JP2021177757A - 油性食品用油脂組成物 - Google Patents

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Wakako Kanamaru
明 赤羽
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清美 大西
Kiyomi Onishi
榛那 石川
Haruna Ishikawa
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Abstract

【課題】油脂の分離及び粗大結晶が発生しにくい油性食品用油脂組成物を提供することにある。【解決手段】下記の(a)から(f)の条件を満たす油性食品用油脂組成物。(a)Y3を1〜15質量%含有する。(b)C50以上のY3/Y3の質量比が0.35以上である。(c)X2Uを5〜30質量%含有する。(d)XXU/XUXの質量比が0.30以上である。(e)XU2+U3を60〜84質量%含有する。(f)P/Stの質量比が2.35以上である。X:炭素数16〜18の飽和脂肪酸、Y:炭素数8〜22の飽和脂肪酸、U:炭素数18の不飽和脂肪酸、P:パルミチン酸、St:ステアリン酸【選択図】なし

Description

本発明は、ソフトチョコレート等の油性食品の製造に使用される油性食品用油脂組成物に関する発明である。
油脂を主原料とした油性食品のうち、チョコレートは、菓子の中でも一般消費者に広く好まれている商品である。チョコレートには、様々な食感の商品が存在しており、板チョコのような硬いチョコレート以外に、軟らかくてクリーム状のチョコレートが存在する。軟らかくてクリーム状のチョコレートは、通常、ソフトチョコレートと呼ばれている。ソフトチョコレートとしては、特許文献1〜4等のソフトチョコレートが提案されている。
通常、ソフトチョコレートには、物性を軟らかくするために、液状油が多く配合されることが多い。しかしながら、チョコレートに多くの液状油が配合されると、チョコレートに含まれる油脂が、固体脂と液状油に分離しやすいことが知られている。そのため、ソフトチョコレートは、分離した液状油の染み出しが問題になることがあった。従って、ソフトチョコレートの製造に使用される油脂には、固体脂と液状油に分離しにくいことが求められる。
また、チョコレートに多くの液状油が配合されると、チョコレート中のココアバターやココアバター代用脂に含まれる油脂結晶が結晶型転移を起こし易くなることが知られている。チョコレート中のココアバターやココアバター代用脂に含まれる油脂結晶が結晶型転移を起こすと、油脂結晶が粗大化し、その結果、チョコレートはグレインを発生することになる。そのため、ソフトチョコレートは、グレインの発生が問題になることがあった。従って、ソフトチョコレートの製造に使用される油脂には、粗大結晶が発生しにくいことが求められる。
以上のような背景から、ソフトチョコレートの製造への使用に適した油脂として、油脂の分離及び粗大結晶が発生しにくい油脂の開発が求められていた。
特開平11−4657号公報 特開2003−313582号公報 特開2006−115724号公報 特開2008−228641号公報
本発明の目的は、油脂の分離及び粗大結晶が発生しにくい油性食品用油脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定のトリグリセリド及び特定の脂肪酸を特定組成に調整することで、油脂の分離及び粗大結晶が発生しにくい油性食品用油脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、下記の(a)から(f)の条件を満たす油性食品用油脂組成物である。
(a)Y3を1〜15質量%含有する。
(b)C50以上のY3/Y3の質量比が0.35以上である。
(c)X2Uを5〜30質量%含有する。
(d)XXU/XUXの質量比が0.30以上である。
(e)XU2+U3を60〜84質量%含有する。
(f)P/Stの質量比が2.35以上である。
上記の(a)から(f)の条件において、X、Y、U、P、St、Y3、C50以上のY3、X2U、XUX、XXU、XU2、U3はそれぞれ以下のものを示す。

X:炭素数16〜18の飽和脂肪酸
Y:炭素数8〜22の飽和脂肪酸
U:炭素数18の不飽和脂肪酸
P:パルミチン酸
St:ステアリン酸
Y3:Yが3分子結合しているトリグリセリド
C50以上のY3:構成する脂肪酸残基の総炭素数が50以上であるY3
X2U:Xが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
XUX:1位と3位にX、2位にUが結合しているトリグリセリド
XXU:1位及び2位にX、3位にUが結合しているトリグリセリド、又は2位及び3位にX、1位にUが結合しているトリグリセリド
XU2:Xが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド
U3:Uが3分子結合しているトリグリセリド
本発明の第2の発明は、油脂の固体脂含量が、10℃で3〜30%、20℃で15%以下、35℃で10%以下である第1の発明に記載の油性食品用油脂組成物である。
本発明の第3の発明は、前記油性食品が、チョコレートである第1の発明又は第2の発明に記載の油性食品用油脂組成物である。
本発明の第4の発明は、第1の発明〜第3の発明のいずれか1つの発明に記載の油性食品用油脂組成物を使用して得られる油性食品である。
本発明の第5の発明は、前記油性食品が、チョコレートである本発明の第4の発明に記載の油性食品。
本発明によると、油脂の分離及び粗大結晶が発生しにくい油性食品用油脂組成物を提供することができる。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、下記の(a)から(f)の条件を満たす油脂組成物である。
(a)Y3を1〜15質量%含有する。
(b)C50以上のY3/Y3の質量比が0.35以上である。
(c)X2Uを5〜30質量%含有する。
