JP4997704B2 - 表面被覆難燃性粒子及びその製造方法、並びに難燃性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

表面被覆難燃性粒子及びその製造方法、並びに難燃性樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面被覆難燃性粒子及びそれを用いた難燃性樹脂組成物、並びにそれらの製造方法に関するものであり、より具体的には、家電及びOA製品の筐体、電線、ケーブル、自動車車両、船舶、航空機、鉄道車両、建築材料、電子機器やプリント基板等に、火災などの熱による災害から保護する目的で使用されるものである。
マトリックス樹脂(以下、単に「樹脂」ということがある)に混合して難燃化する目的に使用される難燃剤としては、従来からハロゲン系化合物、三酸化アンチモン、リン系化合物、水和金属化合物(金属水和物)などが使用されている。これらの中で、上記ハロゲン化合物や三酸化アンチモンは、環境問題から敬遠されつつある一方、前記水和金属化合物は環境負荷を低減できるだけでなく、樹脂リサイクルの観点からも優れているため好適である。
しかし、前記水和金属化合物では、その他の有機系難燃化合物と比較して同等の難燃性を得るために多量の配合量を必要とするため、ポリマー物性を著しく低下させてしまう。ポリマー物性を低下させることなく、前記その他の有機系難燃剤と同等な難燃性を発現させるためには、小粒径の水和金属化合物をマトリックス樹脂中で凝集することなく粒子単位で均一に分散安定化させなければならない。このため、金属水和物からなる粒子を樹脂中に混合する場合、マトリックス樹脂中での分散性を担保するため、粒子表面に均一な被覆層を形成する必要がある。
粒子表面に被覆層を形成する方法として、まず、高級脂肪酸などによる表面処理、シリカ層形成などが知られているが(例えば、特許文献1、2参照)、ナノサイズ粒子に適用した場合、従来の反応条件では粒子が十分に分散しにくく、かつ、被覆反応速度がはやいため、粒子が凝集状態で被覆反応をうけてしまい、その結果、均一な被覆粒子を得ることができない。
また、無機粉体の表面に、ポリアミノ酸を処理したりや気相の環状オルガノシロキサンを作用させたりする方法があるが(例えば、特許文献3、4参照)、これらの方法についてもナノサイズ粒子に適用した場合には分散性が担保されず、凝集物が発生してしまう。
一方、有機金属錯体等と鎖状高分子とを溶媒中で混合し、反応させ、鎖状高分子で取り囲まれた微粒子を形成する方法も提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながらこの方法では、有機金属錯体が鎖状高分子にて安定化され反応が制御されて均一な粒子を製造しやすくはなるものの、鎖状高分子内の空間自由度が高いため、この3次元的な高次構造中で反応が進行すると、反応場に偏りが生じ均一な粒径の粒子を得ることが困難になるという問題がある。
さらに、近年、微粒子を用いた樹脂難燃化の例として、ポリアミドおよび処理されたケイ酸塩のポリマーナノコンポジット組成物や、グラフトポリマー、ホスホネートアミンおよび無機ナノ粒子を含有するポリカーボネートブレンドなども提案されているが(例えば、特許文献6、7参照)、いずれも難燃剤として使用した場合、前記のごとき問題点が解決されていない。
特開昭52−30262号公報 特開2003−253266号公報 特開昭57−145006号公報 特開昭61−268763号公報 特開2003−92207号公報 特開2003−517488号公報 特開2003−509523号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、機械的物理特性の低下が少なく、かつ環境負荷の少ない新規な難燃性樹脂組成物及びそれに用いられる表面被覆難燃性粒子、並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。具体的には、有機系難燃化合物と比較して同等の難燃性が得られ、かつポリマー物性を著しく低下させることがない新規な無機系難燃剤を得るために必要な難燃性微粒子やその製造方法等の提供を目的とするものである。
従来難燃剤は、粒子径が1〜50μmの範囲の難燃性粒子を、マトリックス樹脂100質量部に対し少なくとも50〜150質量部程度と多量に配合することによって、樹脂の難燃化が検討されてきた。このような粒子の多量配合により、樹脂の機械的特性や電気的特性などを劣化させてしまうため、他の添加剤もしくは他樹脂などを配合するなどの処方が採られてきた。
本発明者等は、前記課題を解決するべく、粒子の比表面積を増加させ、ポリマーとの接触面積も増加させる難燃性粒子の微粒子化について鋭意研究を重ねた結果、新規な難燃性粒子及びその製造方法を見出した。これにより得られる難燃性粒子は、体積平均粒子径が1〜500nmの範囲であるだけでなく、特に無機微粒子の表面に、該無機微粒子と結合可能な有機基を有する有機化合物やポリシリコーンが均一層として配された表面被覆難燃性粒子であるため、これらをポリマーに配合した所、体積平均粒子径が0.5〜50μm程度の難燃性化合物と比較して、低充填で同等の難燃性が可能であることが確認された。
すなわち本発明は、
<1> Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含み、下記一般式(1)で表される金属の水酸化物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子と、
該難燃性粒子の表面に下記の被覆量を満たすように形成された、有機化合物またはポリシリコーンを含む被覆層と、
を有することを特徴とする表面被覆難燃性粒子である。
MgMx・(OH)y ・・・ 一般式(1)
上式において、MはCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiから選択される1種以上の金属を表し、xは0.1〜10の実数、yは2〜32の整数を表す。
ポリアミノ酸を除く有機化合物による被覆層の場合の被覆量:表面被覆難燃性粒子全体の30〜80質量%
ポリアミノ酸またはポリシリコーンによる被覆層の場合の被覆量:表面被覆難燃性粒子全体の20〜80質量%
<2> 少なくとも、<1>に記載の表面被覆難燃性粒子を、マトリックス樹脂に配合してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物である。
<3> 前記マトリックス樹脂100部に対して前記表面被覆難燃性粒子を2部以上10部以下で配合することを特徴とする<2>に記載の難燃性樹脂組成物である。
<4> 少なくとも、有機化合物金属塩及び分散剤を溶解させた水溶液中に、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液に酸性水溶液を滴下して前記難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する工程とを含むことを特徴とする、<1>に記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法である。
<5> 少なくとも、水と混和する有機溶媒中に有機化合物及び分散剤を溶解した溶液中に、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液に水を滴下して前記難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する工程とを含むことを特徴とする、<1>に記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法である。
<6> 少なくとも、分散剤を溶解した水溶液中に、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液にポリアミノ酸塩水溶液を滴下して前記難燃性粒子表面にポリアミノ酸を析出させて被覆層を形成する工程とを含むことを特徴とする、<1>に記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法である。
<7> 少なくとも、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属塩及び界面活性剤を水に溶解させて、ミセル構造またはベシクル構造を有する金属石鹸粒子とする工程と、該金属石鹸粒子を有機溶媒中に展開して逆ミセル粒子に転層させる工程と、該逆ミセル粒子中に含まれる金属イオンに塩基を作用させて金属水酸化物とする工程とを含むことを特徴とする、<1>に記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法である。
<8> 少なくとも、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む有機化合物金属塩を有機溶媒中へ展開した展開液を作製する工程と、前記有機化合物金属塩中に含まれる金属イオンに塩基を作用させて金属水酸化物とする工程とを含むことを特徴とする、<1>に記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法である。
<9> 少なくとも、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む有機化合物金属塩と、分散剤またはキレート化合物とを溶解させた水溶液を作製する工程と、該水溶液に金属イオン水溶液を滴下する工程と、該金属イオンを含む水溶液に塩基を作用させて前記有機化合物金属塩中に含まれる金属イオンを金属水酸化物とする工程とを含むことを特徴とする、<1>に記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法である。
<10> Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子に、環状オルガノシロキサン化合物の気化物を作用させ、前記難燃性粒子表面に環状オルガノシロキサン化合物を開環重合させることで被覆層を形成することを特徴とする、<1>に記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法である。
<11> 少なくともマトリックス樹脂と<1>に記載の表面被覆難燃性粒子とを混合し、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、インターミックス、1軸押出機、2軸押出機のうちから選択される1以上の混練機で混練することを特徴とする難燃性樹脂組成物の製造方法である。
本発明によれば、粒子の比表面積が大きく、ポリマーとの接触面積も大きい均一な被覆層を有する表面被覆難燃性粒子やそれを用いた難燃性樹脂組成物、並びにそれらの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<表面被覆難燃性粒子>
本発明の表面被覆難燃性粒子は、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含み、下記一般式(1)で表される金属の水酸化物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子と、該難燃性粒子の表面に後述する被覆量を満たすように形成された、有機化合物またはポリシリコーンを含む被覆層と、を有することを特徴とする。
前述のように、樹脂中でのナノサイズの難燃性粒子の分散性を向上させるためには、難燃性粒子表面に均一な被覆層を形成することが有効である。本発明の表面被覆難燃性粒子では、被覆層が形成される難燃性粒子として、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む複合金属の水酸化物を用いる。このようにMg金属を必須としてこれに各種金属を複合化させた場合、難燃効果の向上を図ることができる。例えば、MgとNiやFeとを複合化させると、燃焼時に気化した樹脂成分に由来する炭化水素中の水素を引き抜く作用を生じ、樹脂組成物の難燃化効果、低発煙化効果を高めることができる。また、MgとAlとを複合化させると、燃焼時の水放出温度を調整して難燃効果を向上させることができる。
本発明において、難燃性粒子としてはCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物が用いられる。該金属の水酸化物は、下記一般式(1)で示される。
MgMx・(OH)y ・・・ 一般式(1)
上式において、MはCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiから選択される1種以上の金属を表し、xは0.1〜10の実数、yは2〜32の整数を表す。
前記Mとしては、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu、Niを用いることが好ましく、特にMgMxとしてMgAlx、MgCax、MgZnx、MgFex、Mg(Al・Ca)xが好ましく用いられる。
上記金属の水酸化物からなる難燃性粒子の体積平均粒子径は、1〜500nmの範囲である。また、難燃性粒子の体積平均粒子径は1〜200nmの範囲であることが好ましく、5〜200nmの範囲であることがより好ましく、10〜200nmの範囲であることがさらに好ましい。
難燃性粒子の体積平均粒子径が1nmより小さいと、難燃性保持能が低下してしまう。また、500nmより大きいと、市販の体積平均粒子径が1μmの難燃性粒子と同等の特性となり、難燃性を得るために多量に添加することが必要となってしまう。
また、体積平均粒子径が前記範囲の難燃性粒子を用いた表面被覆難燃性粒子は、樹脂中に均一に分散する。さらに、難燃性粒子の体積平均粒子径がナノメーターサイズであると、微細な複合体を形成できることと相まって、透明性の高い難燃性樹脂組成物を得ることができる。
前記有機化合物としては、特に制限されないが、前記難燃性粒子と結合可能な有機基を有するものであることが好ましい。このような有機基を難燃性粒子に結合させることにより、難燃性粒子表面に薄層の有機層を均一に形成することができる。
前記有機化合物としては、前記有機基の末端に難燃性粒子と結合を形成するための結合性基を有したものが好ましい。
上記結合性基としては、例えば、ヒドロキシル基、リン酸基、ホスホニウム塩基、アミノ基、硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、親水性複素環基、多糖基(ソルビトール、ソルビット、ソルビタン、ショ糖エステル、ソルビタンエステル残基など)、ポリエーテル基(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン基などのアルキレンの炭素数が2〜4のポリオキシアルキレン基など)、加水分解性基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ基などの炭素数が1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子(臭素、塩素原子など)などが挙げられる。
