JP2007159465A - チョコレート類 - Google Patents
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Abstract
【課題】チョコレート類が持つ本来の硬さや固化性、口溶け性等を損なうことなく、収縮が抑制されたチョコレート類を提供すること。
【解決手段】チョコレート類を構成する油脂のSFI及びSFCが、10℃、20℃及び25℃の何れの温度においても、〔SFI/SFC〕<0.95の関係を満足することを特徴とするチョコレート類。上記チョコレート類を構成する油脂は、S2E(S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸、E:エライジン酸)で表されるトリアシルグリセロールを2〜12質量%含有することが好ましく、また、SOS(S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸、O:オレイン酸)で表される対称型トリアシルグリセロールを55〜92質量%含有することが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】チョコレート類を構成する油脂のSFI及びSFCが、10℃、20℃及び25℃の何れの温度においても、〔SFI/SFC〕<0.95の関係を満足することを特徴とするチョコレート類。上記チョコレート類を構成する油脂は、S2E(S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸、E:エライジン酸)で表されるトリアシルグリセロールを2〜12質量%含有することが好ましく、また、SOS(S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸、O:オレイン酸)で表される対称型トリアシルグリセロールを55〜92質量%含有することが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、ビターチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレート等のチョコレート類に関するものである。本発明のチョコレート類は、特に、チョコレート類と菓子やフィリング等とを組み合わせた複合食品に好適に使用できる。
チョコレート類を利用する菓子や食品は多岐にわたり、趣向を凝らした数多くの商品が市場を賑わしている。このような商品のなかには、クッキーやパフ等の菓子の表面にチョコレート類をコーティングしたり、薄いチョコレート類のシェルに柔らかなフィリングを充填して製造された、チョコレート類と他の素材とが接着している複合食品が数多く見受けられる。このような複合食品を工業的に効率よく満足に製造するためには、以下に説明するように、板状のチョコレート類を製造する場合とは異なる機能、即ち収縮し難いという機能がチョコレート類に要求される。
このような複合食品の製造過程では、複合食品を冷却した時、他の素材と接着しているチョコレート類のコーティング部分やチョコレート類のシェル部分が割れるという問題がある。この問題は、冷却により、チョコレート類は収縮するが、菓子やフィリング等のチョコレート類に接着している素材はチョコレート類よりも収縮しないため、薄い表面のチョコレート類に亀裂が入ることにより発生する。これを解決するために、収縮し難いチョコレート類の提供が望まれている。
従来の知見によれば、チョコレート類に乳脂肪を適当量配合することにより、チョコレート類の収縮が抑制される。しかしながら、乳脂肪を配合したチョコレート類は、乳脂肪が混合されることによりチョコレート類のテクスチャがやわらかくなり、チョコレート類の固化性が損なわれるという欠点があることから、満足できるものではなかった。
また、特許文献1には、チョコレート類に柔軟性を付与する技術が開示されている。これは、ジ飽和モノリノレートを含む油脂組成物により、固化性を保ちながら屈曲性に優れたチョコレート類を提供する技術であるが、柔軟性の代償としてチョコレート類のテクスチャがやわらかくなるという欠点を有するものであった。
また、特許文献2には、チョコレート類にジ−飽和脂肪酸、モノ−エライジン酸のトリグリセライドを含有させることによりファットブルーム耐性を向上させることが開示されている。この特許文献2には、チョコレート類の旨みや口溶け感に悪影響を与えずにファットブルームを抑制する機能を付与することが開示されているが、チョコレート類の収縮抑制についての記述はなく、また、特許文献2の技術をもって、収縮を抑制したチョコレート類を得ることはできない。