(d)XXU/XUXの質量比が0.30以上である。
(e)XU2+U3を60〜84質量%含有する。
(f)P/Stの質量比が2.35以上である。
本発明で油性食品とは、油脂を含み、油脂が連続相である加工食品のことである。油性食品の具体例は、チョコレート、フィリング、バタークリーム、ショートニング、マーガリン、ファットスプレッド等である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、Y3を1〜15質量%含有し、好ましくは1.2〜12質量%含有し、より好ましくは1.5〜9質量%含有する(条件(a))。
なお、本発明でY3は、Yが3分子結合しているトリグリセリド(YYY)である。また、本発明でトリグリセリドとは、グリセロールに3分子の脂肪酸が結合したトリアシルグリセロールのことである。また、本発明でYは、炭素数8〜22の飽和脂肪酸である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、C50以上のY3/Y3の質量比が0.35以上であり、好ましくは0.40〜0.95であり、より好ましくは0.45〜0.90である(条件(b))。なお、本発明でC50以上のY3/Y3の質量比は、Y3含有量(質量%)に対するC50以上のY3含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でC50以上のY3は、構成する脂肪酸残基の総炭素数が50以上であるY3のことである。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、X2Uを5〜30質量%含有し、好ましくは7〜28質量%含有し、より好ましくは10〜25質量%含有する(条件(c))。
なお、本発明でX2Uは、Xが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド(XXU+XUX+UXX)である。また、本発明でXは、炭素数16〜18の飽和脂肪酸である。また、本発明でUは、炭素数18の不飽和脂肪酸である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、XXU/XUXの質量比が0.30以上であり、好ましくは0.60〜1.50であり、より好ましくは0.70〜1.20である(条件(d))。
なお、本発明でXXU/XUXの質量比は、XUX含有量(質量%)に対するXXU含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でXUXは、1位と3位にX、2位にUが結合しているトリグリセリドである。また、本発明でXXUは、1位及び2位にX、3位にUが結合しているトリグリセリド(XXU)又は2位及び3位にX、1位にUが結合しているトリグリセリド(UXX)である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、XU2+U3を60〜84質量%含有し、好ましくは66〜84質量%含有し、より好ましくは70〜83質量%含有し、さらに好ましくは70〜82.5質量%含有する(条件(e))。
なお、本発明でXU2+U3は、XU2含有量とU3含有量の合計含有量のことである。また、本発明でXU2は、Xが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド(XUU+UXU+UUX)である。また、本発明でU3は、Uが3分子結合しているトリグリセリド(UUU)である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、P/Stの質量比が2.35以上であり、好ましくは2.38〜5.85であり、より好ましくは2.40〜5.35である(条件(f))。
なお、本発明でP/Stの質量比は、構成脂肪酸中のSt含有量(質量%)に対するP含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でPは、パルミチン酸(炭素数16の飽和脂肪酸)のことである。また、本発明でStは、ステアリン酸(炭素数18の飽和脂肪酸)のことである。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物が条件(a)〜(f)の範囲を満たすと、油脂の分離及び粗大結晶が発生しにくい油性食品用油脂組成物が得られる。なお、本発明で油脂の分離とは、油脂が固体脂と液状油に分離することをいう。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、C50以上Y3を好ましくは0.8〜12質量%含有し、より好ましくは1.0〜9質量%含有し、さらに好ましくは1.2〜7質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、XUXを好ましくは3〜17質量%含有し、より好ましくは3.5〜15質量%含有し、さらに好ましくは5〜13質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、XXUを好ましくは2〜17質量%含有し、より好ましくは3〜15質量%含有し、さらに好ましくは4〜13質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、X2Oを好ましくは3〜25質量%含有し、より好ましくは4〜22質量%含有し、さらに好ましくは5〜18質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、X2O/X2Uの質量比が好ましくは0.40以上であり、より好ましくは0.45〜0.85であり、さらに好ましくは0.50〜0.75である
