JP2022133048A - チョコレート - Google Patents

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明 赤羽
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Abstract

【課題】汗かきし難い被覆用に適したチョコレートを提供することにある。【解決手段】チョコレートに含まれる油脂が下記の条件(a)から(f)を満たし、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.1~3質量%含有するチョコレート。(a)構成脂肪酸として、炭素数14以下の飽和脂肪酸を5~50質量%含有する。(b)構成脂肪酸として、炭素数16~18の飽和脂肪酸を30~55質量%含有する。(c)構成脂肪酸として、不飽和脂肪酸を10~50質量%含有する。(d)構成脂肪酸中のステアリン酸の含有量に対するパルミチン酸の含有量の質量比が1.3~4.5である。(e)構成する脂肪酸残基の総炭素数が32~40のトリグリセリドを3~28質量%含有する。(f)構成する脂肪酸残基の総炭素数が42~48のトリグリセリドを15~60質量%含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、被覆用に適したチョコレートに関する発明である。
チョコレートは、チョコレートのみからなる製品以外に、チョコレートと他の食品とを組み合わせた製品にも利用されている。チョコレートと他の食品とを組み合わせた製品のうち、チョコレートが被覆されたドーナツ、パン、ケーキ、シュー、エクレア、ビスケット等の食品は、非常に人気のある製品であり、需要が高く、広く市場に流通している。被覆用のチョコレートとしては、例えば、特許文献1~5のチョコレートが提案されている。
チョコレートが被覆された食品は、経時的に、チョコレートの表面に液状の粒が発生することがある。このチョコレートの表面に発生する液状の粒は、チョコレートが被覆された食品中の水分が、チョコレートの表面に移行することで発生するとされている。また、このチョコレートの表面に発生する液状の粒は、密封された包装袋において、チョコレートが被覆された食品から蒸発した水分が、チョコレートの表面の付着することでも発生するとされている。チョコレートの表面に液状の粒が発生する現象は、汗かきと呼ばれている。チョコレートが被覆された食品に、汗かきが発生すると、外見が悪くなるばかりか、持ちにくい、袋から出しにくいといった不具合を生じるので、商品価値が大きく損なわれる。従って、被覆用のチョコレートには、食品に被覆された後、汗かきし難いことが必要である。
以上のような背景から、汗かきし難い被覆用のチョコレートの開発が求められていた。
特開2010-227001号公報 特開2008-113570号公報 特開2005-185153号公報 特開2003-284497号公報 特開2003-274855号公報
本発明の課題は、汗かきし難い被覆用に適したチョコレートを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、チョコレートに含まれる油脂が特定のトリグリセリド及び特定の脂肪酸を特定量含有すること及びチョコレートがポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを特定量含有することにより、本課題が解決できることが見いだされた。これにより、本発明が完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、チョコレートに含まれる油脂が下記の条件(a)から(f)を満たし、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.1~3質量%含有するチョコレートである。
(a)構成脂肪酸として、炭素数14以下の飽和脂肪酸を5~50質量%含有する。
(b)構成脂肪酸として、炭素数16~18の飽和脂肪酸を30~55質量%含有する。
(c)構成脂肪酸として、不飽和脂肪酸を10~50質量%含有する。
(d)構成脂肪酸中のステアリン酸の含有量に対するパルミチン酸の含有量の質量比が1.3~4.5である。
(e)構成する脂肪酸残基の総炭素数が32~40のトリグリセリドを3~28質量%含有する。
(f)構成する脂肪酸残基の総炭素数が42~48のトリグリセリドを15~60質量%含有する。
本発明の第2の発明は、チョコレートに含まれる油脂がさらに下記の条件(g)を満たす第1の発明に記載のチョコレートである。
(g)構成する脂肪酸残基の総炭素数が56以上のトリグリセリドを0.5~5.0質量%含有する。
本発明の第3の発明は、糖質の含有量に対する乳糖の含有量の質量比が0.10以上である第1の発明又は第の2発明に記載のチョコレートである。
