JP2022039937A - 乳含有飲料 - Google Patents

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JP2022039937A
JP2022039937A JP2021070126A JP2021070126A JP2022039937A JP 2022039937 A JP2022039937 A JP 2022039937A JP 2021070126 A JP2021070126 A JP 2021070126A JP 2021070126 A JP2021070126 A JP 2021070126A JP 2022039937 A JP2022039937 A JP 2022039937A
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紗与 網野
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有香 田代
Yuka Tashiro
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Abstract

【課題】呈味のバランスが整えられた乳含有飲料を提供する。【解決手段】下式TIFF2022039937000014.tif1628(式中、Rは炭素数6~12のアルキル基)で表されるδ-ラクトン類、及び、2,3-ペンタンジオンを含む、乳含有飲料であって、(i)Rが炭素数9~12のアルキル基である場合には、飲料全質量を基準として、δ-ラクトン類の含有量(X)が0.05~17.5ppmであり、2,3-ペンタンジオンの含有量(Y)が0.05~0.4ppmであり、かつ、(X)/(Y)が1.0~90.0であり、(ii)Rが炭素数6~8のアルキル基である場合には、δ-ラクトン類の含有量(X’)が0.05~20.0ppmであり、2,3-ペンタンジオンの含有量(Y’)が0.05~0.4ppmであり、かつ、(X’)/(Y’)が1.0~100.0である、乳含有飲料とする。【選択図】なし

Description

本発明は、呈味のバランスが整えられた乳含有飲料に関する。
コーヒーは、世界各国で飲用されており、わが国においても身近な嗜好性飲料の一つとなっており、より高い嗜好性を提供する技術について現在も開発が進められている。
例えば、特許文献1には、容器詰コーヒー含有飲料の苦渋味抑制方法及び香味増強方法が開示されており、アーモンド様香気成分(ベンズアルデヒド)、熟したフルーツ様香気成分(2,3-ペンタンジオン等)、クロロゲン酸、カフェイン等を所定量に調整することが開示されている。
また、特許文献2には、嗜好性・持続性が高く、香気・香味の改善ならびに異臭・異味のマスキングの効果等があるコーヒーフレーバー組成物、及びこのフレーバー組成物を含有する飲食品類が開示されている。
また、例えばコーヒー飲料にミルクを入れることでまろやかな風味を付加した飲料等も広く好まれている。このような乳入りコーヒー飲料等に関し、例えば特許文献3には、乳製品及びコーヒー抽出物にフレーバー付与するための2,3-ペンタンジオン等の使用が開示されている。
また、近年、多種多様なターゲットに合わせた様々な飲料も開発されており、例えば、引用文献4には、糖度、砂糖、果糖、δ-デカノラクトン等を所定量に調整することで、低カロリーでありながら、水っぽさが低減された飲料に関する技術が開示されている。
特開2020-31629号公報 特開2006-20526号公報 特表2000-516645号公報 特開2019-193614号公報
本発明の課題は、呈味のバランスが整えられた、新規の乳含有飲料を提供することである。
本発明者らは、多種多様なターゲットに合わせた飲料の開発を進める中で、デザートのような嗜好性の高い乳含有飲料、例えば、贅沢感のある小腹満たしができるようなラテ系飲料の開発のニーズが高まっている。本発明者らは、そのような飲料は十分な甘さがあるため、甘さとコーヒー感のバランスや、飲みごたえ、後味の苦味、後味のキレ等の呈味のバランスがとれた新規の飲料の開発が必要であると考えた。
そして、鋭意研究により、本発明者らは、当該課題を解決するために乳含有コーヒー飲料における特定の香気成分の含量とその比率を調整することで、本発明の課題を解決できることを見出した。さらに予想外にも、本発明者らは、コーヒー成分を含有しない乳含有飲料であっても、特定の香気成分の含量とその比率を調整することで、同様に本発明の課題を解決できることを確認し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の態様を含むものである。
〔1〕式(1)で表されるδ-ラクトン類、及び、2,3-ペンタンジオンを含む、乳含有飲料であって、
Figure 2022039937000001
(1)
式(1)中、Rは炭素数6~12のアルキル基を示し、
(i)Rが炭素数9~12のアルキル基である場合には、
飲料全質量を基準として、
δ-ラクトン類の含有量(X)が0.05~17.5ppmであり、
2,3-ペンタンジオンの含有量(Y)が0.05~0.4ppmであり、かつ、
2,3-ペンタンジオンの含有量(Y)に対するδ-ラクトン類の含有量(X)の比((X)/(Y))が1.0~90.0であり、
(ii)Rが炭素数6~8のアルキル基である場合には、
飲料全質量を基準として、
δ-ラクトン類の含有量(X’)が0.05~20.0ppmであり、
2,3-ペンタンジオンの含有量(Y’)が0.05~0.4ppmであり、かつ、
2,3-ペンタンジオンの含有量(Y’)に対するδ-ラクトン類の含有量(X’)の比((X’)/(Y’))が1.0~100.0である、乳含有飲料。
