JP2018121632A - インスタントコーヒー飲料用組成物及びその製造方法 - Google Patents

インスタントコーヒー飲料用組成物及びその製造方法 Download PDF

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葉奈子 三浦
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Abstract

【課題】熱水溶解時にオイルオフやフェザリングが生じ難く、かつ白濁性に優れたインスタントコーヒー飲料用組成物、及びその製造方法の提供。【解決手段】カゼインタンパク質と可溶性コーヒー固形分と賦形剤と植物油脂とキレート剤とを含有する固形粒子を含有し、前記キレート剤が、クエン酸塩、縮合リン酸塩、及びフィチン酸からなる群より選択される1種以上である、インスタントコーヒー飲料用組成物、及びカゼインタンパク質が溶解した水溶液に、可溶性コーヒー固形分と賦形剤と植物油脂とキレート剤とを混合して原料組成物を調製する混合工程と、前記原料組成物を乳化処理して乳化物を調製する乳化工程と、前記乳化物を乾燥させる乾燥工程と、を有し、前記キレート剤が、クエン酸塩、縮合リン酸塩、及びフィチン酸からなる群より選択される1種以上である、インスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、水溶解時に乳化破壊が生じ難く、特に熱水溶解時にオイルオフ(油滴の発生)やフェザリング(タンパク質や脂肪球の凝集による不溶化現象)が生じ難く、かつ白濁性に優れたインスタントコーヒー飲料用組成物、及びその製造方法に関する。
可溶性コーヒー固形分を主要原料とするインスタントコーヒー飲料用組成物は、一般的に粉末であって、水等の液体に溶解させることによりコーヒー飲料を手軽に楽しめる。特に、クリーミングパウダーを配合したインスタントコーヒー飲料用組成物は、水に溶解させることによって、カフェオレやカフェラテの様なコーヒー飲料を簡便に提供しうる。
水に溶解させるだけで乳風味と白濁性を備えるコーヒー飲料を製造するためのインスタントコーヒー飲料用組成物は、一般的に、可溶性コーヒー固形分の乾燥粉末(インスタントコーヒー粉末)とクリーミングパウダーをそれぞれ別個に調製した後に混合する方法により製造されている。しかしながら、当該方法では、インスタントコーヒー粉末とクリーミングパウダーとを完全に均質に混合させることは困難であり、得られたインスタントコーヒー飲料用組成物の品質のばらつきが問題となる場合がある。当該問題は、可溶性コーヒー固形分とクリーム成分とを一体で乾燥粉末化することにより解決できることが期待されるが、単に両者を湿式混合した後乾燥粉末化しただけでは、得られた乾燥粉末を水に溶解させると、オイルオフやフェザリングといった乳化破壊が生じやすいという問題がある。
これらの問題を解決する方法として、例えば特許文献1には、予め加熱処理によりタンパク質を凝集させた後に均質化しておいたクリーム成分を用いる方法が開示されている。このようなクリーム成分を可溶性コーヒー固形分と一体で乾燥粉末化することにより、熱水に溶解させた時のタンパク質の凝集を抑えることができる。また、特許文献2には、ホエイタンパク質と植物油脂との混合物をクリーム成分として用い、当該クリーム成分をpH5.8〜6.3で予め加熱処理してホエイタンパク質を凝集させておく方法も開示されている。予めホエイタンパク質を特定のpHで凝集させたクリーム成分を可溶性コーヒー固形分と一体で乾燥粉末化することにより、熱水に溶解させた時のタンパク質の凝集を抑えつつ、熱水への溶解性に優れたインスタントコーヒー飲料用組成物を製造することができる。さらに、特許文献3には、クリーム成分としてカゼインタンパク質やホエイタンパク質を使用せずに、可溶性コーヒー固形分とpH調整剤と植物油脂と賦形剤と低分子乳化剤とを混合して乾燥粉末化する方法が開示されている。
特開平11−69941号公報 特許第3628060号公報 特許第4230626号公報
特許文献1及び2に記載の製造方法では、クリーム成分中のタンパク質を予め加熱して凝集させるが、厳密な温度コントロールが必要であり、適切な凝集度に調整することが困難である。また、特許文献3に記載の製造方法により製造されたインスタントコーヒー飲料用組成物は、タンパク質を含まないために、熱水に溶解させた際のフェザリングが発生しないものの、得られたコーヒー飲料の白濁性が不充分であり、また、液面に小さな油滴ができてしまう場合もある。
本発明は、熱水溶解時にオイルオフやフェザリングが生じ難く、かつ白濁性に優れたインスタントコーヒー飲料用組成物、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、カゼインタンパク質と植物油脂と可溶性コーヒー固形分とを含有する混合溶液を乳化処理後に乾燥粉末化してインスタントコーヒー飲料用組成物を調製する際に、乾燥処理前に特定のキレート剤を当該混合溶液に混合させることにより、熱水溶解によって乳化安定性と白濁性の両方に優れたコーヒー飲料を製造できるインスタントコーヒー飲料用組成物が調製できることを見出し、本発明を完成させた。
[1]本発明の第一の態様に係るインスタントコーヒー飲料用組成物は、可溶性コーヒー固形分とカゼインタンパク質と植物油脂とキレート剤と賦形剤とを含有する固形粒子を含有し、前記キレート剤が、クエン酸塩、縮合リン酸塩、及びフィチン酸からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする。
[2]前記[1]のインスタントコーヒー飲料用組成物においては、前記縮合リン酸塩が、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、及びポリリン酸塩からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
[3]前記[1]又は[2]のインスタントコーヒー飲料用組成物においては、前記キレート剤がクエン酸塩であり、組成物全体に対する固形分当たりの前記キレート剤の含有量が、1.0質量%以上であることが好ましい。
[4]前記[1]又は[2]のインスタントコーヒー飲料用組成物においては、前記キレート剤がクエン酸塩であり、可溶性コーヒー固形分の含有量に対する前記キレート剤の含有量の比([組成物のキレート剤の含有量]/[組成物の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.06以上であることが好ましい。
[5]前記[1]又は[2]のインスタントコーヒー飲料用組成物においては、前記キレート剤が、ピロリン酸塩及びポリリン酸塩からなる群より選択される1種以上であり、組成物全体に対する固形分当たりの前記キレート剤の含有量が、0.2質量%以上であることが好ましい。
[6]前記[1]又は[2]のインスタントコーヒー飲料用組成物においては、前記キレート剤が、ピロリン酸塩及びポリリン酸塩からなる群より選択される1種以上であり、可溶性コーヒー固形分の含有量に対する前記キレート剤の含有量の比([組成物のキレート剤の含有量]/[組成物の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.013以上であることが好ましい。
[7]前記[1]又は[2]のインスタントコーヒー飲料用組成物においては、前記キレート剤がメタリン酸塩であり、組成物全体に対する固形分当たりの前記キレート剤の含有量が、0.15質量%以上であることが好ましい。
[8]前記[1]又は[2]のインスタントコーヒー飲料用組成物においては、前記キレート剤がメタリン酸塩であり、可溶性コーヒー固形分の含有量に対する前記キレート剤の含有量の比([組成物のキレート剤の含有量]/[組成物の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.009以上であることが好ましい。
[9]前記[1]又は[2]のインスタントコーヒー飲料用組成物においては、前記キレート剤がフィチン酸であり、組成物全体に対する固形分当たりのフィチン酸の含有量が、0.2質量%以上であることが好ましい。
[10]前記[1]又は[2]のインスタントコーヒー飲料用組成物においては、前記キレート剤がフィチン酸であり、可溶性コーヒー固形分の含有量に対するフィチン酸の含有量の比([組成物のフィチン酸の含有量]/[組成物の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.013以上であることが好ましい。
