JP2012139163A - 乳脂肪含有飲料 - Google Patents
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Abstract
【課題】飲料の風味を損なうことなく乳脂肪のオイルオフを抑制した乳入り飲料の提供を目的とする。
【解決手段】乳脂肪中の脂肪酸総量に対するパルミチン酸及びステアリン酸の総量(A)の割合が、34%(重量%)以下となるように調整する。
【選択図】なし
【解決手段】乳脂肪中の脂肪酸総量に対するパルミチン酸及びステアリン酸の総量(A)の割合が、34%(重量%)以下となるように調整する。
【選択図】なし
Description
本発明は、乳脂肪のオイルオフ現象が抑制された乳脂肪含有飲料に関する。
乳脂肪は、コーヒーや紅茶の胃に対する刺激をやわらげるとともに、口当たりをマイルドにする、飲料に乳風味、コク感を付与するなど風味上の大切な役割をもっている。また、近年、乳脂肪に対する嗜好性の高まりから、リッチなミルクの味わいを呈する飲料として、牛乳、牛乳から得られる生クリーム、豆乳などから選ばれる少なくとも一種類を高濃度に配合した、乳脂肪高含有飲料の市場が形成されている。
一方、缶やペットボトルに充填される容器詰め飲料では、長期保存のために、加熱殺菌処理が必須である。この加熱処理の工程で乳成分、特に乳脂肪の味わいが変化して乳風味やコク感を低下させ、また中味液(例えば、コーヒーや紅茶など)の風味を損なうという問題がある。そこで、加熱殺菌して調製される容器詰め飲料の製造に際し、飲料中の乳脂肪1重量%当たりに対し、植物油脂を0.15〜2の割合で配合することを特徴とする飲用後そう快な後味を有する容器詰めコーヒーの製造方法が提案されている(特許文献1)。
また、乳成分は加熱処理に対して不安定であることが広く知られている。缶飲料では、通常レトルト処理(例えば、121℃、20分間)により加熱殺菌されているが、このような加熱処理では缶内の飲料中に存在する乳脂肪が不安定な状態となり、保存時にオイルオフ現象、すなわち油滴の分離現象、場合によっては凝集、不溶化などが生ずるという問題がある(以下、これらの現象をまとめて、単に「オイルオフ」という)。特に、乳脂肪を高濃度に配合した乳脂肪高含有飲料では、オイルオフが顕著となる。
オイルオフの発生を抑制する方法として、乳化剤を添加する方法が報告されている。例えば、生クリームにショ糖脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤を添加配合し、高圧均質処理することにより、安定した乳入りのコーヒー飲料を製造する方法(特許文献2)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及び/又はステアロイル乳酸ナトリウムを添加剤として添加する方法(特許文献3)、植物細胞壁を原料とした微細な繊維状セルロースを配合する方法(特許文献4)、主構成脂肪酸がパルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸から選択される1種以上の脂肪酸であり、HLBが5〜10であるポリグリセリン脂肪酸エステルを主成分とする乳成分の分散性改善剤を添加する方法(特許文献5)等が挙げられる。
乳脂肪のオイルオフは、加温状態で販売される乳入り飲料で顕著に発生することが知られているが、本発明者らの検討によれば、冷蔵状態(例えば15℃以下)で保存、販売される乳入り飲料であっても、缶やペットボトルなどの容器に個別に充填され、かつ自動販売機に収納されて保存される容器詰め飲料(以下、「自動販売機飲料」という)は、自動販売機特有の振動が乳脂肪の乳化粒子の破壊を促進し、オイルオフが著しく発生するという知見を得た。
従来の乳化剤等を添加する方法だけでは、自動販売機特有の振動に起因する乳化破壊への対応には十分でなく、自動販売機飲料として保存安定性を有する乳脂肪含有飲料の開発が望まれていた。
本発明の課題は、飲料の風味を損なうことなく乳脂肪のオイルオフを抑制した乳入り飲料(特に、自動販売機飲料)を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、乳脂肪中の高融点脂肪酸、特にパルミチン酸及びステアリン酸(A)が、保存中のオイルオフ、特に自動販売機の振動に伴うオイルオフと関連が深いことを見出した。そして、乳成分から、これら脂肪酸を選択的に除去した乳成分を配合した飲料は、従来の乳脂肪含有飲料と比較して、顕著にオイルオフが抑制された飲料であることを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に関する。
