JP2004008070A - マイグレーション抑制剤 - Google Patents

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Satoru Kobori
小堀 悟
Yoshifumi Okumura
奥村 佳史
Hirohiko Murata
村田 浩彦
Megumi Yoshizawa
吉沢 恵
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Asahi Denka Kogyo KK
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Abstract

【課題】マイグレーション抑制効果に優れるとともに、ショートニング、マーガリン類等の油脂組成物に用いたときに該油脂組成物の作業性等が良好であり、且つ消費者の嗜好にあう原料を使用したマイグレーション抑制剤を提供すること。
【解決手段】植物ステロール脂肪酸エステルを有効成分とするマイグレーション抑制剤。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はマイグレーション抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、焼き菓子類と、チョコレート類、ナッツ類及びクリーム類の中から選ばれた1種又は2種以上とを組み合わせた複合食品において、流通過程や保存中に、複合食品の焼き菓子の表面が白色化したり、チョコレート類、ナッツ類又はクリーム類が軟化したり、艶がなくなったり、ブルームが発生するような現象がしばしば起こる。
【0003】
このような現象のメカニズムは、未だ明確には解明されていないが、複合食品に使用されている各油脂製品間での油分中の特定成分のマイグレーション、及びそれに伴う油脂結晶の成長によって引き起こされるものと推定されている。
【0004】
焼き菓子類とチョコレート類とを組み合わせた複合食品において、マイグレーションを抑制する焼き菓子練り込み用油脂組成物は、特許2504999号公報、特許2569911号公報、特公昭61−47491号公報、特開平6−311845号公報等で取り上げられている。これらは、焼き菓子練り込み用油脂組成物のSFCを規定するものの他、魚油硬化油を配合するもの、特定の乳化剤を添加するもの等であるが、SFCを規定すると油脂が硬くなり作業性が悪化する、消費者は一般的に植物油を好み、魚油硬化油を好まない、乳化剤の添加は敬遠される傾向にある等の問題点がある。
【0005】
また、WO99/48378号公報には、ジアシルグリセロールと植物ステロールとを特定量含有する油脂組成物が記載されているが、マイグレーション抑制効果については触れられていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、マイグレーション抑制効果に優れるとともに、ショートニング、マーガリン類等の油脂組成物に用いたときに該油脂組成物の作業性等が良好であり、且つ消費者の嗜好にあう原料を使用したマイグレーション抑制剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、植物ステロール脂肪酸エステルを有効成分とするマイグレーション抑制剤、該マイグレーション抑制剤を含有する油脂組成物、及び該マイグレーション抑制剤又は該油脂組成物を用いた食品を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明のマイグレーション抑制剤において、有効成分である植物ステロール脂肪酸エステルを構成する植物ステロールとしては、特に制限はなく、例えば、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等の植物ステロールや、これらの植物ステロールを水素添加した植物スタノールが挙げられ、本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0009】
本発明において、上記植物ステロールとしては、β−シトステロール、β−シトスタノール、カンペステロール及びカンペスタノールの中から選ばれた1種又は2種類以上を用いるのが好ましい。
【0010】
上記植物ステロール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、特に制限はないが、好ましくは炭素数4〜24の飽和及び不飽和脂肪酸を用いるのがよく、さらに好ましくは炭素数16〜24の飽和及び不飽和脂肪酸を用いるのがよく、最も好ましくは炭素数16〜24のトランス型不飽和脂肪酸を用いるのが好ましい。
【0011】
上記植物ステロール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸として炭素数16〜24のトランス型不飽和脂肪酸を用いる場合、植物ステロール脂肪酸エステルを構成する全構成脂肪酸中の炭素数16〜24のトランス型不飽和脂肪酸の含有量は、好ましくは15〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%、最も好ましくは18〜35重量%である。
【0012】
