JP7007051B2 - タルト用油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、タルト用油脂組成物及び該タルト用油脂組成物を使用したタルトに関する発明である。
タルトは、皿状の形状をしており、ある程度の硬さがありながらも、噛むと口の中でもろく砕けるような食感を有することを特徴とする焼き菓子である。通常、皿状の形状をしたタルトには、果物等の食材がつめられる。食材がつめられたタルトは、タルト菓子やキッシュと呼ばれる。タルト菓子やキッシュは、近年、非常に人気のある商品の一つである。タルトの製造方法としては、例えば、特許文献1~2等が知られている。
タルトは、通常、調製したタルト用生地を、伸ばし、タルト型にしき込んだ後に焼成することで製造される。タルト用生地の焼成方法は、タルト用生地のみを焼成する方法と、タルト用生地に食材をつめてタルト用生地と食材を一緒に焼成する方法に分けられる。タルト用生地のみを焼成する方法は、空焼きとも言われる。
空焼きで製造されるタルトでは、焼き縮みが発生することがある。タルトの焼き縮みとは、焼きあげたタルトの側面の高さが使用したタルト型の高さよりも低くなることである。焼き縮みが発生すると、タルトに入る食材の量が少なくなる。そのため、空焼きで製造されるタルトには、焼き縮みが発生しにくいことが必要とされる。
空焼きで製造されるタルトの焼き縮みを抑制する方法としては、タルト用生地を焼成するときに、タルト型にしき込んだタルト用生地に重石をのせて焼成する方法がある。しかしながら、タルト用生地に重石をのせて焼成する方法は、重石をのせたまま焼き続けると、重石をのせたタルト用生地の内側に火が通らないので、焼成の途中で重石を取り除き、再度焼成する必要がある。従って、タルト用生地に重石をのせて焼成する方法では、重石を入れる工程が必要であることに加えて、焼成の途中で重石を取り除く工程が必要になる。また、タルト用生地に重石をのせて焼成する方法では、タルト用生地側面の上部がうっすらと色がついてきた頃に重石を取り除く必要ある。従って、タルト用生地に重石をのせて焼成する方法では、重石を取り除くタイミングが難しかった。そのため、タルト用生地に重石をのせて焼成する方法は、作業性が悪いという問題があった。
以上のような背景から、空焼きで製造されるタルトにおいて、タルト用生地に重石をのせずに焼成する方法でも、焼き縮みが小さいタルトが求められていた。
特開2016-165234号公報 特開2014-187964号公報
本発明の目的は、焼き縮みが小さいタルトを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、水分を特定量以下含有する油脂組成物を、タルトの製造に使用することにより、本課題が解決できることが見いだされた。これにより、本発明が完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、水分を0.6~7質量%含有するタルト用油脂組成物である。
本発明の第2の発明は、第1の発明に記載のタルト用油脂組成物を使用して得られるタルト用生地である。
本発明の第3の発明は、第2の発明に記載のタルト用生地を焼成したタルトである。
本発明の第4の発明は、第3の発明に記載のタルトと食材を組み合わせたタルト食品である。
本発明の第5の発明は、第1の発明に記載のタルト用油脂組成物を使用して得られるタルト用生地を、焼成することを特徴とするタルトの製造方法である。
本発明の第6の発明は、第1の発明に記載のタルト用油脂組成物を使用することを特徴とするタルトの焼き縮みを抑制する方法である。
本発明の第7の発明は、水分を0.6~7質量%含有する油脂組成物からなるタルトの焼き縮み抑制剤である。
本発明によると、焼き縮みが小さいタルトを提供することができる。
本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物は、水分を8.5質量%以下含有する。
なお、本発明において、タルトとは、穀粉、油脂、砂糖、卵等を原料として調製した生地(焼成前生地)を型(タルト型)にしき込んで焼成した皿状の形状をした焼成食品のことである。また、本発明においては、タルトに食材をつめたものをタルト食品とする。
本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物は、水分を8.5質量%以下含有し、好ましくは8質量%以下含有し、より好ましくは0.6~8質量%含有し、更に好ましくは1~7質量%含有する。
本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物が水分を前記範囲で含有すると、該タルト用油脂組成物を使用してタルトを製造した場合に、焼き縮みの小さいタルトが得られる。
