JP6727389B1 - 焼き菓子用生地及び焼き菓子 - Google Patents
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Description
油脂組成物:パーム系油脂、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのランダムエステル交換油脂、20℃で液状の油脂を使用して製造されるマーガリン、ファットスプレッド又はショートニングであって、含まれる油脂が下記の(a)から(e)の条件を満たす油脂組成物。
(a)X3を20〜50質量%含有する。
(b)C40〜54のX3/X3が0.7以上である。
(c)X2Uを5〜35質量%含有する。
(d)XU2を10〜30質量%含有する。
(e)U3を10〜35質量%含有する。
上記の(a)から(e)の条件において、X、U、X3、C40〜54のX3、X2U、XU2、U3はそれぞれ以下のものを示す。
X:炭素数8〜18の飽和脂肪酸
U:炭素数18の不飽和脂肪酸
X3:Xが3分子結合しているトリグリセリド
C40〜54のX3:構成する脂肪酸残基の総炭素数が40〜54であるX3
X2U:Xが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
XU2:Xが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド
U3:Uが3分子結合しているトリグリセリド
本発明の第2の発明は、前記焼き菓子用生地がタルト用生地である第1の発明に記載の焼き菓子用生地である。
本発明の第3の発明は、本発明の第1の発明又は第2の発明に記載の焼き菓子用生地を焼成した焼き菓子である。
本発明の第4の発明は、前記焼き菓子がタルトである第3の発明に記載の焼き菓子である。
本発明の第5の発明は、第3の発明又は第4の発明に記載の焼き菓子と食材を組み合わせた複合食品である。
本発明の第6の発明は、前記複合食品がタルト食品である第5の発明に記載の複合食品である。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、焼き菓子用生地に配合される穀粉100質量部に対して、油脂組成物が45〜85質量部配合され、好ましくは50〜80質量部配合され、より好ましくは55〜75質量部配合され、さらに好ましくは50〜70質量部配合される。
また、本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、好ましくは可塑性油脂組成物である。なお、本発明で可塑性油脂組成物とは、可塑性を有する油脂組成物のことである。
また、本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の製造に使用される油脂組成物は、好ましくは練り込み用油脂組成物である。なお、本発明で練り込み用油脂組成物とは、焼き菓子用生地に練り込まれる油脂のことである。
また、油脂組成物に含まれる油脂とは、含まれる油脂の全てを合わせた全油脂分のことである。従って、油脂組成物に含まれる油脂には、配合される油脂の他に、バター等の油脂を含有する原料に含まれる油脂(乳脂)も含む。例えば、油脂組成物が油脂a、油脂b、バターを含む場合、油脂組成物に含まれる油脂とは、油脂aと油脂bとバターに含まれる乳脂の混合油のことである。
本発明でラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうちラウリン酸が30質量%以上の油脂のことである。ラウリン系油脂の具体例は、ヤシ油、パーム核油及びこれらの分別油、エステル交換油脂、硬化油等である。本発明の実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。
前記ランダムエステル交換油脂Aは、エステル交換反応を行う原料油脂のラウリン系油脂とパーム系油脂との混合比(ラウリン系油脂:パーム系油脂)が好ましくは質量比35:65〜65:35であり、より好ましくは質量比40:60〜60:40であり、さらに好ましくは質量比45:55〜55:45である。
前記ランダムエステル交換油脂Aを製造する時のエステル交換の方法は、特に制限はなく、従来公知の方法により行うことができる。
前記ランダムエステル交換油脂Aを製造する時には、必要に応じて水素添加を行うこともできる。水素添加の方法は、特に制限はなく、従来公知の方法により行うことができる。
油脂のトリグリセリド含有量は、AOCS Ce5−86やJAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定することができる。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定することができる。
なお、油脂組成物の水分とは、油脂組成物に含まれる水分の全てを合わせた全水分のことである。従って、油脂組成物の水分には、配合される水の他に、バター等の水分を含有する原料に含まれる水分も含む。例えば、油脂組成物に、水が10質量%、水分16質量%のバターが10質量%添加される場合、油脂組成物の水分は11.6質量%になる。
