JP7063633B2 - 冷やして食べる焼菓子用油脂組成物 - Google Patents
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焼成して得られたパンに生クリームを入れ、生クリームの凍結が70分以内に完了するよう常温から急冷する工程を含む、冷凍パンの製造方法(特許文献1)。
油脂成分として-10℃以下で流動性を有する油脂組成物を用いた冷凍パン(特許文献2)。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、下記の(a)~(c)を満たす、冷やして食べる焼菓子用油脂組成物を提供するものである。
(a)UUU型トリグリセリドの占める割合が50~80質量%(油相基準)
(b)SSS型トリグリセリドの占める割合が2~7質量%(油相基準)
(c)下記油脂Aの占める割合が5~30質量%(油相基準)
Uは炭素数16~22の不飽和脂肪酸残基を示し、
Sは炭素数16~22の飽和脂肪酸残基を示し、
UUU型トリグリセリドはUが3分子結合しているトリグリセリドを示し、
SSS型トリグリセリドは、Sが3分子結合しているトリグリセリドを示し、
油脂Aは10℃のSFC(固体脂含量)が5~45%であるランダムエステル交換油脂である。
本発明の冷やして食べる焼菓子用油脂組成物は、下記(a)~(c)を満たすものである。
(a)UUU型トリグリセリドの占める割合が50~80質量%(油相基準)
(b)SSS型トリグリセリドの占める割合が2~7質量%(油相基準)
(c)下記油脂Aの占める割合が5~30質量%(油相基準)
本発明の冷やして食べる焼菓子用油脂組成物は、UUU型トリグリセリド(以下、UUUということもある。)の占める割合が、油相基準で、50~80質量%であり、好ましくは53~77質量%、より好ましくは55~75質量%である。ここで、Uは炭素数16~22の不飽和脂肪酸残基を示し、UUUはUが3分子結合しているトリグリセリドを示す。トリグリセリドに結合している3個のUは、炭素数16~22の不飽和脂肪酸残基である限り、同一である場合があり、異なっている場合がある。が本発明においてUUUの割合が50質量%よりも少ないと、最終的に得られる焼菓子の食感が硬いものとなってしまう。UUUが80質量%よりも多いと、最終的に得られる焼菓子の油性感が強くなったり、菓子生産時に油浮きが生じてしまい、製造上適さない油脂組成物となってしまう。
上記UUUで表されるトリグリセリドは、天然に存在するUUUで表されるトリグリセリドでも構わないし、天然に存在するUUUを分別してその純度を上げたものでも構わない。また、S(炭素数16~22の飽和脂肪酸残基)を含むトリグリセリドと脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルに由来するU(炭素数16~22の不飽和脂肪酸残基)とをエステル交換し、更に蒸留や分別によりUUUで表されるトリグリセリドの純度を上げたもの等、どのような方法によって得られたものでも構わない。
本発明の冷やして食べる焼菓子用油脂組成物は、SSS型トリグリセリド(以下、SSSということもある。)の占める割合が油相基準で2~7質量%であり、好ましくは2.5~6.5質量%、より好ましくは3~6質量%である。ここでSは炭素数16~22の飽和脂肪酸残基を示す、SSSはSが3分子結合しているトリグリセリドを示す。トリグリセリドに結合している3個のSは、炭素数16~22の飽和脂肪酸残基である限り、同一である場合があり、異なっている場合がある。
本発明においてSSSの割合が2質量%よりも少ないと、菓子生産時に油浮きが生じてしまい、製造上適さない油脂組成物となってしまう。また7質量%よりも大きいと、口中での粉れが悪く、良好な食感や口どけが得られなくなってしまう。
上記水素添加に用いる食用油脂としては、大豆油、菜種油(キャノーラ油)、ハイエルシン菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ハイオレイックサフラワー油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、からし油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、シア脂、サル脂、マンゴ脂、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の食用油脂、また、これらの油脂に対し水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を使用することができる。本発明においては、上記水素添加に用いる油脂として、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を混合した混合油を用いることもできる。