本発明の第4の発明は、前記チョコレートが被覆用チョコレートである第1の発明~第4の発明の何れか1つの発明に記載のチョコレートである。
本発明の第5の発明は、第1の発明~第4の発明の何れか1つの発明に記載のチョコレートを使用した複合食品である。
本発明の第6の発明は、前記チョコレートで被覆されている第5の発明に記載の複合食品である。
本発明によると、汗かきし難い被覆用に適したチョコレートを提供することができる。
本発明の実施の形態のチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が下記の条件(a)から(f)を満たし、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.1~3質量%含有するチョコレートである。
(a)構成脂肪酸として、炭素数14以下の飽和脂肪酸を5~50質量%含有する。
(b)構成脂肪酸として、炭素数16~18の飽和脂肪酸を30~55質量%含有する。
(c)構成脂肪酸として、不飽和脂肪酸を10~50質量%含有する。
(d)構成脂肪酸中のステアリン酸の含有量に対するパルミチン酸の含有量の質量比が1.3~4.5である。
(e)構成する脂肪酸残基の総炭素数が32~40のトリグリセリドを3~28質量%含有する。
(f)構成する脂肪酸残基の総炭素数が42~48のトリグリセリドを15~60質量%含有する。
本発明でチョコレートとは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規上の規定により限定されるものではなく、油脂、糖質を主原料とし、必要によりカカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、乳化剤等を加え、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、調温工程、成形工程、冷却工程等の全部乃至一部)を経て製造され、油脂が連続相をなし、実質的に水を含まない(水分が好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。)食品のことである。また、本発明でチョコレートは、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレートのいずれであってもよい。
本発明でチョコレートに含まれる油脂とは、チョコレートに含まれる油脂の全てを合わせた全油脂分である。例えば、チョコレートがカカオマス、全脂粉乳、油脂aを含む場合、油脂は、カカオマスに含まれるココアバターと、全脂粉乳に含まれる乳脂と、油脂aとの混合油である。すなわち、本発明でチョコレートに含まれる油脂は、チョコレートに配合される油脂の他に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)に含まれる油脂(ココアバター、乳脂等)を含む。
本発明の実施の形態のチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が、構成脂肪酸として、炭素数14以下の飽和脂肪酸を5~50質量%含有し、好ましくは15~45質量%含有し、より好ましくは20~40質量%含有する(条件(a))。以下、炭素数14以下の飽和脂肪酸は、C14以下SFAと記載することがある。
本発明の実施の形態のチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が、構成脂肪酸として、炭素数16~18の飽和脂肪酸を30~55質量%含有し、好ましくは35~52質量%含有し、より好ましくは40~50質量%含有する(条件(b))。以下、炭素数16~18の飽和脂肪酸は、C16~18SFAと記載することがある。
本発明の実施の形態のチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が、構成脂肪酸として、不飽和脂肪酸を10~50質量%含有し、好ましくは13~43質量%含有し、より好ましくは15~35質量%含有する(条件(c))。以下、不飽和脂肪酸は、USFAと記載することがある。
本発明の実施の形態のチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が、構成脂肪酸中のステアリン酸の含有量(質量%)に対するパルミチン酸の含有量(質量%)の質量比が1.3~4.5であり、好ましくは1.5~4.0であり、より好ましくは1.7~3.0である(条件(d))。以下、構成脂肪酸中のステアリン酸の含有量に対するパルミチン酸の含有量の質量比は、P/Stと記載することがある。
本発明の実施の形態のチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が、構成する脂肪酸残基の総炭素数が32~40のトリグリセリドを3~28質量%含有し、好ましくは7~27質量%含有し、より好ましくは13~25質量%含有する(条件(e))。以下、構成する脂肪酸残基の総炭素数が32~40のトリグリセリドは、C32~40TGと記載することがある。
