JP6906880B1 - 焼き菓子用生地及び焼き菓子 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼き縮みが小さく、食感の経時的な変化が少ない焼き菓子を提供することにある。【解決手段】焼き菓子用生地に配合される小麦粉100質量部に対して、下記油脂組成物が45〜85質量部、砂糖が15〜55質量部、卵類が5〜25質量部配合された焼菓子用生地であって、該焼き菓子用生地のレオメーター(プランジャー:直径30mm、高さ8mm)で測定速度1mm/秒の条件にて測定した時の20℃での硬さが30〜180Nである焼き菓子用生地。油脂組成物:マーガリン、ファットスプレッド又はショートニングであって、含まれる油脂が下記の(a)から(e)の条件を満たす油脂組成物。(a)X3を20〜50質量%含有する。(b)C40〜54のX3/X3が0.7以上である。(c)X2Uを5〜35質量%含有する。(d)XU2を5〜30質量%含有する。(e)U3を10〜40質量%含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、焼き菓子及び該焼き菓子の製造に使用される焼き菓子用生地に関する発明である。
クッキー、ビスケット等の焼き菓子は、菓子の中でも人気のある商品である。焼き菓子の中でもタルトは、皿状の形状をしており、食した時に口の中でもろく砕けることを特徴とする焼き菓子である。通常、皿状の形状をしたタルトには、果物等の食材がつめられる。食材がつめられたタルトは、タルト菓子やキッシュと呼ばれる。タルト菓子やキッシュは、近年、非常に人気のある商品の一つである。タルトの製造方法としては、例えば、特許文献1〜2等が知られている。
タルトは、通常、調製したタルト用生地を、伸ばし、タルト型にしき込んだ後に焼成することで製造される。タルト用生地の焼成方法は、タルト用生地のみを焼成する方法と、タルト用生地に食材をつめてタルト用生地と食材を一緒に焼成する方法に分けられる。タルト用生地のみを焼成する方法は、空焼きとも言われる。
空焼きで製造されるタルトでは、焼き縮みが発生することがある。タルトの焼き縮みとは、焼きあげたタルトの側面の高さが使用したタルト型の高さよりも低くなることである。焼き縮みが発生すると、タルトに入る食材の量が少なくなる。そのため、空焼きで製造されるタルトには、焼き縮みが発生しにくいことが必要とされる。
また、クッキー、ビスケット等の焼き菓子は、食した時の食感が楽しまれるものである。そのため、焼き菓子の食感は、消費者が焼き菓子を購入する上での重要なポイントとなる。焼き菓子のうち、タルトは果物やクリームなどの食材がつめられることが多い。しかしながら、食材がつめられたタルトは、食感が経時的に変化するという問題があった。そのため、食材がつめられた場合においても、食感の経時的な変化が少ないタルトが求められている。
以上のような背景から、タルト等の焼き菓子の焼き縮みを抑制する手段及び食感の経時的な変化を抑制する手段が求められていた。
特開2016−165234号公報 特開2014−187964号公報
本発明の目的は、焼き縮みが小さく、食感の経時的な変化が小さい焼き菓子を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、焼き菓子用生地の20℃での硬さを特定の範囲にすることにより、本課題が解決できることが見いだされた。これにより、本発明が完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、焼き菓子用生地に配合される小麦粉100質量部に対して、下記練り込み用油脂組成物が45〜85質量部、砂糖が15〜55質量部、卵類が5〜25質量部配合され、下記練り込み用油脂組成物が練り込まれた焼菓子用生地であって、該焼き菓子用生地のレオメーター(プランジャー:直径30mm、高さ8mm)で測定速度1mm/秒の条件にて測定した時の20℃での硬さが55Nを超え180N以下である焼き菓子用生地である。
油脂組成物:パーム系油脂、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのランダムエステル交換油脂、20℃で液状の油脂を使用して製造されるマーガリン、ファットスプレッド又はショートニングであって、含まれる油脂が下記の(a)から(e)の条件を満たす油脂組成物
(a)X3を20〜50質量%含有する。
(b)C40〜54のX3/X3が0.7以上である。
(c)X2Uを5〜35質量%含有する。
(d)XU2を5〜30質量%含有する。
(e)U3を10〜40質量%含有する。
上記の(a)から(e)の条件において、X、U、X3、C40〜54のX3、X2U、XU2、U3はそれぞれ以下のものを示す。
X:炭素数8〜18の飽和脂肪酸
U:炭素数18の不飽和脂肪酸
X3:Xが3分子結合しているトリグリセリド
C40〜54のX3:構成する脂肪酸残基の総炭素数が40〜54であるX3
X2U:Xが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
XU2:Xが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド
U3:Uが3分子結合しているトリグリセリド
本発明の第2の発明は、前記焼き菓子用生地が、水分を13.5質量%以下含有する第1の発明に記載の焼き菓子用生地である。
本発明の第3の発明は、前記焼き菓子用生地がタルト用生地である第1の発明又は第2の発明に記載の焼き菓子用生地である。
本発明の第4の発明は、第1の発明〜第3の発明のいずれか1つの発明に記載の焼き菓子用生地を焼成した焼き菓子である。
本発明の第5の発明は、前記焼き菓子がタルトである第4の発明に記載の焼き菓子である。
本発明の第6の発明は、第4の発明又は第5の発明に記載の焼き菓子と食材を組み合わせた複合食品である。
本発明の第7の発明は、前記複合食品がタルト食品である第6の発明に記載の複合食品である。