なお、本発明でX2O/X2Uの質量比は、X2U含有量(質量%)に対するX2O含有量(質量%)の比のことである。また、本発明でX2OはXが2分子、Oが1分子結合しているトリグリセリド(XXO+XOX+OXX)である。また、本発明でOは、オレイン酸(炭素数18の1価の不飽和脂肪酸)である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、XU2を好ましくは10〜45質量%含有し、より好ましくは15〜42質量%含有し、さらに好ましくは25〜38質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、U3を好ましくは30〜75質量%含有し、より好ましくは32〜70質量%含有し、さらに好ましくは35〜55質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、構成脂肪酸としてYを好ましくは10〜40質量%含有し、より好ましくは15〜38質量%含有し、さらに好ましくは20〜35質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、構成脂肪酸としてXを好ましくは10〜40質量%含有し、より好ましくは13〜37質量%含有し、さらに好ましくは15〜33質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、構成脂肪酸としてZを好ましくは0〜10質量%含有し、より好ましくは0.5〜8質量%含有し、さらに好ましくは1.0〜5質量%含有する。
なお、本発明でZは、炭素数20〜22の飽和脂肪酸である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、構成脂肪酸としてMを好ましくは5質量%以下含有し、より好ましくは3質量%以下含有し、さらに好ましくは1質量%以下含有する。
なお、本発明でMは、炭素数14以下の飽和脂肪酸である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、構成脂肪酸として、Uを好ましくは60〜85質量%含有し、より好ましくは63〜83質量%含有し、さらに好ましくは65〜80質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、構成脂肪酸として、トランス脂肪酸を好ましくは5質量%以下含有し、より好ましくは3質量%以下含有し、さらに好ましくは2質量%以下含有する。
なお、本発明でトランス脂肪酸は、TFAと記載することもある。
本実施の形態の油性食品用油脂組成物は、油脂の固体脂含量(以下、SFCとする)が好ましくは10℃で3〜30%、20℃で15%以下、35℃で10%以下であり、より好ましくは10℃で4〜25%、20℃で13%以下、35℃で8%以下であり、さらに好ましくは10℃で4〜23%、20℃で2〜12%、35℃で7%以下である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、油脂以外の成分を添加することもできる。油脂以外の成分の具体例としては、例えば、乳化剤、トコフェロール、茶抽出物(カテキン等)、ルチン等の酸化防止剤、香料等が挙げられる。本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、油脂以外の成分を好ましくは5質量%以下含有し、より好ましくは3質量%以下含有し、さらに好ましくは1質量%以下含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、トリグリセリドの組成、構成脂肪酸の組成等が前記範囲であれば、特に制限されることなく、通常の食用油脂を使用して製造することができる。本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される食用油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ココアバター、シア脂、サル脂、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂等や、これらの加工油脂(水素添加油、分別油、エステル交換油)等が挙げられる。前記食用油脂は2種以上組み合せて使用することもできる。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造には、好ましくは下記油脂A、下記油脂B、下記油脂Cを使用する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、好ましくは下記油脂Aを12〜37質量%、下記油脂Bを60〜87質量%、下記油脂Cを0.5〜10質量%含有し、より好ましくは下記油脂Aを13〜35質量%、下記油脂Bを63〜85質量%、下記油脂Cを0.8〜8質量%含有し、さらに好ましくは下記油脂Aを13〜33質量%、下記油脂Bを65〜83質量%、下記油脂Cを1〜6質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、下記の条件(A)から(F)を満たす油脂である。
(A)X3を3〜15質量%含有する。
(B)X2Uを50〜70質量%含有する。
(C)XXU/XUXの質量比が1.0〜1.9である。
(D)XU2を15〜35質量%含有する。
(E)U3を10質量%以下含有する。
(F)P/Stの質量比が8.0〜15.0である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、X3を3〜15質量%含有し、好ましくは4〜13質量%含有し、より好ましくは5〜10質量%含有する(条件(A))。