本発明の実施の形態のチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が、構成する脂肪酸残基の総炭素数が42~48のトリグリセリドを15~60質量%含有し、好ましくは25~58質量%含有し、より好ましくは35~55質量%含有する(条件(f))。以下、構成する脂肪酸残基の総炭素数が42~48のトリグリセリドは、C42~48TGと記載することがある。
本発明の実施の形態のチョコレートは、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.1~3質量%含有し、好ましくは0.2~2質量%含有し、より好ましくは0.3~1質量%含有する。以下、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、PGPRと記載することがある。
本発明の実施の形態のチョコレートが、チョコレートに含まれる油脂が上記条件(a)から(f)を満たし、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを前記範囲で含有すると、食品に被覆された場合に、汗かきし難いチョコレートが得られる。
本発明の実施の形態のチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が、構成する脂肪酸残基の総炭素数が56以上のトリグリセリドを好ましくは0.5~5.0質量%含有し、より好ましくは0.7~4.0質量%含有し、さらに好ましくは0.8~3.5質量%含有する(条件(g))。本発明の実施の形態のチョコレートが、チョコレートに含まれる油脂がさらに上記条件(g)を満たすと、食品に被覆された場合に、より汗かきし難いチョコレートが得られる。以下、構成する脂肪酸残基の総炭素数が56以上のトリグリセリドは、C56以上TGと記載することがある。
本発明の実施の形態のチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が、構成脂肪酸として、炭素数10以下の飽和脂肪酸を好ましくは10質量%以下含有し、より好ましくは7質量%以下含有し、さらに好ましくは5質量%以下含有する。以下、炭素数10以下の飽和脂肪酸は、C10以下SFAと記載することがある。
本発明の実施の形態のチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が、構成脂肪酸中のステアリン酸の含有量(質量%)に対するラウリン酸の含有量(質量%)の質量比が好ましくは0.5~2.5であり、より好ましくは0.7~2.0であり、さらに好ましくは1.0~1.8である。以下、構成脂肪酸中のステアリン酸の含有量に対するラウリン酸の含有量の質量比は、La/Stと記載することがある。
本発明の実施の形態のチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が、構成脂肪酸として、炭素数20~22の飽和脂肪酸を好ましくは10質量%以下含有し、より好ましくは5質量%以下含有し、さらに好ましくは0.6~3質量%含有する。以下、炭素数20~22の飽和脂肪酸は、C20~22SFAと記載することがある。
本発明の実施の形態のチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が、構成脂肪酸として、トランス脂肪酸を好ましくは5質量%以下含有し、より好ましくは3質量%以下含有し、さらに好ましくは1質量%以下含有する。以下、トランス脂肪酸は、TFAと記載することがある。
本発明の実施の形態のチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が、構成する脂肪酸残基の総炭素数が30以下のトリグリセリドを好ましくは10質量%以下含有し、より好ましくは7質量%以下含有し、さらに好ましくは5質量%以下含有する。以下、構成する脂肪酸残基の総炭素数が30以下のトリグリセリドは、C30以下TGと記載することがある。
本発明の実施の形態のチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が、構成する脂肪酸残基の総炭素数が50~54のトリグリセリドを好ましくは10~75質量%含有し、より好ましくは13~65質量%含有し、さらに好ましくは17~50質量%含有する。以下、構成する脂肪酸残基の総炭素数が50~54のトリグリセリドは、C50~54TGと記載することがある。
油脂の脂肪酸含有量は、AOCS Ce1f-96に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定することができる。
