JP4493130B2 - 油脂組成物の製造方法 - Google Patents

油脂組成物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4493130B2
JP4493130B2 JP31204599A JP31204599A JP4493130B2 JP 4493130 B2 JP4493130 B2 JP 4493130B2 JP 31204599 A JP31204599 A JP 31204599A JP 31204599 A JP31204599 A JP 31204599A JP 4493130 B2 JP4493130 B2 JP 4493130B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
content
weight
oil
fat
chocolate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP31204599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001131574A (ja
Inventor
浩 荒川
亨 根津
大典 伊藤
敏幸 廣川
幸子 山本
詔司 丸銭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Adeka Corp
Original Assignee
Adeka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Adeka Corp filed Critical Adeka Corp
Priority to JP31204599A priority Critical patent/JP4493130B2/ja
Publication of JP2001131574A publication Critical patent/JP2001131574A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4493130B2 publication Critical patent/JP4493130B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)
  • Confectionery (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は油脂組成物及びその製造方法に関するものであり、特にカカオバター代用脂として使用することができる油脂組成物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来から、クッキー、ビスケット等の焼き菓子類やナッツ類、クリーム類等とチョコレートとを組み合わせた複合菓子においては、流通過程や保存中に、焼き菓子類の表面が白い粉をふき斑点状になる白色化現象(ブルーム現象)がしばしば発生し、また、チョコレートの軟化、ブルーム現象を伴う場合があり、このような現象を生じると商品価値が著しく低下する。このような現象は、焼き菓子類やナッツ類、クリーム類中に含まれる液状油脂成分のチョコレートへの移行(いわゆる「マイグレーション」現象)とそれに伴うチョコレート中の油脂結晶の成長によって引き起こされるものと推定されている。
【0003】
従来、このような現象を抑制するための方法として、特公昭61−47491号公報、特開昭64−60325号公報、特開平4−66045号公報、特開昭63−126457号公報及び特開平7−264983号公報では、固体脂量を増やしたり、油脂の固化速度を調節したり、トランス酸や特定の油脂を一定量使用することにより、油脂結晶を微細化することで固液分離を抑制し、その結果、液状油脂の自由度を下げて液状油脂成分の移行を防止しようとするような提案がなされている。
【0004】
しかしながら、いずれの方法も、マイグレーション防止効果は充分なものでなく、そしてマイグレーションに起因する低温ブルームに対する方策も何ら示されていない。また、マイグレーション耐性を上げるために、高融点成分を添加する等の提案がなされているが、口溶け等の食感を犠牲にするものが多い。
【0005】
従って、本発明の目的は、チョコレートと、焼き菓子類、ナッツ類、クリーム類の中から選ばれた1種又は2種以上とを組み合わせてなる複合菓子におけるマイグレーションを防止し、マイグレーションに起因する低温ブルーム耐性に優れ、口どけの優れたチョコレートとすることができる油脂組成物及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明らは、検討の結果、上記目的は下記に示す油脂組成物及びその製造方法によって達成し得ることを知見した。
【0008】
本発明は、2−オレオジ飽和トリグリセリド(SUS)含有量が50重量%以上、2−オレオパルミトアラキジン(POA)含有量が0.5重量%以上、三飽和トリグリセリド(S3)含有量が2重量%以下、ジヒドロキシ脂肪酸含有トリグリセリド(DHTG)含有量が0.01重量%以上である油脂組成物の製造方法であって、2−オレオジパルミチン(POP)含有量が20〜55重量%、2−オレオステアリルアラキジン(StOA)含有量が5〜20重量%、ジヒドロキシ脂肪酸含有トリグリセリド(DHTG)含有量が0.01〜5重量%である油脂を、1,3−位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させ、該エステル交換反応の反応率を30〜95%に制御し、得られたエステル交換油を溶剤分別又はドライ分別で分別して軟部油を得ることを特徴とする油脂組成物の製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法により得られる油脂組成物(以下、本発明の油脂組成物ともいう)は、上述のように、2−オレオジ飽和トリグリセリド(SUS)含有量が50重量%以上、2−オレオパルミトアラキジン(POA)含有量が0.5重量%以上、三飽和トリグリセリド(S3)含有量が2重量%以下、ジヒドロキシ脂肪酸含有トリグリセリド(DHTG)含有量が0.01重量%以上である。
