JP2019165723A - 茶系飲料用牛乳及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】茶抽出物を含有する茶系飲料において、香りや渋みといった茶の豊かな風味を邪魔することなく引き立てながらも、生乳に近いミルク感と共に、飲用後にスッキリした風味が感じられる、茶系飲料用の牛乳、及びその製造方法、並びに、該牛乳を用いた茶系飲料及びその製造方法を提供すること。【解決手段】牛乳中のタンパク還元価が4〜9、且つ変性ホエータンパク率が60〜85%である、茶系飲料用牛乳。茶抽出物100重量部に対して、前記茶系飲料用牛乳45〜300重量部がブレンドされた茶系飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、茶系飲料での使用に適した、茶系飲料用牛乳及びその製造方法、並びに、茶系飲料及びその製造方法に関する。
ミルクティーや抹茶オーレなどの、茶抽出液と牛乳をブレンドして提供される茶系飲料は、茶抽出液の豊かな風味と牛乳の甘さとまろやかさが調和した飲料であり、老若男女を問わず広く好まれている。
通常これらの茶系飲料に使用される牛乳は、保存性や衛生上の観点から、低温保持殺菌製造法、高温短時間(HTST)殺菌製造法、超高温(UHT)加熱殺菌製造法、滅菌製造法等種々の加熱殺菌処理を経て製造される。ところが、従来の加熱殺菌処理では、原料である生乳の持つ独特の乳風味が変化し、生乳に近いフレッシュな乳風味が損なわれ、タンパク質の変性による加熱臭が付与される傾向がある。そのために従来の加熱殺菌処理を経て製造された牛乳を茶抽出液とブレンドして茶系飲料とすると、牛乳の加熱臭があり、そのため茶系飲料全体の甘味が増すなどして、茶抽出液が持つ豊かな香りや渋み、コクが邪魔されるという問題があり、茶系飲料の美味しさを際立たせるものではなかった。特にブレンドする牛乳の量が多くなるほど、その傾向が顕著であった。
これまでの超高温(UHT)加熱殺菌製造法は、飲用乳を高温で加熱殺菌することにより、低温殺菌するよりも殺菌効果が高く、賞味期限を長く出来るメリットがあるものの、高温殺菌した飲用乳は低温で殺菌したものと比較して風味が異なり、加熱臭を呈することは常識であった。
特許文献1では、低カロリーであっても乳の濃厚感、ボディ感を損なうことがなく、香味豊かな乳入り紅茶飲料として、ポリフェノール量と、ポリフェノール量とカフェイン量の比率を特定範囲に調節したものが開示されている。しかし、該文献では、紅茶飲料に配合する牛乳の詳細についてはまったく記載されていない。
特開2012−139155号公報
本発明の目的は、上記現状に鑑み、茶抽出物を含有する茶系飲料において、香りや渋みといった茶の豊かな風味を邪魔することなく引き立てながらも、生乳に近いミルク感と共に、飲用後にスッキリした風味が感じられる、茶系飲料用の牛乳、及びその製造方法、並びに、該牛乳を用いた茶系飲料及びその製造方法を提供することである。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、牛乳のタンパク還元価および変性ホエータンパク率を特定範囲に調節することによって、上記課題を解決できること、また、牛乳のタンパク還元価および変性ホエータンパク率が特定範囲に調節された牛乳は、殺菌加熱工程において特定の加熱条件を採用することで製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち第一の本発明は、牛乳中のタンパク還元価が4〜9、且つ変性ホエータンパク率が60〜85%である、茶系飲料用牛乳に関する。
第二の本発明は、茶抽出物100重量部に対して、第一の本発明に係る茶系飲料用牛乳45〜300重量部がブレンドされた茶系飲料に関する。
第三の本発明は、第一の本発明に係る茶系飲料用牛乳による茶抽出物、粉末茶を第一の本発明に係る茶系飲料用牛乳に添加した茶抽出物、前記茶抽出物を濃縮した液体エキスである茶抽出物、又は該液体エキスの乾燥物に第一の本発明に係る茶系飲料用牛乳を添加した溶液である茶抽出物に関する。好ましくは、抽出時の水及び/又は牛乳の温度が1〜100℃である。
第四の本発明は、茶系飲料用牛乳を製造する方法であって、生乳を、1次加熱として10℃未満の温度から0.1〜5℃/秒の速度で60〜75℃まで昇温し、その温度で15〜120秒間加熱した後、更に2次加熱として0.1〜5℃/秒の速度で115〜130℃まで昇温し、その温度で2〜7秒間、加熱することを特徴とする、茶系飲料用牛乳の製造方法に関する。
第五の本発明は、茶系飲料を製造する方法であって、1〜100℃の水及び/又は牛乳で茶から抽出して得られる茶抽出物と、前記茶系飲料用牛乳を混合することを特徴とする茶系飲料の製造方法に関する。
本発明に従えば、茶抽出物を含有する茶系飲料において、香りや渋みといった茶の豊かな風味を邪魔することなく引き立てながらも、生乳に近いミルク感と共に、飲用後にスッキリした風味が感じられる、茶系飲料用の牛乳、及びその製造方法、並びに、該牛乳を用いた茶系飲料及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
(茶系飲料用牛乳)
本発明は、牛乳のタンパク還元価と変性ホエータンパク率の双方をそれぞれ特定範囲に設定することによって、茶抽出物とブレンドして茶系飲料とした時に、香りや渋みといった茶の豊かな風味を邪魔することなく引き立てながらも、生乳に近いミルク感と共に、飲用後にスッキリした風味が感じられるという、茶系飲料での使用に適した牛乳を提供するものである。