油脂のトリグリセリド含有量は、AOCS Ce5-86に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定することができる。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造には、チョコレートに含まれる油脂のトリグリセリド組成、脂肪酸組成等が前記範囲であれば、特に制限されることなく、通常、チョコレートの製造に使用される油脂を使用することができる。油脂の具体例としては、ココアバター、パーム核油、ヤシ油、パーム油、パーム分別油(パーム中融点部、パームステアリン、パームオレイン等)、シア脂、サル脂、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂等や、これらの加工油脂(水素添加油、分別油、エステル交換油)等が挙げられる。前記油脂は2種以上組み合せて使用することもできる。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造には、好ましくはラウリン系油脂とパーム系油脂とのランダムエステル交換油脂(以下、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのランダムエステル交換油脂は、ランダムエステル交換油脂Aとする。)、植物油の極度硬化油、ココアバター、ラウリン系油脂、パーム系油脂が使用される。
本発明の実施の形態のチョコレートは、含まれる油脂中に、好ましくはランダムエステル交換油脂Aが20~100質量%、植物油の極度硬化油が0~10質量%、ココアバターが0~10質量%、ラウリン系油脂が0~20質量%、パーム系油脂が0~75質量%配合され、より好ましくはランダムエステル交換油脂Aが35~98質量%、植物油の極度硬化油が1~7質量%、ココアバターが1~7質量%、ラウリン系油脂が0~15質量%、パーム系油脂が0~60質量%配合され、さらに好ましくはランダムエステル交換油脂Aが55~97質量%、植物油の極度硬化油が1.5~5質量%、ココアバターが1~5質量%、ラウリン系油脂が0~12質量%、パーム系油脂が0~40質量%配合される。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造に使用されるランダムエステル交換油脂Aは、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのランダムエステル交換油脂である。
本発明でラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうちラウリン酸が30質量%以上の油脂のことである。
また、本発明でパーム系油脂とは、パーム油及びパーム分別油等のパーム油の加工油脂のことである。また、本発明でパーム分別油のエステル交換油等のパーム分別油の加工油脂もパーム系油脂である。
前記ランダムエステル交換油脂Aの製造に使用されるラウリン系油脂の具体例は、ヤシ油、パーム核油及びこれらの分別油、エステル交換油脂、硬化油等である。前記ランダムエステル交換油脂Aの製造において、ラウリン系油脂は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記ランダムエステル交換油脂Aの製造に使用されるラウリン系油脂は、好ましくはパーム核油の極度硬化油、パーム核オレインの極度硬化油、パーム核油であり、より好ましくはパーム核油の極度硬化油である。
前記ランダムエステル交換油脂Aの製造に使用されるパーム系油脂の具体例は、パーム油、パームオレイン、パームオレインのエステル交換油脂、パームステアリン、パーム中融点部(パームミッドフラクション(PMF))等である。前記ランダムエステル交換油脂Aの製造において、パーム系油脂は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記ランダムエステル交換油脂Aの製造に使用されるパーム系油脂は、好ましくはヨウ素価25~60のパーム系油脂であり、より好ましくはヨウ素価27~37のパームステアリン、ヨウ素価40~50のパーム中融点部、パームステアリンの極度硬化油、パーム油であり、さらに好ましくはヨウ素価27~37のパームステアリン、ヨウ素価40~50のパーム中融点部である。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造に使用されるランダムエステル交換油脂Aは、ヨウ素価が好ましくは50以下であり、より好ましくは15~40であり、さらに好ましくは20~30である。
前記ランダムエステル交換油脂Aは、エステル交換反応を行う原料油脂のラウリン系油脂とパーム系油脂との混合比(ラウリン系油脂:パーム系油脂)が好ましくは質量比35:65~65:35であり、より好ましくは質量比40:60~60:40であり、さらに好ましくは質量比45:55~55:45である。
