JP2019129796A - チョコレート - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、良好なテンパリング適性とブルーム耐性を有するチョコレートを提供することである。【解決手段】チョコレートに含まれる油脂に占める、LOLの含有量が40〜90質量%であり、LLLの含有量が5質量%以下である、チョコレートであって、前記油脂が、3質量%以下のLLLおよび40質量%以上のLU2を含有する油脂Xを、3〜30質量%含有する、前記チョコレート。前記油脂Xに含まれる、LU2の含有量に対するULUの含有量の質量比(ULU/LU2)が0.2以上である、チョコレート。【選択図】なし

Description

本発明は、ブルーム耐性があり、テンパリング管理が容易なチョコレートに関する。
チョコレートは、カカオ豆を主原料とし、優れた香味および口どけを有する菓子である。一般的なチョコレートとして知られるテンパー型チョコレートは、カカオ豆に含まれるココアバターを油脂分として含む。テンパー型チョコレートは、チョコレート原料から得られた融液状のチョコレート生地を、テンパリングし、次いで生地を冷却固化する工程を経て、製造される。テンパリングとは、融液状のチョコレート生地中に安定結晶の結晶核を生じさせる操作である。テンパリングにより、冷却固化されたチョコレートは、様々な結晶構造をとり得るココアバターを安定結晶の状態で保持できる。テンパリングは、具体的には、例えば、40〜50℃で融解しているチョコレート生地を、品温を27〜28℃程度まで下げた後に、再度29〜31℃程度まで加温する操作として知られる。
テンパリングで生じる安定結晶の量が適正であれば、チョコレート生地の冷却時における固化速度が速くなる。また、チョコレート生地は固化する際に十分な体収縮を生じる。そのため、固化後のチョコレートは成形型から良好に剥離して型抜けが良い。さらに、ファットブルーム(チョコレート表面に白い斑点状の油脂結晶が生成する現象を指し、以下、「ブルーム」という)の発生が抑えられる。得られたチョコレートは、優れた光沢を有するばかりではなく、その保存中におけるブルーム耐性もよい。こうした適正なテンパリング状態は「プロパーテンパー」と呼ばれる。
他方、テンパリングで生じる安定結晶の量が少なすぎると、多くの場合、冷却固化後のチョコレートにブルームが発生する。また、得られたチョコレートは、保存中におけるブルーム耐性も低下している。製造時にブルームの発生がなくても、保存中のチョコレートに短期間でブルームが発生する可能性がある。こうしたテンパリング状態は「アンダーテンパー」と呼ばれる。
また、テンパリングで生じる安定結晶の量が多すぎると、チョコレートのキメが粗くなる。そのため、チョコレートの保存中におけるブルーム耐性も低下する可能性がある。こうしたテンパリング状態は「オーバーテンパー」と呼ばれる。チョコレートの製造においては、アンダーテンパーおよびオーバーテンパーを回避するため、テンパリング状態の適切な管理が重要である。
テンパリング状態の管理は、従来、オペレーターの経験に頼ってきた。現在では、テンパーメーターを使用して、テンパリングの状態を数値(テンパーインデックス)で管理する方法が開発されている。テンパーインデックスは、チョコレート生地を冷却し、経時的にチョコレート生地中の油脂を結晶化させることで生じる発熱量をパターン化したものである。テンパーインデックスは、テンパリング状態を表す指標として利用されている。例えば、テンパーインデックスが1〜3の場合はアンダーテンパーであり、安定結晶が不足した状態を表す。テンパーインデックスが4〜6の場合はプロパーテンパーであり、テンパリングが良好な状態を表す。そして、7〜9の場合はオーバーテンパーであり、安定結晶の量が多くなりすぎ、粘度が上昇した状態を表す。
特開昭61−254143号公報は、少量の液体油を含むハードバターを使用することで、チョコレートのテンパリング適性が向上し、チョコレートに含まれる油脂の結晶安定化が促進することを開示する。しかしながら、液体油を含むことにより、チョコレートのブルーム耐性は低下する。