本発明によると、焼き縮みが小さく、食感の経時的な変化が小さい焼き菓子を提供することができる。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、焼き菓子用生地に配合される穀粉100質量部に対して、油脂組成物が45〜85質量部、糖質が15〜55質量部、卵類が5〜25質量部配合された焼菓子用生地であって、該焼き菓子用生地のレオメーター(プランジャー:直径30mm、高さ8mm)で測定速度1mm/秒の条件にて測定した時の20℃での硬さが30N以上である。
本発明で焼き菓子用生地は、穀粉、油脂組成物、糖質、卵類、食塩等の原料を混ぜることで得られる焼き菓子を製造するための焼成前の生地のことである。また、本発明で穀粉とは、穀物を挽いて粉状にしたもののことである。穀粉の具体例は、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉等である。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地には、穀粉が配合される。本発明の実施の形態の焼き菓子用生地に配合される穀粉は、好ましくは小麦粉である。本発明の実施の形態の焼き菓子用生地に配合される穀粉は、小麦粉を好ましくは50〜100質量%含有し、より好ましくは70〜100質量%含有し、さらに好ましくは90〜100質量%含有する。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、油脂組成物が配合され、より好ましくは油脂組成物が練り込まれる。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、焼き菓子用生地に配合される穀粉100質量部に対して、油脂組成物が45〜85質量部配合され、好ましくは50〜80質量部配合され、より好ましくは55〜75質量部配合され、さらに好ましくは50〜70質量部配合される。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、好ましくはマーガリン又はファットスプレッドである。
また、本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、好ましくは可塑性油脂組成物である。なお、本発明で可塑性油脂組成物とは、可塑性を有する油脂組成物のことである。
また、本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、好ましくは練り込み用油脂組成物である。なお、本発明で練り込み用油脂組成物とは、焼き菓子用生地に練り込まれる油脂のことである。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂がX3を好ましくは20〜50質量%含有し、より好ましくは23〜48質量%含有し、更に好ましくは25〜45質量%含有する。なお、本発明でX3は、Xが3分子結合しているトリグリセリド(XXX)である。また、本発明でXは、炭素数8〜18の飽和脂肪酸である。また、トリグリセリドとは、グリセロールに3分子の脂肪酸が結合したトリアシルグリセロールのことである。
また、本発明で油脂組成物に含まれる油脂とは、含まれる油脂の全てを合わせた全油脂分のことである。従って、油脂組成物に含まれる油脂には、配合される油脂の他に、バター等の油脂を含有する原料に含まれる油脂(乳脂)も含む。例えば、油脂組成物が油脂a、油脂b、バターを含む場合、油脂組成物に含まれる油脂とは、油脂aと油脂bとバターに含まれる乳脂の混合油のことである。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂中のX3含有量に対するC40〜54のX3含有量の比(C40〜54のX3/X3)が好ましくは0.7以上であり、より好ましくは0.8以上であり、更に好ましくは0.85〜0.95である。なお、本発明でC40〜54のX3は、構成する脂肪酸残基の総炭素数が40〜54のX3のことである。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂中のX3含有量に対するC40〜46のX3含有量の比(C40〜46のX3/X3)が好ましくは0.3〜0.65であり、より好ましくは0.35〜0.6であり、更に好ましくは0.4〜0.57である。なお、本発明でC40〜46のX3は、構成する脂肪酸残基の総炭素数が40〜46のX3のことである。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂がC32〜38のX3を好ましくは10質量%以下含有し、より好ましくは8質量%以下含有し、更に好ましくは1〜7質量%含有する。なお、本発明でC32〜38のX3は、構成する脂肪酸残基の総炭素数が32〜38のX3のことである。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂がC40〜46のX3を好ましくは3〜30質量%含有し、より好ましくは5〜28質量%含有し、更に好ましくは7〜25質量%含有する。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂がC48〜54のX3を好ましくは3〜25質量%含有し、より好ましくは5〜23質量%含有し、更に好ましくは7〜20質量%含有する。なお、本発明でC48〜54のX3は、構成する脂肪酸残基の総炭素数が48〜54のX3のことである。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂がC40〜54のX3を好ましくは15〜45質量%含有し、より好ましくは17〜43質量%含有し、更に好ましくは20〜40質量%含有する。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂がX2Uを好ましくは5〜35質量%含有し、より好ましくは7〜33質量%含有し、更に好ましくは8〜30質量%含有する。なお、本発明でX2Uは、Xが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド(XUX+XXU+UXX)である。また、本発明でUは、炭素数18の不飽和脂肪酸である。