JP2015006132A - 可塑性油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価であり、練り込み用可塑性油脂組成物としての使用では見た目も良く、更には、また、滑らかでハンドリングが良く、折り込み用可塑性油脂組成物としての使用では作業性が良い可塑性油脂組成物を提供する。【解決手段】油脂を30〜100重量%含有する可塑性油脂組成物であって、パーム系油脂を主原料とし、SU2/UUU重量比が1.9以下且つSSS含量が2重量%以下で、2位にパルミチン酸が結合したグリセライドを液状油脂全体中10〜30重量%含有するパーム油由来液状油脂を、可塑性油脂組成物の油脂全体中10〜60重量%含有する可塑性油脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、パーム油由来油脂を含有し、マーガリン、ショートニング等の製造に適した可塑性油脂組成物に関する。
通常、マーガリンやショートニングといった可塑性油脂組成物では、硬さなどの物性を調整するために、液状油脂として大豆油、ナタネ油、パームオレイン(ヨウ素価60〜65)が使用されている。しかし、大豆油やナタネ油は酸化安定性が低いため、菓子用途などの長期保存が必要な製品に使用された場合、流通過程において経過日数とともに風味が悪くなりやすいという問題がある。また、原料コストもパーム系油脂に較べて高い。一方、パームオレイン(ヨウ素価60〜65)を用いた場合、可塑性油脂を長期保存した際、製品中に粗大結晶が形成されてしまう。粗大結晶が形成されると、見た目が悪い上に、物性的にも脆くなるという問題がある。また、折り込み用の可塑性油脂組成物では、生地に油脂を折り込んで伸展する際のマーガリンの割れの原因となるという問題がある。
特許文献1には、パーム系油脂にパームステアリンを配合した油脂であって、当該油脂中のPOO(1−モノパルミトイル−2,3−ジオレオイルグリセリン)含量が20重量%以下、POP(1,3−ジパルミトイル−2−モノオレオイルグリセリン)含量が20重量%以下、トリ飽和トリグリセライド含量が7〜20重量%であることを特徴とする練り込み用油脂が開示されている。また、特許文献2には、パーム系油脂を多く配合しても粗大結晶等を生じない良好な品質を有する可塑性油脂組成物として、油相中に、油脂A、油脂B及び油脂Cを含有する可塑性油脂組成物であって、前記油脂Aは、ヨウ素価62以下のパーム系油脂であり、前記油脂Bは、該油脂Bを構成する全脂肪酸中に炭素数12〜14の飽和脂肪酸を20〜60質量%、炭素数16〜18の飽和脂肪酸を40〜80質量%含有したエステル交換油であり、前記油脂Cは、油脂Aを除く融点25℃以下の植物油であり、前記油脂Bの含有量に対する前記油脂Aの含有量の比(油脂A/油脂B)が0.5〜5.5であり、前記油相中に炭素数16以上の飽和脂肪酸のみからなるトリ飽和トリグリセリドを4.5〜10.5質量%含有する可塑性油脂組成物が開示されている。しかしながら、これらパーム系油脂を用いた従来の可塑性油脂組成物においても、前記した長期保存中の粗大結晶の形成を十分には抑制することができず、更なる改善が求められていた。
また、2位(β位)にパルミチン酸が結合したトリグリセライドは、α位にパルミチン酸が結合したトリグリセライドにくらべ、はるかに高い吸収性を示すことが知られている(特許文献3)。しかしながら、パ−ム油を原料として液状油脂を作製する際にろ別される固体脂及び該液状油脂は、構成脂肪酸としてパルミチン酸は多いものの、その殆どが1、3位に結合しており、高い吸収性を示すものではない。
特開2005−278594号公報 国際公開第2009/008410号公報 特開平6−70786号公報
本発明は、上記のような従来の可塑性油脂組成物における問題点に鑑み、安価であり、練り込み用可塑性油脂組成物としての使用では見た目も良く、更には、また、滑らかでハンドリングが良く、折り込み用可塑性油脂組成物としての使用では作業性が良い可塑性油脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、可塑性油脂組成物の作製時に使用する液状油脂として、パーム系油脂を主原料とし、SU2/UUU重量比が1.9以下且つSSS含量が2重量%以下であり、更に2位にパルミチン酸が結合したグリセライドを10〜30重量%含有するパーム油由来液状油脂を、可塑性油脂組成物全体中に対して10〜60重量%の配合量にすることで、粗大結晶が発生せず、酸化安定性の高い可塑性油脂組成物が、安価で作製可能となること見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、油脂を30〜100重量%含有する可塑性油脂組成物であって、パーム系油脂を主原料とし、SU2/UUU重量比が1.9以下且つSSS含量が2重量%以下で、2位にパルミチン酸が結合したグリセライドを液状油脂全体中10〜30重量%含有するパーム油由来液状油脂を、可塑性油脂組成物の油脂全体中10〜60重量%含有する可塑性油脂組成物に関する。好ましい実施態様は、前記パーム油由来液状油脂の曇点が0〜−12℃である上記記載の可塑性油脂組成物に関する。更に好ましい実施態様では、前記可塑性油脂組成物に使用されるパーム油由来液状油脂中の、S2U含量が1.0〜10.0重量%であり、且つPPO/POP重量比が1.5〜2.5である上記記載の可塑性油脂組成物に関する。また本発明は、上記記載の可塑性油脂組成物を含有する食品に関する。
本発明のパーム油由来液状油脂を使用することで、従来のパームオレイン(ヨウ素価60〜65)に較べて経日変化による粗大結晶の形成が起こりにくく、可塑性油脂組成物の酸化安定性を高く保ち、風味の劣化が抑制される。更には、本発明の可塑性油脂組成物を、練り込み用として使用すると、見た目も良く、滑らかでハンドリングが良く、また、折り込み用として使用すると、生地に油脂を折り込んで伸展するなどの作業性が良い。更に、本発明のパーム油由来の液状油脂を用いることにより、吸収性の良い可塑性油脂組成物を安価に提供することができる。
本発明は、油脂を特定量含有する可塑性油脂組成物であって、パーム系油脂を主原料とし、SU2/UUU重量比が特定値で且つSSS含量が特定量以下で、2位にパルミチン酸が結合したグリセライドを液状油脂全体中特定量含有するパーム油由来液状油脂を、可塑性油脂組成物に含まれる油脂全体中特定量含有する。
本発明の可塑性油脂組成物は、油脂を30〜100重量%含有する。油脂の含有量が30重量%未満であると、油中水型の乳化を安定させるために多量の乳化剤が必要となり、えぐ味を生じるなど、風味を損なう問題がある。
本発明の可塑性油脂組成物は、油脂含量に応じて、それ自体単独でマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングの原料油脂として供することが出来、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングの製造において必要とする配合油脂種類の簡素化が図られる。
本発明の可塑性油脂組成物に用いるパーム油由来液状油脂について、以下、説明する。
本発明におけるトリグリセライドの脂肪酸組成は、以下のように略記する。
S:飽和脂肪酸、U:不飽和脂肪酸
SSS:トリ飽和脂肪酸グリセライド
SU2:モノ飽和脂肪酸ジ不飽和脂肪酸グリセライド
S2U:ジ飽和脂肪酸モノ不飽和脂肪酸グリセライド
POP:1,3−ジパルミトイル−2−モノオレオイルグリセリン
PPO:1,2−ジパルミトイル−3−モノオレオイルグリセリン
UUU:トリ不飽和脂肪酸グリセライド
また、本発明において、前記各トリグリセライド含量を測定する方法は、以下のとおりである。
<油脂中の各トリグリセライド含量の測定>
