JP7444061B2 - チョコレート様食品 - Google Patents

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Description

本発明は、エステル交換油脂を使用したチョコレート様食品、特にテンパリング操作を実施しないチョコレートに関する。
カカオバター代用脂として広く利用されているハードバターは、固化・成型時に温調操作を実施するテンパリング型ハードバターと、温調操作を実施しない非テンパリング型ハードバターに大別される。テンパリング型ハードバターは、ココアバター中に多く含有されるSUS型トリグリセリド(S:炭素数16~18の飽和脂肪酸、U:炭素数18の一価不飽和脂肪酸)を多く含み、ココアバターと類似の性質物性を持つ。そのためココアバターとの相溶性が高く、またココアバターと類似の食感が得られるが、テンパリング操作には厳密な温度制御が必要となるため、省略することが望まれている。
一方、非テンパリング型ハードバターは、煩雑なテンパリング操作を必要としないことから、パンや洋菓子などとチョコレートを組み合わせた様々な組み合わせ食品に好適に使用することができ、トランス脂肪酸型ハードバターや、エステル交換・分別型ハードバター、さらにラウリン酸型ハードバターに大別することができる。
非テンパリング型ハードバターのうち、大豆油や菜種油などの液状油を水素添加して得られるトランス酸型ハードバターは、良好な口溶けやココアバターとの高い相溶性から広く利用されてきた。しかし近年、トランス脂肪酸の健康に及ぼすリスクが明らかとなり、トランス脂肪酸を含まない低トランス脂肪酸型ハードバターが望まれている。
前述のように低トランス酸型ハードバターが望まれる中で近年、エステル交換・分別型ハードバターの開発が進められている(特許文献1~4)。このエステル交換・分別型ハードバターは、トランス脂肪酸含量が極めて低い原料油脂、例えば大豆油や菜種油の極度硬化油や、パーム油などの固形脂を原料として化学的に、もしくは酵素的にエステル交換を実施した後に、分別を実施することで良好な口溶けを有するものである。しかし、その製造法の複雑さからコストが高く、より安価なハードバターが望まれている。
ラウリン酸型ハードバターは、ラウリン酸を多く含むトリグリセリドを豊富に含む油脂を原料として古くから製造されており、パーム核油分別硬質油やヤシ油が例示できる。これらはカカオバターと極めて類似した食感や物性が得られ、艶も良好であるなど様々な利点があるが、保存中にはブルームやグレーニングが激しく発現するため、カカオ分やココアバターを多く配合できない。
トランス酸含有量が低く、ラウリン系油脂を含有するチョコレート用油脂組成物に関して、特許文献5~9が開示されている。
特表2005-507028号公報 特表2010-532802号公報 特開2007-319043号公報 国際公開WO2011/138918号 特開2008-182961号公報 特開2010-142152号公報 特開2010-142153号公報 特開2011-115075号公報 特開2016-116486号公報
近年、消費者のチョコレートに対する要望は、美味しさを求める傾向が強くなってきている。作業性の良さから、非テンパリング型ハードバターが望まれる、被覆用途のチョコレートにおいても同様に、作業性、固化速度といった物性面だけでなく、カカオ感、チョコレート感といった風味を追求した品質が求められている。カカオ感とは、チョコレート中のカカオマスの配合比率を上げることで、より強く感じられるチョコレート風味のことであり、カカオ感の付与、美味しいチョコレート風味には、カカオマスが欠かせないが、カカオマスの約55質量%はカカオ脂であり、カカオマスを多量に配合すると、同時にカカオ脂を多く含むことになり、テンパリングを行わない被覆工程ではファットブルームが発生するため、カカオマスの配合比率に限度があった。
本発明者らは、トランス酸含有量が低いエステル交換油脂の品質と機能の向上について考察した。トランス酸含有量が低く、ラウリン系油脂を含まない、チョコレート用油脂組成物である、特許文献1~4は口どけが劣る傾向であった。特許文献5~9は、比較的口どけが良いものの、ココアバターの配合限度と耐ブルーム性、口どけが悪い点を含め、さらなる品質向上が必要であると考えた。
かかる従来技術を認識した上で、本発明の目的は、トランス脂肪酸含有量を低減しながら、ココアバターとの相溶性と耐ブルーム性に優れ、シャープな融解特性を有し、口溶けの良好なチョコレート様食品を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量を10質量%以下とし、他の脂肪酸組成を規定した含有量に調整したエステル交換油脂を含有し、特定量のカカオ成分を含有させることで、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) (A)~(J)を全て満たすエステル交換油脂を5質量%~50質量%、およびカカオ成分を5質量%~50質量%含有する、チョコレート様食品、
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が90~99.5質量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が6~18質量%
(C)構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が25~50質量%
(D)構成脂肪酸組成中、炭素数12以下の飽和脂肪酸の含有量が35~60質量%
(E)構成脂肪酸組成中、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が1質量%以下
