JP7312634B2 - 飲料、および飲料の酸味及び後味の改善方法 - Google Patents
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次の成分(A)~(C):
(A)乳
(B)マロン酸ジエチル2~60ppm
(C)ジアセチル0.2~120ppm、フルフラール0.05~9ppm、およびオクタナール0.05~4ppmの中から選ばれる1種または2種以上
を含有する、飲料が提供される。
次の成分(A)~(C):
(A)乳
(B)マロン酸ジエチル2~60ppm
(C)ジアセチル0.2~120ppm、フルフラール0.05~9ppm、およびオクタナール0.05~4ppmの中から選ばれる1種または2種以上
を含有するように飲料を調製する、飲料の酸味及び後味の改善方法が提供される。
本実施形態の飲料は、次の成分(A)~(C):
(A)乳
(B)マロン酸ジエチル2~60ppm
(C)ジアセチル0.2~120ppm、フルフラール0.05~9ppm、およびオクタナール0.05~4ppmの中から選ばれる1種または2種以上を含有するものである。
これにより、酸味を抑制し、かつ後味を良好にできる。かかるメカニズムの詳細は明らかではないが、まず、マロン酸ジエチルを従来の技術水準よりも高濃度で含むことにより酸味が低減され、これに適量の成分(C)が組み合わさることで、酸味をより効果的に低減できるとともに、その後の後味において適量の成分(C)の香気成分が戻り香として感じられる際に、乳成分に由来する雑味や乳臭さ、乳酸に由来する収斂味等をマスキングする結果、後味を良好にできると推測される。また、マロン酸ジエチルと適量の成分(C)の相乗効果により、まろやかさも得られると考えられる。
以下、本実施形態の飲料の詳細について説明する。
本実施形態の乳としては、牛乳、羊乳、馬乳などの獣乳や、豆乳などの植物乳を用いることができる。また、乳の形態としては、生乳、脱脂乳、調整乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、練乳および酸性乳等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、酸性乳の原料となる乳は、牛乳、羊乳、馬乳などの獣乳や、豆乳などの植物乳を用いることができる。また、この場合の乳の形態としては、生乳、脱脂乳、調整乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、練乳および酸性乳等が挙げられる。さらに、酸性乳は、酸性乳中に不溶物として含まれている乳タンパク質を可溶化するためや殺菌を行うために、加熱および冷却処理を施したものであってもよい。
当該無脂乳固形分量の含有量を上記下限値以上とすることにより、乳風味を高め、酸味を抑制しつつ、まろやかさを向上できる。一方、当該無脂乳固形分量の含有量を上記上限値以下とすることにより、良好な後味を保持しつつ、酸味を効果的に低減できる。
マロン酸ジエチルは、マロン酸の二つのカルボキシル基がエステル化された合成香料であり、典型的には、フルーツ系フレーバーとして知られている。
マロン酸ジエチルの濃度の下限値は、2ppm以上であり、好ましくは3ppm以上、より好ましくは4ppm以上、さらに好ましくは5ppm以上である。
一方、マロン酸ジエチルの濃度の上限値は、60ppm以下であり、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下である。
マロン酸ジエチルの濃度を、上記下限値以上とすることにより、酸味の低減と良好な後味のバランスが良好になり、一方、上記上限値以下とすることにより、まろやかさ、良好な後味が得られやすくなる。
成分(C)は、ジアセチル0.2~120ppm、フルフラール0.05~9ppm、およびオクタナール0.05~4ppmの中から選ばれる1種または2種以上を含有するものである。
ジアセチルの濃度の下限値は、0.2ppm以上であり、好ましくは0.3ppm以上である。一方、ジアセチルの濃度の上限値は、120ppm以下であり、好ましくは90ppm以下、より好ましくは40ppm以下である。
ジアセチルの濃度を、上記下限値以上とすることにより、酸味を低減しつつ、良好な後味、まろやかさが保持でき、一方、上記上限値以下とすることにより、後味を良好にし、酸味を低減しやすくなる。
フルフラールの濃度の下限値は、0.05ppm以上であり、好ましくは0.1ppm以上であり、より好ましくは0.2ppm以上である。一方、フルフラールの濃度の上限値は、9ppm以下であり、好ましくは7ppm以下である。