油脂中の各トリグリセライド含量は、HPLCを用いて、AOCS Official Method Ce 5c−93に準拠して測定し、各ピークのリテンションタイムおよびエリア比から算出した。以下に、分析の条件を記す。
溶離液 :アセトニトリル:アセトン(70:30、体積比)
流速 :0.9ml/分
カラム :ODS
カラム温度:36℃
検出器 :示差屈折計
更に、本発明において、油脂中の脂肪酸組成を測定する方法は、以下のとおりである。
<油脂中の脂肪酸組成の測定>
油脂中の脂肪酸組成の測定は、FID恒温ガスクロマトグラフ法により行うことができる。FID恒温ガスクロマトグラフ法とは、社団法人日本油化学協会編「基準油脂分析試験法」(発行年:1996年)の「2.4.2.1 脂肪酸組成」に記載された方法である。
本発明で用いるパーム油由来液状油脂は、パーム系油脂、好ましくはヨウ素価55以上のパーム系油脂を主原料とし、特定の脂肪酸組成を有し、高い液状性と酸化安定性を兼ね備えた安価な液状油脂である。前記パーム系油脂としては、パーム油由来であれば特に限定はなく、パーム精製油、未精製のクルード油、一回以上の分別によって得られたパームオレインなどの分画油、などが例示される。
本発明で用いるパーム油由来液状油脂は、パーム系油脂のダイレクトエステル交換反応により製造することができる。
原料として使用するパーム系油脂の構成脂肪酸全体中の飽和脂肪酸含量は70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3〜70重量%、更に好ましくは3〜52重量%、特に好ましくは30〜52重量%である。飽和脂肪酸含量が70重量%より多いと、ダイレクトエステル交換中に硬質部が多くなり過ぎ、分離性の良い結晶を得ることが困難になり、液状性の高い液状油脂を高収率で得ることが困難な場合がある。しかし、飽和脂肪酸含量が3重量%より少ないものだと、原料が高価になり、得られた油脂も高価なものになるため、コストが上がりすぎる場合がある。パーム系油脂の好ましい実施態様はパームオレインである。本発明における前記パームオレインとは、パームの果肉から採取した油脂を分離して得られ、ヨウ素価が55以上のものを指す。
本発明で用いるパーム油由来液状油脂を製造する際には、原料油脂として、パーム系油脂に加えて、パーム系油脂以外の油脂を更に用いても良い。但し、本発明の効果をより享受するためにはパーム系油脂以外の油脂の含有量は、原料油脂全体中50重量%以下が好ましく、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、最も好ましくは0重量%である。パーム系油脂以外の油脂の含有量が50重量%より多いと、原料が高価になり、得られた油脂も高価なものになるため、コストが上がりすぎる場合がある。
パーム油由来液状油脂に用いるパーム系油脂以外の油脂としては、最終的に得られる液状油脂中のSU2/UUU重量比が1.9以下、より好ましくは1.1以下、且つSSS含量が2重量%以下となる食用油脂であれば特に限定はない。そのような油脂の例としては、大豆油、ナタネ油、ひまわり油、オリーブ油、ごま油、キャノーラ油、綿実油、こめ油、サフラワー油、やし油、パーム核油、シア油、サル脂、イリッぺ脂、カカオ脂、牛脂、豚脂、乳脂、これらの油脂の分別脂、硬化油、エステル交換油などが挙げられる。これらの中でも、構成脂肪酸全体中の飽和脂肪酸含量が20重量%よりも低い大豆油、ナタネ油などが本発明の効果を発現し易いために好ましい。
前記パーム系油脂以外の油脂の構成脂肪酸全体中の飽和脂肪酸含量は、パーム系油脂について述べたのと同様の理由により、70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3〜70重量%、更に好ましくは3〜52重量%である。
本発明で用いるパーム油由来液状油脂は、液状性が高いほど冷蔵時の乳化安定性が高いため、該液状油脂のトリグリセライド組成は、SU2/UUU重量比が1.9以下であり、1.3未満がより好ましく、更に好ましくは1.1以下である。前記SU2/UUU重量比は、更に高い液状性を求めると、1.0以下がより好ましく、0.95以下が更に好ましく、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下と、小さくなるほど好ましい。一方、製造のし易さと酸化安定性を考慮すると、前記SU2/UUU重量比の下限値は、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.65以上が更に好ましく、0.7以上が特に好ましい。液状性と製造のし易さのバランスを考慮すると、前記SU2/UUU重量比は、1.1〜0.5の範囲が好ましく、1.0〜0.6がより好ましく、0.95〜0.65が更に好ましく、0.9〜0.7が最も好ましい。
また、油脂中におけるSSS含量をできるだけ少なくすることが好ましく、該液状油脂のSSS含量は、2重量%以下、更には0.5重量%以下であることが好ましく、0.3重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以下であることが更に好ましく、0.05重量%以下であることが特に好ましく、0.03重量%以下が最も好ましい。該液状油脂のSSS含量が2重量%を超えると、通常用いられている液油の代替として使用できない場合がある。
更に、該液状油脂の液状性を維持するためには、S2U含量が液状油脂全体中0.5〜10重量%であることが好ましい。S2U含有量は、1.0〜10.0重量%がより好ましく、2.0〜9.5重量%が更に好ましく、3.0〜9.0重量%が特に好ましく、4.0〜8.5重量%が最も好ましい。S2U含有量が0.5重量%未満の場合、S2Uの有する結晶化速度が速いという性質により、可塑性油脂組成物を製造する際に結晶が微細化し、良好な伸展性を有する可塑性油脂組成物とならない場合がある。また、S2U含有量が10重量%を超える場合、可塑性油脂組成物の低温保管時における固体脂含有量を増加させてしまうため、液状油脂そして可塑性油脂組成物の硬さなどの物性を調整するための効果を果たさない場合がある。また、上記と同様の理由で、UUU含量は12重量%以上であることが好ましく、25重量%以上であることがより好ましく、35重量%以上であることが更に好ましく、40重量%以上であることが最も好ましい。
本発明で用いるパーム油由来液状油脂は、冷蔵時に発生する結晶がより微細で、乳化破壊しにくくなる点、および吸収性を考慮すると、2位(β位)にパルミチン酸が結合したグリセライドの含量が多いほど好ましい。その理由は、本発明で用いるパーム油由来液状油脂においては、2位(β位)にパルミチン酸が結合したグリセライドの含量が多いと、POP(1,3−ジパルミトイル−2−オレオイルグリセリン)の含量が少なく、構造的にグリセライドの対称性が低いため、粗大結晶が出来にくく、且つ吸収性が高いと考えられるからである。液状性も考慮すると10〜30重量%が好ましく、13〜30重量%がより好ましく、16〜30重量%が更に好ましく、16〜25重量%が特に好ましく、16〜20重量%が最も好ましい。また、本発明で用いるパーム油由来液状油脂中のPPO/POP重量比は、可塑性油脂組成物の経日変化による粗大結晶の発生が起こりにくい値として、1.5〜2.5の範囲が好ましく、1.7〜2.3の範囲がより好ましく、1.9〜2.1の範囲が更に好ましい。
本発明で用いるパーム油由来液状油脂中の多価不飽和脂肪酸含量は、酸化安定性の観点からは少ないほど良く、22重量%以下、更には21重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、19重量%以下が更に好ましく、18重量%以下が特に好ましく、17重量%以下が最も好ましい。多価不飽和脂肪酸量を減らすには、ダイレクトエステル交換反応を停止するタイミングを早めるか、分別温度を高くすればよい。