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂がXU2を好ましくは5〜30質量%含有し、より好ましくは7〜28質量%含有し、更に好ましくは10〜25質量%含有する。なお、本発明でXU2は、Xが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド(UXU+UUX+XUU)である。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂がU3を好ましくは10〜40質量%含有し、より好ましくは12〜37質量%含有し、更に好ましくは15〜33質量%含有する。なお、本発明において、U3はUが3分子結合しているトリグリセリド(UUU)である。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂が構成脂肪酸として炭素数10以下の飽和脂肪酸を好ましくは7質量%以下含有し、より好ましくは5質量%以下含有し、更に好ましくは3質量%以下含有する。以下、炭素数10以下の飽和脂肪酸は、C10以下飽和と記載することがある。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂が構成脂肪酸として炭素数12〜14の飽和脂肪酸を好ましくは2〜25質量%含有し、より好ましくは3〜23質量%含有し、更に好ましくは5〜20質量%含有する。以下、炭素数12〜14の飽和脂肪酸は、C12〜14飽和と記載することがある。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂が構成脂肪酸として炭素数16〜18の飽和脂肪酸を好ましくは30〜50質量%含有し、より好ましくは32〜48質量%含有し、更に好ましくは35〜45質量%含有する。以下、炭素数16〜18の飽和脂肪酸は、C16〜18飽和と記載することがある。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂が構成脂肪酸としてUを好ましくは30〜60質量%含有し、より好ましくは33〜58質量%含有し、更に好ましくは35〜55質量%含有する。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂が構成脂肪酸として炭素数20以上の脂肪酸を好ましくは7質量%以下含有し、より好ましくは5質量%以下含有し、更に好ましくは3質量%以下含有する。以下、炭素数20以上の脂肪酸は、C20以上脂肪酸と記載することがある。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂が構成脂肪酸としてトランス脂肪酸を好ましくは5質量%以下含有し、より好ましくは3質量%以下含有し、更に好ましくは2質量%以下含有する。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、上記条件を満たす限り、どのような食用油脂を使用してもよい。前記油脂組成物の製造に使用される油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、胡麻油、ココアバター、シア脂、サル脂、パーム油、パーム核油、ヤシ油、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。前記油脂組成物の製造に使用される油脂は、上記食用油脂を1種又は2種以上組み合せて使用することができる。
前記油脂組成物の製造には、好ましくはパーム系油脂、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのランダムエステル交換油脂(以下、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのランダムエステル交換油脂は、ランダムエステル交換油脂Aとする。)、20℃で液状の油脂(以下、20℃で液状の油脂は、液状油とする。)、乳系油脂を使用し、より好ましくはパーム系油脂、ランダムエステル交換油脂A、液状油を使用する。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、含まれる油脂中に、好ましくはパーム系油脂が15〜60質量%、ランダムエステル交換油脂Aが10〜60質量%、液状油が10〜50質量%配合され、より好ましくはパーム系油脂が18〜55質量%、ランダムエステル交換油脂Aが15〜58質量%、液状油が13〜45質量%配合され、さらに好ましくはパーム系油脂が20〜50質量%、ランダムエステル交換油脂Aが20〜55質量%、液状油が17〜37質量%配合される。
本発明でパーム系油脂は、パーム油及びパーム分別油等のパーム油の加工油脂のことである。また、本発明でパーム分別油のエステル交換油等のパーム分別油の加工油脂もパーム系油脂である。パーム系油脂の具体例は、パーム油、パームオレイン、パームオレインのエステル交換油脂、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パーム中融点部(パームミッドフラクション(PMF))、ソフトパーム、ハードステアリン等である。本実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を混合して使用することができる。
前記油脂組成物の製造に使用されるパーム系油脂は、好ましくはパーム油、ヨウ素価50〜60のパームオレイン、ヨウ素価55〜70のパームスーパーオレイン、ヨウ素価50〜60のパームオレインのエステル交換油脂である。
前記油脂組成物の製造に使用されるランダムエステル交換油脂Aは、ヨウ素価が50以下であり、好ましくは40以下であり、より好ましくは30以下である。
本発明でラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうちラウリン酸が30質量%以上の油脂のことである。ラウリン系油脂の具体例は、ヤシ油、パーム核油及びこれらの分別油、エステル交換油脂、硬化油等である。本発明の実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。