[11]本発明の第二の態様に係るインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法は、カゼインタンパク質と可溶性コーヒー固形分と賦形剤と植物油脂とキレート剤とを溶解させた原料溶液を調製する混合工程と、前記原料組成物を乳化処理して乳化物を調製する乳化工程と、前記乳化物を乾燥させる乾燥工程と、を有し、前記キレート剤が、クエン酸塩、縮合リン酸塩、及びフィチン酸からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする。
[12]前記[11]のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法においては、前記縮合リン酸塩が、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、及びポリリン酸塩からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
[13]前記[1]又は[12]のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法においては、前記キレート剤がクエン酸塩であり、前記原料溶液の固形分当たりの前記キレート剤の含有量が、1.0質量%以上であることが好ましい。
[14]前記[11]又は[12]のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法においては、前記キレート剤がクエン酸塩であり、前記原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量に対する前記キレート剤の含有量の比([原料溶液のキレート剤の含有量]/[原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.06以上であることが好ましい。
[15]前記[11]又は[12]のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法においては、前記キレート剤が、ピロリン酸塩及びポリリン酸塩からなる群より選択される1種以上であり、前記原料溶液の固形分当たりの前記キレート剤の含有量が、0.2質量%以上であることが好ましい。
[16]前記[11]又は[12]のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法においては、前記キレート剤が、ピロリン酸塩及びポリリン酸塩からなる群より選択される1種以上であり、前記原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量に対する前記キレート剤の含有量の比([原料溶液のキレート剤の含有量]/[原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.013以上であることが好ましい。
[17]前記[11]又は[12]のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法においては、前記キレート剤がメタリン酸塩であり、前記原料溶液の固形分当たりの前記キレート剤の含有量が、0.15質量%以上であることが好ましい。
[18]前記[11]又は[12]のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法においては、前記キレート剤がメタリン酸塩であり、前記原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量に対する前記キレート剤の含有量の比([原料溶液のキレート剤の含有量]/[原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.009以上であることが好ましい。
[19]前記[11]又は[12]のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法においては、前記キレート剤がフィチン酸であり、前記原料溶液の固形分当たりのフィチン酸の含有量が、0.2質量%以上であることが好ましい。
[20]前記[11]又は[12]のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法においては、前記キレート剤がフィチン酸であり、前記原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量に対するフィチン酸の含有量の比([原料溶液のフィチン酸の含有量]/[原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.013以上であることが好ましい。
[21]前記[11]〜[20]のいずれかのインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法においては、前記混合工程において、原料溶液の調製を、カゼインタンパク質が溶解している水溶液に、賦形剤と、可溶性コーヒー固形分及び前記キレート剤が溶解している水溶液とを添加して混合した後、植物油脂を添加して混合して行うことが好ましい。
[22]前記[11]〜[20]のいずれかのインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法においては、前記混合工程において、原料溶液の調製を、カゼインタンパク質と前記キレート剤とが溶解している水溶液に、賦形剤と、可溶性コーヒー固形分が溶解している水溶液とを添加して混合し、得られた混合物に植物油脂を添加して混合して行うことが好ましい。
[23]前記[11]〜[20]のいずれかのインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法においては、前記混合工程において、原料溶液の調製を、カゼインタンパク質が溶解している水溶液に、賦形剤と、可溶性コーヒー固形分が溶解している水溶液とを添加して混合した後、植物油脂と前記キレート剤とを添加して混合して行うことが好ましい。
[24]本発明の第三の態様に係るコーヒー飲料の製造方法は、前記[1]〜[10]のいずれかのインスタントコーヒー飲料用組成物を、液体に溶解させてコーヒー飲料を調製することを特徴とする。
本発明により、熱水溶解時にオイルオフやフェザリングが生じ難く、かつ白濁性に優れたインスタントコーヒー飲料用組成物を製造することができる。
本発明及び本願明細書において、「インスタントコーヒー飲料用組成物」(「IC飲料用組成物」と略記することもある。)とは、水や牛乳等の液体に溶解又は希釈させることによってコーヒー飲料を調製し得る組成物を意味する。
本発明及び本願明細書において、「粉末」とは粉粒体(異なる大きさの分布をもつ多くの固体粒子からなり,個々の粒子間に,何らかの相互作用が働いているもの)を意味する。また、「顆粒」は粉末から造粒された粒子(顆粒状造粒物)の集合体である。粉末には、顆粒も含まれる。
本発明に係るIC飲料用組成物は、可溶性コーヒー固形分とカゼインタンパク質と植物油脂と特定のキレート剤(以下、「キレート剤A」ということがある。)と賦形剤とを含有する固形粒子を含有していることを特徴とする。カゼインタンパク質と植物油脂は、クリームの代替品として含有されており、本発明に係るIC飲料用組成物を水等の液体に溶解させることにより、乳化安定性が良好な乳風味の白濁したコーヒー飲料を調製できる。本発明に係るIC飲料用組成物は、可溶性コーヒー固形分とカゼインタンパク質と植物油脂とが同じ固形粒子に含まれているため、インスタントコーヒー粉末とクリーミングパウダーを混合して得られるIC飲料用組成物よりも、コーヒー成分とクリーム成分が均質に混合されており、品質のばらつきを抑えることができる。さらに、コーヒー固形分が賦形剤の働きをするため、賦形剤の使用量を減らすことができ、コーヒー飲料1杯分に必要な組成物量を低減させることもできる。
[キレート剤A]
本発明に係るIC飲料用組成物が含有するキレート剤Aは、クエン酸塩、縮合リン酸塩、及びフィチン酸からなる群より選択される1種以上である。縮合リン酸塩としては、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、及びポリリン酸塩等が挙げられる。クエン酸塩又は縮合リン酸塩のカチオンは、これらの塩がキレート効果を発揮できるものであれば特に限定されるものではなく、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩や、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。本発明において用いられるキレート剤Aとしては、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、フィチン酸等が挙げられ、香味の点からクエン酸三ナトリウム、又はクエン酸三カリウムが好ましく、クエン酸三ナトリウムがより好ましい。なお、キレート剤がフィチン酸の場合、フィチン酸ナトリウム、フィチン酸カリウム等のフィチン酸塩の状態で組成物に配合してもよい。本発明に係るIC飲料用組成物は、キレート剤Aを1種類のみ含有していてもよく、2種類以上を組み合わせて含有していてもよい。