なお、タルト用油脂組成物の水分とは、タルト用油脂組成物に含まれる水分の全てを合わせた全水分のことである。従って、タルト用油脂組成物の水分には、配合される水の他に、バター等の水分を含有する原料に含まれる水分も含む。例えば、タルト用油脂組成物が水を10質量%、水分含有量が16質量%のバターを10質量%含有する場合、タルト用油脂組成物の水分は11.6質量%になる。
また、タルト用油脂組成物の水分含有量は、常法で測定することができる。タルト用油脂組成物の水分含有量は、例えば、タルト用油脂組成物を105℃で5時間加熱して乾燥させ、その減量(乾燥によって減少した質量)から測定することができる。例えば、タルト用油脂組成物10gを105℃で5時間加熱して乾燥させた時の減量が0.5gである場合、タルト用油脂組成物の水分含有量は5質量%になる。
本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物は、油脂を好ましくは88質量%以上含有し、より好ましくは90質量%以上含有し、より好ましくは90~99質量%含有し、更に好ましくは91~98質量%含有する。
なお、タルト用油脂組成物の油脂含有量は、常法で測定することができる。タルト用油脂組成物の油脂含有量は、例えば、タルト用油脂組成物から石油エーテル等の溶剤で油脂を抽出し、抽出された油脂の質量から測定することができる。例えば、タルト用油脂組成物10gから抽出された油脂の質量が9.5gである場合、タルト用油脂組成物の油脂含有量は95質量%になる。
本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物は、含まれる油脂の固体脂含量(以下、固体脂含量は、SFCと記載することもある。)が好ましくは10℃で6~60%、20℃で3~45%、35℃で0~20%であり、より好ましくは10℃で8~55%、20℃で5~40%、35℃で0~18%であり、さらに好ましくは10℃で10~50%、20℃で8~35%、35℃で0~15%であり、最も好ましくは10℃で15~45%、20℃で8~32%、35℃で0~12%である。
なお、本発明において、タルト用油脂組成物に含まれる油脂とは、含まれる油脂の全てを合わせた全油脂分のことである。従って、タルト用油脂組成物に含まれる油脂には、配合される油脂の他に、バター等の油脂を含有する原料に含まれる油脂(乳脂)も含む。例えば、タルト用油脂組成物が油脂a、油脂b、油脂cを含む場合、タルト用油脂組成物に含まれる油脂とは、油脂aと油脂bと油脂cの混合油のことである。また、例えば、タルト用油脂組成物が油脂a、バターを含む場合、タルト用油脂組成物に含まれる油脂とは、油脂aとバターに含まれる乳脂の混合油のことである。
また、油脂のSFCは社団法人 日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の2.2.9-2003 固体脂含量(NMR法)に準じて測定することができる。
本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物の製造に使用される油脂は、上記条件を満たす限り、どのような食用油脂を使用してもよい。タルト用油脂組成物の油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、胡麻油、ココアバター、シア脂、サル脂、パーム油、パーム核油、ヤシ油、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物の製造に使用される油脂は、上記食用油脂を1種又は2種以上組み合せて使用することができる。
本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物の製造に使用される油脂は、好ましくはパーム系油脂、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのランダムエステル交換油脂(以下、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのランダムエステル交換油脂は、ランダムエステル交換油脂Aとする。)、20℃で液状の油脂(以下、20℃で液状の油脂は、液状油とする。)、乳系油脂を使用する。
本発明においてパーム系油脂は、パーム油及びパーム分別油等のパーム油の加工油脂のことである。また、本発明において、パーム分別油のエステル交換油等のパーム分別油の加工油脂もパーム系油脂である。パーム系油脂の具体例は、パーム油、パームオレイン、パームオレインのエステル交換油脂、パームステアリン、パームスーパーオレイン、パーム中融点部(パームミッドフラクション(PMF))、ソフトパーム、ハードステアリン等である。本実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物の製造に使用されるランダムエステル交換油脂Aは、ヨウ素価が50以下であり、好ましくは48以下であり、より好ましくは45以下である。