なお、結合性基がアニオン性基(硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基など)の場合、種々の塩基と塩を形成していてもよい。該塩基としては、無機塩基(例えば、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニアなど)、有機塩基(例えば、アミン類など)が挙げられる。また、結合性基がカチオン性基(例えば、アミノ基)の場合には、酸、例えば無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(酢酸など)と塩を形成してもよい。さらに、上記カチオン性基は、アニオン性基(特に、カルボキシル基、硫酸基)と塩を形成してもよい。また、結合性基として、カチオン性基及びアニオン性基の両方を有していてもよい。
このように、好ましい結合性基には、イオン性基(アニオン性基、カチオン性基)、加水分解性基が含まれ、難燃性粒子と形成される結合は、イオン結合であっても共有結合であってもよい。
前記有機化合物の有機基としては、界面活性剤の疎水性基等として作用する基(例えば、高級脂肪酸残基、高級アルコール残基、アルキル−アリール基など)やポリアミノ酸残基等が挙げられる。
上記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、カプリル酸、カプリン酸、ダチュリン酸、ステアリン酸、モンタン酸、メリシン酸などの炭素数8〜30の飽和脂肪酸(好ましくは炭素数10〜28の飽和脂肪酸、さらに好ましくは12〜26の飽和脂肪酸);エライジン酸、リノール酸、リノレン酸リンデル酸、マッコウ酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸などの炭素数が12〜30の不飽和脂肪酸(好ましくは炭素数が14〜28の不飽和脂肪酸、さらに好ましくは炭素数が14〜26の不飽和脂肪酸)などが挙げられる。
前記疎水性基としては、また、これらの高級脂肪酸残基または前記高級脂肪酸に対応する高級アルコール残基(例えば、オクチル、ノニル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル(セチル)、オクタデシルなどの炭素数が8〜24の高級脂肪酸残基(好ましくは炭素数が10〜22の高級脂肪酸残基、さらに好ましくは炭素数が12〜20の高級脂肪酸残基)などが挙げられる。
また、前記アルキル−アリール基としては、例えば、ヘキシルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ドデシルフェニル、イソプロピルフェニル、ブチルフェニル、アミルフェニル、テトラデシルフェニルなどのアルキル−アリール基(好ましくは炭素数が1〜20のアルキル−炭素数が6〜18のアリール基、さらに好ましくは炭素数が6〜18のアルキル−炭素数が6〜12のアリール基、特に炭素数が6〜16のアルキル−フェニル基)などが挙げられる。
これらの疎水性基には、種々の置換基(例えば、炭素数が1〜4のアルキル基など)が置換していてもよい。
前記ポリアミノ酸としては、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリアルギニン、ポリグルシンなどが挙げられる。これらの中ではポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸などの酸性ポリアミノ酸が好ましく用いられる。
なお、上記ポリアミノ酸の数平均分子量は10〜10000の範囲であることが好ましい。
被覆層を上記ポリアミノ酸で形成することにより、表面被覆難燃性粒子をマトリックス樹脂に混合した場合、樹脂の可塑化を起こしにくくすることができる。
また、ポリアミノ酸被覆層の被覆量、酸性物質の種類・作用量を適宜調整することで、同一配合量でも樹脂の成形性(可塑性)と力学特性とをコントロールすることができる。
また、前記ポリシリコーンとしては、シロキサン結合を有するものであれば特に限定されないが、下記一般式(2)で示されるような環状オルガノシロキサン化合物の重合体を用いることが好ましい。
Figure 0004997704
上記式中、nは3〜8の整数を表す。nの数が小さいほど沸点が低く、揮発して難燃性粒子に吸着する量が多くなり、nが7を超えると揮発しにくくなり被覆処理が不充分となるため好ましくない。また特に4量体、5量体、6量体はその立体的な性質から重合しやすく最も適している。
本発明においては、前記一般式(2)で示される環状オルガノシロキサン化合物(a)、(b)のうちのいずれか、または2種を組み合わせて用いることができる。重合体の重合度(繰り返し単位数)は10〜1000の範囲であることが好ましく10〜100の範囲がより好ましい。また、被覆層としては、上記重合体と前記有機化合物と組み合わせて用いてもよい。
被覆層として、上記のような低表面エネルギーのポリシリコーンを用いることにより、表面被覆難燃性粒子をマトリックス樹脂と混合した場合に樹脂の可塑化が起こりにくくなる。
また、難燃性樹脂組成物としたときに、燃焼時に表面のポリシリコーン層が熱バリア層を形成するが、粒子表面にポリシリコーンの被覆層を形成することで、金属水酸化物粒子より放出される水分が熱バリア層を発泡させるため、熱バリア層の断熱性を高め難燃効果を向上させることができる。
本発明の表面被覆難燃性粒子における有機化合物(ポリアミノ酸を除く)による表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の30〜80質量%の範囲であることを要する。被覆量が1質量%に満たないと、マトリックス樹脂中で凝集物が生成し、分散が不均一になってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂に分散したとき樹脂が可塑化してしまう場合がある。
また、表面被覆難燃性粒子におけるポリアミノ酸またはポリシリコーンによる表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の20〜80質量%の範囲であることを要する。被覆量が20質量%に満たないと、マトリックス樹脂中で凝集物が生成し、分散が不均一になってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂に分散したとき樹脂が可塑化してしまう場合がある。
なお、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
また、本発明の表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)は、1〜500nmの範囲であることが好ましい。表面被覆難燃性粒子としてより好ましくは体積平均粒径が1〜200nmの範囲、さらに好ましくは5〜200nmの範囲、特に好ましくは10〜200nm(特に10〜100nm)の範囲程度である。
表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径が1nmより小さいと、難燃性保持能が低下し、500nmより大きいと、市販の体積平均粒子径1μm品と同等の特性となり、難燃性を得るために多量に添加することが必要となってしまう。体積平均粒子径が前記範囲の表面被覆難燃性粒子は、樹脂中に均一に分散する。また、表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径がナノメーターサイズであると、微細な複合体を形成できることと相まって、透明性の高い難燃性樹脂組成物を得ることができる。
また、表面被覆難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
分散度が小さいことは、表面被覆難燃性粒子の粒度分布が狭いこと、すなわち粒子の大きさがより均一であることを示しており、分散度が前記範囲にあると樹脂に分散した場合の難燃性、機械的特性も均一となる。
なお、前記体積平均粒子径(難燃性粒子も含む)、分散度は、レーザードップラーヘテロダイン型粒度分布計(UPA日機装株式会社製、MICROTRAC−UPA150)により測定した(以下同様である)。具体的には、測定された粒度分布を基にして、体積について小粒径側から累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径とした。また、質量について粒度分布を引いて、小粒径側から累積90%となる粒径をD90、累積10%となる粒径をD10としたとき、分散度は下記式(1)で定義される。この測定法については、以下同様である。
分散度=log(D90/D10) ・・・ 式(1)
本発明の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、上記構成、特性を満足させることができる方法であれば特に制限されないが、後述する本発明の表面被覆難燃性粒子の製造方法を好適に用いることができる。
<表面被覆難燃性粒子の製造方法>
本発明の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、大きく7つに分類される。これらを各々本発明の第1〜第7の表面被覆難燃性粒子の製造方法(以下、これらを各々「第1〜第7の本発明」という場合がある)とし、以下に各製造方法の内容を示す。
(第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法)
本発明の第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、少なくとも、有機化合物金属塩及び分散剤を溶解させた水溶液中に、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液に酸性水溶液を滴下して前記難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
前述のように、粒子径がナノサイズの難燃性粒子を樹脂中に均一に分散させるには、粒子表面に均一な被覆層を形成する必要がある。上記第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、金属水酸化物からなる表面積の大きいナノサイズの粒子表面に、有機化合物の被覆層を均一にしかも制御性よく形成することができる。また、第1の本発明においては、金属水酸化物からなる難燃性粒子を容易に分散させることができ、水酸化物の安定性も高いことから、表面被覆難燃性粒子の生産性を高めることができる。
以下、まず第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法の各工程について説明する。
(分散液を作製する工程)
本工程では、有機化合物金属塩及び分散剤を溶解させた水溶液中に、特定の金属の水酸化物からなる難燃性粒子を分散させる。
前記有機化合物金属塩としては、例えば、後述する難燃性粒子として樹脂中に分散された場合に分散性を高めるための有機基を有し、該有機基が、アニオン性の結合性基(硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基など)を介して種々の金属を含む無機塩基と塩を形成したものが挙げられる。
すなわち、前記有機化合物金属塩における有機化合物部分は、有機基の末端及び/または有機基中に、前記金属を含む無機塩基と反応して塩を形成している結合部分を有する構造となっている。
前記有機化合物金属塩における有機基としては、まず疎水性基として、高級脂肪酸の残基を好ましく挙げることができる。
上記疎水性基を有する高級脂肪酸としては、炭素数が8以上の高級脂肪酸が好ましく、炭素数が8〜30の飽和脂肪酸、または炭素数が12〜30の不飽和脂肪酸がより好ましい。飽和脂肪酸としては炭素数10〜28の飽和脂肪酸がさらに好ましく、炭素数が12〜26の飽和脂肪酸が特に好ましい。また、不飽和脂肪酸としては、炭素数が14〜28の不飽和脂肪酸がさらに好ましく、炭素数が14〜26の不飽和脂肪酸が特に好ましい。
具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、カプリル酸、カプリン酸、ダチュリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、モンタン酸、メリシン酸などの飽和カルボン酸;エライジン酸、リノール酸、リノレン酸リンデル酸、マッコウ酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸などの不飽和カルボン酸;などが挙げられる。
また、これらの酸における疎水性基には、種々の置換基(例えば、炭素数が1〜4のアルキル基など)が置換していてもよい。
これらの中では、炭素数が12〜26の飽和脂肪酸であるベヘニン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸が特に好ましい。
また、前記有機化合物金属塩における有機基としては、ポリアミノ酸の残基も好ましく挙げることができる。
上記ポリアミノ酸としては、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリアルギニン、ポリグリシンなどが挙げられる。これらの中ではポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸などの酸性ポリアミノ酸が好ましく用いられる。
なお、上記ポリアミノ酸の数平均分子量は10〜10000の範囲であることが好ましい。
上記高級脂肪酸やポリアミノ酸と塩を形成する無機塩基を構成する金属としては、例えば、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属など好ましく、これらの中では、マグネシウム、アルミニウムが特に好ましい。
前記分散剤としては、水に溶解し、かつ後述する難燃性粒子の分散性を向上させる分散剤であれば特に制限されないが、高分子分散剤またはポリリン酸ナトリウムなどが好ましく用いられる。高分子分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニル−2−ピロリドン、ポリプロピルセルロース、ポリアクリル酸などが好ましい。高分子分散剤の分子量としては、スチレン換算の体積平均分子量で100〜10000の範囲が好ましい。体積平均分子量が100未満であると、難燃性粒子の反応液中での分散が十分に行われず、被覆反応が不均一となる場合がある。体積平均分子量が10000を超えると、難燃性粒子表面に高分子分散剤が凝集してしまい、やはり難燃性粒子の反応液中での分散性が低下し被覆反応が均一に行われない場合がある。
第1の本発明においては、後述する難燃性粒子の表面処理に用いる溶液として、前記有機化合物金属塩及び前記分散剤を水に溶解させた水溶液を用意する。