本発明に係るIC飲料用組成物は、キレート剤Aの存在下で、可溶性コーヒー固形分とカゼインタンパク質と植物油脂とを一体で固形化することにより、熱水溶解時にオイルオフやフェザリングといった乳化破壊が生じ難く、かつ白濁性に優れたIC飲料用組成物とすることができる。このような乳化安定化効果が得られる理由は明らかではないが、可溶性コーヒー固形分に由来するカリウム、カルシウム、マグネシウムなどのカチオンがキレート剤Aで補足されているため、カゼインミセル同士の電気的反発が維持された状態で乾燥することができ、結果として水への溶解時におけるカゼインタンパク質の凝集を抑制できる、と推察される。ただし、このカゼインタンパク質の凝集抑制効果は、キレート剤として汎用されているEDTA(エチレンジアミン四酢酸)では得られないことから、可溶性コーヒー固形分と共存したカゼインタンパク質に対しては特定のキレート剤でしかこのような効果がえられないのであろうとも推察される。
本発明に係るIC飲料用組成物におけるキレート剤Aの含有量は、当該キレート剤Aによる乳化安定化効果が得られる量であれば特に限定されるものではなく、キレート剤Aの種類や可溶性コーヒー固形分の含有量等を考慮して適宜調整することができる。
例えば、キレート剤Aがクエン酸塩の場合には、乳化安定化効果が得られやすい点から、組成物全体に対する固形分当たりのクエン酸塩の含有量は、1.0質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上がさらに好ましい。また、クエン酸塩の呈味に対する影響を抑えられる点から、クエン酸塩の組成物全体に対する固形分当たりの含有量は、10質量%以下が好ましく、8.5質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましい。
例えば、キレート剤Aがピロリン酸塩の場合には、乳化安定化効果が得られやすい点から、組成物全体に対する固形分当たりのピロリン酸塩の含有量は、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。また、ピロリン酸塩の呈味に対する影響を抑えられる点から、ピロリン酸塩の組成物全体に対する固形分当たりの含有量は、10質量%以下が好ましく、8.5質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下がよりさらに好ましい。
例えば、キレート剤Aがポリリン酸塩の場合には、乳化安定化効果が得られやすい点から、組成物全体に対する固形分当たりのポリリン酸塩の含有量は、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。また、ポリリン酸塩の呈味に対する影響を抑えられる点から、ポリリン酸塩の組成物全体に対する固形分当たりの含有量は、10質量%以下が好ましく、8.5質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下がよりさらに好ましい。
例えば、キレート剤Aがフィチン酸の場合には、乳化安定化効果が得られやすい点から、組成物全体に対する固形分当たりのフィチン酸の含有量は、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。また、フィチン酸の呈味に対する影響を抑えられる点から、フィチン酸の組成物全体に対する固形分当たりの含有量は、10質量%以下が好ましく、8.5質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下がよりさらに好ましい。
例えば、キレート剤Aがメタリン酸塩の場合には、乳化安定化効果が得られやすい点から、組成物全体に対する固形分当たりのメタリン酸塩の含有量は、0.15質量%以上が好ましく、0.25質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。また、メタリン酸塩の呈味に対する影響を抑えられる点から、メタリン酸塩の組成物全体に対する固形分当たりの含有量は、10質量%以下が好ましく、8.5質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下がよりさらに好ましい。
本発明に係るIC飲料用組成物におけるキレート剤Aの含有量は、可溶性コーヒー固形分の含有量との比で規定することもできる。例えば、キレート剤Aがクエン酸塩の場合には、より充分な乳化安定化効果を得る点から、本発明に係るIC飲料用組成物におけるクエン酸塩の含有量を、可溶性コーヒー固形分に対する含有量比([クエン酸塩の含有量(質量)]/[可溶性コーヒー固形分の含有量(質量)])が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.06以上、さらに好ましくは0.085以上、よりさらに好ましくは0.1以上となるように調製することが好ましい。また、クエン酸塩の呈味に対する影響を抑えられる点から、当該含有量比は、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましく、0.2以下がよりさらに好ましい。
例えば、キレート剤Aがピロリン酸塩の場合には、より充分な乳化安定化効果を得る点から、本発明に係るIC飲料用組成物におけるピロリン酸塩の含有量を、可溶性コーヒー固形分に対する含有量比が、好ましくは0.013以上、より好ましくは0.02以上、さらに好ましくは0.03以上、よりさらに好ましくは0.06以上となるように調製することが好ましい。また、ピロリン酸塩の呈味に対する影響を抑えられる点から、当該含有量比は、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましく、0.2以下がよりさらに好ましい。
例えば、キレート剤Aがポリリン酸塩の場合には、より充分な乳化安定化効果を得る点から、本発明に係るIC飲料用組成物におけるポリリン酸塩の含有量を、可溶性コーヒー固形分に対する含有量比が、好ましくは0.013以上、より好ましくは0.02以上、さらに好ましくは0.03以上、よりさらに好ましくは0.06以上となるように調製することが好ましい。また、ポリリン酸塩の呈味に対する影響を抑えられる点から、当該含有量比は、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましく、0.2以下がよりさらに好ましい。
例えば、キレート剤Aがフィチン酸の場合には、より充分な乳化安定化効果を得る点から、本発明に係るIC飲料用組成物におけるフィチン酸の含有量を、可溶性コーヒー固形分に対する含有量比が、好ましくは0.013以上、より好ましくは0.02以上、さらに好ましくは0.03以上、よりさらに好ましくは0.06以上となるように調製することが好ましい。また、フィチン酸の呈味に対する影響を抑えられる点から、当該含有量比は、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましく、0.2以下がよりさらに好ましい。
例えば、キレート剤Aがメタリン酸塩の場合には、より充分な乳化安定化効果を得る点から、本発明に係るIC飲料用組成物におけるメタリン酸塩の含有量を、可溶性コーヒー固形分に対する含有量比が、好ましくは0.009以上、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.03以上、よりさらに好ましくは0.05以上となるように調製することが好ましい。また、メタリン酸塩の呈味に対する影響を抑えられる点から、当該含有量比は、0.5以下が好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましく、0.2以下がよりさらに好ましい。
[可溶性コーヒー固形分]
本発明に係るIC飲料用組成物の原料となる可溶性コーヒー固形分は、焙煎されたコーヒー豆から抽出された可溶性の固形分であり、粉末であってもよく、水溶液であってもよい。
粉末又は水溶液である可溶性コーヒー固形分は、常法により製造することができ、また、市販されているものを用いてもよい。例えば、インスタントコーヒー粉末は、焙煎したコーヒー豆から熱水を用いて可溶性の固形分を抽出し、得られた抽出物を乾燥することにより得られる。抽出物の乾燥方法としては、凍結乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥等が挙げられる。また、コーヒー豆からの抽出物は、乾燥前に、必要に応じて濃縮してもよい。当該濃縮方法としては、熱濃縮、冷凍濃縮、逆浸透膜や限外濾過膜等を用いた膜濃縮等の汎用されている濃縮方法により行うことができる。