(F)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が20~50質量%
(G)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20~38質量%
(H)構成脂肪酸組成中、ステアリン酸の含有量が3~20質量%
(I)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が0.5~10質量%
(J)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸含有量が5質量%以下
ただし、(A)~(J)の脂肪酸組成分析は、脂肪酸をプロピルエステル化して分析する、
(2) (1)のエステル交換油脂の、(CN48以上の含有量)/(CN28以下の含有量)が1.5~20である、(1)のチョコレート様食品、
ただし、CN48以上:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド、
CN28以下:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が28以下のトリグリセリド
(3) (1)の、(I)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が1~6質量%である、(1)または(2)のチョコレート様食品、
(4) (a)~(c)を全て満たす非エステル交換油脂を5質量%~50質量%含有する、(1)~(3)のいずれかのチョコレート様食品、
(a)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が20~70質量%
(b)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が5質量%以下
(c)構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が5~50質量%
ただし、(a)~(c)の脂肪酸組成分析は、脂肪酸をメチルエステル化して分析する、
(5) (4)の非エステル交換油脂の上昇融点が30℃以上40℃以下である、(4)のチョコレート様食品、
(6) (4)の、(c)構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が10~25質量%である、(4)または(5)のチョコレート様食品、である。
本発明により、シャープな融解特性を有し、ブルーム耐性に優れた、チョコレート様食品を得ることができる。
好ましい態様として、本発明で使用するエステル交換油脂は、口どけを悪化させる炭素数16以上の飽和脂肪酸含有量を低減しながら、固化速度が早く、チョコレート作製時の作業性に優れている。
本発明により、トランス脂肪酸含有量を低減しながら、テンパリング操作が不要で、ココアバターとの相溶性と耐ブルーム性に優れ、口溶けの良好なチョコレートを製造することができる。
より好ましい態様として、被覆用チョコレートを作製した場合、カカオマスを多量に配合しても、テンパリング作業が不要で、かつ口溶け良好でカカオ感のある美味しい被覆用チョコレートを提供することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明のチョコレート様食品は、エステル交換油脂を5~50質量%含有する。好ましくは5~40質量%、より好ましくは5~30質量%含有する。エステル交換油脂が5質量%未満の場合、被覆用途に使用した場合に、シャープな口溶けやブルーム耐性、固化速度及び固化後のつや、食した際の被覆物からのはがれ落ちにくさ、といった特性が得られない場合がある。50質量%を超えると、前述の特性は得られるもののチョコレート風味が薄くなり良好な風味が得られない場合があり、また油性感が強くなる場合があるため好ましくない。
本発明で使用するエステル交換油脂は、下記(A)~(J)を全て満たす、エステル交換油脂である。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が90~99.5質量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が6~18質量%
(C)構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が25~50質量%
(D)構成脂肪酸組成中、炭素数12以下の飽和脂肪酸の含有量が35~60質量%
(E)構成脂肪酸組成中、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が1質量%以下
(F)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が20~50質量%
(G)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20~38質量 %
(H)構成脂肪酸組成中、ステアリン酸の含有量が3~20質量%
(I)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が0.5~10質量%
(J)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸含有量が5質量%以下
ただし、脂肪酸組成分析は、脂肪酸をプロピルエステル化して分析する。