また、上記極度硬化油脂としては、これらの油脂から上記のようにして得られた極度硬化油脂を更に分別した硬部油、或いは1種又は2種以上の極度硬化油脂をエステル交換したものを使用することもでき、また、極度硬化油脂と、飽和脂肪酸や、飽和脂肪酸を主体とする部分グリセリド等とをエステル交換したものを使用することもできる。本発明では、これら全てを極度硬化油脂として扱う。
本発明では、これらの極度硬化油脂のいずれかを単独で使用することができ、2種以上を併用することもできる。
本発明では、ハイエルシン菜種油の極度硬化油脂、魚油の極度硬化油脂等、長鎖脂肪酸を多く含む油脂を原料油脂とした極度硬化油脂が、本発明の効果をより引き出すことができる点で好ましく使用される。
・検出部:示差屈折検出器
・カラム:ドコシルカラム(DCS)
・移動相:アセトン:アセトニトリル=65:35(体積比)
・流速:1ml/min
・カラム温度:40℃
・背圧:3.8MPa
オレイン酸残基の占める割合の大きいUUU型を多く含む油脂としては、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックキャノーラ油、ハイオレイックサフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂等の各種動植物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を使用することができるが、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックキャノーラ油を含有することが好ましい。
本発明の冷やして食べる焼菓子用油脂組成物は、10℃のSFC(固体脂含量)が5~45%であるランダムエステル交換油脂(以下、「油脂A」ということもある)を油相基準で5~30質量%含有することが必要であり、好ましくは7~27質量%、更に好ましくは10~25質量%含有する。油脂Aの含有量が5質量%未満であると本発明の効果、特に菓子生産時の油染み抑制効果を付与できなくなってしまう。また、油脂Aの含有量が30質量%超であると、低温時(特に冷凍)での食感が硬いものとなってしまう。尚、10℃でSFCが5~45%であるランダムエステル交換油脂を2種以上使用した場合には、その合計を上記ランダムエステル交換油脂(油脂A)の量とする。
前記油脂配合物に使用することのできる油脂としては、食用に使用可能な油脂であれば特に制限なく使用することができ、その代表例としては、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油等の常温で液体の油脂が挙げられるが、その他に、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の常温で固体の油脂も用いることができ、更に、これらの食用油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を使用することもできる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組合せて用いることもできる。
上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒が挙げられ、また、上記酵素としては、位置選択性のない酵素、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penicillium)属等に由来するリパーゼが挙げられる。尚、該リパーゼは、イオン交換樹脂或いはケイ藻土及びセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
(I)10℃でSFCが10%未満である油脂と極度硬化油脂をランダムエステル交換したエステル交換油脂である。
(II)SFC(固体脂含量)が、0℃で10~25%、20℃で1~5%、40℃で0~2%である。
上記10℃でSFCが10%未満である油脂としては、例えば大豆油、菜種油(キャノーラ油)、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ハイオレイックサフラワー油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油等が挙げられ、その他に、パーム油、パーム核油、ヤシ油、シア脂、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の油脂を分別することで得られた軟部油であって、10℃でSFCが10%未満となる油脂も挙げられる。
