JP2018038397A - 飲料及び飲料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物油脂を含有する飲料において、レトルト殺菌やUHT殺菌を行う飲料であっても、保存中の乳化安定性に優れた飲料、及びそのような飲料を提供でき、さらには、冷蔵流通や冷蔵保存しても増粘、固化によるボテ、分離が生じ難いなどの低温安定性に優れた乳化油脂組成物を提供する。【解決手段】植物油脂及び炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルを含有する飲料。更に乳成分を含有する飲料。植物油脂及び炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルを含有する飲料用乳化油脂組成物であって、該炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルとしてはショ糖ベヘン酸エステルが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は飲料及び飲料の製造方法に関し、詳しくは植物油脂を含有する飲料及びその製造方法に関する。本発明はまた、この飲料の製造に用いられる乳化油脂組成物に関する。
嗜好飲料において大きな市場を持つ、乳飲料において、従来用いられてきた乳脂肪を含有する乳製品(牛乳、生クリーム、全脂粉乳、濃縮乳、加糖練乳、無糖練乳等)に代え、コストメリットのある植物油脂を使用した飲食品用乳化油脂組成物を用いる技術が知られている。しかしながら、当該乳化油脂組成物について、冷蔵流通または冷蔵保存している間に増粘、流動性低下、固化などのいわゆるボテ現象(Churning)の発現や、分離を生じるといった低温安定性について問題があった。更に、そのような乳化油脂組成物は、レトルト殺菌またはUHT殺菌を行う飲料に添加した場合、保存中に乳化が不安定になる問題も生じていた。
例えば、植物油脂を使用した飲料の製造方法について、油脂として高飽和脂肪酸含有食用油脂を用いる油脂乳化物を含有する飲料の製造方法が提案されている(特許文献1)。この文献には、高飽和脂肪酸含有食用油脂に高圧乳化処理を複数回行うことにより、高い乳化安定性を有する組成物を得る製造方法が開示されており、当該乳化物を5℃で保存した後、流動性が良好であることが示されている。
また、飲食用乳化油脂組成物のボテ耐性に関して、いくつかの解決策が提案されている。
例えば、特許文献2には、低コストで酸化安定性が高く、かつ凍結解凍しても粘度が変化しにくい凍結耐性を有するコーヒー等の飲料に添加するクリーム用油脂組成物が提案されている。この文献では、構成脂肪酸としてベヘン酸を含み、上昇融点が50℃以上の極度硬化油脂を添加した油脂組成物を用いることにより、クリームの凍結耐性と酸化安定性を付与している。
特許文献3には、保存中の固化、コーヒーや紅茶に入れた際の脂肪や乳タンパク質の分離がなく、また、冷解凍後もボテが発生しない冷凍・解凍安定性に優れたコーヒーホワイトナーが提案されている。この文献では主要構成脂肪酸がベヘン酸且つエステル化度が50%以上であるデカグリセリン脂肪酸エステルを油相に含有し、水相中に親水性乳化剤であるショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することにより、保存中の固化や冷解凍後のボテを抑制している。
特許文献4には、ラウリン系油脂を用いた低油脂含有量の起泡性水中油型乳化物のしまりやボテを抑制する技術が提案されている。この文献では、構成脂肪酸中にラウリン酸を40%以上含み、且つ融点50℃未満の油脂と融点50℃以上の油脂を特定の割合で含み、35℃のSFCが6%以上、16%未満であり、15℃と35℃の固体脂含量の差が55〜69%である混合油脂を含有させることにより、しまりやボテを抑制している。
しかし、これら従来の乳化油脂組成物では、5℃〜10℃の冷蔵保存では確かに増粘や固化は生じないが、輸送中や保存中に更に低温域に置かれた際には乳化が不安定となり、増粘、固化が生じ、十分な低温安定性を得ることはできなかった。また、起泡性水中油型乳化物やコーヒークリームに関する提案であり、乳化油脂組成物を添加し、UHT殺菌またはレトルト殺菌を行った飲料での保存安定性についての検討は行われていなかった。
国際公開WO2015/034068号公報 特許第5257889号公報 特許第3530083号号公報 特開2011−83195号公報
本発明は、植物油脂を含有する飲料において、レトルト殺菌やUHT殺菌を行う飲料であっても、保存中の乳化安定性に優れた飲料、及びそのような飲料を提供でき、さらには、冷蔵流通や冷蔵保存しても増粘、流動性低下、固化などのいわゆるボテ現象の発現や、分離が生じ難いなどの低温安定性に優れた乳化油脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルを用いることにより、上記課題を解決できることが分かり本発明に到達した。
すなわち、本発明の概要は以下のとおりである。
(1) 植物油脂及び炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルを含有する飲料。
(2) 更に乳成分を含有する、(1)に記載の飲料。
(3) 2種以上の乳化剤を含有する、(1)又は(2)に記載の飲料。
(4) pHが5以上7以下である、(1)乃至(3)のいずれかに記載の飲料。
(5) 前記炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸残基が飽和脂肪酸残基である、(1)乃至(4)のいずれかに記載の飲料。
(6) 前記ショ糖脂肪酸エステルがショ糖ベヘン酸エステルである、(5)に記載の飲料。
(7) 前記植物油脂のトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める不飽和脂肪酸の割合が20質量%以下である、(1)乃至(6)のいずれかに記載の飲料。
(8) 前記植物油脂のトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める炭素数12以下の脂肪酸の割合が50質量%以上である、(1)乃至(7)のいずれかに記載の飲料。
(9) 前記植物油脂の上昇融点が10℃以上70℃以下である、(1)乃至(8)のいずれかに記載の飲料。
(10) 容器詰め飲料である、(1)乃至(9)のいずれかに記載の飲料。
(11) 乳飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、中国茶飲料、又は、豆類・穀物飲料である、(1)乃至(10)のいずれかに記載の飲料。
(12) 植物油脂及び炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルを含有する、飲料用乳化油脂組成物。
(13) 更に乳成分を含有する、(12)に記載の飲料用乳化油脂組成物。
(14) 2種以上の乳化剤を含有する、(12)又は(13)に記載の飲料用乳化油脂組成物。
(15) 前記炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸残基が飽和脂肪酸残基である、(12)乃至(14)のいずれかに記載の飲料用乳化油脂組成物。
(16) 前記ショ糖脂肪酸エステルがショ糖ベヘン酸エステルである、(15)に記載の飲料用乳化油脂組成物。
(17) 前記植物油脂のトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める不飽和脂肪酸の割合が20質量%以下である、(12)乃至(16)のいずれかに記載の飲料用乳化油脂組成物。
(18) 前記植物油脂のトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める炭素数12以下の脂肪酸の割合が50質量%以上である、(12)乃至(17)のいずれかに記載の飲料用乳化油脂組成物。