【0010】
本発明の油脂組成物は、SUS含有量が50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。SUS含有量が50重量%よりも少ないとカカオバター代用脂として用いたときカカオ脂との相溶性が悪いので好ましくない。
【0011】
また、本発明の油脂組成物では、1位と3位の飽和脂肪酸残基の鎖長が4炭素以上異なるSUSを油脂組成物中、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1.0重量%以上含有させるのがよい。
【0012】
本発明の油脂組成物は、POA含有量が0.5重量%以上、好ましくは1.0重量%以上、さらに好ましくは1.5重量%以上である。
【0013】
POA含有量が0.5重量%以上であると、次のような効果を有する。▲1▼チョコレート中に微細結晶ネットワーク構造を形成することにより、チコレートと焼き菓子類、ナッツ類及びクリーム類を組み合わせた複合菓子において、焼き菓子類、ナッツ類及びクリーム類中の液状油成分のチョコレート中への移行を最小限に抑制する。▲2▼焼き菓子類、ナッツ類及びクリーム類からの液状油成分がチョコレートに少量移行し、チョコレートのSUS結晶が液状油へ溶解し、15〜20℃に製品が保管された際も、SUSが再結晶化する際に、SUSが微細結晶化することにより低温ブルームを防止する効果を発揮する。なお、POAはSUSと同等の融点、構造であるため、チョコレートの作業性及び食感に何ら悪影響を及ばさない。
【0014】
本発明の油脂組成物は、S3含有量が2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。S3含有量が2重量%よりも多いとチョコレートに使用したときチョコレートの口どけが悪くなるので好ましくない。
【0015】
本発明の油脂組成物は、DHTG含有量が0.01重量%以上、好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.3〜5重量%である。DHTGが0.01重量%よりも少ないとマイグレーション抑制効果が不十分なので好ましくない。
【0016】
次に、本発明の油脂組成物の製造方法について説明する。
本発明の油脂組成物の製造方法は、2−オレオジパルミチン(POP)含有量が20〜55重量%、2−オレオステアリルアラキジン(StOA)含有量が5〜20重量%、ジヒドロキシ脂肪酸含有トリグリセリド(DHTG)含有量が0.01〜5重量%である油脂を、1,3−位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させ、該エステル交換反応の反応率を30〜95%に制御し、得られたエステル交換油を溶剤分別又はドライ分別で分別して軟部油を得ることを特徴とする。
【0017】
本発明では、上述のように、2−オレオジパルミチン(POP)含有量が20〜55重量%、1,3−ステアリルアラキジル−2−オレイン(StOA)含有量が5〜20重量%、ジヒドロキシ脂肪酸含有トリグリセリド(DHTG)含有量が0.01〜5重量%である油脂が原料として用いられる。好ましくはPOP含有量が20〜40%、StOA含有量が8〜20重量%、DHTG含有量が0.05〜4重量%である油脂、さらに好ましくはPOP含有量が25〜40%、StOA含有量が10〜20重量%、DHTG含有量が0.1〜3重量%である油脂を用いるのがよい。
【0018】
POP含有量が20重量%未満であったり、StOAの含有量が5重量%未満である油脂では、エステル交換して得られたエステル交換油のPOA含有量が0.5重量%以上とならないので好ましくない。POP含有量が55重量%より多かったり、StOA20重量%より多かったりする油脂では、エステル交換して得られたエステル交換油を分別して得られた軟部油のS3含有量が2重量%よりも多くなるので好ましくない。DHTG含有量が0.01重量%未満であるとマイグレーション抑制効果が不充分なので好ましくなく、5重量%よりも多いとチョコレートに使用したときのチョコレートの口どけが不良となるので好ましくない。
【0019】
POPを20〜55重量%、StOAを5〜20重量%、DHTGを0.01〜5重量%含有する油脂としては、POP含有量が多いパーム油やチャイニーズタロウ或いはこれらの分別油等と、StOA含有量が多いサル脂或いはサル脂分別脂を混合することにより得ることができるが、トリオレインと脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとの1,3選択的エステル交換反応によっても製造することができる。
【0020】
本発明で使用するリパーゼとしては、1,3位特異性を有するリパーゼが用いられ、特にリゾープス属、ムコール属、アスペルギルス属、アルカリゲネス属及びフミコラ属からなる群より選ばれた1種又は2種以上の1,3位特異性を有するリパーゼが好ましい。これら以外の1,3位特異性を有しないリパーゼである例えばキャンディダ属のリパーゼを用いた場合は、S3含有量が多く、POA含有量が少ないエステル交換油となり、効率よく本発明の油脂組成物が得ることができないので好ましくない。
【0021】
また、これらのリパーゼは、ケイソウ土、シリカ、セラミック、活性炭、イオン交換樹脂等の担体に固定化して用いるのが好ましい。
【0022】
エステル交換反応は回分式、充填層型の連続式いずれでも構わないが、連続式の方が効率的であるので好ましい。
【0023】
また、エステル交換反応は石油エーテル、n−ヘキサン等の溶媒下で行うことができるが、反応後に溶媒除去の行程が不要な無溶媒とするのが好ましい。
【0024】