本発明に係るIC飲料用組成物全体における固形分当たりの可溶性コーヒー固形分の含有量は、目的とする製品品質を考慮して適宜調節することができる。本発明に係るIC飲料用組成物としては、組成物全体に対する固形分当たりの可溶性コーヒー固形分の含有量が、10〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
[カゼインタンパク質]
カゼインタンパク質は、本発明に係るIC飲料用組成物が白濁性やミルク風味を達成するために重要な成分である。本発明に係るIC飲料用組成物の原料となるカゼインタンパク質としては、生乳、牛乳、脱脂乳、全粉乳、脱脂粉乳等のカゼインタンパク質を含む乳原料そのものであってもよく、カゼインタンパク質を含む乳原料から発酵や酸の添加によりpH4.5〜4.7として沈殿させる等電点沈殿法にて精製された酸カゼインであってもよく、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウムのような塩類であってもよい。
本発明に係るIC飲料用組成物全体における固形分当たりのカゼインタンパク質の含有量は、3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましく、6〜10質量%がよりさらに好ましい。また、本発明に係るIC飲料用組成物における植物油脂の含有量に対するカゼインタンパク質の含有量は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。IC飲料用組成物の組成物全体に対するカゼインタンパク質の含有量や植物油脂に対するカゼインタンパク質の含有量が前記範囲内であることにより、当該IC飲料用組成物を熱水に溶解させることによって、充分な白濁性とミルク風味を有するコーヒー飲料を製造できる。
[植物油脂]
本発明に係るIC飲料用組成物が含有する植物油脂としては、食用油であれば特に限定されず、天然油であってもよく、加工油であってもよく、合成油であってもよい。当該食用油としては、例えば、パーム油、パーム核油、水添パーム核油、ヤシ油(ココナッツオイル)、硬化ヤシ油、菜種油(キャノーラ油)、コーン油、大豆油、こめ油、サフラワー油(ベニバナ油)、綿実油、ひまわり油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。これらの植物油脂のうち、特にパーム油、パーム核油、水添パーム核油、ヤシ油、硬化ヤシ油、菜種油、又は中鎖脂肪酸トリグリセリドが好ましく用いられる。当該植物油脂としては、1種類のみであってもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。本発明に係るIC飲料用組成物全体における固形分当たりの植物油脂の含有量は、5〜60質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましく、25〜40質量%がさらに好ましい。
[賦形剤]
本発明に係るIC飲料用組成物が含有する賦形剤としては、例えば、でん粉、でん粉分解物、糖類、食物繊維等が挙げられる。でん粉としては、タピオカでん粉、モチゴメでん粉、コメでん粉、馬鈴薯でん粉、小麦でん粉、コーンでん粉、ワキシーコーンでん粉、サトイモでん粉、サゴでん粉等の可食性のでん粉が挙げられ、これらのでん粉をヒドロキシプロピル化、アセチル化、リン酸モノエステル化等の加工処理や架橋処理を施したものであってもよい。でん粉分解物としては、粉あめ、水あめ、デキストリン、マルトデキストリン等が挙げられる。糖類としては、乳糖、麦芽糖、ショ糖、トレハロース、オリゴ糖等が挙げられる。食物繊維としては、難消化性デキストリン、セルロース等が挙げられる。
本発明に係るIC飲料用組成物が含有する賦形剤としては、甘味料としても機能することから、でん粉分解物又は糖類を用いることが好ましく、コーンシロップ、粉あめ、マルトデキストリン、麦芽糖、ショ糖、オリゴ糖等を用いることがより好ましい。本発明に係るIC飲料用組成物全体に対する賦形剤の含有量は特に限定されるものではなく、その他の成分の含有量や乾燥処理のしやすさ等を考慮して適宜調製することができる。本発明に係るIC飲料用組成物全体における固形分当たりの賦形剤の含有量としては、10〜85質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、20〜60質量%がさらに好ましい。
[その他の成分]
本発明に係るIC飲料用組成物においては、本発明の効果を損なわない限度において、可溶性コーヒー固形分、カゼインタンパク質、植物油脂、賦形剤、及びキレート剤Aの他に、その他の成分を含有していてもよい。当該その他の成分としては、pH調整剤、乳化剤、甘味料、動物性油脂、香料、酸化防止剤等のIC飲料に配合可能な成分が挙げられる。
pH調整剤としては、有機酸のナトリウム塩、有機酸のカリウム塩、無機酸のナトリウム塩、無機酸のカリウム塩等を用いることができる。本発明に係るIC飲料用組成物が含有するpH調整剤としては、中でも、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、リン酸、炭酸のナトリウム塩及びカリウム塩が好ましい。
乳化剤としては、モノグリセリド、ジグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等のグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート、ステアロイル乳酸塩、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等を用いることができる。
甘味料としては、砂糖、ショ糖型液糖、オリゴ糖、ブドウ糖果糖液糖等の糖類;エリスリトール、トレハロース、ソルビトール等の糖アルコール;アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア等の高甘味度甘味料等が挙げられる。砂糖としては、グラニュー糖、上白糖であってもよく粉糖であってもよい。
香料としては、ミルク香料、コーヒー香料、シナモン、キャラメル、チョコレート、ハチミツ等の、一般的にコーヒーやフレーバーコーヒーに添加される香料等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキン等が挙げられる。
本発明に係るIC飲料用組成物が含有する固形粒子は、例えば、カゼインタンパク質と可溶性コーヒー固形分と賦形剤と植物油脂とキレート剤Aとを溶解させた原料溶液を調製する混合工程と、当該原料溶液を乳化処理して乳化物を調製する乳化工程と、当該乳化物を乾燥させる乾燥工程とにより製造することができる。カゼインタンパク質と可溶性コーヒー固形分と植物油脂とを溶解させた溶液を均質化した状態で乾燥させることによって、これらを一体的に含有する固形物が得られる。
前記混合工程において、原料溶液は、混合させる全ての原料成分を原料水に溶解させることによって調製する。各原料成分の原料水への配合量は、原料溶液全体の固形分当たりの含有量が前記の通りとなるように調整することが好ましい。また、原料溶液の調製は、室温等の温度環境を制御していない環境下で行ってもよいが、各原料が溶解しやすく、原料溶液の調製が容易であることから、液温30〜90℃で行うことが好ましく、液温40〜80℃で行うことがより好ましく、液温50〜80℃で行うことがさらに好ましく、液温60〜80℃で行うことがよりさらに好ましい。
カゼインタンパク質は、pHが低い水溶液中では互いに凝集して沈殿しやすい。このため、カゼインタンパク質は、予め、pH調整剤によりpHを調整して水に溶解させた水溶液に調製しておくことが好ましい。カゼインタンパク質が溶解した水溶液のpHとしては、カゼインタンパク質が凝集せずに安定して溶解できるpHであれば特に限定されるものではなく、例えば、6.5以上が好ましく、6.8〜8.0がより好ましい。pH調整剤としては、前記で例示されたものの中から適宜選択して用いることができる。
原料水への原料成分の混合の順番は特に限定されるものではなく、全ての原料成分を同時に混合してもよく、順次混合させてもよい。例えば、カゼインタンパク質が溶解している水溶液に、賦形剤と、可溶性コーヒー固形分と、キレート剤Aと、植物油脂と、その他の成分とを、同時に又は順次添加した後、撹拌して混合することにより原料溶液を調製することができる。また、予め、可溶性コーヒー固形分とキレート剤Aとが水に溶解した溶液を調製しておき、カゼインタンパク質が溶解した水溶液に、賦形剤と、可溶性コーヒー固形分及びキレート剤Aが溶解している水溶液とを添加して混合した後、植物油脂を添加して混合することにより、原料溶液を調製することができる。また、カゼインタンパク質とキレート剤Aとが溶解している水溶液に、賦形剤と、可溶性コーヒー固形分が溶解している水溶液とを添加して混合し、得られた混合物に植物油脂を添加して混合することにより、原料溶液を調製することができる。さらに、カゼインタンパク質が溶解している水溶液に、賦形剤と、可溶性コーヒー固形分が溶解している水溶液とを添加して混合した後、植物油脂とキレート剤Aとを添加して混合することにより、原料溶液を調製することができる。