前記ランダムエステル交換油脂Aの製造に使用されるラウリン系油脂は、好ましくはパーム核油の極度硬化油、パーム核オレインの極度硬化油である。また、前記ランダムエステル交換油脂Aの製造に使用されるパーム系油脂は、好ましくはヨウ素価25〜40のパームステアリン、ヨウ素価40〜50のパーム中融点部、パームステアリンの極度硬化油である。
前記ランダムエステル交換油脂Aは、エステル交換反応を行う原料油脂のラウリン系油脂とパーム系油脂との混合比(ラウリン系油脂:パーム系油脂)が好ましくは質量比35:65〜65:35であり、より好ましくは質量比40:60〜60:40であり、さらに好ましくは質量比45:55〜55:45である。
前記ランダムエステル交換油脂Aを製造する時のエステル交換の方法は、特に制限はなく、従来公知の方法により行うことができる。
前記ランダムエステル交換油脂Aを製造する時には、必要に応じて水素添加を行うこともできる。水素添加の方法は、特に制限はなく、従来公知の方法により行うことができる。
液状油の具体例は、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、ごま油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油やこれらの油脂の加工油脂(エステル交換油、分別油、硬化油(水素添加油)等)等である。本実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を混合して使用することができる。
前記油脂組成物の製造に使用される液状油は、好ましくは大豆油、菜種油である。
本発明で乳系油脂は、乳脂及び乳脂分別油等の乳脂の加工油脂のことである。乳系油脂の具体例は、乳脂、乳脂分別オレイン等である。本実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、油脂を好ましくは75〜99質量%含有し、より好ましくは80〜98質量%含有し、更に好ましくは85〜97質量%含有する。
油脂の各脂肪酸含有量は、AOCS Ce1f−96に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定することができる。
油脂のトリグリセリド含有量は、AOCS Ce5−86やJAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定することができる。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定することができる。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、水分を好ましくは20質量%以下含有し、より好ましくは15質量%以下含有し、さらに好ましくは1〜12質量%含有する。
なお、油脂組成物の水分とは、油脂組成物に含まれる水分の全てを合わせた全水分のことである。従って、油脂組成物の水分には、配合される水の他に、バター等の水分を含有する原料に含まれる水分も含む。例えば、油脂組成物に、水が10質量%、水分16質量%のバターが10質量%添加される場合、油脂組成物の水分は11.6質量%になる。
また、油脂組成物の水分含有量は、常法(乾燥減量法等)で測定することができる。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、油脂以外に、通常焼き菓子用油脂の製造に使用される原料を配合することができる。具体的には、水、バター、全脂粉乳、脱脂粉乳及び乳清蛋白等の乳製品、砂糖、乳糖及び液糖等の糖質、ステビア及びアスパルテーム等の甘味料、乳化剤、増粘安定剤、食塩及び塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸及びグルコン酸等の酸味料、β−カロテン、カラメル及び紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物(カテキン等)及びルチンなどの酸化防止剤、小麦蛋白及び大豆蛋白等の植物蛋白、全卵、卵黄、卵白、卵加工品等の卵類、香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類及び魚介類等の食品素材若しくは食品添加物を前記油脂組成物に配合することができる。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、従来公知のマーガリン、ファットスプレッド又はショートニングの製造条件及び製造方法で製造することができる。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、糖質が配合される。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、焼き菓子用生地に配合される穀粉100質量部に対して、糖質が15〜55質量部配合され、好ましくは20〜50質量部配合され、より好ましくは23〜48質量部配合され、さらに好ましくは25〜45質量部配合される。なお、本発明で糖質は、炭水化物から食物繊維を除いたもののことである。糖質の具体例は、糖類、糖アルコール(マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトール、還元水飴等)、でんぷん、オリゴ糖、デキストリン等である。また、本発明で糖類は、単糖類、二糖類(ブドウ糖、果糖、ガラクトース、砂糖(上白糖、グラニュー糖、粉糖、ショ糖)、乳糖、麦芽糖等)のことである。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地に配合される糖質は、好ましくは糖類であり、より好ましくは砂糖である。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、卵類が配合される。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、焼き菓子用生地に配合される穀粉100質量部に対して、卵類が5〜25質量部配合され、好ましくは7〜23質量部配合され、さらにより好ましくは9〜21質量部配合され、さらに好ましくは10〜20質量部配合される。