従って、本発明の目的は、チョコレート類が持つ本来の硬さや固化性、口溶け性等を損なうことなく、収縮が抑制されたチョコレート類を提供することにある。
本発明は、チョコレート類を構成する油脂のSFI及びSFCが、10℃、20℃及び25℃の何れの温度においても、〔SFI/SFC〕<0.95の関係を満足することを特徴とするチョコレート類により、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、上記チョコレート類の好ましい実施形態として、上記チョコレート類を構成する油脂が、S2E(S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸、E:エライジン酸)で表されるトリアシルグリセロールを2〜12質量%含有する上記チョコレート類、及び、上記チョコレート類を構成する油脂が、SOS(S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸、O:オレイン酸)で表される対称型トリアシルグリセロールを55〜92質量%含有する上記チョコレート類を提供するものである。
また、本発明は、上記チョコレート類の好ましい実施形態として、上記チョコレート類を構成する油脂が、S2E(S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸、E:エライジン酸)で表されるトリアシルグリセロールを2〜12質量%含有する上記チョコレート類、及び、上記チョコレート類を構成する油脂が、SOS(S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸、O:オレイン酸)で表される対称型トリアシルグリセロールを55〜92質量%含有する上記チョコレート類を提供するものである。
本発明によれば、チョコレート類が持つ本来の硬さや固化性、口溶け性等を損なうことなく、収縮が抑制されたチョコレート類を提供することができる。本発明のチョコレート類は、チョコレート類と菓子やフィリング等とを組み合わせた複合食品に、特に好適に使用できる。
本発明のチョコレート類は、該チョコレート類を構成する油脂のSFI及びSFCが、10℃、20℃及び25℃の何れの温度においても、〔SFI/SFC〕<0.95の関係を満足するものであり、〔SFI/SFC〕<0.90の関係を満足することが好ましく、〔SFI/SFC〕<0.87の関係を満足することが最も好ましい。
即ち、本発明のチョコレート類において、該チョコレート類を構成する油脂は、10℃、20℃及び25℃の何れの温度においても、SFI値が、同じ温度で測定されたSFC値の95%未満であり、好ましくは90%未満であり、最も好ましくは87%未満である。
チョコレート類を構成する油脂のSFI値が、10℃、20℃及び25℃の何れかの温度において、同じ温度で測定されたSFC値の95%以上であると、チョコレート類の収縮を抑制する効果が得られない。
尚、本発明において、「チョコレート類を構成する油脂」は、本発明のチョコレート類に用いられる油脂全体を指し、例えば、本発明のチョコレート類の原料油脂として、2種以上の油脂を組み合わせて用いる場合は、それらの油脂を混合してなる混合油脂のSFI及びSFCが〔SFI/SFC〕<0.95の関係を満たすようにする。
即ち、本発明のチョコレート類において、該チョコレート類を構成する油脂は、10℃、20℃及び25℃の何れの温度においても、SFI値が、同じ温度で測定されたSFC値の95%未満であり、好ましくは90%未満であり、最も好ましくは87%未満である。
チョコレート類を構成する油脂のSFI値が、10℃、20℃及び25℃の何れかの温度において、同じ温度で測定されたSFC値の95%以上であると、チョコレート類の収縮を抑制する効果が得られない。
尚、本発明において、「チョコレート類を構成する油脂」は、本発明のチョコレート類に用いられる油脂全体を指し、例えば、本発明のチョコレート類の原料油脂として、2種以上の油脂を組み合わせて用いる場合は、それらの油脂を混合してなる混合油脂のSFI及びSFCが〔SFI/SFC〕<0.95の関係を満たすようにする。
上記のSFI値は、基準油脂試験法(2.2.9.2−1996)「固体脂指数(その2)」に記載された試験法に準拠して測定された結果であり、1kgの油脂中の固化部分の、測定開始温度から完全に融解する温度までの膨張をmLで表わした数値を示す。