本発明の茶系飲料用牛乳における牛乳とは、乳等省令において定義されている牛乳類の中でも、生乳の使用割合が100%の牛乳類であって特別牛乳を除く牛乳類に限る。特に、具体的な種類別名称が、牛乳、又は成分調整牛乳である牛乳類が好適である。牛乳類に含まれる乳脂肪分は、特に限定されないが、例えば、3.0%以上が好適である。乳脂肪分の上限値は、例えば5.0%未満であってよい。
前記牛乳類における種類別名称が牛乳に該当するものは、生乳(牛から搾ったままの乳)が加熱殺菌されたものであり、水や他の原料を添加したり、本来含まれている成分を低減したりといった成分調整がなされていないものである。好適には、乳脂肪分3.0%以上、及び、無脂乳固形分8.0%以上を含み、細菌数(1ml中)が5万以下、大腸菌群が陰性のものである。
前記牛乳類における種類別名称が成分調整牛乳に該当するものは、生乳から乳脂肪分の一部と無脂乳固形分、水分などの成分の一部を除去したものが加熱殺菌されたものである。好適には、乳脂肪分3.0%以上、及び、無脂乳固形分8.0%以上を含み、細菌数(1ml中)が5万以下、大腸菌群が陰性のものである。
本発明において、タンパク還元価とは、牛乳の加熱度合いを数値化したものである。タンパク還元価の値が低いほど牛乳があまり加熱されておらず、生乳に近いミルク感となり、値が高いほど牛乳が加熱されて、加熱臭が強いことを意味する。牛や餌の種類、環境にもよるが、一般的にタンパク還元価は生乳で0〜5、UHT殺菌牛乳では9〜17である。
タンパク還元価は、牛乳を加熱するとタンパク質の変性によるSH基の増加および褐変反応により形成された化合物により増加する還元力をフェリシアナイド還元法によって測定するものである。タンパク還元価の測定は、「日本薬学会編 乳製品試験法・注解」(金原出版株式会社、p.131、昭和59年3月20日発行)に準拠した。
本発明の牛乳中のタンパク還元価は4〜9であることが好ましい。これにより、従来の加熱殺菌処理による過度の加熱変性で生じていた加熱臭を抑制することができ、茶の豊かな風味を邪魔することなく引き立てると共に、生乳に近いミルク感を維持することができる。前記タンパク還元価は、より好ましくは5〜9であり、さらに好ましくは5.5〜9であり、特に好ましくは6〜9である。
本発明の牛乳は、飲用後にスッキリした風味が感じられると共に、生乳に近いミルク感が感じられるように、若干の変性タンパク質が含まれていることが好ましい。これを示す指標として、本発明では変性ホエータンパク率を用いる。変性ホエータンパク率とは、牛乳中の全ホエータンパクに対する、加熱によって変性したホエータンパクの割合を示す指標である。変性ホエータンパク率が低いほど、加熱によるホエータンパクの変性が少ないことを表す。一般的に変性ホエータンパク率は生乳で20〜45%、UHT殺菌牛乳では85〜95%程度である。
変性ホエータンパク率の測定は以下の通りである。蓋つき試験管に牛乳を20ml入れ、NaClを8.0g加えた後、蓋をして30分間37℃±1℃の水浴につける。この間、試験管をよく振とうして、牛乳を完全にNaClで飽和させる。その後、冷却することなくすぐに定量ろ紙(No.7)にて桐山ロートを用いて吸引濾過を行い、ろ液を3ml採取する。ろ液が混濁している場合は、ろ紙で再度ろ過し、透明なろ液を得る。NaCl飽和溶液10mlを採取した試験管に、ろ液1.0mlを加えて混合する。その後23%HCl溶液を5mlピペットで2滴添加して混合し、液を混濁させる。
HCl溶液添加前のNaCl飽和溶液10mlに、ろ液1.0mlを加えて混合したものの混濁度(N100)を420nmの波長で測定する。そして、HCl溶液添加後5〜10分以内に420nmの波長で測定した混濁度(N)も用いて、以下の式で変性ホエータンパク率を算出した。尚、測定はU−2900型分光光度計(株式会社日立製作所製)にて%Tモード設定にて行うことができる。
変性ホエータンパク率(%)={(N/N100)×100}
ろ液について二反復試験を行い、得られた2点の変性ホエータンパク率の測定値が2%以内の誤差であれば、その2点の平均値を以て変性ホエータンパク率とする。2点の変性ホエータンパク率の測定値の誤差が2%を超える場合は、再試験を繰り返し、4点の測定値を得て、その4点の平均値を以て変性ホエータンパク率とする。
本発明の牛乳は、変性ホエータンパク率が60〜85%であることが好ましい。より好ましくは65〜85%であり、さらに好ましくは70〜85%である。この範囲内では、本発明の牛乳をブレンドした茶系飲料において、茶の豊かな風味が邪魔されず引き立てられながらも、生乳に近いミルク感と共に、飲用後にスッキリした風味を感じることができる。
(茶系飲料用牛乳の製造方法)
本発明の茶系飲料用牛乳は、最初に1次加熱を行なった後、2次加熱を行なうという二段階の加熱殺菌処理を行なうことによって製造することができる。本発明における二段階の加熱殺菌処理は、牛乳の加熱殺菌方法として最も一般的な従来の超高温(UHT)加熱殺菌製造法と比較して1次加熱の温度が低く、かつ、1次加熱の実施時間が短いという特徴がある。
まず、1次加熱では、10℃未満の温度で保存されている生乳を、0.1〜5℃/秒の速度で60〜75℃まで昇温し、その温度で15〜120秒間加熱することが好ましい。1次加熱時の温度は60〜75℃が好ましく、60〜70℃がより好ましく、60〜65℃がさらに好ましい。60℃より低くなると、1次加熱による殺菌処理の効果を得ることが難しい場合があり、75℃より高くなると、上述した牛乳中のタンパク還元価が大きくなってしまい、茶の風味を邪魔することなく引き立てつつ、生乳に近いミルク感と、飲用後にスッキリした風味を得るという効果を達成することが難しい場合がある。なお、加熱時の温度とは、当該加熱時における牛乳の温度を指す。