原料成分を充分に溶解させるために、原料溶液は、全ての原料成分を混合した後、撹拌処理を行うことが好ましい。また、原料成分を順次混合する場合には、各原料成分を添加するごとに、撹拌処理を行うことが好ましい。撹拌処理は、例えば、一般的に飲料の製造で使用される撹拌機等を用いて行うことができる。
調製された原料溶液を乳化処理する方法は、全ての原料成分、特に植物油脂やカゼインタンパク質を均質化し得る方法であれば特に限定されるものではない。例えば、一般的に飲食品の製造において乳化処理に使用されるホモミキサーやホモジナイザーを使用することにより、原料溶液を乳化することができる。
得られた乳化物を乾燥させることにより、カゼインタンパク質と可溶性コーヒー固形分と賦形剤と植物油脂とキレート剤とを含有する固形粒子からなるIC飲料用組成物が得られる。乳化物の乾燥方法としては、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥等、任意の方法を選択して行うことができる。
乳化物の乾燥により得られた固形粒子の形状は特に限定されるものではなく、粉末状であってもよく、塊状であってもよい。また、得られた固形粒子は、必要に応じて、分級、造粒及び粉砕等を行ってもよい。例えば、粉末状の乾燥物を造粒して顆粒状にしてもよい。
本発明に係るIC飲料用組成物は、カゼインタンパク質と可溶性コーヒー固形分と賦形剤と植物油脂とキレート剤Aとを含有する固形粒子のみからなるものであってもよく、当該固形粒子にさらに粉末状又は顆粒状のその他の固形粒子を混合したものであってもよい。当該その他の固形粒子としては、甘味料、香料、流動性改良剤、酸化防止剤等であって、粉末状又は顆粒状のものが挙げられる。甘味料、香料、酸化防止剤としては、前記で列挙されたものを用いることができる。また、流動性改良剤としては、微粒酸化ケイ素、第三リン酸カルシウム等の加工用製剤が挙げられる。
こうして得られた固形粒子を含有する本発明に係るIC飲料用組成物を、水等の液体に溶解させることにより、白濁性がありつつも、乳化破壊が生じ難く、オイルオフやフェザリング等の外観上の問題が生じ難いコーヒー飲料が製造できる。
本発明に係るIC飲料用組成物は、飲用1杯分を小パウチなどに個包装したり、使用時に容器から振り出したりスプーンで取り出したりして使用するように瓶などの容器に数杯分をまとめて包装して商品として供給することもできる。
個包装タイプとは、スティック状アルミパウチ、ワンポーションカップなどにコーヒー飲料1杯分の中身を充填包装するものである。個包装タイプは、1杯分が密閉包装されているので取り扱いも簡単で、衛生的であるという利点を有する。
次に実施例等を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。なお、以下の実施例等において、特に記載がない限り、「%」は「質量%」を意味する。
[実施例1]
カゼインタンパク質と可溶性コーヒー固形分と賦形剤と植物油脂とキレート剤Aとを含有する乾燥粉末からなるIC飲料用組成物を調製し、当該IC飲料用組成物から調製されたコーヒー飲料の白濁性と乳化安定性を調べた。
<IC飲料用組成物(乾燥粉末)の製造>
表1〜2のサンプル1−3〜1−11の処方からなるIC飲料用組成物は、以下のようにして調製した。まず、60℃の温水に、カゼインナトリウムとリン酸水素二ナトリウム(又はリン酸水素二カリウム)を添加して撹拌し、カゼインタンパク質が溶解しているカゼイン溶液を調製した。これとは別に、水にIC粉末とキレート剤A(クエン酸三ナトリウム)を添加したコーヒー溶液を調製した。IC粉末としては、焙煎豆から可溶性固形分を抽出したコーヒー抽出液を噴霧乾燥した乾燥粉末を用いた。
次いで、当該カゼイン溶液に、粉あめと当該コーヒー溶液とを添加して撹拌した。その後、さらに植物油脂(水添パーム核油)を添加し、得られた混合物を、ホモミキサー(製品名:「PRIMIX」、プライミクス社製)を用いて8000rpm、15分間の条件で撹拌し、予備乳化させた。その後、得られた乳化物を、ホモジナイザー(製品名:「APV−2000」、APV社製)を用いて400kg/cmで均質化した。均質化後の乳化物を、スプレイドライヤー(製品名:「ミニスプレードライヤーB−290」、BUCHI社製)を用いて噴霧乾燥し、IC飲料用乾燥粉末を得た。
<サンプル1−1及び1−2のIC飲料用組成物(乾燥粉末)の製造>
特許文献3に記載の方法に準じて、IC飲料用乾燥粉末を製造した。
具体的には、まず、80℃の温水にIC粉末とリン酸水素二ナトリウムを添加して撹拌し、pH6.2に調整した溶液を調製した。この溶液に、水添パーム核油を添加してホモジナイザーを用いて乳化した後、スプレイドライヤーで噴霧乾燥し、サンプル1−1のIC飲料用乾燥粉末を得た。
また、80℃の温水にIC粉末とリン酸水素二ナトリウムを添加して撹拌し、pH6.2に調整した溶液を調製した。この溶液に、ステアロイル乳酸ナトリウムを添加して撹拌した後、水添パーム核油をさらに添加してホモジナイザーを用いて乳化した後、スプレイドライヤーで噴霧乾燥し、サンプル1−2のIC飲料用乾燥粉末を得た。
<コ―ヒー飲料の調製>
製造されたIC飲料用乾燥粉末6gを沸騰水230gに溶解させ、コ―ヒー飲料を得た。
<コ―ヒー飲料の乳化安定性の評価>
各コーヒー飲料の乳化安定性の評価は、外観観察に基づいて行った。具体的には、表面のオイルオフ(肉眼で確認できる油滴)と凝集物の有無を11段階(「0」が凝集物や油滴が全く見られなかったもの、「10」が凝集物や油滴が多く観察されたもの)で評価した。評点4以下が、乳化安定性が良好であるとした。また、凝集物の評価点とオイルオフの評価点のうち、点数の高いほうを、外観の総合点とした。
<コ―ヒー飲料の白濁度の測定>
各コーヒー飲料の液色を、分光色差計(製品名:「SE 6000」、日本電色社製)で測定した。得られたL*値に基づき、白色度を比較した。なお、L*値が高い飲料ほど、白濁性が高い。
<結果>
各コーヒー飲料の乳化安定性の評価結果と白濁度の測定結果を表1〜2に示す。表中、「[キレート剤A]/[IC粉末]」は、組成物中のIC粉末の含有量に対するクエン酸三ナトリウムの含有量の割合([組成物中のクエン酸三ナトリウムの含有量(%)]/[組成物中のIC粉末の含有量(%)])である。
Figure 2018121632
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カゼインナトリウムを配合していないサンプル1−1及び1−2のIC飲料用乾燥粉末から調製されたコーヒー飲料は、凝集物は観察されなかったが、油滴が多く観察された。特に、ステアロイル乳酸ナトリウムを配合したサンプル1−2では、油滴量が非常に多く、かつL*値が低く、十分な白濁性が得られなかった。一方で、カゼインタンパク質を配合したサンプルのうち、クエン酸三ナトリウムを配合していないサンプル1−3のIC飲料用乾燥粉末から調製されたコーヒー飲料は、白濁度は1−2よりは向上したものの、非常に多くの凝集物が生じており、油滴も多かった。これに対して、クエン酸三ナトリウムを配合したサンプル1−4〜1−11では、白濁性を損なうことなく、クエン酸三ナトリウムの配合量依存的に、凝集物と油滴の両方の発生が抑えられ、乳化安定性が改善された。特に、クエン酸三ナトリウムを1質量%以上配合したサンプル1−6〜1−11では、非常に外観が良好であった。
[実施例2]
製造工程におけるキレート剤Aを配合するタイミングが、製造されたIC飲料用組成物から調製されたコーヒー飲料の白濁性と乳化安定性に及ぼす影響を調べた。
<サンプル2−1のIC飲料用組成物(乾燥粉末)の製造>
キレート剤A(クエン酸三ナトリウム)を、水にIC粉末を添加したコーヒー溶液ではなく、リン酸水素二ナトリウムと共にカゼイン溶液に添加した以外は、実施例1のサンプル1−10のIC飲料用乾燥粉末と同様にして製造した。
具体的には、まず、60℃の温水に、カゼインナトリウムとリン酸水素二カリウムとキレート剤A(クエン酸三ナトリウム)を添加して撹拌し、カゼインタンパク質とキレート剤Aが溶解しているカゼイン溶液を調製した。IC粉末は実施例1と同じものを用いた。次いで、当該カゼイン溶液に、粉あめとIC粉末とを添加して撹拌した後、さらに植物油脂(水添パーム核油)を添加し、得られた混合物を実施例1と同様にして乳化した後、噴霧乾燥し、サンプル2−1のIC飲料用乾燥粉末を得た。