1.牛乳、牛乳から得られるクリーム及びバターからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する乳脂肪を含有する乳脂肪含有飲料であって、乳脂肪中の脂肪酸総量に対するパルミチン酸及びステアリン酸の総量(A)の割合が、34%(重量%)以下である、乳脂肪含有飲料。
2.乳脂肪がオレイン酸を含有し、乳脂肪中のオレイン酸含有量(B)に対するパルミチン酸及びステアリン酸の総量の割合((A)/(B))が1.16以下である、1に記載の乳脂肪含有飲料。
3.乳脂肪の少なくとも一部が、乳脂肪の分画により得られた乳脂肪分画物で、融点が15℃以下、かつ固体脂含量が5℃で30%以下、10℃で15%以下の性質を有する乳脂肪分画物を配合したものである、1又は2記載の乳脂肪含有飲料。
4.コーヒー飲料である、1〜3のいずれか1項に記載の乳脂肪含有飲料。
5.自動販売機飲料である、1〜4のいずれか1項に記載の乳脂肪含有飲料。
1.牛乳、牛乳から得られるクリーム及びバターからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する乳脂肪を含有する乳脂肪含有飲料であって、乳脂肪中の脂肪酸総量に対するパルミチン酸及びステアリン酸の総量(A)の割合が、34%(重量%)以下である、乳脂肪含有飲料。
2.乳脂肪がオレイン酸を含有し、乳脂肪中のオレイン酸含有量(B)に対するパルミチン酸及びステアリン酸の総量の割合((A)/(B))が1.16以下である、1に記載の乳脂肪含有飲料。
3.乳脂肪の少なくとも一部が、乳脂肪の分画により得られた乳脂肪分画物で、融点が15℃以下、かつ固体脂含量が5℃で30%以下、10℃で15%以下の性質を有する乳脂肪分画物を配合したものである、1又は2記載の乳脂肪含有飲料。
4.コーヒー飲料である、1〜3のいずれか1項に記載の乳脂肪含有飲料。
5.自動販売機飲料である、1〜4のいずれか1項に記載の乳脂肪含有飲料。
本発明によると、乳脂肪のオイルオフが抑制され、保存安定性の高い乳脂肪含有飲料(特に、自動販売機飲料)が得られる。また、本発明によると、加熱殺菌された飲料であるにも関わらず、乳脂肪本来の乳風味、コク感を有する、リッチなミルク風味を有する飲料が得られる。
(乳脂肪含有飲料)
本発明における乳脂肪含有飲料とは、牛乳、牛乳から得られるクリーム及びバターからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する乳脂肪を含有する飲料を指す。牛乳には、生乳(搾取したままの牛の乳)、牛乳(直接飲用に供する目的で販売する牛の乳)、特別牛乳(牛乳のうち、乳等省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)に定められた規格・基準に従って製造され「特別牛乳」として販売されるもの)を含むものとする。クリームは、「生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪以外の成分を除去したもの」(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令))であるか、または「脱脂乳中脂肪型のエマルションを形成している牛乳から分離した比較的脂肪に富む乳製品」であり、前記クリームを乳酸醗酵した醗酵クリーム(サワークリームとも呼ばれる)も含むものとする。バターは、「生乳、牛乳又は特別牛乳から得られた脂肪粒を練圧したもの」(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令))であるか、または「牛乳より分離したクリームの脂肪を攪拌操作により塊状に集合させて造ったもの」(日本農林規格(JAS))であり、乳酸菌による醗酵を利用して製造した醗酵バター(サワーバター、ラクティックバター、カルチャードバターとも呼ばれる)も含むものとする。
本発明における乳脂肪含有飲料とは、牛乳、牛乳から得られるクリーム及びバターからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する乳脂肪を含有する飲料を指す。牛乳には、生乳(搾取したままの牛の乳)、牛乳(直接飲用に供する目的で販売する牛の乳)、特別牛乳(牛乳のうち、乳等省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)に定められた規格・基準に従って製造され「特別牛乳」として販売されるもの)を含むものとする。クリームは、「生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪以外の成分を除去したもの」(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令))であるか、または「脱脂乳中脂肪型のエマルションを形成している牛乳から分離した比較的脂肪に富む乳製品」であり、前記クリームを乳酸醗酵した醗酵クリーム(サワークリームとも呼ばれる)も含むものとする。バターは、「生乳、牛乳又は特別牛乳から得られた脂肪粒を練圧したもの」(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令))であるか、または「牛乳より分離したクリームの脂肪を攪拌操作により塊状に集合させて造ったもの」(日本農林規格(JAS))であり、乳酸菌による醗酵を利用して製造した醗酵バター(サワーバター、ラクティックバター、カルチャードバターとも呼ばれる)も含むものとする。