また、本発明で用いるパーム油由来液状油脂の曇点は、前記液状油脂組成を満たしていれば特に問題はないが、液状性の観点からは0〜−12℃が好ましく、−2℃〜−12℃がより好ましく、−2.5℃〜−12℃が更に好ましく、製造のし易さと酸化安定性の観点からは0〜−10℃がより好ましく、0〜−9℃が更に好ましい。
また、本発明に使用するパーム油由来液状油脂は、CDM値が5時間以上、より好ましくは、6時間以上、更に好ましくは8時間以上である(CDM:Conductometric Determination Method、「基準油脂分析試験法 2.5.1.2-1996 CDM試験」参照。)。本発明に使用するパーム油由来液状油脂は、前記のようにCDM値が高く、酸化安定性に優れる。
本発明で用いるパーム油由来液状油脂の製造方法としては2つある。第一の製造方法は、晶析時に分離性の高い結晶が発生しやすい組成にするためにダイレクトエステル交換反応をどこで停止させるかに特徴がある。また、第二の製造方法は、ダイレクトエステル交換反応中に分離性の良い結晶を生成させ、その後、その結晶を全て溶解させず分別を行なうことに特徴がある。
第一の製造方法では、前記原料油脂を用い、油脂中のSSS/S2Uが大きくなるほど分離性の高い結晶が発生しやすくなり、分離効率が上がることから、SSS/S2Uが0.5以上になるまでダイレクトエステル交換反応を行い、反応を停止させた後、硬質部を分別除去する。前記油脂中のSSS/S2Uが0.75以上、1.0以上、1.25以上、1.5以上、1.75以上と大きくなるほど好ましく、油脂中のSSS/S2Uが2.0以上になるまでダイレクトエステル交換反応を行うことが最も好ましい。好ましい実施態様では、構成脂肪酸全体中の飽和脂肪酸含量が70重量%以下であるパーム系油脂を主原料としたダイレクトエステル交換反応を、少なくとも反応中の油脂組成物中のSSS含量が31重量%を越えることなく、S2U含量が14重量%以下になり、反応を停止させるまで行うことが好ましく、その後、分別する。前記を満たせば、ダイレクトエステル交換反応はどれだけ行っても良いが、コストを考え、前記を満たせば直ぐに停止させることが好ましい。
また、第二の製造方法では、前記した原料油脂を用い、外部から力を加えることで油脂を流動させながらダイレクトエステル交換反応を行い、その後、固体脂含量を1%以下にすることなく分別する。好ましい実施態様では、油脂中のSSS/S2Uが0.5以上になるまでダイレクトエステル交換反応を行う。前記油脂中のSSS/S2Uが0.75以上、1.0以上、1.25以上、1.5以上、1.75以上と大きくなるほど好ましく、油脂中のSSS/S2Uが2.0以上になるまでダイレクトエステル交換反応を行うことが最も好ましい。また、ダイレクトエステル交換反応中の油脂組成中のSSS含量が31重量%を超えないことがより好ましく、且つ、S2U含量が14重量%以下になることが更に好ましい。
外部から力を加えて油脂を流動させるためには、攪拌する、反応管などにポンプなどの外圧で油脂を通す、高所から自然落下させるなど、各種の方法を採用しうる。具体的には、撹拌するには、攪拌翼を有しているタンクやピンマシンなどの装置を用いることにより、反応させる油脂を流動させる。反応管などにポンプなどの外圧で油脂を通すには、スタティックミキサーなどの手段により、反応させる油脂を流動させることができる。もし、反応開始時や途中で撹拌などによる外部からの力を加えず、油脂を流動させないでダイレクトエステル交換反応を行うと、分離性の悪い結晶が生成し、反応中の油脂が固形状になってしまい、分別が困難となる場合がある。
前記外部から力を加えて油脂を流動させてダイレクトエステル交換反応を行う第二の製造方法において、更に液状性を高めるためには、ダイレクトエステル交換反応後、分別処理するまでに、晶析することが好ましく、収率を高めるためには昇温することが好ましい。但し、晶析せずに昇温のみする場合は液状性が低くなる場合がある。昇温する場合の条件は、固体脂含量が1重量%以下にならないようにすることである。もし、固体脂含量が1重量%以下になるまで昇温すると、加熱ためのコストが高くなり、また晶析も行う場合に種晶としての効果がなくなる場合がある。晶析速度は0.01℃/分〜5℃/分が好ましく、0.1℃/分〜2℃/分がより好ましい。晶析速度が前記範囲を外れると、生成する結晶の分離性が悪い場合がある。
本発明における上記ダイレクトエステル交換反応とは、エステル交換能を有する触媒下で油脂結晶を発生させながらエステル交換を行う反応である。本発明におけるダイレクトエステル交換反応の方法は、バッチ式、連続式を問わない。更に、前記ダイレクトエステル交換反応は、循環式であってもよい。循環式のダイレクトエステル交換反応としては、例えば、特定の温度に調整した原料油タンクAで析出したパーム系油脂中のSSS及びSS(飽和脂肪酸2つで構成されるジグリセライド)を沈降させ、上澄み液をエステル交換装置Bに連続的に移送する工程(1)と、エステル交換装置Bにおいて、移送された上澄み液をリパーゼの至適温度でエステル交換反応し、その後、再び原料油タンクAに移送する工程(2)を繰り返すことで、原料油タンクAにある油脂中のSSS/S2Uが0.5以上になるまでダイレクトエステル交換反応を行う。より好ましくは、前記油脂中のSSS/S2Uが、0.75以上、1.0以上、1.25以上、1.5以上、1.75以上、最も好ましくは前記油脂中のSSS/S2Uが2.0以上になるまでダイレクトエステル交換反応を行う。更に好ましくは、油脂中のSSS含量が31重量%を越えることなく、S2U含量が14重量%以下になるまでダイレクトエステル交換反応を行う。その後、原料タンクA中の油脂を液状油脂(軟質部)と固体脂(硬質部)とに分別する。
前記ダイレクトエステル交換反応に使用する触媒は特に限定せず、エステル交換能を有していれば化学触媒、酵素触媒など何を使用しても良い。化学触媒の中でもカリウムナトリウム合金は低温での活性が高いことから好ましく、ナトリウムメチラートは経済性や扱い易さからより好ましい。化学触媒の使用量は特に限定されず、通常のエステル交換で使用される量で良いが、反応効率と経済性からは反応油脂100重量部に対して0.01重量部〜1重量部が好ましい。ナトリウムメチラートでは、反応効率と分別効率、液状油脂の収率の観点から反応油脂100重量部に対して0.05重量部〜0.5重量部が好ましく、0.1重量部〜0.3重量部がより好ましい。
酵素触媒は、エステル交換能を有するリパーゼであれば特に限定されず、位置特異性が全くないランダムエステル交換酵素でも、1,3位特異性を有するエステル交換酵素でも良い。但し、所望の2位のパルミチン酸量によっては、ランダムエステル交換反応を行うか、位置特異的エステル交換反応を行うかは、使い分けた方が好ましい。酵素触媒の使用量はエステル交換反応が進行する量であれば良く特に限定されないが、反応効率と経済性から反応油脂100重量部に対して0.5重量部〜20重量部が好ましい。
本発明において、ダイレクトエステル交換反応温度は、高融点グリセライドが結晶化する温度であれば特に限定されないが、反応開始時は効率良く反応を行なうために触媒活性が最も高くなる温度が好ましい。具体的には、ナトリウムメチラートを使用する場合は50℃〜120℃が好ましく、カリウムナトリウム合金を使用する場合は25〜270℃が好ましい。また、酵素触媒を使用する場合は50℃〜70℃が好ましい。また、化学触媒を使用する場合は、反応開始から5〜20分後に、ダイレクトエステル交換反応温度を0〜40℃にすることが好ましく、10℃〜40℃にすることがより好ましい。酵素触媒を使用する場合は、反応開始から1〜18時間後に、ダイレクトエステル交換反応温度を0℃〜40℃にすることが好ましく、10℃〜40℃にすることがより好ましい。なお、本発明では、最終的な反応温度をダイレクトエステル交換反応温度とする。