本発明においてラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうちラウリン酸が30質量%以上の油脂のことである。ラウリン系油脂の具体例は、ヤシ油、パーム核油及びこれらの分別油、エステル交換油脂、硬化油等である。本発明の実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。
前記ランダムエステル交換油脂Aは、エステル交換反応を行う原料油脂のラウリン系油脂とパーム系油脂との混合比(ラウリン系油脂:パーム系油脂)が好ましくは質量比35:65~65:35であり、より好ましくは質量比40:60~60:40であり、さらに好ましくは質量比45:55~55:45である。
前記ランダムエステル交換油脂Aを製造する時のエステル交換の方法は、特に制限はなく、従来公知の方法により行うことができる。
前記ランダムエステル交換油脂Aを製造する時には、必要に応じて水素添加を行うこともできる。水素添加の方法は、特に制限はなく、従来公知の方法により行うことができる。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1-1996 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」に準じて測定することができる。
液状油の具体例は、大豆油、菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、ごま油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油やこれらの油脂の加工油脂(エステル交換油、分別油、硬化油(水素添加油)等)等である。本実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明において乳系油脂は、乳脂及び乳脂分別油等の乳脂の加工油脂のことである。乳系油脂の具体例は、乳脂、乳脂分別オレイン等である。本実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物は、水、油脂以外に、通常タルト用油脂の製造に使用される原料を配合することができる。具体的には、バター、全脂粉乳、脱脂粉乳及び乳清蛋白等の乳製品、砂糖、乳糖及び液糖等の糖類、糖アルコール類、ステビア及びアスパルテーム等の甘味料、乳化剤、増粘安定剤、食塩及び塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸及びグルコン酸等の酸味料、β-カロテン、カラメル及び紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物(カテキン等)及びルチンなどの酸化防止剤、小麦蛋白及び大豆蛋白等の植物蛋白、卵、卵加工品、香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類及び魚介類等の食品素材若しくは食品添加物を本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物に配合することができる。
本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物は、水相を有する乳化物(マーガリン、ファットスプレッド)又は水相を有さないショートニングである。本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物が水相を有する乳化物の場合、好ましくは油中水型乳化物である。
本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知のマーガリン、ファットスプレッド又はショートニングの製造条件及び製造方法を適用できる。具体的には、タルト用油脂組成物は、配合する油溶成分を混合溶解することで製造できる。また、タルト用油脂組成物に可塑性を付与する場合は、タルト用油脂組成物は、配合する油溶成分を混合溶解した油相を、必要に応じて、調製した水相と混合乳化した後、冷却し、結晶化させる工程により製造できる。冷却、結晶化の工程では、タルト用油脂組成物は、好ましくは冷却可塑化される。冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、より好ましくは-5℃/分以上である。この際、冷却は、徐冷却より急冷却の方が好ましい。また、油相の調製後又は混合乳化後、タルト用油脂組成物は、好ましくは殺菌処理される。殺菌方法としては、タンクでのバッチ式や、プレート型熱交換機、掻き取り式熱交換機を用いた連続式が挙げられる。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクターなどのマーガリン製造機や、プレート型熱交換機などが挙げられる。また、冷却する機器としては、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組み合わせも挙げられる。