〔2〕前記式(1)中、Rは炭素数6~12の直鎖アルキル基を示す、前記〔1〕に記載の乳含有飲料。
〔3〕さらに、コーヒー抽出物を含有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の乳含有飲料。
〔4〕乳含有飲料の呈味のバランスを整えるための方法であって、
乳含有飲料中に、式(1)で表されるδ-ラクトン類、及び、2,3-ペンタンジオンを配合する工程を含み、
Figure 2022039937000002
(1)
式(1)中、Rは炭素数6~12のアルキル基を示し、
(i)Rが炭素数9~12のアルキル基である場合には、
飲料全質量を基準として、
δ-ラクトン類の含有量(X)が0.05~17.5ppmであり、
2,3-ペンタンジオンの含有量(Y)が0.05~0.4ppmであり、かつ、
2,3-ペンタンジオンの含有量(Y)に対するδ-ラクトン類の含有量(X)の比((X)/(Y))が1.0~90.0となるように、δ-ラクトン類、及び、2,3-ペンタンジオンを、乳含有飲料中に配合し、
(ii)Rが炭素数6~8のアルキル基である場合には、
飲料全質量を基準として、
δ-ラクトン類の含有量(X’)が0.05~20.0ppmであり、
2,3-ペンタンジオンの含有量(Y’)が0.05~0.4ppmであり、かつ、
2,3-ペンタンジオンの含有量(Y’)に対するδ-ラクトン類の含有量(X’)の比((X’)/(Y’))が1.0~100.0となるように、δ-ラクトン類、及び、2,3-ペンタンジオンを、乳含有飲料中に配合する、方法。
本発明は、呈味のバランスが整えられた、新規の乳含有飲料を提供できる。
本発明は、式(1)で表されるδ-ラクトン類と2,3-ペンタンジオン(これらを合わせて香気成分とも呼ぶ)とを下記の条件で含む乳含有飲料に関する。
Figure 2022039937000003
(1)
(式(1)中、Rは炭素数6~12のアルキル基を示す)
なお、式(1)中のアルキル基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれの形態であってもよい。
ここで、本発明の乳含有飲料のδ-ラクトン類と2,3-ペンタンジオンの含有量は、(i)Rが炭素数9~12のアルキル基である場合と、(ii)Rが炭素数6~8のアルキル基である場合とで以下のとおりである。
(i)Rが炭素数9~12のアルキル基である場合には、当該飲料全質量を基準として、δ-ラクトン類の含有量(X)が0.05~17.5ppmであり、2,3-ペンタンジオンの含有量(Y)が0.05~0.4ppmであり、かつ、2,3-ペンタンジオンの含有量(Y)に対するδ-ラクトン類の含有量(X)の比((X)/(Y))が1.0~90.0である。
(ii)Rが炭素数6~8のアルキル基である場合には、当該飲料全質量を基準として、δ-ラクトン類の含有量(X’)が0.05~20.0ppmであり、2,3-ペンタンジオンの含有量(Y’)が0.05~0.4ppmであり、かつ、2,3-ペンタンジオンの含有量(Y’)に対するδ-ラクトン類の含有量(X’)の比((X’)/(Y’))が1.0~100.0である。
また、本発明の乳含有飲料は、さらにコーヒー抽出物を含有することが好ましい。
ここで、本発明に係る乳含有飲料における乳(乳成分)は、動物性乳成分を含む。動物性乳成分としては、例えば、牛乳、山羊乳、羊乳及び馬乳等が挙げられるが、牛乳であることが特に好ましい。また、飲料に含まれる乳成分の形態としては、例えば、生乳、全脂乳、脱脂乳、乳清、乳たんぱく濃縮物、バターミルク粉、無糖練乳、脱脂加糖練乳、全脂加糖練乳、生クリーム、及び発酵乳が挙げられる。また、粉乳や濃縮乳から還元した乳も使用できる。また、乳成分は、単一種類の原料由来であっても、数の種類の原料由来であってもよい。
本発明の乳含有飲料における、δ-ラクトン類含有量、及び、2,3-ペンタンジオン含有量は、市販に汎用されている、これらの香気成分を添加することで調整できる。また、これらの香気成分を含む組成物(香気成分の濃度が分かっているものが好ましい)等を乳含有飲料に配合することで、乳含有飲料中の各構成成分の含有量を調整してもよい。また、例えば、これらの香気成分を含有する飲食品(香気成分の濃度が分かっているものが好ましい)、例えば乳、コーヒーやココア、茶等を乳含有飲料に配合することで、その香気成分の含有量を調整してもよい。
本発明の乳含有飲料は、特に限定されないが、例えば、コーヒー飲料、紅茶飲料、茶系飲料、清涼飲料水、果実飲料、スポーツ飲料、健康飲料又はアルコール飲料等である。
ここで、本発明において、呈味のバランスが整えられた乳含有飲料とは、「香味のバランス」の改善だけでなく、「飲みごたえ」及び「後味のキレ」の改善、及び、「後味の苦味」の抑制がなされた、乳含量飲料を含み、さらに、「ミルクのコク」及び「後味のよさ」の改善もなされた乳含有飲料であることが好ましい。また、本発明における「飲みごたえ」とは、例えば、口に含んだ際の濃厚な重厚感や力強さのような感覚を示す。
以下、まずは本発明に係る飲料の香気成分について詳述する。
(i)式(1)中のRが炭素数9~12のアルキル基である場合のδ-ラクトン類を含む場合の香気成分
・(A)δ-ラクトン類