このような乳脂肪を含有する乳脂肪含有飲料としては、具体的にミルクコーヒー、ミルクティー、ミルクココア、ミルクセーキ、ミルクシェイク、ミルクしるこ、スープ類、コーヒーホワイトナー、乳含有アルコールなどが挙げられる。特に、ミルクコーヒー(本明細書中、コーヒー飲料とも表記する)は好適な態様の一つである。
高融点脂肪酸の割合を小さくすることにより、乳脂肪含有飲料における保存中のオイルオフ、特に自動販売機飲料におけるオイルオフを抑制することができる。脂肪酸の融点は、炭素鎖の長さ、不飽和度に依存する。本明細書中において、乳脂肪中の脂肪酸のうち、融点が40℃以上のもの、例えば、ラウリン酸(C12:0、融点44.2℃)、ミリスチン酸(C14:0、融点53.9℃)、パルミチン酸(C16:0、融点63.1℃)、ステアリン酸(C18:0、融点69.6℃)等を「高融点脂肪酸」という。また、乳脂肪中の脂肪酸のうち、融点が20℃以上40℃未満のもの、例えば、カプリン酸(デカン酸、C10:0、融点31.6℃)を「中融点脂肪酸」といい、融点が20℃以下のもの、例えば、リノレン酸(C18:3、融点-11.3℃)、酪酸(C4:0、融点-7.3℃)、リノール酸(C18:2、融点-5.2℃)、カプロン酸(ヘキサン酸、C6:0、融点-3.4℃)、パルミトオレイン酸(C16:1、融点0℃)、オレイン酸(C18:1、融点13.4℃)、カプリル酸(オクタン酸、C8:0、融点16.7℃)等を「低融点脂肪酸」という。
高融点脂肪酸の中でも、特に融点が60℃以上の脂肪酸が自動販売機飲料のオイルオフに関連が深く、これら脂肪酸を除去することによって、自動販売機飲料の保存安定性を高めることができる。このような高融点脂肪酸として、パルミチン酸、ステアリン酸が挙げられる。すなわち、パルミチン酸及びステアリン酸の含有量を選択的に低減することが、乳脂肪含有飲料における乳脂肪のオイルオフの抑制に好都合である。
本発明の乳脂肪含有飲料において、乳脂肪中の脂肪酸の総量に対するパルミチン酸及びステアリン酸の総量(A)の割合は、34%以下、好ましくは10〜32.5%、より好ましくは15〜30%である。この範囲に調整することにより、乳脂肪含有飲料の保存安定性を向上させることができ、さらに、加熱処理に伴う乳脂肪の風味変化も抑制することができる。
高融点脂肪酸を選択的に除去することにより、乳脂肪中の脂肪酸総量に対する低融点脂肪酸の割合が高められる。本発明者らの検討によると、低融点脂肪酸の中でも、特にオレイン酸が保存安定性や風味への影響が高く、オレイン酸含有量(B)に対するパルミチン酸及びステアリン酸の総量(A)の割合((A)/(B))が小さければ、乳脂肪含有飲料における乳脂肪のオイルオフ抑制や加熱処理される飲料の風味改善に、より好都合である。この比率の好ましい範囲は、(A)/(B)=1.16以下、より好ましくは(A)/(B)=1.14以下、特に好ましくは(A)/(B)=1.10以下である。特定の高融点脂肪酸の特定の低融点脂肪酸に対する割合を小さくすることで、乳脂肪含有飲料における乳脂肪のオイルオフを効果的に抑制することができ、また乳脂肪本来の乳風味やコク感をより一層有する乳脂肪含有飲料となる。この範囲内では、乳脂肪を高濃度に含有する乳脂肪高含有飲料(具体的には、乳脂肪を0.4〜5.0%、好ましくは0.8〜3.1%含む飲料)においても、保存安定性や風味の向上をはかることができる。
脂肪酸の含有量は、ガスクロマトグラフィーを代表とする公知のいずれかの方法により測定することができる。
高融点脂肪酸、特にパルミチン酸及びステアリン酸の選択的除去は、これらが高融点脂肪酸であることを利用して行うことができる。例えば、飲料を冷却していき、高融点脂肪酸を結晶化させ、これを除去する方法が挙げられる。この方法では、飲料中の水分が高融点脂肪酸の結晶化を阻害し、また他の香味成分が共沈して、飲料の風味を低下させる可能性がある。したがって、飲料の風味を損なうことなく高融点脂肪酸のパルミチン酸及びステアリン酸を選択的除去し、オレイン酸との割合を上記のような値をとするために、以下に詳述するような、乳脂肪分画物を用いることが好適である。
(乳脂肪分画物)