エステル交換に際し、POP含有量が20〜55重量%、StOA含有量が5〜20重量%、DHTG含有量が0.01〜5重量%である上記油脂の水分は、0.1重量%以下とするのが好ましく、さらに好ましくは、0.05重量%以下である。水分が0.1重量%よりも多いとエステル交換油の酸価、S3含有量、ジグリセリド(DG)含有量が多く、POA含有量が少ないエステル交換油となり、効率よく本発明の油脂組成物が得られにくい。
【0025】
エステル交換反応時の温度は20〜80℃、好ましくは30〜70℃、さらに好ましくは40〜60℃であることが望ましい。20℃よりも低いと反応速度が遅く、生産性が低いので好ましくなく、80℃よりも高いと上記リパーゼの活性低下が速くなるので好ましくない。
【0026】
エステル交換反応の反応率は、反応平衡値に対して30〜95%、好ましくは50〜95%、さらに好ましくは70〜90%に制御する。30%未満ではPOAの含有量が少ないエステル交換油となり、また95%を超えるとS3の含有量が多いエステル交換油となり、効率よく本発明の油脂組成物を得ることができないので好ましくない。
【0027】
ここで、反応率(%)は次のようにして求める。なお、ここにおいて、POStは、1,3−パルミチルステアリル−2−オレインである。
反応率(%)=〔(dPOP+dPOSt+dPOA+dStOA)/(dPOPeq+dPOSteq+dPOAeq+dStOAeq)〕×100
dPOP:(原料油POP含有量−反応油POP含有量)の絶対値
dPOSt:(原料油POSt含有量−反応油POSt含有量)の絶対値
dPOA:(原料油POA含有量−反応油POA含有量)の絶対値
dStOA:(原料油StOA含有量−反応油StOA含有量)の絶対値
dPOPeq:(原料油POP含有量−反応平衡時POP含有量)の絶対値
dPOSteq:(原料油POSt含有量−反応平衡時POSt含有量)の絶対値
dPOAeq:(原料油POA含有量−反応平衡時POA含有量)の絶対値
dStOAeq:(原料油StOA含有量−反応平衡時StOA含有量)の絶対値
【0028】
充填層型でエステル交換反応を行う場合、X=反応率/100、質量速度MV(/h)=油脂通液速度/リパーゼ剤重量としたとき、
酵素剤のエステル交換活性K=ln{1/(1−X)}×MV と定義する。
【0029】
これより設定質量速度MV’は、
MV’=K/{ln(1/(1−X’)} で求めることができる。
【0030】
また、このときの酵素剤のエステル交換活性は高いほど好ましく、3以上であれば実用的である。
【0031】
回分式で行う場合は、リパーゼを油脂に対して0.1〜10.0重量%添加し、撹拌速度100〜500rpmで3時間〜3日反応させる。設定反応率に達したら、酵素剤を濾過等で除去することで反応停止とすればよい。
【0032】
このようにエステル交換反応を行った後、溶剤分別又はドライ分別によりS3を主成分とする高融点部を除去する。このときドライ分別の方がコスト的に好ましい。
【0033】
溶剤分別の方法は、エステル交換油1重量部に対して、アセトン等の溶剤を0.3〜0.7重量部添加し、45〜50℃で完全に溶解後、冷却し(20〜28℃)、結晶化後、濾過で結晶部を除去し、得られた液状部を脱溶剤し、軟部油を得る。
【0034】
ドライ分別は、エステル交換油を45〜55℃で完全に溶解後、冷却し(30〜38℃)、結晶化後、濾過で結晶部を除去し、軟部油を得る。
【0035】
このようにして得られた2−オレオジ飽和トリグリセリド(SUS)含有量が50重量%以上、2−オレオパルミトアラキジン(POA)含有量が0.5重量%以上、三飽和トリグリセリド(S3)含有量が2重量%以下、ジヒドロキシ脂肪酸含有トリグリセリド(DHTG)の含有量が0.01重量%以上である本発明の油脂組成物をカカオバター代用脂として使用する場合には、本発明の油脂組成物のみをカカオバター代用脂としてもよいが、カカオ脂、サル脂、シア脂、イリッペ脂、マンゴー核油、コクム脂及びこれらの分別油、エステル交換油等の油脂を本発明の油脂組成物に配合してもよい。この場合、本発明の油脂組成物100重量部に対し、カカオ脂、サル脂、シア脂、イリッペ脂、マンゴー核油、コクム脂及びこれらの分別油、エステル交換油等の油脂を好ましくは600重量部以下、更に好ましくは250重量部以下配合して、カカオバター代用脂としてもよい。
【0036】
また、本発明の油脂組成物からなるカカオバター代用脂は、チョコレートに用いられる。この場合には、該カカオバター代用脂の配合量は、チョコレートの全配合成分100重量部に対し、好ましくは5〜35重量部である。
【0037】
そして、このカカオバター代用脂を用いて得られたチョコレートは、複合菓子におけるマイグレーションを抑制し、マイグレーションに起因する低温ブルーム耐性に優れ、かつ、口どけの優れたものとなる。
【0038】
この複合菓子としては、チョコレートと、焼き菓子類、ナッツ類及びクリーム類の中から選ばれた1種又は2種以上とを組み合わせたものである。
【0039】
また、本発明の油脂組成物は、チョコレート以外にも、練り込み用油脂及びクリーム用油脂等に適した製菓用油脂の用途に用いられる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
【0041】
[実施例1]
POP含有量が30重量%、StOA含有量が10重量%、DHTG含有量が0.5重量%、水分含有量が0.02重量%である油脂を、ムコールミーハイ起源のリパーゼ(エステル交換活性K=2.8)を充填し45℃に保ったカラムに通し、エステル交換反応を行った。通液量は反応率が80%となるように、質量速度MV=1.7とすることにより調整した。得られたエステル交換油は50℃に完全に溶解後、32℃に冷却し結晶化後、濾過し軟部油を得た。軟部油は常法通り精製して、SUS含有量が85重量%、POA含有量が5重量%、1位と3位の飽和脂肪酸基の炭素数差が4以上であるSUS(以下、SnUSn+4<という)含有量が5.6重量%、DHTG含有量が0.5重量%、S3含有量が1.1重量%である油脂組成物を得た。
【0042】