一部の特殊なトリアシルグリセロールは、チョコレートのブルーム耐性を向上させる。例えば、特開平4−75593号公報には、2−位にC12以下の飽和脂肪酸(X)が結合し、1,3−位にC16以上の飽和脂肪酸(S)が結合する1,3−ジ(S)−2−モノ(X)型トリグリセライド(SXS)からなるファットブルーム耐性向上剤が開示されている。しかしながら、特殊なトリアシルグリセロールを含むチョコレートはテンパリング適性が低下する。すなわち、特殊なトリアシルグリセロールを含むチョコレートは、アンダーテンパーになり易い。
特開昭61−254143号公報 特開平4−75593号公報
本発明の課題は、良好なテンパリング適性とブルーム耐性を有するチョコレートを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、チョコレートに含まれる油脂の一部として、以下の油脂Xを含有させることにより、良好なテンパリング適性とブルーム耐性を有するチョコレートが得られることを見出した。これにより、本発明は完成された。
すなわち、本発明は以下のチョコレートを提供する。
(1)チョコレートに含まれる油脂に占める、LOLの含有量が40〜90質量%であり、LLLの含有量が5質量%以下である、チョコレートであって、
前記油脂が、3質量%以下のLLLおよび40質量%以上のLU2を含有する油脂Xを、3〜30質量%含有する、
前記チョコレート。
ただし、L、O、U、LOL、LLLおよびLU2は、以下を意味する。
L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸
O:オレイン酸
U:炭素数16〜24の不飽和脂肪酸
LOL:グリセロールの、1位と3位にLがエステル結合し、2位にOがエステル結合した、トリアシルグリセロール
LLL:グリセロールに、3つのLがエステル結合したトリアシルグリセロール
LU2:グリセロールに、1つのLと2つのUがエステル結合したトリアシルグリセロール
(2)前記油脂Xに含まれる、LU2の含有量に対するULUの含有量の質量比(ULU/LU2)が0.2以上である、(1)のチョコレート。
ただし、ULUは、以下を意味する。
ULU:グリセロールの、1位と3位にUがエステル結合し、2位にLがエステル結合した、トリアシルグリセロール
(3)前記油脂Xの構成脂肪酸の全量に占める、パルミチン酸(P)の含有量に対するステアリン酸(S)の含有量の質量比(S/P)が0.25以上である、(1)または(2)のチョコレート。
本発明によると、良好なテンパリング適性とブルーム耐性を有するチョコレートを提供することができる。
以下、本発明のチョコレートについて順を追って説明する。
なお、本発明において、A〜Bは、A以上B以下を意味する。例えば、A〜B質量%は、A質量%以上B質量%以下を意味する。
本発明においてチョコレートとは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)または法規上の規定などにより規定されているチョコレートに限定されない。すなわち、本発明におけるチョコレートは、食用油脂および糖類を主原料とする。主原料には、必要に応じてカカオ成分(カカオマス、ココアパウダーなど)、乳製品、香料、および乳化剤などが加えられる。このチョコレートは、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、成形工程、および冷却工程など)の一部または全部を経て製造される。また、本発明におけるチョコレートは、ダークチョコレート、およびミルクチョコレートの他に、ホワイトチョコレートおよびカラーチョコレートも含む。
本発明のチョコレートは、好ましくは25〜65質量%の油脂を含有する。本発明のチョコレートに含まれる油脂の含有量は、より好ましくは28〜55質量%であり、さらに好ましくは30〜45質量%である。なお、本発明におけるチョコレートに含まれる油脂は、配合される油脂以外に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳など)由来の油脂(ココアバター、乳脂など)も含む。例えば、一般的に、カカオマスに含まれる油脂(ココアバター)の含有量は55質量%(含油率0.55)であり、ココアパウダーに含まれる油脂(ココアバター)の含有量は11質量%(含油率0.11)であり、全脂粉乳に含まれる油脂(乳脂)の含有量は25質量%(含油率0.25)である。よって、チョコレートに含まれる油脂の含有量は、チョコレートに含まれる各原料の配合量(質量%)に含油率を掛け合わせた値の合計値となる。