上記ダイレクトエステル交換反応において、攪拌する場合は、油脂に流動性を与え、また分離性の良い結晶を生成させる観点から、1000rpm以下の速度で攪拌を行うことが好ましく、より好ましくは600rpm以下、更に好ましくは300〜1rpmである。
ダイレクトエステル交換反応後の最終的な結晶量は、分別効率の観点からは反応油脂全体中、3重量%〜60重量%が好ましく、より好ましくは5重量%〜40重量%である。前記結晶量は、反応時間でコントロールすれば良く、前記0〜40℃、好ましくは10℃〜40℃でのダイレクトエステル交換反応を、化学触媒使用の場合は1〜48時間、酵素触媒使用の場合は3〜120時間行うことが好ましい。
ダイレクトエステル交換反応を停止する方法は、反応が停止しさえすれば特に問わないが、化学触媒であれば水やクエン酸水の添加などが挙げられ、分別時の機器の劣化を防ぐ観点から酸性物質で中和停止することが好ましい。停止剤の添加量は、分別効率の観点から反応油脂100重量部に対して0.1重量部〜5重量部が好ましく、0.2重量部〜1重量部がより好ましい。5重量部より多いと、分別時のろ過効率が悪くなる場合があり、液状油脂の収率が低下する場合がある。一方、停止剤の添加量が0.1重量部より少ないと、色調が悪くなったり、反応が停止しない場合がある。
ダイレクトエステル交換反応を停止するタイミングは、液状油脂の収率の観点からは、反応中の油脂組成中のSSS含量が31重量%以下且つS2U含量が14重量%以下になるまで反応した後が好ましい。より好ましくは液状油脂の液状性の観点から、SU2/UUU(重量比)が1.9以下、更には1.1以下になるまで反応した後であることが好ましい。
一方、ダイレクトエステル交換反応を続けるほど反応中の油脂中のSSS含量が増えてゆくため、反応系中に固体脂が増えすぎて分別しにくくなる。従って、分別効率の観点からは、反応中の油脂中のSSS含量が50重量%を越えることなく反応を停止することが好ましく、SSS含量が31重量%を越えることなく反応を停止することがより好ましく、SSS含量が1重量%〜31重量%の間で反応を停止することが更に好ましく、1重量%〜25重量%がより好ましく、1〜20重量%が特に好ましく、1重量%〜15重量%が最も好ましい。
また、ダイレクトエステル交換反応を続けるほど反応中の油脂中のS2U含量が減ってゆき、反応後の分別で得られる液状油脂の液状性の観点からは、反応中の油脂中のS2U含量が14重量%以下になるまで反応させてから停止することが好ましく、10重量%以下になるまでがより好ましく、7重量%以下になるまでが更に好ましく、5重量%以下になるまでが最も好ましい。
上記ダイレクトエステル交換後に液状油脂を分別する方法は、溶剤分別、乾式分別を問わないが、溶剤分別は溶剤の使用により設備費やランニングコストがかかるため、溶剤を使用しない乾式分別が好ましい。溶剤を使用する場合は、ヘキサン、アセトンなどを用いることができる。乾式分別の際の分別温度は、0〜45℃が好ましく、より高い液状性を得るために30℃以下が好ましく、より好ましくは20℃以下、更には10℃以下がより好ましく、収率の観点も含めると0〜10℃が最も好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物では、上記のようなパーム油由来液状油脂を可塑性油脂組成物に含まれる油脂全体中10〜60重量%含有する。前記パーム油由来液状油脂の含有量が10重量%未満では、可塑性油脂組成物の伸展性が悪くなる場合がある。また、前記パーム油由来液状油脂の含有量が60重量%を超えると、可塑性油脂組成物の保型性が低くなり、作業性が悪くなる場合がある。
可塑性油脂組成物に含まれるパーム油由来液状油脂以外の油脂は、食用であれば特に限定されず、植物性油脂、動物性油脂、食用精製加工油脂等を用いることができる。具体的にはあまに油、桐油、サフラワー油、かや油、胡桃油、芥子油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、綿実油、ナタネ油、ハイオレイックナタネ油、大豆油、辛子油、カポック油、米糠油、胡麻油、玉蜀黍油、落花生油、オリーブ油、椿油、茶油、ひまし油、椰子油、パーム油、パーム核油、カカオ脂、シア脂、ボルネオ脂等の植物油脂や、魚油、鯨油、牛脂、豚脂、乳脂、羊脂等の動物油脂、またこれらの油脂を原料にエステル交換したものや、硬化油、分別油、混合油が挙げられ、これら油脂の群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
本発明の可塑性油脂組成物は、パーム油由来液状油脂などの食用油脂と水以外の他の成分を含有することもできる。他の成分としては、乳化剤、増粘安定剤、食塩や塩化カリウムなどの塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸などの酸味料、糖類、糖アルコール類、ステビア、アスパルテームなどの甘味料、β−カロテン、カラメル、紅麹色素などの着色料、トコフェロール、茶抽出物などの酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵および各種卵加工品、香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、ココアマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類などの各種食品素材や食品添加物が挙げられる。
上記乳化剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、縮合リシノレイン脂肪酸エステル、グリセリドエステル、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜などが挙げられる。
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉などが挙げられる。
本発明の可塑性油脂組成物において、上記のような油脂、水以外の成分の含有量は、可塑性油脂組成物全体中で好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
次に、本発明の可塑性油脂組成物の製造方法を説明する。
本発明の可塑性油脂組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、パーム油由来液状油脂を含む油相を加熱溶解し、冷却し、結晶化することにより得ることができる。具体的には、上記油相を加熱溶解し、必要により水相を添加混合して乳化する。乳化の後、殺菌処理することが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式であってもよく、またプレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式であってもよい。次に、冷却し、結晶化させる。好ましくは、冷却可塑化する。この際、徐冷却よりも急冷却の方が好ましい。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクターなどのマーガリン製造機やプレート型熱交換機などが挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組み合わせが挙げられる。
本発明の可塑性油脂組成物をマーガリン、ファットスプレッドとして製造する場合、その乳化状態は、油中水型、油中水中油型のような二重乳化型のいずれであってもよい。
本発明の可塑性油脂組成物は、折り込み用または練り込み用として好適に使用できる。前記折り込み用可塑性油脂組成物としては、クロワッサン、デニッシュ、パイなどの層状小麦粉膨化食品を製造するために使用され、ペーストリー用マーガリン、ロールイン用マーガリンなどとも呼ばれている。また、前記練り込み用可塑性油脂組成物は、折り込み用可塑性油脂組成物以外を指す。