また、油脂組成物の水分含有量は、常法(乾燥減量法等)で測定することができる。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、焼き菓子用生地に配合される穀粉100質量部に対して、糖質が15〜55質量部配合され、好ましくは20〜50質量部配合され、より好ましくは23〜48質量部配合され、さらに好ましくは25〜45質量部配合される。なお、本発明で糖質は、炭水化物から食物繊維を除いたもののことである。糖質の具体例は、糖類、糖アルコール(マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトール、還元水飴等)、でんぷん、オリゴ糖、デキストリン等である。また、本発明で糖類は、単糖類、二糖類(ブドウ糖、果糖、ガラクトース、砂糖(上白糖、グラニュー糖、粉糖、ショ糖)、乳糖、麦芽糖等)のことである。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地に配合される糖質は、好ましくは糖類であり、より好ましくは砂糖である。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地は、焼き菓子用生地に配合される穀粉100質量部に対して、卵類が5〜25質量部配合され、好ましくは7〜23質量部配合され、さらにより好ましくは9〜21質量部配合され、さらに好ましくは10〜20質量部配合される。卵類の具体例は、全卵、卵黄、卵白等である。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地に配合される卵類は、好ましくは全卵であり、より好ましくは液全卵である。
なお、焼き菓子用生地の水分とは、焼き菓子用生地に含まれる水分の全てを合わせた全水分のことである。従って、焼き菓子用生地の水分には、配合される水の他に、マーガリン等の水分を含有する原料に含まれる水分も含む。例えば、焼き菓子用生地に、水が5質量%、水分5質量%のマーガリンが30質量%添加される場合、焼き菓子用生地の水分は6.5質量%になる。
また、焼き菓子用生地の水分は、常法(乾燥減量法等)で測定することができる。
なお、本発明でタルト用生地は、穀粉、油脂組成物、糖質、卵類、食塩等の原料を混ぜることで得られるタルトを製造するための焼成前の生地のことである。また、本発明でクッキー用生地は、穀粉、油脂組成物、糖質、卵類、食塩等の原料を混ぜることで得られるクッキーを製造するための焼成前の生地のことである。
本発明の実施の形態の焼き菓子用生地の焼成方法は、好ましくはオーブン加熱である。オーブン加熱は、加熱温度が好ましくは160〜180℃であり、加熱時間が好ましくは20〜40分間である。
本発明の実施の形態の複合食品の製造に使用される食材は、好ましくは水分が50質量%以下であり、より好ましくは47質量%以下である。
油脂の各脂肪酸含有量は、AOCS Ce1f−96に準じて、ガスクロマトグラフィー法で測定した。
油脂のトリグリセリド含有量は、AOCS Ce5−86及びJAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)に準じて、ガスクロマトグラフ法で測定した。
油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
油脂1 原料油脂:パーム系油脂、ランダムエステル交換油脂A、液状油の混合油
油脂2 原料油脂:パーム系油脂、ランダムエステル交換油脂A、液状油の混合油
油脂3 原料油脂:パーム系油脂、ランダムエステル交換油脂A、ラウリン系油脂、液状油の混合油
油脂4 原料油脂:パーム系油脂、ランダムエステル交換油脂A、液状油の混合油
油脂5 原料油脂:パーム系油脂、ランダムエステル交換油脂A、液状油の混合油
油脂1(93.68質量部)、乳化剤(0.57質量部)、香料(0.45質量部)、着色料(0.00135質量部)を融解混合することで油相を調製した。次に、水(5質量部)、食塩(0.3質量部)を混合することで水相を調製し、調製した油相94.70135質量部と水相5.3質量部とを混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、油脂組成物1(油中水型乳化物、油脂含量93.7質量%、水分5.0質量%)を得た。
油脂2(94.36質量部)、乳化剤(0.4質量部)、香料(0.04質量部)、着色料(0.001質量部)、酸化防止剤(0.025質量部)を融解混合することで油相を調製した。次に、水(5.0質量部)、食塩(0.2質量部)を混合することで水相を調製し、調製した油相94.826質量部と水相5.2質量部とを混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、油脂組成物2(油中水型乳化物、油脂含量94.3質量%、水分5.0質量%)を得た。
油脂2(83.36質量部)、乳化剤(0.4質量部)、香料(0.04質量部)、着色料(0.001質量部)、酸化防止剤(0.025質量部)を融解混合することで油相を調製した。次に、水(16.0質量部)、食塩(0.2質量部)を混合することで水相を調製し、調製した油相83.826質量部と水相16.2質量部とを混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、油脂組成物3(油中水型乳化物、油脂含量83.3質量%、水分16.0質量%)を得た。
油脂3(82.58質量部)、乳化剤(0.9質量部)、香料(0.02質量部)、着色料(0.001質量部)を融解混合することで油相を調製した。次に、水(16.0質量部)、食塩(0.2質量部)、脱脂粉乳(0.3質量部)を混合することで水相を調製し、調製した油相83.501質量部と水相16.5質量部とを混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、油脂組成物4(油中水型乳化物、油脂含量82.6質量%、水分16.0質量%)を得た。
油脂4(94.34質量部)、乳化剤(0.4質量部)、香料(0.04質量部)、着色料(0.001質量部)、酸化防止剤(0.025質量部)を融解混合することで油相を調製した。次に、水(5.0質量部)、食塩(0.2質量部)を混合することで水相を調製し、調製した油相94.806質量部と水相5.2質量部とを混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、油脂組成物5(油中水型乳化物、油脂含量94.3質量%、水分5.0質量%)を得た。