本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物は、2種以上のタルト用油脂組成物を別々に調製した後、調製した2種以上のタルト用油脂組成物を混合することで製造することもできる。別々に調製した2種以上のタルト用油脂組成物を混合して製造する場合は、それぞれ水分含有量が異なるタルト用油脂組成物を使用することもできる。また、別々に調製した2種以上のタルト用油脂組成物を混合して製造する場合は、水分含有量8.5質量%以下のタルト用油脂組成物と水分含有量が8.5質量%を超えるタルト用油脂組成物を使用することもできる。水分含有量8.5質量%以下のタルト用油脂組成物と水分含有量が8.5質量%を超えるタルト用油脂組成物を使用する場合は、混合後に得られるタルト用油脂組成物の水分含有量が8.5質量%以下であればよい。例えば、水分含有量2質量%のタルト用油脂組成物50質量部と水分含有量が10質量%のタルト用油脂組成物50質量部を混合することで、水分含有量6質量%のタルト用油脂組成物を製造することができる。
本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物は、好ましくは可塑化される。すなわち、本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物は、好ましくは可塑性油脂組成物である。
本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物は、好ましくはタルト練り込み用油脂組成物である。なお、本発明において、タルト練り込み用油脂組成物とは、後述するタルト生地への練り込み用油脂のことである。
本発明の実施の形態に係るタルト用生地は、本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物を使用して得られる。本発明の実施の形態に係るタルト用生地は、好ましくは本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物が練り込まれている。
なお、本発明において、タルト用生地は、穀粉、油脂、砂糖、卵、食塩等の原料を混ぜることで得られるタルトの製造するための焼成前の生地のことである。また、本発明において、穀粉とは、穀物を挽いて粉状にしたもののことである。穀粉の具体例は、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉等である。
本発明の実施の形態に係るタルト用生地に配合される穀粉は、好ましくは小麦粉である。本発明の実施の形態に係るタルト用生地に配合される穀粉は、小麦粉を好ましくは50~100質量%含有し、より好ましくは70~100質量%含有し、さらに好ましくは90~100質量%含有する。
本発明の実施の形態に係るタルト用生地は、タルト用生地に配合される穀粉100質量部に対して、本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物が、好ましくは30~80質量部配合され、より好ましくは35~75質量部配合され、さらに好ましくは40~70質量部配合され、最も好ましくは50~70質量部配合される。
本発明の実施の形態に係るタルト用生地は、一般的なタルト用生地として知られているクッキー生地、パイ生地のどちらでも良いが、好ましくはクッキー生地である。
本発明の実施の形態に係るタルト用生地は、本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物、穀粉以外の原料として、通常、タルト用生地に配合される原料を通常量配合することができる。タルト用生地に配合される原料の具体例は、食塩、砂糖(上白糖、グラニュー糖、粉糖)等の糖類・糖アルコール類、卵(全卵、卵黄、卵白)、本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物以外の油脂(バター、マーガリン、ショートニング等)、アーモンドパウダー等の粉末ナッツ類、ココア等である。