なお、本発明で卵類は、全卵、卵黄又は卵白のことである。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地に配合される卵類は、好ましくは全卵であり、より好ましくは液全卵である。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、水分を好ましくは13.5質量%以下含有し、より好ましくは3.0〜13.5質量%含有し、さらに好ましくは5.0〜13.2質量%含有する。
なお、焼き菓子用生地の水分とは、焼き菓子用生地に含まれる水分の全てを合わせた全水分のことである。従って、焼き菓子用生地の水分には、配合される水の他に、マーガリン等の水分を含有する原料に含まれる水分も含む。例えば、焼き菓子用生地に、水が5質量%、水分5質量%のマーガリンが30質量%添加される場合、焼き菓子用生地の水分は6.5質量%になる。
また、焼き菓子用生地の水分は、常法(乾燥減量法等)で測定することができる。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、好ましくはタルト用生地、クッキー用生地であり、より好ましくはタルト生地である。タルト用生地は、一般的なタルト用生地として知られているクッキー生地、パイ生地のどちらでも良いが、好ましくはクッキー生地である。
なお、本発明でタルト用生地は、穀粉、油脂組成物、糖質、卵類、食塩等の原料を混ぜることで得られるタルトを製造するための焼成前の生地のことである。また、本発明でクッキー用生地は、穀粉、油脂組成物、糖質、卵類、食塩等の原料を混ぜることで得られるクッキーを製造するための焼成前の生地のことである。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、油脂組成物、水、穀粉、糖質、卵類以外の原料として、通常、焼き菓子用生地に配合される原料を通常量配合することができる。焼き菓子用生地に配合される原料の具体例は、食塩、アーモンドパウダー等の粉末ナッツ類、ココア等である。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、20℃での硬さが30〜180Nであり、好ましくは30〜55N又は55Nを超え180N以下であり、より好ましくは33〜55N又は55Nを超え150N以下であり、さらに好ましくは35〜55N又は55Nを超え140N以下であり、最も好ましくは36〜55N又は55Nを超え130N以下である。本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の20℃での硬さが前記範囲であると、焼き縮みが小さく、食感の経時的な変化が小さい焼き菓子が得られる。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の硬さは、レオメーターで測定する。また、本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の硬さの測定に使用するレオメーターは、直径30mm、高さ8mmのプランジャーを使用する。また、本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の硬さの測定に使用するレオメーターのプランジャーは、形状が円柱状である。また、本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の硬さを測定する時のレオメーターの測定速度は1mm/秒である。また、本発明の実施の形態の焼き菓子用生地のレオメーターでの硬さの測定には、焼き菓子用生地を直径40mm、高さ15mmの円柱状のステンレス容器に隙間なく充填し、上面を擦切りした試料を使用する。また、本発明の実施の形態の焼き菓子用生地のレオメーターでの硬さは、50%変形時(プランジャーが7.5mm貫入した時)の最大荷重とする。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、生地中の油脂組成物の配合量や生地中の水分を調整すること等で、20℃での硬さを前記範囲とすることができる。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の焼き菓子用生地の製造条件及び製造方法を適用できる。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地がタルト用生地である場合は、例えば、かき混ぜた油脂組成物に、砂糖を加えてすり混ぜた後、卵類、穀粉の順に加えて混ぜることで製造することができる。調製したタルト用生地は、一定量に分割して型(タルト型等)に充填した後、型より一回り小さい押し型を押し当てることで、型にしき込まれる。型にしき込まれたタルト用生地は、必要に応じて、底面にフォーク等で穴を開けることもできる。
本発明の実施の形態の焼き菓子は、本発明の実施の形態の焼き菓子用生地を焼成することで得られる。
本発明の実施の形態の焼き菓子の具体例は、ビスケット、クッキー、クラッカー、乾パン、プレッツェル、カットパン、ウェハース、サブレ、ラングドシャ、マカロン、タルト等である。本発明の実施の形態の焼き菓子は、好ましくはタルト、クッキーであり、より好ましくはタルトである。なお、本発明でタルトとは、穀粉、油脂組成物、糖質、卵類等を原料として調製した生地(焼成前生地)を型(タルト型)にしき込んで焼成した皿状の形状をした焼成食品のことである。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の焼成方法(本発明の実施の形態の焼き菓子の製造方法)は、特に制限されるものではなく、従来公知の焼き菓子用生地の焼成方法と同様の方法により焼成することができる。焼成方法の具体例は、オーブン加熱、直焼き、高周波加熱(電子レンジ加熱)等である。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の焼成方法は、好ましくはオーブン加熱である。オーブン加熱は、加熱温度が好ましくは160〜180℃であり、加熱時間が好ましくは20〜40分間である。