前記ランダムエステル交換油脂Aを製造する時のエステル交換の方法は、特に制限はなく、従来公知の方法により行うことができる。
前記ランダムエステル交換油脂Aを製造する時には、必要に応じて水素添加を行うこともできる。水素添加の方法は、特に制限はなく、従来公知の方法により行うことができる。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造に使用される植物油の極度硬化油は、炭素数16以上の脂肪酸含有量が95質量%以上の植物油に完全水素添加することで得られる油脂であり、水素添加前の原料油脂は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、本発明の実施の形態のチョコレートの製造に使用される植物油の極度硬化油具体例は、ハイエルシン菜種油の極度硬化油、パーム油の極度硬化油、菜種油の極度硬化油、大豆油の極度硬化油等である。また、本発明の実施の形態のチョコレートの製造に使用される植物油の極度硬化油は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造に使用される植物油の極度硬化油は、好ましくはハイエルシン菜種油の極度硬化油である。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造に使用されるココアバターは、チョコレートに配合されるココアバターの他に、ココアバターを含有するカカオマスやココアパウダー等のカカオ原料中のココアバターも含む。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造に使用されるラウリン系油脂は、好ましくはパーム核ステアリンの極度硬化油である。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造に使用されるパーム系油脂は、好ましくはヨウ素価50~70のパーム系油脂であり、より好ましくはヨウ素価50~60のパーム系油脂のランダムエステル交換油脂であり、さらに好ましくはヨウ素価50~60のパームオレインのランダムエステル交換油脂。
本発明の実施の形態のチョコレートは、油脂を好ましくは20~60質量%含有し、より好ましくは25~50質量%含有し、さらに好ましくは30~45質量%含有する。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1-1996 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」に準じて測定することができる。
本発明の実施の形態のチョコレートは、好ましくは糖質を含有する。なお、本発明で糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたもののことである。糖質の具体例は、糖類、糖アルコール(マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトール、還元水飴等)、でんぷん、オリゴ糖、デキストリン等である。また、本発明で、糖類は、単糖類、二糖類(ブドウ糖、果糖、ガラクトース、砂糖(ショ糖)、乳糖、麦芽糖等)のことである。また、本発明で糖質は、糖質そのものであり、その他の原材料(例えば、粉乳等)に含まれる糖質は含めない。
本発明の実施の形態のチョコレートの製造に使用される糖質は、好ましくは糖類であり、より好ましくは砂糖、乳糖である。
本発明の実施の形態のチョコレートは、糖質を好ましくは25~65質量%含有し、より好ましくは30~63質量%含有し、さらに好ましくは40~60質量%含有する。
本発明の実施の形態のチョコレートは、糖質の含有量(質量%)に対する乳糖の含有量(質量%)の質量比が好ましくは0.10以上であり、より好ましくは0.12~0.60であり、さらに好ましくは0.15~0.50である。本発明の実施の形態のチョコレートが、糖質の含有量に対する乳糖の含有量の質量比が前記範囲であると、食品に被覆された場合に、より汗かきし難いチョコレートが得られる。
本発明の実施の形態のチョコレートは、レシチンの含有量が好ましくは0.3質量%未満であり、より好ましくは0.2質量%未満であり、さらに好ましくは0.1質量%未満であり、最も好ましくは0質量%(レシチンを含まない)である。本発明の実施の形態のチョコレートのレシチン含有量が前記範囲であると、食品に被覆された場合に、より汗かきし難いチョコレートが得られる。
本発明の実施の形態のチョコレートは、油脂、PGPR、糖質、レシチン以外にも、チョコレートに一般的に配合される原料を使用することができる。具体的には、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳等の乳製品、カカオマス、ココアパウダー等のカカオ成分、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等)、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、コーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、酸化防止剤、着色料、香料等を使用することができる。