前記有機化合物金属塩の水溶液における濃度は、難燃性粒子表面全体を均一に被覆する観点から一定範囲とする必要があり、本発明においては10〜50質量%の範囲とすることが好ましい。このように有機化合物金属塩の濃度を高くすることにより、ナノサイズの粒子表面に均一に被覆層を形成することができる。
上記有機化合物金属塩の濃度は10〜40質量%の範囲がより好ましい。濃度が10質量%に満たないと、難燃性粒子表面への有機化合物の均一な被覆が困難となり、未被覆部位が発生してしまう場合がある。また、濃度が50質量%を超えると、同様に難燃性粒子表面への均一な被覆が困難となるだけでなく、凝集物が発生してしまう場合がある。
また、前記分散剤の水溶液における濃度も、前記と同様の観点から一定範囲とすることが好ましい。
具体的には、分散剤の濃度は後述する難燃性粒子量に対して1〜10質量%の範囲とすることが好ましく、1〜5質量%の範囲とすることがより好ましい。分散剤の濃度が1質量%に満たないと、難燃性粒子の反応液中での分散性が低下し被覆反応が均一に行われない場合がある、また、10質量%を超えると、反応液の濃度が高くなり被覆反応が均一に行われない場合がある。
次に、上記水溶液に分散される難燃性粒子について説明する。
本発明における難燃性粒子は、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物からなる。これらの金属の水酸化物は微粒子化が容易であり、また水酸化物として安定であるだけでなく、加熱による吸熱性、脱水反応性に優れるため優れた難燃効果を発揮する。
すなわち、上記のようにMg金属を必須としてこれに各種金属を複合化させた場合、難燃効果の向上を図ることができる。例えば、MgとNiやFeとを複合化させると、燃焼時に気化した樹脂成分に由来する炭化水素中の水素を引き抜く作用を生じ、樹脂組成物の難燃化効果、低発煙化効果を高めることができる。また、MgとAlとを複合化させると、燃焼時の水放出温度を調整して難燃効果を向上させることができる。
前記金属の水酸化物は、下記一般式(1)で示される。
MgMx・(OH)y ・・・ 一般式(1)
上式において、MはCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiから選択される1種以上の金属を表し、xは0.1〜10の実数、yは2〜32の整数を表す。
前記Mとしては、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiを用いることが好ましく、特にMgMxとしてMgAlx、MgCax、MgZnx、MgFex、Mg(Al・Ca)xが好ましく用いられる。
上記金属の水酸化物からなる難燃性粒子の体積平均粒子径は、1〜500nmの範囲である。また、難燃性粒子の体積平均粒子径は1〜200nmの範囲であることが好ましく、5〜200nmの範囲であることがより好ましく、10〜200nmの範囲であることがさらに好ましい。
難燃性粒子の体積平均粒子径が1nmより小さいと、難燃性保持能が低下してしまう。また、500nmより大きいと、市販の体積平均粒子径が1μmの難燃性粒子と同等の特性となり、難燃性を得るために多量に添加することが必要となってしまう。
また、体積平均粒子径が前記範囲の難燃性粒子を用いた表面被覆難燃性粒子は、樹脂中に均一に分散する。さらに、難燃性粒子の体積平均粒子径がナノメーターサイズであると、微細な複合体を形成できることと相まって、透明性の高い難燃性樹脂組成物を得ることができる。
上記難燃性粒子表面に有機化合物を被覆させるため、前記有機化合物金属塩と分散剤とを含む水溶液中に難燃性粒子を分散させるが、本発明においては、表面被覆難燃性粒子の生産性と均一被覆との両立の観点から、難燃性粒子の分散濃度を一定の範囲とすることが好ましい。
なお、上記分散濃度とは、下記式(2)により求められるものである。
分散濃度(質量%)=(難燃性粒子の質量/水溶液の質量)×100 ・・・ 式(2)
第1の本発明において、難燃性粒子の分散濃度は0.1〜5質量%の範囲とすることが好ましい。このように難燃性粒子の分散濃度を低くすることにより、ナノサイズの粒子表面に均一な被覆層を形成することができる。
上記分散濃度は0.1〜4質量%の範囲であることが好ましい。
難燃性粒子の分散濃度が0.1質量%未満であると、均一な被覆は可能であるものの生産性の点で問題となる場合がある。また、分散濃度が5質量%を超えると、分散液中で凝集を起こしやすく、均一な被覆が困難となる場合がある。
なお、上記水溶液中への難燃性粒子の分散は、通常の攪拌装置等を用いて行うことができるが、必要に応じて超音波分散機により超音波処理を行うことにより、より均一な分散液を得ることができる。
(被覆層を形成する工程)
本工程では、前記難燃性粒子の分散液に酸性水溶液を滴下し、難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する。本発明においては、この被覆層を形成する反応を比較的緩やかにすることにより、前記条件と併せて難燃性粒子表面に均一な被覆層を形成させることが好ましい。
前記酸性水溶液としては、塩酸、硫酸、酢酸、硝酸など一般的な酸性水溶液を用いることができるが、塩酸、酢酸が特に好ましい。
本発明において、酸性水溶液の濃度は0.1〜50質量%の範囲であることが好ましく、1〜10質量%の範囲がより好ましい。
上記濃度が0.1質量%未満では、分散液中に滴下する酸性水溶液量がかなり多くなり、生産性を確保することができない場合がある。また、濃度が50質量%を超えると、滴下速度を遅くしても前記被覆層を形成する反応を緩やかにすることができず、均一な被覆層が得られない場合がある。
また、前記酸性水溶液の分散液への滴下速度は、1〜200ml/時間の範囲とすることが好ましい。滴下速度が200ml/時間を超えると、前記被覆層を形成する反応が速すぎ均一な被覆層が得られない場合がある。また1ml/時間に満たないと、十分な生産性を確保することができない場合がある。
上記酸性水溶液の滴下速度は20〜200ml/時間の範囲とすることが好ましい。
さらに本発明においては、前記被覆層を形成する反応を緩やかにする観点から、前記酸性水溶液滴下時あるいは滴下後の反応温度(分散液の温度)を制御することが好ましい。具体的には、反応温度は0〜100℃の範囲で行うことが好ましく、0〜50℃の範囲で行うことがより好ましく、5〜30℃の範囲とすることがさらに好ましい。
反応温度が100℃を超えると、被覆層を形成する反応速度が速くなり均一な被覆を行うことができない場合がある。一方、0℃に満たないと、粒子が凝集しやすく均一な被覆を行うことができない場合がある。
以上のようにして被覆層を形成する工程までを経た後、表面被覆難燃性粒子のゾルを遠心分離もしくは、貧溶媒とのデカンテーション等により分離し、乾燥することにより、表面被覆難燃性粒子を得ることができる。
第1の本発明により得られる表面被覆難燃性粒子における有機化合物による表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の1〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜100質量%の範囲であることがより好ましく、30〜80質量%の範囲であることがさらに好ましい。被覆量が1質量%に満たないと、マトリックス樹脂中で凝集物が生成し、分散が不均一になってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂に分散したとき樹脂が可塑化してしまう場合がある。
また、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
本発明の第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)1〜500nmの範囲のものを好適に製造することができる。表面被覆難燃性粒子として好ましくは体積平均粒径が1〜200nmの範囲、より好ましくは5〜200nmの範囲、さらに好ましくは10〜200nm(特に10〜100nm)の範囲程度である。
表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径が1nmより小さいと、難燃性保持能が低下し、500nmより大きいと、市販の体積平均粒子径1μm品と同等の特性となり、難燃性を得るために多量に添加することが必要となってしまう。体積平均粒子径が前記範囲の表面被覆難燃性粒子は、樹脂中に均一に分散する。また、表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径がナノメーターサイズであると、微細な複合体を形成できることと相まって、透明性の高い難燃性樹脂組成物を得ることができる。
また、表面被覆難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
分散度が小さいことは、表面被覆難燃性粒子の粒度分布が狭いこと、すなわち粒子の大きさがより均一であることを示しており、分散度が前記範囲にあると樹脂に分散した場合の難燃性、機械的特性も均一となる。
(第2の表面被覆難燃性粒子の製造方法)
本発明の第2の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、少なくとも、水と混和する有機溶媒中に有機化合物及び分散剤を溶解した溶液中に、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液に水を滴下して前記難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
上記第2の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、前記第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法と同様、一定粒径の難燃性粒子の表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成するものであるが、難燃性粒子を分散させる溶液に関し、水の代わりに水と混和する有機溶媒を用い、有機化合物金属塩の代わりに有機化合物を用いる点、及び難燃性粒子の表面に有機化合物を析出させるための酸性水溶液の代わりに水を用いる点が異なる。
したがって、以下において第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法と共通する部分については、説明を省略する場合がある。
(分散液を作製する工程)
本工程では、まず、難燃性粒子を分散させる溶液の溶媒として、水と混合する有機溶媒が用いられる。
本発明における水と混合する有機溶媒としては、メタノール、エチルホルムアミド、ニトロメタン、エタノール、アクリル酸、アセトニトリル、アニリン、シクロヘキサノール、n−ブタノール、メチルアミン、n−アミルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルケトン、四塩化炭素、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、イソブチルクロリド、ジエチルアミン、メチルシクロヘキサン、酢酸イソアミル、n−オクタン、n−ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メチルイソプロピルケトン、酢酸ブチル、メチルプロピルケトン、エチルベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、ピリジン、n−ヘキサノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、エチレングリコール、グリセロールホルムアミド、ジメトルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどを用いることが好ましい。
また、第2の表面被覆難燃性粒子の製造方法においては、上記有機溶媒中に有機化合物を溶解し分散液に供せられる。
前記有機化合物としては、難燃性粒子と結合可能な有機基を有するものであることが好ましく、該有機基の末端に難燃性粒子と結合を形成するための結合性基を有したものが好ましい。
上記結合性基としては、例えば、ヒドロキシル基、リン酸基、ホスホニウム塩基、アミノ基、硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、親水性複素環基、多糖基(ソルビトール、ソルビット、ソルビタン、ショ糖エステル、ソルビタンエステル残基など)、ポリエーテル基(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン基などのアルキレンの炭素数が2〜4のポリオキシアルキレン基など)、加水分解性基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ基などの炭素数が1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子(臭素、塩素原子など)などが挙げられる。
このように、好ましい結合性基には、イオン性基(アニオン性基、カチオン性基)、加水分解性基が含まれ、難燃性粒子と形成される結合は、イオン結合であっても共有結合であってもよい。
前記有機化合物の有機基としては、まず疎水性基として、高級脂肪酸の残基を好ましく挙げることができる。
上記高級脂肪酸残基としては、前記第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法で説明した高級脂肪酸の残基が挙げられる。
また、前記高級アルコール残基としては、例えば、オクチル、ノニル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル(セチル)、オクタデシルなどの炭素数が8〜24の高級脂肪アルコール残基、好ましくは炭素数が10〜22の高級アルコール残基、さらに好ましくは炭素数が12〜20の高級アルコール残基などが挙げられる。
また、前記アルキル−アリール基としては、例えば、ヘキシルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ドデシルフェニル、イソプロピルフェニル、ブチルフェニル、アミルフェニル、テトラデシルフェニルなどのアルキル−アリール基(好ましくは炭素数が1〜20のアルキル−炭素数が6〜18のアリール基、さらに好ましくは炭素数が6〜18のアルキル−炭素数が6〜12のアリール基、特に炭素数が6〜16のアルキル−フェニル基)などが挙げられる。
これらの疎水性基には、種々の置換基(例えば、炭素数が1〜4のアルキル基など)が置換していてもよい。
また、前記有機化合物における有機基としては、ポリアミノ酸の残基も好ましく挙げることができる。上記ポリアミノ酸としては、前記第1の本発明で説明したものを同様に用いることができる。
なお、第2の本発明では、前記有機化合物として、前記第1の本発明において詳述した高級脂肪酸及びポリアミノ酸を特に好ましく用いることができる。
