JP3440545B2 - ミルクコーヒー用乳化剤組成物およびミルクコーヒー飲料の製造法 - Google Patents
ミルクコーヒー用乳化剤組成物およびミルクコーヒー飲料の製造法Info
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Description
芽胞菌の発芽増殖による変敗が抑制された、かつ乳化が
安定していて風味の良い缶詰、瓶詰、レトルトパウチ等
の密封容器詰のミルクコーヒー飲料用乳化剤組成物およ
びそれを添加したミルクコーヒーの製造法に関するもの
である。
動販売機中で加温されて販売される場合が多くなって来
た。この種の飲料の中で最も需要の多いのはコーヒー飲
料であり、特に、嗜好性の面から乳成分を添加したミル
クコーヒー飲料が最も一般的な商品となっている。この
種の飲料が加温自動販売機等で高温(55℃)に長期保
存される場合、商業的滅菌操作が行われていても、飲料
中に残存していた耐熱性芽胞菌胞子が発芽増殖し製品品
質を劣化させる事が知られている。
酸がパルミチン酸を主体とするモノエステル含量の高い
ショ糖脂肪酸エステルを300〜1000ppm添加す
る方法が知られている。(特開昭56−18578) また耐熱性芽胞菌の増殖による変敗以外に、この種の加
温販売条件では保存条件が過酷なため、乳化状態が不安
定になり、加えられた乳成分中の乳脂肪や乳蛋白が分離
し、オイルオフやクリーミングと称される製品品質の劣
化が生じ問題とされてきた。
乳化剤、増粘剤等を添加し乳化安定性を向上させる事が
試みられているが充分ではなかった。このため、乳化剤
の安定化作用に加え、均質化機(Homogenizer)で処理
して乳成分の脂肪球(直径1〜16μm)を破壊し1μ
m以下にすることにより、乳化を安定化する方法も行わ
れている。さらには乳成分を含有するコーヒー飲料の乳
化を安定化するために、重炭酸ソーダ等のpH調整剤で
加熱殺菌後のpHを6以上にすることも行われている。
一般に、均質化機の操作圧を高くし、かつpHも高くす
る事により、乳化安定性が優れたコーヒー飲料が得られ
ることが知られている。
定化するために、均質化機の操作圧とpHを高くして脂
肪球を微細にした場合には、水と油の界面膜面積が大き
くなり、乳化剤の吸着量が増大する。そのため乳化を安
定にし、かつ変敗を防止するために必要な乳化剤添加量
が増加する。しかし、耐熱性芽胞菌による変敗の抑制の
ために必要なモノエステル含量の多いパルミチン酸系シ
ョ糖脂肪酸エステルの添加量を増加すると、このショ糖
脂肪酸エステル特有の苦味が生じ、飲料の風味を著しく
損なうといった問題があった。従って本発明は、加温販
売に適した、長期保存可能で、かつ風味の良いミルクコ
ーヒー飲料および、そのための乳化剤を提供せんとする
ものである。
ステル含有量の多いパルミチン酸系のショ糖脂肪酸エス
テルとモノエステル含有量の少ない、ステアリン酸系シ
ョ糖脂肪酸エステルとを併用する事により、自動販売機
で長期加温状態に保存しても変敗せず、かつ風味の良い
ミルクコーヒー飲料を製造する事ができる。
本発明では構成脂肪酸がパルミチン酸70重量%以上、
ステアリン酸30重量%未満、且つモノエステル含有量
が70重量%以上のパルミチン酸系ショ糖脂肪酸エステ
ルと、構成脂肪酸がステアリン酸60重量%以上であ
り、且つモノエステル含有量が20〜35重量%のステ
アリン酸系ショ糖脂肪酸エステルとを併用する。
は大きいが、特有の苦みを有するパルミチン酸系ショ糖
脂肪酸エステルの使用量を風味に影響を及ぼさない程度
に止め、代わりに単独では変敗防止効果は小さいが風味
に悪影響を及ぼさないステアリン酸系ショ糖脂肪酸エス
テルを併用する事により、両者の協働により、風味を損
なう事なく変敗を防止する事ができる。
ては、リョートーシュガーエステルP−1670、P−
1570等の市販品を用いることができる(リョートー
は三菱化成株式会社の登録商標)。パルミチン酸系ショ
糖脂肪酸エステルは、最終的に得られるミルクコーヒー
飲料中に0.025〜0.10重量%となるように添加
する。0.025重量%未満では変敗防止効果が十分に
発揮されない。また、0.1重量%を越えると、ミルク
コーヒー飲料の風味が損なわれるようになる。好ましい
添加量は0.03〜0.06重量%である。
ては、リョートーシュガーエステルS−370、S−5
70などが用いられる。ステアリン酸系ショ糖脂肪酸エ
ステルは、パルミチン酸系ショ糖脂肪酸エステルの変敗
防止効果を助長し、かつミルクコーヒー飲料の乳化安定
に寄与するが、モノエステル含有量が、20〜35重量
%の範囲外では良好な乳化安定性は発揮されない。なお
ステアリン酸系ショ糖脂肪酸エステルのモノエステル以
外の成分は主にジエステルおよびトリエステルである。
パルミチン酸系ショ糖脂肪酸エステル1重量部に対し、
0.5〜2.5重量部となるように添加する。0.5重
量部未満では、所望の変敗防止効果を得るにはパルミチ