[実施例2]
実施例1で得られた油脂25重量%とパーム中融点部75重量%を配合してSUS含有量が90重量%、POA含有量が1.3重量%、Sn USn+4<含有量が1.4重量%、DHTG含有量が0.13重量%、S3含有量が1.2重量%である油脂組成物を得た。
【0043】
[比較例1]
MV=12.0とすることにより、反応率を20%とした以外は、実施例1と同様の方法にてSUS含有量が85重量%、POA含有量が0.3重量%、Sn USn+4<含有量が0.3重量%、DHTG含有量が0.3重量%、S3含有量が0.7重量%である油脂組成物を得た。
【0044】
[比較例2]
MV=0.5とすることにより反応率を100%とした以外は、実施例1と同様の方法にてSUS含有量が70重量%、POA含有量が5.1重量%、Sn USn+4<含有量が5.7重量%、DHTG含有量が0.5重量%、S3含有量が2.7重量%である油脂組成物を得た。
【0045】
[比較例3]
POP含有量が10重量%、StOA含有量が10重量%、DHTG含有量が3重量%である油脂を用いた以外は、実施例1と同様な方法にてSUS含有量が85重量%、POA含有量が0.1重量%、Sn USn+4<含有量が0.1重量%、DHTG含有量が3重量%、S3含有量が2.7重量%である油脂組成物を得た。
【0046】
[比較例4]
POP含有量が60重量%、StOA含有量が3重量%、DHTG含有量が0.005重量%である油脂を用いた以外は、実施例1と同様な方法にてSUS含有量が85重量%、POA含有量が0.1 重量%、Sn USn+4<含有量が0.1重量%、DHTG含有量が0.005重量%、S3含有量が2.5重量%である油脂組成物を得た。
【0047】
〔試験例1〕
実施例1〜2及び比較例1〜4で得られた油脂組成物を用いて、表1の配合で常法によりチョコレートを製造した。
【0048】
【表1】
Figure 0004493130
【0049】
表1の配合で製造したチョコレートを溶かし、表2の配合で常法により製造したクッキーを埋没させ、クッキー1重量部に対しチョコレート3重量部の割合のチョコレートクッキーを得た。得られたチョコレートクッキーを、20℃に12時間放置し、そして28℃に12時間放置するサイクルを繰返す放置テストを、1カ月間行った。1カ月後のチョコレートクッキーについて、次のような評価を行った。結果を表3に示した。
【0050】
クッキーの表面状態は、放置テスト前のものと同等であれば良好とし、放置テスト前のものと比べ、白色化していれば不良とした。
【0051】
クッキー中の油分の移行率は、
〔(放置テスト前のクッキーの油分−1カ月後のクッキーの油分)/(放置テスト前のクッキーの油分)〕×100
の式で得られた値である。クッキーの油分はCEM社製の油分水分計で測定した。
【0052】
チョコレートの口どけは、10名のパネラーにより官能評価を行った。
【0053】
【表2】
Figure 0004493130
【0054】
【表3】
Figure 0004493130
【0055】
表3の結果が示すように、実施例1及び2の油脂組成物を用いた場合には、クッキーからチョコレートへの液状油の移行が抑制されているので、クッキーの白色化を防止し、かつ、チョコレートの口どけが良好である。
【0056】
〔試験例2〕
実施例1〜2及び比較例1〜4の油脂組成物を用い、表1の配合で常法により得られたたチョコレートをシェルとし、市販のピーナッツクリームをセンターとして、シェル2重量部に対し、ピーナッツクリーム1重量部の割合のシェルタイプチョコレートを得た。
【0057】
このシェルタイプチョコレートを20℃及び25℃で1カ月放置したものについて、次のような評価を行った。結果を表4に示した。
【0058】
低温ブルームは、20℃で1 カ月放置したものが、放置するまえの状態と同等であれば良好とし、ピーナッツの回りが白色化すれば不良とした。
【0059】
シェル状態は、25℃で1カ月放置したものが、放置するまえの状態と同等であれば良好とし、シェルが陥没しているものは不良とした。
【0060】
シェル部分のチョコレートの口どけは、10名のパネラーにより官能評価を行った。
【0061】
【表4】
Figure 0004493130
【0062】
表4の結果が示すように、実施例1及び2の油脂組成物を用いた場合には、センタークリームからのシェルへの液状油の移行を抑制されているので、シェルの陥没を防止し、低温ブルームの発生を防止し、かつチョコレートの口どけが良好である。
【0063】
〔試験例3〕
実施例1〜2及び比較例1〜4の油脂組成物を用い、表1の配合で常法により得られたチョコレートを溶かし、約3mm角に切ったアーモンドをチョコレートに対して30重量%添加し、冷却し、アーモンドチョコレートを製造した。
【0064】
得られたアーモンドチョコレートを20℃で1カ月放置した。1カ月放置したものについて次のような評価を行った。結果を表5に示した。
【0065】
低温ブルームは放置する前の状態と同等であれば良好。アーモンドの回りがやや白色化したものをやや不良、アーモンドの回りが白色化したものを不良とした。
【0066】
アーモンドチョコレートの口どけは、10名のパネラーにより官能評価を行った。
【0067】
【表5】
Figure 0004493130
【0068】
表5の結果が示すように、実施例1及び2の油脂組成物を用いた場合には、アーモンドに含まれる液状油が、チョコレートヘ移行するのを抑制しているため、低温ブルームの発生を防止し、かつ、チョコレートの口どけが良好である。
【0069】
【発明の効果】
本発明の油脂組成物を使用したチョコレートは、チョコレートと、焼き菓子類、ナッツ類、クリーム類の中から選ばれた1種又は2種以上とを組み合わせてなる複合菓子におけるマイグレーションを抑制し、マイグレーションに起因する低温ブルーム耐性に優れ、口どけの優れたチョコレートを製造することができる。また、本発明の製造方法によって、上記油脂組成物が生産性をもって簡便に得られる。