その他、第2の表面被覆難燃性粒子の製造方法における分散剤、難燃性粒子及びこれらを用いた溶液、難燃性粒子の分散液の作製条件、並びに好ましい組成範囲等は、前記第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法と同様である。
なお、第2の本発明における難燃性粒子の分散濃度は、前記式(2)における「水溶液」を前記「溶液」として求めた。
(被覆層を形成する工程)
第2の表面被覆難燃性粒子の製造方法においては、難燃性粒子表面に有機化合物を析出させるために、前記分散液に水を滴下する。この場合、前記第1の本発明と同様、この被覆層を形成する反応を比較的緩やかにすることにより、前記条件と併せて難燃性粒子表面に均一な被覆層を形成させることが好ましい。
第2の本発明において、前記水の分散液への滴下速度は、1〜200ml/時間の範囲とすることが好ましい。滴下速度が200ml/時間を超えると、前記被覆層を形成する反応が速すぎ均一な被覆層が得られない場合がある。また1ml/時間に満たないと、十分な生産性を確保することができない場合がある。
上記水の滴下速度は20〜200ml/時間の範囲とすることが好ましい。
その他、難燃性粒子の分散、反応温度などの条件は、前記第1の本発明と同様である。
第2の本発明により得られる表面被覆難燃性粒子における有機化合物による表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の1〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜100質量%の範囲であることがより好ましく、30〜80質量%の範囲であることがさらに好ましい。被覆量が1質量%に満たないと、マトリックス樹脂中で凝集物が生成し、分散が不均一になってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂に分散したとき樹脂が可塑化してしまう場合がある。
また、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
本発明の第2の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、第1の本発明と同様に、体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)1〜500nmの範囲のものを好適に製造することができる。表面被覆難燃性粒子として好ましくは体積平均粒径が1〜200nmの範囲、より好ましくは5〜200nmの範囲、さらに好ましくは10〜200nm(特に10〜100nm)の範囲程度である。
また、表面被覆難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
(第3の表面被覆難燃性粒子の製造方法)
本発明の第3の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、少なくとも、分散剤を溶解した水溶液中に、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液にポリアミノ酸塩水溶液を滴下して前記難燃性粒子表面にポリアミノ酸を析出させて被覆層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
第3の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、前記第1、第2の本発明において説明した有機化合物のうち、ポリアミノ酸を用いて被覆層を形成する場合に有効な製造方法である。この製造方法により難燃性粒子表面にポリアミノ酸を被覆する場合には、分散剤の共存下で被覆させることができるため、反応がより緩やかとなって均一な被覆層を得ることができる。
(分散液を作製する工程)
本工程では、分散剤を溶解させた水溶液中に、特定の金属の水酸化物からなる難燃性粒子を分散させる。
分散剤としては、前記第1の本発明で説明したものと同様のものを用いることができる。また、上記分散剤の水溶液における濃度も、前記第1の本発明と同様とする。
前記分散剤を溶解させた水溶液中に分散させる難燃性粒子は、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物からなる。この難燃性粒子も前記第1の本発明と同様のものを用いることができる。
その他、第3の表面被覆難燃性粒子の製造方法における分散剤、難燃性粒子を用いた水溶液、難燃性粒子の分散液の作製条件、並びに好ましい組成範囲等は、前記第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法と同様である。
(被覆層を形成する工程)
本工程では、前記難燃性粒子の分散液中にポリアミノ酸塩水溶液を滴下して、難燃性粒子表面にポリアミノ酸を析出させて被覆層を形成する。
前記ポリアミノ酸塩としては、アミノ酸の重合体であるポリアミノ酸の金属塩から選択されるが、該ポリアミノ酸としては、前記第1の本発明におけるポリアミノ酸を好ましく用いることができる。また、前記金属塩における金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどが用いられる。
本発明において、ポリアミノ酸塩水溶液の濃度は1〜30質量%の範囲であることが好ましく、5〜10質量%の範囲がより好ましい。
上記濃度が1質量%未満では、分散液中に滴下するポリアミノ酸塩水溶液量がかなり多くなり、生産性を確保することができない場合がある。また、濃度が30質量%を超えると、滴下速度を遅くしても前記被覆層を形成する反応を緩やかにすることができず、均一な被覆層が得られない場合がある。
また、前記ポリアミノ酸塩水溶液の分散液への滴下速度は、1〜1000ml/時間の範囲とすることが好ましく、10〜200ml/時間の範囲とすることがより好ましい。滴下速度が1000ml/時間を超えると、前記被覆層を形成する反応が速すぎ均一な被覆層が得られない場合がある。また1ml/時間に満たないと、十分な生産性を確保することができない場合がある。
さらに本発明においては、前記被覆層を形成する反応を緩やかにする観点から、前記酸性水溶液滴下時あるいは滴下後の反応温度(分散液の温度)を制御することが好ましい。具体的には、反応温度は0〜100℃の範囲で行うことが好ましく、0〜50℃の範囲で行うことがより好ましく、5〜30℃の範囲とすることがさらに好ましい。
反応温度が100℃を超えると、被覆層を形成する反応速度が速くなり均一な被覆を行うことができない場合がある。一方、0℃に満たないと、粒子が凝集しやすく均一な被覆を行うことができない場合がある。
第3の本発明により得られる表面被覆難燃性粒子における有機化合物による表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の20〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜80質量%の範囲であることがより好ましい。被覆量が20質量%に満たないと、マトリックス樹脂中で凝集物が生成し、分散が不均一になってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂に分散したとき樹脂が可塑化してしまう場合がある。
また、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
本発明の第3の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、第1の本発明と同様に、体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)1〜500nmの範囲のものを好適に製造することができる。表面被覆難燃性粒子として好ましくは体積平均粒径が1〜200nmの範囲、より好ましくは5〜200nmの範囲、さらに好ましくは10〜200nm(特に10〜100nm)の範囲程度である。
また、表面被覆難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
(第4の表面被覆難燃性粒子の製造方法)
本発明の第4の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、少なくとも、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属塩及び界面活性剤を水に溶解させて、ミセル構造またはベシクル構造を有する金属石鹸粒子とする工程と、該金属石鹸粒子を有機溶媒中に展開して逆ミセル粒子に転層させる工程と、該逆ミセル粒子中に含まれる金属イオンに塩基を作用させて金属水酸化物とする工程とを含むことを特徴とする。
上記第4の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、第1〜第3の本発明と同様に、金属水酸化物からなる表面積の大きいナノサイズの粒子表面に、有機化合物の被覆層を均一にしかも制御性よく形成することができる。また、第4の本発明においては、水中でのテンプレート(疎水性基が内側、親水性基が外側に向いたコアシェル構造のミセル)を合成するが、金属水酸化物合成とともに表面被覆反応が進行するため、簡便な工程で均一な被覆層を有する表面被覆難燃性粒子を製造することができる。
(金属石鹸粒子を形成する工程)
本工程では、特定の金属を含む金属塩及び界面活性剤を水に溶解し、ミセル構造またはベシクル構造を有する金属石鹸粒子とする。なお、ここで上記「ミセル構造」とは、疎水基(有機基)が内側を向き親水基(金属イオン)が外側(水側)を向いて球状となった構造をいう。また、前記「ベシクル構造」とは、2分子膜をつくり水を包み込んで球状に集まった構造をいう。
第4の本発明においては、前記金属塩としてはマグネシウム塩を必須とし、水に溶解し得る限りCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiから選択される1種以上とMgとの各々の塩化物、硝酸化物、硫酸化物、炭酸化物などを用いることができる。これらの中では塩化物が好ましく、例えば前記Mgの金属塩としては塩化マグネシウムが特に好ましい。
前記界面活性剤としては、特にカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤が好ましく用いられる。該アニオン性界面活性剤としては、炭素数が8〜30のカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸エステルのいずれかを用いることが好ましい。
具体的に、上記カルボン酸塩としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、カプリル酸、カプリン酸、ダチュリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、モンタン酸、メリシン酸などの炭素数8〜30の飽和脂肪酸(好ましくは炭素数10〜28の飽和脂肪酸、さらに好ましくは12〜26の飽和脂肪酸);エライジン酸、リノール酸、リノレン酸リンデル酸、マッコウ酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸などの炭素数が12〜30の不飽和脂肪酸(好ましくは炭素数が14〜28の不飽和脂肪酸、さらに好ましくは炭素数が14〜26の不飽和脂肪酸)などが挙げられる。
前記スルホン酸塩としては、アルキルまたはアルケニルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩の重縮合物、アルキルスルホンコハク酸塩などが挙げられる。
前記硫酸塩としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン・アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン・アルキルフェニルエーテル硫酸塩などが挙げられる。また、前記リン酸エステルとしては、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル塩、無機リン酸塩などが挙げられる。
これらの中では、ベヘニン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸などを用いることが好ましい。
上記Mg塩を含む金属塩の水溶液中の濃度は、金属イオンの濃度として、0.1〜10質量%の範囲が好ましく、1〜8質量%の範囲がより好ましい。濃度が0.1質量%に満たないと、生産性が問題となる場合がある。また、濃度が10質量%を超えると、ナノサイズの均一な難燃性粒子を得ることができない場合がある。
また、前記界面活性剤の水溶液中の濃度は、前記金属イオン量に対して50〜1000モル%の範囲であることが好ましく、50〜500モル%の範囲であることがより好ましい。
界面活性活性剤の濃度が50モル%未満であると、後述する金属石鹸が十分に形成できない場合がある。また1000モル%を超えると、水溶液中で不溶部が発生してしまう場合がある。
上記金属塩、界面活性剤を溶解させた水溶液中においては、アニオン性界面活性剤のアルキル鎖などの疎水基が内側、カルボニル基などの親水基が外側に向きこれに金属イオンが吸着した球状のミセル構造、または、さらにその外側にアニオン性界面活性剤が配向吸着したベシクル構造を有する金属石鹸粒子が形成される。
該金属石鹸粒子は、水溶液中に多量の塩化ナトリウムなどを加えて塩析させて取り出してもよいし、そのまま水溶液として後工程に用いてもよい。
(逆ミセル粒子に転層させる工程)
本工程では、前記工程により得られた金属石鹸粒子を有機溶媒中に展開して転層を起こさせ、金属イオンが内側、アルキル鎖などの疎水基が外側を向いた逆ミセル粒子を形成する。その際、前記界面活性剤は内側に親水構造、外側に疎水構造を向けた構造となる。
上記逆ミセル粒子に転層させる工程は、例えば前記ミセルの外側に金属イオンを有するミセル粒子のゾルを、有機溶媒中に展開することによって容易に行うことができる。ここで上記「展開」とは、有機溶媒中でミセル粒子同士が凝集することなく、ミセル粒子が単独で分散している状態をいう。
前記有機溶媒としては、メタノール、エチルホルムアミド、ニトロメタン、エタノール、アクリル酸、アセトニトリル、アニリン、シクロヘキサノール、n−ブタノール、メチルアミン、n−アミルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルケトン、四塩化炭素、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、イソブチルクロリド、ジエチルアミン、メチルシクロヘキサン、酢酸イソアミル、n−オクタン、n−ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メチルイソプロピルケトン、酢酸ブチル、メチルプロピルケトン、エチルベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、ピリジン、n−ヘキサノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、エチレングリコール、グリセロールホルムアミド、ジメトルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどを用いることが好ましい。