本発明で使用するエステル交換油脂の特徴は、前記(I)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が0.5~10質量%であることが、従来技術で得られるノーテンパーハードバターと比較して、重要な相違点として挙げられる。好ましくは1~8質量%、より好ましくは1~7質量%、さらに好ましくは1~6質量%、最も好ましくは1~5質量%である。不飽和脂肪酸含有量が10質量%を超えると、低融点のトリグリセリドが増加するため望ましくない。0.5質量%未満では、低融点のトリグリセリドが少なすぎる場合がある。また、オレイン酸含量としては、好ましくは0.5~7質量%、より好ましくは1~6質量%、さらに好ましくは1~5質量%、最も好ましくは1~4質量%である。オレイン酸含有量が7質量%を超えると、低融点のトリグリセリドが増加するため望ましくない。0.5質量%未満では、低融点のトリグリセリドが少なすぎる場合がある。
推測ではあるが、前記(I)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量を0.5~10質量%とし、替わりに、構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量を6~18質量%とすることで、エステル交換油脂の低融点化を抑制しシャープな融解特性が得られる。低融点トリグリセリドの生成が低減できるため、高融点トリグリセリドの必要量も最少にできるためチョコレートを作製した場合には良好な口どけが得られる。かかる低融点トリグリセリドの生成低減と高融点トリグリセリドの生成低減は、分別を実施することなくシャープな融解特性が得られることにも繋がっている。炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が18質量%を超えると、得られるエステル交換油脂中の低融点のトリグリセリドが増加してしまうため望ましくない。また6質量%未満では所望する中融点のトリグリセリドが減少しシャープな融解特性が得られないため望ましくない。炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量は好ましくは6~18質量%、より好ましくは6~15質量%、さらに好ましくは7~15質量%、最も好ましくは8~15質量%である。
本発明で使用するエステル交換油脂は、構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が90~99.5質量%、好ましくは95~99質量%である。90質量%未満では、所望するエステル交換油脂のシャープな融解特性が得られない。99.5質量%を超えると、低融点のトリグリセリドが少なすぎる場合がある。
本発明で使用するエステル交換油脂は、構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量は20~50質量%、好ましくは25~50質量%、より好ましくは25~45質量%、さらに好ましくは30~45質量%である。20質量%未満では、飽和脂肪酸含有量における相対的なステアリン酸やパルミチン酸の含有量が高くなってしまい、口溶けが悪化し、シャープな融解特性が得られない。ラウリン酸の含有量が50質量%を超えると、飽和脂肪酸含有量における相対的なステアリン酸やパルミチン酸含有量が低くなってしまい、全温度域のSFC%が低下してしまい、シャープな融解特性が得られない。
本発明で使用するエステル交換油脂は、構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20~38質量%、好ましくは20~37質量%、より好ましくは20~36質量%である。かかる範囲内とすることで、所望するシャープな融解特性が得られる。38質量%を超えると口溶けが悪化するため望ましくない。
本発明で使用するエステル交換油脂は、構成脂肪酸組成中、ステアリン酸の含有量が3~20質量%であり、好ましくは5~15質量%である。20質量%を超えると、口溶けが悪化し、所望するエステル交換油脂の良好な口溶けが得られない。3質量%未満では、シャープな融解特性が得られない場合がある。
本発明で使用するエステル交換油脂は、構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が25~50質量%、好ましくは30~50質量%である。50質量%を超えると、口溶けが悪化し、所望するエステル交換油脂の良好な口溶けが得られない。
本発明で使用するエステル交換油脂は、構成脂肪酸組成中、炭素数12以下の飽和脂肪酸の含有量が35~60質量%、好ましくは35~50質量%である。35質量%未満では、相対的に炭素数16以上の飽和脂肪酸含有量が増加した場合には口溶けが悪くなる場合がある。相対的に炭素数16以上の不飽和脂肪酸含有量が増加した場合には、所望するエステル交換油脂のシャープな融解特性が得られない場合がある。また60質量%を超えた場合にも、所望するエステル交換油脂のシャープな融解特性が得られない場合がある。
本発明で使用するエステル交換油脂は、構成脂肪酸組成中、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下である。本発明の、エステル交換油脂は、炭素数20以上の飽和脂肪酸が1質量%以下でも、シャープな融解特性と、良好な固化速度を有するものである。