なお、本発明でX3は、Xが3分子結合しているトリグリセリド(XXX)である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、X2Uを50〜70質量%含有し、好ましくは53〜68質量%含有し、より好ましくは55〜65質量%含有する(条件(B))。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、XXU/XUXの質量比が1.0〜1.9であり、好ましく1.2〜1.8であり、より好ましくは1.3〜1.6である(条件(C))。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、XU2を15〜35質量%含有し、好ましくは17〜33質量%含有し、より好ましくは20〜30質量%含有する(条件(D))。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、U3を10質量%以下含有し、好ましくは8質量%以下含有し、より好ましくは1〜6質量%含有する(条件(E))。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、P/Stの質量比が8.0〜15.0であり、好ましくは9.0〜14.0であり、より好ましくは10.0〜13.0である(条件(F))。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、XUXを好ましくは10〜35質量%含有し、より好ましくは12〜33質量%含有し、さらに好ましくは15〜30質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、XXUを好ましくは25〜45質量%含有し、より好ましくは28〜43質量%含有し、さらに好ましくは30〜40質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、X2Oを好ましくは40〜60質量%含有し、より好ましくは43〜58質量%含有し、さらに好ましくは45〜55質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、X2O/X2Uの質量比が好ましくは0.65以上であり、より好ましくは0.70〜0.93であり、さらに好ましくは0.75〜0.87である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸としてXを好ましくは45〜65質量%含有し、より好ましくは48〜63質量%含有し、さらに好ましくは50〜60質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸としてZを好ましくは5質量%以下含有し、より好ましくは3質量%以下含有し、さらに好ましくは1質量%以下含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸としてMを好ましくは5質量%以下含有し、より好ましくは3質量%以下含有し、さらに好ましくは2質量%以下含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸として、Uを好ましくは35〜55質量%含有し、より好ましくは38〜53質量%含有し、さらに好ましくは40〜50質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、構成脂肪酸として、トランス脂肪酸を好ましくは5質量%以下含有し、より好ましくは3質量%以下含有し、さらに好ましくは1質量%以下含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、下記のランダムエステル交換油Dを分別して低融点部を得ることで製造することができる。また、発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aは、下記のランダムエステル交換油Dと下記の油脂Eとの混合油を分別して低融点部を得ることで製造することができる。
前記油脂Aの製造に使用されるランダムエステル交換油Dは、ランダムエステル交換することにより得られ、X3を25〜35質量%、X2Uを40〜50質量%、XU2を15〜25質量%、U3を5質量%以下含有し、XXU/XUXの質量比が1.6〜2.0、X2O/X2Uの質量比が0.80〜0.90、P/Stの質量比が11.0〜14.0である。また、前記油脂Aの製造に使用されるランダムエステル交換油Dは、好ましくは構成脂肪酸としてXを60〜70質量%、Uを28〜38質量%含有する。
前記油脂Aの製造に使用されるランダムエステル交換油Dは、好ましくはパーム中融点部とパームステアリンとの混合油をランダムエステル交換して得られる油脂である。前記パーム中融点部は、沃素価が好ましくは40〜50である。前記パームステアリンは、沃素価が好ましくは8〜20である。前記パーム中融点部とパームステアリンとの混合油の配合比(パーム中融点部:パームステアリン)は、好ましくは質量比70:30〜60:40である。
前記ランダムエステル交換油Dを製造するためのランダムエステル交換反応は、特に制限はなく、通常の方法で行うことができる。前記ランダムエステル交換油Dを製造するためのランダムエステル交換反応は、ナトリウムメトキシド等の合成触媒を使用した化学的エステル交換、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換のどちらの方法を用いてもよい。
前記油脂Aの製造に使用される油脂Eは、X3を1〜8質量%、X2Uを62〜72質量%、XU2を17〜27質量%、U3を5質量%以下含有し、XXU/XUXの質量比が0.2以下、X2O/X2Uの質量比が0.80〜0.90、P/Stの質量比が8.0〜11.0である。また、前記油脂Aの製造に使用される油脂Eは、好ましくは構成脂肪酸としてXを48〜58質量%、Uを40〜50質量%含有する。