形成された逆ミセル粒子の体積平均粒子径は500nm以下であることが好ましい。体積平均粒子径が500nmを超えると、最終的に得られる表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径が500nmを超えてしまい、難燃性を得るために樹脂中に多量に添加することが必要となってしまう場合がある。
(金属水酸化物とする工程)
本工程においては、上記のようにして形成した逆ミセル粒子を、さらに前記有機溶媒中で水酸化処理し、前記逆ミセル粒子中に含まれる金属イオンを水酸化し水酸化物とする。
上記水酸化する工程において、水酸化には金属イオンに塩基を作用させる。該塩基としては特に制限はなく、具体的にはアルカリ溶液を用いることができ、例えば、濃アンモニア、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等を用いることができる。水酸化を行うために、水酸基を1とすると0.1〜10当量のアルカリ溶液を必要とし、その濃度は、0.1〜80質量%の範囲とすることが好ましい。また、用いることのできる溶媒としては、前述の各種溶媒が使用できる。
反応が進行するに従い、金属イオンは金属水酸化物となる。また場合によって結晶水を取り込むこともある。反応は逆ミセル粒子中で進行するため、得られる難燃性粒子は表面に長鎖アルキルによって被覆され、かつ粒子形状がそのまま維持される。
さらに本発明においては、前記粒子の結晶成長を抑制する観点から、前記水酸化反応の反応温度(展開液の温度)を制御することが好ましい。具体的には、反応温度は0〜100℃の範囲で行うことが好ましく、0〜50℃の範囲で行うことがより好ましく、5〜30℃の範囲とすることがさらに好ましい。
反応温度が100℃を超えると、被覆反応が速くなり均一な被覆を行うことができない場合がある。一方、0℃に満たないと、粒子が凝集しやすく均一な被覆や粒径均一化を行うことができない場合がある。
以上のようにして金属水酸化物とする工程(被覆層を形成する工程)までを経た後、表面被覆難燃性粒子のゾルを遠心分離もしくは、貧溶媒とのデカンテーション等により分離し、乾燥することにより、表面被覆難燃性粒子を得ることができる。また、有機溶媒中に分散したまま使用してもよい。
第4の本発明により得られる表面被覆難燃性粒子における界面活性剤由来の有機化合物による表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の1〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜100質量%の範囲であることがより好ましく、30〜80質量%の範囲であることがさらに好ましい。被覆量が1質量%に満たないと、粒子に対する被覆が不充分となってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂中で凝集物が発生してしまう場合がある。
また、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
本発明の第4の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、第1の本発明と同様に、体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)1〜500nmの範囲のものを好適に製造することができる。表面被覆難燃性粒子として好ましくは体積平均粒径が1〜200nmの範囲、より好ましくは5〜200nmの範囲、さらに好ましくは10〜200nm(特に10〜100nm)の範囲程度である。
また、表面被覆難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
(第5の表面被覆難燃性粒子の製造方法)
本発明の第5の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、少なくとも、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む有機化合物金属塩を有機溶媒中へ展開した展開液を作製する工程と、前記有機化合物金属塩中に含まれる金属イオンに塩基を作用させて金属水酸化物とする工程とを含むことを特徴とする。
上記第5の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、第1〜第4の本発明と同様に、金属水酸化物からなる表面積の大きいナノサイズの粒子表面に、有機化合物の被覆層を均一にしかも制御性よく形成することができる。また、第5の本発明においては、前述の方法のような分散剤や界面活性剤を必要とせず、水中でのテンプレート(疎水性基が内側、親水性基が外側に向いたコアシェル構造のミセル)を用いずに表面被覆難燃性粒子を製造することができ、表面被覆難燃性粒子の生産性を高めることができる。
さらに、製造された表面被覆難燃性粒子は、その製造過程よりナトリウムなどのアルカリ金属を含まないため、マトリックス樹脂に分散された際に長期間劣化しにくく、これを用いた難燃性樹脂組成物の難燃性、機械的特性をより安定化させることができる。
以下、第5の本発明の各工程について説明する。
(展開液を作製する工程)
本工程では、特定の金属を含む有機化合物金属塩を有機溶媒中に展開し、展開液を作製する。なお、ここで上記「展開」とは、前記と同様である。
第5の本発明においては、前記有機化合物金属としてCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の有機化合物金属塩を用いる。これらの有機化合物金属塩に含まれる金属は、水酸化物とした場合に安定であるだけでなく、前述のようにMg金属を必須としてこれに各種金属を複合化させた場合、難燃効果の向上を図ることができる。例えば、MgとNiやFeとを複合化させると、燃焼時に気化した樹脂成分に由来する炭化水素中の水素を引き抜く作用を生じ、樹脂組成物の難燃化効果、低発煙化効果を高めることができる。また、MgとAlとを複合化させると、燃焼時の水放出温度を調整して難燃効果を向上させることができる。
前記有機化合物金属塩としては、例えば、後述する難燃性粒子として樹脂中に分散された場合に分散性を高めるための有機基を有し、該有機基が、アニオン性の結合性基(硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基など)を介して種々の金属を含む無機塩基と塩を形成したものが挙げられる。
すなわち、前記有機化合物金属塩における有機化合物部分は、有機基の末端及び/または有機基中に、前記金属を含む無機塩基と反応して塩を形成している結合部分を有する構造となっている。
前記有機基としては、界面活性剤の疎水性基等として作用する基(例えば、高級脂肪酸残基、高級アルコール残基、アルキル−アリール基など)やポリアミノ酸残基等が挙げられる。
上記高級脂肪酸としては、炭素数が8以上の高級脂肪酸が好ましく、炭素数が8〜30の飽和脂肪酸、または炭素数が12〜30の不飽和脂肪酸がより好ましい。飽和脂肪酸としては炭素数10〜28の飽和脂肪酸がさらに好ましく、炭素数が12〜26の飽和脂肪酸が特に好ましい。また、不飽和脂肪酸としては、炭素数が14〜28の不飽和脂肪酸がさらに好ましく、炭素数が14〜26の不飽和脂肪酸が特に好ましい。
具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、カプリル酸、カプリン酸、ダチュリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、モンタン酸、メリシン酸などの飽和カルボン酸;エライジン酸、リノール酸、リノレン酸リンデル酸、マッコウ酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸などの不飽和カルボン酸;などが挙げられる。
また、これらの酸における疎水性基には、種々の置換基(例えば、炭素数が1〜4のアルキル基など)が置換していてもよい。
これらの中では、炭素数が12〜26の飽和脂肪酸であるベヘニン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸が特に好ましい。
前記有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、メタノール、エチルホルムアミド、ニトロメタン、エタノール、アクリル酸、アセトニトリル、アニリン、シクロヘキサノール、n−ブタノール、メチルアミン、n−アミルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルケトン、四塩化炭素、ベンゾニトリル、シクロエキサン、イソブチルクロリド、ジエチルアミン、メチルシクロヘキサン、酢酸イソアミル、n−オクタン、n−ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メチルイソプロピルケトン、酢酸ブチル、メチルプロピルケトン、エチルベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、ピリジン、n−ヘキサノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、エチレングリコール、グリセロールホルムアミド、ジメトルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
これらは単独もしくは2つ以上で複合して使用することができる。
第5の本発明においては、上記有機溶媒に前記有機化合物金属塩を展開し、展開液中で前記金属イオンが内側に、疎水性基が外側に向いた、いわゆる逆ミセル粒子を直接形成させる。したがって、分散剤や前記テンプレートが不要であるため表面被覆難燃性粒子の生産性を向上させることができる。
また、前記有機化合物金属塩の展開液における濃度は、ナノサイズの均一な粒子を得る観点から一定範囲とする必要があり、本発明においては0.1〜10質量%の範囲とする。このように有機化合物金属塩の濃度を比較的低くすることにより、粒子径の均一な逆ミセル粒子を形成することができる。
上記有機化合物金属塩の濃度は0.1〜10質量%の範囲が好ましく、1〜5質量%の範囲がより好ましい。濃度が0.1質量%に満たないと、表面被覆難燃性粒子の生産性の確保が困難となってしまう。また、濃度が10質量%を超えると、ナノサイズの粒子径が均一な粒子を得ることが困難となる。
(金属水酸化物とする工程)
本工程においては、上記のようにして形成した逆ミセル粒子を、さらに前記有機溶媒中で水酸化処理し、前記有機化合物部分に結合された金属イオンを水酸化し水酸化物とする。
上記水酸化する工程において、水酸化には金属イオンに塩基を作用させる。該塩基としては、前記第4の本発明で説明したものと同様の塩基を同様の条件で用いることができる。
また、本発明における前記水酸化反応の反応温度(展開液の温度)も、前記第4の本発明で説明した条件を好適な条件とすることができる。
以上のようにして金属水酸化物とする工程(被覆層を形成する工程)までを経た後、表面被覆難燃性粒子のゾルを遠心分離もしくは、貧溶媒とのデカンテーション等により分離し、乾燥することにより、表面被覆難燃性粒子を得ることができる。また、有機溶媒中に分散したまま使用してもよい。
第5の本発明により得られる表面被覆難燃性粒子における有機化合物による表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の1〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜100質量%の範囲であることがより好ましく、30〜80質量%の範囲であることがさらに好ましい。被覆量が1質量%に満たないと、粒子に対する被覆が不充分となってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂中で凝集物が発生してしまう場合がある。
また、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
本発明の第5の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、第1の本発明と同様に、体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)1〜500nmの範囲のものを好適に製造することができる。表面被覆難燃性粒子として好ましくは体積平均粒径が1〜200nmの範囲、より好ましくは5〜200nmの範囲、さらに好ましくは10〜200nm(特に10〜100nm)の範囲程度である。
また、表面被覆難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
<第6の表面被覆難燃性粒子の製造方法>
本発明の第6の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、少なくとも、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属を含む有機化合物金属塩と、分散剤またはキレート化合物とを溶解させた水溶液を作製する工程と、該水溶液に金属イオン水溶液を滴下する工程と、該金属イオンを含む水溶液に塩基を作用させて前記有機化合物金属塩中に含まれる金属イオンを金属水酸化物とする工程とを含むことを特徴とする。
上記第6の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、前記第5の表面被覆難燃性粒子の製造方法と異なり、水中で前記疎水性基が内側(ミセル中心側)に、金属イオンが外側(水溶液側)に向いたミセル(テンプレート)を形成し、前記金属イオンを水酸化して表面被覆難燃性粒子を得る方法であるが、第6の本発明では、反応系に有機化合物金属、分散剤等及び金属イオンを共存させることで、前記水酸化の反応を緩やかにし、最終的に得られる粒子の粒度分布を単分散に近いものとすることができるとともに、均一な被覆層を形成することができる。
以下、第6の本発明の各工程について説明する。
(水溶液を作製する工程)
本工程では、特定の金属を含む有機化合物金属塩と、分散剤またはキレート化合物とを溶解させた水溶液を作製する。
前記特定の金属を含む有機化合物金属塩としては、前記第5の本発明において説明した有機化合物金属塩を同様に用いる。また、前記分散剤としては、前記第1の本発明において説明した分散剤を同様に用いる。