本明細書において、エステル交換油脂の脂肪酸組成は、吉永らにより報告されている「The Collaborative Study on the Enzymatic Analysis of Positional Distribution of Short- and Medium- chain Fatty Acids in Milk Fat Using Immobilized Candida Antarctica Lipase B」記載の方法に準じて脂肪酸残基をプロピルエステル化し測定した。通常行なわれている、強アルカリ-メタノール溶液を使用して脂肪酸残基をメチルエステル化する方法では、特に、C6~C8といった短鎖の脂肪酸含有量において、分析して得られた数値が少なく検出されたり、精度が劣ったりする場合がある。プロピル化による脂肪酸組成分析を行なうことで、前記課題を緩和することができ、精度の高い測定が実施できる。
本発明で使用するエステル交換油脂は、好ましくは、(CN48以上の含有量)/(CN28以下の含有量)が20以下である、より好ましくは1.5~20、さらに好ましくは2~20、さらに好ましくは2~15、最も好ましくは2~10である。かかる範囲内とすることで、所望するシャープな融解特性が簡便に得られるので好ましい。
ただし、CN48以上:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド
CN28以下:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が28以下のトリグリセリド
本発明で使用するエステル交換油脂は、好ましくは、CN30~CN38(油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が30~38のトリグリセリド)の含有量が20~50質量%、より好ましくは20~40質量%である。20~50質量%とすることで、シャープな融解特性が得られやすくなるので好ましい。20質量%未満では25℃~35℃のSFC%が低下する場合がある。
本発明で使用するエステル交換油脂は、好ましくは、CN48以上(油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド)の含有量が30質量%以下、より好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは5~20質量%である。30質量%を超えると、飽和脂肪酸の含有量が多い場合では高融点のトリグリセリドが増加したり、不飽和脂肪酸の含有量が多い場合では低融点のトリグリセリドが増加したり、する場合があるため、所望するエステル交換油脂のシャープな融解特性が得られない場合がある。
本発明で使用するエステル交換油脂は、前記構成を満たせば、使用する油脂類に特に制限はないが、好ましくは、エステル交換の原料油脂が下記油脂成分X及び油脂成分Yを混合してエステル交換したものである。
油脂成分Xは、ヤシ油、パーム核油及びこれらを加工した油脂より選ばれた1種以上の油脂
油脂成分Yは、パームステアリンを40質量%~100質量%含む油脂
なお、パームステアリンとはパーム油分別硬質部を意味する。
本発明で使用するエステル交換油脂は、より好ましくは、下記油脂成分X及び油脂成分Yを混合してエステル交換したものである。配合の調整が容易になる点で好ましい。
油脂成分Xは、硬化ヤシ油、パーム核分別硬化油、及びパーム核分別油より選ばれた少なくとも1種以上の油脂
油脂成分Yは、パームステアリンを40質量%~100質量%含む油脂
本発明で使用するエステル交換油脂は、さらに好ましくは、下記油脂成分X及び油脂成分Yを混合してエステル交換したものである。ヨウ素価が20以下のパームステアリンを使用することで、(I)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量を低減することができ、配合の調整が容易になる点で好ましい。
油脂成分Xが、硬化ヤシ油、パーム核分別硬化油、及びパーム核分別油選ばれた少なくとも1種以上の油脂
油脂成分Yが、ヨウ素価が20以下のパームステアリンを40質量%~100質量%含む油脂
エステル交換方法としては、トリグリセリドの1位と3位に結合する脂肪酸のみを酵素(リパーゼ)を用いて特異的に交換する方法(1,3位特異的エステル交換法)と、酵素もしくは金属触媒(例えばナトリウムメチラート)を用いて結合位置に関係なく不特定に交換する方法(ランダムエステル交換)に分けられる。本発明におけるエステル交換とは、後者のランダムエステル交換が好ましい。これはより多くのトリグリセリド種が得られることにより、テンパリングをしないチョコレートにおいて長期にわたり品質が安定化するため好ましい。
また、ここで言うチョコレート様食品とは、全国チョコレート業公正取引協議会、チョコレート利用食品公正取引協議会で規定されるチョコレート、準チョコレート、およびチョコレート利用食品に限定されるものではなく、油脂類を必須成分とし、カカオマス、ココア、カカオバター、カカオバター代用脂、ハードバター等を利用した油脂加工食品をも包含するものである。
本発明で使用するエステル交換油脂は、好ましくは、下記SFC%を全て満たす。チョコレート様食品に使用した際に、口溶けがシャープで後残り感がない特徴が得られるので、好ましい。
10℃のSFCが、85%~100%
20℃のSFCが、60%~80%
25℃のSFCが、45%~70%
40℃のSFCが、2%以下
本発明で使用するエステル交換油脂は、加えて(CN48以上の含有量)/(CN28以下の含有量)が1.5~20を満たすことで、より好ましい態様として、下記SFC%を全て満たす。
10℃のSFCが、85%~100%
20℃のSFCが、60%~80%
25℃のSFCが、45%~70%
30℃のSFCが、25%~50%
35℃のSFCが、3%~30%
40℃のSFCが、2%以下
ただし、CN48以上:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド、