飲料におけるδ-ラクトン類の含有量(X)は、上述したように、δ-ラクトン類やこれを含む香料等を添加して調整することができる。本発明の飲料において、δ-ラクトン類の含有量(X)は、0.05~17.5ppmであり、1.0~15.0ppmであることが好ましく、5.0~13.5ppmであることが特に好ましい。(X)が17.5ppmを超える場合、乳含有飲料に相応しくない香りを感じ、香味のバランスが崩れる恐れがある。また、飲料がコーヒー抽出物を含む場合には、乳含有コーヒー飲料としてさらに相応しくない香りを感じ、香味のバランスが崩れる恐れがある。また、(X)が0.05ppm未満である場合、後味の苦味が目立ち、飲みづらくなる恐れがある。乳含有飲料におけるδ-ラクトン類の含有量(X)は、例えば、本実施例に記載の条件によって、測定することができる。(i)の場合(式(1)のRのアルキル基の炭素数が9~12である場合)には、δ-ラクトン類は、フルーティな香りを有するため、この固有の香りも、本発明の飲料における呈味のバランスの改善に寄与するものと考えられる。
また、(i)の場合には、式(1)中のRは、炭素数9~12の直鎖アルキル基であることが好ましく、かつ/又は、当該Rは、炭素数10又は11のアルキル基であることが好ましい。さらに、δ-ラクトン類として、δ-デカノラクトン(CAS番号:705-86-2)を用いることが特に好ましい。
なお、δ-デカノラクトンは、ピーチ、ベリー類などの果実、牛乳、乳製品、酒類、紅茶などの香気成分として見出されている。また、δ-デカノラクトンは、単独では桃様の華やかな香気特徴を有する。
・(B)2,3-ペンタンジオン(CAS番号:600-14-6)
飲料における2,3-ペンタンジオン含有量(Y)は、上述したように、2,3-ペンタンジオンやこれを含む香料等を添加して調整することができる。本発明の飲料において、2,3-ペンタンジオンの含有量(Y)は、0.05~0.4ppmであり、0.06~0.3ppmであることが好ましく、0.09~0.25ppmであることが特に好ましい。(Y)が0.4ppmを超える場合、後味の苦味が強くなり、飲みづらくなる恐れがあり、また、0.05ppm未満である場合、後味のキレが失われる恐れがある。乳含有飲料における2,3-ペンタンジオンの含有量は、例えば、本実施例に記載の条件によって、測定することができる。なお、2,3-ペンタンジオンは、ピーチ、ヨーグルト、ココア、コーヒー、焙煎した大麦、モルトなどに含まれる香気成分である。
・(C)各香気成分の含有量の比率
本発明の飲料において、2,3-ペンタンジオンの含有量(Y)に対するδ-ラクトン類の含有量(X)の比((X)/(Y))は、1.0~90.0であり、より好ましくは5.0~80.0であり、さらに好ましくは25.0~70.0である。(X)/(Y)の比率が90.0を超える場合、乳含有飲料に相応しくない香りを感じ、香味のバランスが崩れる恐れがある。また、飲料がコーヒー抽出物を含む場合に、(X)/(Y)の比率が90.0を超えると、乳含有コーヒー飲料としてさらに相応しくない香りを感じ、香味のバランスが崩れる恐れがある。また、(X)/(Y)の比率が1.0未満である場合、飲みごたえが不足する恐れがある。
(ii)式(1)中のRが炭素数6~8のアルキル基である場合のδ-ラクトン類を含む場合の香気成分
・(A)δ-ラクトン類
飲料におけるδ-ラクトン類の含有量(X’)は、上述したように、δ-ラクトン類やこれを含む香料等を添加して調整することができる。本発明の飲料において、δ-ラクトン類の含有量(X’)は、0.05~20.0ppmであり、0.05~17.5ppmであることが好ましく、1.0~15.0ppmであることがより好ましく、5.0~13.5ppmであることが特に好ましい。(X’)が20.0ppmを超える場合、乳含有飲料に相応しくない香りを感じ、香味のバランスが崩れる恐れがある。また、飲料がコーヒー抽出物を含む場合には、乳含有コーヒー飲料としてさらに相応しくない香りを感じ、香味のバランスが崩れる恐れがある。また、(X’)が0.05ppm未満である場合、後味の苦味が目立ち、飲みづらくなる恐れがある。乳含有飲料におけるδ-ラクトン類の含有量(X’)は、例えば、本実施例に記載の条件によって、測定することができる。(ii)の場合(式(1)のRのアルキル基の炭素数が6~8である場合)には、δ-ラクトン類は、ミルクの自然な香りを有するため、この固有の香りも、本発明の飲料における呈味のバランスの改善に寄与するものと考えられる。
また、(ii)の場合には、式(1)中のRは、炭素数6~8の直鎖アルキル基であることが好ましく、かつ/又は、当該Rは、炭素数7又は8のアルキル基であることが好ましい。さらに、δ-ラクトン類として、δ-オクタノラクトン(CAS番号:698-76-0)を用いることが特に好ましい。
なお、δ-オクタノラクトンは、焦げた食品、プリン、ソフトキャンディなどの香気成分として見出されている。
・(B)2,3-ペンタンジオン(CAS番号:600-14-6)
飲料における2,3-ペンタンジオン含有量(Y’)は、上述したように、2,3-ペンタンジオンやこれを含む香料等を添加して調整することができる。本発明の飲料において、2,3-ペンタンジオンの含有量(Y’)は、0.05~0.4ppmであり、0.06~0.3ppmであることが好ましく、0.09~0.25ppmであることが特に好ましい。(Y’)が0.4ppmを超える場合、後味の苦味が強くなり、飲みづらくなる恐れがあり、また、0.05ppm未満である場合、後味のキレが失われる恐れがある。乳含有飲料における2,3-ペンタンジオンの含有量は、例えば、本実施例に記載の条件によって、測定することができる。なお、2,3-ペンタンジオンは、ピーチ、ヨーグルト、ココア、コーヒー、焙煎した大麦、モルトなどに含まれる香気成分である。
・(C)各香気成分の含有量の比率