本発明の実施の形態の焼き菓子がタルトの場合、タルト用生地の焼成は、型にしき込まれたタルト用生地のみを焼成する方法と、型にしき込まれたタルト用生地に食材をつめてタルト用生地と食材を一緒に焼成する方法に分けられるが、タルト用生地の焼成は、どちらの方法で行ってもよい。タルト用生地の焼成が型にしき込まれたタルト用生地のみを焼成する場合、重石をのせて焼成することもできる。タルト用生地の焼成は、好ましくは型にしき込まれたタルト用生地のみを焼成し、より好ましくは重石をのせずに型にしき込まれたタルト用生地のみを焼成する。なお、以下、型にしき込まれたタルト用生地のみを焼成する方法は、空焼きとも言う。また、型にしき込まれたタルト用生地に食材をつめてタルト用生地と食材を一緒に焼成する方法の場合、焼成後にタルト食品が得られる。
本発明の実施の形態の焼き菓子は、焼き縮みが小さく、食感の経時的な変化が小さい。
本発明の実施の形態の複合食品は、本発明の実施の形態の焼き菓子と食材を組み合わせることで得られる。
本発明の実施の形態の複合食品は、好ましくはタルト食品である。なお、本発明でタルト食品は、タルトに食材をつめたもののことである。タルト食品の具体例は、タルト菓子、キッシュ等である。
本発明の実施の形態の複合食品において、本発明の実施の形態の焼き菓子と食材を組み合わせる方法は、従来公知の方法で焼き菓子と食材を組み合わせることができる。本発明の実施の形態の複合食品は、具体的には、焼き菓子に食材をつめることで製造することができる。また、複合食品がタルト食品である場合は、前記したように、型にしき込まれたタルト用生地に食材をつめてタルト用生地と食材を一緒に焼成することでも製造することができる。
本発明の実施の形態の複合食品の製造に使用される食材は、特に制限されることなく、通常タルト食品等の複合食品の製造に使用される食材を使用することができる。本発明の実施の形態の複合食品の製造に使用される食材の具体例は、果物、ジャム、チーズ、カスタードクリーム、チョコレート、チーズケーキ、生クリーム、ホイップクリーム、バタークリーム、各種アパレイユ、クレーム・ダマンド、クレーム・フランジパーヌ、ガナッシュ、ムース、ナッツ類、野菜、卵、肉、ハム、ベーコン等が挙げられる。
本発明の実施の形態の複合食品の製造に使用される食材は、好ましくは水分が50質量%以下であり、より好ましくは47質量%以下である。
本発明の実施の形態の複合食品は、焼き菓子部分の食感の経時的な変化が小さい。通常、焼き菓子のみよりも、焼き菓子と食材を組み合わせた複合食品の方が焼き菓子部分の食感の経時的な変化は大きい。しかしながら、本発明の実施の形態の複合食品に、本発明の実施の形態の焼き菓子を使用すると、焼き菓子部分の食感の経時的な変化を抑制することができる。また、通常、複合食品の製造に使用される食材の水分が高いほど、焼き菓子部分の食感の経時的な変化は大きくなる。しかしながら、本発明の実施の形態の複合食品に、本発明の実施の形態の焼き菓子を使用すると、組み合わせる食材の水分が47質量%でも焼き菓子部分の食感の経時的な変化を抑制することができる。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
油脂の各脂肪酸含有量は、AOCS Ce1f−96に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定した。
油脂のトリグリセリド含有量は、AOCS Ce5−86及びJAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)に準じて、ガスクロマトグラフ法で測定した。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
〔タルト用油脂組成物の製造に使用した油脂〕
油脂1 原料油脂:パーム系油脂41.1質量%(パーム油23.7質量%、ヨウ素価56のパームオレインのランダムエステル交換油脂17.4質量%)、ランダムエステル交換油脂A 36.2質量%(ヨウ素価23のランダムエステル交換油脂A1 19.7質量%、ヨウ素価1未満のランダムエステル交換油脂A2 16.5質量%)、液状油22.7質量%(大豆油22.7質量%)の混合油。
油脂2 原料油脂:パーム系油脂45.0質量%(パーム油45.0質量%)、ランダムエステル交換油脂A 25.0質量%(ヨウ素価1未満のランダムエステル交換油脂A2 25.0質量%)、液状油30.0質量%(大豆油30.0質量%)の混合油。
油脂3 原料油脂:パーム系油脂55.0質量%(パーム油20.0質量%、ヨウ素価45のパーム中融点部26.2質量%、ヨウ素価32のパームステアリン8.8質量%)、ランダムエステル交換油脂A 10.0質量%(ヨウ素価1未満のランダムエステル交換油脂A2 10.0質量%)、液状油20.0質量%(大豆油20.0質量%)、ラウリン系油脂15.0質量%(ヤシ油の極度硬化油15.0質量%)の混合油。
油脂4 原料油脂:パーム系油脂35.0質量%(ヨウ素価56のパームオレインのランダムエステル交換油脂35.0質量%)、ランダムエステル交換油脂A 15.0質量%(ヨウ素価1未満のランダムエステル交換油脂A2 15.0質量%)、液状油50.0質量%(大豆油50.0質量%)の混合油。
油脂5 原料油脂:パーム系油脂65.0質量%(ヨウ素価56のパームオレインのランダムエステル交換油脂25.0質量%、ヨウ素価60のパームスーパーオレイン40質量%)、ランダムエステル交換油脂A 10.0質量%(ヨウ素価1未満のランダムエステル交換油脂A2 10.0質量%)、液状油25.0質量%(菜種油25.0質量%)の混合油。
油脂6 原料油脂:パーム系油脂33.0質量%(ヨウ素価60のパームスーパーオレイン33質量%)、ランダムエステル交換油脂A 35.0質量%(ヨウ素価1未満のランダムエステル交換油脂A2 35.0質量%)、液状油32.0質量%(大豆油32.0質量%)の混合油。