本発明の乳脂肪含有飲料には、牛乳、牛乳から得られるクリーム及びバターからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する乳脂肪の分画により得られる乳脂肪分画物を用いるのが、作業性の観点から好ましい。本発明でいう分画とは、種々のトリグリセライドの混合物である乳脂肪を溶解した後、または牛乳などのように水分を含む場合には水分を除去して無水乳脂肪の状態にした後、冷却して結晶を析出せしめ、これをろ過、圧搾等の操作によって分ける操作のことをいい、本発明でいう乳脂肪分画物とは、前記の分画により、高融点脂肪酸が選択的に除去されたものをいう。
本発明の乳脂肪含有飲料には、牛乳、牛乳から得られるクリーム及びバターからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する乳脂肪の分画により得られる乳脂肪分画物を用いるのが、作業性の観点から好ましい。本発明でいう分画とは、種々のトリグリセライドの混合物である乳脂肪を溶解した後、または牛乳などのように水分を含む場合には水分を除去して無水乳脂肪の状態にした後、冷却して結晶を析出せしめ、これをろ過、圧搾等の操作によって分ける操作のことをいい、本発明でいう乳脂肪分画物とは、前記の分画により、高融点脂肪酸が選択的に除去されたものをいう。
この乳脂肪分画物(本明細書中、「低融点バター」と表記することもある)は、通常の乳脂肪に比べ低融点である短鎖脂肪酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸の含量が多く、融点が15℃以下(好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下)、固体脂含量が5℃で30%以下、10℃で15%以下(好ましくは5℃で2〜28%、10℃で0〜12%)の性質を有する。また、パルミチン酸及びステアリン酸の含量が低く、オレイン酸の含量が高いので、風味の点で好ましい。なお、固体脂含量(SFC:Solid Fat Content)は、当業者に公知の手法を用いて測定することができ、例えば、NMRを用いて測定することが出来る。
上記性質を有する低融点バターとして、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、コールマン社製、「Low Melting Point AMF」などが挙げられる。
本発明によると、低融点バターを乳脂肪の一部又は全部として用いるという単純な構成により、オイルオフ現象、すなわち油滴が分離する現象が抑制される。複数の乳化剤などを用いる場合、それぞれの保管や入手にコストがかかる上、それらの成分を均一に混合する必要があるため、あらかじめ混合工程を加える、攪拌時間を延長するなどの処置が必要となり操作が煩雑になるが、低融点バターを用いた場合には、その乳飲料によって最適な組み合わせを見出さなければならないという煩わしさがないという利点がある。
なお、低融点バターを用いた乳脂肪含有飲料においても、加熱殺菌や長期保存における乳タンパク質等の変性を抑制する補完的な役割で、乳化剤を併用してもよい。この場合に併用する乳化剤として、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上の乳化剤が例示される。
一般に、乳化剤を用いたコーヒー飲料では、乳化剤特有の好ましくない後味(具体的には、ぬめりや後味のキレの悪さ等に起因する不快な味)を有し、コーヒー自体の風味に影響を及ぼすことが知られているが、本発明の高融点脂肪酸及び低融点脂肪酸が特定比率となるように調製された乳脂肪含有飲料では、オイルオフ現象を抑制することができるため乳化剤の使用を控えることができる。従って、乳化剤を配合したコーヒー飲料における好ましくない後味を改善するという効果も有する。
(その他成分)
本発明の乳脂肪含有飲料には、上記成分の他、乳脂肪の分離が抑制される範囲において、飲料に一般的に配合される成分、例えば、甘味料(ショ糖、異性化糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、パラチノース、マルチトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、パラチニット、還元デンプン糖化物、ステビア、グリチルリチン、タウマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、アセスルファムK、スクラロース、ズルチンなど)、pH調整剤(重曹(炭酸水素ナトリウム)、炭酸カリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウムなど)、酸化防止剤(エリソルビン酸ナトリウムなど)、香料(コーヒーフレーバー、ミルクフレーバーなど)、着色料、調味料、乳化剤、増粘安定剤等を適宜添加することができる。