上記特定の脂肪酸比を有する極度硬化油脂を得る方法としては、炭素数16の脂肪酸を多く含有する油脂の極度硬化油脂と、炭素数20以上の脂肪酸を多く含有する油脂の極度硬化油脂とを混合する方法や、炭素数16の脂肪酸を多く含有する油脂と炭素数20以上の脂肪酸を多く含有する油脂との混合油脂を水素添加により極度硬化油脂とする方法、更には、炭素数16の脂肪酸を多く含有する油脂と炭素数20以上の脂肪酸を多く含有する油脂とのエステル交換油脂を水素添加により極度硬化油脂とする方法が挙げられる。
上記油脂Xは、SFC(固体脂含量)が0℃で10~25%、好ましくは10~20%であり、20℃で1~5%、好ましくは、1~4%であり、40℃で0~2%、好ましくは0~1%である。油脂XのSFCが上記範囲であることにより、油脂Xを含有する効果をより高めることができる。
水素添加は、油脂の融点を上昇させる典型的な方法であるが、部分水素添加油脂は、通常構成脂肪酸中にトランス脂肪酸が10~50質量%程度含まれている。一方、天然油脂中にはトランス脂肪酸が殆ど存在せず、反芻動物由来の油脂に10質量%未満含まれているにすぎない。近年、上述のように、化学的な処理、特に水素添加に付されていない油脂組成物、即ち実質的にトランス脂肪酸を含まない油脂組成物であって、適切なコンシステンシーを有するものも要求されている。
本発明の冷やして食べる焼菓子用油脂組成物に用いられる上記エステル交換油脂、及び上記極度硬化油脂は、トランス脂肪酸を実質的に含有しないため、その他の油脂に部分水素添加油脂を使用しないことにより、トランス脂肪酸を含まずとも適切なコンシステンシーを有する、油脂組成物とすることができる。
尚、本明細書において「油相」とは、トリグリセリドの他、油溶性の成分もあわせたものとする。本発明の冷やして食べる焼菓子用油脂組成物における油相含量は、80~100質量%、好ましくは90~100質量%、より好ましくは99質量%~100質量%である。
本発明の冷やして食べる焼菓子用油脂組成物は、下記の(a)~(c)の全てを満たす油相を溶解した後、冷却し、結晶化させることにより製造することができる。
(a)UUU型トリグリセリドの占める割合が50~80質量%(油相基準)
(b)SSS型トリグリセリドの占める割合が2~7質量%(油相基準)
(c)下記油脂Aの占める割合が5~30質量%(油相基準)
油脂A:10℃のSFC(固体脂含量)が5~45%であるランダムエステル交換油脂
本発明の冷やして食べる焼菓子用生地は、澱粉類、卵類、糖類等、通常の焼菓子生地に使用する原料を任意成分として含有するものであり、上記冷やして食べる焼菓子用油脂組成物を含有することを特徴とする。本発明の冷やして食べる焼菓子用油脂組成物の含有量は生地中に、好ましくは3~35質量%、より好ましくは5~30質量%、更に好ましくは7~27質量%である。
上記澱粉類の含有量は、上記冷やして食べる焼菓子用生地中、0~50質量%が好ましく、5~35質量%がより好ましい。
上記卵類の含有量は、上記冷やして食べる焼菓子用生地中、3~50質量%が好ましく、5~45質量%がより好ましい。
上記糖類の含有量は、上記冷やして食べる焼菓子用生地中、10~45質量%が好ましく、10~35質量%がより好ましい。
上記乳製品の含有量は、上記冷やして食べる焼菓子用生地中、0~20質量%が好ましく、0~15質量%がより好ましい。
上記乳化剤の含有量は、上記冷やして食べる焼菓子用生地中、0~3質量%が好ましく、0~1質量%がより好ましい。
本発明の冷やして食べる焼菓子は、本発明の冷やして食べる焼菓子用生地を焼成してなるものである。本発明の冷やして食べる焼菓子用生地の焼成方法には特に制限はなく、公知の焼成方法を採用することができる。
本発明の冷やして食べる焼菓子を冷やして食べる際の温度は、冷蔵温度帯である0℃~10℃よりも低いものであれば特に限定されないが、低温域でも良好な歯切れとねちゃつかない口どけの良さを有するという本発明の特徴がより得られる点で、冷凍温度域で数時間程度冷やすのがより好ましい。冷却時間や冷却温度は適宜設定することができるが、例えば4℃で一晩程度、一般的な家庭用冷凍庫である-18℃であれば2~6時間程度がより好ましい。
本発明の冷やして食べる焼菓子は、焼菓子中に含まれる水分が5~25質量%であることが好ましく、6~20質量%がより好ましく、7~15質量%が更に好ましい。一般的なクッキー等の焼菓子の水分は5質量%以下であるが、本発明においては上記水分量であることで、発明の効果がより良好なものとなる。
尚、下記製造例1~4のうち、製造例1及び2は油脂Aであり且つ油脂Xであるエステル交換油脂の製造例を示し、製造例3及び4は油脂Aであるが油脂Xではないエステル交換油脂の製造例を示す。