上記のSFC値は、基準油脂試験法(暫1−1996)「固体脂含量(NMR法)」に記載された試験法に準拠して測定された結果であり、所定温度における固体脂含量の百分率を示す。
上記のSFC値は、基準油脂試験法(暫1−1996)「固体脂含量(NMR法)」に記載された試験法に準拠して測定された結果であり、所定温度における固体脂含量の百分率を示す。
上記のSFI値を測定する試験法及び上記のSFC値を測定する試験法においてはいずれも、試料を0〜2℃の氷水中で固化させた後、調質温度で放置し、再び氷水中で固化させてから測定するように規定されているが、各試験法の「備考」に記載されているとおり、再現性良く測定するためには、(1)調質温度を26℃として1週間程度保持した後、氷水中で1〜2時間固化させてから測定するか、(2)調質条件として、20℃で2時間保持した後30℃で1時間保持することを7回以上繰り返した後、氷水中で1〜2時間固化させてから測定する、等の条件を選択することが必要である。
本発明において、SFI値を上記の(1)の条件で測定した場合は、SFC値も(1)の条件で測定するのが好ましい。また、本発明において、SFI値を上記の(2)の条件で測定した場合は、SFC値も(2)の条件で測定するのが好ましい。
上記のSFI値は油脂の膨張を示すものであるが、膨張と収縮とは表裏の関係であるから、SFI値が小さい油脂、即ち膨張が小さな油脂は、収縮の小さな油脂と言い換えることが可能である。従って、SFI値が小さい油脂を使用したチョコレート類の方が、SFI値が大きな油脂を使用したチョコレート類よりも、収縮が抑制されたチョコレート類であると言える。
尚、先に従来技術として例示した乳脂肪を配合したチョコレート類は、カカオ脂及び乳脂肪を含有するチョコレート類である。カカオ脂に乳脂肪を混合した混合油脂では、カカオ脂に比べてSFI値が減少することから、乳脂肪の混合により油脂の収縮が減少すると考えられる。一方、該混合油脂では、乳脂肪の混合によりSFC値も同時に減少する。従って、乳脂肪を配合したチョコレート類では、収縮が抑制される一方で、そのテクスチャが軟らかくなってしまうものと考えられる。
上記のSFI及びSFCの関係を満たす上で、上記のチョコレート類を構成する油脂は、S2Eで表されるトリアシルグリセロール(以下、単にS2Eともいう)を、該油脂基準で2〜12質量%含有することが好ましく、4.5〜11質量%含有することがより好ましい。S2E含量が上記量より少ないと収縮抑制効果が顕著に奏され難く、上記量より多いと口溶けが悪くなりやすい。
ここで、「S」は炭素数16〜22の飽和脂肪酸を表し、「E」はエライジン酸を表し、S2Eは、グリセリンの3つの水酸基のうちの2つが「S」によってエステル化されており、残りの水酸基が「E」によってエステル化されているトリアシルグリセロールを表す。
ここで、「S」は炭素数16〜22の飽和脂肪酸を表し、「E」はエライジン酸を表し、S2Eは、グリセリンの3つの水酸基のうちの2つが「S」によってエステル化されており、残りの水酸基が「E」によってエステル化されているトリアシルグリセロールを表す。
本発明のチョコレート類を構成する油脂中に上記のようにS2Eを含有させるためには、チョコレート類を製造する際に、その油脂原料の一部としてS2Eを用いてもよいし、その油脂原料の全部若しくは一部としてS2Eを含有する油脂を用いてもよい。
上記のS2Eの製造方法及びS2Eを含有する油脂の製造方法は、何ら限定されるものではなく、化学合成しても差し支えないが、例えば、S2Oで表されるトリアシルグリセロール〔グリセリンの3つの水酸基のうちの2つが「S」によってエステル化されており、残りの水酸基が「O」によってエステル化されているトリアシルグリセロール(「S」は炭素数16〜22の飽和脂肪酸を表し、「O」はオレイン酸を表す);以下、単にS2Oともいう〕を含有する油脂を水素添加することにより、S2Eを含有する油脂を得ることができ、また、この油脂を精製することにより、S2Eを得ることができる。
上記のS2Oを含有する油脂の具体例としては、カカオ脂、パーム油、イリッペ脂、サル脂、シア脂、マウア脂、コクム脂や、それらの分別脂が挙げられる。
また、上記のS2Oを含有する油脂としては、油脂と脂肪酸や脂肪酸低級アルコールエステルとをエステル交換した油脂を用いることも可能である。その具体例としては、ハイオレイックひまわり油とステアリン酸とを酵素を用いて選択的エステル交換し、分別して得られた油脂が挙げられる。