前記油脂Aの製造に使用される油脂Eは、好ましくは沃素価40〜50のパーム中融点部である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aが前記ランダムエステル交換油Dと前記油脂Eとの混合油を分別して得られる低融点部である場合、前記ランダムエステル交換油Dと前記油脂Eとの混合油の配合比(ランダムエステル交換油D:油脂E)は、好ましくは質量比85:15〜97:3である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Aを得るための分別は、特に制限はなく、通常の方法で行うことができる。前記低融点部を得るための分別は、好ましくはドライ分別(自然分別)である。ドライ分別は、油脂を槽内で攪拌しながら冷却することで油脂の結晶を析出させた後、圧搾及び/又はろ過することで、高融点部(硬質部又は結晶画分とも言う。)と低融点部(軟質部又は液状画分とも言う。)に分けられる。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、20℃で液状の油脂である(以下、20℃で液状の油脂は、液状油とする。)。本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、液状油であれば特に制限されることなく使用することができる。液状油は、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、ごま油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油等や、これらの油脂の加工油脂(エステル交換油、分別油、硬化油(水素添加油)等)等を使用することができる。本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Bは、好ましくは大豆油、菜種油であり、より好ましくは大豆油である。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、構成脂肪酸として、X+Zを90質量%以上含有し、好ましくは93質量%以上含有し、より好ましくは95質量%以上含有する。
なお、本発明でX+Zは、X含有量とZ含有量の合計含有量のことである。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、構成脂肪酸として、St+Zを好ましくは88質量%以上含有し、より好ましくは90質量%以上含有し、さらに好ましくは92質量%以上含有する。
なお、本発明でSt+Zは、St含有量とZ含有量の合計含有量のことである。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、構成脂肪酸として、Zを好ましくは45〜65質量%含有し、より好ましくは48〜63質量%含有し、さらに好ましくは50〜60質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物の製造に使用される油脂Cは、好ましくは植物油の極度硬化油であり、より好ましくはパーム系油脂の極度硬化油(パーム油の極度硬化油等)、U含有量が80質量%以上の油脂の極度硬化油(菜種油の極度硬化油、大豆油の極度硬化油等)又はハイエルシン酸菜種油の極度硬化油であり、さらに好ましくはハイエルシン酸菜種油の極度硬化油である。
油脂のトリグリセリド含有量は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)準拠)、銀イオンカラム−HPLC法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)準拠)及びガスクロマトグラフィー法(AOCS Ce5−86準拠)で測定することができる。
油脂の脂肪酸含有量は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96準拠)で測定することができる。
油脂のSFCは社団法人 日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の2.2.9−2003 固体脂含量(NMR法)に準じて測定することができる。
油脂の沃素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1−2013 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定することができる。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、好ましくはチョコレート、フィリング、バタークリーム、ショートニング、マーガリン、ファットスプレッド等の油性食品の製造に使用される。また、本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、より好ましくはノンテンパリング型チョコレートの製造に使用される。また、本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、ソフトチョコレートの製造に使用される。
なお、本発明でソフトチョコレートとは、25℃での性状がカスタードクリームのようなクリーム状で可塑性があり、食感が軟らかいチョコレートのことである。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、好ましくは焼成油性食品の製造に使用される。本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、好ましくは焼成油性食品用油脂組成物である。
なお、本発明で焼成油性食品とは、焼成される油性食品のことである。
本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物は、油脂の分離及び粗大結晶が発生しにくい。
本発明の実施の形態の油性食品は、本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物を含有する。すなわち、本発明の実施の形態に係る油性食品は、本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物を使用して製造される。
本発明の実施の形態の油性食品は、好ましくはチョコレート、フィリング、バタークリーム、ショートニング、マーガリン、ファットスプレッドであり、より好ましくはチョコレートであり、さらに好ましくはソフトチョコレートである。