また、昇温速度は、0.1〜5℃/秒の範囲が好ましく、0.5〜2.5℃/秒の範囲がより好ましく、1.3〜1.8℃/秒の範囲がさらに好ましい。昇温速度が0.1℃/秒より遅くなると、加熱殺菌に時間を要し、生産性が低下しすぎる場合がある。一方、昇温速度が5℃/秒より速くなると、加熱に必要な蒸気等のユーティリティーの使用量が多くなり、生産コストが上昇したり、加熱面に牛乳中のタンパクが付着し、コゲによる風味低下が起こる場合がある。
さらに、1次加熱の実施時間は15〜120秒間であることが好ましく、16〜100秒間がより好ましく、17〜80秒間がさらに好ましく、17〜60秒間が特に好ましく、17〜40秒間が最も好ましい。15秒間より短くなると、1次加熱中に、均質化処理をするための配管長を確保することが難しい場合があり、120秒間より長くなると、上述した変性ホエータンパク率が大きくなってしまい、茶の風味を邪魔することなく引き立てつつ、生乳に近いミルク感と、飲用後にスッキリした風味を得るという効果を達成することが難しい場合がある。なお、加熱の実施時間とは、当該加熱時に牛乳の温度を所定の温度範囲に保持する時間を指す。
一次加熱処理を実施するための装置は特に限定されず、牛乳の加熱殺菌に用いる装置を適宜選択することができるが、生産性を考慮して、流路式殺菌装置が好ましい。そのような殺菌装置としては、例えば、プレート式殺菌装置、チューブ式殺菌装置、スピンジェクション式殺菌装置、ジュール式殺菌装置等が挙げられるが、これらに限定されない。
1次加熱中に、生乳に含まれる脂肪球の径をそろえて品質を安定化することを目的に、従来公知の均質化処理をあわせて実施してもよい。その場合、ホモゲナイザー、マイクロフルダイザー、コロイドミル等の装置を用いることができる。なお、このような均質化処理は、後述する2次加熱後の冷却中に行なうこともできる。
次いで、2次加熱を行なう。2次加熱では、1次加熱によって処理された生乳を、0.1〜5℃/秒の速度で115〜130℃まで昇温し、その温度で2〜7秒間の加熱を行なうことが好ましい。2次加熱時の温度は115〜130℃が好ましく、115〜125℃がより好ましく、115〜120℃がさらに好ましく、115〜118℃が最も好ましい。115℃より低くなると、2次加熱による殺菌処理の効果を得ることが難しい場合があり、130℃より高くなると、上述した牛乳中のタンパク還元価が大きくなってしまい、茶の風味を邪魔することなく引き立てつつ、生乳に近いミルク感と、飲用後にスッキリした風味が感じられるという効果を達成することが難しい場合がある。
また、2次加熱の実施時間は2〜7秒間であることが好ましい。2秒間より短くなると、2次加熱による殺菌処理の効果を得ることが難しい場合があり、7秒間より長くなると、上述した変性ホエータンパク率が大きくなってしまい、茶の風味を邪魔することなく引き立てつつ、生乳に近いミルク感と、飲用後にスッキリした風味が感じられることが難しい場合がある。
2次加熱時の昇温速度は、0.1〜5℃/秒の範囲が好ましく、0.5〜2.5℃/秒の範囲がより好ましく、0.8〜1.3℃/秒の範囲がさらに好ましい。昇温速度が0.1℃/秒より遅くなると、加熱殺菌に時間を要し、生産性が低下しすぎる場合がある。一方、昇温速度が5℃/秒より速くなると、加熱に必要な蒸気等のユーティリティーの使用量が多くなり、生産コストが上昇したり、加熱面に牛乳中のタンパクが付着し、コゲによる風味低下が起こる場合がある。
以上の処理を行なって加熱殺菌された牛乳を、箱詰めまたは瓶詰めするなど容器に詰めることで製品化すればよい。
(茶系飲料)
本発明における茶系飲料とは、茶抽出物と本発明の茶系飲料用牛乳の混合物である。本発明における茶抽出物とは、茶を好ましくは1〜100℃の水及び/又は牛乳で抽出して得られるものであるが、これに限定されず、粉末にした茶を1〜100℃の水及び/又は牛乳に添加したものであってもよいし、前記茶抽出物を一旦濃縮した液体エキス、または、これを乾燥させた粉末エキスを、1〜100℃の水及び/又は牛乳などで所望の濃度に調整した溶液などであってもよい。また、茶を抽出して得た抽出物に、粉末茶や、前記液体エキス、前記粉末エキスなどをさらに添加したものであってもよい。ここで、茶抽出物に用いられる牛乳は、特に限定は無いが、本発明の茶系飲料用牛乳の作製に用いる前記牛乳や本発明の茶系飲料用牛乳そのものが好ましい。
茶を抽出する時に用いる水又は水と牛乳の混合液又は牛乳などの溶媒は、茶成分の抽出効率や、香りや渋みといった茶の豊かな風味が著しく損なわれなければ、何れの溶媒を用いても良いが、牛乳と水の割合である牛乳/水(重量比)は5/95〜0/100であることが好ましい。牛乳の使用量が多いほど、牛乳中の蛋白質が茶原料に多量に付着し、抽出効率が落ちる場合がある。そして、前記茶抽出物と本発明の茶系飲料用牛乳を混合すれば、前記茶系飲料を得ることができる。また、牛乳のみで茶を抽出した場合は、茶成分の抽出効率が悪くなることで、香りや渋みといった茶の豊かな風味が弱い茶系飲料になる場合がある。
茶の抽出に牛乳を用いる場合、当該牛乳は本発明の茶系飲料用牛乳以外の牛乳であってもよいが、少しでも本発明の効果を損なわないために、本発明の茶系飲料用牛乳を用いることが好ましい。