油脂7 原料油脂:パーム系油脂25.0質量%(パーム油10.0質量%、ヨウ素価56のパームオレインのランダムエステル交換油脂15.0質量%)、ランダムエステル交換油脂A 50.0質量%(ヨウ素価23のランダムエステル交換油脂A1 25.0質量%、ヨウ素価1未満のランダムエステル交換油脂A2 25.0質量%)、液状油25.0質量%(大豆油25.0質量%)の混合油。
ヨウ素価23のランダムエステル交換油脂A1:パーム核油の極度硬化油50質量部、ヨウ素価32のパームステアリン15質量部、ヨウ素価45のパーム中融点部35質量部の混合油のランダムエステル交換油脂。
ヨウ素価1未満のランダムエステル交換油脂A2:パーム核オレインの極度硬化油50質量部、パームステアリンの極度硬化油50質量部の混合油のランダムエステル交換油脂。
〔油脂組成物1の製造〕
油脂1(93.68質量部)、乳化剤(0.57質量部)、香料(0.45質量部)、着色料(0.00135質量部)を融解混合することで油相を調製した。次に、水(5質量部)、食塩(0.3質量部)を混合することで水相を調製し、調製した油相94.70135質量部と水相5.3質量部とを混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、油脂組成物1(油中水型乳化物(マーガリン)、油脂含量93.7質量%、水分5.0質量%)を得た。
〔油脂組成物2の製造〕
油脂2(94.36質量部)、乳化剤(0.4質量部)、香料(0.04質量部)、着色料(0.001質量部)、酸化防止剤(0.025質量部)を融解混合することで油相を調製した。次に、水(5.0質量部)、食塩(0.2質量部)を混合することで水相を調製し、調製した油相94.826質量部と水相5.2質量部とを混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、油脂組成物2(油中水型乳化物(マーガリン)、油脂含量94.3質量%、水分5.0質量%)を得た。
〔油脂組成物3の製造〕
油脂2(83.36質量部)、乳化剤(0.4質量部)、香料(0.04質量部)、着色料(0.001質量部)、酸化防止剤(0.025質量部)を融解混合することで油相を調製した。次に、水(16.0質量部)、食塩(0.2質量部)を混合することで水相を調製し、調製した油相83.826質量部と水相16.2質量部とを混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、油脂組成物3(油中水型乳化物(マーガリン)、油脂含量83.3質量%、水分16.0質量%)を得た。
〔油脂組成物4の製造〕
油脂3(82.58質量部)、乳化剤(0.9質量部)、香料(0.02質量部)、着色料(0.001質量部)を融解混合することで油相を調製した。次に、水(16.0質量部)、食塩(0.2質量部)、脱脂粉乳(0.3質量部)を混合することで水相を調製し、調製した油相83.501質量部と水相16.5質量部とを混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、油脂組成物4(油中水型乳化物(マーガリン)、油脂含量82.6質量%、水分16.0質量%)を得た。
〔油脂組成物5の製造〕
油脂4(94.34質量部)、乳化剤(0.4質量部)、香料(0.04質量部)、着色料(0.001質量部)、酸化防止剤(0.025質量部)を融解混合することで油相を調製した。次に、水(5.0質量部)、食塩(0.2質量部)を混合することで水相を調製し、調製した油相94.806質量部と水相5.2質量部とを混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、油脂組成物5(油中水型乳化物(マーガリン)、油脂含量94.3質量%、水分5.0質量%)を得た。
〔油脂組成物6の製造〕
油脂5(93.2質量部)を融かすことで油相を調製した。次に、水(5質量部)、食塩(0.4質量部)、酵素処理卵黄(1質量部)、風味材(0.4質量部)を混合することで水相を調製し、調製した油相93.2質量部と水相6.8質量部とを混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、油脂組成物6(油中水型乳化物(マーガリン)、油脂含量93.2質量%、水分5.0質量%)を得た。
〔油脂組成物7の製造〕
油脂6(93.9質量部)、乳化剤(0.57質量部)、香料(0.007質量部)、着色料(0.00135質量部)、酸化防止剤(0.025質量部)を融解混合することで油相を調製した。次に、水(5.02質量部)、食塩(0.5質量部)を混合することで水相を調製し、調製した油相94.50335質量部と水相5.52質量部とを混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、油脂組成物7(油中水型乳化物(マーガリン)、油脂含量93.9質量%、水分5.0質量%)を得た。
〔油脂組成物8の製造〕
油脂7(88.8質量部)、乳化剤(0.57質量部)、香料(0.37質量部)、着色料(0.00135質量部)を融解混合することで油相を調製した。次に、水(10質量部)、食塩(0.2質量部)、香料(0.1質量部)を混合することで水相を調製し、調製した油相89.74135質量部と水相10.3質量部とを混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、油脂組成物8(油中水型乳化物(マーガリン)、油脂含量88.8質量%、水分10.0質量%)を得た。
各油脂組成物に含まれる油脂のトリグリセリド含有量、脂肪酸含有量を表1に示した。なお、含有量の単位は質量%である(質量比の単位はない。)。
Figure 0006906880
Figure 0006906880
Figure 0006906880
〔タルトの製造及び評価〕
油脂組成物1〜8を使用して、表4〜6の配合で、下記1)〜6)の手順に従ってタルト用生地(クッキー生地)を製造した(なお、表4〜6のタルト用生地に配合される穀粉は、小麦粉を100質量%含有する。)。製造したタルト用生地の20℃での硬さを下記測定方法で測定した。また、タルト用生地の水分を表4〜6に示した。