本発明の実施の形態のチョコレートは、従来公知のチョコレートの製造方法で製造することができる。本発明の実施の形態のチョコレートは、例えば、油脂、カカオ成分、糖質、乳製品、乳化剤等を原料として、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、冷却工程等を経て製造することができる。また、本発明の実施の形態のチョコレートは、好ましくは微粒化工程を経て製造される。
本発明の実施の形態のチョコレートは、好ましくはノンテンパリング型のチョコレートである。
本発明の実施の形態のチョコレートは、食品に被覆された場合に、汗かきし難い。本発明の実施の形態のチョコレートは、食品に被覆された場合に、汗かきし難いことから、被覆用チョコレートに適している。本発明の実施の形態のチョコレートは、好ましくは被覆用チョコレートである。
本発明の実施の形態の複合食品は、本発明の実施の形態のチョコレートが使用された食品である。本発明の実施の形態の複合食品は、本発明の実施の形態のチョコレートと他の食品とを組み合わせることで得られる食品である。本発明の実施の形態の複合食品は、本発明の実施の形態のチョコレートで被覆されている食品である。
本発明の実施の形態の複合食品は、例えば、ドーナツ、食パン、コッペパン、フルーツブレッド、バターロール、フランスパン、ロールパン、菓子パン、スイートドウ、乾パン、マフィン、ベーグル、クロワッサン、デニッシュペーストリー等のベーカリー製品、カステラ、ワッフル、ボーロ、八つ橋、せんべい、かりんとう、スポンジケーキ、ロールケーキ、パウンドケーキ、バウムクーヘン、フルーツケーキ、マドレーヌ、シュー、エクレア、ミルフィーユ、パイ、タルト、マカロン、ビスケット、クッキー、クラッカー、蒸しパン、プレッツェル、ウエハース、スナック菓子、クレープ、スフレ等の菓子、バナナ、りんご、イチゴ等の果物等である。本発明の実施の形態の複合食品は、好ましくはベーカリー製品又は菓子であり、より好ましくはベーカリー製品であり、さらに好ましくはドーナツである。
本発明の実施の形態の複合食品は、従来公知の製造方法で製造することができる。本発明の実施の形態の複合食品は、例えば、ベーカリー製品、菓子等の食品を、本発明の実施の形態のチョコレートで被覆することで製造することができる。
本発明の実施の形態の複合食品は、チョコレート部分が、汗かきし難い。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
〔油脂の脂肪酸分析方法〕
油脂の脂肪酸含有量は、AOCS Ce1f-96に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定した。
〔油脂のトリグリセリド分析方法〕
油脂のトリグリセリド含有量は、AOCS Ce5-86に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定した。
〔油脂のヨウ素価測定方法〕
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1-1996 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
〔ランダムエステル交換油脂A1の製造〕
パームステアリン(ヨウ素価32)15質量部とパーム中融点部(ヨウ素価45)35質量部とパーム核油の極度硬化油(ラウリン酸含有量48.4質量%)50質量部を混合した。得られた混合油を、ランダムエステル交換反応を行うことにより、ランダムエステル交換油脂A1(ヨウ素価23)を得た。
エステル交換反応は、常法に従い、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.2質量%添加した後、減圧下、120℃で0.5時間攪拌しながら反応を行った。反応は50質量%のクエン酸水溶液を添加して中和することで終了し、その後等量の熱湯で3回洗浄して脱水乾燥し、常法により脱色、脱臭してエステル交換油脂とした。
〔パーム系油脂1〕
沃素価56のパームオレインのランダムエステル交換油脂をパーム系油脂1とした。
〔ラウリン系油脂1〕
パーム核ステアリンの極度硬化油(ラウリン酸含有量53.9質量%)をラウリン系油脂1とした。
〔極度硬化油1〕
ハイエルシン菜種油の極度硬化油(炭素数16以上の脂肪酸含有量99.9質量%)を極度硬化油1とした。
〔チョコレートの製造1〕