本発明で使用可能な茶としては特に限定されず、ツバキ目ツバキ科ツバキ属の常緑樹である「チャノキ」であるCamellia sinensisの中国種(var.sinensis)やアッサム種(var.assamica)又はそれらの雑種から得られる茶の葉や茎、芽などから乾燥工程及び/又は発酵工程を経て製茶されたものが挙げられる。茶の種類は特に限定されず、紅茶、ほうじ茶、緑茶、抹茶、烏龍茶などが挙げられる。
また、紅茶の種類としても特に限定されず、例えば、ダージリン、アッサム、ニルギリ、ディンブラ、ウバ、ヌアラエリア、ケニア、キーモン等が挙げられる。
本発明における茶は、チャノキ以外の植物の葉や茎、根、果実、花弁などを乾燥させたものであってもよい。そのような茶としては、マメ亜科のアスパラトゥス属の一種であるルイボスの葉から製茶されたルイボス茶や、たんぽぽの葉や根から製茶されたたんぽぽ茶や、搗精し焙煎した大麦の種子から製茶された麦茶や、イネ科ジュズダマ属のハトムギから製茶されたハトムギ茶などが挙げられる。使用する茶の種類は1種類のみであってもよいし、2種以上の茶をブレンドして使用することもできる。
茶抽出物の調製方法は、従来から知られている一般的な方法で調製することができる。例えば、原料とする茶に対して、好ましくは1〜100℃の水及び/又は牛乳を10〜100倍重量混合して抽出する。抽出時の温度や時間は使用する茶の種類や目的により適宜調整するが、前記水及び/又は牛乳の温度を、より好ましくは40〜100℃、さらに好ましくは60〜98℃、特に好ましくは80〜95℃として30秒間〜60分間の抽出を行い、必要に応じて抽出中に撹拌を行う。次いで、必要に応じて茶殻等の固形成分を濾過や遠心分離機により固液分離することにより茶抽出物を得ることができる。但しここでは、抽出時の温度や時間などは、特に限定されず、茶の種類や目的とする香味等に応じて任意に設定することができる。なお、前記固液分離は、茶抽出物と本発明の茶系飲料用牛乳とをブレンドした後に行ってもよい。
本発明の茶系飲料は、以上説明した茶抽出物と、本発明の茶系飲料用牛乳をブレンドすることで製造することができる。ブレンド時の温度は特に限定されず、茶抽出物と茶系飲料用牛乳のいずれの温度も、1〜100℃の範囲にあればよい。ブレンドの割合は適宜決定することができるが、茶抽出物100重量部に対して、本発明の茶系飲料用牛乳の使用量が45〜300重量部であることが好ましい。この範囲において、茶の風味と、生乳に近いミルク感を容易に両立することができる。より好ましくは50〜300重量部であり、さらに好ましくは55〜250重量部であり、よりさらに好ましくは60〜200重量部であり、特に好ましくは70〜150重量部であり、最も好ましくは80〜120重量部である。
以上のようにして得られた茶系飲料には、適宜、砂糖、ブドウ糖、果糖、異性化液糖などの糖類、植物性油脂、動物性油脂、酒類、塩類(塩化ナトリウム等)、ハーブ・スパイス類、香辛料抽出物、茶類、pH調整剤、スクラロースやアスパルテーム等の甘味料、増粘安定剤、乳化剤、着色料、香料、酸化防止剤、日持向上剤、栄養強化剤、保存料等の副成分を単独あるいは併用して配合してもよい。
また、本発明の茶系飲料は、冷やして飲用することもできるし、温めて飲用することもできる。いずれの場合においても、茶の風味が牛乳によって邪魔されず引き立てられており、生乳に近いミルク感と共に、飲用後にスッキリした風味を感じることができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(タンパク還元価の測定方法)
「日本薬学会編 乳製品試験法・注解」(金原出版株式会社、p.131、昭和59年3月20日発行)に準拠して測定を行なった。
(変性ホエータンパク率の測定方法)
上で詳述した方法によって測定を行なった。
<牛乳の衛生面の評価>
実施例および比較例で得られた各牛乳を、滅菌容器に充填し、10℃で21日間保存後の一般生菌数を測定し、以下の基準で評価した。一般生菌数の測定は、牛乳を滅菌生理食塩水により適宜希釈したものをサンプルとし、混釈法により実施した。培地は標準寒天培地を使用し、35℃で48時間培養して、48時間培養後の集落(コロニー)の数を数えて、一般生菌数(CFU/ml)とした。
○:一般生菌数が、5.0×10(CFU/ml)以下であり衛生的に問題ない。
×:一般生菌数が、5.0×10(CFU/ml)を超え、衛生的に問題がある。
<茶抽出物の作製>
紅茶(アッサム)3gに対し、94℃の湯200gを注ぎ、3分間蒸らした後、茶殻を茶漉(100メッシュ)で漉して、紅茶抽出物を得た。ただし、実施例12,13及び比較例8では紅茶の代わりにルイボス茶を使用し、ルイボス茶1.5gと水200gを鍋に入れて沸騰させた後、弱火にして10分煮だしてから漉して、茶抽出物を得た。また、実施例14,15及び比較例9では紅茶の代わりにほうじ茶を使用し、ほうじ茶5gに対して、98℃の湯200gを注ぎ、30秒間蒸らした後に漉して、茶抽出物を得た。さらに、実施例16,17及び比較例10では紅茶の代わりに抹茶を使用し、抹茶20gと砂糖20gの混合したものに対して、75℃の湯200gを注いで溶かして、茶漉で漉さずに茶抽出物を得た。
<茶系飲料の作製>
上記で得た各種茶抽出物100重量部に対して、実施例および比較例で得られた牛乳を、各表に記載の添加量でブレンドし、さらに茶抽出物と牛乳の合計100重量部に対して砂糖を7.5重量部添加して、茶系飲料としてミルクティーを得た。ただし、実施例16,17及び比較例10の抹茶のミルクティーでは、使用した茶抽出物に砂糖が入っているため、新たに砂糖7.5重量部は添加しなかった。