<サンプル2−2のIC飲料用組成物(乾燥粉末)の製造>
キレート剤A(クエン酸三ナトリウム)を、水にIC粉末を添加したコーヒー溶液ではなく、植物油脂と共に添加した以外は、実施例1のサンプル1−10のIC飲料用乾燥粉末と同様にして製造した。
具体的には、まず、60℃の温水に、カゼインナトリウムとリン酸水素二カリウムを添加して撹拌し、カゼインタンパク質が溶解しているカゼイン溶液を調製した。これとは別に、水にIC粉末を添加したコーヒー溶液を調製した。IC粉末は実施例1と同じものを用いた。次いで、当該カゼイン溶液に、粉あめと当該コーヒー溶液とを添加して撹拌した後、さらに植物油脂(水添パーム核油)とキレート剤A(クエン酸三ナトリウム)とを添加し、得られた混合物を実施例1と同様にして乳化した後、噴霧乾燥し、サンプル2−2のIC飲料用乾燥粉末を得た。
<サンプル2−3のIC飲料用組成物(乾燥粉末)の製造>
キレート剤A(クエン酸三ナトリウム)を配合しない以外は実施例1のサンプル1−10のIC飲料用乾燥粉末と同様にして製造した乾燥粉末に、クエン酸三ナトリウムの乾燥粉末を混合することによってIC飲料用組成物(乾燥粉末)を製造した。
具体的には、まず、60℃の温水に、カゼインナトリウムとリン酸水素二カリウムを添加して撹拌し、カゼインタンパク質が溶解しているカゼイン溶液を調製した。これとは別に、水にIC粉末を添加したコーヒー溶液を調製した。IC粉末は実施例1と同じものを用いた。次いで、当該カゼイン溶液に、粉あめと当該コーヒー溶液とを添加して撹拌した後、さらに植物油脂(水添パーム核油)を添加し、得られた混合物を実施例1と同様にして乳化した後、噴霧乾燥した。得られた乾燥粉末に、キレート剤A(クエン酸三ナトリウム)の乾燥粉末を混合し、サンプル2−3のIC飲料用乾燥粉末を得た。
実施例1と同様にして、サンプル2−1〜2−3のIC飲料用乾燥粉末からコーヒー飲料を調製し、その外観を評価し、液色を測定した。結果を、実施例1のサンプル1−10の結果と共に表3に示す。この結果、サンプル2−1及び2−2のIC飲料用乾燥粉末から製造されたコーヒー飲料は、サンプル1−10と同様に、凝集物や油滴が観察されず、かつ白濁性も充分であった。一方で、キレート剤Aの乾燥粉末を混合したサンプル2−3では、キレート剤Aを配合しなかった実施例1のサンプル1−3と同様に、凝集物や油滴が多く観察された。これらの結果から、キレート剤Aは、乾燥処理前に添加すればよく、乾燥前のいずれの時点で配合しても、乳化安定性改善効果が得られることが確認された。
Figure 2018121632
[実施例3]
表4の処方からなるIC飲料用組成物を、実施例1のサンプル1−10と同様にして製造し、実施例1と同様にして、得られたIC飲料用乾燥粉末からコーヒー飲料を調製し、その外観を評価し、液色を測定した。
Figure 2018121632
結果を表4に示す。表4中、「[キレート剤A]/[IC粉末]」は表1と同じである。サンプル3−2のIC飲料用乾燥粉末から調製されたコーヒー飲料は、白濁性が良好であり、かつ凝集物と油滴の両方の発生が抑えられ、乳化安定性も良好であった。これらの結果から、可溶性コーヒー固形分の含有量が多い場合でも、充分量のキレート剤Aを配合すれば、乳化安定性改善効果が得られることが確認された。
[実施例4]
各種乳化剤を配合して実施例1と同様にしてIC飲料用乾燥粉末を調製し、当該IC飲料用乾燥粉末から調製されたコーヒー飲料の白濁性と乳化安定性を調べた。乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、クエン酸モノグリセリド、及び大豆レシチンを用いた。
具体的には、表5及び6の処方からなるIC飲料用組成物を、乳化剤を水添パーム核油と共に添加した以外は実施例1のサンプル1−10と同様にして製造した。実施例1と同様にして、得られたIC飲料用乾燥粉末からコーヒー飲料を調製し、その外観を評価し、液色を測定した。結果を表5及び6に示す。この結果、添加した乳化剤の種類や配合量にかかわらず、いずれのサンプルでも、クエン酸三ナトリウムによる乳化安定性改善効果が得られた。
Figure 2018121632
Figure 2018121632
[実施例5]
キレート剤として、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、フィチン酸、及びEDTAを用いてIC飲料用乾燥粉末を調製し、当該IC飲料用乾燥粉末から調製されたコーヒー飲料の白濁性と乳化安定性を調べた。
具体的には、表7〜11の処方からなるIC飲料用組成物を、キレート剤としてクエン酸三ナトリウムに代えて各表に記載のキレート剤を使用した以外は実施例1のサンプル1−10と同様にして製造した。ただし、フィチン酸は、そのまま使用するとカゼインタンパク質が酸凝集するため、事前に水酸化ナトリウムにより中和してフィチン酸ナトリウムとした後に配合した。
実施例1と同様にして、得られたIC飲料用乾燥粉末からコーヒー飲料を調製し、その外観を評価し、液色を測定した。結果を、実施例1のサンプル1−3の結果と共に表7〜11に示す。表7中、「[キレート剤A]/[IC粉末]」は、組成物中のIC粉末の含有量に対するメタリン酸ナトリウムの含有量の割合([組成物中のメタリン酸ナトリウムの含有量(%)]/[組成物中のIC粉末の含有量(%)])であり、表8中、「[キレート剤A]/[IC粉末]」は、組成物中のIC粉末の含有量に対するピロリン酸四ナトリウムの含有量の割合([組成物中のピロリン酸四ナトリウムの含有量(%)]/[組成物中のIC粉末の含有量(%)])であり、表9中、「[キレート剤A]/[IC粉末]」は、組成物中のIC粉末の含有量に対するトリポリリン酸カリウムの含有量の割合([組成物中のトリポリリン酸カリウムの含有量(%)]/[組成物中のIC粉末の含有量(%)])であり、表10中、「[キレート剤A]/[IC粉末]」は、組成物中のIC粉末の含有量に対するフィチン酸の含有量の割合([組成物中のフィチン酸の含有量(%)]/[組成物中のIC粉末の含有量(%)])である。
Figure 2018121632
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この結果、キレート剤を配合していないサンプル1−3と比較して、メタリン酸ナトリウムを配合したサンプル5−1〜5−4のIC飲料用乾燥粉末から調製されたコーヒー飲料では、白濁性を損なうことなく、メタリン酸ナトリウムの配合量依存的に、凝集物と油滴の両方の発生が抑えられ、乳化安定性が改善された。特に、メタリン酸ナトリウムを0.15質量%以上配合したサンプル5−2〜5−3では、非常に外観が良好であった。
同様に、ピロリン酸四ナトリウムを配合したサンプル5−5〜5−10、トリポリリン酸カリウムを配合したサンプル5−11〜5−14、フィチン酸を配合したサンプル5−15〜5−19のIC飲料用乾燥粉末から調製されたコーヒー飲料では、白濁性を損なうことなく、配合量依存的に、凝集物と油滴の両方の発生が抑えられ、乳化安定性が改善された。特に、ピロリン酸四ナトリウムを0.2質量%以上配合したサンプル5−6〜5−10、トリポリリン酸カリウムを0.2質量%以上配合したサンプル5−12〜5−14、フィチン酸を0.2質量%以上配合したサンプル5−16〜5−19では、非常に外観が良好であった。一方で、EDTAを配合したサンプル5−20〜5−22では、乳化安定性の改善はみられなかった。これらの結果から、クエン酸塩と同様に、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、又はフィチン酸塩を配合した場合でも、乳化安定性改善効果が得られることがわかった。
[実施例6]
カゼインタンパク質として、カゼインナトリウムに代えて脱脂粉乳を配合してIC飲料用乾燥粉末を調製し、当該IC飲料用乾燥粉末から調製されたコーヒー飲料の白濁性と乳化安定性を調べた。
具体的には、表12の処方からなるIC飲料用組成物を、実施例1のサンプル1−10と同様にして製造した。実施例1と同様にして、得られたIC飲料用乾燥粉末からコーヒー飲料を調製し、その外観を評価し、液色を測定した。
Figure 2018121632
結果を表12に示す。表12中、「[キレート剤A]/[IC粉末]」は表1と同じである。クエン酸三ナトリウムを配合したサンプル6−2のIC飲料用乾燥粉末から調製されたコーヒー飲料は、クエン酸三ナトリウムを配合していないサンプル6−1に比べて、凝集物と油滴の両方の発生が抑えられ、乳化安定性が良好だったことに加えて、白濁性も改善されていた。脱脂粉乳を用いた場合でも、キレート剤Aを配合することにより乳化安定性改善効果が得られることが確認された。
[比較例1]