なお、本発明でチョコレートは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規上の規定により限定されるものではなく、食用油脂、糖類を主原料とし、必要によりカカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、乳化剤等を加え、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、調温工程、成形工程、冷却工程等の全部乃至一部)を経て製造され、油脂が連続相をなし、実質的に水を含まない(水分が好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。)食品のことである。また、本発明でチョコレートは、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレートのいずれであってもよい。
本発明の実施の形態の油性食品は、好ましくはノンテンパリング型チョコレートである。
なお、本発明でノンテンパリング型チョコレートとは、テンパリング又はシーディングを行わずに製造されるチョコレートのことである。また、本発明でシーディングとは、テンパリングを行うかわりに、ココアバター又はカカオ代用脂(CBE)の安定型結晶を添加する方法である。
本発明の実施の形態の油性食品は、油性食品に含まれる油脂が本発明の実施の形態の油性食品用油脂組成物を好ましくは30〜100質量%含有し、より好ましくは50〜100質量%含有し、さらに好ましくは70〜98質量%含有し、最も好ましくは85〜95質量%含有する。
なお、本発明で油性食品に含まれる油脂は、油性食品に含まれる油脂の全てを合わせた全油脂分である。例えば、油性食品がカカオマス、全脂粉乳、油脂aを含む場合、油脂は、カカオマスに含まれるココアバターと、全脂粉乳に含まれる乳脂と、油脂aとの混合油である。すなわち、本発明で油性食品に含まれる油脂は、配合される油脂の他に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)に含まれる油脂(ココアバター、乳脂等)を含む。
本発明の実施の形態の油性食品は、油脂を好ましくは20〜65質量%含有し、より好ましくは25〜60質量%含有し、さらに好ましくは30〜57質量%含有し、最も好ましくは40〜50質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品は、好ましくは油性食品に含まれる油脂がココアバターを含有する。本発明の実施の形態に係る油性食品は、油性食品に含まれる油脂がココアバターを好ましくは0〜30質量%含有し、より好ましくは0〜25質量%含有し、さらに好ましくは2〜20質量%含有し、最も好ましくは5〜10質量%含有する。ココアバターの含有量が上記範囲であると、良好な風味を有する油性食品が得られる。
なお、本発明でココアバターは、カカオマス、ココアパウダー等の含油原料由来のココアバターも含む。
本発明の実施の形態の油性食品は、好ましくは糖質を含有する。なお、本発明で、糖質は、炭水化物から食物繊維を除いたもののことである。糖質の具体例は、糖類、糖アルコール(マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトール、還元水飴等)、でんぷん、オリゴ糖、デキストリン等である。また、本発明で、糖類は、単糖類、二糖類(ブドウ糖、果糖、ガラクトース、砂糖(ショ糖)、乳糖、麦芽糖等)のことである。
本発明の実施の形態の油性食品の製造に使用される糖質は、好ましくは糖類であり、より好ましくは砂糖、乳糖である。
本発明の実施の形態の油性食品は、糖質を好ましくは25〜65質量%含有し、より好ましくは28〜63質量%含有し、さらに好ましくは30〜60質量%含有する。
本発明の実施の形態の油性食品は、油脂、糖質以外にも、油性食品に一般的に配合される原料を使用することができる。具体的には、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳等の乳製品、カカオマス、ココアパウダー等のカカオ成分、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、コーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤、酸化防止剤、着色料、香料等を使用することができる。
本発明の実施の形態の油性食品は、従来公知の方法により製造することができる。
本発明の実施の形態の油性食品がチョコレートである場合は、例えば、油脂、カカオ成分、糖質、乳製品、乳化剤等を原料として、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、冷却工程等を経て製造することができる。また、本発明の実施の形態の油性食品がチョコレートである場合は、好ましくは微粒化工程を経て製造される。さらに、本発明の実施の形態の油性食品がチョコレートである場合は、好ましくはテンパリング及びシーディングを行わずに製造される。
本発明の実施の形態の油性食品は、油脂の分離及びグレインが発生しにくい。
なお、本発明でグレインとは、油性食品に発生する粒(油脂の粗大結晶)のことをいう。
本発明の実施の形態の油性食品は、焼成して使用することもできる。本発明の実施の形態の油性食品は、好ましくは焼成油性食品である。
本発明の実施の形態の油性食品は、複合食品用に使用することができる。なお、本発明で複合食品とは、油性食品と他の食品を組み合わせることで得られる複合食品のことである。
前記複合食品の製造に使用される他の食品としては、例えば、ドーナツ、食パン、コッペパン、フルーツブレッド、バターロール、フランスパン、ロールパン、菓子パン、スイートドウ、乾パン、マフィン、ベーグル、クロワッサン、デニッシュペーストリー等のベーカリー製品、カステラ、ワッフル、ボーロ、八つ橋、あられ、揚げせんべい、かりんとう、スポンジケーキ、ロールケーキ、パウンドケーキ、バウムクーヘン、フルーツケーキ、マドレーヌ、シュー、エクレア、ミルフィーユ、パイ、タルト、マカロン、ビスケット、クッキー、クラッカー、サブレ、マシュマロ、蒸しパン、プレッツェル、ウエハース、スナック菓子、クレープ、スフレ、ポテトチップス等の菓子、バナナ、りんご、イチゴ等の果物等が挙げられる。