<茶系飲料の官能評価>
上記で得られた各種茶系飲料を各表に記載の温度(55℃又は10℃)に温調した後、熟練した10人のパネラーに飲用してもらい、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさの観点で各々の官能評価を行い、その評価点の平均値を官能評価の評価値として各表に記載した。その際の評価基準は以下の通りとした。
(茶の風味)
5点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料よりも良く、茶の風味(香りと渋み)が全く邪魔されず、非常に引き立てられている
4点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料と同等で、茶の風味(香りと渋み)が邪魔されず、引き立てられている
3点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料よりもやや劣るが、茶の風味(香りと渋み)が邪魔されず、茶の風味が感じられる
2点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料よりも悪く、茶の風味(香りと渋み)が少し邪魔されており、茶の風味が感じられ難い
1点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料よりも非常に悪く、茶の風味(香りと渋み)が邪魔されており、茶の風味が感じられない。
(生乳に近いミルク感)
5点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料よりも良く、生乳に近いミルク感が非常に感じられる
4点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料と同等で、生乳に近いミルク感が僅かに感じられる
3点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料よりもやや劣るが、生乳に近いミルク感もあるが、甘味の方が強く感じられる
2点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料よりも悪く、生乳に近いミルク感が殆どなく、甘味を強く感じる
1点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料よりも非常に悪く、生乳に近いミルク感が全くなく、甘味を非常に強く感じる。
(スッキリさ)
5点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料よりも良く、茶と牛乳の風味が一体となっており、後口に非常にスッキリさがある
4点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料と同等で、茶と牛乳の風味が一体感があり、後口にスッキリさがある
3点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料よりもやや劣るが、茶と牛乳の風味の一体感はあるが、後口のスッキリさは弱い
2点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料よりも悪く、茶と牛乳の風味が一体感がなく、茶または牛乳のどちらか一方の風味を感じて、スッキリさを殆ど感じない
1点:実施例1の牛乳を用いて作製した各種茶系飲料よりも非常に悪く、茶と牛乳が一体感が全くなく、茶または牛乳のどちらか一方の風味を強く感じて、スッキリさが全くない
(茶系飲料の総合評価)
茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさの各評価結果を基に、総合評価を行った。その際の評価基準は以下の通りである。
A:茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさが全て4.5点以上5.0点以下を満たすもの。
B:茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさが全て4.0点以上5.0点以下であって、且つ4.0以上4.5未満が少なくとも一つあるもの。
C:茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさが全て3.0点以上5.0点以下であって、且つ3.0以上4.0未満が少なくとも一つあるもの。
D:茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさが全て2.0点以上5.0点以下であって、且つ2.0以上3.0未満が少なくとも一つあるもの。
E:茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさの評価において、2.0未満が少なくとも一つあるもの。
(実施例1)
5℃の生乳(乳脂肪3.7%、無脂乳固形分8.8%)を、チューブラー式熱交換器にて1.4℃/秒の昇温速度で60℃に昇温し、この温度で30秒間保持して1次加熱を行った。1次加熱中に、ホモゲナイザーにて17MPaの圧力下で均質化処理を実施した後、チューブラー式熱交換器にて0.9℃/秒の昇温速度で115℃に昇温し、この温度で7秒間保持して殺菌(2次加熱)を行った後、同チューブラー式熱交換器にて4℃に冷却し、牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は6.5、変性ホエータンパク率は84%であった。