本発明の飲料において、2,3-ペンタンジオンの含有量(Y’)に対するδ-ラクトン類の含有量(X’)の比((X’)/(Y’))は、1.0~100.0であり、1.0~90.0であることが好ましく、5.0~80.0であることがより好ましく、25.0~70.0であることが特に好ましい。(X’)/(Y’)の比率が100.0を超える場合、乳含有飲料に相応しくない香りを感じ、香味のバランスが崩れる恐れがある。また、飲料がコーヒー抽出物を含む場合に、(X’)/(Y’)の比率が100.0を超えると、乳含有コーヒー飲料としてさらに相応しくない香りを感じ、香味のバランスが崩れる恐れがある。また、(X’)/(Y’)の比率が1.0未満である場合、飲みごたえが不足する恐れがある。
次に、以下、本発明の飲料における香気成分以外の各構成成分や、当該飲料の物性等について説明する。
・(D)乳固形分
本発明の飲料において、乳固形分の含有量は、飲料全質量を基準として、6質量%以下であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは4質量%以下である。本発明における乳含有飲料においては、乳固形分の含有量が低い場合であっても、呈味のバランスを整えることができる。なお、一般に、乳含有飲料において、乳固形分の含量量を単純に6質量%超に設定すると、沈殿や凝集物の発生や褐変が生じ、飲料の風味や外観の面で保存安定性を保つことが難しくなり、また、製品コストも上がる恐れがある。また、乳固形分の含有量の下限は特に限定されないが、ミルク感の強化の観点から、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上である。
ここで、乳固形分における乳脂肪分は、飲料にミルク特有の濃厚感を付与する働きを有し、無脂乳固形分は、ミルク特有の旨みや甘みを付与する働きを有するため、乳脂肪分と無脂乳固形分の割合は適宜調整することができる。
飲料中の乳固形分の含有量は、製造に用いられる原材料に基づいて算出に従い決定することができる。なお、原材料としての乳及び乳製品の乳固形分は、例えば、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令((昭和二十六年厚生省令第五十二号)令和元年十二月二十七日公布(令和元年厚生労働省令第八十七号)改正)の内容に従って測定された値としてもよい。
・(E)コーヒー抽出物
本発明における飲料は、さらに、コーヒー抽出物を含有することが好ましい。本発明におけるコーヒー抽出物とは、コーヒー豆由来の成分を含有する液体、例えば、粉砕した焙煎豆を水や温水を用いて抽出した溶液(以下、抽出液ともいう)、又は、該溶液を濃縮したコーヒーエキスや該溶液を乾燥させたインスタントコーヒーを含む。
本発明において使用されるコーヒー抽出物の原料であるコーヒー豆は、アラビカ種でもロブスタ種でもよく、特に限定されない。例えば、当該生豆としては、メキシコ、グアテマラ、ブルーマウンテン、クリスタルマウンテン、コスタリカ、コロンビア、ベネズエラ、ブラジル・サントス、ハワイ・コナ、モカ、ケニア、キリマンジャロ、マンデリン、及びロブスタから選択される豆、又はこれらの混合豆が挙げられる。
また、本発明で用いられるコーヒー抽出物は、抽出液である場合には、コーヒー豆1~100g、より好ましくは20~80gに対して1Lの水で抽出されるのが好ましく、抽出時の水は、60~95℃であることが好ましい。また、当該コーヒー抽出液の抽出時間は30~120分間であることが好ましい。本発明のコーヒー抽出液の抽出方法は特に限定されず、例えば一般的なドリップ法や浸漬法、エスプレッソ法などで抽出されうる。
ここで、例えば乳含有コーヒー飲料においては、コーヒー配合量を多くする、又は、香料などを利用してコーヒー風味を立たせることで、ミルク感が損なわれる傾向にある。しかしながら、乳含有コーヒー飲料には、コーヒー風味は絶妙なバランスで存在した方が却ってミルクのコクを感じることができ、ミルク感が強くなる傾向にある。また、乳含有コーヒー飲料の場合は、特に、苦味を強く感じる傾向にある一方で、飲みごたえが向上するという利点があるため、呈味や香味のバランスの調整がより重要となる。
したがって、本発明の乳含有飲料中のコーヒー抽出物由来の可溶性固形分(以下、「コーヒー固形分」とも呼ぶ)の含有量は、飲料全質量を基準として、好ましくは0.01~1.0質量%であり、より好ましくは0.05~0.5質量%であり、さらに好ましくは0.1~0.3質量%である。例えば、コーヒー固形分の含有量は、コーヒー抽出液のBrix(ブリックス)値と同義とすることもできる。また、コーヒー抽出物として、インスタントコーヒーを用いる場合には、コーヒー固形分の含有量は、インスタントコーヒーの含有量に対応する。また、コーヒー抽出物として、コーヒーエキスを用いる場合には、コーヒー固形分の含有量は、コーヒーエキスの濃度に基づいて算出することができる。
・pH
本発明に係る乳含有飲料は、pHは特に限定されないが、例えば4.6~8.0であることが好ましく、5.0~7.0であることが特に好ましい。これは乳含有飲料に含まれるタンパク質等の安定性と、良好な風味の理由からである。なお、pHを調整するために、一般的なpH調整剤を飲料に添加してもよい。
・糖度
本発明に係る乳含有飲料の糖度は、ブリックス(Brix又はBxとも表記する)値と同義とする。すなわち、本発明において糖度は、20℃における糖用屈折計の示度とし、例えば、商品名「デジタル屈折計Rx-5000」(アタゴ社製)を使用して20℃で測定した固形分量とすることができる。当該糖度は、特に限定されないが、1~25°Bxであることが好ましく、2~12°Bxであることがより好ましく、4~9°Bxであることがさらに好ましい。