本発明の可塑性油脂組成物からなるマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどを用いた食品としては、例えば、食パン、菓子パン、クロワッサン、デニッシュなどのパン類、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイなどの焼き菓子類などが挙げられる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<脂肪酸組成の測定>
油脂中の脂肪酸組成は、既述の方法により測定した。
<油脂中の各トリグリセライド含量の測定>
油脂中の各トリグリセライド含量は、既述の方法により測定した。
<2位にパルミチン酸を有するグリセライド含量の測定>
分析対象の油脂7.5gとエタノール22.5gを混合しノボザイム435(ノボザイムズジャパン社製)を1.2g加えて30℃で4時間反応させ、反応液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(型番:シリカゲル60(0.063−0.200mm)カラムクロマトグラフィー用、メルク社製)によりトリグリセライド、ジグリセライド、モノグリセライドの各成分に分離し、若干未反応で残るトリグリセライド及びジグリセライド成分を除去し、モノグリセライド成分を回収した。そのモノグリセライド0.05gをイソオクタン5mlに溶解し、0.2mol/Lナトリウムメチラート/メタノール溶液1mlを加えて70℃で15分間反応させることによりメチルエステル化し、酢酸により反応液を中和した後に適量の水を加え、有機相をガスクロマトグラフ(型番:6890N、Agilent社製)によるリテンションタイム及びピークエリア面積により2位にパルミチン酸を有するグリセライド含有量を決定した。
<曇点>
基準油脂分析試験法「2.2.7−1996 曇り点」に準じて行なった。
<CDM試験(酸化安定性)>
基準油脂分析試験法「2.5.1.2−1996 CDM試験」に準じてCDM値を測定した。
<ヨウ素価>
基準油脂分析試験法「3.3.3−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定を行なった。
(製造例1;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、30℃でダイレクトエステル交換反応を約8時間行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ18重量%、13.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後、加熱して全ての結晶を溶解し、70℃の温水を加え、静置して油層と水層を分離し、水を抜いて分離する温水洗浄を行った。分離した水層のpHが8以下になるまで温水洗浄を繰り返した後、油層の油脂を90℃に加熱し、真空脱水を行ない、白土を2重量部加え、20分間攪拌後、ろ過することで白土を除き、脱色を行なった。脱色後の温度を40℃までは1℃/分(設定値)、40℃から0.2℃/分(設定値)で下げ、10℃に到達したらその温度を保持し、降温開始時から計24時間になるまで晶析した。晶析後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が1.1の液状油脂を3200重量部(収率:64%)得た。
(製造例2;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価57)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、30℃でダイレクトエステル交換反応を約8時間行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ27重量%、11.6重量%になったのを確認した後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が1.1の液状油脂を2700重量部(収率:54%)得た。
(製造例3;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を30℃で約8時間行った後、更に25℃で約24時間該反応を行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ22重量%、9.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が0.9の液状油脂を3100重量部(収率:62%)得た。
(製造例4;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価57)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を30℃で約8時間行った後、更に25℃で約24時間該反応を行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ30重量%、9.4重量%になったのを確認後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が0.9の液状油脂を2640重量部(収率:53%)得た。
(製造例5;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を30℃で約8時間、27.5℃で約2時間、25℃で約12時間、22.5℃で約24時間行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ23重量%、10.6重量%になったのを確認した後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が0.7の液状油脂を3000重量部(収率:60%)得た。
(製造例6;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価57)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を30℃で約8時間、27.5℃で約2時間、25℃で約12時間、22.5℃で約24時間行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ30重量%、8.0重量%になったのを確認した後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が0.7の液状油脂を2600重量部(収率:52%)得た。
(製造例7;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを10重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を30℃で約8時間、27.5℃で約2時間、25℃で約2時間、22.5℃で約5時間、18℃で約15時間行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ29重量%、3.8重量%になったのを確認後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が0.5の液状油脂を2700重量部(収率:54%)得た。
(製造例8;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を36℃で約8時間行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ13重量%、16.5重量%になったのを確認後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が1.3の液状油脂を3200重量部(収率:64%)得た。