製造したタルト用生地を使用して、下記7)の手順に従ってタルトを製造した。得られたタルトの焼き縮みを、以下の方法に従って評価した。結果を表4〜6に示した。
〔タルトの製造手順〕
1)油脂を混ぜる。
2)上白糖を加えすり混ぜる。
3)食塩を溶解した全卵を加え混ぜる。
4)薄力粉を加え混ぜる。
5)調製した生地を30gに分割してタルト型(上直径73mm、下直径62mm、
高さ24mm)に充填する。
6)生地が充填されたタルト型に、押し型(上直径67mm、下直径56mm、高さ
21mm)を押し当てることで、生地をタルト型にしき込む。
7)上火180℃、下火160℃のオーブンで24分間焼成する。
<タルト用生地の硬さの測定方法>
レオメーター(株式会社山電製、CREEP METER RE2−33005B)を使用して、下記1)〜3)の手順に従ってタルト用生地の硬さを測定した。レオメーターでの測定には、直径30mm、高さ8mmの円柱状のプランジャー(樹脂製)を使用した。なお、レオメーターでの硬さは、50%変形時(プランジャーが7.5mm貫入した時)の最大荷重とした。
1)直径40mm、高さ15mmの円柱状のステンレス容器に、タルト用生地を隙間な
く充填し、上面を擦切る。
2)タルト用生地が充填されたステンレス容器を20℃に設定した恒温槽で一晩調温す
る。
3)調温されたタルト用生地が充填されたステンレス容器を素早く取り出し、レオメー
ターを使用して、測定速度1mm/秒の条件にて、ステンレス容器に充填されたタル
ト用生地の硬さを測定する。
<タルトの焼き縮みの評価方法>
焼成から約24時間後のタルトの側面の高さ(タルト5個の平均値)を測定し、下記式により縮小率を算出することで、タルトの焼き縮みを評価した。縮小率が20%以下である場合を焼き縮みが小さいとした。結果を表4〜6に示した。
縮小率=(使用したタルト型の高さ−焼成後のタルトの側面の高さ)÷使用したタルト
型の高さ×100
〔タルト菓子の製造及び評価〕
油脂組成物1〜8を使用して製造したタルトに、チーズケーキ(水分47質量%)を充填することでタルト菓子を製造した。得られたタルト菓子の食感を、以下の方法に従って評価した。結果を表4〜6に示した。
<タルト菓子の食感の評価方法>
製造直後のタルト菓子及び4℃で2日間保存したタルト菓子を、5名の専門パネルが食することで、タルト菓子のタルト部分の食感を評価した。3名以上の専門パネルがサクッとした食感であると評価した時、サクッとした食感を有すると判断した。なお、タルト菓子の食感を評価した専門パネルは、食品の食感等の官能評価の訓練を定期的に受けており、食品の食感等の官能評価結果に個人差が少ない。
Figure 0006906880
Figure 0006906880
Figure 0006906880
実施例1〜5のタルト用生地を使用して製造したタルトは、焼き縮みが小さかった。また、実施例1〜5のタルト用生地を使用して製造したタルト菓子は、4℃、2日間の保存後も、サクッとした食感が維持されており、食感の経時的な変化が小さかった。
一方、比較例1〜4、6のタルト用生地を使用して製造したタルトは、焼き縮みが大きかった。また、比較例4〜6のタルト用生地を使用して製造したタルト菓子は、4℃、2日間の保存で、サクッとした食感が失われており、食感の経時的な変化が大きかった。

Claims (7)

  1. 焼き菓子用生地に配合される小麦粉100質量部に対して、下記練り込み用油脂組成物が45〜85質量部、砂糖が15〜55質量部、卵類が5〜25質量部配合され、下記練り込み用油脂組成物が練り込まれた焼菓子用生地であって、該焼き菓子用生地のレオメーター(プランジャー:直径30mm、高さ8mm)で測定速度1mm/秒の条件にて測定した時の20℃での硬さが55Nを超え180N以下である焼き菓子用生地。
    油脂組成物:パーム系油脂、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのランダムエステル交換油脂、20℃で液状の油脂を使用して製造されるマーガリン、ファットスプレッド又はショートニングであって、含まれる油脂が下記の(a)から(e)の条件を満たす油脂組成物
    (a)X3を20〜50質量%含有する。
    (b)C40〜54のX3/X3が0.7以上である。
    (c)X2Uを5〜35質量%含有する。
    (d)XU2を5〜30質量%含有する。
    (e)U3を10〜40質量%含有する。
    上記の(a)から(e)の条件において、X、U、X3、C40〜54のX3、X2U、XU2、U3はそれぞれ以下のものを示す。
    X:炭素数8〜18の飽和脂肪酸
    U:炭素数18の不飽和脂肪酸
    X3:Xが3分子結合しているトリグリセリド
    C40〜54のX3:構成する脂肪酸残基の総炭素数が40〜54であるX3
    X2U:Xが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
    XU2:Xが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド
    U3:Uが3分子結合しているトリグリセリド
  2. 前記焼き菓子用生地が、水分を13.5質量%以下含有する請求項1に記載の焼き菓子用生地。
  3. 前記焼き菓子用生地がタルト用生地である請求項1又は請求項2に記載の焼き菓子用生地。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の焼き菓子用生地を焼成した焼き菓子。
  5. 前記焼き菓子がタルトである請求項4に記載の焼き菓子。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の焼き菓子と食材を組み合わせた複合食品。
  7. 前記複合食品がタルト食品である請求項6に記載の複合食品。
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