本発明のチョコレートはテンパー型に適したチョコレートである。本発明のチョコレートに含まれる油脂は、40〜90質量%のLOLを含有する。以下、L、OおよびLOLは、次を意味する。Lは、炭素数16〜24の飽和脂肪酸である。Lは、好ましくは直鎖である。Oは、オレイン酸である。LOLは、グリセロールの2位にオレイン酸(O)、1位および3位に炭素数16〜24の飽和脂肪酸(L)がエステル結合したトリアシルグリセロールである。チョコレートに含まれる油脂に占めるLOLの含有量は、好ましくは55〜90質量%であり、より好ましくは65〜90質量%であり、さらに好ましくは70〜85質量%である。LOLの1位および3位に結合している炭素数16〜24の飽和脂肪酸は、異なる飽和脂肪酸であってもよい。さらに、チョコレートに含まれるLOLの構成脂肪酸Lの全量のうち、炭素数16〜18の飽和脂肪酸が占める割合は、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。チョコレートに含まれる油脂に占めるLOL含有量が上記範囲内にあると、チョコレートはプロパーテンパーの状態をとりやすい。
本発明のチョコレートに含まれる油脂が上記LOLを含有するために、チョコレートに含まれる油脂として、LOLを豊富に含む油脂(40質量%以上、好ましくは60質量%以上のLOLを含む油脂)を使用してもよい。LOLを豊富に含む油脂(以下、LOL含有油脂とも表す)の例として、ココアバター、パーム油、シア脂、サル脂、アランブラッキア脂、モーラー脂、イリッペ脂、およびマンゴー核油、ならびに、それらの分別油が挙げられる。さらに、すでに知られているように、パルミチン酸、ステアリン酸、あるいは、それらの低級アルコールエステルと、ハイオレイックヒマワリ油などの高オレイン酸油脂との混合物を、1,3位選択性リパーゼ製剤を用いて、エステル交換反応をさせた後、反応物を必要に応じて蒸溜および分別して得られる油脂を使用してもよい。本発明のチョコレートに含まれる油脂に占める、LOL含有油脂の含有量は、好ましくは70〜97質量%であり、より好ましくは86〜95質量%であり、さらに好ましくは88〜94質量%である。
本発明のチョコレートに含まれる油脂は、5質量%以下のLLLを含有する。ここで、LLLは、グリセロールに3つのL(炭素数16〜24の飽和脂肪酸)がエステル結合したトリアシルグリセロールである。LLLにエステル結合している3つのLは、異なる飽和脂肪酸であってもよい。チョコレートに含まれる油脂に占めるLLLの含有量は、好ましくは0〜4質量%であり、より好ましくは0〜3質量%であり、さらに好ましくは0〜2質量%である。本発明のチョコレートは、後述する液状成分(LU2)に富む油脂Xを含んでも、テンパリング適性が良好で、固化速度が速い。したがって、融点が高いLLLを多く含有する必要がない。よって、本発明のチョコレートは、ココアバターのようなLOL含有油脂のみを油脂の主成分とするチョコレートより、口どけがよい、という副次効果を有する。
本発明のチョコレートに含まれる油脂は、油脂Xを含有する。ここで、油脂Xは、3質量%以下のLLLおよび40質量%以上のLU2を含有する油脂の総称である。また、UおよびLU2は、次を意味する。Uは、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸である。Uは、好ましくは直鎖である。LU2は、グリセロールに、1つのLと2つのUがエステル結合したトリアシルグリセロールである。油脂Xに占めるLLLの含有量は、好ましくは0〜2質量%であり、より好ましくは0〜1質量%である。また、油脂Xに占めるLU2の含有量は、好ましくは51〜70質量%であり、より好ましくは53〜65質量%である。本発明のチョコレートに含まれる油脂に占める油脂Xの含有量は、3〜30質量%であり、好ましくは5〜14質量%であり、より好ましくは6〜12質量%である。油脂Xの、組成およびチョコレートに含まれる油脂に占める含有量が上記範囲内にあると、チョコレートはプロパーテンパーの状態をとりやすい。また、チョコレートはブルーム耐性を有する。