Claims (1)

  1. 2−オレオジ飽和トリグリセリド(SUS)含有量が50重量%以上、2−オレオパルミトアラキジン(POA)含有量が0.5重量%以上、三飽和トリグリセリド(S3)含有量が2重量%以下、ジヒドロキシ脂肪酸含有トリグリセリド(DHTG)含有量が0.01重量%以上である油脂組成物の製造方法であって、
    2−オレオジパルミチン(POP)含有量が20〜55重量%、2−オレオステアリルアラキジン(StOA)含有量が5〜20重量%、ジヒドロキシ脂肪酸含有トリグリセリド(DHTG)含有量が0.01〜5重量%である油脂を、1,3−位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させ、該エステル交換反応の反応率を30〜95%に制御し、得られたエステル交換油を溶剤分別又はドライ分別で分別して軟部油を得ることを特徴とする油脂組成物の製造方法。
JP31204599A 1999-11-02 1999-11-02 油脂組成物の製造方法 Expired - Fee Related JP4493130B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31204599A JP4493130B2 (ja) 1999-11-02 1999-11-02 油脂組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31204599A JP4493130B2 (ja) 1999-11-02 1999-11-02 油脂組成物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001131574A JP2001131574A (ja) 2001-05-15
JP4493130B2 true JP4493130B2 (ja) 2010-06-30