前記キレート化合物としては、低分子化合物だけでなく高分子化合物も含まれ、例えば、エチレンジアミン、オクサラト、アセト酢酸エチル、o−ニトロフェノールなどを用いることができる。
これらの中では、エチレンジアミンが好ましく用いられる。
第6の本発明においては、水に前記有機化合物金属塩と、前記分散剤または前記キレート化合物とを溶解し、疎水性基が内側(ミセル中心側)に、金属イオンが外側(水側)に向いたミセルを形成させる。
前記有機化合物金属塩の水溶液における濃度は、難燃性粒子表面全体を均一に被覆する観点から一定範囲とする必要があり、本発明においては10〜50質量%の範囲とすることが好ましい。このように有機化合物金属塩の濃度を高くすることにより、ナノサイズの粒子表面に均一に被覆層を形成することができる。
上記有機化合物金属塩の濃度は10〜40質量%の範囲が好ましい。濃度が10質量%に満たないと、難燃性粒子表面への有機化合物の均一な被覆が困難となり、未被覆部位が発生してしまう場合がある。また、濃度が50質量%を超えると、同様に難燃性粒子表面への均一な被覆が困難となるだけでなく、凝集物が発生してしまう場合がある。
また、前記分散剤またはキレート化合物の水溶液における濃度も、前記と同様の観点から一定範囲とすることが好ましい。
具体的には、分散剤またはキレート化合物の濃度は、水溶液中の金属量に対して1〜10質量%の範囲とすることが好ましく、1〜5質量%の範囲とすることがより好ましい。分散剤またはキレート化合物の濃度が1質量%に満たないと、キレート化合物が粒子表面に均一に付着しないため均一な反応が行われない場合がある、また、10質量%を超えると、キレート化合物間での凝集が起こってしまったり、反応後に不純物が多く残留してしまい十分な精製が困難になる場合がある。
(金属イオン水溶液を滴下する工程)
このようにして作製した水溶液に、前記有機金属化合物金属塩由来の金属イオンを安定化させ、後述する水酸化反応を緩やかにする目的で金属イオン水溶液を滴下する。
なお、上記金属イオン水溶液の滴下は、基本的に水酸化反応の段階で系に金属イオンを存在させればよいため、後述する金属水酸化物とする工程の前に行ってもよいし、金属水酸化物とする工程と同時に行ってもよい。
前記金属イオン水溶液に用いられる金属イオンとしては、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種または2種以上の金属のイオンであることが望ましい。金属イオン水溶液を作製するために用いる化合物の形態としては、水に溶解可能な限り、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiの塩化物、硝酸化物、硫酸化物並びに炭酸化物のいずれもが使用できる。これらの中では、各金属の塩化物が好適に用いられる。
本発明に用いる金属イオン水溶液の濃度は0.1〜50質量%の範囲であることが好ましく、1〜30質量%の範囲がより好ましい。
上記濃度が0.1質量%未満では、溶液濃度が希薄過ぎて反応が進まない場合がある。また、濃度が50質量%を超えると、反応が進みすぎて粒子の結晶成長を制御することができない場合がある。
また、前記金属イオン水溶液の水溶液への滴下速度は、1〜200ml/時間の範囲とすることが好ましく、20〜200ml/時間の範囲とすることがより好ましい。滴下度が200ml/時間を超えると、粒子の結晶成長を制御できずに大粒径の粒子が生成してしまうため、均一な粒径が得られない場合がある。また、1ml/時間に満たないと、十分な生産性を確保することができない場合がある。
(金属水酸化物とする工程)
本工程においては、前記のようにして形成したミセルを水酸化処理し、前記有機化合物部分に結合された金属イオン(有機化合物金属塩中の金属イオン)を水酸化し水酸化物とする。
なお、第6の本発明では、前記のように有機化合物金属塩の水溶液を作製する工程において、有機化合物金属塩はミセル状態の粒子となっており、好ましい態様としてそのミセルの外側(水側)に金属イオンがある状態となっている。
本発明においては、最終的に表面が有機化合物で被覆された難燃性粒子とする必要があるため、前記のようにして作製したミセルの外側に金属イオン(または金属水酸化物)を有する粒子の場合には、前述と同様の方法により逆ミセル(疎水基を外側に向けたミセル)とする必要がある。
この工程は、前記金属水酸化物とする工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。
前記水酸化する工程において、水酸化には金属イオンに塩基を作用させる。該塩基としては、前記第4の本発明で説明したものと同様の塩基性水溶液等を同様の条件で用いることができる。
また、前記塩基性溶液の水溶液への滴下速度は、〜200ml/時間の範囲とすることが好ましく、20〜200ml/時間の範囲とすることがより好ましい。滴下速度が200ml/時間を超えると、前記被覆層を形成する反応が速すぎ均一な被覆層が得られない場合がある。また、1ml/時間に満たないと、十分な生産性を確保することができない場合がある。
その他、水酸化の反応温度などの条件は、前記第4の本発明と同様である。
第6の本発明により得られる表面被覆難燃性粒子における有機化合物による表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の1〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜100質量%の範囲であることがより好ましく、30〜80質量%の範囲であることがさらに好ましい。被覆量が1質量%に満たないと、粒子に対する被覆が不充分となってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂中で凝集物が発生してしまう場合がある。
また、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
本発明の第6の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、第1の本発明と同様に、体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)1〜500nmの範囲のものを好適に製造することができる。表面被覆難燃性粒子として好ましくは体積平均粒径が1〜200nmの範囲、より好ましくは5〜200nmの範囲、さらに好ましくは10〜200nm(特に10〜100nm)の範囲程度である。
また、表面被覆難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
(第7の表面被覆難燃性粒子の製造方法)
本発明の第7の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物からなる体積平均粒子径が1〜500nmの範囲の難燃性粒子に、環状オルガノシロキサン化合物の気化物を作用させ、前記難燃性粒子表面に環状オルガノシロキサン化合物を開環重合させることで被覆層を形成することを特徴とする。
上記第7の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、前記本発明の表面被覆難燃性粒子における表面にポリシリコーンを含む被覆層が形成されたものの製造方法であるが、環状オルガノシロキサン化合物を気相にて表面処理することで、従来の液中での表面処理に比べ被覆ムラを起こすことなく均一な被覆層を形成することができる。
第7の表面被覆難燃性粒子の製造方法に用いられる難燃性粒子は、前記第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法で説明したものと同様である。また、この難燃性粒子に作用させる環状オルガノシロキサン化合物としては、前記本発明の表面被覆難燃性粒子において説明したものを用いる。
本発明においては、上記難燃性粒子の表面に気相法で環状オルガノシロキサン化合物を作用させる。
具体的な方法としては、例えば、100℃以下の密閉された処理室に、別々の容器に入れた前記難燃性粒子と環状オルガノシロキサン化合物とを各々の上部を開放しておくだけでよい。
前記密閉された処理室から処理済の難燃性粒子を取り出したときに、難燃性粒子に活性がなかったならば環状オルガノシロキサン化合物は脱着し、難燃性粒子表面はもとの状態に戻ってしまうことになるが、本発明に用いる難燃性粒子は表面に活性点を有するため、環状オルガノシロキサン化合物は粒子上で重合し、ポリシリコーンの被覆層を形成する。
上記のような方法で表面処理を行う場合には、特別な装置は必要とされず恒温に保てる密閉した処理室があればよい。また、少量処理する場合にはデシケーターを用いることもできる。しかし、理想的には処理後脱気できる装置が好ましく、真空炉などを用いることが最も好ましい。
処理温度は70〜200℃の範囲とすることが好ましく、100〜150℃の範囲とすることがより好ましい。また、処理時間は1〜100時間の範囲とすることが好ましく、6〜48時間の範囲とすることがより好ましい。その後、脱気して重合していない環状オルガノシロキサン化合物を除去して表面被覆難燃性粒子を得ることができる。
第7の本発明により得られる表面被覆難燃性粒子におけるポリシリコーンによる表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の20〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜80質量%の範囲であることがより好ましい。被覆量が20質量%に満たないと、マトリックス樹脂中で凝集物が生成し分散が不均一となってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂との混合時に樹脂が可塑化してしまう場合がある。
また、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
本発明の第7の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、第1の本発明と同様に、体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)1〜500nmの範囲のものを好適に製造することができる。表面被覆難燃性粒子として好ましくは体積平均粒径が1〜200nmの範囲、より好ましくは5〜200nmの範囲、さらに好ましくは10〜200nm(特に10〜100nm)の範囲程度である。
また、表面被覆難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
<難燃性樹脂組成物及びその製造方法>
次に、本発明の難燃性樹脂組成物及びその製造方法について説明する。本発明の難燃性樹脂組成物は、少なくとも前記本発明の表面被覆難燃性粒子をマトリックス樹脂に配合することにより得られる。
本発明の表面被覆難燃性粒子を用いることにより、後述するように、マトリックス樹脂中への難燃剤の分散を向上させ、難燃性を維持しつつポリマー物性を低下させない難燃性樹脂組成物を得ることができる。なお、上記難燃性とは、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂100質量部に対し難燃性化合物を5質量部含有させた時に、ISO5660−1に規定する最高発熱速度が難燃性化合物を含む前と比較して25%以上減少するものをいう。
本発明の表面被覆難燃性粒子が分散される難燃性樹脂組成物のマトリックス樹脂としては、ゴム・プラスチックなどの高分子化合物であれば特に限定されるものではなく、具体的には、生分解性樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ASA樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、エルロールプラスチック樹脂、塩素化ポリエーテル、塩素化ポリエチレン、アリル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、FRP、アイオノマー、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、ニトリル樹脂、ポリエステル、オレフィンビニルアルコール共重合体、石油樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアリルスルフォン、ポリベンゾイミダゾール、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリケトン、メタクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリスチレン、SAN樹脂、ブタジエン−スチレン樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリ酢酸ビニル、キシレン樹脂、熱可塑性エラストマー、EPDM、CR、BR、ニトリルゴム、天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム等が挙げられる。
これらの中では、特に生分解性樹脂が特に好ましい。また、これらは、単独もしくは2つ以上で複合して使用することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物には、通常配合される安定剤などを配合させることができる。これらは特に限定されるものではないが、例えば、橋掛け剤、橋掛け促進剤、橋掛け促進助剤、活性剤、橋掛け抑制剤、老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、補強剤、強化剤、発砲剤、発泡助剤、安定剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、変性剤、着色剤、カップリング剤、防腐剤、防カビ剤、改質剤、接着剤、付香剤、重合触媒、重合開始剤、重合禁止剤、重合抑制剤、重合調整剤、重合開始剤、結晶核剤、相溶化剤、分散剤、消泡剤などが挙げられる。
これらは、単独もしくは2つ以上で複合して使用することができる。
また、本発明の難燃性樹脂組成物には、前記表面被覆難燃性粒子のみだけではなく、さらに粒子径の大きい難燃性化合物と併用することによって、ポリマーマトリックス中において大きな粒子同志の隙間を小さな難燃性微粒子が埋める石垣のような効果により、隙間なくマトリックス樹脂中に難燃性物質を行き渡らせる効果がある。そして上記の効果によって、難燃性はさらに向上する。
前記難燃性化合物としては、体積平均粒子径が0.5〜50μmの範囲であるものが好ましく、0.5〜30μmの範囲であることがより好ましい。体積粒子径が0.5μmに満たないと、粒子が小さすぎて前記石垣のような構造を採ることができない場合がある。50μmより大きいと、ポリマーの機械的特性を低下させる原因となる。
前記難燃性化合物としては、特に制限されないが、水和金属化合物、無機水和物、窒素含有化合物、及び珪素含有無機充填剤から選択される1種以上を用いることが好ましい。