(製造例9;液状油脂の作製)
パーム油(ヨウ素価52)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を30℃で約8時間行った後、更に25℃で約24時間該反応を行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ33重量%、8.6重量%になったのを確認後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が0.9の液状油脂を1800重量部(収率:36%)得た。
(製造例10;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価57)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを10重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、ダイレクトエステル交換反応を30℃で約8時間、27.5℃で約2時間、25℃で約2時間、22.5℃で約5時間、18℃で約15時間行い、SSS含量及びS2U含量が反応中の油脂全体中それぞれ37重量%、3.7重量%になったのを確認後、反応停止剤として水を50重量部添加して反応を停止した。その後は製造例1と同様にして、トリグリセライド組成中のSU2/UUU(重量比)が0.5の液状油脂を850重量部(収率:17%)得た。
製造例1〜10の製造方法で得られた液状油脂について、脂肪酸組成、トリグリセライド組成、曇点、ヨウ素価、CDM値について分析を行い、それらの結果を表1にまとめた。
Figure 2015006132
(製造例11;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、34℃でダイレクトエステル交換反応を24時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ20重量%、10.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、0.2℃/分で降温し、10℃で16時間晶析した後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3200重量部(収率:64%)得た。
(製造例12;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを10重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、30℃到達後、トリパルミチン粉末(ナカライテスク社製)を25重量部加え、ダイレクトエステル交換反応を4時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ20重量%、11.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を30重量部添加して反応を停止した。その後、0.2℃/分で降温し、10℃で16時間晶析した後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3200重量部(収率:64%)得た。
(製造例13;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて300rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、34℃でダイレクトエステル交換反応を24時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ20重量%、10.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、0.2℃/分で降温し、10℃で16時間晶析した後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3200重量部(収率:64%)得た。
(製造例14;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて600rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、34℃でダイレクトエステル交換反応を24時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ20重量%、10.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、0.2℃/分で降温し、10℃で16時間晶析した後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3150重量部(収率:63%)得た。
(製造例15;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、38℃でダイレクトエステル交換反応を18時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ16重量%、13.0重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3850重量部(収率:77%)得た。
(製造例16;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、32℃でダイレクトエステル交換反応を16時間行なった後、更に降温し、10℃でダイレクトエステル交換反応を18時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ22重量%、9.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3100重量部(収率:62%)得た。
(製造例17;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、32℃でダイレクトエステル交換反応を16時間行なった後、更に降温し、10℃でダイレクトエステル交換反応を18時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ22重量%、9.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、30℃まで昇温し、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3350重量部(収率:67%)得た。
(製造例18;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:57)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、32℃でダイレクトエステル交換反応を12時間行なった後、更に降温し、25℃でダイレクトエステル交換反応を20時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ30重量%、8.0重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、0.17℃/分で降温し、10℃で16時間晶析した後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を2700重量部(収率:54%)得た。