全構成脂肪酸中の炭素数16〜24のトランス型不飽和脂肪酸の含有量が15重量%よりも少ない植物ステロール脂肪酸エステルを有効成分とするマイグレーション抑制剤を食品に用いた場合、マイグレーション抑制効果が低く、また、全構成脂肪酸中の炭素数16〜24のトランス型不飽和脂肪酸の含有量が50重量%よりも多い植物ステロール脂肪酸エステルを有効成分とするマイグレーション抑制剤を食品に用いた場合、口溶けが悪くなりやすい。
【0013】
また、上記の植物ステロール脂肪酸エステルとしては、植物に微量含まれているエステル体や、市販されている植物ステロール脂肪酸エステル、さらに後述するような、上記植物ステロールと部分グリセリド及び/又はトリグリセリドとを無溶媒下でリパーゼ又はアルカリを触媒としてエステル化反応することにより得られる植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂等を用いることができる。
【0014】
本発明のマイグレーション抑制剤中における上記植物ステロール脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは3〜50重量%、さらに好ましくは4〜40重量%、一層好ましくは4〜30重量%、最も好ましくは5〜25重量%である。
【0015】
ここで、上記植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂について説明する。
上記植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂の製造に用いられる上記部分グリセリドとしては、反応モノグリセリド、蒸留モノグリセリド、ジグリセリド、天然の油脂から抽出したジグリセリド等が挙げられる。
【0016】
また、上記植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂の製造に用いられる上記トリグリセリドとしては、例えば、構成脂肪酸が炭素数4〜24の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸からなる油脂、具体的には、パーム油・パームオレイン・スーパーオレイン・パームステアリン・パーム中融点部等のパーム系油脂、大豆油、大豆サラダ油、菜種油、菜種サラダ油、綿実油、綿実サラダ油、サフラワー油、サンフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックサンフラワー油、コーン油、米糠油、パーム核油・ヤシ油等のラウリン系油脂、サル脂、シア脂、マンゴ脂、カカオ脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油、乳脂等の天然油脂、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)等の合成油脂、更にこれらの硬化油、分別油、あるいはエステル交換等の物理的又は化学的処理を施した油脂類が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
【0017】
これらの中でも、構成脂肪酸として、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸を好ましくは30重量%以上、更に好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上含有するものを使用するのが好ましい。
【0018】
上記植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂を得るためのエステル化反応の際の、植物ステロールと部分グリセリド及び/又はトリグリセリドとの使用割合(前者:後者、重量基準)は、3〜45:97〜55、特に5〜40:95〜60であることが好ましい。
【0019】
上記植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂を製造するときに、上記の植物ステロール、並びに部分グリセリド及び/又はトリグリセリド以外に、必要により、グリセリン、脂肪酸低級アルコールエステル及び脂肪酸から選ばれた1種又は2種以上を使用しても良い。
【0020】
上記脂肪酸低級アルコールエステルとしては、特に制限はないが、脂肪酸部分は炭素数4〜24の飽和又は不飽和脂肪酸、特に炭素数16〜24の飽和又は不飽和脂肪酸であるものが好ましく、また、アルコール部分は、エタノール、メタノール等の、加水分解されたときに生じる遊離のアルコールの沸点が100℃以下の低級アルコールであるものが好ましい。
【0021】
また、上記脂肪酸としても特に制限はないが、炭素数4〜24の飽和又は不飽和脂肪酸、特に炭素数16〜24の飽和又は不飽和脂肪酸を用いるのが好ましい。
【0022】
上記エステル化反応において触媒としてリパーゼを用いる場合、該リパーゼとしては、その種類は特に制限されないが、位置選択性が無いものを使用するのが好ましい。具体的には、Alcaligenes属、Chromobacterium属、Pseudomonas属、Humicola属から得られる酵素等が好ましく、これらの中でも、Alcaligenes属、Chromobacterium属、Pseudomonas属から得られる酵素等が更に好ましく、Alcaligenes属から得られる酵素が最も好ましい。これらの酵素は、酵素粉末のままで使用することも可能であるが、ケイソウ土、アルミナ、イオン交換樹脂、活性炭、セラミック等の担体に固定化して用いても良い。