前記水和金属化合物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウムのうちから選択されるいずれかであることが好ましい。また、前記無機水和物としては、アルミン酸化カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ砂、及びカオリンクレーのうちから選択されるいずれかであることが好ましい。また、前記窒素含有化合物は硝酸ナトリウムであることが好ましい。さらに、前記珪素含有無機充填剤は、モリブデン化合物、ジルコニウム化合物、アンチモン化合物、ドーソナイト、プロゴパイト、及びスメクタイト等から選択されるいずれかであることが好ましい。
上記難燃性化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記難燃性化合物としては、前記表面被覆難燃性粒子に用いられる無機微粒子を構成する化合物と同一であっても、異なってもよい。
前記難燃性化合物の含有量は、前記表面被覆難燃性粒子100質量部に対し、0.1〜200質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜50質量部の範囲であることがより好ましい。含有量が0.1質量部に満たないと、含有量が少なすぎ前記石垣のような構造を採ることができない場合がある。200質量部を超えると、難燃性化合物の量が多くなりすぎポリマーの機械的特性が低下する場合がある。
また、本発明の表面被覆難燃性粒子のみだけではなく、有機化処理したスメクタイト類と併用することによって、マトリックス樹脂中において大きなアスペクト比のスメクタイト類粒子同志の隙間を小さな難燃性微粒子が埋める点と線のような効果により、隙間なくマトリックス樹脂中に難燃性物質を行き渡らせる効果がある。
付け加えるに、前記有機化処理したスメクタイト類が樹脂中に分散した際にその樹脂は透明になり、本発明の難燃性微粒子が可視光以下の大きさであり、かつ、樹脂に配合する際にも均一に分散するため、その併用配合樹脂は透明性に優れる。
前記難燃性樹脂組成物は、前述した本発明の表面被覆難燃性粒子、マトリックス樹脂、及び必要に応じて難燃性化合物、安定剤などを混合し、これを混練機で混練することにより得ることができる。
上記混練機としては、特に制限されないが、3本ロールや2本ロールを用い、せん断応力と位置交換の繰り返しによって、難燃性微粒子を分散させる方法、及びニーダー、バンバリーミキサー、インターミックス、1軸押出機、2軸押出機を用い、分散機壁面の衝突力やせん断力によって分散させる方法が、高い分散性を得る観点から好ましく用いられる。
混練温度は、用いるマトリックス樹脂、表面被覆難燃性粒子の添加量等によって異なるが、50〜450℃の範囲が好ましく、60〜380℃の範囲がより好ましい。
一方、本発明の表面被覆難燃性粒子は、表面に有機層を好適に有していることから、前記ニーダー、2軸押出機及びロールなどの機械的混合のみならず、マトリックス樹脂が溶解する、もしくは膨潤する溶液中においても樹脂中に均一分散させることができる。
また、樹脂製造の重合過程において、難燃性微粒子を重合溶媒とともに混合することも可能である。このように樹脂への分散において大きな自由度を持つことは、配合量が少なくても難燃性が出現し、機械的強度を損なわないことにより、加工性が向上していると考えられる。よって、ペレット、繊維、フィルム、シート、構造物など、幅広い形状の加工品を得る加工方法への適用が可能となる。
前記マトリックス樹脂を溶解等させる溶媒あるいは重合溶媒としては、特に限定されるものではなく、メタノール、エチルホルムアミド、ニトロメタン、エタノール、アクリル酸、アセトニトリル、アニリン、シクロヘキサノール、n−ブタノール、メチルアミン、n−アミルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルケトン、四塩化炭素、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、イソブチルクロリド、ジエチルアミン、メチルシクロヘキサン、酢酸イソアミル、n−オクタン、n−ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メチルイソプロピルケトン、酢酸ブチル、メチルプロピルケトン、エチルベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、ピリジン、n−ヘキサノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、エチレングリコール、グリセロールホルムアミド、ジメトルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
これらは単独もしくは2つ以上で複合して使用することができる。
また、その際の混合温度は0〜200℃の範囲、好ましくは室温から150℃の範囲、特に好ましくは10〜100℃の範囲であり、場合によっては、圧力をかけてもよいし、かけなくてもよい。
混練または上記溶液分散後の難燃性樹脂組成物中には、表面被覆難燃性粒子が一次粒径で均一に分散していることが好ましい。この分散状態については、難燃性樹脂組成物のシートについて紫外、可視光による透過率を測定することにより、簡易に測定することができる。
測定法は、テトラヒドロフラン100mlにエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デユポン製、EV260)10gを溶解させた溶液に、難燃剤微粒子0.5gを分散させた試料溶液をガラス基板上にキャストし、60℃にて3時間乾燥させ厚み20μmのフィルムを作製し、これを試料として、紫外・可視光分光光度計にて透過率を測定するものである。
上記測定法により求めた透過率は、550nmの測定において、40〜90%の範囲であることが好ましく、60〜90%の範囲であることがより好ましい。
以下、本発明について実施例により具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、本発明の表面被覆難燃性粒子の製造例を示す。また、これらの表面被覆難燃性粒子を用いた難燃性樹脂組成物を作製しその特性についても検討した。
<実施例1>
(表面被覆難燃性粒子A1の製造)
2000mlのセパラブルフラスコにイオン交換水1000mlを入れ、これに有機化合物金属塩としてイソステアリン酸ナトリウム100g(9.1質量%)と、分散剤としてポリプロピルセルロース5gと加え加熱溶解させた。室温まで冷却した後、難燃性粒子として体積平均粒径が478nmの水酸化マグネシウム/水酸化アルミニウム複合粒子(MgAlx・(OH)yにおけるx:2、y:8)50g(分散濃度:45.2質量%)を加え、攪拌・超音波処理を施し分散液を作製した。
次に、この分散液に攪拌・超音波処理を行いながら、2質量%の塩酸200mlを滴下速度200ml/時間として滴下した。塩酸滴下後、分散液は水酸化マグネシウム/水酸化アルミニウムゾルに転化した。次いで、得られた水酸化マグネシウム/水酸化アルミニウムゾルをトルエンに溶解させ、遠心分離機にて再びゾルを沈殿させた。その沈殿物を真空乾燥機にて乾燥させ、表面被覆難燃性粒子A1を得た。
得られた表面被覆難燃性粒子A1の体積平均粒子径は478nm、分散度は0.5であった。また、表面被覆難燃性粒子A1を精秤して表面被覆量を算出したところ30質量%であり、透過型電子顕微鏡(FEI Company TecnaiG2)による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
(難燃性樹脂組成物の作製)
前記表面被覆難燃性粒子A1と、各種樹脂(ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチック製 S−2000;ABS樹脂、テクノポリマー製 600)とを、表1に示すように所定量秤量・混合した後、2軸押出機を用いて混練してストランドをホットカットすることで、難燃性樹脂組成物のチップを得た。得られたチップを加熱プレス(120℃×10分間)にて成形することによって、2mm厚の各シート状成形体を得た。
(難燃性樹脂組成物の評価)
上記の如く作製した各シート状成型体について、下記の評価を行った。
・難燃性試験
難燃性試験としては、JIS Z 2391に従い垂直燃焼試験を行った。その試料厚みは、2mmにて試験を実施した。結果は、合格の場合はV0、V1、V2の順で高いレベルとし、これらに達しないものを不合格とした。
・機械的強度試験
機械的強度試験としては、オートグラフ((株)東洋精機製作所製、V1−C)を用い、JIS K 7161に準拠して、常温にて引張速度を50mm/minとして、引張弾性率、引張強度、及び破断伸びを測定した。
・光透過度
全光線透過率の測定は、JIS K7105に準拠して測定した(ヘイズメーター:日本電色社製)。試料は、100mm×100mm×20μmのものを使用した。
さらに、テトラヒドロフラン100mlにエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デユポン製 EV260)10gを溶解させた溶液に、上記難燃剤微粒子0.5gを分散させた試料溶液をガラス基板上にキャストし、60℃にて3時間乾燥させ厚み20μmのフィルムを作製し、ヘイズメーターにて透過率を測定した。
結果を表1にまとめて示す。
<実施例2>
(表面被覆難燃性粒子B1の製造)
2000mlのセパラブルフラスコにエタノール1000mlを入れ、これに有機化合物金属塩としてイソステアリン酸ナトリウム100g(9.1質量%)と、分散剤としてポリプロピルセルロース5gと加え加熱溶解させた。室温まで冷却した後、難燃性粒子として体積平均粒径が478nmの水酸化マグネシウム/水酸化アルミニウム複合粒子(MgAlx・(OH)yにおけるx:1、y:4)50g(分散濃度:45.2質量%)を加え、攪拌・超音波処理を施し分散液を作製した。
次に、この分散液に攪拌・超音波処理を行いながら、イオン交換水200mlを滴下速度200ml/時間で滴下した。イオン交換水滴下後、分散液は水酸化マグネシウム/水酸化アルミニウムゾルに転化した。次いで、得られた水酸化マグネシウム/水酸化アルミニウムゾルをトルエンに溶解させ、遠心分離機にて再びゾルを沈殿させた。その沈殿物を真空乾燥機にて乾燥させ、表面被覆難燃性粒子B1を得た。
得られた表面被覆難燃性粒子B1の体積平均粒子径は478nm、分散度は0.5であった。また、表面被覆難燃性粒子B1を精秤して表面被覆率を算出したところ35質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
(難燃性樹脂組成物の作製、評価)
前記表面被覆難燃性粒子B1とマトリックス樹脂とを表1に示すように配合して、実施例1と同様にしてシート状成型体を作製し、同様の評価を行った。
結果を表1にまとめて示す。
<比較例1>
実施例1における難燃性樹脂組成物の作製において、難燃性粒子を配合しなかった以外は同様にしてシート状成型体を作製し、同様の評価を行った。
結果を表1にまとめて示す。
<比較例2>
(表面被覆難燃性粒子C1の製造)
実施例1において、体積平均粒径478nmの水酸化マグネシウム/水酸化アルミニウム複合粒子の代わりに体積平均粒径が2000nmの水酸化マグネシウム粒子を用い、イソステアリン酸ナトリウムの量を200g、分散剤をポリプロピルセルロース5gの代わりにポリビニルアルコール0.1gとし、さらに塩酸滴下速度を40ml/時間とした以外は同様にして、表面被覆難燃性粒子C1を製造した。
得られた表面被覆難燃性粒子C1の体積平均粒子径は2000nm、分散度は0.5であった。また、表面被覆難燃性粒子C1を精秤して表面被覆率を算出したところ5%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも未被覆部の発生が確認された。
(難燃性樹脂組成物の作製、評価)
前記表面被覆難燃性粒子C1とマトリックス樹脂とを表1に示すように配合して、実施例1と同様にしてシート状成型体を作製し、同様の評価を行った。
結果を表1にまとめて示す。
<比較例3>
(表面被覆難燃性粒子C2の製造)
実施例1において、イソステアリン酸ナトリウムの量を50g(4.8質量%)とし、分散剤を使用せず、塩酸の滴下速度を250ml/時間とした以外は同様にして、表面被覆難燃性粒子C2を製造した。
得られた表面被覆難燃性粒子C2の体積平均粒子径は478nm、分散度は6.0であった。また、表面被覆難燃性粒子C2を精秤して表面被覆量を算出したところ20質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察では粒子同士が凝集していることが確認された。
(難燃性樹脂組成物の作製、評価)
前記表面被覆難燃性粒子C2とマトリックス樹脂とを表1に示すように配合して、実施例1と同様にしてシート状成型体を作製し、同様の評価を行った。
結果を表1にまとめて示す。
<比較例4>
実施例1における難燃性樹脂組成物の作製において、難燃性粒子A1の代わりに難燃性粒子D1として、未処理の体積平均粒径が80nmの水酸化マグネシウム微粒子(宇部マテリアル社製、マグネシア500H)を用いた以外は同様にしてシート状成型体を作製し、同様の評価を行った。
結果を表1にまとめて示す。
Figure 0004997704
<実施例3>
(表面被覆難燃性粒子E1の製造)
2000mlのセパラブルフラスコにイオン交換水1000mlと分散剤としてポリプロピルセルロース(重量平均分子量:100)5gと加え加熱溶解させた。室温まで冷却した後、難燃性粒子として体積平均粒径が478nmの水酸化マグネシウム/水酸化アルミニウム複合粒子(MgAlx・(OH)yにおけるx:2、y:8)200g(分散濃度:19.9質量%)を加え、攪拌・超音波処理を施し分散液を作製した。
次に、この分散液に攪拌・超音波処理を行いながら、10質量%のL−グルタミン酸ナトリウム水溶液1000mlを滴下速度100ml/時間として滴下し60分間攪拌を続けた。この分散液を減圧下で加熱し、およそ液量が半分となるまで濃縮した。このとき分散液は白色の水酸化マグネシウム/水酸化アルミニウムのゾル状態となった。次いで、得られた水酸化マグネシウム/水酸化アルミニウムゾルにトルエンを適量添加してゾルを溶解させ、10μm孔の金属メッシュを用い凝集物を除去した。次に、トルエン層を減圧乾燥して表面被覆難燃性粒子E1を得た。
得られた表面被覆難燃性粒子E1の体積平均粒子径は478nm、分散度は0.5であった。また、表面被覆難燃性粒子E1を精秤して表面被覆量を算出したところ50質量%であり、透過型電子顕微鏡(FEI Company TecnaiG2)による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
(難燃性樹脂組成物の作製、評価)