本発明の乳脂肪含有飲料には、上記成分の他、乳脂肪の分離が抑制される範囲において、飲料に一般的に配合される成分、例えば、甘味料(ショ糖、異性化糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、パラチノース、マルチトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、パラチニット、還元デンプン糖化物、ステビア、グリチルリチン、タウマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、アセスルファムK、スクラロース、ズルチンなど)、pH調整剤(重曹(炭酸水素ナトリウム)、炭酸カリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウムなど)、酸化防止剤(エリソルビン酸ナトリウムなど)、香料(コーヒーフレーバー、ミルクフレーバーなど)、着色料、調味料、乳化剤、増粘安定剤等を適宜添加することができる。
(製造方法)
本発明の乳脂肪含有飲料は、当業者に公知の方法に準じて製造することが出来る。コーヒー飲料を例にすると、粉体原料は適当量のお湯で溶解したものを所望により均質化し、コーヒー抽出液、低融点の乳脂肪分画物、その他所望により牛乳等の乳脂肪を調合し、調合液を均質化後、容器に充填して殺菌することで製造することが出来る。容器としては、PETボトル、缶(アルミニウム、スチール)、紙、レトルトパウチ、瓶(ガラス)等の容器を用いることができる。加熱殺菌は、容器の材質や形状により、適宜選択すればよい。例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で行われる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ食品衛生法に定められた条件と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器で高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。
本発明の乳脂肪含有飲料は、当業者に公知の方法に準じて製造することが出来る。コーヒー飲料を例にすると、粉体原料は適当量のお湯で溶解したものを所望により均質化し、コーヒー抽出液、低融点の乳脂肪分画物、その他所望により牛乳等の乳脂肪を調合し、調合液を均質化後、容器に充填して殺菌することで製造することが出来る。容器としては、PETボトル、缶(アルミニウム、スチール)、紙、レトルトパウチ、瓶(ガラス)等の容器を用いることができる。加熱殺菌は、容器の材質や形状により、適宜選択すればよい。例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で行われる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ食品衛生法に定められた条件と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器で高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。
このようにして製造される本発明の乳脂肪含有乳飲料は、乳脂肪が固化した場合でも容易に再溶解及び再分散させることができるという特長を有する。また、固化する乳脂肪は、従来の固化したものと比べると完全な固体ではなく粘性を有する半固体状であるため、容器内壁に付着して飲料表面に浮上しにくいという性質も有する。
また、自動販売機に収納され保存される自動販売機飲料とした場合にも、乳脂肪のオイルオフが抑制される。なお、本明細書でいう自動販売機とは、商品棚の後ろ側に商品のストックが積載され、コインを入れてスイッチを押すと内部の電磁コイル等が通電し、商品を出す構造の「缶・ペットボトル飲料自動販売機」をいう。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されないことは言うまでもない。
実施例1.乳脂肪含有コーヒー飲料の製造
以下の表1に示した配合で、コーヒー飲料を製造した。すなわち、焙煎コーヒー豆(サントス、ガテマラ、コロンビアのブレンド豆)を中挽きに粉砕し、豆に対して約10倍量の熱湯でドリップ抽出し、このコーヒー抽出液全量(コーヒー固形分約10gを含有する)に所定量の砂糖及びpH調整剤を加えてコーヒー液とした。乳脂肪として、牛乳、クリーム(生クリーム47:脂肪分47%)、低融点バター(脂肪分99.8%)を用いてコーヒー液と混合し、さらに所定量の脱脂粉乳、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステルとグリセリン脂肪酸エステルの混合物)、香料等の成分を混合して全量1Lの調合液を調製し、これを20MPaで均質化処理した後、190mLずつ缶に充填して、F0=14と同等程度以上の殺菌を行った。なお、低融点バターとして、コールマン社製の「Low Melting Point AMF(5℃および15℃)」を使用した。ここではAMF5 又は AMF15 と記載し、最後の数字はそれぞれ融点を示す。AMF5及びAMF15の性質は以下のとおり。