前記複合食品は、従来公知の複合食品の製造方法を用いることによって、本発明の実施の形態の油性食品と他の食品とを組み合わせることで製造することができる。本発明の実施の形態の油性食品と他の食品とを組み合わせる方法としては、例えば、被覆、包餡、注入、巻く、挟む、付着等が挙げられる。
また、前記複合食品は、本発明の実施の形態の油性食品と焼成前のベーカリー製品用生地とを組み合わせた後、組み合わせた生地を焼成することで製造することもできる。
次に実施例により本発明を説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
〔分析方法〕
油脂のトリグリセリド含有量は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)準拠)、銀イオンカラム−HPLC法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)準拠)及びガスクロマトグラフィー法(AOCS Ce5−86準拠)で測定した。
油脂の脂肪酸含有量は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96準拠)で測定した。
油脂のSFCは社団法人 日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の2.2.9−2003 固体脂含量(NMR法)に準じて測定した。
油脂の沃素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1−2013 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
〔ランダムエステル交換油D1の製造〕
パーム中融点部(沃素価:45)65質量部とパームステアリン(沃素価:11)35質量部を混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換することにより、ランダムエステル交換油D1(X3含有量:31.2質量%、X2U含有量:43.1質量%、XU2含有量:19.7質量%、U3含有量:2.6質量%、XXU/XUX質量比:1.88、X2O/X2U質量比:0.842、P/St質量比:12.2、X含有量:64.7質量%、U含有量:33.7質量%)を得た。
エステル交換は、常法に従い、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.2質量%添加した後、減圧下、120℃で0.5時間攪拌しながら反応を行った。
〔油脂A1の製造〕
95質量部のランダムエステル交換油D1と5質量部のパーム中融点部(沃素価45、X3含有量:2.3質量%、X2U含有量:67.8質量%、XU2含有量:22.8質量%、U3含有量:3.0質量%、XXU/XUX質量比:0.124、X2O/X2U質量比:0.849、P/St質量比:9.37、X含有量:53.0質量%、U含有量:45.2質量%)を混合した。得られた混合油をドライ分別し、高融点部を除去することで低融点部を得た。該低融点部に脱臭処理を行ったものを油脂A1(X3含有量:8.6質量%、X2U含有量:57.8質量%、XXU/XUX質量比:1.449、XU2含有量:26.0質量%、U3含有量:3.4質量%、XUX含有量:23.6質量%、XXU含有量:34.2質量%、X2O含有量:48.3質量%、X2O/X2U質量比:0.836、X含有量:55.2質量%、Z含有量:0.4質量%、M含有量:1.1質量%、U含有量:43.2質量%、TFA含有量:0.1質量%)とした。
〔その他の原料油脂〕
パーム中融点部(沃素価45、X3含有量:2.3質量%、X2U含有量:67.8質量%、XU2含有量:22.8質量%、U3含有量:3.0質量%、XXU/XUX質量比:0.124、X2O/X2U質量比:0.849、P/St質量比:9.37、X含有量:53.0質量%、U含有量:45.2質量%)を油脂a1とした。
大豆油(性状:20℃で液状)を油脂B1とした。
ハイエルシン酸菜種油の極度硬化油(X+Z合計含有量:98.8質量%、St+Z合計含有量:95.0質量%、Z含有量:55.2質量%)を油脂C1とした。
パーム油の極度硬化油(X+Z合計含有量:98.2質量%、St+Z合計含有量:54.8質量%、Z含有量:0.6質量%)を油脂C2とした。
菜種油の極度硬化油(X+Z合計含有量:99.6質量%、St+Z合計含有量:94.0質量%、Z含有量:2.8質量%)を油脂C3とした。
パーム核オレインの極度硬化油50質量部とパームステアリンの極度硬化油50質量部の混合油のランダムエステル交換油(X+Z合計含有量:69.0質量%、St+Z合計含有量:35.0質量%、Z含有量:0.5質量%)を油脂c1とした。
〔油脂組成物の製造〕
表1〜4に示す配合で融解させた油脂を混合することで、油脂組成物を製造した。
得られた油脂組成物の脂肪酸含有量、トリグリセリド含有量を前述の分析方法に従って測定した。測定結果を表5〜8に示した。なお、配合の単位は質量部であり、含有量の単位は質量%である(質量比の単位はなし)。
〔油脂の分離の評価〕
各油脂組成物37.2gとココアバター2.8gを100mLのビーカーに充填し、60℃で融解させた後、混合することで得られる混合油を評価試料とした。各評価試料を、下記1)〜5)の順に調温することで冷却固化させた。冷却固化させた各評価試料を20℃で5時間保存した後、ビーカーに入った評価試料の状態を、ビーカーの真横から目視で観察することで、油脂の分離の有無を評価した。評価は下記評価基準に従い評価した。評価結果が○の場合、油脂の分離が発生しにくいと判断した。評価結果を表5〜8に示した。
1)5時間かけて50℃から25℃へ冷却する。
2)5時間かけて25℃から15℃へ冷却する。
3)5時間かけて15℃から10℃へ冷却する。
4)15時間かけて10℃から5℃へ冷却する。
5)5℃で15時間以上、冷却する。
<油脂の分離の評価基準>
○:液状油の層が認められない。
△:部分的に液状油の層が認められる。
×:液状油の層が認められる。
〔油脂結晶の評価〕
各油脂組成物37.2gとココアバター2.8gを100mLのビーカーに充填し、60℃で融解させた後、混合することで得られる混合油を評価試料とした。各評価試料を、下記1)〜5)の順に調温することで冷却固化させた。冷却固化させた各評価試料を20℃で1週間保存した後、評価試料の油脂結晶の状態を観察した。観察は、カバーガラスへ評価試料を1滴のせ、さらにカバーガラスを上から挟んだ試料を作成し、目視で観察することで、粗大結晶の有無を評価した。評価は下記評価基準に従い評価した。評価結果が◎又は○の場合、粗大結晶が発生しにくいと判断した。評価結果を表5〜8に示した。
1)5時間かけて50℃から25℃へ冷却する。
2)5時間かけて25℃から15℃へ冷却する。
3)5時間かけて15℃から10℃へ冷却する。
4)15時間かけて10℃から5℃へ冷却する。
5)5℃で15時間以上、冷却する。
<油脂結晶の評価基準>
◎:全体的に細かい結晶である。
○:部分的に粗い結晶もあるが、全体的には細かい結晶である。
△:全体的に粗い結晶である。
×:全体的に結晶が粗大化している
Figure 2021177757
Figure 2021177757
Figure 2021177757
Figure 2021177757
Figure 2021177757
Figure 2021177757
Figure 2021177757
Figure 2021177757
表5〜8から分かるように、実施例の油脂組成物は、油脂の分離及び粗大結晶が発生しにくかった。
一方、表5〜8から分かるように、比較例の油脂組成物は、油脂の分離又は粗大結晶が発生しやすかった。
〔チョコレートの製造〕
表9に示された配合のチョコレートを、通常のチョコレートの製造方法(混合、微粒化、精練、冷却)で製造した(配合の単位は質量%である。)。得られた全てのチョコレートは、25℃での性状がカスタードクリームのようなクリーム状で可塑性があり、食感が軟らかく、ソフトチョコレートであった。また、得られた全てのチョコレートは、水分含有量が3質量%以下であった。
〔チョコレートの油脂の分離の評価〕
60℃で完全に融解させ各チョコレートを、撹拌しながら10分間45℃に調温後、A−PET製カップ(容量60cc)に30g充填し、10℃にて30分間かけて冷却固化させた。各チョコレートを20℃及び28℃で8か月間保存した後、チョコレートの油脂の分離を評価した。評価は下記評価基準に従い評価した。評価結果が○の場合、チョコレートは、油脂の分離が発生しにくいと判断した。評価結果を表9に示した。
<チョコレートの油脂の分離の評価基準>
○:チョコレートから液状油の染み出しが認められない。
△:チョコレートから部分的に液状油の染み出しが認められる。
×:チョコレートから液状油の染み出しが認められる。
〔チョコレートのグレインの評価〕
60℃で完全に融解させ各チョコレートを、撹拌しながら10分間45℃に調温後、A−PET製カップ(容量60cc)に30g充填し、10℃にて30分間かけて冷却固化させた。各チョコレートを20℃及び28℃で8か月間保存した後、チョコレートのグレイン有無を評価した。評価は下記評価基準に従い評価した。評価結果が○の場合、チョコレートは、グレインが発生しにくいと判断した。評価結果を表9に示した
<チョコレートのグレインの評価基準>
○:グレインが発生していない。
△:グレインが部分的に発生している。
×:グレインが全体的に発生している。
Figure 2021177757
表9から分かるように、実施例の油脂組成物を使用して製造したチョコレートは、油脂の分離及びグレインが発生しにくかった。

Claims (5)

  1. 下記の(a)から(f)の条件を満たす油性食品用油脂組成物。
    (a)Y3を1〜15質量%含有する。
    (b)C50以上のY3/Y3の質量比が0.35以上である。
    (c)X2Uを5〜30質量%含有する。
    (d)XXU/XUXの質量比が0.30以上である。
    (e)XU2+U3を60〜84質量%含有する。
    (f)P/Stの質量比が2.35以上である。
    上記の(a)から(f)の条件において、X、Y、U、P、St、Y3、C50以上のY3、X2U、XUX、XXU、XU2、U3はそれぞれ以下のものを示す。
    X:炭素数16〜18の飽和脂肪酸
    Y:炭素数8〜22の飽和脂肪酸
    U:炭素数18の不飽和脂肪酸
    P:パルミチン酸
    St:ステアリン酸
    Y3:Yが3分子結合しているトリグリセリド
    C50以上のY3:構成する脂肪酸残基の総炭素数が50以上であるY3
    X2U:Xが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
    XUX:1位と3位にX、2位にUが結合しているトリグリセリド
    XXU:1位及び2位にX、3位にUが結合しているトリグリセリド、又は2位及び3位にX、1位にUが結合しているトリグリセリド
    XU2:Xが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド
    U3:Uが3分子結合しているトリグリセリド
  2. 油脂の固体脂含量が、10℃で3〜30%、20℃で15%以下、35℃で10%以下である請求項1に記載の油性食品用油脂組成物。
  3. 前記油性食品が、チョコレートである請求項1又は請求項2に記載の油性食品用油脂組成物。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の油性食品用油脂組成物を使用して得られる油性食品。
  5. 前記油性食品がチョコレートである請求項4に記載の油性食品。
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