ン酸系ショ糖脂肪酸エステルの使用量を増加させなけれ
ばならず、好ましくない。逆に2.5重量部を越えて添
加しても乳化安定性の増加は見られず、場合によっては
逆に乳化状態が、不安定になることがある。最終的に得
られるミルクコーヒー飲料中のパルミチン酸系ショ糖脂
肪酸エステルとステアリン酸系ショ糖脂肪酸エステルと
の合計濃度は通常0.05〜0.2重量%であり、特に
0.06〜0.10重量%が好ましい。
ョ糖脂肪酸エステルを併用する以外は常法に従ってミル
クコーヒー飲料を調製する事ができる。すなわち先ず、
コーヒー抽出液、乳成分および甘味料等を水に溶解して
なるコーヒー飲料用組成物に、上述の乳化剤を添加し、
さらに最終的に得られるミルクコーヒー飲料のpHが
6.0〜7.0となるように重炭酸ナトリウムなどでp
H調整を行う。コーヒー抽出液を製造するためのコーヒ
ー豆としては任意のものを用いる事ができ、例えばアラ
ビカ種のブラジル、コロンビア、ペルー、キリマンジャ
ロ等や、ロブスタ種のインドネシア、ウガンダ等があ
り、これらを単独で、または複数種混合して用いること
ができる。コーヒー豆の焙煎条件、粉砕条件、抽出条件
なども任意に選択する事ができる。乳成分としては、牛
乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリームなどが用いられる。
でpHが低下するので、pH調整はこれを考慮して行う
事が必要である。通常はpH6.3〜7.2になるよう
に重炭酸ナトリウムを添加すればよい。pH6.3未満
では加熱殺菌後のpHが6.0を下廻ってしまい、乳化
安定性が損なわれる事が多い。逆にpH7.2を上廻る
と、最終的に得られるミルクコーヒー飲料の風味が、損
なわれる事が多い。
用組成物は、次いで予備乳化したのち均質化機で処理し
て乳成分中の脂肪球を微細化する。均質化は、通常15
0kg/cm2以上で行う。均質化を高圧で行うほど、
一般に脂肪球は微細となり安定性が増す。しかし、40
0kg/cm2以上に加圧しても、一般に脂肪球の微細
化はそれ以上進行しない。均質化処理を経たミルクコー
ヒー飲料組成物は、缶など適宜の容器に充填して密封し
たのち、常法により120℃前後で25分間程度加熱殺
菌すればよい。なお、プレート式熱交換器などを通して
加熱殺菌したのち冷却し、無菌的に容器に充填して密封
することもできる。
的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下
の実施例によって限定されるものではない。
N 600G、新東科学(株)製)を用いて全脂粉乳、
乳化剤を室温の所定量の半分の水に添加する。混合溶液
を攪拌しつつ65℃まで加熱し溶解させる。そこへコー
ヒー抽出液にグラニュー糖を溶解したものを残りの半量
の水に加え混合し予備乳化した。 pH調整:pH調整剤として重炭酸ナトリウムを加え、
pHが6.7〜7.2となるようにした。 均質化 :得られたミルクコーヒー液をバルブホモゲナ
イザー(15MR−8TA PVAGAULIN社製)
を用いて65℃で均質化圧150〜400kg/cm2
で1分間均質化した。
ミルクコーヒー飲料にCl.thermaceticum を105/ml
接種しネジ口試験管に密閉した後、121〜124℃に
て20〜40分間加熱滅菌した。これを55℃の恒温器
にて45日間保存し変敗の有無を検査した。変敗の有無
は保存後のミルクコーヒー液のpHの低下および目視に
より確認した。
は55℃で8週間保存したミルクコーヒー飲料の乳脂肪
の分離(クリーミング、オイルオフ)や沈澱の有無を目
視で確認した。さらに、保存後のpHおよびクリーミン
グした乳脂肪粒径をレーザー回折装置(HORIBAP
ARTICLESIZE ANALYZER L−50
0)をもちいて測定し、安定性を確認した。結果を表−
1に示す。表−1の結果から、本発明のミルクコーヒー
飲料用乳化剤を添加した密封ミルクコーヒー飲料は、風
味に苦味がなく良好で、55℃でもクリーミングなどを
起こし難く、安定であり優れた品質であった。
テル:三菱化成(株)製 P−1670:パルミチン酸を約80重量%含有する脂
肪酸とショ糖からなるシ ョ糖脂肪酸エス
テルで、モノエステル含量約80重量%でジ・ト
リ以上のポリエステル含量約20重量%のもの P−1570:パルミチン酸を約80重量%含有する脂
肪酸とショ糖からなるショ糖脂肪酸エステルで、モノエ
ステル含量約70重量%でジ・トリ以上のポリエステル
含量約30重量%のもの S−570 :ステアリン酸を約70重量%含有する脂
肪酸とショ糖からなるショ糖脂肪酸エステルで、モノエ
ステル含量約30重量%でジ・トリ以上のポリエステル
含量約70重量%のもの S−1170:ステアリン酸を約70重量%含有する脂
肪酸とショ糖からなるショ糖脂肪酸エステルで、モノエ
ステル含量約55重量%でジ・トリ以上のポリエステル
含量約45重量%のもの
が、多量に用いると風味を損ないやすいパルミチン酸系