以下の表1に示した配合で、コーヒー飲料を製造した。すなわち、焙煎コーヒー豆(サントス、ガテマラ、コロンビアのブレンド豆)を中挽きに粉砕し、豆に対して約10倍量の熱湯でドリップ抽出し、このコーヒー抽出液全量(コーヒー固形分約10gを含有する)に所定量の砂糖及びpH調整剤を加えてコーヒー液とした。乳脂肪として、牛乳、クリーム(生クリーム47:脂肪分47%)、低融点バター(脂肪分99.8%)を用いてコーヒー液と混合し、さらに所定量の脱脂粉乳、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステルとグリセリン脂肪酸エステルの混合物)、香料等の成分を混合して全量1Lの調合液を調製し、これを20MPaで均質化処理した後、190mLずつ缶に充填して、F0=14と同等程度以上の殺菌を行った。なお、低融点バターとして、コールマン社製の「Low Melting Point AMF(5℃および15℃)」を使用した。ここではAMF5 又は AMF15 と記載し、最後の数字はそれぞれ融点を示す。AMF5及びAMF15の性質は以下のとおり。
(AMF5)
・融点:5.0℃
・固体脂含量(SFC):5℃で2.5%、10℃で0%
(AMF15)
・融点:15.0℃
・固体脂含量(SFC):5℃で28.0%、10℃で12.0%
・融点:5.0℃
・固体脂含量(SFC):5℃で2.5%、10℃で0%
(AMF15)
・融点:15.0℃
・固体脂含量(SFC):5℃で28.0%、10℃で12.0%
表1中、サンプルCは、牛乳及びクリームを用いた乳脂肪含有飲料であり(コントロール)、サンプルA−5及びA−15は、牛乳及びクリームの代わりに牛乳及び低融点バターを用いた飲料であり、サンプルB−5及びB−15は、牛乳及びクリームの代わりに脱脂粉乳及び低融点バターを用いた飲料である。サンプルA−5、A−15、B−5及びB−15における牛乳、低融点バター及び脱脂粉乳の配合量は、コントロールと各サンプル中の乳脂肪含有量及び無脂肪乳固形分含有量が同一となるように、決定した。
表2に、各サンプルの主な組成を示す。オレイン酸含量(B)に対するパルミチン酸(A1)とステアリン酸(A2)の総量(A=A1+A2)の比率((A)/(B))を算出すると、牛乳、クリームで調製したサンプルCは1.19であるのに対し、低融点バターを少なくとも一部に用いて調製したサンプルA−5、A−15、B−5及びB−15は、0.72〜1.16であった。
実施例2.保存試験
缶・ペットボトル飲料自動販売機では、商品(自動販売機飲料)が自動販売機内の収納位置(最上部)に収納される。この最上部に積載されてから消費者に購入されるまで、ある程度の日数を要するものである。そこで、缶・ペットボトル飲料自動販売機(取出口付近の温度:1〜6℃、商品温度設定:4℃±2℃)を用いて保存試験を行った。
実施例で製造した乳脂肪含有飲料(缶入り飲料)を、自動販売機内の収納位置に積載し、実際の販売状況を考慮して各サンプルが10〜40日ほどかけて取り出されるように、毎日各一本ずつサンプリングした。具体的には、取り出したサンプルをすぐにビーカーにあけ、目視によりオイルオフのレベルを以下の基準により評価した。レベルが高いものほどオイルオフの状態が大きいことを示す。
[レベル0] 固化した乳脂肪は観察されないか、または、注意深く見なければ見えないほどごく微量であるレベル;
[レベル1] 目視によって小さな粒状物を飲料中に僅かに見出すことができるが、消費者は飲むだけではそれらの粒状物を認識できないレベル;
[レベル2] 目視によって小さな粒状物を数多く飲料中に見出すことができ、消費者が敏感であれば飲むだけでその粒状物を認識できるレベル;
[レベル3] 目視によって大きな粒状物を飲料中に数多く見出すことができ、消費者は飲むだけでその粒状物を認識できるレベル。
缶・ペットボトル飲料自動販売機では、商品(自動販売機飲料)が自動販売機内の収納位置(最上部)に収納される。この最上部に積載されてから消費者に購入されるまで、ある程度の日数を要するものである。そこで、缶・ペットボトル飲料自動販売機(取出口付近の温度:1〜6℃、商品温度設定:4℃±2℃)を用いて保存試験を行った。
実施例で製造した乳脂肪含有飲料(缶入り飲料)を、自動販売機内の収納位置に積載し、実際の販売状況を考慮して各サンプルが10〜40日ほどかけて取り出されるように、毎日各一本ずつサンプリングした。具体的には、取り出したサンプルをすぐにビーカーにあけ、目視によりオイルオフのレベルを以下の基準により評価した。レベルが高いものほどオイルオフの状態が大きいことを示す。