(製造例19;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、50℃に降温してリパーゼ(ノボザイムズ社製「Lipozyme TL IM」)を500重量部加え、50℃で4時間保持した後、降温し、36℃でダイレクトエステル交換反応を38時間行なった後、更に降温し、10℃で18時間ダイレクトエステル交換反応を行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ22重量%、9.5重量%になったのを確認した後、酵素を含んだまま10℃でフィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を2850重量部(収率:57%)得た。
(製造例20;液状油脂の作製)
パームオレイン(ヨウ素価:64)5000重量部をセパラブルフラスコに入れて100rpmで攪拌しながら、90℃で真空脱水を行なった後、ナトリウムメチラートを5重量部加え、90℃で20分間保持した後、降温し、34℃でダイレクトエステル交換反応を24時間行なった。その時点で反応中の油脂全体中のSSS含量及びS2U含量がそれぞれ20重量%、10.5重量%になったのを確認した後、反応停止剤として25%クエン酸水を15重量部添加して反応を停止した。その後、加熱して全ての結晶を溶解し、70℃の温水を加えてから静置して油層と水層を分離し、水を抜いて分離する温水洗浄を行った。分離した水層のpHが8以下になるまで該温水洗浄を繰り返した後、油層の油脂を90℃に加熱し、真空脱水を行ない、白土を2重量部加えて20分間攪拌した後、ろ過することで白土を除いて脱色を行なった。脱色後の油脂温度を、40℃になるまでは1℃/分(設定値)で、40℃からは0.2℃/分(設定値)で降温し、10℃に到達したらその温度を保持し、降温開始時から計24時間になるまで晶析した。晶析後、フィルタープレス(3MPaまで加圧)を用いてろ別することで、液状油脂を3200重量部(収率:64%)得た。
上記製造例11〜20で得られた液状油脂の分析値を表2にまとめた。
Figure 2015006132
(製造例21;エステル交換反応油脂Aの作製)
それぞれ脱酸、脱色したパーム核低融点画分26重量部と、パーム油67重量部と、パームステアリン5重量部とを混合し、90℃に加熱し、1.3kPa(10torr)の真空条件で20分間、真空脱水した後、0.2重量部のナトリウムメチラートを混合して、90℃、1.3kPa(10torr)の真空条件で20分間、ランダムエステル交換反応を行った。その後、水洗、脱色、脱臭して、エステル交換反応油脂Aを得た。
(製造例22;エステル交換反応油脂Bの作製)
それぞれ脱酸、脱色したパーム核低融点画分30重量部と、パームステアリン油47重量部と、水素添加パーム油(融点10℃)23重量部とを混合し、90℃に加熱し、1.3kPa(10torr)の真空条件で20分間、真空脱水した後、0.2重量部のナトリウムメチラートを混合して、90℃、1.3kPa(10torr)の真空条件で20分間、ランダムエステル交換反応を行った。その後、水洗、脱色、脱臭して、エステル交換反応油脂Bを得た。
(製造例23;エステル交換反応油脂Cの作製)
それぞれ脱酸、脱色処理した、ラード30重量部、硬化パーム核油(融点40℃)55重量部、極度硬化ナタネ油15重量部を混合した油脂を60℃に温調し、60℃に温調したカラムにつめた1、3位特異的固定化酵素「Lipozyme RM−IM(ノボザイムズジャパン社製)」1gに対して、前記混合油脂を1g/hの流量で流し、反応させ、反応後の油脂を0.5〜0.7kPa(4〜5torr)、240℃で1時間脱臭し、エステル交換油脂Cを得た。
(製造例24;エステル交換反応油脂Dの作製)
それぞれ脱酸、脱色した牛脂90重量部及びハイエルシン完全水素添加ナタネ油10重量部を混合し、90℃になるまで加熱してから1.3kPa(10torr)の真空条件で20分間真空脱水した。その後、ナトリウムメチラートを0.2重量部添加して、90℃、1.3kPa(10torr)の真空条件で20分間、ランダムエステル交換反応を行った。その後、常法に従って、水洗、脱色、脱臭してエステル交換反応油脂Dを得た。
<練り込み用可塑性油脂組成物(ショートニング)の評価>
可塑性油脂組成物(ショートニング)を、10℃の恒温槽で6ヶ月間保存した。各々のショートニングについて、1ヶ月目、3ヶ月目および6ヶ月目の試料をスライドガラス上に塗布し、偏光顕微鏡で粗大結晶の有無を観察した。その際の評価基準は以下の通りとした。
◎:直径50μm以上の粗大結晶が見られない。
○:直径50μm以上の粗大結晶が殆どない。
△:直径50μm以上の粗大結晶が僅かに見られる。
×:直径50μm以上の粗大結晶が多く見られる。
<折り込み用可塑性油脂組成物(マーガリン)の評価>
折り込み用可塑性油脂組成物(マーガリン)を使用してクロワッサンを作製した。マーガリンの作業性評価として、クロワッサン作製時にマーガリンが生地の端まで伸びているか、割れなどがないかを観察した。その際の評価基準は以下の通りとした。
◎:生地の端まで伸びており、割れなども見られず、非常に良好。
○:生地のほぼ端まで伸びており、割れなども殆ど見られず、良好。
△:生地の端までの伸びがやや足りない、または割れも僅かに見られる。
×:生地の端までの伸びが足りない、または多くの割れが見られる。
<練り込み用可塑性油脂組成物(マーガリン)の評価>
可塑性油脂組成物(マーガリン)を、25℃の恒温槽で6ヶ月間保存した。各々のマーガリンについて、1ヶ月目、3ヶ月目および6ヶ月目の試料をスライドガラス上に塗布し、偏光顕微鏡で粗大結晶の有無を観察した。その際の評価基準は以下の通りとした。
◎:直径50μm以上の粗大結晶が見られない。
○:直径50μm以上の粗大結晶が殆どない。
△:直径50μm以上の粗大結晶が僅かに見られる。
×:直径50μm以上の粗大結晶が多く見られる。
<練り込み用可塑性油脂組成物を使用した焼き菓子の風味試験>
実施例、比較例で作製した焼き菓子を、40℃の恒温槽で1ヶ月保存した。各々の焼き菓子について、10日目、20日目および30日目に風味試験を行った。その際の評価基準は以下の通りとした。
◎:良好。
○:やや良好。
△:劣る。
×:極めて劣る。
(実施例1;練り込み用ショートニング1の作製)
製造例21で得られたエステル交換反応油脂Aを34重量部、製造例22で得られたエステル交換反応油脂Bを6重量部、製造例3で得られたヨウ素価84のパーム油由来液状油脂を40重量部、精製パーム油を20重量部の割合で混合し、常法により急冷捏和して練り込み用ショートニング1を得た。前記パーム油由来液状油脂のS2U含有量は7.7重量%であり、PPO/POP重量比は2.0であった。
(比較例1;練り込み用ショートニング2の作製)
精製ナタネ油を40重量部、製造例21で得られたエステル交換反応油脂Aを34重量部、製造例22で得られたエステル交換反応油脂Bを6重量部、精製パーム油を20重量部の割合で混合し、常法により急冷捏和して練り込み用ショートニング2を得た。精製ナタネ油のS2U含量は検出限界以下であり、PPO含量もPOP含量も0重量%であった。
(比較例2;練り込み用ショートニング3の作製)
精製ナタネ油を30重量部、ヨウ素価64のパームオレインを25重量部、製造例21で得られたエステル交換反応油脂Aを19重量部、製造例22で得られたエステル交換反応油脂Bを6重量部、精製パーム油を20重量部の割合で混合し、常法により急冷捏和して練り込み用ショートニング3を得た。精製ナタネ油のS2U含量は検出限界以下であり、PPO含量もPOP含量も0重量%であった。また、パームオレインのS2U含量は29.2重量%であり、PPO/POP重量比は0.3であった。
以上の実施例1および比較例1、2の練り込み用ショートニングの評価結果を表3にまとめた。
Figure 2015006132