本発明に係る乳含有飲料の糖度は、公知の甘味料を使用することで上記の値に調整することができる。たとえば、ショ糖、ブドウ糖、グラニュー糖、果糖、乳糖、及び麦芽糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖等の糖類;キシリトール、D-ソルビトール等の低甘味度甘味料;タウマチン、ステビア抽出物、グリチルリチン酸二ナトリウム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、ネオテーム、及びサッカリンナトリウム等の高甘味度甘味料を単独で、又は適宜2種類以上を組み合わせて調整することが好ましく、ショ糖や果糖ぶどう糖液糖、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテームで調整することが乳含有飲料に求められる自然な甘みや爽やかな酸味といった嗜好性の観点から特に好ましい。また、糖分を含みうる果汁や野菜汁などを飲料に添加することでその糖度を調整してもよい。
・甘味度
また、飲料の嗜好性の評価としての乳含有飲料の甘味度は、4~10であることが好ましく、5~9であることが特に好ましい。当該甘味度が4未満であると、飲みごたえ付与の効果が得られにくい恐れがある。一方、当該甘味度が10超過であると、後味のキレを感じにくくなり、飲みやすさが低下する恐れがある。本発明において、甘味度は、例えば後述する実施例に記載の方法で規定される。
本発明における甘味度も、上述の公知の甘味料や糖分を含みうる果汁や野菜汁を使用することで上記の値に調整することができる。
本発明において、飲料の甘味度は、飲料の甘さの強さを示すパラメータであり、ショ糖の甘味度を1とした場合の相対値で表された飲料中に含まれる「各甘味料の甘味度」に基づき算出される。具体的には、以下の方法で特定される。
飲料中に含まれる各甘味料について水溶液を作製し、ショ糖1質量%水溶液と同等の甘さとなるような濃度Xを求める。そして、「1(質量%)/X(質量%)」を求め、この値を「各甘味料の甘味度」とする。飲料中に含まれる「各甘味料の甘味度」の合計値が「飲料の甘味度」である。
・その他の添加成分
また、本発明の乳含有飲料に対して、風味等を損なわない範囲で、必要に応じて任意の酸性成分として、果汁、例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ等の柑橘系の果汁や、ブドウ、モモ、リンゴ、バナナ等の果汁を添加してもよい。
また、本発明に係る乳含有飲料は、さらに植物性ミルクを含有してもよい。当該植物性ミルクは、豆乳、アーモンドミルク、カシューミルク、ココナッツミルク、ライスミルク等から選択されるが、例えば、平成30年3月29日農林水産省告示第683号に記載される豆乳、調製豆乳、又は豆乳飲料を含むことが好ましい。また、植物性ミルクは、液状体のほか、粉末体のものを用いてもよい。より具体的には、本発明に係る乳含有飲料は原料として、例えば豆乳粉末を混合したものであってもよい。
また、本発明に係る乳含有飲料は、乳化状態を良好に保持する点において、乳化剤を含有することが好ましい。乳化剤としては、食品や飲料に用いられうるものであれば、特に制限無く使用できるが、例えば、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アラビアガム、レシチン等が挙げられる。乳化剤は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用しても良い。
当該乳含有飲料への乳化剤の配合割合は、その種類等に応じて本発明の効果を損なわない範囲で適宜決定できる。該配合割合は、特に制限されないが、例えば、飲料の全質量を基準として、その下限は通常0.0001質量%であり、その上限は通常0.5質量%とすることができる。
本発明に用いる水は特に限定されず、例えば、イオン交換水を用いることができる。
また、本発明に係る乳含有飲料は、原料(生乳など)を乳酸菌や酵母等を用いて発酵して得られる、液状又は糊状の発酵乳飲食品等を含むものであってもよい。
また、本発明に係る乳含有飲料は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、一般的に使用されうる、上述していない甘味料や香料、各種栄養成分、各種植物抽出物、着色料、希釈剤、酸化防止剤、安定剤等の食品添加物を含有させてもよい。
・製法
本発明に係る乳含有飲料は、乳原料、各香気成分、及び必要に応じコーヒー抽出物を上述した含有量になるように各成分を配合する工程により得られる。また、上述した甘味料や香料、各種栄養成分、各種植物抽出物、着色料、希釈剤、酸化防止剤等の食品添加物を当該乳含有飲料に適宜混合してもよい。本発明の乳含有飲料においては、その製造工程において、適宜必要に応じて、均質化処理や殺菌処理を加えて行なうことができる。
均質化処理は、通常、ホモゲナイザーを用いて行うことができる。均質化条件は特に限定されず、常法に従うことができる。
殺菌処理の方法は特に制限されず、通常のプレート式殺菌、チューブラー式殺菌、レトルト殺菌、バッチ殺菌、オートクレーブ殺菌等の方法を採用することができる。
殺菌処理後の本発明の乳含有飲料を容器に充填する方法としては、例えば、飲料を容器にホットパック充填し、充填した容器を冷却する方法、又は容器充填に適した温度まで飲料を冷却して、予め洗浄殺菌した容器に無菌充填する方法により行うことができる。
・容器
本発明に係る乳含有飲料を充填する容器は特に制限されず、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトル、PE(ポリエチレン)容器、PP(ポリプロピレン)容器、ガラス瓶、アルミ缶、スチール缶、紙容器、アルミパウチ、チルドカップなどが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものでなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更させてもよい。