上記油脂Xは、油脂Xに含まれるLU2の含有量に対するULUの含有量の質量比(ULU/LU2)が、好ましくは0.2以上である。ここで、ULUは、グリセロールの、1位と3位にUがエステル結合し、2位にLがエステル結合した、トリアシルグリセロールである。ULU/LU2は、より好ましくは0.25以上であり、さらに好ましくは0.28以上である。ULU/LU2の上限は特に限定されないが、好ましくは0.8以下であり、より好ましくは0.5以下であり、さらに好ましくは0.4以下である。ULU/LU2の下限と上限は任意に組み合わせてもよい。ULU/LU2が上記範囲内にあると、チョコレートはより優れたブルーム耐性を有する。
上記油脂Xは、油脂Xの構成脂肪酸の全量に占める、パルミチン酸(P)の含有量に対するステアリン酸(S)の含有量の質量比(S/P)が、好ましくは0.25以上である。S/Pは、より好ましくは0.27以上であり、さらに好ましくは0.28以上である。S/Pの上限は特に限定されないが、好ましくは5以下であり、より好ましくは1以下であり、さらに好ましくは0.5以下である。S/Pの下限と上限は任意に組み合わせてもよい。S/Pが上記範囲内にあると、チョコレートはより優れたブルーム耐性を有する。
上記油脂Xは、3質量%以下のLLLおよび40質量%以上のLU2を含有する油脂であれば、食用に適する限り特に限定されない。しかし、油脂Xは、好ましくは、非ラウリン系油脂を分別処理した低融点部である。ここで、非ラウリン系油脂は、構成脂肪酸の全量に占める炭素数16以上の脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂を指す。非ラウリン系油脂の具体例としては、大豆油、菜種油、綿実油、ヒマワリ油、紅花油、コーン油、パーム油や、これらの混合油、これらの油脂または混合油の加工油脂(エステル交換油、分別油、水素添加油など)が挙げられる。油脂Xのヨウ素価は、好ましくは62以上であり、より好ましくは63〜72である。また、油脂Xは、好ましくは17〜35質量%、より好ましくは20〜33質量%のL2Uを含有する。また、油脂Xは、好ましくは3〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%のUUUを含有する。ここで、L2Uは、グリセロールに、2つのLと1つのUがエステル結合したトリアシルグリセロールであり、UUUは、グリセロールに3つのU(炭素数16〜24の不飽和脂肪酸)がエステル結合したトリアシルグリセロールである。L2Uを構成する2つのLは、異なる飽和脂肪酸であってもよい。また、UUUを構成する3つのUは、異なる不飽和脂肪酸であってもよい。
上記油脂Xは、具体的例として、次に説明する油脂Xa、油脂Xb、油脂Xcが挙げられる。しかし、油脂Xは、1種あるいは2種以上が使用されてもよい。油脂Xは、好ましくは油脂Xcである。
上記油脂Xaは、パーム油もしくはパーム分別油あるいはそれらの混合油を分別したヨウ素価が62以上である低融点部である。上記ヨウ素価が62以上である低融点部は、好ましくは、パーム油を2回以上分別した低融点部(パームスーパーオレイン)である。分別方法は、通常パーム系油脂の分別に用いられる、乾式分別、乳化分別(湿式分別)、溶剤分別などを適宜適用できる。
上記油脂Xbは、SU2を50質量%以上含有する油脂である。ここで、SU2は、グリセロールに、1つのSと2つのUがエステル結合したトリアシルグリセロールである。油脂Xbの具体例としては、カカオ代用脂の原料油脂である、サル脂、シア脂、モーラー脂、マンゴー核油、アランブラッキア脂、ペンタデスマ脂などのSOS(1,3−ジステアロイル−2−オレオイルグリセロール)を30質量%含有する油脂を分別した低融点部が挙げられる。また、SOSを30質量%含有する油脂は、既知の方法に基づいて、ハイオレイックヒマワリ油とステアリン酸エチルエステルの混合物を、1,3位選択性リパーゼ製剤を用いてエステル交換反応を行い、脂肪酸エチルエステルを蒸留により除去した油脂であってもよい。分別方法は、上記と同様の方法を適用できる。