(19) 前記植物油脂の上昇融点が10℃以上70℃以下である、(12)乃至(18)のいずれかに記載の飲料用乳化油脂組成物。
(20) (12)乃至(19)のいずれかに記載の飲料用乳化油脂組成物を用いる、飲料の製造方法。
(21) 前記飲料用乳化油脂組成物と乳成分とを混合して乳飲料を製造する、(20)に記載の飲料の製造方法。
本発明によれば、冷蔵流通や冷蔵保存しても増粘、流動性低下、固化などのいわゆるボテ現象の発現や、分離が生じ難いなどの低温安定性に優れた乳化油脂組成物により、レトルト殺菌やUHT殺菌を行っても、保存中の乳化安定性に優れた飲料を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に特定はされない。
本発明の飲料は、乳化剤である炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルと植物油脂を含有するものである。本発明の飲料は更に乳成分を含有する乳飲料であってもよい。
本発明の飲料の製造方法は特に限定されるものではなく、植物油脂及び炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルを用いて製造されればよいが、予め調製された、植物油脂と、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルを含有する本発明の乳化油脂組成物を用いることが好ましく、乳飲料を製造する場合には、この乳化油脂組成物に乳成分を混合して乳飲料を製造することが好ましい。
まず、本発明の乳化油脂組成物の製造方法について説明する。
(1.乳化油脂組成物)
本発明で用いる乳化油脂組成物は飲料に用いられるものであるが、植物油脂と炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルを含有することを特徴とする。
[植物油脂]
本発明の乳化油脂組成物で用いる植物油脂としては、ナタネ油、コーン油、大豆油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ヒマワリ油、サフラワー油、マカデミア種子油、ツバキ種子油、茶実油、米糠油、オリーブ油、綿実油等が挙げられる。また、これら植物油脂の液状又は固体状物を精製や脱臭、分別、硬化、エステル交換といった油脂加工した加工油脂、すなわち、MCT(中鎖脂肪酸油)などの分別油脂、硬化ヤシ油、硬化パーム核油などの硬化油脂、エステル交換油脂も使用することができる。
中でも、その主成分であるトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める、飽和脂肪酸以外、すなわちトランス脂肪酸を含む不飽和脂肪酸の割合が好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下、特に好ましくは5質量%以下、最も好ましくは1質量%以下であるものが、トランス脂肪酸の含有量が少ない、および/または、酸化臭などの不快な風味が低減され、良好な風味となるため好適である。
本発明の乳化油脂組成物で用いる植物油脂は、このうち、特にトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める、炭素数が12以下の脂肪酸の割合が50質量%以上、さらに55質量%以上、特に60質量%以上であるものが、乳化油脂組成物およびそれを用いた飲料における風味や保存安定性の観点から好ましい。
また、本発明の乳化油脂組成物で用いる植物油脂は、沃素価が通常20.0以下、好ましくは10.0以下、より好ましくは8.0以下、さらに好ましくは3.0以下、最も好ましくは1.0以下であることが、殺菌や高温保存時の酸化臭がなく、良好な風味となるため好適である。
本発明の乳化油脂組成物で用いる植物油脂は、10℃におけるSFC(固形脂含量)が好ましくは45質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であることが、保存時の酸化臭がなく、かつ冷蔵状態でも風味のよい飲料を得ることができ好適である。
本発明の乳化油脂組成物で用いる植物油脂は、酸価が通常1.0以下、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.2以下、最も好ましくは0.1以下であることが、酸化臭などの不快な風味が低減され、良好な風味となるため好適である。
本発明の乳化油脂組成物で用いる植物油脂は、過酸化物価が通常0.2以下、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、最も好ましくは0.01以下であることが、殺菌や保存時の酸化臭がなく、良好な風味となるため好適である。
本発明の乳化油脂組成物で用いる植物油脂は、上昇融点が好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは20℃以上、最も好ましくは25℃以上であることが、殺菌や保存時の酸化臭がなく、かつ冷蔵状態でも風味のよい飲料を得ることができ好適である。この上昇融点の上限は好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは50℃以下、最も好ましくは45℃以下であることが、良好な乳化安定性を得るために好適である。
上昇融点は、基準油脂分析試験法「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法 2.2.4.2(1996)」などの方法で測定することができる。
本発明の乳化油脂組成物で用いる植物油脂としては、パーム核油、ヤシ油、硬化したパーム核油(硬化パーム核油)、硬化したヤシ油(硬化ヤシ油)、MCT(中鎖脂肪酸油)などの硬化油脂や加工油脂が好ましく、硬化パーム核油、硬化ヤシ油、MCT(中鎖脂肪酸油)がより好ましく、硬化パーム核油、硬化ヤシ油がさらに好ましく、完全硬化したパーム核油(完全硬化パーム核油)、完全硬化したヤシ油(完全硬化ヤシ油)が特に好ましく、完全硬化ヤシ油が最も好ましい。
本発明の乳化油脂組成物において、植物油脂は2種以上を組み合わせて用いてもよく、その場合、上記トリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占めるトランス脂肪酸を含む不飽和脂肪酸の割合、トリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める、炭素数が12以下の脂肪酸の割合、沃素価、10℃におけるSFC、酸価、過酸化物価、上昇融点などは、2種以上の混合物の値となる。
本発明の乳化油脂組成物中の植物油脂の含有量は、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましく、40〜60質量%が最も好ましい。
[乳化剤]
本発明の乳化油脂組成物では乳化剤として、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルのみを使用してもよいが、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルと、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル以外の乳化剤とを組み合わせて2種以上の乳化剤を用いることが好ましい。また、本発明の乳化油脂組成物では2種以上の炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルを用いることもできる。