(i)δ-デカノラクトン、及び、2,3-ペンタンジオンを含む乳含有飲料
各成分の含有値を測定又は算出するための方法、及び官能評価方法については、以下の通りとした。
(1)香気成分の量(ppm)の分析方法
分析対象であるサンプル飲料10mLを20ml容バイアルに入れ、内標を添加し密栓した。各バイアルを50℃で5分間振盪した後、SPME用ファイバー(DVB/CAR/PDMS,Stableflex 23Ga(Gray)50/30μm:SIGMA-ALDRICH社製)をバイアル中のヘッドスペースに露出させた。
50℃で30分間、揮発性成分をファイバーに吸着させた後、注入口で5分間脱着させ、GC/MSにより分析を行った。検量線は標準添加法にて作成し、内標としてシクロヘキサノールを用いた。
[GC/MSの分析条件]
GC:Agilent Technologies社製 7890A
MS:Agilent Technologies社製 5975C
カラム:AgilentTechologies社製 DB-WAX UI 30m×0.25mm、膜厚0.25μm
圧力一定モード:122kPa
注入法:スプリットレス
キャリアガス:He
注入口温度:240℃
トランスファーライン:240℃
オーブン温度:40℃(5min)→5℃/min→240℃(0min)
MS条件:スキャンモード
定量イオン:δ-デカノラクトン m/z=99.2
2,3-ペンタンジオン m/z=100
シクロヘキサノール(内標) m/z=82
(2)糖度(Bx°)
糖度測定は20℃のサンプルに対して、商品名「デジタル屈折計Rx-5000」(アタゴ社製)を用いて、測定を行った。
(3)pH
pHは、pHメーター計を用いて、測定を行った。
(4)乳固形分(質量%)
乳固形分は、液状の乳を含む原材料に含まれる乳固形分(測定値)と、乾燥状態の乳原料(例えば脱脂粉乳、全粉乳)の質量とを合計した値とした。
(5)コーヒー固形分(質量%)
コーヒー固形分は、インスタントコーヒーの使用量から算出した値とした。
(6)甘味度
甘味度は、飲料中に含まれる各原料の「甘味度」を算出し、合計した値とした。
(7)官能評価方法
官能評価は、実験1-1と実験1-2では5名の専門パネリスト、実験1-3では7名の専門パネリストによって、25℃のサンプルに対し、各実験系の「対照」を基準点である「3.0」とした分量評定法を用いて行われた。評価項目は、「香味のバランスのよさ」、「飲みごたえがある」、「後味のキレのよさ」、「後味の苦みの強さ」の4項目とし、それぞれ5段階評価し、その評点を平均化した。なお、各パネリストの評点にばらつきはあまりなかった。官能評価基準は、1点:ない、2点:ややない、3点:対照と同程度、4点:ややある、5点:あるとした。そして、採点基準は、以下の通りとした。
総合評価○:「香味のバランスのよさ」、「飲みごたえがある」及び「後味のキレのよさ」の3項目が3.4点以上、かつ、「後味の苦みの強さ」の項目が3.0点以下
総合評価×:上記以外
<実験1-1> δ-デカノラクトン配合量(X)の違いによる呈味への影響を確認する。
≪実施例1~4、及び、比較例1~3≫
下記表1に示す配合となるように、ベース液の各原材料とイオン交換水とを混合してベース液を調製した。このベース液を缶に充填してレトルト殺菌をかけて、得られたベース液は、糖度が8.3°、密度が1.0247g/cm3、pHが6.6、コーヒー固形分が0.34質量%、乳固形分が3.3質量%、甘味度が8.3であった。
Figure 2022039937000004
当該ベース液を比較例1(対照)のサンプルとした。実施例1~4及び比較例2~3は、当該ベース液に、2,3-ペンタンジオン含有量が0.20ppmになるように2,3-ペンタンジオンを添加し、かつ、δ-デカノラクトン含有量が、表2に示すそれぞれの値となるようにδ-デカノラクトンを添加したサンプルとした。
得られた各サンプルについて、比較例1のサンプルを対照として官能評価した。比較例1に対する官能評価について表2に結果を示す。
Figure 2022039937000005
実験1-1の結果(表2に示す官能評価結果)から、本発明の香気成分の配合量を満たすことにより、呈味のバランスが整う効果が得られることが示された。
<実験1-2> 2,3-ペンタンジオン配合量(Y)の違いによる呈味への影響を確認する。
≪実施例5~7、及び、比較例4~5≫
上述したベース液を比較例1(対照)のサンプルとし、実施例5~7及び比較例4~5は、当該ベース液に、δ-デカノラクトン含有量が10.0ppmになるようにδ-デカノラクトンを添加し、かつ、2,3-ペンタンジオン含有量が、表3に示すそれぞれの値となるように2,3-ペンタンジオンを添加したサンプルとした。
得られた各サンプルについて、比較例1のサンプルを対照として官能評価した。比較例1に対する官能評価について表3に結果を示す。
Figure 2022039937000006
実験1-2の結果(表3に示す官能評価結果)から、本発明の香気成分の配合量を満たすことにより、呈味のバランスが整う効果が得られることが示された。
また、実験1-1及び実験1-2の結果から、実施例1~7では、比較例1(対照)と比較して「飲みごたえ」と「後味のキレ」のよさが向上し、後味の苦みは強くならない結果となった。また、香味(呈味)のバランスも良好な結果となった。
また、δ-デカノラクトンの含有量/2,3-ペンタンジオン含有量の比率((X)/(Y))が高い比較例3と4では、香味のバランスが崩れた。また、(X)/(Y)の比率が低い比較例2、及び、2,3-ペンタンジオンの含有量(Y)が高い比較例5では、後味の苦みが強くなった。