上記油脂Xcは、原料としてパーム系油脂を40質量%以上含むエステル交換油脂を単独で分別したヨウ素価が62以上である低融点部である。あるいは、該エステル交換油脂40〜90質量%とパーム系油脂10〜60質量%との混合油を分別したヨウ素価が62以上である低融点部である。エステル交換方法は、従来公知の方法を適用できる。分別方法は、上記と同様の方法を適用できる。ここで、パーム系油脂とは、パーム油自体や、パーム油の加工油脂(エステル交換油、分別油、水素添加油など)のことである。パーム系油脂の具体例としては、パーム油、パームオレイン、パームミッドフラクション、パームステアリンなどが挙げられる。
上記油脂Xcの原料油脂である、分別前のエステル交換油脂は、好ましくは、その構成脂肪酸の全量に占める、パルミチン酸含有量が30〜50質量%、ステアリン酸含有量が10〜29質量%、オレイン酸含有量が20〜40質量%、リノール酸とリノレン酸の合計含有量が15質量%未満である。より好ましくは、その構成脂肪酸の全量に占める、ラウリン酸含有量が2質量%未満、パルミチン酸含有量が33〜47質量%、ステアリン酸含有量が13〜27質量%、オレイン酸含有量が23〜37質量%、リノール酸とリノレン酸の合計含有量が12質量%未満である。さらに好ましくは、その構成脂肪酸の全量に占める、ラウリン酸含有量が1質量%未満、パルミチン酸含有量が35〜45質量%、ステアリン酸含有量が15〜25質量%、オレイン酸含有量が25〜35質量%、リノール酸とリノレン酸の合計含有量が10質量%未満である。
なお、油脂に含まれる各トリアシルグリセロール含有量は、ガスクロマトグラフィー法(例えば、AOCS Ce5−86準拠)により測定できる。トリアシルグリセロールの対称性は、例えば、J.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)に準じて測定できる。油脂を構成する各脂肪酸の含有量は、ガスクロマトグラフィー法(例えば、AOCS Ce1f−96準拠)により測定できる。また、油脂のヨウ素価は、社団法人日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定できる。
本発明のチョコレートに含まれる油脂は、油脂Xを3〜30質量%含有し、40〜90質量%のLOLおよび5質量%以下のLLLを含有する限りにおいて、その他の通常食用に供される食用油脂を含んでもよい。食用油脂は、例えば、ココアバター、パーム油、パーム分別油、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、コクム脂、マンゴー脂、マンゴー分別油、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、ヤシ油、パーム核油、牛脂、豚脂および乳脂などの動植物油脂、あるいはこれらに混合、分別、エステル交換、水素添加などの1種以上の処理が適用されることにより得られる加工油脂、の中から、1種以上を選択して使用できる。
本発明のチョコレートは、油脂以外に、好ましくは糖類を含有する。糖類としては、例えば、ショ糖(粉糖)、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、還元澱粉糖化物、液糖、酵素転化水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖ポリデキストロース、オリゴ糖、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトース、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラフィノース、およびデキストリンを使用できる。本発明のチョコレートに含まれる糖類の含有量は、好ましくは20〜60質量%であり、より好ましくは25〜55質量%であり、さらに好ましくは30〜50質量%である。なお、本発明のチョコレートに含まれる糖類の含有量には、糖類そのものとして加えられる以外の、原料に含まれる糖類の量(例えば、粉乳に含まれる乳糖の量など)は含めない。