Family

ID=18024563

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31204599A Expired - Fee Related JP4493130B2 (ja) 1999-11-02 1999-11-02 油脂組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4493130B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104582499A (zh) * 2012-08-29 2015-04-29 日清奥利友集团株式会社 复合糕点

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010113969A1 (ja) * 2009-03-30 2010-10-07 不二製油株式会社 ブルーム防止剤及びブルーム耐性に優れたチョコレート類
JP5302159B2 (ja) * 2009-10-21 2013-10-02 株式会社明治 ファットブルームが防止された複合油性菓子
JP5528855B2 (ja) * 2010-03-10 2014-06-25 株式会社Adeka 低温ブルーム防止剤
JP5635308B2 (ja) * 2010-06-16 2014-12-03 株式会社Adeka 常温ブルーム防止剤
WO2013065726A1 (ja) 2011-11-02 2013-05-10 不二製油株式会社 油脂組成物、チョコレート及び複合菓子
TWI595837B (zh) * 2012-02-29 2017-08-21 Meiji Co Ltd Baked confectionery and its manufacturing method

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5637768B2 (ja) * 1977-03-18 1981-09-02

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5637768B2 (ja) * 1977-03-18 1981-09-02

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104582499A (zh) * 2012-08-29 2015-04-29 日清奥利友集团株式会社 复合糕点

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001131574A (ja) 2001-05-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4705692A (en) Substitute composition for cocoa butter
US4882192A (en) Hard butter composition
EP0227364B1 (en) Hard butter composition
JP5998932B2 (ja) 非ラウリン、非トランス、非テンパリング型製菓用油脂及びその製造法
US5424090A (en) Process of making a hard butter composition containing an anti-blooming agent
US5879736A (en) Process of making a hard butter composition
US5135769A (en) Fat and oil composition
JPH0121734B2 (ja)
JP3327122B2 (ja) 非テンパリング型ハードバター
JPH09103244A (ja) ショートニングおよびその利用
JP2736274B2 (ja) ハードバター組成物
JPH0475593A (ja) ファットブルーム耐性向上剤、及びこれを含有してなるハードバター、並びにそれらを用いたチョコレート類.
JPH08503019A (ja) 耐ブルーム性トリグリセリド組成物
JP4493130B2 (ja) 油脂組成物の製造方法
JP3021699B2 (ja) ハードバター組成物
JP3931106B2 (ja) 耐ブルーム性ノーテンパリングチョコレート
JPH07264981A (ja) ハードバター組成物
JP3091854B2 (ja) ブルーム防止剤及びブルーム耐性に優れたチョコレート類
JPS62201999A (ja) カカオバタ−代用脂の製造方法
JP3016688B2 (ja) ハードバター組成物及びチョコレート様食品
WO1996000013A1 (fr) Matieres grasses resistant au blanchiment et beurre dur a base de laurine
JPH0427813B2 (ja)
JPH06153798A (ja) チョコレートのファットブルーム防止剤
JPH0235039A (ja) ハードバター組成物
JPH11187814A (ja) チョコレート製品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060913

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090901

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091028

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100301

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100317

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100406

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100406

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4493130

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130416

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees