JP5635308B2 - 常温ブルーム防止剤 - Google Patents

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本発明は、常温ブルーム防止剤に関し、詳しくは、特にテンパリング型チョコレートを融点以下の常温下に保管した場合においても、発生する常温ブルームを防止するためのブルーム防止剤に関する。
チョコレートは、テンパリング型と非テンパリング型に大別される。テンパリング型のチョコレートは、油脂の主成分として、カカオ脂、及び/又は、その組成や物性をカカオ脂に類似させたテンパリング型ハードバターを使用したチョコレートである。そのトリグリセリド組成の主成分はβ−不飽和−α,α′ジ飽和トリグリセリド(以下、「SUS型トリグリセリド」と略記する)であり、比較的トリグリセリド組成が単純であるため、油脂結晶の転移、安定化が速く、油脂結晶が粗大化しやすい。このような結晶特性のためにテンパリング工程が必須となっている。即ち、テンパリング工程は、安定でしかも微細な油脂結晶核を多数析出させることにより、油脂結晶が粗大化するのを防止すると同時に、その後に引き続いて行われる冷却固化工程での油脂結晶化を促進し、チョコレート表面の艶や、型からの剥離(離型性)を良好なものとするための操作である。
一方、非テンパリング型チョコレートは、油脂の主成分として、SUS型トリグリセリドを多く含有する油脂ではなく、ラウリン酸を多く含有する油脂や、トランス脂肪酸を多く含有する油脂等の非テンパリング型ハードバターを使用したチョコレートである。その油脂のトリグリセリドの組成は極めて複雑であることから、上記のテンパリング型チョコレートと異なり、テンパリング操作を行わず単に冷却しただけでも、十分な艶と離型性を有するチョコレートを得ることができる。
これらのチョコレートは、保管中にその表面や内部が白色化し、極端な場合はなめらかな食感が失われ、ざらついた食感になってしまう現象が観察されることがある。この白色化は、ファットブルーム又は単にブルームと称され、油脂が分離したり溶解したりした後に再結晶した油脂結晶によりチョコレートの表面が粗面化したり、あるいは粗大結晶が生成することにより光の乱反射が起き、白く見えているものである。
ここで、チョコレートに発生するブルームは4種類に分類することができる(非特許文献1、2参照)。
即ち、(i)テンパリング不良や高温域保管時に発生するブルーム(以下「高温ブルーム」という)、(ii)チョコレートの融点以下(たとえば20℃以下)の常温域で保管した場合であっても発生するブルーム(以下「常温ブルーム」という)、(iii)カカオ脂と非テンパリング型ハードバターを併用した際に発生するブルーム(以下「共晶による激しいブルーム」という)、並びに、(iv)油分及び/又は水分を多く含有する食品素材との複合チョコレートを冷蔵で保管した場合であっても発生するブルーム(以下「低温ブルーム」という)である。
各ブルームは外見上、高温ブルームはチョコレート表面の艶が消え、さらには表面が白色化し、ついには内部にわたって粉状化する状態、常温ブルームはチョコレート表面の艶の消失、さらには表面が白色化する状態、共晶による激しいブルームは表面から内部までチョコレート全体にわたってのざらつきの発生、そして、低温ブルームはチョコレート表面に薄い膜状に白色化した層が生成する状態、という違いがある。
そして、各ブルームの原因としては、高温ブルームはSUS型トリグリセリドのV型結晶からVI型結晶への急速な融液媒介転移、常温ブルームはSUS型トリグリセリドのV型結晶からVI型結晶へのゆっくりした固相転移、共晶による激しいブルームは、SUS型トリグリセリドとハードバターの油脂が別個に結晶化してそれぞれ結晶成長する粗大結晶化(グレーニングとも言う)、そして、低温ブルームは他の食品素材からチョコレート部分への油分移行あるいは水分移行(まとめてミグレーションという)によって溶解したり押し出されたりしたチョコレート中の固形脂の再結晶化とされている。
ここで、上記各ブルームのうち、高温ブルームは、油脂結晶成長を抑制する乳化剤を使用する方法によっても解消可能であるし、テンパリングを適正に行い、また流通・保管時に、チョコレートが融解しない温度に保つことでも解消可能である。また、共晶による激しいブルームや低温ブルームについては数多くの研究が行われており、様々な抑制方法が提案されている。しかし、常温ブルームは、通常は発生までの期間が極めて長い(1年半〜2年)こと、及び一般的なミルクチョコレートでは発生しにくいことから、チョコレートの賞味期限内では問題にならないことが多いため、常温ブルームの防止方法については、わずかに、ソルビタントリステアレートやショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤やSUS型トリグリセリド(カカオバター代用脂)にある程度のブルーム遅延効果があること(非特許文献1参照)、従来、テンパリング剤や高温ブルーム抑制剤として使用されてきた特定のSUS型トリグリセリドが、常温ブルームを防止することができた、という報告があるのみである(特許文献1参照)。
しかし、前記非特許文献1に記載の乳化剤は、高融点であることから得られるチョコレートの口溶け低下が発生するし、非特許文献1には、SUS型トリグリセリドはごく普通にテンパリング型チョコレートに使用される成分であることに加え具体的な記載は一切なく、これらの乳化剤やSUS型トリグリセリドが完全に常温ブルームを防止できたとの記載もない。また、特許文献1に記載の特定のトリグリセリド(1, 3-ジベヘノイル-2-オレイルグリセリド)も、テンパリング型チョコレートの油脂主成分であるSUS型トリグリセリドの1種であるため、一般的なカカオ脂やハードバターの主成分である、SUS型トリグリセリド(1, 3-ジパルミト-2-オレイルグリセリド、1, 3-ジステアリル-2-オレイルグリセリド、1-パルミト-2-オレイル-3-ステアリルグリセリド)よりは常温ブルーム防止効果が改良されているが、根本的な常温ブルーム防止の解決にはなっていない、という問題があった。
最近は、カカオブーム以来、ミルクチョコレートに比べスイートチョコレートが好まれる傾向があり、さらには、油分含量の高いスイートチョコレートも多く流通するようになった。このスイートチョコレートは、乳脂を含有しないチョコレートのことであるが、このスイートチョコレート、とくに油分含量の高いスイートチョコレートは常温ブルームの発生までの期間がミルクチョコレートに比べて顕著に短く、特にやや高い温度(25〜30℃)環境下では3ヶ月程度で常温ブルームが発生してしまう。
また、最近は、チョコレートは、その製造時はもちろん、流通・販売時、さらには、消費者がチョコレートを購入後の家庭での保管の際にも高温下に晒される機会が減ったのに対し、25〜30℃の常温ブルームがやや発生しやすい温度帯での保管期間が長くなる傾向があり、そのため、常温ブルームが発生する機会が徐々に増えてきている。
そのため、高い常温ブルーム防止効果を有するブルーム防止剤の開発が望まれている。
特開2009−247293号公報
「菓子の事典」、小林彰夫、村田忠彦、朝倉書店、361〜363頁 日本油化学会誌 第48巻 第10号 (1999)230頁
従って、本発明の目的は、テンパリング型チョコレートにおいて、融点以下の常温(15℃〜30℃)で保管した際に発生する常温ブルームを、チョコレート部分の物性を変えることなく、ごく少量の添加量で防止することができる常温ブルーム防止剤、常温ブルームの発生が防止されたチョコレート、及びチョコレートの常温ブルームの防止方法を提供することにある。
本発明者らは、前述の問題点を解決すべく鋭意研究検討を重ねた結果、チョコレート油脂の主要成分であるSUS型トリグリセリドのような単一トリグリセリド種ではなく、全く逆に、ランダムなトリグリセリド組成を有する油脂、しかも、脂肪酸の差長差が大きい油脂が、常温ブルーム防止剤として上記目的を達成し得ることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、エステル交換油脂のトリグリセリド組成において、炭素数14以下の飽和脂肪酸と炭素数20以上の飽和脂肪酸の両方を含有するトリグリセリドを5質量%以上含有するエステル交換油脂を有効成分とする、チョコレートに添加して用いる常温ブルーム防止剤を提供するものである。
また、本発明は、上記常温ブルーム防止剤を含有するチョコレートを提供するものである。
また、本発明は、チョコレート中に、エステル交換油脂のトリグリセリド組成において、炭素数14以下の飽和脂肪酸と炭素数20以上の飽和脂肪酸の両方を含有するトリグリセリドを5質量%以上含有するエステル交換油脂を含有させることを特徴とするチョコレートの常温ブルームの防止方法を提供するものである。
本発明の常温ブルーム防止剤は、チョコレートに対しごく少量添加するだけで、テンパリング型チョコレートにおいて、常温で保管した際に発生する常温ブルームを、チョコレート部分の物性を変えることなく、防止することができる。さらに、本発明のチョコレートは、チョコレート部分の物性、食感や口溶けの悪化を生じさせることなく、常温ブルームが防止されている。
先ず、本発明の常温ブルーム防止剤について、その好ましい実施態様に基づいて詳細に説明する。
本発明の常温ブルーム防止剤の有効成分であるエステル交換油脂について述べる。
上記のエステル交換油脂としては、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ハバス油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、ハイエルシン菜種油、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、並びにこれらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、及び脂肪酸低級アルコールエステルから選択される1種又は2種以上を用いて製造したエステル交換油脂を使用することができる。
本発明の常温ブルーム防止剤は、上記エステル交換油脂のトリグリセリド組成において、炭素数14以下の飽和脂肪酸と炭素数20以上の飽和脂肪酸の両方を含有するトリグリセリドを5質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは10質量%以上含有すると、より良好な常温ブルーム防止効果を奏することができる。なお、上記トリグリセリド量の上限については、得られるチョコレートに与える食感に影響を与えない観点から、好ましくは50質量%、より好ましくは30質量%である。
また、本発明の常温ブルーム防止剤は、上記エステル交換油脂の構成脂肪酸組成において、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が好ましくは10〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%、さらに好ましくは10〜20質量%、且つ、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が好ましくは10〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%、さらに好ましくは10〜20質量%であると、さらに良好な常温ブルーム防止効果を奏することができる。
また本発明の常温ブルーム防止剤は、上記エステル交換油脂が、ヨウ素価52〜70のパーム軟部油40〜80質量%、好ましくは50〜70質量%、炭素数14以下の飽和脂肪酸を50質量%以上、好ましくは60〜85質量%含有する油脂10〜30質量%、好ましくは15〜25質量%、炭素数20以上の飽和脂肪酸を50質量%以上、好ましくは50〜70質量%含有する油脂10〜30質量%、好ましくは15〜25質量%からなる油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂であることが好ましい。
上記パーム軟部油とは、アセトン分別やヘキサン分別等の溶剤分別、ドライ分別等の無溶剤分別等の方法によって、パーム油を分別した際に得られる低融点部であって、ヨウ素価52〜70、好ましくは53〜65のものである。
本発明の常温ブルーム防止剤は、上記炭素数14以下の飽和脂肪酸を50質量%以上、好ましくは60〜85質量%含有する油脂としては、具体的には、パーム核油、ヤシ油、ババス油、並びにこれらに対し硬化、分別及びエステル交換のうちの1種又は2種以上の操作を施した油脂を挙げることができ、これらの中の1種又は2種以上を用いることができ、パーム核油、ヤシ油を好ましく使用することができる。
本発明の常温ブルーム防止剤は、上記炭素数20以上の飽和脂肪酸を50質量%以上、好ましくは50〜70質量%含有する油脂としては、具体的には、ハイエルシン菜種油や魚油等の炭素数20以上の不飽和脂肪酸を多量に含有する油脂の極度硬化油を挙げることができ、ハイエルシン菜種油の極度硬化油を好ましく使用することができる。
上記エステル交換の反応は、化学的触媒による方法でも、酵素による方法でもよく、また、非選択的(ランダム)エステル反応であっても、位置選択性のエステル交換反応であってもよいが、化学的触媒又は位置選択性のない酵素を用いた、非選択的エステル反応であることが好ましい。
上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒が挙げられ、また、上記位置選択性のない酵素としては、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes) 属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus) 属、ムコール(Mucor) 属、ペニシリウム(Penicillium) 属等に由来するリパーゼが挙げられる。なお、該リパーゼは、イオン交換樹脂あるいはケイ藻土及びセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
なお、上記エステル交換反応後、エステル交換反応で生成する少量のトリ飽和トリグリセリドやトリ不飽和トリグリセリドを除去する目的で分別を行ってもよい。
本発明の常温ブルーム防止剤は、上記エステル交換油脂を含有するものである。従って、上記エステル交換油脂を、含有量100%で、本発明の常温ブルーム防止剤として使用することができるが、本発明の効果を阻害しない範囲において、その他の油脂を含んでもよい。
上記のその他の油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。
また、本発明の常温ブルーム防止剤における上記その他の油脂の含有量は、油相中に、好ましくは25質量%以下、より好ましくは10質量%以下、最も好ましくは、0〜5質量%である。その他の油脂の含有量が25質量%を超えると、少量の添加で効果を得るという、常温ブルーム防止剤としての機能が得られないことに加え、その他の油脂とカカオ脂との相溶性の問題から、常温ブルーム防止剤の添加されたチョコレートが、共晶による激しいブルームを起こすおそれがある。
本発明の常温ブルーム防止剤には、一般的にチョコレート製造に使用することのできる各種原材料、例えば、水、乳化剤、酸化防止剤、糖類、糖アルコール、デキストリン、オリゴ糖、澱粉、小麦粉、無機塩及び有機酸塩、ゲル化剤、乳製品、卵製品、その他各種食品素材全般、着香料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、pH調整剤等を用いることができる。ただし、これらの原材料のうち、水や水分を有する原材料は、それらを使用したブルーム防止剤は生チョコレート以外に使用することが困難となるため、用いないことが好ましい。
上記乳化剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、酵素処理レシチン等の乳化剤の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
次に、本発明のチョコレートについて述べる。
本発明のチョコレートは、本発明の常温ブルーム防止剤を含有するものであり、融点以下の常温(15〜30℃)下でチョコレートに発生するブルームの発生が防止されているものである。チョコレート中の本発明の常温ブルーム防止剤の含有量は、エステル交換油脂含量として好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2.5質量%以上である。なお、本発明の常温ブルーム防止剤の含有量の上限については、カカオ脂との相溶性の問題に起因する共晶による激しいブルームを起こさない範囲であればよいが、エステル交換油脂含量として、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。即ち、本発明のチョコレートにおける本発明の常温ブルーム防止剤の含有量は、該常温ブルーム防止剤に含まれるエステル交換油脂換算で上記の範囲である。本発明のチョコレート中の常温ブルーム防止剤の含有量が、エステル交換油脂含量として、0.5%未満ではチョコレート中の油分含量によっては本発明の効果が得られないおそれがあり、10質量%を超えるとチョコレートの物性が変化したり、チョコレート中の油分含量によっては共晶による激しいブルームが発生するおそれがある。
なお、本発明においてチョコレートとは、全国チョコレート業公正取引協議会で規定されたチョコレート、準チョコレートだけでなく、カカオマス、カカオバター、ココアパウダー等のカカオ原料を利用した生チョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレート等の油脂加工食品も含まれるものであり、カカオマス、ココアパウダー、粉乳等の各種粉末食品、油脂類、糖類、乳化剤、香料、色素等の中から選択した原料を任意の割合で混合し、常法により、ロール掛け、コンチング処理して得ることができるものである。
なお、常温ブルーム自体が、テンパリング型チョコレートを使用した場合に顕著に発生するものであるため、本発明のチョコレートはテンパリング型であることが、本発明の常温ブルーム防止剤の効果の意義が大きく好ましい。即ち、本発明のチョコレートは、その油脂のトリグリセリド組成におけるSUS型トリグリセリドの含有量が60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80〜99質量%、さらに好ましくは80〜95質量%である。
本発明のチョコレートの組成は、その種類に応じて適宜選択され、特に制限されるものではないが、その一例は以下の通りである。
油分(本発明の常温ブルーム防止剤由来のエステル交換油脂を含む)
30〜50質量%
本発明の常温ブルーム防止剤由来のエステル交換油脂
0.5〜10質量%
カカオマス 10〜50質量%
粉乳 0〜20質量%
砂糖 35〜50質量%
次に、本発明の常温ブルーム防止剤のチョコレートへの添加方法について述べる。
本発明の常温ブルーム防止剤の有効成分である上記エステル交換油脂は、チョコレート生地にごく少量添加するだけで、良好な常温ブルーム防止効果を示す。本発明の常温ブルーム防止剤のチョコレート生地への添加方法については、さまざまな添加方法を選択することができるが、大別すると下記(a)、(b)の2つの方法があり、これらのどちらか一方の方法を用いてもよく、両方の方法を用いてもよい。
(a)常法によりチョコレート生地を製造する際に、本発明の常温ブルーム防止剤を、チョコレート生地の原材料として添加使用する方法。
(b)本発明の常温ブルーム防止剤を、常法により製造したチョコレート生地に添加する方法。
上記(a)及び/又は(b)の方法を実施する場合、本発明の常温ブルーム防止剤は、エステル交換油脂そのもの、上記エステル交換油脂を含有するハードバター、及び上記エステル交換油脂を添加したカカオ脂等の油脂の形態で添加することが好ましい。
尚、チョコレートがテンパリング型であって(b)の方法を選択する場合、そのテンパリング時期は、本発明の常温ブルーム防止剤の添加前であっても添加後であってもよい。
以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例2及び3はそれぞれ参考例1及び2である。
<エステル交換油脂の製造>
〔製造例1〕エステル交換油脂(A)の製造
ヨウ素価55のパーム軟部油50質量部、ハイエルシン菜種油の極度硬化油25質量部及びパーム核油25質量部を溶解、混合した油脂配合物10kgを、反応温度70℃にて、触媒としてリパーゼQLC(名糖産業(株)製)50gを用いて、15リットルの反応槽で非選択的エステル交換反応を行った。反応終了後(反応時間48時間)、脱色(白土3%、85℃、1.3×103Paの減圧下、30分間)、脱臭(250℃、水蒸気吹き
込み量;対油3%、1.3×102Paの減圧下、60分間)を行い、エステル交換油脂
(A)を得た。
〔製造例2〕エステル交換油脂(B)の製造
ヨウ素価55のパーム軟部油85質量部及びハイエルシン菜種油の極度硬化油15質量部を溶解、混合した油脂配合物10kgを、反応温度70℃にて、触媒としてリパーゼQLC(名糖産業(株)製)50gを用いて、15リットルの反応槽で非選択的エステル交換反応を行った。反応終了後(反応時間48時間)、脱色(白土3質量%、85℃、1.3×103Paの減圧下、30分間)、脱臭(250℃、水蒸気吹き込み量;対油3質量%、1.3×102Paの減圧下、60分間)を行い、エステル交換油脂(B)を得た。
〔製造例3〕エステル交換油脂(C)の製造
ヨウ素価55のパーム軟部油にナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行なった後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、エステル交換油脂(C)を得た。
上記エステル交換油脂A〜Cの、トリグリセリド組成における、炭素数14以下の飽和脂肪酸と炭素数20以上の飽和脂肪酸の両方を含有するトリグリセリド含量、構成脂肪酸組成における、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量については表1に記載した。
なお、参考のため、カカオ脂、及び菜種液状油についても、それぞれトリグリセリド含量、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量及び炭素数20以上の飽和脂肪酸含量を表1に記載した。
Figure 0005635308
〔実施例1〕
上記エステル交換油脂Aをそのまま常温ブルーム防止剤Aとして使用して、下記<チョコレートの配合・製法>により、テンパリング型の本発明のチョコレートAを得た。
<チョコレートの配合・製法>
常温ブルーム防止剤A(上記エステル交換油脂A)3質量部、カカオバター9.2質量部、カカオマス(油分含有量=55質量%)39.1質量部を55℃に加温して溶解し、これに、砂糖48.2質量部、レシチン0.6質量部を練り合わせて、全体をペースト状とし、ロール掛けした後、コンチングして、チョコレート生地を得た。このチョコレート生地をテンパリングした後、5℃で12時間冷却し、チョコレートAを得た。尚、チョコレートAの油分含量は33.7質量%であった。
〔実施例2〕
上記エステル交換油脂Aに代えてエステル交換油脂Bを使用した以外は実施例1と同様の配合・製法により、チョコレートBを得た。
〔実施例3〕
上記エステル交換油脂Aに代えてエステル交換油脂Cを使用した以外は実施例1と同様の配合・製法により、チョコレートCを得た。
〔実施例4〕
常温ブルーム防止剤Aの添加量を3質量部から2質量部に変更し、カカオバターの配合量を9.2質量部から10.2質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法により、チョコレートDを得た。
〔実施例5〕
常温ブルーム防止剤Aの添加量を3質量部から4質量部に変更し、カカオバターの配合量を9.2質量部から8.2質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法により、チョコレートEを得た。
〔比較例1〕
常温ブルーム防止剤A3質量部を無添加とし、カカオバターの配合量を9.2質量部から、12.2質量部に変更した以外は実施例1と同様の配合・製法により、チョコレートF(比較品)を得た。
〔比較例2〕
常温ブルーム防止剤A3質量部に代えて菜種液状油3質量部を配合した以外は実施例1と同様の配合・製法により、チョコレートG(比較品)を得た。
<常温ブルーム試験>
実施例1〜5及び比較例1,2で得られたチョコレートA〜Gそれぞれを、20℃で1週間熟成してから、25℃の恒温器で保管し、3ヶ月後、6ヵ月後、9ヵ月後、12ヶ月後、15ヶ月後、18ヶ月後目視によりブルームの状態を観察し、下記の評価基準により常温ブルーム耐性の評価を行なった。その結果を表2に記載した。
(評価基準)
◎:表面の艶は良好であり、ブルームはみられない。
○:表面の艶が失われているが、白色化は発生していない。
△:白色化が発生している。
×:激しい白色化が発生している。
Figure 0005635308

Claims (5)

  1. エステル交換油脂のトリグリセリド組成において、炭素数14以下の飽和脂肪酸と炭素数20以上の飽和脂肪酸の両方を含有するトリグリセリドを5質量%以上含有するエステル交換油脂を有効成分とする、チョコレートに添加して用いる常温ブルーム防止剤。
  2. 上記エステル交換油脂の構成脂肪酸組成において、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が10〜40質量%、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が10〜40質量%であることを特徴とする請求項1記載の常温ブルーム防止剤。
  3. 上記エステル交換油脂が、ヨウ素価52〜70のパーム軟部油40〜80質量%、炭素数14以下の飽和脂肪酸を50質量%以上含有する油脂10〜30質量%、及び炭素数20以上の飽和脂肪酸を50質量%以上含有する油脂10〜30質量%からなる油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の常温ブルーム防止剤。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の常温ブルーム防止剤を含有することを特徴とするチョコレート。
  5. チョコレート中に、エステル交換油脂のトリグリセリド組成において、炭素数14以下の飽和脂肪酸と炭素数20以上の飽和脂肪酸の両方を含有するトリグリセリドを5質量%以上含有するエステル交換油脂を含有させることを特徴とするチョコレートの常温ブルームの防止方法。
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