CN28以下:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が28以下のトリグリセリドを示す
本発明で使用するエステル交換油脂は、加えて、構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が1~6質量%を満たすことで、さらに好ましい態様として、下記SFC%を全て満たす。
10℃のSFCが、85%~100%
20℃のSFCが、65%~80%
25℃のSFCが、50%~70%
30℃のSFCが、25%~50%
35℃のSFCが、5%~30%
40℃のSFCが、2%以下
本発明のチョコレート様食品は、カカオ成分を5~50質量%含有する。好ましくは10~40質量%含有する。5質量%未満では、チョコレート風味が得られなくなる場合があるため好ましくない。50質量%を超えると、チョコレート様食品の粘性が低くなり被覆用途で用いた場合に、被覆作業が困難となる場合があるため、好ましくない。
本明細書において、カカオ成分とはカカオ豆から得られる成分であって、カカオバター 、カカオマスおよびココアパウダーが例示できる。かかるカカオ成分を単独で使用しても良いし、併用して使用しても良い。好ましくはカカオ成分として、カカオマスおよび/またはココアパウダーを5質量%~50質量%含有することが好ましい。この場合でも油脂含有量やチョコレート風味調整のためにカカオバターを使用しても良い。
本発明のチョコレート様食品は、好ましくは下記(a)~(c)を全て満たす非エステル交換油脂を含有する。
(a)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が20~70質量%
(b)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が5質量%以下
(c)構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が5~50質量%
前記非エステル交換油脂の構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が、好ましくは30~65質量%、より好ましくは40~60質量%である。
前記非エステル交換油脂の構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
前記非エステル交換油脂の構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が、好ましくは10~45質量%である。
本発明で使用することができる非エステル交換油脂は、前記(a)~(c)を全て満たせば良いが、好ましくは上昇融点が30℃以上40℃以下である。上昇融点が30℃以上40℃未満の油脂は、好ましくは炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が10~25質量%である。
前記上昇融点が30℃以上40℃以下の非エステル交換油脂は、前記数値範囲を満たせば原料油脂や製造法を限定することなく使用することができる。パーム核油、ヤシ油等ラウリン系油脂の硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。好ましい非エステル交換油脂として、パーム核油を分別して得られる高融点側の成分が例示できる。
本発明のチョコレート様食品は、エステル交換油脂、およびカカオ成分を前記数値範囲内で含有することで、ココアバターとの相溶性と耐ブルーム性に優れ、口溶けの良好なチョコレート様食品を得ることができる。好ましくはさらに前記(a)~(c)を全て満たす非エステル交換油脂を含有する。
本発明のチョコレート様食品は、前記構成を満たせば良いが、前記油脂類以外の油脂類も制限無く使用することができる。使用可能な油脂類として、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)、シア脂、サル脂等の植物性油脂、乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂、ならびに、それらの硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。
チョコレート様食品中の油脂分としては、30~70質量%が好ましく、より好ましくは40~60質量%である。油脂分が少ないとチョコレート様食品の粘性が高すぎて被覆用途で用いた場合に、被覆作業が困難となる場合がある。また油脂分が多すぎるとチョコレート風味が薄くなり、油っぽくなる場合があるため、好ましくない。
チョコレート様食品の製造法としては、一般的なチョコレート類を製造する要領で行うことができる。具体的には、糖類、カカオマス、カカオバター、ココアパウダー、粉乳等の各種粉末食品、乳化剤、香料、色素等の原料を適宜選択して混合し、ロール掛け及びコンチング処理を行い、得ることができる。
本発明のチョコレート様食品には、通常チョコレート類の製造に使用される乳化剤を使用することができる。ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリソルベート、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが例示できる。これらは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明のチョコレート様食品の好ましい用途は、被覆用チョコレート様食品である。本発明において、被覆用チョコレート様食品とは、油脂が連続相をなす油脂加工食品であり、菓子、ベーカリー製品等の表面をコーティングあるいはカバリングするための被覆チョコレート様食品が例示できる。