ショ糖脂肪酸エステルの一部を、変敗防止作用は小さい
が、風味を損なうことのない、ステアリン酸系ショ糖脂
肪酸エステルで代替する事により、風味に優れかつ自動
販売機で長時間加温下に保持しても変敗したり変質した
りする事のないミルクコーヒー飲料を得る事ができる。
Claims (7)
- 【請求項1】 構成脂肪酸がパルミチン酸70重量%以
上、ステアリン酸30重量%未満であり且つモノエステ
ル含有量が70重量%以上であるショ糖脂肪酸エステル
(A)100重量部に対し、構成脂肪酸がステアリン酸
60重量%以上であり且つモノエステル含有量が20な
いし35重量%であるショ糖脂肪酸エステル(B)を5
0重量部から250重量部含有するミルクコーヒー用乳
化剤組成物。 - 【請求項2】 乳成分を含むミルクコーヒー飲料組成物
に、構成脂肪酸がパルミチン酸70重量%以上、ステア
リン酸30重量%未満であり且つモノエステル含有量が
70重量%以上であるショ糖脂肪酸エステル(A)と、
構成脂肪酸がステアリン酸60重量%以上であり且つモ
ノエステル含有量が20〜35重量%であるショ糖脂肪
酸エステル(B)とを、前者1重量部に対し後者が0.
5〜2.5重量部となるように添加すると共に最終的に
得られるミルクコーヒー飲料のpHが6.0〜7.0に
なるように調整し、均質化機で均質化したのち容器に密
封して加熱殺菌することを特徴とするミルクコーヒー飲
料の製造法。 - 【請求項3】 最終的に得られるミルクコーヒー飲料中
におけるショ糖脂肪酸エステル(A)の濃度が0.02
5〜0.1重量%であり、かつショ糖脂肪酸エステル
(B)との合計濃度が0.05〜0.2重量%となるよ
うに、ショ糖脂肪酸エステルを添加する事を特徴とする
請求項2記載のミルクコーヒー飲料の製造法。 - 【請求項4】 最終的に得られるミルクコーヒー飲料中
におけるショ糖脂肪酸エステル(A)の濃度が0.03
〜0.06重量%となるようにショ糖脂肪酸エステルを
添加する事を特徴とする請求項2または3記載のミルク
コーヒー飲料の製造法。 - 【請求項5】 最終的に得られるミルクコーヒー飲料中
におけるショ糖脂肪酸エステル(A)と(B)との合計
濃度が0.06〜0.10重量%となるようにショ糖脂
肪酸エステルを添加する事を特徴とする請求項2ないし
4のいずれかに記載のミルクコーヒー飲料の製造法。 - 【請求項6】 均質化機で150kg/cm2以上で均
質化する事を特徴とする請求項2ないし5のいずれかに
記載のミルクコーヒー飲料の製造法。 - 【請求項7】 乳成分を含むpH6.0〜7.0の加温
販売用ミルクコーヒー飲料であって、構成脂肪酸がパル
ミチン酸70重量%以上、ステアリン酸30重量%未満
であり且つモノエステル含有量が70重量%以上である
ショ糖脂肪酸エステル(A)と、構成脂肪酸がステアリ
ン酸60重量%以上であり且つモノエステル含有量が2
0〜35重量%であるショ糖脂肪酸エステル(B)と
を、ショ糖脂肪酸エステル(A)に対するショ糖脂肪酸
エステル(B)の重量比が0.5〜2.5、両者の合計
濃度が0.05〜0.2重量%、ショ糖脂肪酸エステル
(A)の濃度が0.025〜0.1重量%となるように
含有している事を特徴とするもの。
Priority Applications (1)
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JP08442794A JP3440545B2 (ja) | 1994-04-22 | 1994-04-22 | ミルクコーヒー用乳化剤組成物およびミルクコーヒー飲料の製造法 |
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JPH07289164A JPH07289164A (ja) | 1995-11-07 |
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ID=13830290
Family Applications (1)
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JP08442794A Expired - Lifetime JP3440545B2 (ja) | 1994-04-22 | 1994-04-22 | ミルクコーヒー用乳化剤組成物およびミルクコーヒー飲料の製造法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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1994
- 1994-04-22 JP JP08442794A patent/JP3440545B2/ja not_active Expired - Lifetime
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