本発明のチョコレートには、油脂および糖類以外にも、チョコレートに一般的に配合される原料を使用できる。具体的には、例えば、全脂粉乳および脱脂粉乳などの乳製品、カカオマスおよびココアパウダーなどのカカオ成分、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、およびコーヒー粉末などの各種粉末、ガム類、澱粉類、乳化剤、酸化防止剤、着色料、ならびに香料が挙げられる。
本発明のチョコレートは、従来公知の方法により製造できる。本発明のチョコレートの製造には、例えば、油脂、カカオ成分、糖類、乳製品、および乳化剤などを原料として使用できる。本発明のチョコレートは、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、および冷却工程などを経て、製造できる。本発明のチョコレートは、好ましくは、精錬工程の後に、テンパリングを行い、冷却固化することにより製造される。
本発明のチョコレートの製造工程において、チョコレート生地は、好ましくはテンパリングされる。テンパリングは、油脂結晶が完全に融けた状態のチョコレート(チョコレート生地)中の油脂に、安定結晶の結晶核を生じさせる操作である。この操作により、チョコレート生地に含まれる油脂中のLOLを、安定な結晶として、固化できる。テンパリングは、例えば、40〜50℃で融解しているチョコレートを、品温が26〜29℃程度になるまで下げた後に、再度28〜31℃程度まで加温する操作が挙げられる。あるいは、テンパリングに替えて、シーディングを行ってもよい。シーディングは、例えば、SOSあるいはBOB(1,3−ジベヘノイル−2−オレオイルグリセロール)のようなLOLの安定結晶であるシード剤を、チョコレート生地に分散させる操作である。すなわち、上記シード剤の安定結晶が完全に融けてしまわない温度において、チョコレートに含まれる油脂の量に対して0.05〜5質量%のシード剤の添加(シーディング)は、テンパリングを代替できる。
本発明のチョコレートは、全てのチョコレート用途に使用できる。例えば、型抜きまたはカッティングされたチョコレート塊として、そのまま食することができる。その他、製菓製パン製品、例えば、パン、ケーキ、洋菓子、焼き菓子、ドーナツ、およびシュー菓子に使用できる。本発明のチョコレートは、製菓製パン製品に、コーティング材、フィリング材、または、生地へ混ぜ込むチョコチップとして、使用できる。
次に実施例により本発明を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により限定されない。
〔分析方法〕
油脂に含まれる各トリアシルグリセロール含有量の分析は、ガスクロマトグラフィー法(AOCS Ce5−86)に準じて測定した。トリアシルグリセロールの対称性は、J.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)に準じた方法で測定した。油脂のヨウ素価は、社団法人日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
チョコレートのテンパーインデックスは、チョコレートを融液状態(チョコレートに含まれる油脂の結晶が融解した状態)とし、テンパーメーター(TENPERMETER E5、Sollich GmbH&Co.製)を用いて測定した。
テンパーインデックスは、以下を意味する。
3.9以下: アンダーテンパーであり、好ましくない。
4.0〜6.0: プロパーテンパーであり、好ましい。
(4.6〜5.4: プロパーテンパーの中でも、さらに好ましい。)
6.1以上: オーバーテンパーであり、好ましくない。
〔油脂Xの調製〕
油脂Xa−1:パームオレイン(ヨウ素価65:LLL含有量0.2質量%、LU2含有量56.7質量%、L2U含有量29.9質量%、UUU含有量8.3質量%、ULU/LU2=0.03、S/P=0.11)を、油脂Xa−1とした。
油脂Xb−1:40質量部のハイオレイックヒマワリ油と60質量部のステアリン酸エチルエステルを混合し、1,3位選択性リパーゼ製剤を添加してエステル交換反応を行った。ろ過処理によりリパーゼ製剤を除去し、得られた反応物を薄膜蒸留にかけ、反応物から脂肪酸エチルエステルを除去して蒸留残渣を得た。得られた蒸留残渣を乾式分別により高融点部を除去し、低融点部を得た。得られた低融点部からアセトン分別により高融点部を除去して低融点部を得た。得られた低融点部を常法によりアセトン除去および脱色、脱臭処理して、油脂Xb−1(ヨウ素価63.9、LLL含有量0.3質量%、LU2含有量67.8質量%、L2U含有量11.6質量%、UUU含有量17.5質量%、ULU/LU2=0.03、S/P=7.28)を得た。