本発明において、被覆チョコレート様食品を利用して被覆してなる複合食品としては、菓子、ベーカリー製品であれば、特に限定されるものではないが、菓子としては、まんじゅう、蒸しようかん、カステラ、どら焼き、今川焼き、たい焼き、きんつば、ワッフル、栗まんじゅう、月餅、ボーロ、八つ橋、せんべい、かりんとう、ドーナツ、スポンジケーキ、ロールケーキ、エンゼルケーキ、パウンドケーキ、バウムクーヘン、フルーツケーキ、マドレーヌ、シュークリーム、エクレア、ミルフィユ、アップルパイ、タルト、ビスケット、クッキー、クラッカー、蒸しパン、プレッツェル、ウエハース、スナック菓子、ピザパイ、クレープ、スフレー、ベニェなどや、バナナ、りんご、イチゴなどの果物に油脂組成物を被覆した菓子が挙げられ、パンとしては、食パン、コッペパン、フルーツブレッド、コーンブレッド、バターロール、ハンバーガーバンズ、フランスパン、ロールパン、菓子パン、スイートドウ、乾パン、マフィン、ベーグル、クロワッサン、デニッシュペーストリー、ナンなどが例示できる。アイス冷菓用にも使用できるが、好ましくは常温で使用されるほうが本発明の効果が得られる。
本発明において、被覆用チョコレート様食品も利用方法は、溶融した被覆用チョコレート様食品をテンパリング処理することなしに被覆作業を行うが、被覆させる条件は、融解状態から被覆後、冷蔵温度15℃以下で冷却し、速やかに固化させるのが好ましい。
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、例中、%及び部はいずれも質量基準を意味する。
(分析方法)
(プロピル化による脂肪酸組成分析方法)
油脂の脂肪酸組成は、吉永らにより報告されている「The Collaborative Study on the Enzymatic Analysis of Positional Distribution of Short- and Medium- chain Fatty Acids in Milk Fat Using Immobilized Candida Antarctica Lipase B」記載の方法に準じて通常のメチルエステル化ではなくプロピルエステル化し。ガスクロマトグラフによる分析は日本油化学協会基準油脂分析試験法に準じて測定した。
(トリグリセリド組成分析方法)
油脂中のトリグリセリドを構成している脂肪酸の総炭素数の測定は、日本油化学会制定‘基準油脂分析試験法2.4.6 トリアシルグリセリン組成(ガスクロマトグラフ法)’に準じて実施した。
(SFC測定方法)
(各温度のSFC)(固化速度)の測定において、SFCは、IUPAC.2 150 SOLID CONTENT DETERMINATION IN FATS BY NMRに準じて測定する。分析装置はBruker社製“minispec mq20”を使用する。
(各温度のSFC Parallel measurements)
溶解特性を評価するため、油脂を80℃で10分保持した後、60℃に30分保持することで油脂を完全に溶解し、0℃に1時間保持して固化させる。さらに、所定の温度(10℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃)に30分保持した後にSFC(固体脂含量)を測定する。
(固化速度)
油脂を80℃で10分保持した後、60℃に30分保持することで油脂を完全に溶解し、20℃にて安定化し、3分後~30分後のSFC(固体脂含量)を測定する。
表1に記載の割合にて調合した原料油脂1.0kgに、ナトリウムメチラートを触媒として1.5g添加し、80℃にて30分ランダムエステル交換を行った後、常法に従い水洗/脱色/脱臭を行いエステル交換油脂を得た。前記脂肪酸組成分析方法に従い脂肪酸組成を分析した結果を表1に示す。また前記トリグリセリド組成分析方法に従いトリグリセリド組成を分析した結果を表2に示す。なお表1においてヨウ素価をIVと表記した。
Figure 0007444061000001
(脂肪酸組成分析値の評価)
下記(A)~(J)の数値で評価した。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が90~99.5質量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が6~18質量%
(C)構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が25~50質量%
(D)構成脂肪酸組成中、炭素数12以下の飽和脂肪酸の含有量が35~60質量%
(E)構成脂肪酸組成中、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が1質量%以下
(F)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が20~50質量%
(G)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20~38質量 %
(H)構成脂肪酸組成中、ステアリン酸の含有量が3~20質量%
(I)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が0.5~10質量%
(J)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸含有量が5質量%以下
(表1の考察)
・実施例1~実施例9のエステル交換油は、前記(A)~(J)の数値範囲を全て満たす。
・比較例2は、パルミチン酸の含有量が38.8%で(G)を満たさないものであった。