フルフラールの濃度を、上記下限値以上とすることにより、まろやかさを向上しやすくなり、一方、上記上限値以下とすることにより、後味を良好にできる。
オクタナールの濃度の下限値は、0.05ppm以上であり、好ましくは0.1ppm以上であり、より好ましくは0.2ppm以上である。一方、オクタナールの濃度の上限値は、4ppm以下であり、好ましくは3ppm以下である。
オクタナールの濃度を、上記下限値以上とすることにより、酸味を抑制しつつ後味を良好に保持し、一方、上記上限値以下とすることにより、後味を良好にできる。
本実施形態の飲料は、酸味料を含むことが好ましい。これにより、良好な嗜好性が得られるとともに、本実施形態の飲料による酸味抑制効果をより顕著に得ることができる。
酸味料としては、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、グルコン酸、コハク酸、フマル酸およびリン酸またはそれらの塩の中から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。なかでも、良好な乳風味を得つつ、酸味を抑制し、後味を良好にできる効果をより顕著に得られる観点から、クエン酸、乳酸またはこれらの塩を含むことが好ましい。また、乳風味を効果的に向上させる観点から、乳酸を含むことが好ましい。
本実施形態の飲料は、本発明の効果が得られる限りにおいて、上記以外の種々の成分を含んでもよい。例えば、上記以外の香気成分、甘味料、増粘多糖類、pH調整剤、果汁、各種栄養成分、着色料、希釈剤、および酸化防止剤等を含んでもよい。
本実施形態の飲料の糖度は、好ましくは5~20°であり、より好ましくは7~17°であり、さらに好ましくは10~15°である。
糖度を、上記下限値以上とすることにより、適度な甘みが得られ、後味の良さを保持しつつ、酸味を抑制し、まろやかさを向上できる。一方、糖度を上記上限値以下とすることにより、酸味を抑制しつつ、甘味が強くなりすぎるのを抑制できる。
当該糖度は、飲料に含まれる糖類や甘味料の含有量を調整することで適宜制御できる。
本実施形態の飲料の酸度は、特に限定されないが、クエン酸の相当量として換算した値(クエン酸酸度)において、上限が、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.4質量%以下である。クエン酸酸度の好ましい下限は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上である。これにより、酸味を抑制しつつ、後味を良好に保持できる効果がより顕著に得られる。
本実施形態の飲料の20℃におけるpHは、3.0~4.6であることが好ましく、3.2~4.2であることがより好ましく、3.5~4.0であることがさらに好ましい。これにより、酸味を抑制しつつ、後味を良好に保持できる。
なお、pHの測定は、市販のpH測定器を用いるなどして行うことができる。pHの調整は、例えば、特定酸の量を変えることや、pH調整剤を用いることなどにより行うことができる。
本実施形態の飲料は、上述の各成分を定法に従って水に均一に混合することで得ることができる。
また、本実施形態の飲料は、均質化処理を行ったものであってもよい。均質化処理は、通常、ホモゲナイザーを用いて行うことができる。均質化条件は特に限定されないが、温度5~25℃で圧力10~50MPaの条件で行うことが好ましい。また、均質化処理は、加熱殺菌処理の前後のいずれか、もしくは両方で行うことができる。
本実施形態の飲料は、加熱殺菌され、容器に詰められた状態の容器詰め飲料としてもよい。加熱殺菌は、例えば、65℃で10分間と同等以上の殺菌価を有する加熱殺菌により行うことができる。加熱殺菌の方法は特に限定されず、通常のプレート式殺菌、チューブラー式殺菌、レトルト殺菌等の方法を採用することができる。また、このときの容器としては、ガラス、紙、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート等)、アルミ、およびスチール等の単体もしくはこれらの複合材料又は積層材料からなる密封容器が挙げられる。また、容器の種類は、特に限定されるものではないが、たとえば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶、アルミパウチ等が挙げられる。
さらに飲料を外観から観察し、中身を確認できる観点、また、取扱性、流通性、携帯性等の観点から、容器はペットボトルであることが好ましい。
本実施形態の飲料の酸味及び後味の改善方法は、次の成分(A)~(C):
(A)乳
(B)マロン酸ジエチル2~60ppm
