させてなる、高生豆含有コーヒーの安定化方法が記載されている。
また、乳化剤以外の素材に着目した技術として特許文献2には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸及びリン酸から選ばれる1種又は2種以上を0.005〜0.2重量%、及び炭酸水素ナトリウムを0.075〜0.25重量%含有させる方法が開示されている。更に、コーヒー飲料の製造方法に着目した技術として特許文献3には、コーヒー抽出液と乳タンパク質含有液とを別々にUHT殺菌する方法が開示されている。
(A)300ppm未満のリンゴ酸及び/又は100ppm以下のクエン酸、並びに、
(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリド。
項1.
(A)300ppm未満のリンゴ酸及び/又は100ppm以下のクエン酸、並びに、
(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを含有する、乳成分含有コーヒー飲料。
項2.前記コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドの構成脂肪酸として、ステアリン酸、パルミチン酸及びミリスチン酸からなる群から選択される1種以上の脂肪酸を含有する、項1に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
項3.前記コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドのHLBが3〜10の範囲である、項1又は2に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
項4.前記リンゴ酸及び/又はクエン酸1質量部に対する、
前記コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドの含量が0.03〜20質量部である、項1〜3のいずれか1項に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
項5.更に、ショ糖脂肪酸エステルを含有する、項1〜4のいずれか1項に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
項6.
(A)300ppm未満のリンゴ酸及び/又は100ppm以下のクエン酸、並びに、
(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを含有させることを特徴とする、乳成分含有コーヒー飲料の製造方法。
項7.乳成分含有コーヒー飲料に、
(A)300ppm未満のリンゴ酸及び/又は100ppm以下のクエン酸、並びに、
(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを
含有させることを特徴とする、前記乳成分含有コーヒー飲料の保存時に生じる沈殿を抑制する方法。
乳成分含有コーヒー飲料の呈味に与える影響をより低減する観点からは、乳成分含有コーヒー飲料におけるリンゴ酸含量は250ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることがより好ましく、180ppm以下であることが更に好ましい。同様に、乳成分含有コーヒー飲料におけるクエン酸含量は100ppm未満であることが好ましく、90ppm以下であることがより好ましく、80ppm以下であることが更に好ましい。
なお、乳成分含有コーヒー飲料におけるリンゴ酸及び/又はクエン酸の含量の下限は特に制限ないが、例えば5ppm以上が挙げられ、好ましくは20ppm以上、より好ましくは40ppm以上、更に好ましくは50ppm以上である。
ここで、乳成分含有コーヒー飲料における(A)リンゴ酸及び/又はクエン酸含量が各々300ppm未満、又は100ppm以下であると、乳成分やコーヒー含量によって、加熱殺菌工程後や保存時に多量の沈殿が生じる。しかし、本発明では(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを更に併用することで、リンゴ酸及び/又はクエン酸含量が少ない場合においても、加熱殺菌工程後や保存時に生じる沈殿が顕著に抑制された乳成分含有コーヒー飲料を提供することができる。
また、リンゴ酸及び/又はクエン酸含量が100ppm未満の場合は、リンゴ酸及び/又はクエン酸1質量部に対し、コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを0.1〜20質量部含むことがより好ましく、0.5〜15質量部含むことが更に好ましい。
例えば、以下に本発明にかかる乳成分含有コーヒー飲料の製造方法の一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
製法II:焙煎したコーヒー豆に5〜15倍量の水(例えば、80〜100℃)を加えて濾過抽出し、コーヒー抽出液を得る。別途、水に(A)300ppm未満のリンゴ酸及び/又は100ppm以下のクエン酸、(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリド、及び乳成分、並びに、必要に応じて他の乳化剤(例えば、ショ糖脂肪酸エステル等)、糖質等を加え、60〜80℃に加温した、乳成分を含有する乳化剤含有溶液を調製する。当該乳化剤含有溶液と、コーヒー抽出液を混合した原料液を必要に応じて加温後、均質化処理、殺菌処理を行うことでコーヒー飲料を調製する。
(コーヒー抽出液)
粗挽きしたコーヒー豆(アラビカ種、L値20)に10倍量の熱湯を加えて抽出を行い、ブリックス3.3のコーヒー抽出液を得た。
(乳化剤含有溶液)