また、上記のS2Oを含有する油脂としては、油脂と脂肪酸や脂肪酸低級アルコールエステルとをエステル交換した油脂を用いることも可能である。その具体例としては、ハイオレイックひまわり油とステアリン酸とを酵素を用いて選択的エステル交換し、分別して得られた油脂が挙げられる。
上記のS2Oを含有する油脂の水素添加は、特に限定されず、公知の方法によって行なうことができ、例えば、水素雰囲気下でニッケル触媒等の金属触媒を用いて反応を行えばよいが、反応に、硫黄で調整したニッケル触媒を用いる等、エライジン酸を効率的に生成する反応条件を選択するのが望ましい。
また、上記のチョコレート類を構成する油脂は、チョコレート本来の硬さや固化性を一層良好に得る点で、SOSで表される対称型トリアシルグリセロール(以下、単にSOSともいう)を該油脂基準で55〜92質量%含有することが好ましく、70〜87質量%含有することがより好ましい。
ここで、「S」は炭素数16〜22の飽和脂肪酸を表し、Oはオレイン酸を表し、SOSは、グリセリンの3つの水酸基のうちの1位及び3位の2つが「S」によってエステル化されており、残りの2位の水酸基が「O」によってエステル化されているトリアシルグリセロールを表す。
ここで、「S」は炭素数16〜22の飽和脂肪酸を表し、Oはオレイン酸を表し、SOSは、グリセリンの3つの水酸基のうちの1位及び3位の2つが「S」によってエステル化されており、残りの2位の水酸基が「O」によってエステル化されているトリアシルグリセロールを表す。
チョコレート類を構成する油脂中に上記のようにSOSを含有させるためには、チョコレート類を製造する際に、その油脂原料の一部としてSOSを用いてもよいし、その油脂原料の一部としてSOSを含有する油脂を用いてもよい。もちろん、SOSを含有する油脂を、上述のS2Eを含有する油脂と併用してもよいし、S2E及びSOSを何れも含有する油脂を用いることもできる。
チョコレート類を構成する油脂中に上記のようにSOSを含有させるためには、例えば、化学合成したSOSを用いても差し支えないが、SOSを含有する油脂を用いることが簡便であり好ましい。SOSを含有する油脂の具体的な例としては、カカオ脂、パーム分別脂、イリッペ脂、サル脂、シア脂、マウア脂、コクム脂や、それらの分別脂が挙げられる。
また、SOSを含有する油脂としては、油脂と脂肪酸や脂肪酸低級アルコールエステルとをエステル交換した油脂を用いることも可能である。その具体例としては、ハイオレイックひまわり油とステアリン酸とを酵素を用いて選択的エステル交換することにより得られた油脂が挙げられる。
また、SOSを含有する油脂としては、油脂と脂肪酸や脂肪酸低級アルコールエステルとをエステル交換した油脂を用いることも可能である。その具体例としては、ハイオレイックひまわり油とステアリン酸とを酵素を用いて選択的エステル交換することにより得られた油脂が挙げられる。
また、上記のチョコレート類を構成する油脂には、上記のS2Eを含有する油脂、SOSを含有する油脂等以外の油脂、例えば米ぬか油等の植物油を用いてもよい。
本発明のチョコレート類において、上記のチョコレート類を構成する油脂の含有量は30〜50質量%、特に32〜45質量%であることが好ましい。
本発明のチョコレート類は、その原料油脂として、上記のチョコレート類を構成する油脂を用いる点以外は、従来のチョコレート類と同様とすることができ、所望により、上記のチョコレート類を構成する油脂以外に、チョコレート類に配合できることが知られている材料を使用することができる。
所望により使用できる上記材料としては、例えば、カカオパウダー;砂糖等の糖類;脱脂粉乳等の乳製品;バニリン等の香料;グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン等の乳化剤が挙げられる。
本発明のチョコレート類は、該チョコレート類を構成する油脂として、上記のSFI及びSFCの関係を満たすものを用いていれば、どのような種類のチョコレート類であってもよく、その具体例としては、ビターチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレート等が挙げられる。
本発明のチョコレート類は、特に、チョコレート類と菓子やフィリング等とを組み合わせた複合食品に好ましく用いることができる。具体的には、複合食品におけるチョコレート類のコーティング(カバーリング)やチョコレート類のシェルに用いると、本発明の効果が顕著に発揮される。
上記の菓子としては、クッキー、ビスケット、シュー、パイ、ケーキ、クラッカー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等が挙げられる。上記のフィリングとしては、バタークリーム、プラリネ、フラワーペースト、ガナッシュチョコレート等が挙げられる。