乳化剤として炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルを用いることにより、ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸残基間の相互作用が強くなり、ショ糖脂肪酸エステル自体がより高い温度で結晶化する傾向が強くなるため、乳化油脂組成物を低温においた際、油脂の結晶粗大化をより効率的に抑制する作用を奏すると推測され、乳化油脂組成物の冷蔵流通および冷蔵保存中の増粘や固化を抑制し、さらにレトルト殺菌やUHT殺菌を行う飲料に添加した際、保存中の乳化安定性に優れるという効果を得ることができるものと考えられる。
本発明の乳化油脂組成物で用いる炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルの該脂肪酸残基の炭素数は、脂肪酸残基間の相互作用がより強いという点から炭素数20以上が好ましく、21以上がより好ましく、一方、30以下が好ましく、26以下がより好ましい。
また、該脂肪酸残基は、脂肪酸残基間の相互作用がより強いという点、および/または、飲料に用いた際の殺菌や高温保存時に、酸化臭がなく、良好な風味であることから、飽和脂肪酸残基であることが好ましい。
本発明の乳化油脂組成物で用いる炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば脂肪酸残基の炭素数が19のショ糖ツベルクロステアリン酸エステル、脂肪酸残基の炭素数が20のショ糖アラキジン酸エステル、脂肪酸残基の炭素数が22のショ糖ベヘン酸エステル、脂肪酸残基の炭素数が24のショ糖リグノセリン酸エステル、脂肪酸残基の炭素数が26のショ糖セロチン酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも動植物に豊富に存在し、コスト面、安全面から原料として使用しやすいという点から、炭素数が偶数の脂肪酸残基をもつショ糖脂肪酸エステルが好ましく、より好ましくはショ糖アラキジン酸エステル、ショ糖ベヘン酸エステル、ショ糖リグノセリン酸エステルであり、特に好ましくはショ糖ベヘン酸エステルである。
炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルは市販されているものを使用すればよいが、特許第5945756号公報に記載のように、マイクロ波を照射して製造したものを用いてもよい。炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、結合脂肪酸純度が40質量%以上のものが好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましく、65質量%以上のものが最も好ましい。またモノエステル含量は50質量%以下のものが好ましく、40質量%以下のものがより好ましく、30質量%以下のものがさらに好ましく、20質量%以下のものが最も好ましい。
本発明の乳化油脂組成物中の炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルの含有量は、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.05〜2質量%がさらに好ましく、0.1〜1質量%が最も好ましい。
植物油脂に対する炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルの配合量は0.001〜100質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.05〜5質量%がさら0.1〜1質量%が最も好ましい。
ここで、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルとして市販品を用いた場合、当該市販品に含まれる炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルの純分の乳化油脂組成物中の割合が上記の乳化油脂組成物の炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル含有量及び植物油脂に対する炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルの配合量となる。
炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル以外の乳化剤としては、飲食品に用いるため、安全性が高く、食用可能な乳化剤であることが好ましい。
他の乳化剤としては、例えば、レシチン、リゾレシチン、モノグリセリンコハク酸脂肪酸エステル、モノグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルなどのモノグリセリン有機酸脂肪酸エステル、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル以外のショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、プロピレングリコール脂肪酸エステル、サポニン、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウムなどが挙げられる。
中でも、レシチン、リゾレシチン、モノグリセリンコハク酸脂肪酸エステル、モノグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルなどのモノグリセリン有機酸脂肪酸エステル、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル以外のショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、ステアロイル乳酸ナトリウムが好ましく、モノグリセリンコハク酸脂肪酸エステル、モノグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルなどのモノグリセリン有機酸脂肪酸エステル、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル以外のショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウムがより好ましく、モノグリセリンコハク酸脂肪酸エステル、モノグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルなどのモノグリセリン有機酸脂肪酸エステル、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル以外のショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウムがさらに好ましく、モノグリセリンコハク酸脂肪酸エステル、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル以外のショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウムが最も好ましい。
該炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル以外のショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸のうち50質量%以上が炭素数8〜18の脂肪酸で、モノエステル含量が70質量%以下であるものが好ましい。該ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素数は、12以上が好ましく、14以上がより好ましく、16以上がさらに好ましく、一方、18以下が好ましく、18が最も好ましい。また、モノエステル含量は、65質量%以下がより好ましく、55質量%以下がさらに好ましく、45質量%以下が最も好ましい。
本発明の乳化油脂組成物中の炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル以外の乳化剤の含有量は、0.0001〜20質量%が好ましく、0.001〜10質量%がより好ましく、0.01〜5質量%がさらに好ましく、0.1〜3質量%が最も好ましい。
植物油脂に対する炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルも含めた全乳化剤の配合量は0.001〜300質量%が好ましく、0.01〜100質量%がより好ましく、0.1〜50質量%がさらに好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
乳化油脂組成物中において、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルと炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル以外の乳化剤の配合比は、質量比で、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル以外の乳化剤を1とした場合、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルは0.001〜100が好ましく、0.005〜50がより好ましく、0.01〜10がさらに好ましく、0.05〜1が最も好ましい。
[その他配合物]
本発明の乳化油脂組成物には、水やその他の成分が含まれていてもよい。
本発明の乳化油脂組成物の水の含有量は、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましく、40〜60質量%が最も好ましい。
本発明の乳化油脂組成物で用いるその他の成分としては、有機酸、重曹、リン酸塩等のpH調整剤、更に、効果に影響がない範囲で必要により、砂糖、果糖、ブドウ糖、マルトース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、トレハロース、ラクトース、マンノオリゴ糖、マルトオリゴ糖、α−、β−、γ−シクロデキストリン、デキストリン、難消化性デキストリン、大豆多糖類、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、タマリンドシードガム、タラガム、カラヤガム、グアガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、プルラン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、アラビアガム、キサンタンガム、寒天、微結晶セルロース、発酵セルロース、キトサン、ファーセラン、でんぷん、加工でんぷん、イヌリン等の単糖やオリゴ糖、多糖類を含む糖類;エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、マンニトール、イノシトール等の糖アルコール;スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物などの各種甘味料;カゼインナトリウム、ホエータンパク質、アルブミン、ゼラチン、大豆タンパク質などの各種動物および植物由来のタンパク質とその分解物;レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル等の香料;β−カロテン、アスタキサンチン、リコピン、パプリカ色素などのカロテノイド、クロロフィル等の色素、食塩などの風味付け素材;カルシウム、鉄などのミネラル素材;ビタミンやコエンザイムQ10、アミノ酸、ペプチド等のような栄養素材;ビタミンC、ビタミンE、ローズマリー抽出物、茶抽出物、ヤマモモ抽出物などの酸化防止剤;カラシ抽出物、リゾチーム等の日持向上剤;ナイシン、ソルビン酸およびその塩などの保存料などを添加することも出来る。
また、後述の(2.飲料)に記載の乳成分、コーヒー、茶及びそのエキス、豆類・穀物またはその粉末やペースト、果汁・果肉またはその粉砕物やペースト、香料、風味付素材、二酸化炭素、酒類、エタノールなどを添加することも出来る。
ただし、本発明において、乳化油脂組成物にはタンパク質を実質的に含有しないことが好ましい。乳化油脂組成物中にタンパク質を含むと、高圧の乳化処理を行って油脂を細分化した際、乳化剤と高分子のタンパク質が競合し、効率的な界面吸着が妨げられ、その結果、乳化安定性が損なわれる恐れがあるためである。
なお、酵素等によりペプチドやアミノ酸まで充分分解されたタンパク質は含有されていてもよい。
タンパク質を実質的に含有しないとは、乳化油脂組成物中において、タンパク質の含有量が、乳化剤を1としたとき、質量比で、0.5以下であること、好ましくは0.3以下であること、さらに好ましくは0.2以下であること、最も好ましくは0.1以下であることを意味する。
または、乳化油脂組成物中において、タンパク質の含有量が、1.0質量%以下であること、好ましくは0.6質量%以下であること、さらに好ましくは0.4質量%以下であること、特に好ましくは0.2質量%以下であることを意味し、最も好ましくは全く含有しないことを意味する。
[乳化処理]
本発明の乳化油脂組成物を製造するための乳化処理について、以下に説明する。
乳化処理は、植物油脂、乳化剤及びその他の配合物が配合された組成物に対して、市販の乳化機を用いて行えばよい。
乳化処理は1回のみ行っても、2回以上(複数回)を行ってもよい。
乳化処理を複数回行うとは、乳化機に被処理物を導入して所定の条件下で乳化処理した後、乳化処理物を取り出す操作を複数回行うことをさす。ここで、複数回の乳化処理に用いる乳化機は同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
例えば、以下に詳述する高圧乳化処理に先立ち、パドルミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ニーダー、インラインミキサー、スタティックミキサー、オンレーター等を用いて、低圧または常圧条件での予備乳化を行ってもよい。
この予備乳化は、通常30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、通常100℃以下、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下で、通常0.005〜20時間、好ましくは0.01〜10時間行われる。
工場で大量生産する場合は、より製造効率が高く、時間あたりの処理能力が大きい高圧乳化処理が好ましい。
高圧乳化処理は、例えば、狭い均質バルブの隙間や流路、ノズル等にポンプで送液することで高圧状態となった被処理物を、一気に圧力低下させ、その圧力差のエネルギーで流速を速め、高速で被処理物をバルブやリング、または、被処理物同士で衝突させることで、乱流、キャビテーションやせん断力を生じさせ、そのエネルギーにより、被処理物を細分化、乳化する処理である。
具体的に高圧乳化とは、1段式であればその高圧乳化時点の処理圧が、2段式等の多段式であれば、少なくとも1段の高圧乳化時点の処理圧が、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上、さらに好ましくは20MPa以上、最も好ましくは25MPa以上の状態で乳化することである。乳化処理の処理圧力は、高い程、油脂を十分に細かい微粒子として均一に乳化分散させることができることから好ましい。
乳化安定性の面において、処理圧力の上限については特に制限はないが、用いる乳化機の耐圧性や、工業的な実用化の面で通常200MPa以下である。処理圧力は、好ましくは100MPa以下、より好ましくは80MPa以下、さらに好ましくは50MPa以下、最も好ましくは45MPa以下であることが望ましい。
高圧乳化処理に用いる市販の乳化機としては、例えば、SPX社製 GAURIN 125T、132T、イズミフードマシナリー社製HV−5H、HV−5E等のバルブ式、吉田機械興業社製ナノヴェイダ、スギノマシン社製スターバースト100等のノズル式、パウレック社製マイクロフルイダイザー等のチャンバー式などが挙げられる。
高圧乳化処理における時間あたりの処理能力としては、通常0.1トン/時間以上、好ましくは1トン/時間以上、より好ましくは5トン/時間以上、最も好ましくは10トン/時間以上であり、このような処理能力とすることで、高圧乳化処理を、製造効率を低減することなく実施することができる。高圧乳化処理における時間あたりの処理能力の上限は特にないが、通常500トン/時間以下である。
乳化処理の回数については、各回の処理圧力や処理時間によっても異なるが、例えば高圧乳化処理を行う場合、次の高圧乳化処理を行う前に一旦被処理物が復圧されることによる効果を十分に得る上では多い方が好ましく、工業的実用化における生産性の面では少ない方が好ましい。乳化処理回数は2回以上、特に2〜7回であることが好ましく、3〜5回であることが最も好ましい。
また、各回の乳化処理時間は、処理量や処理圧力によっても異なるが、特に工場で大量生産する場合においては、生産性を損なうことなく、良好な乳化安定性を得る上で、通常0.005時間以上、好ましくは0.01時間以上、最も好ましくは0.1時間以上、通常20時間以下、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下、特に好ましくは2時間以下、最も好ましくは1時間以下である。
高圧乳化処理時の温度は、通常30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、通常100℃以下、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。処理温度が上記下限以上であることが、乳化効率の面で好ましく、また、乳化液の取り扱い性の面で、処理温度は上記上限以下であることが好ましい。この処理温度についても各回毎に異なっていてもよく、同一であってもよい。
また、乳化処理時の被処理物のpHについては、用いる乳化剤が水に充分分散し、効率良く油脂を乳化するという点から通常5.0以上、好ましくは5.0より大きく、より好ましくは5.2以上、更に好ましくは5.5以上、特に好ましくは6.0以上で、通常9.0以下、好ましくは8.0以下である。被処理物のpHは、被処理物に重曹、リン酸塩等のpH調整剤、その他の添加剤を添加することにより調整することができる。
また、殺菌処理を行う場合には、乳化処理を殺菌処理の前で行ってもよいし、殺菌処理の後で行ってもよい。殺菌処理は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、通常160℃以下、好ましくは150℃以下で、通常0.01分以上、好ましくは0.03分以上、通常60分以下、好ましくは30分以下程度で行う。殺菌方法は特に制限はないが、連続生産が可能な連続式殺菌法が好ましく、UHT殺菌がさらに好ましい。
このようにして製造される乳化油脂組成物は、乳化安定性と、適度な油脂の呈味性のバランスを保つため、レーザー回折式粒度分布計(例えば、堀場製作所製のLA−950等)で、粒度分布を測定した際に得られる、不連続相のメジアン径が通常0.01μm以上、さらに0.05μm以上、特に0.1μm以上であることが好ましく、このメジアン径は通常1.0μm以下、好ましくは0.6μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下である。また、pHが、5.0以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましく、9.0以下であることが好ましく、8.0以下であることがより好ましく、6.5〜7.5であることが最も好ましい。
(2.飲料)
本発明の飲料は、植物油脂と炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルを含有するものである。
本発明の飲料としては、例えば、乳飲料、スープ飲料、コーヒー飲料、ココア飲料、茶飲料(紅茶、緑茶、中国茶など)、豆類・穀物飲料、酸性飲料、粉末飲料、粉末スープ等が挙げられ、中でも、乳飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、中国茶飲料、豆類・穀物飲料が好ましく、乳飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、中国茶飲料、豆類・穀物飲料がより好ましく、コーヒー飲料、紅茶飲料が特に好ましい。
本発明の飲料に含まれる植物油脂及び炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルとしては、上述の(1.乳化油脂組成物)に記載の植物油脂及び炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。
本発明の飲料は、上述の(1.乳化油脂組成物)に記載の植物油脂、上述の(1.乳化油脂組成物)に記載の炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル、及びその他の成分を混合して製造してもよいが、好ましくは、上述のようにして調製された乳化油脂組成物にその他の成分を混合して製造される。乳飲料であれば、更に少なくとも乳成分を混合して製造される。
乳成分としては、乳、全脂乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、練乳、脱脂練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、バター、バターオイル、バターミルク、バターミルクパウダー、カゼイン、ホエー、チーズなどが挙げられる。
本発明の飲料中の植物油脂の含有量は、0.001〜50質量%が好ましく、0.005〜10質量%がより好ましく、0.01〜8質量%がさらに好ましく、0.05〜5質量%が最も好ましい。
本発明の飲料中の炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルの含有量は、0.00001〜10質量%が好ましく、0.00005〜1質量%がより好ましく、0.0001〜0.5質量%がさらに好ましく、0.005〜0.1質量%が最も好ましい。
本発明の飲料中の炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル以外の乳化剤の含有量は、0.0001〜10質量%が好ましく、0.0005〜1質量%がより好ましく、0.001〜0.5質量%がさらに好ましく、0.005〜0.3質量%が最も好ましい。
本発明の飲料中において、植物油脂に対する炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルも含めた全乳化剤の配合量は0.001〜300質量%が好ましく、0.01〜100質量%がより好ましく、0.1〜50質量%がさらに好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
本発明の飲料中において、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルと炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル以外の乳化剤の配合比は、質量比で、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステル以外の乳化剤を1とした場合、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルは0.001〜100が好ましく、0.005〜50がより好ましく、0.01〜10がさらに好ましく、0.05〜1が最も好ましい。