各種添加剤を用いてIC飲料用乾燥粉末を調製し、当該IC飲料用乾燥粉末から調製されたコーヒー飲料の白濁性と乳化安定性を調べた。添加剤としては、有機酸塩として、リンゴ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、又は酢酸ナトリウムを、キレート剤として、グルコン酸ナトリウム、グルコノデルタラクトン、又はポリγグルタミン酸を、一般的なpH調整剤として重曹(NaHCO)、又は水酸化ナトリウムを用いた。
具体的には、表13〜14の処方からなるIC飲料用組成物を、キレート剤Aにかえて各種添加剤を添加する以外は実施例1のサンプル1−10と同様にして製造した。ただし、グルコノラクトン及びポリγグルタミン酸の場合には、IC粉末とグルコノラクトン又はポリγグルタミン酸を含有する水溶液(コーヒー溶液)を調製した後、水酸化ナトリウムによりこのコーヒー溶液のpHが6.0になるように調整してから、他の原料と混合した。また、各添加剤は2.0質量%となるように添加した。サンプルr1−10の水酸化ナトリウムのみ、コーヒー溶液のpHが他の添加剤の場合と同程度になるように含有量を調整した。
Figure 2018121632
Figure 2018121632
実施例1と同様にして、得られたIC飲料用乾燥粉末からコーヒー飲料を調製し、その外観を評価し、液色を測定した。ポリγグルタミン酸を2質量%配合したサンプルr1−8のIC飲料用乾燥粉末から調製されたコーヒー飲料は、粘度が上昇して食感が悪くなり、飲料に適さなかった。このため、ポリγグルタミン酸については、配合量を1質量%としたサンプルr1−7のIC飲料用乾燥粉末から調製されたコーヒー飲料について評価した。結果を表13〜14に示す。この結果、表に示すように、各添加剤は十分量が添加されていたにもかかわらず、いずれの添加剤を添加したサンプルでも、オイルオフと凝集物の両方が十分に改善されたものはなかった。すなわち、これらの添加剤では、本願発明のキレート剤Aとは異なり、乳化安定性改善効果が得られないことが確認された。
[実施例7]
従来のIC粉末とクリーミングパウダーから調製されたコーヒー飲料と、キレート剤Aと可溶性コーヒー固形分とカゼインタンパク質等を同時に乾燥粉末化したIC飲料用乾燥粉末からコーヒー飲料について、風味を比較した。
<コーヒー抽出液の製造>
焙煎コーヒー豆から高温高圧の連続カラムにてコーヒー抽出液(可溶性コーヒー固形分:35質量%)を調製した。焙煎コーヒー豆は、ブラジル産焙煎コーヒー豆とコロンビア産焙煎コーヒー豆(いずれも中煎り)を質量比1:1でブレンドした豆を用いた。
<IC粉末の製造>
前記<コーヒー抽出液の製造>で得られたコーヒー抽出液を、スプレイドライヤー(製品名:「ミニスプレードライヤーB−290」、BUCHI社製)を用いて噴霧乾燥し、IC粉末を得た。
<クリーミングパウダーの製造>
表15の処方でクリーミングパウダーを製造した。
まず、60℃の温水に、カゼインナトリウムとリン酸水素二カリウムとクエン酸三ナトリウムを添加して撹拌し、カゼインタンパク質が溶解しているカゼイン溶液を調製した。次いで、当該カゼイン溶液に、粉あめと植物油脂(水添パーム核油)を添加し、得られた混合物を、ホモミキサー(製品名:「PRIMIX」、プライミクス社製)を用いて8000rpm、15分間の条件で撹拌し、予備乳化させた。その後、得られた乳化物を、ホモジナイザー(製品名:「APV−2000」、APV社製)を用いて400kg/cmで均質化した。均質化後の乳化物を、スプレイドライヤー(製品名:「ミニスプレードライヤーB−290」、BUCHI社製)を用いて噴霧乾燥し、クリーミングパウダーを得た。
<サンプル7−1のIC飲料用組成物(乾燥粉末)の製造>
表15の処方でサンプル7−1のIC飲料用乾燥粉末を製造した。
まず、60℃の温水に、カゼインナトリウムとリン酸水素二カリウムとクエン酸三ナトリウムを添加して撹拌し、カゼインタンパク質が溶解しているカゼイン溶液を調製した。次いで、当該カゼイン溶液に、粉あめとコーヒー抽出液(可溶性コーヒー固形分:35質量%)とを添加して撹拌した。その後、さらに植物油脂(水添パーム核油)を添加し、得られた混合物を、ホモミキサー(製品名:「PRIMIX」、プライミクス社製)を用いて8000rpm、15分間の条件で撹拌し、予備乳化させた。その後、得られた乳化物を、ホモジナイザー(製品名:「APV−2000」、APV社製)を用いて400kg/cmで均質化した。均質化後の乳化物を、スプレイドライヤー(製品名:「ミニスプレードライヤーB−290」、BUCHI社製)を用いて噴霧乾燥し、IC飲料用乾燥粉末を得た。
Figure 2018121632
<コーヒー飲料の調製>
調製したコーヒー抽出液、IC粉末、クリーミングパウダー、及びサンプル7−1のIC飲料用乾燥粉末を用いて、表16の処方で、サンプル7−1〜7−3のコ―ヒー飲料を調製した。
サンプル7−1〜7−3のコ―ヒー飲料は、いずれも、凝集物や油滴が観察されず、かつ白濁性も十分であった。
<コ―ヒー飲料の香味の官能評価>
サンプル7−1〜7−3のコ―ヒー飲料について、トレーニングされた専門パネル8名により、甘い香り、香ばしい香り、及び焙煎香について10段階(1〜10:1が最も評価が低く、9が最も評価が高い。)でスコア付けすることによって評価した。各専門パネルが付けた点数を平均し、平均スコアを各コーヒー飲料の評価とした。評価結果を表16に示す。
Figure 2018121632
<コ―ヒー飲料の香気成分の分析>
サンプル7−1とサンプル7−2のコーヒー飲料に含まれているフルフラール(furfural:カラメル様の甘い香り)、グアイアコール(guaiacol:焙煎香)、及び2,5−ジメチルピラジン(2,5-dimethylpyradine:香ばしさ)の含有量(飲料の固形分当たり:μg/kg)を分析し、測定結果を表16に示した。これらの香気成分は、コーヒーの特徴的な香りを構成する香味成分である。
分析はヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析法により行った。分析条件を下記に示す。標準物質には2,3−Dimethoxytolueneを用い、各成分の濃度は、標準物質とのエリア比にて算出した。
[FEDHS(Full Evaporation DHS]
・MPS−TDU
トラップ温度:25℃
パージ容量:3000mL(100mL/分)
トラップ吸着剤:Tenax TA
TDU:40℃→260℃(720℃/分、5分間保持)
CIS:10℃(0.5分)→260℃(12℃/秒、10分間保持)
・GC−MS条件
GC装置:7890A(Agilent Technologies社製)
MS装置:5975C(Agilent Technologies社製)
カラム:InertCap WAX-HT(0.25×60m)
オーブン温度:60℃(0min)→250℃(5℃/分、15分間保持)
総測定時間:53分間
この結果、サンプル7−1のIC飲料用乾燥粉末から調製されたコーヒー飲料は、サンプル7−2のコーヒー飲料(それぞれ独立して乾燥粉末化したクリーミングパウダーとIC粉末から調製されたコーヒー飲料)よりも、甘い香り、香ばしい香り、焙煎香のいずれも強く、コーヒーらしい香りの強い嗜好性の高い飲料であった。特に、サンプル7−1のコーヒー飲料の香ばしい香りと焙煎香は、乾燥粉末化せずにコーヒー抽出液から調製されたコーヒー飲料(7−3)よりも優れていた。これらの結果から、キレート剤Aと可溶性コーヒー固形分とカゼインタンパク質等を同時に乾燥粉末したIC飲料用乾燥粉末は、熱水溶解時にオイルオフやフェザリングが生じ難く、かつ白濁性に優れているだけではなく、コーヒーらしい香気も優れたコーヒー飲料が得られることがわかった。

Claims (24)

  1. カゼインタンパク質と可溶性コーヒー固形分と賦形剤と植物油脂とキレート剤とを含有する固形粒子を含有し、
    前記キレート剤が、クエン酸塩、縮合リン酸塩、及びフィチン酸からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、インスタントコーヒー飲料用組成物。
  2. 前記縮合リン酸塩が、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、及びポリリン酸塩からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物。
  3. 前記キレート剤がクエン酸塩であり、
    組成物全体に対する固形分当たりの前記キレート剤の含有量が、1.0質量%以上である、請求項1又は2に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物。
  4. 前記キレート剤がクエン酸塩であり、