〔製造例1〕エステル交換油脂Iの製造
菜種油(キャノーラ油)80質量部に、極度硬化油脂として、パーム油の極度硬化油脂と、ハイエルシンナタネ油の極度硬化油脂とを50:50の質量比で混合した混合油脂(炭素数16の飽和脂肪酸含量が24質量%、且つ炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が30質量%)20質量部を添加し、溶解した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で15%、10℃で12%、20℃で3%、40℃で0%であるエステル交換油脂Iを得た。
菜種油(キャノーラ油)80質量部に、パーム油の極度硬化油脂(炭素数16の飽和脂肪酸含量が44質量%、且つ炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が0質量%)20質量部を添加し、溶解した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で13%、10℃で10%、20℃で2%、40℃で0%であるエステル交換油脂IIを得た。
ヨウ素価65のパーム分別軟部油に、ナトリウムメチラートを触媒として、非選択的エステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で32%、10℃で28%、20℃で16%、40℃で2%であるエステル交換油脂IIIを得た。
ヨウ素価55のパーム分別軟部油に、ナトリウムメチラートを触媒として、非選択的エステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で50%、10℃で41%、20℃で20%、40℃で5%であるエステル交換油脂IVを得た。
尚、得られた全ての油脂組成物は、油相のSFCが、10℃、20℃、30℃いずれにおいても20%以下であり、また流動性を有するものであった。また、得られた全ての油脂組成物は、トランス脂肪酸含量が2質量%未満であり、実質的にトランス脂肪酸を含有していなかった。
ハイオレイックヒマワリ油を80質量部、エステル交換油IIIを16質量部及びハイエルシンナタネ油の極度硬化油脂を4質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、-30℃/分の冷却速度で急冷練り合わせし、冷やして食べる焼菓子用油脂組成物Aを得た。表1に油脂組成物中の組成を示す(以下、実施例及び比較例について同じ)。
ナタネ油を30質量部、ハイオレイックヒマワリ油を50質量部、エステル交換油IIIを16質量部及びハイエルシンナタネ油の極度硬化油脂を4質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、-30℃/分の冷却速度で急冷練り合わせし、冷やして食べる焼菓子用油脂組成物Bを得た。
ナタネ油30質量部、ハイオレイックヒマワリ油50質量部、エステル交換油Iを4質量部、エステル交換油IIIを12質量部及びハイエルシンナタネ油の極度硬化油脂4質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、-30℃/分の冷却速度で急冷練り合わせし、冷やして食べる焼菓子用油脂組成物Cを得た。
ナタネ油30質量部、ハイオレイックヒマワリ油50質量部、エステル交換油Iを8質量部、エステル交換油IIIを8質量部及びハイエルシンナタネ油の極度硬化油脂4質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、-30℃/分の冷却速度で急冷練り合わせし、冷やして食べる焼菓子用油脂組成物Dを得た。
ハイオレイックヒマワリ油80質量部、エステル交換油IVを16質量部及びハイエルシンナタネ油の極度硬化油脂4質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、-30℃/分の冷却速度で急冷練り合わせし、冷やして食べる焼菓子用油脂組成物Eを得た。
ナタネ油30質量部、ハイオレイックヒマワリ油30質量部、ハイオレイックキャノーラ油20質量部、エステル交換油IIIを11質量部、エステル交換油IIを5質量部及びハイエルシンナタネ油の極度硬化油脂4質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、-30℃/分の冷却速度で急冷練り合わせし、冷やして食べる焼菓子用油脂組成物Fを得た。
ナタネ油80質量部、エステル交換油IIIを16質量部及びハイエルシンナタネ油の極度硬化油脂4質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、-30℃/分の冷却速度で急冷練り合わせし、比較用の油脂組成物Gを得た。