(実施例2)
1次加熱及び2次加熱の昇温速度は表1に示す昇温速度であり、1次加熱時の温度を70℃に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は7.0、変性ホエータンパク率は77%であった。
(実施例3)
1次加熱及び2次加熱の昇温速度は表1に示す昇温速度であり、1次加熱時の温度を75℃に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は8.9、変性ホエータンパク率は85%であった。
(比較例1)
1次加熱及び2次加熱の昇温速度は表1に示す昇温速度であり、1次加熱時の温度を80℃に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は9.7、変性ホエータンパク率は88%であった。
実施例1〜3及び比較例1で得た各牛乳を用いて、上記によって茶系飲料を作製し、上記した評価基準により各茶系飲料の官能評価を行い、その結果を表1に示した。
Figure 2019165723
表1より、実施例1〜3で得られた牛乳は、1次加熱時の温度が60〜75℃の範囲にあり、タンパク還元価は4〜9の範囲、且つ変性ホエータンパク率は60〜85%の範囲にあったことが分かる。その結果、これを用いて作製した茶系飲料は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。
一方、比較例1で得られた牛乳は、1次加熱時の温度が80℃と高く、タンパク還元価が9.7と高い値を示し、変性ホエータンパク率も88%と高い値を示した。これを用いて作製した茶系飲料は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で不十分な結果となった。
(実施例4)
1次加熱の保持時間を17秒に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は6.5、変性ホエータンパク率は85%であった。
(実施例5)
1次加熱の保持時間を70秒に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は7.2、変性ホエータンパク率は85%であった。
(比較例2)
1次加熱の保持時間を150秒に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は7.5、変性ホエータンパク率は91%であった。
実施例4〜5及び比較例2で得た各牛乳を用いて、上記によって茶系飲料を作製し、上記した評価基準により各茶系飲料の官能評価を行い、その結果を、実施例1とともに表2に示した。
Figure 2019165723
表2より、実施例1、4〜5で得られた牛乳は、1次加熱の保持時間が15〜120秒の範囲にあり、タンパク還元価は4〜9の範囲、且つ変性ホエータンパク率は60〜85%の範囲にあったことが分かる。その結果、これを用いて作製した茶系飲料は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。
一方、比較例2で得られた牛乳は、1次加熱の保持時間が150秒と長く、変性ホエータンパク率が91%と高い値を示した。これを用いて作製した茶系飲料は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で不十分な結果となった。
(実施例6)
2次加熱の保持時間を2秒に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は6.5、変性ホエータンパク率は71%であった。
(実施例7)
2次加熱の昇温速度は表3に示す昇温速度であり、2次加熱時の温度を125℃に変更した以外は実施例6と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は8.0、変性ホエータンパク率は83%であった。
(比較例3)
2次加熱の昇温速度は表3に示す昇温速度であり、2次加熱時の温度を135℃に変更した以外は実施例6と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は11.4、変性ホエータンパク率は88%であった。
実施例6〜7及び比較例3で得た各牛乳を用いて、上記によって茶系飲料を作製し、上記した評価基準により各茶系飲料の官能評価を行い、その結果を表3に示した。
Figure 2019165723
表3より、実施例6〜7で得られた牛乳は、2次加熱時の温度が115〜130℃の範囲にあり、タンパク還元価は4〜9の範囲、且つ変性ホエータンパク率は60〜85%の範囲にあったことが分かる。その結果、これを用いて作製した茶系飲料は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。
一方、比較例3で得られた牛乳は、2次加熱時の温度が135℃と高く、タンパク還元価が11.4と高い値を示し、変性ホエータンパク率も88%と高い値を示した。これを用いて作製した茶系飲料は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で不十分な結果となった。
(比較例4)