油脂Xc−1:8.8質量部のハイオレイックヒマワリ油、48.4質量部のパームステアリン(ヨウ素価36)、18.8質量部の極度硬化大豆油および24.0質量部のパーム油を混合した。得られた混合油(パルミチン酸含量40.9質量%、ステアリン酸20.0質量%、オレイン酸30.6質量%、リノール酸6.3質量%、リノレン酸0.2質量%、トランス型脂肪酸0質量%)を、ランダムエステル交換反応を行うことにより、エステル交換油脂を得た。エステル交換反応は、常法に従い、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.2質量%添加した後、減圧下、120℃で0.5時間攪拌しながら反応を行った。得られたエステル交換油脂を36〜38℃で乾式分別し、高融点部を除去することで低融点部を得た。得られた低融点部を0〜2℃で溶剤分別(アセトン使用)し、高融点部を除去することで低融点部を得た。当該低融点部に脱臭処理を行い、油脂Xc−1(ヨウ素価64.2:LLL含有量0.2質量%、LU2含有量55.5質量%、L2U含有量30.5質量%、UUU含有量10.6質量%、ULU/LU2=0.29、S/P=0.29)を得た。
〔その他油脂〕
HOSO:ハイオイックひまわり油(ヨウ素価88.0:LLL含有量0質量%、LU2含有量23.2質量%、L2U含有量1.3質量%、UUU含有量72.3質量%)を使用した。
〔チョコレートの調製1〕
表1および表2の配合にしたがって、例1から例10のチョコレートを調製した。すなわち、常法に従って、混合、微粒化、精練し、融液状態のチョコレートを得た。各融液状態のチョコレートにシード剤を添加してテンパーインデックスを測定した。また、シードを添加分散した後、各チョコレートを型(モールド)に注入して、8℃で冷却固化した。冷却固化後、10分間、15分間および20分間経過した後に、型離れを評価した。20分後に型離れしたチョコレートを、20℃で7日間静置した後、32℃12時間および20℃12時間のサイクルテストに供し、経時的にブルームの発生状態を観察した。結果を表1および表2に示した。
Figure 2019129796

Figure 2019129796

Claims (3)

  1. チョコレートに含まれる油脂に占める、LOLの含有量が40〜90質量%であり、LLLの含有量が5質量%以下である、チョコレートであって、
    前記油脂が、3質量%以下のLLLおよび40質量%以上のLU2を含有する油脂Xを、3〜30質量%含有する、
    前記チョコレート。
    ただし、L、O、U、LOL、LLLおよびLU2は、以下を意味する。
    L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸
    O:オレイン酸
    U:炭素数16〜24の不飽和脂肪酸
    LOL:グリセロールの、1位と3位にLがエステル結合し、2位にOがエステル結合した、トリアシルグリセロール
    LLL:グリセロールに、3つのLがエステル結合したトリアシルグリセロール
    LU2:グリセロールに、1つのLと2つのUがエステル結合したトリアシルグリセロール
  2. 前記油脂Xに含まれる、LU2の含有量に対するULUの含有量の質量比(ULU/LU2)が0.2以上である、請求項1に記載のチョコレート。
    ただし、ULUは、以下を意味する。
    ULU:グリセロールの、1位と3位にUがエステル結合し、2位にLがエステル結合した、トリアシルグリセロール
  3. 前記油脂Xの構成脂肪酸の全量に占める、パルミチン酸(P)の含有量に対するステアリン酸(S)の含有量の質量比(S/P)が0.25以上である、請求項1または2に記載のチョコレート。
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