・比較例3は、ステアリン酸の含有量が31.5%で(H)を満たさないものであった。なお(E)を満たすものの炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が0.6質量%であった。
・比較例1は、重要視している(I)を満たさず、また(A)、(D)、(E)も満たさないものであった。
・比較例4は、重要視している(I)を満たさず、また(A)、(D)、(G)、(H)も満たさないものであった。
・比較例5は、重要視している(I)を満たさず、また(A)、(B)、(D)も満たさないものであった。
Figure 0007444061000002
(トリグリセリド分析値の評価)
1、CN30~CN38の含有量が20~50質量%
2、CN48以上の含有量が30質量%以下
3、(CN48以上の含有量)/(CN28以下の含有量)が20以下
(表2の考察)
・実施例1~実施例9、比較例2~比較例3は、前記1~3の数値範囲を全て満たす。
・実施例4は、(CN48以上の含有量)/(CN28以下の含有量)が1.3と低く、相対的に低融点成分が多い可能性がある。
・比較例1、比較例4~比較例5は、前記1~3を全て満たさないものであった。
前記(各温度のSFC)測定方法に従い、各油脂における、各温度のSFCを測定した、結果を表3に示す。
Figure 0007444061000003
(SFC%の評価)
下記数値範囲を全て満たすことでシャープな融解特性の指標とした。
・10℃のSFCが、85%~100%
・20℃のSFCが、60%~80%
・25℃のSFCが、45%~70%
・40℃のSFCが、2%以下
下記数値範囲を全て満たすことで、より好ましいシャープな融解特性の指標とした。
10℃のSFCが、85%~100%
20℃のSFCが、60%~80%
25℃のSFCが、45%~70%
30℃のSFCが、25%~50%
35℃のSFCが、3%~30%
40℃のSFCが、2%以下
下記数値範囲を全て満たすことで、さらに好ましいシャープな融解特性の指標とした。
10℃のSFCが、85%~100%
20℃のSFCが、65%~80%
25℃のSFCが、50%~70%
30℃のSFCが、25%~50%
35℃のSFCが、5%~30%
40℃のSFCが、2%以下
(表3の考察)
・前記、脂肪酸組成分析値の評価、トリグリセリド組成分析値の評価の数値範囲を全て満たす、実施例1~実施例9は、シャープな融解特性が得られた。
・パルミチン酸の含有量が38質量%を超える、比較例2の35℃SFC%は、2.4%で、2%を超えるものであった。
・ステアリン酸の含有量が20質量%を超える、比較例3の35℃SFC%は、2.2%で、2%を超えるものであった。
・比較例1、比較例4~比較例5は、シャープな融解特性が得られなかった。
・実施例4を除く、実施例1~実施例3、実施例5~実施例9は、より好ましいシャープな融解特性を満たすものであった。
・実施例4、実施例8~実施例9を除く、実施例1~実施例3、実施例5~実施例7は、さらに好ましいシャープな融解特性を満たすものであった。
前記(固化速度)測定方法に従い、固化速度を測定した、結果を表4に示す。
Figure 0007444061000004
(表4の考察)
・構成要件を満たす、実施例1~実施例9は、10分後の固体脂含量が20%を超えており、良好な結果が得られた。
・炭素数20以上の飽和脂肪酸を含有する比較例1は10分後の固体脂含量が13.3%と低く、ハードバターとして必要な固化速度が劣るものであった。
(チョコレートテストによる評価)
上記で作製したエステル交換油脂を使用してチョコレートテストにより評価した。
チョコレートテストで使用する油脂
(エステル交換油脂)
・実施例2のエステル交換油脂、比較例1のエステル交換油脂を使用した。
(非エステル交換ラウリン系油脂A)
パーム核油ステアリンの硬化タイプであって、ココアバター代用脂(CBS=cocoa butter substitute)として使用される、パルケナH(不二製油株式会社製)を非エステル交換ラウリン系油脂Aとして使用した。
上昇融点は35.0℃であった。脂肪酸組成を表5に示す。
Figure 0007444061000005
表6の配合に従いチョコレートを作製した。また、(測定方法)に従い作製したチョコレートの測定値を表6に示す。
(測定方法)
(平均粒子径)
マイクロメーター(株式会社ミツトヨ社製、商品名「デジマチック標準外側マイクロメーター MDC-25PJ」)の測定面にチョコレート様食品(油分が50%未満に満たない場合は、液油により希釈し油分50~60%に調製)を付着させ、測定面同士を付着させてチョコレート様食品が測定面よりはみ出す状態で粒度を測定する。粒度は5回測定し、最大と最小の値を除く3回の測定値の平均値を平均粒子径とした。
(粘度)
チョコレート様食品の品温を45℃に調整し、BM型粘度計(東京計器株式会社製)で10,000cP以下の場合は3号ローター、12rpmにて測定し、10,000cPを超える場合は4号ローター、12rpmにて測定した。
Figure 0007444061000006
(ブルーム耐性の評価)
チョコレートを完全融解した後50℃に調整し、プラスチックカップに約15g充填し、直ちに5℃で冷却した。一晩5℃で固化した後、20℃で一晩静置し、15℃恒温インキュベータにて保管し経時変化を観察した。テスト開始してから、ブルームが発生するまでに経過した日数を、表7にまとめた。
45日目までブルームが出ないものを合格「○」とした。
Figure 0007444061000007
(表7の考察)
・比較例6はブルーム耐性が劣っていた。
(チョコレートのコーティングテスト)
作製したチョコレートをコーティングテストにより評価した。評価方法は、(コーティングテスト評価方法)に従って実施した。評価結果は、表8にまとめた。
(コーティングテスト評価方法)
(乾き時間)
チョコレートを完全融解した後50℃に調整し、市販されているドーナツにコーティングし、室温(22℃)で固化するまでの時間を計測することで評価した。
(口溶け)
チョコレートを市販されているドーナツにコーティングし、20℃1日保存後に試食し、下記評価基準に従い評価した。
3点 : 口どけが非常によく冷感があり、後残りは感じられない。
2点 : 口どけがよく、後残りは感じられない。
1点 : 口どけが悪く、後残りが感じられる。
(つや)
チョコレートを市販されているドーナツにコーティングし、20℃1日保存後の状態を目視により評価した。
(耐熱性)
チョコレートを完全融解した後50℃に調整し、市販されているドーナツにコーティングし、5℃にて2分間冷却固化した後、28℃のインキュベータに保存した。14日後にチョココーティングがべたつくかどうかで耐熱性を評価した。
○:べたつきなく耐熱性良好
×:べたつきあり耐熱性不良
Figure 0007444061000008
(表8の考察)
・乾き時間はいずれも許容範囲で、実施例11と比較例6はややはやかった。
・実施例11及び比較例6は非常に良好な口どけを有していた。
・実施例10は口残りがなく良好な口どけを有していた。
・比較例7は、口どけが悪く、後残りが感じられる。
・つや及び耐熱性はいずれも大差なく良好であった。
(総合評価)
総合評価を行なった。最良が5点、最低が1点とする5段階評価とした。評価3以上を合格とした。評価結果を表9に示す。
Figure 0007444061000009
(表9の考察)
・比較例は総合評価結果、不合格であった。
・実施例11は、乾き時間、口溶け、ブルーム耐性がより優れていた。
・比較例6は、ブルーム耐性が劣っていた。
・比較例7は、口溶けが劣っていた。
本発明により、シャープな溶解性状を示す、エステル交換油脂を使用したチョコレート様食品、特にテンパリング操作を実施しないチョコレートに好適に利用することができる。

Claims (6)

  1. (A)~(J)を全て満たすエステル交換油脂を5質量%~50質量%、及びカカオ成分を5質量%~50質量%含有する、チョコレート様食品。
    (A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~18の飽和脂肪酸の含有量が90~99.5質量%
    (B)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が6~18質量%
    (C)構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が25~50質量%
    (D)構成脂肪酸組成中、炭素数12以下の飽和脂肪酸の含有量が35~60質量%
    (E)構成脂肪酸組成中、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量が1質量%以下
    (F)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が20~50質量%
    (G)構成脂肪酸組成中、パルミチン酸の含有量が20~38質量%
    (H)構成脂肪酸組成中、ステアリン酸の含有量が3~20質量%
    (I)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が0.5~10質量%
    (J)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸含有量が質量%以下
    ただし、(A)~(J)の脂肪酸組成分析は、脂肪酸をプロピルエステル化して分析する。
  2. 請求項1に記載されたエステル交換油脂の、(CN48以上の含有量)/(CN28以下の含有量)が1.5~20である、請求項1に記載のチョコレート様食品。
    ただし、CN48以上:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が48以上のトリグリセリド、
    CN28以下:油脂中のトリグリセリドの構成脂肪酸の総炭素数が28以下のトリグリセリド
  3. 請求項1に記載された、(I)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が1~6質量%である、請求項1又は請求項2に記載のチョコレート様食品。
  4. (a)~(c)を全て満たす非エステル交換油脂を5質量%~50質量%含有する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のチョコレート様食品。
    (a)構成脂肪酸組成中、ラウリン酸の含有量が20~70質量%
    (b)構成脂肪酸組成中、不飽和脂肪酸含有量が5質量%以下
    (c)構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が5~50質量%
    ただし、(a)~(c)の脂肪酸組成分析は、脂肪酸をメチルエステル化して分析する。
  5. 請求項4に記載された非エステル交換油脂の上昇融点が30℃以上40℃以下である、請求項4に記載のチョコレート様食品。
  6. 請求項4に記載された、(c)構成脂肪酸組成中、炭素数16~18の飽和脂肪酸の含有量が10~25質量%である、請求項4又は請求項5に記載のチョコレート様食品。
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