【0023】
また、触媒としてリパーゼを用いる場合、上記エステル化反応の反応系の水分量は、好ましくは900ppm以下、更に好ましくは500ppm以下であることが、反応油の加水分解をできるだけ低くし、脱臭工程での損失を低くできるため望ましい。また、上記エステル化反応は常圧又は減圧の条件下で行なうことができる。
【0024】
また、上記エステル化反応において触媒としてアルカリを用いる場合、該アルカリとしては、ソジウムメチラートを使用するのが好ましい。ソジウムメチラートを触媒として使用する場合、植物ステロールと部分グリセリド及び/又はトリグリセリドとの混合物を80〜100℃に加熱し、水分を500ppm以下まで脱水した後、触媒(ソジウムメチラート)を添加し、常圧又は減圧下で反応を行うのがよい。エステル化反応終了後、クエン酸、リン酸等の酸で中和し、水洗、脱水を行う。
【0025】
また、上記のリパーゼ又はアルカリを触媒として行う上記エステル化反応は、ランダムエステル交換であることが好ましい。ランダムエステル交換を行うことにより、植物ステロールが、部分グリセリド及び/又はトリグリセリドの構成脂肪酸でランダムにエステル化されるため、植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂中の植物ステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸組成とトリグリセリドの構成脂肪酸組成とが実質的に同一になる。
【0026】
上述のようにして得られた植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂から、ヘキサンやアセトン等の溶剤又は乾式分別によって、遊離の植物ステロールを除去しても良い。
【0027】
また、植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂は、通常の油脂の精製方法と同様の方法によって精製される。ここでいう通常の油脂の精製方法とは、漂白及び脱臭、又は脱酸、漂白及び脱臭のことである。精製を行うことで、植物ステロール特有の臭いが無くなり、風味及び色調の良好な植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂が得られる。
【0028】
上記植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂中の植物ステロール脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは3〜50重量%、さらに好ましくは6〜45重量%、最も好ましくは10〜40重量%である。
【0029】
上記植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂は、本発明のマイグレーション抑制剤として用いることができる。
【0030】
このような植物ステロール脂肪酸エステルを有効成分とする本発明のマイグレーション抑制剤は、油脂組成物に含有させて用いるのが好ましい。
【0031】
次に、植物ステロール脂肪酸エステルを有効成分とする本発明のマイグレーション抑制剤を含有する本発明の油脂組成物について説明する。
本発明の油脂組成物において、上記マイグレーション抑制剤は、該油脂組成物中の上記の植物ステロール脂肪酸エステルの含有量が、好ましくは3〜50重量%、さらに好ましくは4〜40重量%、一層好ましくは4〜30重量%、最も好ましくは5〜25重量%となるように用いる。
【0032】
本発明の油脂組成物中の上記の植物ステロール脂肪酸エステルの含有量が3重量%よりも少ないと、マイグレーション抑制効果が得られにくく、本発明の油脂組成物中の上記の植物ステロール脂肪酸エステルの含有量が50重量%よりも多いと、トリグリセリドとの溶解性が不十分なために、マーガリンでは乳化安定性が悪くなりやすく、またショートニングでは均一な状態を保ちにくい。
【0033】
本発明の油脂組成物において、マイグレーション抑制剤として上記植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂を用いる場合、本発明の油脂組成物中の該植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂の含有量は、好ましくは6〜100重量%、さらに好ましくは10〜100重量%、最も好ましくは15〜90重量%である。
【0034】
本発明の油脂組成物で用いられる油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、胡麻油、オリーブ油、シア脂、牛脂、乳脂、バター、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0035】
上記油脂の含有量は、本発明の油脂組成物中、好ましくは0〜94重量%、さらに好ましくは0〜90重量%、最も好ましくは10〜85重量%である。
【0036】
また、本発明の油脂組成物において、上記油脂、マイグレーション抑制剤及び必要により用いられる後述のその他の成分からなる油相中のトリグリセリドの含有量は、好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは30〜90重量%、最も好ましくは40〜80重量%である。