また、本発明の飲料が上述の乳化油脂組成物を含有する場合、飲料中の乳化油脂乳化物の含有量は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上、通常20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、最も好ましくは5.0質量%以下である。飲料中の乳化油脂組成物の含有量が上記下限値以上であると、油脂の濃厚感、コクを付与することにより、良好な味質の飲料が生産可能であり、また、上記上限値以下であることにより、飲料の殺菌や保存中における乳化安定性を良好な状態で保つことができる。
本発明の飲料が乳飲料である場合、その乳飲料中の無脂乳固形分量は、特に制限はないが、より濃厚な乳の風味が必要な場合は、通常0.5質量%以上、好ましくは1.0%質量以上、より好ましくは1.4質量%以上、最も好ましくは1.5質量%以上であり、通常10質量%以下、好ましくは5.0%質量以下、より好ましくは4.0質量%以下、最も好ましくは3.0質量%以下である。飲料中の無脂乳固形分量を、この範囲にすることにより、製品が安定で、かつ油脂とのバランスの良い乳風味が得られるため好ましい。
本発明の飲料は、これら以外にもその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、コーヒー、茶及びそのエキス、豆類・穀物またはその粉末やペースト、果汁・果肉またはその粉砕物やペースト、乳化剤、pH調整剤、糖類、糖アルコール、甘味料、タンパク質またはその分解物、香料、風味付素材、ミネラル素材、栄養素材、酸化防止剤、保存料、二酸化炭素、酒類、エタノールなどが挙げられる。具体的には以下のとおりである。
[コーヒー、茶及びそのエキス]
コーヒー、茶(紅茶、緑茶、烏龍茶など)およびそのエキス
[豆類・穀物またはその粉末やペースト]
カカオ豆、大豆、小豆、アーモンド、ピーナッツ、胡桃、杏仁、コメ、麦などの豆類・穀物、またはその粉末やペースト
[果汁・果肉またはその粉砕物やペースト]
ココナッツミルク、ココナッツジュースなどの果汁や果肉、またはその粉砕物やペースト
[乳化剤]
レシチン、リゾレシチン、モノグリセリン有機酸脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、プロピレングリコール脂肪酸エステル、サポニン、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウムなどの乳化剤。中でも以下に記載する静菌性乳化剤が好ましい。
上記静菌性乳化剤とは、飲料における危害菌である耐熱性菌に対して効果を持つ食品用乳化剤であり、その効果を有する食品用乳化剤であれば、特に制限なく使用することができるが、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリドが好ましく、これらの中でも、特に、構成する脂肪酸の炭素数が14以上のものが好ましく、16以上のものがより好ましく、22以下のものがより好ましく、18以下のものがさらに好ましい。
静菌性乳化剤としては、特に、構成する脂肪酸の炭素数が16〜18の、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく、これらは菌に対する有効性が高いため好適である。また、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノエステル含量が50質量%以上、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であることが、菌に対する有効性が高いため好適である。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンの平均重合度が2以上であることが好ましく、5以下であることが好ましく、さらに3以下であることが、菌に対する有効性が高いため最も好ましい。
[pH調整剤]
有機酸およびその塩、重曹、リン酸塩等のpH調整剤
[糖類]
砂糖、果糖、ブドウ糖、マルトース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、トレハロース、ラクトース、マンノオリゴ糖、マルトオリゴ糖、α−、β−、γ−シクロデキストリン、デキストリン、難消化性デキストリン、大豆多糖類、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、タマリンドシードガム、タラガム、カラヤガム、グアガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、プルラン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、アラビアガム、キサンタンガム、寒天、微結晶セルロース、発酵セルロース、キトサン、ファーセラン、でんぷん、加工でんぷん、イヌリン等の単糖やオリゴ糖、多糖類を含む糖類
[糖アルコール]
エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、マンニトール、イノシトール等の糖アルコール
[甘味料]
スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物などの各種甘味料
[タンパク質またはその分解物]
カゼインナトリウム、ホエータンパク質、アルブミン、ゼラチン、大豆タンパク質などの各種動物および植物由来のタンパク質またはその分解物
[香料]
レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、コーヒーフレーバー、紅茶フレーバー、バター香料、ミルク香料等の香料
[風味付け素材]
β−カロテン、アスタキサンチン、リコピン、パプリカ色素などのカロテノイド、クロロフィル等の色素、食塩などの風味付け素材
[ミネラル素材]
カルシウム、鉄などのミネラル素材
[栄養素材]
ビタミンやコエンザイムQ10、アミノ酸、ペプチド、DHA、EPA等のような栄養素材
[酸化防止剤]
ビタミンC、ビタミンE、ローズマリー抽出物、茶抽出物、ヤマモモ抽出物などの酸化防止剤
[保存料]
カラシ抽出物、リゾチーム等の日持向上剤、ナイシン、ソルビン酸およびその塩などの保存料
[酒類]
リキュール、ウォッカ、焼酎などの酒類
また、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、食用油脂、およびその乳化物、または粉末化物を飲料成分として含有していてもよい。
前述の通り、本発明の飲料は、その他の成分として乳化剤を含むことが好ましく、乳化剤の中でも静菌性乳化剤を含むことが好ましい。
本発明の飲料における乳化剤の含有量は、通常0.0005質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、通常1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下である。なお、ここで、飲料の乳化剤の含有量とは、前述の乳化油脂組成物に含まれる乳化剤をも含む合計の乳化剤の含有量をいう。
特に、本発明の飲料は、静菌性乳化剤を含有することが好ましく、本発明の飲料における静菌性乳化剤の含有量は、通常0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、通常0.6質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下である。
本発明の飲料は、例えば以下のように製造される。
まず、前述の乳化油脂組成物の他、上記飲料に含まれていてもよいものとして例示した材料を、必要に応じて水などと共に混合して混合液を調製する。