ナタネ油94質量部及びハイエルシンナタネ油の極度硬化油脂6質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、-30℃/分の冷却速度で急冷練り合わせし、比較用の油脂組成物Hを得た。
エステル交換油脂IVを、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、-30℃/分の
冷却速度で急冷練り合わせし、比較用の油脂Iを得た。
ハイオレイックヒマワリ油を比較用の油脂Jを得た。
得られた油脂組成物A~H及び油脂I~Jを用いて、下記の配合及び製法により焼菓子を製造した。
(配合)
薄力粉8質量%、砂糖30質量%、全卵(正味)10質量%、脱脂粉乳27質量%、油脂組成物A~H及び油脂I~Jのいずれか25質量%
卓上ミキサー(ケンウッドミキサー)に油脂組成物A~H及び油脂I~Jのいずれか1種、脱脂粉乳及び砂糖を投入し、混合した後、全卵を少しづつ加えて攪拌・混合し、更に薄力粉を加えて低速で1分混合して焼菓子生地を得た。得られた焼菓子の生地を、7gずつ絞って成形し、オーブン(フジサワ社製)で120℃にて10分焼成した後、20℃で60分冷却し、包装した。
尚、得られた焼菓子は赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所社製:FD-230)により水分量を測定したところ、いずれも8~11質量%であった。
官能評価は、10人の専門パネラーにより下記[評価基準]に従って行い、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、結果を下記のようにして〔表1〕に示した。
41~50点:◎、30~40点:〇、15~29点:△、0~14点:×
(焼菓子焼成時における油染みの評価)
- 焼成時、まったく油染みがない
± 焼成時、わずかに油染みがあるものの、殆ど製造には影響しない
+ 焼成時、油染みが見られ、製造へ影響が見られる
++ 焼成時の油染みが激しく製造への影響が大きい
(焼菓子の評価)
・歯切れ評価基準
5点 非常に歯切れが良い。
3点 歯切れがよい。
1点 やや硬い食感で歯切れが悪い。
0点 硬い食感で非常に歯切れが悪い。
・口どけ評価基準
5点 大変良好
3点 良好
1点 やや劣る
0点 不良
Claims (5)
- 下記(a)、(b)及び(c)を満たす、冷やして食べる焼菓子用油脂組成物であって、UUU型トリグリセリドを構成する脂肪酸残基のうち、オレイン酸残基の占める割合が75~95質量%(UUUを構成する脂肪酸残基基準)である、冷やして食べる焼菓子用油脂組成物。
(a)UUU型トリグリセリドの占める割合が50~80質量%(油相基準)
(b)SSS型トリグリセリドの占める割合が2~7質量%(油相基準)
(c)下記油脂Aの占める割合が5~30質量%(油相基準)
Uは炭素数16~22の不飽和脂肪酸残基を示し、
Sは炭素数16~22の飽和脂肪酸残基を示し、
UUU型トリグリセリドはUが3分子結合しているトリグリセリドを示し、
SSS型トリグリセリドは、Sが3分子結合しているトリグリセリドを示し、
油脂Aは10℃のSFC(固体脂含量)が5~45%であるランダムエステル交換油脂である。 - 下記(a)、(b)及び(c)を満たす、冷やして食べる焼菓子用油脂組成物であって、油相中の油脂Aの一部として下記油脂Xを油脂A基準で10~60質量%含有する、冷やして食べる焼菓子用油脂組成物。
(a)UUU型トリグリセリドの占める割合が50~80質量%(油相基準)
(b)SSS型トリグリセリドの占める割合が2~7質量%(油相基準)
(c)下記油脂Aの占める割合が5~30質量%(油相基準)
Uは炭素数16~22の不飽和脂肪酸残基を示し、
Sは炭素数16~22の飽和脂肪酸残基を示し、
UUU型トリグリセリドはUが3分子結合しているトリグリセリドを示し、
SSS型トリグリセリドは、Sが3分子結合しているトリグリセリドを示し、
油脂Aは10℃のSFC(固体脂含量)が5~45%であるランダムエステル交換油脂である。
油脂X:10℃でSFCが10%未満である油脂と極度硬化油脂とをランダムエステル交換した油脂 - 請求項1又は2の油脂組成物を含有する、冷やして食べる焼菓子用生地。
- 請求項3記載の冷やして食べる焼菓子用生地を焼成してなる、冷やして食べる焼菓子。
- 請求項3記載の冷やして食べる焼菓子用生地を焼成する工程を含む、冷やして食べる焼菓子の製造方法。
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