本発明の実施の形態に係るタルト用生地の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知のタルト用生地の製造条件及び製造方法を適用できる。本発明の実施の形態に係るタルト用生地は、例えば、かき混ぜた油脂に、砂糖を加えてすり混ぜた後、卵、穀粉の順に加えて混ぜることで製造することができる。調製したタルト用生地は、一定量に分割して型(タルト型等)に充填した後、型より一回り小さい押し型を押し当てることで、型にしき込まれる。型にしき込まれたタルト用生地は、必要に応じて、底面にフォーク等で穴を開けることもできる。
本発明の実施の形態に係るタルトは、本発明の実施の形態に係るタルト用生地を焼成することで得られる。
本発明の実施の形態に係るタルト用生地の焼成方法(本発明の実施の形態に係るタルトの製造方法)は、特に制限されるものではなく、従来公知のタルト用生地の焼成方法と同様の方法により焼成することができる。焼成方法の具体例は、オーブン加熱、直焼き、高周波加熱(電子レンジ加熱)等である。
本発明の実施の形態に係るタルト生地の焼成方法は、好ましくはオーブン加熱である。オーブン加熱は、加熱温度が好ましくは160~180℃であり、加熱時間が好ましくは20~40分間である。
タルト用生地の焼成は、型にしき込まれたタルト用生地のみを焼成する方法と、型にしき込まれたタルト用生地に食材をつめてタルト用生地と食材を一緒に焼成する方法に分けられるが、本発明の実施の形態に係るタルト用生地の焼成は、どちらの方法で行ってもよい。本発明の実施の形態に係るタルト用生地の焼成が型にしき込まれたタルト用生地のみを焼成する場合、重石をのせて焼成することもできる。本発明の実施の形態に係るタルト用生地の焼成は、好ましくは型にしき込まれたタルト用生地のみを焼成し、より好ましくは重石をのせずに型にしき込まれたタルト用生地のみを焼成する。なお、以下、型にしき込まれたタルト用生地のみを焼成する方法は、空焼きとも言う。また、型にしき込まれたタルト用生地に食材をつめてタルト用生地と食材を一緒に焼成する方法の場合、焼成後にタルト食品が得られる。
本発明の実施の形態に係るタルトは、焼き縮みが小さい。また、本発明の実施の形態に係るタルトは、空焼きでも焼き縮みが小さい。さらに、本発明の実施の形態に係るタルトは、重石をのせない空焼きでも焼き縮みが小さい。従って、本発明の実施の形態に係るタルトは、タルト用生地の焼成時の作業性が良い。
なお、本発明において、タルトの焼き縮みとは、焼きあげたタルトの側面の高さが使用したタルト型の高さよりも低くなることである。
前記したように、本発明の実施の形態に係るタルトは、焼き縮みが小さい。本発明の実施の形態に係るタルトは、本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物を使用することを特徴としている。従って、本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物を使用することで、タルトの焼き縮みを抑制することができる。すなわち、本発明の実施の形態に係るタルトの焼き縮みを抑制する方法は、本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物を使用することを特徴とする。
前記したように、本発明の実施の形態に係るタルトは、焼き縮みが小さい。本発明の実施の形態に係るタルトは、本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物を使用することを特徴としている。従って、本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物は、タルトの焼き縮み抑制剤として使用することができる。すなわち、本発明の実施の形態に係るタルトの焼き縮み抑制剤は、水分を8.5質量%以下含有する油脂組成物からなることを特徴とする。本発明の実施の形態に係るタルトの焼き縮み抑制剤の水分含有量、油脂含有量、含まれる油脂のSFC、製造に使用される油脂、製造に使用される原料、形態、製造方法等は、本発明の実施の形態に係るタルト用油脂組成物と同じである。
本発明の実施の形態に係るタルト食品は、本発明の実施の形態に係るタルトと食材を組み合わせることで得られる。本発明の実施の形態に係るタルト食品の具体例は、タルト菓子、キッシュ等である。
本発明の実施の形態に係るタルト食品において、本発明の実施の形態に係るタルトと食材を組み合わせる方法は、従来公知の方法でタルトと食材を組み合わせることができる。本発明の実施の形態に係るタルト食品は、具体的には、タルトに食材をつめることで製造することができる。また、前記したように、本発明の実施の形態に係るタルト食品は、型にしき込まれたタルト用生地に食材をつめてタルト用生地と食材を一緒に焼成することでも製造することができる。