次いで、得られた混合液を撹拌して乳化する。乳化方法としては、通常食品に用いられる均質乳化方法であれば特に制限なく使用することができ、例えば、ホモジナイザーを用いる方法や、コロイドミルを用いる方法、ホモミキサーを用いる方法などいずれも用いることができる。この均質乳化処理は、通常40〜80℃の加温条件下で行われる。
なお、ホモジナイザーを用いた均質乳化処理として、前述の乳化油脂組成物の調製で行うような高圧乳化処理を適用することも好ましい。1段式であればその高圧乳化時点の処理圧が、2段式等の多段式であれば、少なくとも1段の高圧乳化時点の処理圧が、通常5MPa以上、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上、さらに好ましくは20MPa以上、最も好ましくは25MPa以上、通常200MPa以下、好ましくは100MPa以下の高圧乳化処理を行うことで、安定な飲料を得ることができる。高圧乳化処理の回数としては1回以上、好ましくは2回以上である。
なお、該均質乳化処理は、乳化油脂組成物の添加の前後のいずれで行ってもよい。乳化油脂組成物添加後に行う場合は、静菌性乳化剤も混合液中に含まれていることが、より一層乳化安定性を向上させるという点で好ましい。
この均質乳化処理後には、UHT殺菌、レトルト殺菌などの殺菌処理を行う。通常レトルト殺菌は、110〜140℃、例えば121℃で、10〜40分の条件で行われる。一方、PETボトル用飲料などに用いられるUHT殺菌は、より高温、例えば殺菌温度120〜150℃で、且つ121℃での殺菌価(Fo)が10〜50に相当する超高温殺菌である。UHT殺菌は飲料に直接水蒸気を吹き込むスチームインジェクション式や飲料を水蒸気中に噴射して加熱するスチームインフュージョン式などの直接加熱方式、プレートやチューブなど表面熱交換器を用いる間接加熱方式など公知の方法で行うことができ、例えばプレート式殺菌装置を用いることができる。
尚、製造された本発明の飲料は、容器詰め飲料に好適であり、例えば、缶飲料、ペットボトル飲料、紙パック飲料、ビン詰飲料などに適用することができる。
以下に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で用いた乳化剤の詳細は以下の通りである。
<ショ糖脂肪酸エステル(S−770)>
三菱化学フーズ社製「リョートーシュガーエステルS−770」
脂肪酸の炭素数=16および18
モノエステル含量=40質量%
HLB=7
<ショ糖脂肪酸エステル(S−370)>
三菱化学フーズ社製「リョートーシュガーエステルS−370」
脂肪酸の炭素数=16および18
モノエステル含量=17質量%
HLB=3
<ショ糖脂肪酸エステル(ショ糖ベヘン酸エステル)(B−370)>
三菱化学フーズ社製「リョートーシュガーエステルB−370」
脂肪酸の炭素数=22および18
結合脂肪酸純度=70質量%
モノエステル含量=20質量%
HLB=3
<ショ糖脂肪酸エステル(P−1670)>
三菱化学フーズ社製「リョートーシュガーエステルP−1670」
脂肪酸の炭素数=16および18
モノエステル含量=79質量% HLB=16
<ポリグリセリン脂肪酸エステル(SWA−10D)>
三菱化学フーズ社製「リョートーポリグリエステルSWA−10D」
ポリグリセリンステアリン酸エステル
HLB=14
<ポリグリセリン脂肪酸エステル(M−10D)>
三菱化学フーズ社製「リョートーポリグリエステルM−10D」
ポリグリセリンミリスチン酸エステル
HLB=15
<ポリグリセリン脂肪酸エステル(B−100D)>
三菱化学フーズ社製「リョートーポリグリエステルB−100D」
ポリグリセリンベヘン酸エステル
HLB=3
<モノグリセリンコハク酸脂肪酸エステル>
脂肪酸の炭素数=16および18
また、植物油脂の詳細は次の通りである。
<部分硬化ヤシ油>
主成分であるトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸のうち、飽和脂肪酸以外、すなわちトランス脂肪酸を含む不飽和脂肪酸の割合=0.2質量%
トリグリセリド分子に結合している全脂肪酸のうち、炭素数が12以下の脂肪酸の割合=61質量%
上昇融点=32℃
[試験例1]
硬化ヤシ油45質量%、ショ糖脂肪酸エステル(S−770)2.0質量%、ショ糖脂肪酸エステル(S−370)0.2質量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(SWA−10D)0.2質量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(M−10D)0.1質量%、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル0.2質量%、重曹0.02質量%、水52.28質量%を、65℃に加温し、混合して予備乳化を行った後、高圧乳化機を用い均質化し、UHT殺菌方法にて110℃で1分間殺菌し、乳化油脂組成物Aを得た。
得られた乳化組成物Aについて、以下の方法で低温での流動性を評価し、結果を表1に示した。
<乳化油脂組成物の低温での流動性>
各保存温度で2日間保存した後、1分間手で振とうさせ、増粘、固化の程度を以下の基準で確認した。
○:保存、振とう後、流動性が良好である
△:保存、振とう後、やや増粘している
×:保存、振とう後、著しく増粘しており、流動性が悪い、または、完全に固化しており、流動しない
Figure 2018038397
表1より明らかなように、乳化油脂組成物Aは、5℃では流動性が良好であったが、3〜4℃ではやや増粘し、2℃では固化が生じ、低温保存時の乳化状態が非常に不安定であった。
[実施例1〜5、比較例1〜7]
<乳化油脂組成物の製造>
硬化ヤシ油45質量%、表2に示す組成の乳化剤及びその他の成分と、水を、65℃でホモミキサーにて予備乳化した後、高圧乳化機(SPX社製「GAURIN 15MR」)を用いて、65℃,20MPaで3回高圧乳化処理した液を、90℃で10分間殺菌し、各乳化油脂組成物を得た。
得られた各乳化油脂組成物の低温保存時の安定性(低温安定性)および飲料への添加時の安定性を以下の方法で試験、評価した。
<乳化油脂組成物の低温安定性>
2℃で3日間保存後、1分間手で振とうさせ、増粘、固化するかを下記基準で評価した。
○:保存、振とう後流動性あり
×:保存、振とう後、著しく増粘しており、流動性が悪い、または、完全に固化しており流動しない
<カフェオレ添加時の乳化安定性>
一般的な乳飲料中での安定性を確認するため、以下の製造方法に従い、乳化油脂組成物を添加したミルクコーヒー飲料(カフェオレ)を調製した。
コーヒー抽出液(コーヒー焙煎豆:ユニカフェ社製コロンビアEX、L値:20より抽出。Brix:3.2%)27質量%に、重曹0.1質量%、砂糖5.0質量%、牛乳18質量%、脱脂粉乳0.44質量%、各乳化油脂組成物1.4質量%、静菌性乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル(P−1670)0.06質量%、水を加えて、100質量%にした後、十分に撹拌溶解した後、高圧乳化機(イズミフードマシナリー社製「HV−OA−2.4−2.2S」)で1段目:15MPa、2段目:5MPa、合計:20MPa、65℃の条件で乳化して缶容器に充填した後、121.1℃で30分間、レトルト殺菌して、pH6.6〜6.7である缶容器詰めカフェオレ飲料を得た。
得られたカフェオレ飲料を、流通時の温度である35℃、および高温販売時の温度である60℃で表3に示す期間保管し、乳化安定性を以下の基準で評価した。
<35℃保存時の乳化安定性>
○:分散しないクリーム塊がないか、わずかに認められる
△:分散しないクリーム塊がはっきりと認められるが、少量もしくは大きさが小さい