表3に示すように、実施例1の練り込み用ショートニング1および比較例1の練り込み用ショートニング2は、いずれも、6ヶ月間粗大結晶は観察されず、非常に良好な物性を保っていた。これに対し、比較例2の練り込み用ショートニング3は、3ヶ月後には粗大結晶が観察された。この結果から、本発明によれば、安価なパーム油由来液状油脂を用いて、精製ナタネ油を用いた場合と同様に物性の優れたショートニングが得られることが分かった。
(実施例2;折り込み用マーガリン1の作製)
製造例23で得られたエステル交換反応油脂Cを48重量部、製造例6で得られたヨウ素価89のパーム油由来液状油脂を24重量部、ヤシ油を8重量部の割合で混合し、60℃に温調しながら、レシチンおよびステアリン酸モノグリセリドを各々0.4重量部添加し、65℃まで加温してステアリン酸モノグリセリドを完全に溶解した後、水を19.2重量部添加して攪拌し、乳化させた。これを連続急冷可塑化装置にかけて急冷し、成型器を通して折り込み用マーガリン1を得た。前記パーム油由来液状油脂のS2U含有量は6.5重量%であり、PPO/POP重量比は2.0であった。
(比較例3;折り込み用マーガリン2の作製)
製造例23で得られたエステル交換反応油脂Cを48重量部、精製ナタネ油を24重量部、ヤシ油を8重量部の割合で混合し、60℃に温調しながら、レシチンおよびステアリン酸モノグリセリドを各々0.4重量部添加し、65℃まで加温してステアリン酸モノグリセリドを完全に溶解した後、水を19.2重量部添加して攪拌し、乳化させた。これを連続急冷可塑化装置にかけて急冷し、成型器を通して折り込み用マーガリン2を得た。精製ナタネ油のS2U含量は検出限界以下であり、PPO含量もPOP含量も0重量%であった。
(比較例4;折り込み用マーガリン3の作製)
製造例23で得られたエステル交換反応油脂Cを48重量部、ヨウ素価64のパームオレインを24重量部、ヤシ油を8重量部の割合で混合し、60℃に温調しながら、レシチンおよびステアリン酸モノグリセリドを各々0.4重量部添加し、65℃まで加温してステアリン酸モノグリセリドを完全に溶解した後、水を19.2重量部添加して攪拌し、乳化させた。これを連続急冷可塑化装置にかけて急冷し、成型器を通して折り込み用マーガリン3を得た。パームオレインのS2U含量は29.2重量%であり、PPO/POP重量比は0.3であった。
実施例2および比較例3、4の折り込み用マーガリンの配合および評価結果を表4にまとめた。
Figure 2015006132
表4に示すように、実施例2の折り込み用マーガリン1および比較例3の折り込み用マーガリン2は、いずれも、折り込み時の作業性に優れていた。これに対し、比較例4の折り込み用マーガリン3は、折り込み時の作業性が悪かった。この結果から、本発明によれば、安価なパーム油由来液状油脂を用いて、ナタネ油を用いた場合と同様に作業性に優れた折り込み用マーガリンが得られることが分かった。
(実施例3;練り込み用マーガリン1の作製)
製造例24で得られたエステル交換反応油脂D、製造例5で得られたヨウ素価89のパーム油由来液状油脂、パーム中融点部を油脂原料として用い、表5の配合に従って調合油を作製し、常法により急冷捏和して練り込み用マーガリン1を得た。前記パーム油由来液状油脂(ヨウ素価89)に含まれるS2U含量は6.6重量%であり、PPO/POP重量比は2.0であった。
(比較例5;練り込み用マーガリン2の作製)
製造例24で得られたエステル交換反応油脂D、精製ナタネ油、パーム中融点部を油脂原料として用い、表5の配合に従って調合油を作製し、常法により急冷捏和して練り込み用マーガリン2を得た。精製ナタネ油のS2U含量は検出限界以下であり、PPO含量もPOP含量も0重量%であった。
(比較例6;練り込み用マーガリン3の作製)
製造例24で得られたエステル交換反応油脂D、パームオレイン(ヨウ素価64)、パーム中融点部を油脂原料として用い、表5の配合に従って調合油を作製し、常法により急冷捏和して練り込み用マーガリン3を得た。前記パームオレイン(ヨウ素価64)に含まれるS2U含量は29.2重量%であり、PPO/POP重量比は0.3であった。パームオレインのS2U含量は29.2重量%であり、PPO/POP重量比は0.3であった。
実施例3および比較例5、6の練り込み用マーガリン1〜3を偏光顕微鏡で結晶観察し、結果を表5にまとめた。
(実施例4;焼き菓子1の作製)
実施例3で得られた練り込み用マーガリン1を用いて、表5に示した配合で焼き菓子を作製した。焼き菓子生地の調製は、練り込み用マーガリン1、上白糖、全脂練乳をホバートミキサー(ビーター使用)でよく摺り合わせ、重炭酸アンモニウムを溶解した全卵を少しずつ添加し、攪拌混合で均一にした後、予め混合しておいた薄力粉、脱脂粉乳及び食塩を合わせることにより行った。この生地を冷蔵庫で一旦休ませてからシーターで延ばして型抜きし、180℃で11分間焼成を行い、焼き菓子1を得た。
(比較例7;焼き菓子2の作製)
比較例5で得られた練り込み用マーガリン2を用いて、表5に示した配合で焼き菓子を作製した。焼き菓子生地の調製は、練り込み用マーガリン2、上白糖、全脂練乳をホバートミキサー(ビーター使用)でよく摺り合わせ、重炭酸アンモニウムを溶解した全卵を少しずつ添加し、攪拌混合で均一にした後、予め混合しておいた薄力粉、脱脂粉乳及び食塩を合わせることにより行った。この生地を冷蔵庫で一旦休ませてからシーターで延ばして型抜きし、180℃で11分間焼成を行い、焼き菓子2を得た。
(比較例8;焼き菓子3の作製)
比較例6で得られた練り込み用マーガリン3を用いて、表5に示した配合で焼き菓子を作製した。焼き菓子生地の調製は、菓子用マーガリン、上白糖、全脂練乳をホバートミキサー(ビーター使用)でよく摺り合わせ、重炭酸アンモニウムを溶解した全卵を少しずつ添加し、攪拌混合で均一にした後、予め混合しておいた薄力粉、脱脂粉乳及び食塩を合わせることにより行った。この生地を冷蔵庫で一旦休ませてからシーターで延ばして型抜きし、180℃で11分間焼成を行い、焼き菓子3を得た。
実施例4および比較例7、8で得られた焼き菓子の風味評価を表5に示した。
Figure 2015006132
表5に示すように、実施例3の練り込み用マーガリン1及び比較例5の練り込み用マーガリン2は、いずれも、6ヶ月間粗大結晶は観察されず、非常に良好な物性を保っていた。これに対し、比較例6の練り込み用マーガリン3は3ヵ月後には粗大結晶が観察された。また、表5に示すように実施例4の焼き菓子1及び比較例8の焼き菓子3は、30日後にも良好な風味を保っていた。これに対し、比較例7の焼き菓子2は20日後に風味の劣化が見られた。これらの結果から、本発明によれば、安価なパーム油由来液状油脂を用いることによって、精製ナタネ油を用いた場合と同様に物性の優れたマーガリンが得られ、更には、酸化安定性に優れ、風味劣化の起こりにくい焼き菓子が得られることが分かった。


Claims (4)

  1. 油脂を30〜100重量%含有する可塑性油脂組成物であって、パーム系油脂を主原料とし、SU2/UUU重量比が1.9以下且つSSS含量が2重量%以下で、2位にパルミチン酸が結合したグリセライドを液状油脂全体中10〜30重量%含有するパーム油由来液状油脂を、可塑性油脂組成物の油脂全体中10〜60重量%含有する可塑性油脂組成物。
  2. 前記パーム油由来液状油脂の曇点が0〜−12℃である請求項1記載の可塑性油脂組成物。
  3. 前記パーム油由来液状油脂中の、S2U含量が1.0〜10.0重量%であり、且つPPO/POP重量比が1.5〜2.5である請求項1または2に記載の可塑性油脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の可塑性油脂組成物を含有する食品。

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