【0037】
本発明の油脂組成物において、上記油相中の部分グリセリドの含有量は、好ましくは4〜50重量%、さらに好ましくは7〜45重量%、最も好ましくは10〜40重量%である。上記の部分グリセリドとは、モノグリセリド及び/又はジグリセリドを意味する。
【0038】
本発明の油脂組成物に含有させることができるその他の成分としては、例えば、水、乳化剤、増粘安定剤、乳製品、糖類、澱粉類、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、ココアマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
【0039】
上記乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、サポニン、植物ステロール類等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記乳化剤の含有量には特に制限はないが、本発明の油脂組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.05〜7重量%、最も好ましくは0.1〜5重量%である。
【0040】
本発明の油脂組成物では、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いるのが好ましく、特に、エステル化度が8以上であり、結合脂肪酸として飽和脂肪酸を主体とするポリグリセリン脂肪酸エステルを用いるのがよい。
【0041】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、そのエステル化度が好ましくは8以上、さらに好ましくは9以上、最も好ましくは10以上のものである。
【0042】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、その結合脂肪酸が好ましくは飽和脂肪酸を主体とするもの、さらに好ましくは炭素数16以上の飽和脂肪酸を主体とするもの、最も好ましくは炭素数18以上の飽和脂肪酸を主体とするものであるのがよい。ここでいう主体とは、結合脂肪酸中の飽和脂肪酸の割合が多いことを示し、飽和脂肪酸が好ましくは65重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、一層好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上であることを意味する。
【0043】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリンの平均重合度は、好ましくは6以上であり、さらに好ましくは7以上、最も好ましくは8以上である。
【0044】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは、好ましくは6以下であり、さらに好ましくは5以下である。
【0045】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、本発明の油脂組成物中、好ましくは0〜8重量%、さらに好ましくは0.05〜5重量%、最も好ましくは0.1〜3重量%である。
【0046】
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記増粘安定剤の含有量は、特に制限はないが、本発明の油脂組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0〜5重量%である。また、本発明の油脂組成物において、上記増粘安定剤が必要でなければ、増粘安定剤を用いなくてもよい。
【0047】
上記乳製品としては、例えば、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、クリーム、チーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖れん乳、加糖脱脂れん乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエープロテインコンセートレート、トータルミルクプロテイン等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記乳製品の含有量には特に制限はないが、本発明の油脂組成物中、好ましくは0〜15重量%、さらに好ましくは0〜10重量%である。また、本発明の油脂組成物において、上記乳製品が必要でなければ用いなくてもよい。
【0048】
上記糖類としては、例えば、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記糖類の含有量には特に制限はないが、本発明の油脂組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0〜5重量%である。また、本発明の油脂組成物において、糖類が必要でなければ用いなくてもよい。
【0049】