表1~2に示された配合のチョコレートを、通常のチョコレートの製造方法(混合、微粒化、精練、冷却)により、テンパリングを行わずに製造した(チョコレートに含まれる水分は3質量%以下だった。)。チョコレート中のPGPR及び油脂含有量、チョコレート中の糖質の含有量に対する乳糖の含有量の質量比、チョコレートに含まれる油脂中の脂肪酸組成及びトリグリセリド組成を表3~4に示した。なお、配合及び含有量の単位は質量%である(質量比の単位はなし)。
得られたチョコレートを、下記汗かき評価1及び汗かき評価2で評価した。評価結果を表3~4に示した。
〔汗かき評価1〕
下記1)~5)の手順に従い、チョコレートの汗かきを下記評価基準に従って評価した。評価結果が1点又は2点の場合、チョコレートは汗かきし難いと判断した。
1)チョコレートを55℃まで加熱し完全に融解させる。
2)チョコレート及びドーナツを40℃に調温する。
3)ドーナツにチョコレートをコーティングする。
4)20℃で送風して、チョコレートを固化させる。
5)チョコレートがコーティングされたドーナツをクリスタルパックに入れ、20℃で
1日間保存し、チョコレート表面を目視にて観察する。
〔汗かき評価2〕
下記1)~4)の手順に従い、チョコレートの汗かきを下記評価基準に従って評価した。評価結果が1点又は2点の場合、チョコレートは汗かきし難いと判断した。
1)チョコレートを55℃まで加熱し完全に融解させる。
2)シャーレ(内径3.5cm)にチョコレートを約1.5g入れ、タッピングし表面
を均一する。
3)20℃で送風して、チョコレートを固化させる。
4)シャーレを飽和水蒸気密閉容器に入れ、20℃で1日間保存し、チョコレート表面
を目視にて観察する。
〔汗かき評価の評価基準〕
1点:汗かきの発生なし
2点:うっすら汗かきが発生している
3点:細かい汗かきが発生している
4点:顕著に汗かきが発生している
5点:激しく汗かきが発生している
Figure 2022133048000001
Figure 2022133048000002
Figure 2022133048000003
Figure 2022133048000004
表3、4から分かるように、実施例のチョコレートは、汗かきし難かった。
一方、表3から分かるように、比較例のチョコレートは、汗かきし易かった。
〔チョコレートの製造2〕
表5~7に示された配合のチョコレートを、通常のチョコレートの製造方法(混合、微粒化、精練、冷却)により、テンパリングを行わずに製造した(チョコレートに含まれる水分は3質量%以下だった。)。チョコレート中のPGPR及び油脂含有量、チョコレート中の糖質の含有量に対する乳糖の含有量の質量比、チョコレートに含まれる油脂中の脂肪酸組成及びトリグリセリド組成を表8~10に示した。なお、配合及び含有量の単位は質量%である(質量比の単位はなし)。
得られたチョコレートを、上記汗かき評価2で評価した。評価結果を表8~10に示した。
Figure 2022133048000005
Figure 2022133048000006
Figure 2022133048000007
Figure 2022133048000008
Figure 2022133048000009
Figure 2022133048000010
表8~10から分かるように、実施例のチョコレートは、汗かきし難かった。
一方、表8~10から分かるように、比較例のチョコレートは、汗かきし易かった。

Claims (6)

  1. チョコレートに含まれる油脂が下記の条件(a)から(f)を満たし、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.1~3質量%含有するチョコレート。
    (a)構成脂肪酸として、炭素数14以下の飽和脂肪酸を5~50質量%含有する。
    (b)構成脂肪酸として、炭素数16~18の飽和脂肪酸を30~55質量%含有する。
    (c)構成脂肪酸として、不飽和脂肪酸を10~50質量%含有する。
    (d)構成脂肪酸中のステアリン酸の含有量に対するパルミチン酸の含有量の質量比が1.3~4.5である。
    (e)構成する脂肪酸残基の総炭素数が32~40のトリグリセリドを3~28質量%含有する。
    (f)構成する脂肪酸残基の総炭素数が42~48のトリグリセリドを15~60質量%含有する。
  2. チョコレートに含まれる油脂がさらに下記の条件(g)を満たす請求項1に記載のチョコレート。
    (g)構成する脂肪酸残基の総炭素数が56以上のトリグリセリドを0.5~5.0質量%含有する。
  3. 糖質の含有量に対する乳糖の含有量の質量比が0.10以上である請求項1又は請求項2に記載のチョコレート。
  4. 前記チョコレートが被覆用チョコレートである請求項1~請求項3の何れか1項に記載のチョコレート。
  5. 請求項1~請求項4の何れか1項に記載のチョコレートを使用した複合食品。
  6. 前記チョコレートで被覆されている請求項5に記載の複合食品。
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