油脂5(93.2質量部)を融かすことで油相を調製した。次に、水(5質量部)、食塩(0.4質量部)、酵素処理卵黄(1質量部)、風味材(0.4質量部)を混合することで水相を調製し、調製した油相93.2質量部と水相6.8質量部とを混合して予備乳化を行った。得られた予備乳化物を、オンレーターを用いて急冷可塑化することで、油脂組成物6(油中水型乳化物、油脂含量93.2質量%、水分5.0質量%)を得た。
油脂組成物1〜6を使用して、表3、4の配合で、下記1)〜6)の手順に従ってタルト用生地(クッキー生地)を製造した(なお、表3、4のタルト用生地に配合される穀粉は、小麦粉を100質量%含有する。)。製造したタルト用生地の20℃での硬さを下記測定方法で測定した。また、タルト用生地の水分を表3、4に示した。
製造したタルト用生地を使用して、下記7)の手順に従ってタルトを製造した。得られたタルトの焼き縮みを、以下の方法に従って評価した。結果を表3、4に示した。
1)油脂を混ぜる。
2)上白糖を加えすり混ぜる。
3)食塩を溶解した全卵を加え混ぜる。
4)薄力粉を加え混ぜる。
5)調製した生地を30gに分割してタルト型(上直径73mm、下直径62mm、
高さ24mm)に充填する。
6)生地が充填されたタルト型に、押し型(上直径67mm、下直径56mm、高さ
21mm)を押し当てることで、生地をタルト型にしき込む。
7)上火180℃、下火160℃のオーブンで24分間焼成する。
レオメーター(株式会社山電製、CREEP METER RE2−33005B)を使用して、下記1)〜3)の手順に従ってタルト用生地の硬さを測定した。レオメーターでの測定には、直径30mm、高さ8mmの円柱状のプランジャー(樹脂製)を使用した。なお、レオメーターでの硬さは、50%変形時(プランジャーが7.5mm貫入した時)の最大荷重とした。
1)直径40mm、高さ15mmの円柱状のステンレス容器に、タルト用生地を隙間な
く充填し、上面を擦切る。
2)タルト用生地が充填されたステンレス容器を20℃に設定した恒温槽で一晩調温す
る。
3)調温されたタルト用生地が充填されたステンレス容器を素早く取り出し、レオメー
ターを使用して、測定速度1mm/秒の条件にて、ステンレス容器に充填されたタル
ト用生地の硬さを測定する。
焼成から約24時間後のタルトの側面の高さ(タルト5個の平均値)を測定し、下記式により縮小率を算出することで、タルトの焼き縮みを評価した。縮小率が20%以下である場合を焼き縮みが小さいとした。結果を表3、4に示した。
縮小率=(使用したタルト型の高さ−焼成後のタルトの側面の高さ)÷使用したタルト
型の高さ×100
油脂組成物1〜6を使用して製造したタルトに、チーズケーキ(水分47質量%)を充填することでタルト菓子を製造した。得られたタルト菓子の食感を、以下の方法に従って評価した。結果を表3、4に示した。
製造直後のタルト菓子及び4℃で2日間保存したタルト菓子を、5名の専門パネルが食することで、タルト菓子のタルト部分の食感を評価した。3名以上の専門パネルがサクッとした食感であると評価した時、サクッとした食感を有すると判断した。なお、タルト菓子の食感を評価した専門パネルは、食品の食感等の官能評価の訓練を定期的に受けており、食品の食感等の官能評価結果に個人差が少ない。
一方、比較例1〜4、6のタルト用生地を使用して製造したタルトは、焼き縮みが大きかった。また、比較例4〜6のタルト用生地を使用して製造したタルト菓子は、4℃、2日間の保存で、サクッとした食感が失われており、食感の経時的な変化が大きかった。
Claims (6)
- 焼き菓子用生地に配合される穀粉100質量部に対して、下記油脂組成物が45〜85質量部、糖質が15〜55質量部、卵類が5〜25質量部配合された焼菓子用生地であって、該焼き菓子用生地のレオメーター(プランジャー:直径30mm、高さ8mm)で測定速度1mm/秒の条件にて測定した時の20℃での硬さが33〜55Nであり、前記穀粉が小麦粉であり、糖質が砂糖であり、卵類が全卵、卵黄又は卵白である焼き菓子用生地。
油脂組成物:パーム系油脂、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのランダムエステル交換油脂、20℃で液状の油脂を使用して製造されるマーガリン、ファットスプレッド又はショートニングであって、含まれる油脂が下記の(a)から(e)の条件を満たす油脂組成物。
(a)X3を20〜50質量%含有する。
(b)C40〜54のX3/X3が0.7以上である。
(c)X2Uを5〜35質量%含有する。
(d)XU2を10〜30質量%含有する。
(e)U3を10〜35質量%含有する。
上記の(a)から(e)の条件において、X、U、X3、C40〜54のX3、X2U、XU2、U3はそれぞれ以下のものを示す。
X:炭素数8〜18の飽和脂肪酸
U:炭素数18の不飽和脂肪酸
X3:Xが3分子結合しているトリグリセリド
C40〜54のX3:構成する脂肪酸残基の総炭素数が40〜54であるX3
X2U:Xが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
XU2:Xが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド
U3:Uが3分子結合しているトリグリセリド - 前記焼き菓子用生地がタルト用生地である請求項1に記載の焼き菓子用生地。
- 請求項1又は請求項2に記載の焼き菓子用生地を焼成した焼き菓子。
- 前記焼き菓子がタルトである請求項3に記載の焼き菓子。
- 請求項3又は請求項4に記載の焼き菓子と食材を組み合わせた複合食品。
- 前記複合食品がタルト食品である請求項5に記載の複合食品。
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