(C)ジアセチル0.2~120ppm、フルフラール0.05~9ppm、およびオクタナール0.05~4ppmの中から選ばれる1種または2種以上を含有するように飲料を調製する方法を含む。これにより、飲料の酸味を抑制しつつ後味を良好にするとともに、まろやかさを得ることもできる。
果糖ぶどう糖液糖(55%異性化糖)13.3質量%、大豆多糖類0.3質量%、脱脂粉乳2.5質量%、無水クエン酸0.17質量%、50%乳酸0.48質量%、およびクエン酸三ナトリウム0.04質量%を含む溶液に、マロン酸ジエチルと、ジアセチル、フルフラール、およびオクタナールのいずれかを表1~3に示す濃度となるように添加混合し、常温、15MPaで均質化処理をし、飲料を調製した。その後、飲料をペットボトル容器にホットパック充填し、容器詰め飲料を得た。
得られた飲料のブリックス値は13.3、pHは3.7、クエン酸酸度は0.35質量%、無脂乳固形分は2.5質量%であった。
・糖度(Bx):糖用屈折計示度「RX-5000α」株式会社アタゴ製を用いてブリックス値を測定した。飲料の液温は20℃とした。
・pH:東亜ディーケーケー社製 GST-5741Cにて測定した値(20℃)とした。
飲料中の各香気成分の濃度(ppm)について、ゲステル社製MPSを用いるMVM(Multi Volatile Method)法により、GC/MS測定に供し、以下に示す条件で測定を行った。
装置:GC:Agilent Technologies社製 7890B
MS:Agilent Technologies社製 5977B MSD
HS:Gerstel社製MPS,
TUBE:Tenax TA、CarbopackB/X
カラム:DB-WAX UI 0.25mm×30m×0.25μm
定量イオン:マロン酸ジエチルm/z=115、ジアセチルm/z=43、フルフラールm/z=96、オクタナールm/z=43
温度条件:40℃(2分)~8℃/分→240℃(10分)
キャリアガス流量:He 1ml/分
注入法:スプリットレス
イオン源温度:230℃
・官能評価:実施例および比較例の飲料(20℃)それぞれを、熟練した技術者が試飲し、「酸味の強さ」、「まろやかさ」、「後味の良さ」それぞれについて、8段階(0~8点)評価を実施し、その平均点を求めた。具体的には、「8点」を、酸味が強い、まろやかさがかなりある、後味が良い、とし、「0点」を、酸味が弱い、まろやかさがない、後味が悪い、とし、以下の評価基準に従い、評価した。また、マロン酸ジエチル、ジアセチル、フルフラール、およびオクタナールを添加していない比較例1を比較として、酸味の強さが4点以下であり、且つ、まろやかさ及び後味の良さが4点以上のものを本発明の効果を有すると判断した。
なお、実施例1~13、比較例1~9については、6名の技術者が評価し、実施例14~17、比較例10~11については、5名の技術者が評価した。
評価1「酸味の強さ」
8点:強い。
6点:やや強い。
4点:どちらとも言えない。
2点:やや弱い。
0点:弱い
評価2「まろやかさ」
8点:かなりある。
6点:ある。
4点:ややある。
2点:わずかにある。
0点:ない。
評価3「後味の良さ」
8点:良い。
6点:やや良い。
4点:どちらとも言えない。
2点:やや悪い。
0点:悪い
Claims (8)
- 次の成分(A)~(C):
(A)乳
(B)マロン酸ジエチル2~60ppm
(C)ジアセチル0.2~120ppm、フルフラール0.05~9ppm、およびオクタナール0.05~4ppmの中から選ばれる1種または2種以上
を含有する、飲料。 - クエン酸酸度が0.1~0.5質量%である、請求項1に記載の飲料。
- 当該飲料中の無脂乳固形分量が0.5~5質量%である、請求項1または2に記載の飲料。
- (D)酸味料をさらに含有する、請求項1乃至3いずれか一項に記載の飲料。
- (D)酸味料は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、グルコン酸、コハク酸、フマル酸およびリン酸またはそれらの塩の中から選ばれる1種または2種以上を含有する、請求項4に記載の飲料。
- ブリックス値が5~20°である、請求項1乃至5いずれか一項に記載の飲料。
- pH(20℃)が3.0~4.6である、請求項1乃至6いずれか一項に記載の飲料。
- 次の成分(A)~(C):
(A)乳
(B)マロン酸ジエチル2~60ppm
(C)ジアセチル0.2~120ppm、フルフラール0.05~9ppm、およびオクタナール0.05~4ppmの中から選ばれる1種または2種以上を含有するように飲料を調製する、飲料の酸味及び後味の改善方法。
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