2次加熱の保持時間を10秒に変更した以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は6.9、変性ホエータンパク率は92%であった。
(比較例5)
1次加熱の昇温速度は表4に示す昇温速度であり、1次加熱時の温度を66℃に、保持時間を1800秒に変更し、2次加熱を実施しなかった以外は実施例1と同様に牛乳を得た。得られた牛乳のタンパク還元価は6.1、変性ホエータンパク率は58%であった。
比較例4〜5で得た各牛乳を用いて、上記によって茶系飲料を作製し、上記した評価基準により各茶系飲料の官能評価を行い、その結果を表4に示した。
Figure 2019165723
表4より、比較例4で得られた牛乳は、2次加熱の保持時間が10秒と長く、変性ホエータンパク率が92%と高い値を示したことが分かる。これを用いて作製した茶系飲料は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で不十分な結果となった。
また、比較例5で得られた牛乳は、2次加熱を行なわず、66℃、1800秒での低温殺菌のみを行なった例である。変性ホエータンパク率が58%と低い値を示し、衛生面の評価も低いものであった。これを用いて作製した茶系飲料は、茶の風味、及び、スッキリさの項目で不十分な結果となった。
(実施例9〜10及び比較例6〜7)
実施例2で得た牛乳を用いて茶系飲料を作製するにあたって、茶抽出物に対する牛乳の添加量を表5に記載の数値に従って変更した以外は、実施例2と同様に茶系飲料を作製し、上記した評価基準により各茶系飲料の官能評価を行い、その結果を表5に示した。
(実施例11)
実施例2で得た牛乳を用いて実施例2と同様に茶系飲料を作製し、官能評価をするにあたって、官能評価の際の茶系飲料の温度を55℃から10℃に変更し
た。該茶系飲料の官能評価を上記した評価基準により行い、その結果を表5に示した。
Figure 2019165723
表5より、茶抽出物100重量部に対して、実施例2で得られた牛乳を45〜300重量部の範囲でブレンドした実施例2、9〜10の茶系飲料は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。しかし、牛乳の添加量が45重量部未満であった比較例6は、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさの項目で不十分な結果となった。また、牛乳の添加量が300重量部を超過した比較例7は、茶の風味の項目で不十分な結果となった。
また、実施例2と同じ茶系飲料をコールドで飲用して官能評価を行なった実施例11でも、実施例2と同様、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。
(実施例12)
茶抽出物を作製する際に使用した茶の種類を、ルイボス茶に変更した以外は、実施例1と同様に茶系飲料を作製し、上記した評価基準により茶系飲料の官能評価を行い、その結果を表6に示した。
Figure 2019165723
(実施例13)
実施例12において、実施例1の牛乳を実施例2の牛乳に変更した以外は、実施例12と同様に茶系飲料を作製し、上記した評価基準により茶系飲料の官能評価を行い、その結果を表6に示した。
(比較例8)
実施例12において、実施例1の牛乳を比較例1の牛乳に変更した以外は、実施例12と同様に茶系飲料を作製し、上記した評価基準により茶系飲料の官能評価を行い、その結果を表6に示した。
表6より、茶の種類がルイボス茶においても、牛乳中のタンパク還元価が4〜9、且つ変性ホエータンパク率が60〜85%である牛乳を使用した茶系飲料(実施例12及び13)は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。一方、タンパク還元価が9.7と高い値を示し、変性ホエータンパク率も88%と高い値を示した牛乳を使用した茶系飲料(比較例8)は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で不十分な結果となった。
(実施例14)
茶抽出物を作製する際に使用した茶の種類を、ほうじ茶に変更した以外は、実施例1と同様に茶系飲料を作製し、上記した評価基準により茶系飲料の官能評価を行い、その結果を表6に示した。
(実施例15)
実施例14において、実施例1の牛乳を実施例2の牛乳に変更した以外は、実施例14と同様に茶系飲料を作製し、上記した評価基準により茶系飲料の官能評価を行い、その結果を表6に示した。
(比較例9)
実施例14において、実施例1の牛乳を比較例1の牛乳に変更した以外は、実施例14と同様に茶系飲料を作製し、上記した評価基準により茶系飲料の官能評価を行い、その結果を表6に示した。
表6より、茶の種類がほうじ茶においても、牛乳中のタンパク還元価が4〜9、且つ変性ホエータンパク率が60〜85%である牛乳を使用した茶系飲料(実施例14及び15)は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。一方、タンパク還元価が9.7と高い値を示し、変性ホエータンパク率も88%と高い値を示した牛乳を使用した茶系飲料(比較例9)は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で不十分な結果となった。
(実施例16)
茶抽出物を作製する際に使用した茶の種類を、抹茶に変更した以外は、実施例1と同様に茶系飲料を作製し、上記した評価基準により茶系飲料の官能評価を行い、その結果を表6に示した。