上記澱粉類としては、例えば、コーン・ワキシーコーン・タピオカ・馬鈴薯・甘藷・小麦・米等の澱粉や、これらの澱粉をアミラーゼ等の酵素で処理したものや、酸処理やアルカリ処理、エステル化、リン酸架橋化、加熱、湿熱等の物理的、化学的処理を行ったもの、さらにこれらの澱粉を、水に溶解し易いように予め加熱処理により糊化させたものが挙げられる。本発明では、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記澱粉類の含有量には特に制限はないが、本発明の油脂組成物中、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0〜5重量%である。また、本発明の油脂組成物において、澱粉類が必要でなければ用いなくてもよい。
【0050】
本発明の油脂組成物中の油相の含有量は、好ましくは35〜100重量%、さらに好ましくは40〜100重量%、最も好ましくは45〜100重量%である。また、必要によって用いられる水等のその他の成分からなる水相の含有量は、好ましくは65〜0重量%、さらに好ましくは60〜0重量%、最も好ましくは55〜0重量%である。
【0051】
次に本発明の油脂組成物の製造方法を説明する。
本発明の油脂組成物は、油脂に植物ステロール脂肪酸エステルを有効成分とするマイグレーション抑制剤及び必要によりその他の成分を添加して油相とし、必要により、水等のその他の成分からなる水相と混合し、乳化させる。本発明の油脂組成物を乳化物とする場合は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型のいずれの乳化形態でも構わない。また、本発明の油脂組成物は、マーガリンタイプでもショートニングタイプの何れでも構わない。
【0052】
次に、必要に応じて殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。そして、冷却可塑化する。この際、徐冷却より急速冷却の方が好ましい。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組み合わせが挙げられる。
【0053】
また、本発明の油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、含気させなくても構わない。
【0054】
このようにして得られた本発明の油脂組成物は、クッキー、ビスケット、バターケーキ、スポンジケーキ、ドライケーキ、クラッカー、プレッツェル等、様々なタイプの焼き菓子類の練り込み用油脂として好適に用いることができる。また、本発明の油脂組成物の焼き菓子類への使用量は、焼き菓子類の種類により異なるものであり、特に限定されるものではない。
【0055】
本発明の油脂組成物は、チョコレート類、ナッツ類及びクリーム類の中から選ばれた1種又は2種以上を含有する焼き菓子類において、特にマイグレーションを抑制することができる。
【0056】
上記のチョコレート類としては、ブラックチョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレート等が挙げられる。
【0057】
上記のナッツ類としては、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ビスタチオ、マカダミア、ペカン、くるみ等のナッツ類、これらのナッツ類のペースト、これらのナッツ類を含有するナッツ類入りクリーム等が挙げられる。
【0058】
上記のクリーム類としては、バタークリームやシュガークリーム等が挙げられる。
【0059】
上記のチョコレート類、ナッツ類及びクリーム類の中から選ばれた1種又は2種以上を含有する焼き菓子類の製造方法としては、例えば、植物ステロール脂肪酸エステルを有効成分とするマイグレーション抑制剤を含有する本発明の油脂組成物を含有させた焼き菓子生地を焼成したものとチョコレート類、ナッツ類及びクリーム類の中から選ばれた1種又は2種以上とをトッピング、サンド、フィリング、包餡、注入、コーティング等の方法で組合わせたり、植物ステロール脂肪酸エステルを有効成分とするマイグレーション抑制剤を含有する本発明の油脂組成物とチョコレート類、ナッツ類及びクリーム類の中から選ばれた1種又は2種以上とを焼き菓子生地に含有させて焼成する方法等が挙げられる。
【0060】
【実施例】
以下に本発明の詳細を実施例によって例示するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は全て重量基準である。
【0061】
〔製造例1〜5〕
位置選択性のない市販リパーゼ(商品名:リパーゼQL(Alcaligenes属)、名糖産業(株)製)1%(対原料重量)を触媒として、表1に記載の油脂及び植物ステロール(β−シトステロール60%、カンペステロール20%、スチグマステロール13%、ブラシカステロール3%及びその他4%の混合物)の混合物を、65℃で、反応系の水分を200ppmに調節してエステル化反応を行った。次いで、リパーゼをろ過した後、白土2%を添加して常法により脱色し、さらに脱臭温度200℃にて常法により脱臭を行い、製造例1〜5の植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂をそれぞれ得た。
得られた製造例1〜5の植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂の植物ステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸組成及びトリグリセリドの構成脂肪酸組成を表2に示す。
【0062】
〔製造例6〕
位置選択性のない市販リパーゼ(商品名:リパーゼQL(Alcaligenes属)、名糖産業(株)製)0.5%(対原料重量)を触媒として、表1に記載の油脂の混合物を65℃で、反応系の水分を200ppmに調節してエステル化反応を行った。次いで、リパーゼをろ過した後、白土2%を添加して常法により脱色し、さらに脱臭温度200℃にて常法により脱臭を行い、植物ステロール脂肪酸エステルを含有しない油脂を得た。
得られた植物ステロール脂肪酸エステルを含有しない油脂のトリグリセリドの構成脂肪酸組成を表2に示す。
【0063】
【表1】
Figure 2004008070
【0064】
【表2】
Figure 2004008070
【0065】
〔実施例1〜5及び比較例1〕
(ショートニングの製造)
上記の製造例1〜6の油脂をそれぞれ用いて、表3のショートニングの配合に従い、急冷可塑化して、実施例1〜5及び比較例1のショートニングを製造した。得られたショートニングの全組成を表3に示す。
【0066】
【表3】
Figure 2004008070
【0067】
(評価)
実施例1〜5及び比較例1のショートニングをそれぞれ用いて、下記の配合及び製法により型抜きクッキーを作製した。得られた型抜きクッキーを30℃に調温し、型抜きクッキーに対して3重量倍のテンパリングしたチョコレート(カカオバター36%含有)中に表面が見える程度に埋没させ、さらに15℃に冷却してチョコレートを固化させてチョコレートクッキーを得た。
そして、得られたチョコレートクッキーについて、20℃と28℃とを12時間毎に繰り返すサイクル試験を3週間行った。サイクル試験後のチョコレートクッキーにおけるクッキーの表面性状、油分移行率及びチョコレートの状態を表4に示す。
【0068】
表4における油分移行率は次式により求めた。
〔(A−B)/A〕×100 (%)
A:サイクル試験前のクッキーの油分
B:サイクル試験後のクッキーの油分
なお、表4において油分移行率が高いほど、チョコレートクッキーにおけるクッキーからチョコレートへの油分の移行が多いことを示す。
【0069】
《型抜きクッキーの配合・製法》
(配合)
薄力粉         100 部
上白糖          40
ショートニング      35
全卵           15
食塩            1
ベーキングパウダー     2
(製法)
シュガーバッター法にて生地を作製し、生地を4mm厚に展延して内径5cmの丸型によって型抜きした。これを180℃で13分間焼成して型抜きクッキーを得た。
【0070】
【表4】
Figure 2004008070
【0071】
表4より、植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂を用いた実施例1〜5のチョコレートクッキーは、油分移行率が低く、クッキーの表面性状は良好で、チョコレートの軟化やブルームも発生しなかった。これに対し、植物ステロール脂肪酸エステルを含有しない油脂を用いた比較例1のチョコレートクッキーは、油分移行率が高く、クッキー中の油分が低下するため白色化が起こり、一方でチョコレート中の油分が増加し、チョコレートの軟化やチョコレート中の油脂の溶解・再結晶化によるブルームの発生を助長することがわかる。また、植物ステロール脂肪酸エステル含有油脂を含有する実施例1〜5のショートニングは、作業性が良好であり、且つ消費者の嗜好にあうものであった。
【0072】
【発明の効果】
本発明のマイグレーション抑制剤は、本発明のマイグレーション抑制剤を用いた焼き菓子類と、チョコレート類、ナッツ類及びクリーム類の中から選ばれた1種又は2種を組み合わせた複合食品において、流通過程や保存中に、焼き菓子類の表面が白色化したり、チョコレート類、ナッツ類又はクリーム類が軟化したり、艶がなくなったり、ブルームが発生したりするのを抑制することができる。また、本発明のマイグレーション抑制剤は、ショートニング、マーガリン類等の油脂組成物に用いたときに該油脂組成物の作業性等が良好であり、且つ消費者の嗜好にあう原料を使用したものである。

Claims (3)

  1. 植物ステロール脂肪酸エステルを有効成分とするマイグレーション抑制剤。
  2. 請求項1記載のマイグレーション抑制剤を含有する油脂組成物。
  3. 請求項1記載のマイグレーション抑制剤又は請求項2記載の油脂組成物を用いた食品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012219196A (ja) * 2011-04-08 2012-11-12 Okamura Seiyu Kk 飽和脂肪酸ステロールエステル
JP2014042457A (ja) * 2012-08-24 2014-03-13 Riken Vitamin Co Ltd ケーキ用品質改良剤
KR101483403B1 (ko) 2011-11-02 2015-01-14 후지 세이유 가부시키가이샤 유지 조성물, 초콜릿 및 복합과자

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