上記の菓子としては、クッキー、ビスケット、シュー、パイ、ケーキ、クラッカー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等が挙げられる。上記のフィリングとしては、バタークリーム、プラリネ、フラワーペースト、ガナッシュチョコレート等が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。
(実施例1)
パームオレイン(ヨウ素価58.0)から、アセトンを用いた溶剤分別により常法に従いパーム中融点画分(ヨウ素価35.0)を得た。このパーム中融点画分を、硫黄で調整したニッケル触媒を用いて水素添加し、常法に従って硬化油を得た。この硬化油は、ヨウ素価が31.1、上昇融点が48.4℃、エライジン酸の含量が23.4%であった。
カカオ脂(ヨウ素価34.4、上昇融点33.4℃、SOS含量88.6質量%)に、この硬化油を混合して、カカオ脂80質量%及び硬化油20質量%を含有するチョコレート用油脂を調製した。このチョコレート用油脂中のS2E含量(質量%)及びSOS含量(質量%)を表1に示す。
このチョコレート用油脂の10℃、20℃及び25℃のSFI及びSFCを測定した。それらの結果を〔SFI/SFC〕の値とともに表1に示す。表1から明らかなように、各測定温度において、SFIはSFCの95%未満であった。また、各測定温度のSFCはカカオ脂のSFCとほぼ同等であった。
パームオレイン(ヨウ素価58.0)から、アセトンを用いた溶剤分別により常法に従いパーム中融点画分(ヨウ素価35.0)を得た。このパーム中融点画分を、硫黄で調整したニッケル触媒を用いて水素添加し、常法に従って硬化油を得た。この硬化油は、ヨウ素価が31.1、上昇融点が48.4℃、エライジン酸の含量が23.4%であった。
カカオ脂(ヨウ素価34.4、上昇融点33.4℃、SOS含量88.6質量%)に、この硬化油を混合して、カカオ脂80質量%及び硬化油20質量%を含有するチョコレート用油脂を調製した。このチョコレート用油脂中のS2E含量(質量%)及びSOS含量(質量%)を表1に示す。
このチョコレート用油脂の10℃、20℃及び25℃のSFI及びSFCを測定した。それらの結果を〔SFI/SFC〕の値とともに表1に示す。表1から明らかなように、各測定温度において、SFIはSFCの95%未満であった。また、各測定温度のSFCはカカオ脂のSFCとほぼ同等であった。
上記チョコレート用油脂35質量部、カカオパウダー8質量部、脱脂粉乳9質量部、砂糖48質量部、レシチン0.4質量部及びバニリン0.03質量部を混合して、常法によりチョコレート生地を作製した。該チョコレート生地を、常法に従ってテンパリングを行った後、縦118mm×横55.2mm×高さ8.4mmの型に流し込み、同形状のチョコレートを作製した。
作製したチョコレートの縦×横の面積(mm2)を、離型直後及び7日後にそれぞれ測定し、〔(離型直後の面積−7日後の面積)/離型直後の面積〕×100として収縮率(%)を算出した。結果を表1に示す。
また、このチョコレートについて、20℃、26℃及び30℃の各温度に調温した後、レオメータで折れ試験値(JIS折れ試験用アダプタにて破断応力を測定;単位はmN)及び針入度(3mmφの針状アダプタを5mm進入させたときの最大応力;単位はmN)を測定した。結果を表1に示す。
また、このチョコレートを食したときの口溶け性についての評価も行なった。結果を表1に示す。
作製したチョコレートの縦×横の面積(mm2)を、離型直後及び7日後にそれぞれ測定し、〔(離型直後の面積−7日後の面積)/離型直後の面積〕×100として収縮率(%)を算出した。結果を表1に示す。
また、このチョコレートについて、20℃、26℃及び30℃の各温度に調温した後、レオメータで折れ試験値(JIS折れ試験用アダプタにて破断応力を測定;単位はmN)及び針入度(3mmφの針状アダプタを5mm進入させたときの最大応力;単位はmN)を測定した。結果を表1に示す。
また、このチョコレートを食したときの口溶け性についての評価も行なった。結果を表1に示す。
(実施例2)
カカオ脂の混合割合を90質量%、硬化油の混合割合を10質量%とした以外は、実施例1と同様にして、チョコレート用油脂を調製し、そのSFI及びSFCを測定し、さらに、該チョコレート用油脂を用いてチョコレートを作製し、得られたチョコレートについて各種試験を行なった。結果を表1に示す。