    可溶性コーヒー固形分の含有量に対する前記キレート剤の含有量の比([組成物のキレート剤の含有量]/[組成物の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.06以上である、請求項1又は2に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物。
  5. 前記キレート剤が、ピロリン酸塩及びポリリン酸塩からなる群より選択される1種以上であり、
    組成物全体に対する固形分当たりの前記キレート剤の含有量が、0.2質量%以上である、請求項1又は2に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物。
  6. 前記キレート剤が、ピロリン酸塩及びポリリン酸塩からなる群より選択される1種以上であり、
    可溶性コーヒー固形分の含有量に対する前記キレート剤の含有量の比([組成物のキレート剤の含有量]/[組成物の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.013以上である、請求項1又は2に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物。
  7. 前記キレート剤がメタリン酸塩であり、
    組成物全体に対する固形分当たりの前記キレート剤の含有量が、0.15質量%以上である、請求項1又は2に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物。
  8. 前記キレート剤がメタリン酸塩であり、
    可溶性コーヒー固形分の含有量に対する前記キレート剤の含有量の比([組成物のキレート剤の含有量]/[組成物の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.009以上である、請求項1又は2に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物。
  9. 前記キレート剤がフィチン酸であり、
    組成物全体に対する固形分当たりのフィチン酸の含有量が、0.2質量%以上である、請求項1又は2に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物。
  10. 前記キレート剤がフィチン酸であり、
    可溶性コーヒー固形分の含有量に対するフィチン酸の含有量の比([組成物のフィチン酸の含有量]/[組成物の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.013以上である、請求項1又は2に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物。
  11. カゼインタンパク質と可溶性コーヒー固形分と賦形剤と植物油脂とキレート剤とを溶解させた原料溶液を調製する混合工程と、
    前記原料溶液を乳化処理して乳化物を調製する乳化工程と、
    前記乳化物を乾燥させる乾燥工程と、
    を有し、
    前記キレート剤が、クエン酸塩、縮合リン酸塩、及びフィチン酸からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、インスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。
  12. 前記縮合リン酸塩が、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、及びポリリン酸塩からなる群より選択される1種以上である、請求項11に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。
  13. 前記キレート剤がクエン酸塩であり、
    前記原料溶液の固形分当たりの前記キレート剤の含有量が、1.0質量%以上である、請求項11又は12に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。
  14. 前記キレート剤がクエン酸塩であり、
    前記原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量に対する前記キレート剤の含有量の比([原料溶液のキレート剤の含有量]/[原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.06以上である、請求項11又は12に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。
  15. 前記キレート剤が、ピロリン酸塩及びポリリン酸塩からなる群より選択される1種以上であり、
    前記原料溶液の固形分当たりの前記キレート剤の含有量が、0.2質量%以上である、請求項11又は12に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。
  16. 前記キレート剤が、ピロリン酸塩及びポリリン酸塩からなる群より選択される1種以上であり、
    前記原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量に対する前記キレート剤の含有量の比([原料溶液のキレート剤の含有量]/[原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.013以上である、請求項11又は12に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。
  17. 前記キレート剤がメタリン酸塩であり、
    前記原料溶液の固形分当たりの前記キレート剤の含有量が、0.15質量%以上である、請求項11又は12に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。
  18. 前記キレート剤がメタリン酸塩であり、
    前記原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量に対する前記キレート剤の含有量の比([原料溶液のキレート剤の含有量]/[原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.009以上である、請求項11又は12に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。
  19. 前記キレート剤がフィチン酸であり、
    前記原料溶液の固形分当たりのフィチン酸の含有量が、0.2質量%以上である、請求項11又は12に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。
  20. 前記キレート剤がフィチン酸であり、
    前記原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量に対するフィチン酸の含有量の比([原料溶液のフィチン酸の含有量]/[原料溶液の可溶性コーヒー固形分の含有量])が0.013以上である、請求項11又は12に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。
  21. 前記混合工程において、原料溶液の調製を、カゼインタンパク質が溶解している水溶液に、賦形剤と、可溶性コーヒー固形分及び前記キレート剤が溶解している水溶液とを添加して混合した後、植物油脂を添加して混合して行う、請求項11〜20のいずれか一項に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。
  22. 前記混合工程において、原料溶液の調製を、カゼインタンパク質と前記キレート剤とが溶解している水溶液に、賦形剤と、可溶性コーヒー固形分が溶解している水溶液とを添加して混合し、得られた混合物に植物油脂を添加して混合して行う、請求項11〜20のいずれか一項に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。
  23. 前記混合工程において、原料溶液の調製を、カゼインタンパク質が溶解している水溶液に、賦形剤と、可溶性コーヒー固形分が溶解している水溶液とを添加して混合した後、植物油脂と前記キレート剤とを添加して混合して行う、請求項11〜20のいずれか一項に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物の製造方法。
  24. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のインスタントコーヒー飲料用組成物を、液体に溶解させてコーヒー飲料を調製する、コーヒー飲料の製造方法。
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