本発明の実施の形態に係るタルト食品の製造に使用される食材は、特に制限されることなく、通常タルト食品の製造に使用される食材を使用することができる。本発明の実施の形態に係るタルト食品の製造に使用される食材の具体例は、果物、ジャム、チーズ、カスタードクリーム、チョコレート、生クリーム、ホイップクリーム、バタークリーム、各種アパレイユ、クレーム・ダマンド、クレーム・フランジパーヌ、ガナッシュ、ムース、ナッツ類、野菜、卵、肉、ハム、ベーコン等が挙げられる。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
水分含有量は、試料を105℃で5時間加熱して乾燥させ、その減量から測定した。
油脂含有量は、試料から石油エーテルで油脂を抽出し、抽出された油脂の質量から測定した。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1-1996 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
油脂のSFCは社団法人 日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の2.2.9-2003 固体脂含量(NMR法)に準じて測定した。
〔タルト用油脂組成物の製造に使用した油脂〕
油脂1 原料油脂:パーム系油脂、ランダムエステル交換油脂A、液状油の混合油
油脂2 原料油脂:パーム系油脂、ランダムエステル交換油脂A、液状油の混合油
油脂3 原料油脂:パーム系油脂、ランダムエステル交換油脂A、液状油の混合油
油脂4 原料油脂:パーム系油脂、ランダムエステル交換油脂A、液状油の混合油
油脂5 原料油脂:パーム系油脂、ランダムエステル交換油脂A、液状油、乳系油脂の
混合油
油脂6 原料油脂:パーム系油脂、ランダムエステル交換油脂A、液状油の混合油
油脂7 原料油脂:パーム系油脂、ランダムエステル交換油脂A、液状油の混合油
〔タルト用油脂組成物の製造〕
表1~5の配合に従って、油相と水相とをそれぞれ調製し、油相に水相を混合、乳化した。当該乳化物を、急冷混捏することで実施例1~12、比較例1~6のタルト用油脂組成物を製造した。
〔タルトの製造及び評価〕
製造した各タルト用油脂組成物を使用して、表6の配合で、下記1)~6)の手順に従ってタルト用生地(クッキー生地)を製造した(なお、表6のタルト用生地に配合される穀粉は、小麦粉を100質量%含有する。)。製造したタルト用生地を使用して、下記7)の手順に従ってタルトを製造した。得られたタルトの焼き縮みをタルトの側面の高さ(タルト5個の平均値)を測定し、下記式により縮小率を算出することで、タルトの焼き縮みを評価した。縮小率が20%以下である場合を焼き縮みが小さいとした。結果を表1~5に示した。
縮小率=(使用したタルト型の高さ-焼成後のタルトの側面の高さ)÷使用したタルト
型の高さ×100
〔タルトの製造手順〕
1)油脂を混ぜる。
2)上白糖を加えすり混ぜる。
3)全卵を加え混ぜる。
4)薄力粉を加え混ぜる。
5)調製した生地を64gに分割してタルト型(上直径100mm、下直径84mm、
高さ31mm)に充填する。
6)生地が充填されたタルト型に、押し型(上直径94mm、下直径76mm、高さ2
8mm)を押し当てることで、生地をタルト型にしき込む。
7)上火180℃、下火160℃のオーブンで30分間焼成する。
Figure 0007007051000001
Figure 0007007051000002
Figure 0007007051000003
Figure 0007007051000004
Figure 0007007051000005
Figure 0007007051000006
実施例のタルト用油脂組成物を使用して製造したタルトは、焼き縮みが小さかった。
一方、比較例のタルト用油脂組成物を使用して製造したタルトは、焼き縮みが大きかった。

Claims (7)

  1. 水分を0.6~7質量%含有するタルト用油脂組成物。
  2. 請求項1に記載のタルト用油脂組成物を使用して得られるタルト用生地。
  3. 請求項2に記載のタルト用生地を焼成したタルト。
  4. 請求項3に記載のタルトと食材を組み合わせたタルト食品。
  5. 請求項1に記載のタルト用油脂組成物を使用して得られるタルト用生地を、焼成することを特徴とするタルトの製造方法。
  6. 請求項1に記載のタルト用油脂組成物を使用することを特徴とするタルトの焼き縮みを抑制する方法。
  7. 水分を0.6~7質量%含有する油脂組成物からなるタルトの焼き縮み抑制剤。
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