これらの結果より、香味のバランスを維持しつつ、飲みごたえがあり、後味のキレがよく、さらに後味に苦みを感じさせない飲料を提供するには、本発明の要件を満たす必要があることが示された。
<実験1-3> コーヒー抽出物を含まない乳含有飲料における香気成分の配合量による呈味への影響を確認する。
≪実施例8~10、並びに、比較例A及び比較例6~9≫
表1に示すベース液において、インスタントコーヒー(コーヒー抽出物)を含まない以外は全て同じ組成のベース液αを調製した。このベース液Aを缶に充填してレトルト殺菌をかけた。調製したベース液αは、糖度が8.0°、密度が1.0245g/cm3、pHが6.6、乳固形分が3.3質量%、甘味度が8.3であった。
ここで、上述したベース液αは、コーヒー抽出物を含まないため、2,3-ペンタンジオンを含んでいなかった。そこで、ベース液αに2,3-ペンタンジオン含有量が0.10ppmとなるように2,3-ペンタンジオンを添加したサンプルを比較例A(対照)とした。
実施例8~10は、当該ベース液αのδ-デカノラクトン含有量が5.00ppmになるようにδ-デカノラクトンを添加し、かつ、その2,3-ペンタンジオン含有量が表4に示すそれぞれの量となるように2,3-ペンタンジオンを添加したサンプルとした。比較例6は、当該ベース液αのδ-デカノラクトン含有量が5.00ppmになるようにδ-デカノラクトンを添加したサンプルとした。比較例7~9は、比較例6のサンプルの2,3-ペンタンジオン含有量が、表4に示すそれぞれの量となるように2,3-ペンタンジオンを添加したサンプルとした。
得られた各サンプルについて、比較例Aのサンプルを対照として官能評価した。比較例Aに対する官能評価の関係について表4に結果を示す。
Figure 2022039937000007
実験1-3の結果(表4に示す官能評価結果)から、本発明の香気成分の配合量を満たすことにより、飲料がコーヒー抽出物を含まない場合であっても、呈味のバランスが整う効果が得られることが示された。
しかしながら、例えば、実験1-1及び実験1-2の香気成分と実験1-3の香気成分の含有量が異なるので、単純比較はしがたいが、例えば実施例2と実施例10を比べた場合には、コーヒー抽出物を含む実施例2には、香味のバランスのよさや飲みごたえがより向上していることが示唆された。
(ii)δ-オクタノラクトン、及び、2,3-ペンタンジオンを含む乳含有飲料
各成分の含有値を測定又は算出するための方法、及び官能評価方法については、以下の通りとした。
(1)香気成分の量(ppm)の分析方法
分析対象であるサンプル飲料中の各香気成分の濃度(ppm)について、ゲステル社製MPSを用いるMVM(Multi Volatile Method)法により、GC/MS測定に供し、以下に示す条件で測定を行った。
[GC/MSの分析条件]
GC:Agilent Technologies社製 7890B
MS:Agilent Technologies社製 5977B MSD
HS:Gerstel社製MPS,
TUBE:Tenax TA、CarbopackB/X
カラム:DB-WAX UI 0.25mm×30m×0.25μm
定量イオン:δ-オクタノラクトンm/z=99.1
2,3-ペンタンジオンm/z=100.1
温度条件:40℃(2分)~8℃/分→240℃(10分)
キャリアガス流量:He 1ml/分
注入法:スプリットレス
イオン源温度:230℃
(2)糖度(Bx°);(3)pH;(4)乳固形分(質量%);(5)コーヒー固形分(質量%);及び(6)甘味度については、実施例における(i)の項で上述した方法と同じように測定した。
(7)官能評価方法
官能評価は、実験2-1~実験2-3では5名の専門パネリストによって、25℃のサンプルに対し、各実験系の「対照」を基準点である「3.0」とした分量評定法を用いて行われた。評価項目は、「香味のバランスのよさ」「飲みごたえがある」「ミルクのコクがある」「後味のキレのよさ」「後味の苦みの強さ」「後味のよさ(「後味のキレのよさ」と「後味の苦みの強さ」の観点から判断した。)」の6項目とし、それぞれ5段階評価し、その評点を平均化した。なお、各パネリストの評点にばらつきはあまりなかった。5段階評価の基準及び総合評価の採点基準は以下の通りである。
〔評価基準〕
1点:そう思わない(弱い)、2点:ややそう思わない(やや弱い)、3点:対照と同程度、4点:ややそう思う(やや強い)、5点:そう思う(強い)
〔総合評価基準〕
総合評価◎:「香味のバランスのよさ」「飲みごたえがある」「ミルクのコクがある」「後味のよさ」が3.5点以上
総合評価○:「香味のバランスのよさ」「飲みごたえがある」「ミルクのコクがある」「後味のよさ」が全て3.1点以上かつ「ミルクのコクがある」が3.5点以上
総合評価×:それ以外
<実験2-1> 2,3-ペンタンジオン含有量(Y’)の違いによる呈味への影響を確認する。
≪実施例11と12、及び、比較例10~12≫
下記表5に示す配合となるように、ベース液の各原材料とイオン交換水とを混合してベース液を調製した。このベース液を缶に充填してレトルト殺菌をかけて、得られたベース液は、糖度(Bx)が8.7°、密度が1.0288g/cm3、pHが6.79、コーヒー固形分が0.44質量%、乳固形分が2.1質量%、甘味度が6.54(ショ糖換算)であった。
Figure 2022039937000008
当該ベース液を比較例10(対照)のサンプルとした。実施例11と12及び比較例11と12は、当該ベース液に、δ-オクタノラクトン含有量(X’)が5.00ppmになるようにδ-オクタノラクトンを添加し、かつ、2,3-ペンタンジオン含有量(Y’)が、表6に示すそれぞれの値となるように2,3-ペンタンジオンを添加したサンプルとした。