(実施例17)
実施例16において、実施例1の牛乳を実施例2の牛乳に変更した以外は、実施例16と同様に茶系飲料を作製し、上記した評価基準により茶系飲料の官能評価を行い、その結果を表6に示した。
(比較例10)
実施例16において、実施例1の牛乳を比較例1の牛乳に変更した以外は、実施例16と同様に茶系飲料を作製し、上記した評価基準により茶系飲料の官能評価を行い、その結果を表6に示した。
表6より、茶の種類が抹茶においても、牛乳中のタンパク還元価が4〜9、且つ変性ホエータンパク率が60〜85%である牛乳を使用した茶系飲料(実施例16及び17)は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。一方、タンパク還元価が9.7と高い値を示し、変性ホエータンパク率も88%と高い値を示した牛乳を使用した茶系飲料(比較例10)は、茶の風味、及び、スッキリさの評価項目で不十分な結果となった。
(実施例18)
実施例1で使用した5℃の生乳を55℃に加温し、クリームセパレーターでクリームとの分離を行い、脂肪分0.08%の画分を得た。この画分16.5重量部と生乳83.5重量部とを混合し、脂肪分3.1%、無脂乳固形分8.5%に調整した。このものを実施例1と同じ条件で加熱処理して乳脂肪分が3.1%の成分調整牛乳を得た。得られた成分調整牛乳のタンパク還元価は7.9、変性ホエータンパク率は78%であった。
(実施例19)
1次加熱及び2次加熱の昇温速度は表7に示す昇温速度であり、1次加熱時の温度を75℃に変更した以外は実施例18と同様に成分調整牛乳を得た。得られた成分調整牛乳のタンパク還元価は9.0、変性ホエータンパク率は80%であった。
(比較例11)
1次加熱及び2次加熱の昇温速度は表7に示す昇温速度であり、1次加熱時の温度を85℃に変更した以外は実施例18と同様に成分調整牛乳を得た。得られた成分調整牛乳のタンパク還元価は10.4、変性ホエータンパク率は87%であった。
(比較例12)
1次加熱の昇温速度は表7に示す昇温速度であり、1次加熱時の温度を66℃に、保持時間を1800秒に変更し、2次加熱を実施しなかった以外は実施例18と同様に成分調整牛乳を得た。得られた成分調整牛乳のタンパク還元価は4.5、変性ホエータンパク率は49%であった。
実施例18,19及び比較例11,12で得た各成分調整牛乳を用いて、上記によって茶系飲料を作製し、上記した評価基準により各茶系飲料の官能評価を行い、その結果を、表7に示した。
Figure 2019165723
表7より、実施例18及び19で得られた脂肪分が3.1%の成分調整牛乳は、1次加熱時の温度が60〜75℃の範囲にあり、タンパク還元価は4〜9の範囲、且つ変性ホエータンパク率は60〜85%の範囲にあったことが分かる。その結果、これを用いて作製した茶系飲料は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で良好な結果が得られた。
一方、比較例11で得られた脂肪分が3.1%の成分調整牛乳は、1次加熱時の温度が85℃と高く、タンパク還元価が10.4と高い値を示し、変性ホエータンパク率も87%と高い値を示した。これを用いて作製した茶系飲料は、茶の風味、生乳に近いミルク感、及び、スッキリさすべての評価項目で不十分な結果となった。
また、比較例12で得られた脂肪分が3.1%の成分調整牛乳は、2次加熱を行なわず、66℃、1800秒での低温殺菌のみを行なった例である。変性ホエータンパク率が49%と低い値を示し、衛生面の評価も低いものであった。これを用いて作製した茶系飲料は、茶の風味、及び、スッキリさの項目で不十分な結果となった。

Claims (6)

  1. 牛乳中のタンパク還元価が4〜9、且つ変性ホエータンパク率が60〜85%である、茶系飲料用牛乳。
  2. 茶抽出物100重量部に対して、請求項1に記載の茶系飲料用牛乳45〜300重量部がブレンドされた茶系飲料。
  3. 請求項1に記載の茶系飲料用牛乳による茶抽出物、粉末茶を請求項1に記載の茶系飲料用牛乳に添加した茶抽出物、前記茶抽出物を濃縮した液体エキスである茶抽出物、又は該液体エキスの乾燥物に請求項1に記載の茶系飲料用牛乳を添加した溶液である茶抽出物。
  4. 抽出時の水及び/又は牛乳の温度が1〜100℃である請求項3に記載の茶抽出物。
  5. 請求項1に記載の茶系飲料用牛乳を製造する方法であって、
    生乳を、1次加熱として10℃未満の温度から0.1〜5℃/秒の速度で60〜75℃まで昇温し、その温度で15〜120秒間加熱した後、更に2次加熱として0.1〜5℃/秒の速度で115〜130℃まで昇温し、その温度で2〜7秒間、加熱することを特徴とする、茶系飲料用牛乳の製造方法。
  6. 請求項2に記載の茶系飲料を製造する方法であって、
    1〜100℃の水及び/又は牛乳で茶から抽出して得られる茶抽出物と、前記茶系飲料用牛乳を混合することを特徴とする茶系飲料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Title
岩附 慧二ほか: "牛乳の官能特性に及ぼす殺菌条件の影響", 日本食品科学工学会誌, vol. 第46巻, 第8号, JPN6022047750, 1999, pages 535 - 542, ISSN: 0005044232 *
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