表1及び2に示す処方に従って、イオン交換水に砂糖、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド及びショ糖脂肪酸エステルを適宜添加し、80℃で10分間加熱後、室温まで冷却し、乳化剤含有溶液を調製した。
(乳成分含有コーヒー飲料の調製)
コーヒー抽出液、乳化剤含有溶液、乳成分(牛乳、全粉乳、及び脱脂粉乳)、並びに重曹を混合して75℃まで加熱後、高圧ホモジナイザーにて均質化処理を行った(第1段階10MPa、第2段階5MPa)。均質化処理後、容器(缶)に充填し、123℃で20分間のレトルト殺菌処理を行い、乳成分含有コーヒー飲料を調製した(実施例1−1〜1−14、及び比較例1−1〜1−4)。殺菌後の乳成分含有コーヒー飲料のpHは6.1〜6.4であった。
また、参考例として、ショ糖脂肪酸エステルのみを含有する参考例1−1、当該参考例に沈殿抑制剤としてカゼインナトリウムを含有する参考例1−2及び1−3の乳成分含有コーヒー飲料を調製した。
コハク酸モノグリセライド:ステアリン酸及びパルミチン酸を構成脂肪酸として含有、HLB5.3。
クエン酸モノグリセライド:ステアリン酸及びパルミチン酸を構成脂肪酸として含有、HLB3。
(保存安定性試験)
調製した乳成分含有コーヒー飲料を80℃で3日間保存後、容器(缶)を開封した。次いで、内容物(飲料)をビーカーに移し、缶の底に残存する沈殿の様子を目視で確認した。
沈殿の様子は、参考例1−1と同等の沈殿量であり、多量の沈殿が確認されるものを「+++」、参考例1−3と同等の沈殿量であるものを「±」、参考例1−3より更に沈殿量が少ないもの、又は沈殿が殆ど確認されないものを「−」として、沈殿が多い順に+++>++>+>±>−で評価した。結果を表3に示す。
更に、実施例1−1〜1−14の乳成分含有コーヒー飲料は、有機酸等の含量が少なく、コーヒー飲料の呈味が損なわれず、コーヒー及び乳独特の呈味に優れる飲料であった。呈味の観点からは、特に、実施例1−6、1−7及び1−9の飲料が優れていた。
一方、リンゴ酸を含有しつつも、有機酸モノグリセリドを含有しなかった比較例1−1の乳成分含有コーヒー飲料や、リンゴ酸とクエン酸モノグリセリドを併用した比較例1−2の乳成分含有コーヒー飲料は、沈殿量が非常に多く、沈殿抑制効果は確認されなかった。また、酒石酸及び酒石酸モノグリセリドを併用した比較例1−3の乳成分含有コーヒー飲料、並びに、コハク酸モノグリセリドを含有しつつも、有機酸を含有しなかった比較例1−4の乳成分含有コーヒー飲料も同様に、沈殿を抑制することができなかった。
以上より、本発明の効果は、特定の有機酸と、特定の有機酸モノグリセリドを併用した場合に奏する特異的な効果であることが示された。
表4に示す処方に変更する以外は、実験例1と同様にして、乳成分含有コーヒー飲料を調製した。殺菌後の乳成分含有コーヒー飲料のpHは6.3〜6.4であった。
また、調製した乳成分含有コーヒー飲料について、実験例1と同様に、80℃で3日間の保存安定性試験を行い、沈殿の様子を評価した。なお、実験例1で調製した参考例1−1、1−2及び1−3を沈殿の評価基準として用いた。結果を表5に示す。
また、実施例2−1〜2−3の乳成分含有コーヒー飲料はリンゴ酸等の含量が少なく、コーヒー飲料の呈味が損なわれず、コーヒー及び乳独特の呈味に優れる飲料であった。
Claims (7)
- (A)5ppm以上300ppm未満のリンゴ酸及び/又は5ppm以上100pp
m以下のクエン酸、並びに、
(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを含有する、乳成分含 有コーヒー飲料(ただし、カラギナンを含有するものを除く)。 - 前記コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドの構成脂肪酸として、ステアリン酸、パルミチン酸及びミリスチン酸からなる群から選択される1種以上の脂肪酸を含有する、請求項1に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
- 前記コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドのHLBが3〜10の範囲である、請求項1又は2に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
- 前記リンゴ酸及び/又はクエン酸1質量部に対する、
前記コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドの含量が0.03〜20質量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳成分含有コーヒー飲料。 - 更に、ショ糖脂肪酸エステルを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳成分含有コーヒー飲料。
- (A)5ppm以上300ppm未満のリンゴ酸及び/又は5ppm以上100ppm以下のクエン酸、並びに、
(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを含有させることを特徴とする、乳成分含有コーヒー飲料(ただし、カラギナンを含有するものを除く)の製造方法。 - 乳成分含有コーヒー飲料に、
(A)5ppm以上300ppm未満のリンゴ酸及び/又は5ppm以上100ppm以下のクエン酸、並びに、
(B)コハク酸モノグリセリド及び/又は酒石酸モノグリセリドを
含有させることを特徴とする、前記乳成分含有コーヒー飲料(ただし、カラギナンを含有するものを除く)の保存時に生じる沈殿を抑制する方法。
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