[レベル0] 固化した乳脂肪は観察されないか、または、注意深く見なければ見えないほどごく微量であるレベル;
[レベル1] 目視によって小さな粒状物を飲料中に僅かに見出すことができるが、消費者は飲むだけではそれらの粒状物を認識できないレベル;
[レベル2] 目視によって小さな粒状物を数多く飲料中に見出すことができ、消費者が敏感であれば飲むだけでその粒状物を認識できるレベル;
[レベル3] 目視によって大きな粒状物を飲料中に数多く見出すことができ、消費者は飲むだけでその粒状物を認識できるレベル。
結果を表3に示す。表3に示すように、低融点バターを用いて高融点脂肪酸の含有量を低減させた本発明の飲料(サンプルA−5、A−15、B−5及びB−15)は、明らかに乳脂肪のオイルオフ現象が防止されていた。香味的にも乳脂肪本来の乳風味やコク感を強く感じるものであった。
Claims (5)
- 牛乳、牛乳から得られるクリーム及びバターからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する乳脂肪を含有する乳脂肪含有飲料であって、乳脂肪中の脂肪酸総量に対するパルミチン酸及びステアリン酸の総量(A)の割合が、34%(重量%)以下である、乳脂肪含有飲料。
- 乳脂肪がオレイン酸を含有し、乳脂肪中のオレイン酸含有量(B)に対するパルミチン酸及びステアリン酸の総量の割合((A)/(B))が1.16以下である、請求項1に記載の乳脂肪含有飲料。
- 乳脂肪の少なくとも一部が、乳脂肪の分画により得られた乳脂肪分画物で、融点が15℃以下、かつ固体脂含量が5℃で30%以下、10℃で15%以下の性質を有する乳脂肪分画物を配合したものである、請求項1又は2記載の乳脂肪含有飲料。
- コーヒー飲料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳脂肪含有飲料。
- 自動販売機飲料である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳脂肪含有飲料。
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---|---|---|---|
JP2010293980A JP2012139163A (ja) | 2010-12-28 | 2010-12-28 | 乳脂肪含有飲料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010293980A JP2012139163A (ja) | 2010-12-28 | 2010-12-28 | 乳脂肪含有飲料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2012139163A true JP2012139163A (ja) | 2012-07-26 |
Family
ID=46676112
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2010293980A Pending JP2012139163A (ja) | 2010-12-28 | 2010-12-28 | 乳脂肪含有飲料 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2012139163A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014054192A (ja) * | 2012-09-11 | 2014-03-27 | Ogawa & Co Ltd | 果汁感増強剤 |
JP2017079718A (ja) * | 2015-10-27 | 2017-05-18 | ミヨシ油脂株式会社 | 流動状油脂組成物 |
-
2010
- 2010-12-28 JP JP2010293980A patent/JP2012139163A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014054192A (ja) * | 2012-09-11 | 2014-03-27 | Ogawa & Co Ltd | 果汁感増強剤 |
JP2017079718A (ja) * | 2015-10-27 | 2017-05-18 | ミヨシ油脂株式会社 | 流動状油脂組成物 |
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A711 | Notification of change in applicant |
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