×:分散しないクリーム塊が多量に認められる、および/または、大きな塊がある
<60℃保存時の乳化安定性>
○:クリーミングや分散しないクリーム塊がないか、わずかに認められる、または、分散しないクリーム塊がはっきりと認められるが、少量もしくは大きさが小さい
△:クリーミングや分散しないクリーム塊が多量に認められるか、大きなクリーム塊がある
×:乳化が壊れており、はっきりとオイルオフが認められる
<セミブラックコーヒー添加時の乳化安定性>
乳化が不安定化しやすいコーヒーの濃度の高い飲料中での安定性を確認するため、以下の製造方法に従い、乳化油脂組成物を添加したセミブラックコーヒー飲料を調製した。
コーヒー抽出液(コーヒー焙煎豆:ユニカフェ社製コロンビアEX、L値:20より抽出。Brix:3.2%)55質量%に、重曹0.1質量%、砂糖5.0質量%、各乳化油脂組成物0.84質量%、静菌性乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル(P−1670)0.03質量%、水を加えて、100質量%にした後、十分に撹拌溶解した後、高圧乳化機(イズミフードマシナリー社製「HV−OA−2.4−2.2S」)で1段目:15MPa、2段目:5MPa、合計:20MPa、65℃の条件で乳化し、缶容器に充填した後、121.1℃で30分間、レトルト殺菌して、pH5.6〜5.8である缶容器詰めセミブラックコーヒー飲料を得た。
得られたセミブラックコーヒー飲料を、油脂の結晶化の影響を受け不安定化しやすい流通時の温度である20℃、および高温販売時の温度である60℃で表3に示す期間保管し、乳化安定性を以下の基準で評価した。
<20℃保存時の乳化安定性>
○:分散しないクリーム塊がないか、わずかに認められる
△:分散しないクリーム塊がはっきりと認められるが、少量もしくは大きさが小さい
×:分散しないクリーム塊が多量に認められる、および/または、大きな塊がある
<60℃保存時の乳化安定性>
○:クリーミングや分散しないクリーム塊がないか、わずかに認められる、または、分散しないクリーム塊がはっきりと認められるが、少量もしくは大きさが小さい
△:クリーミングや分散しないクリーム塊が多量に認められるか、大きなクリーム塊がある
×:乳化が壊れており、はっきりとオイルオフが認められる
<総合評価>
乳化油脂組成物およびそれを添加した飲料の乳化安定性の評価結果から、以下の基準で総合評価した。
◎:乳化油脂組成物の低温安定性に問題がなく、乳化油脂組成物を用いた飲料の安定性も非常に良好である
○:乳化油脂組成物の低温安定性に問題がなく、乳化油脂組成物を用いた飲料の安定性も商業的に常識の範囲で良好である
△:乳化油組成物の低温安定性に問題はないが、乳化油脂組成物を用いた飲料の安定性はやや不安定である
×:乳化油組成物の低温安定性に問題があるか、問題がない場合も、乳化油脂組成物を用いた飲料は非常に不安定である
これらの評価結果を表3に示す。
Figure 2018038397
Figure 2018038397
表2,3より次のことが分かる。
比較例3〜7の乳化油脂組成物は、2℃,3日間保存、振とう後固化してしまい、冷蔵保存時の安定性が非常に低かった。比較例1,2の乳化油脂組成物は、2℃,3日間保存、振とう後も流動性を維持していたが、この乳化油脂組成物を用いた飲料は乳化が不安定であり、実用レベルではなかった。
これに対して、炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルであるショ糖脂肪酸エステル(B−370)を用いた実施例1〜5の乳化油脂組成物は、2℃,3日間保存、振とう後も流動性を維持しており、飲料に添加した際の乳化安定性も良好であった。中でもタンパク質を含まない乳化油脂組成物を添加した飲料の安定性は非常に良好であった。

Claims (21)

  1. 植物油脂及び炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルを含有する飲料。
  2. 更に乳成分を含有する、請求項1に記載の飲料。
  3. 2種以上の乳化剤を含有する、請求項1又は2に記載の飲料。
  4. pHが5以上7以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の飲料。
  5. 前記炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸残基が飽和脂肪酸残基である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の飲料。
  6. 前記ショ糖脂肪酸エステルがショ糖ベヘン酸エステルである、請求項5に記載の飲料。
  7. 前記植物油脂のトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める不飽和脂肪酸の割合が20質量%以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の飲料。
  8. 前記植物油脂のトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める炭素数12以下の脂肪酸の割合が50質量%以上である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の飲料。
  9. 前記植物油脂の上昇融点が10℃以上70℃以下である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の飲料。
  10. 容器詰め飲料である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の飲料。
  11. 乳飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、中国茶飲料、又は、豆類・穀物飲料である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の飲料。
  12. 植物油脂及び炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルを含有する、飲料用乳化油脂組成物。
  13. 更に乳成分を含有する、請求項12に記載の飲料用乳化油脂組成物。
  14. 2種以上の乳化剤を含有する、請求項12又は13に記載の飲料用乳化油脂組成物。
  15. 前記炭素数19以上の脂肪酸残基を有するショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸残基が飽和脂肪酸残基である、請求項12乃至14のいずれか一項に記載の飲料用乳化油脂組成物。
  16. 前記ショ糖脂肪酸エステルがショ糖ベヘン酸エステルである、請求項15に記載の飲料用乳化油脂組成物。
  17. 前記植物油脂のトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める不飽和脂肪酸の割合が20質量%以下である、請求項12乃至16のいずれか一項に記載の飲料用乳化油脂組成物。
  18. 前記植物油脂のトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める炭素数12以下の脂肪酸の割合が50質量%以上である、請求項12乃至17のいずれか一項に記載の飲料用乳化油脂組成物。
  19. 前記植物油脂の上昇融点が10℃以上70℃以下である、請求項12乃至18のいずれか一項に記載の飲料用乳化油脂組成物。
  20. 請求項12乃至19のいずれか一項に記載の飲料用乳化油脂組成物を用いる、飲料の製造方法。
  21. 前記飲料用乳化油脂組成物と乳成分とを混合して乳飲料を製造する、請求項20に記載の飲料の製造方法。
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