得られた各サンプルについて、比較例10のサンプルを対照として官能評価した。比較例10に対する官能評価について表6に結果を示す。
Figure 2022039937000009
実験2-1の結果(表6に示す官能評価結果)から、本発明の香気成分の配合量を満たすことにより、呈味のバランスが整う効果が得られることが示された。
<実験2-2> δ-オクタノラクトン配合量(X’)の違いによる呈味への影響を確認する。
≪実施例13~16、及び、比較例10と13≫
上述したベース液を比較例10(対照)のサンプルとし、実施例13~16及び比較例13は、当該ベース液に、2,3-ペンタンジオン含有量(Y’)が0.20ppmになるように2,3-ペンタンジオンを添加し、かつ、δ-オクタノラクトン含有量(X’)が、表7に示すそれぞれの値となるようにδ-オクタノラクトンを添加したサンプルとした。
得られた各サンプルについて、比較例10のサンプルを対照として官能評価した。比較例10に対する官能評価について表7に結果を示す。
Figure 2022039937000010
<実験2-3> 2,3-ペンタンジオン含有量(Y’)の違いによる呈味への影響を確認する。
≪実施例17と18、及び、比較例10と14≫
δ-オクタノラクトン含有量(X’)を1.00ppmに固定し、2,3-ペンタンジオン含有量(Y’)を表8に示すように設定した。
得られた各サンプルについて、比較例10のサンプルを対照として官能評価した。比較例10に対する官能評価について表8に結果を示す。
Figure 2022039937000011
請求項1の範囲に該当する実施例11~18の飲料は、比較例10(対照)の飲料と比較して飲みごたえとミルクのコクが向上し、後味のキレのよさが向上して後味の苦みの強さが減少することで後味のよさが向上する結果となった。また、実施例11~18の飲料は、香味のバランスも良好な結果となった。
また、2,3-ペンタンジオンの含有量が少ない比較例11では飲みごたえが十分でなかった。2,3-ペンタンジオンの含有量が多い比較例12では後味のキレが向上せず後味の苦みが強くなり、後味のよさが下がる結果となった。δ-オクタノラクトンの量に対して2,3-ペンタンジオンの量が多すぎる比較例13では後味の苦みが強くなり、かつ後味のよさが下がる結果となった。2,3-ペンタンジオンの含有量が少ない比較例14は、後味のキレの良さや後味の良さが低減する結果となった。
これらの結果より、実施例11~18の飲料は、香味のバランスを維持しつつ飲みごたえがありミルクのコクが感じられ、さらに後味に苦みを感じさせず後味のよい飲料を提供できることが示された。

Claims (4)

  1. 式(1)で表されるδ-ラクトン類、及び、2,3-ペンタンジオンを含む、乳含有飲料であって、
    Figure 2022039937000012
    (1)
    式(1)中、Rは炭素数6~12のアルキル基を示し、
    (i)Rが炭素数9~12のアルキル基である場合には、
    飲料全質量を基準として、
    δ-ラクトン類の含有量(X)が0.05~17.5ppmであり、
    2,3-ペンタンジオンの含有量(Y)が0.05~0.4ppmであり、かつ、
    2,3-ペンタンジオンの含有量(Y)に対するδ-ラクトン類の含有量(X)の比((X)/(Y))が1.0~90.0であり、
    (ii)Rが炭素数6~8のアルキル基である場合には、
    飲料全質量を基準として、
    δ-ラクトン類の含有量(X’)が0.05~20.0ppmであり、
    2,3-ペンタンジオンの含有量(Y’)が0.05~0.4ppmであり、かつ、
    2,3-ペンタンジオンの含有量(Y’)に対するδ-ラクトン類の含有量(X’)の比((X’)/(Y’))が1.0~100.0である、乳含有飲料。
  2. 前記式(1)中、Rは炭素数6~12の直鎖アルキル基を示す、請求項1に記載の乳含有飲料。
  3. さらに、コーヒー抽出物を含有する、請求項1又は2に記載の乳含有飲料。
  4. 乳含有飲料の呈味のバランスを整えるための方法であって、
    乳含有飲料中に、式(1)で表されるδ-ラクトン類、及び、2,3-ペンタンジオンを配合する工程を含み、
    Figure 2022039937000013
    (1)
    式(1)中、Rは炭素数6~12のアルキル基を示し、
    (i)Rが炭素数9~12のアルキル基である場合には、
    飲料全質量を基準として、
    δ-ラクトン類の含有量(X)が0.05~17.5ppmであり、
    2,3-ペンタンジオンの含有量(Y)が0.05~0.4ppmであり、かつ、
    2,3-ペンタンジオンの含有量(Y)に対するδ-ラクトン類の含有量(X)の比((X)/(Y))が1.0~90.0となるように、δ-ラクトン類、及び、2,3-ペンタンジオンを、乳含有飲料中に配合し、
    (ii)Rが炭素数6~8のアルキル基である場合には、
    飲料全質量を基準として、
    δ-ラクトン類の含有量(X’)が0.05~20.0ppmであり、
    2,3-ペンタンジオンの含有量(Y’)が0.05~0.4ppmであり、かつ、
    2,3-ペンタンジオンの含有量(Y’)に対するδ-ラクトン類の含有量(X’)の比((X’)/(Y’))が1.0~100.0となるように、δ-ラクトン類、及び、2,3-ペンタンジオンを、乳含有飲料中に配合する、方法。
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