カカオ脂の混合割合を90質量%、硬化油の混合割合を10質量%とした以外は、実施例1と同様にして、チョコレート用油脂を調製し、そのSFI及びSFCを測定し、さらに、該チョコレート用油脂を用いてチョコレートを作製し、得られたチョコレートについて各種試験を行なった。結果を表1に示す。
(比較例1)
硬化油を使用せず、チョコレート用油脂として全てカカオ脂を使用した以外は、実施例1と同様にして、チョコレート用油脂を調製し、そのSFI及びSFCを測定し、さらに、該チョコレート用油脂を用いてチョコレートを作製し、得られたチョコレートについて各種試験を行なった。結果を表1に示す。
硬化油を使用せず、チョコレート用油脂として全てカカオ脂を使用した以外は、実施例1と同様にして、チョコレート用油脂を調製し、そのSFI及びSFCを測定し、さらに、該チョコレート用油脂を用いてチョコレートを作製し、得られたチョコレートについて各種試験を行なった。結果を表1に示す。
(比較例2)
綿実ステアリン(ヨウ素価88.0)から、アセトンを用いた溶剤分別により常法に従い綿実中融点画分(ヨウ素価57.8)を得た。硬化油に代えて該綿実中融点画分を用いた以外は、実施例1と同様にして、チョコレート用油脂を調製し、そのSFI及びSFCを測定し、さらに、該チョコレート用油脂を用いてチョコレートを作製し、得られたチョコレートについて各種試験を行なった。結果を表1に示す。
綿実ステアリン(ヨウ素価88.0)から、アセトンを用いた溶剤分別により常法に従い綿実中融点画分(ヨウ素価57.8)を得た。硬化油に代えて該綿実中融点画分を用いた以外は、実施例1と同様にして、チョコレート用油脂を調製し、そのSFI及びSFCを測定し、さらに、該チョコレート用油脂を用いてチョコレートを作製し、得られたチョコレートについて各種試験を行なった。結果を表1に示す。
(比較例3)
硬化油に代えて乳脂肪(ヨウ素価32.0、上昇融点29.7℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、チョコレート用油脂を調製し、そのSFI及びSFCを測定し、さらに、該チョコレート用油脂を用いてチョコレートを作製し、得られたチョコレートについて各種試験を行なった。結果を表1に示す。
硬化油に代えて乳脂肪(ヨウ素価32.0、上昇融点29.7℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、チョコレート用油脂を調製し、そのSFI及びSFCを測定し、さらに、該チョコレート用油脂を用いてチョコレートを作製し、得られたチョコレートについて各種試験を行なった。結果を表1に示す。
表1の結果から、比較例のチョコレートは、充分に小さい収縮率を示し且つ良好な口溶け性を有するが、折れ試験値及び針入度が小さいことから、チョコレート本来の固化性や硬さが失われていることが分かる。これに対し、実施例のチョコレートは、折れ試験値及び針入度が大きいことから、チョコレート本来の硬さや固化性が維持されていることが分かり、さらに、良好な口溶け性も維持されており、しかも、収縮が充分に抑制されている。
Claims (3)
- チョコレート類を構成する油脂のSFI及びSFCが、10℃、20℃及び25℃の何れの温度においても、〔SFI/SFC〕<0.95の関係を満足することを特徴とするチョコレート類。
- 上記チョコレート類を構成する油脂が、S2E(S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸、E:エライジン酸)で表されるトリアシルグリセロールを2〜12質量%含有する請求項1に記載のチョコレート類。
- 上記チョコレート類を構成する油脂が、SOS(S:炭素数16〜22の飽和脂肪酸、O:オレイン酸)で表される対称型トリアシルグリセロールを55〜92質量%含有する請求項1又は2に記載のチョコレート類。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014141915A1 (ja) * | 2013-03-12 | 2014-09-18 | 不二製油株式会社 | 焼成用チョコレート様食品およびその製造法 |
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- 2005-12-13 JP JP2005359058A patent/JP2007159465A/ja active Pending
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