前記表面被覆難燃性粒子E1とマトリックス樹脂とを表2に示すように配合して、実施例1と同様にしてシート状成型体を作製し、同様の評価を行った。
結果を表2にまとめて示す。
<実施例4>
実施例3における難燃性樹脂組成物の作製において、難燃性粒子E1とマトリックス樹脂との配合を表2に示すようにした以外は、同様にしてシート状成型体を作製し、同様の評価を行った。
結果を表2にまとめて示す。
<比較例5>
(表面被覆難燃性粒子F1の作製)
実施例3の表面被覆難燃性粒子の作製において、体積平均粒径478nmの水酸化マグネシウム/水酸化アルミニウム複合粒子の代わりに体積平均粒径が2000nmの水酸化マグネシウム粒子10gを用い(分散濃度:0.9質量%)、分散剤としてポリプロピルセルロースの代わりにポリビニルアルコール0.1gを用い、L−グルタミン酸ナトリウムの濃度を20質量%とした以外は、実施例3と同様にして表面被覆難燃性粒子F1を製造した。
得られた表面被覆難燃性粒子F1の体積平均粒子径は2000nm、分散度は0.8であった。また、表面被覆難燃性粒子F1を精秤して表面被覆量を算出したところ5質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも未被覆部の発生が確認された。
(難燃性樹脂組成物の作製、評価)
前記表面被覆難燃性粒子F1とマトリックス樹脂とを表2に示すように配合して、実施例1と同様にしてシート状成型体を作製し、同様の評価を行った。
結果を表2にまとめて示す。
Figure 0004997704
<実施例5>
(表面被覆難燃性粒子G1の作製)
イオン交換水100mlに、塩化マグネシウム6水和物5g及び塩化アルミニウム6水和物5g、並びにn−ドデシル硫酸ナトリウム20gを溶解させた。ホモジナイザーにて攪拌速度を6000rpmとして処理し金属石鹸乳化液(ミセル構造)を形成した。有機溶媒としてトルエン1000ml中に得られた乳化液を添加し、ホモジナイザーにて3000rpmとして処理し、逆ミセル粒子分散液を作製した。
上記逆ミセル粒子の粒子径を動的光散乱方式粒度分布計にて観察したところ、逆ミセル粒子は球状の形態としており、その粒子径はおよそ100nmであった。さらに、前記ミセル分散液の攪拌を続けながら25質量%アンモニア水100gを添加し金属水和物を得た。最後に反応液を減圧・過熱して溶媒を留去し、さらに真空乾燥機にて乾燥させ、白色の表面被覆難燃性粒子G1を得た。
得られた表面被覆難燃性粒子G1は白色粒子で、表面に界面活性剤由来の被覆層が形成された水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムとの複合物であり、体積平均粒子径が80nmの球状粒子であり、分散度は0.3であった。また、表面被覆難燃性粒子G1を精秤して表面被覆率を算出したところ50質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
(難燃性樹脂組成物の作製・評価)
前記表面被覆難燃性粒子G1とマトリックス樹脂とを表4に示すように配合して、実施例1と同様にしてシート状成型体を作製し、同様の評価を行った。
結果を表4にまとめて示す。
<実施例6〜13>
表面被覆難燃性粒子として、表3に示すような配合、条件とした以外は実施例1と同様にして表面被覆難燃性粒子G2〜G6を作製した。それらの組成、特性を表3に併せて示す。
Figure 0004997704
また、これらの表面被覆難燃性粒子G2〜G6を用い、各々表4に示すような配合としてシート成型体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
結果をまとめて表4に示す。
Figure 0004997704
<比較例6〜7>
表面被覆難燃性粒子として、表3に示すような配合、条件とした以外は実施例1と同様にして表面被覆難燃性粒子H1を作製した。その組成、特性を表3に併せて示す。
また、表面被覆難燃性粒子H1を用い、各々表5に示すような配合としてシート成型体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
結果をまとめて表5に示す。
Figure 0004997704
<実施例14>
(表面被覆難燃性粒子I1の作製)
オレイン酸マグネシウム(関東化学製、25016−01)10gをトルエン100mlに溶解し(濃度:10.3質量%)、その溶液に、10質量%の塩化マグネシウム水溶液25mlと10質量%の塩化アルミニウム水溶液25mlとを、同時に滴下速度5ml/時間で滴下した。さらに、これに28質量%のアンモニア水溶液10mlを滴下速度10ml/時間で滴下し、水酸化アルミニウムゾルと水酸化マグネシウムとの混合物ゾルを得た。このゾルを遠心分離機にて5000rpmで10分間処理し、再びゾルを沈降させた。その沈殿物を真空乾燥機にて乾燥させ、4.57gの水酸化マグネシウムゾル(表面被覆難燃性粒子I1)を得た。
得られたゾルをトルエンに分散し、粒度分布をレーザードップラー式粒度分布系で測定したところ、体積平均粒子径は108nm、分散度は0.8であった。また、上記ゾルを透過型電子顕微鏡(FEI Company TecnaiG2)で観察したところ、表面被覆難燃性粒子I1の形状は球形であり、均一な被覆層(被覆量:55質量%)が観察された。さらに、熱分析による含水率は27質量%であった。
得られた表面被覆難燃性粒子I1の体積平均粒子径は108nm、分散度は0.8であった。また、表面被覆難燃性粒子I1を精秤して表面被覆量を算出したところ55質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも均一に被覆されていることが確認された
(難燃性樹脂組成物の作製、評価)
また、表面被覆難燃性粒子I1を用い、各々表6に示すような配合としてシート成型体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
結果をまとめて表6に示す。
<比較例8〜9>
表面被覆難燃性粒子J1として、未処理の体積平均粒径が1000nmの水酸化マグネシウム粒子(協和化学社製、キスマ5)を用意した。
(難燃性樹脂組成物の作製、評価)
前記表面被覆難燃性粒子J1とマトリックス樹脂とを表6に示すように配合して、実施例1と同様にしてシート状成型体を作製し、同様の評価を行った。
結果を表6にまとめて示す。
Figure 0004997704
<実施例15>
(表面被覆難燃性粒子K1の作製)
難燃性粒子として体積平均粒径が478nmの水酸化マグネシウム/水酸化アルミニウク複合粒子(MgAlx・(OH)yにおけるx:2、y:8)100gと、環状オルガノシロキサン化合物としてオクタメチルシクロテトラシロキサン200gとを、それぞれ別のガラス容器に秤量した。これらを容器ごと、減圧・密閉できるデシケーター中に設置した。次いで、真空ポンプにてデシケーター内圧を80mmHgまで減圧した後密閉した。その後、デシケーター容器ごと60℃環境下にて12時間放置し処理を行った。処理後、ガラス容器より表面処理の施された表面被覆難燃性粒子K1を取り出した。
得られた表面被覆難燃性粒子K1の体積平均粒子径は478nm、分散度は0.5であった。また、表面被覆難燃性粒子K1を精秤して表面被覆量を算出したところ20質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
(難燃性樹脂組成物の作製、評価)
また、表面被覆難燃性粒子K1を用い、各々表に示すような配合としてシート成型体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
結果をまとめて表8に示す。
<実施例16〜17>
(表面被覆難燃性粒子K2〜K3の作製)
実施例16の表面被覆難燃性粒子の作製において、表7に示すような配合、条件とした以外は実施例16と同様にして表面被覆難燃性粒子K2〜K3を作製した。それらの条件を表7に併せて示す。
Figure 0004997704
(難燃性樹脂組成物の作製、評価)
また、これらの表面被覆難燃性粒子K2〜K3を用い、各々表9に示すような配合としてシート成型体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
結果をまとめて表8に示す。
<比較例10>
(表面被覆難燃性粒子L1の作製)
実施例15の表面被覆難燃性粒子の作製において、体積平均粒径478nmの水酸化マグネシウム/水酸化アルミニウム複合粒子の代わりに体積平均粒径が2000nmの水酸化マグネシウム粒子200gを用いた以外は同様にして、表面被覆難燃性粒子L1を製造した。
得られた表面被覆難燃性粒子L1の体積平均粒子径は2000nm、分散度は6.0であった。また、表面被覆難燃性粒子L1を精秤して表面被覆量を算出したところ10質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも未被覆部の発生が確認された。
(難燃性樹脂組成物の作製、評価)
前記表面被覆難燃性粒子L1とマトリックス樹脂とを表8に示すように配合して、実施例1と同様にしてシート状成型体を作製し、同様の評価を行った。
結果を表8にまとめて示す。
Figure 0004997704
以上の結果から、本発明の表面被覆難燃性粒子を配合した難燃性樹脂組成物は、高い難燃性を有し、かつ、機械的特性を損なわず、透明性がある概観を有することがわかる。また、通常の難燃剤(難燃性化合物)と併用した場合においても、高い難燃性を有し、かつ機械的特性を損なわないこともわかった。

Claims (11)

  1. Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含み、下記一般式(1)で表される金属の水酸化物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子と、
    該難燃性粒子の表面に下記の被覆量を満たすように形成された、有機化合物またはポリシリコーンを含む被覆層と、
    を有することを特徴とする表面被覆難燃性粒子。
    MgMx・(OH)y ・・・ 一般式(1)
    上式において、MはCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiから選択される1種以上の金属を表し、xは0.1〜10の実数、yは2〜32の整数を表す。
    ポリアミノ酸を除く有機化合物による被覆層の場合の被覆量:表面被覆難燃性粒子全体の30〜80質量%
    ポリアミノ酸またはポリシリコーンによる被覆層の場合の被覆量:表面被覆難燃性粒子全体の20〜80質量%
  2. 少なくとも、請求項1に記載の表面被覆難燃性粒子を、マトリックス樹脂に配合してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  3. 前記マトリックス樹脂100部に対して前記表面被覆難燃性粒子を2部以上10部以下で配合することを特徴とする請求項2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 少なくとも、有機化合物金属塩及び分散剤を溶解させた水溶液中に、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液に酸性水溶液を滴下して前記難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する工程とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法。
  5. 少なくとも、水と混和する有機溶媒中に有機化合物及び分散剤を溶解した溶液中に、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液に水を滴下して前記難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する工程とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法。
  6. 少なくとも、分散剤を溶解した水溶液中に、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液にポリアミノ酸塩水溶液を滴下して前記難燃性粒子表面にポリアミノ酸を析出させて被覆層を形成する工程とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法。
  7. 少なくとも、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属塩及び界面活性剤を水に溶解させて、ミセル構造またはベシクル構造を有する金属石鹸粒子とする工程と、該金属石鹸粒子を有機溶媒中に展開して逆ミセル粒子に転層させる工程と、該逆ミセル粒子中に含まれる金属イオンに塩基を作用させて金属水酸化物とする工程とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法。
  8. 少なくとも、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む有機化合物金属塩を有機溶媒中へ展開した展開液を作製する工程と、前記有機化合物金属塩中に含まれる金属イオンに塩基を作用させて金属水酸化物とする工程とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法。
  9. 少なくとも、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む有機化合物金属塩と、分散剤またはキレート化合物とを溶解させた水溶液を作製する工程と、該水溶液に金属イオン水溶液を滴下する工程と、該金属イオンを含む水溶液に塩基を作用させて前記有機化合物金属塩中に含まれる金属イオンを金属水酸化物とする工程とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法。
  10. Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水酸化物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子に、環状オルガノシロキサン化合物の気化物を作用させ、前記難燃性粒子表面に環状オルガノシロキサン化合物を開環重合させることで被覆層を形成することを特徴とする、請求項1に記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法。
  11. 少なくともマトリックス樹脂と請求項1に記載の表面被覆難燃性粒子とを混合し、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、インターミックス、1軸押出機、2軸押出機のうちから選択される1以上の混練機で混練することを特徴とする難燃性樹脂組成物の製造方法。
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