JP2006089642A - 難燃性微粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機械的物理特性の低下が少なく、かつ環境負荷の少ない難燃性樹脂組成物及びそれを用いた難燃樹脂成型物に用いられる難燃性微粒子の製造方法を提供することをである。
【解決手段】 少なくとも、疎水性基末端及び/または疎水性基中に反応基を有する有機化合物の懸濁液を形成する工程と、前記反応基に結合可能な基を有する無機化合物を前記懸濁液中に添加し、前記有機化合物と前記無機化合物とを反応させる工程と、前記反応物を水酸化する工程と、を有することを特徴とする難燃性微粒子の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物及び難燃樹脂成形物に用いられる難燃性微粒子の製造方法に関するものであり、より具体的には、家電及びOA製品の筐体、電線、ケーブル、自動車車両、船舶、航空機、鉄道車両、建築材料、電子機器やプリント基板等に、火災などの熱による災害から保護する目的で使用されるものである。
マトリックス樹脂(以下、単に「樹脂」ということがある)に混合して難燃化する目的に使用される難燃剤としては、従来からハロゲン系化合物、三酸化アンチモン、リン系化合物、水和金属化合物などが使用されている。しかし、上記ハロゲン化合物や三酸化アンチモンは、環境問題から敬遠されつつある。また、前記水和金属化合物では、その他の有機系難燃化合物と比較して同等の難燃性を得るために多量の配合量を必要とするため、ポリマー物性を著しく低下させてしまう。
また、前記リン系化合物に関しては、発癌性、変位原性、生殖毒性(CMR)の有害物質の販売、使用に関するEU指令(76/769/EEC)において、一部のリン系難燃剤(低分子化合物)がその規制対象になっており、その安全性が疑問視されている。したがって、現状では、ポリマー物性の低下を考慮しつつ、前記水和金属化合物と高分子のリン系化合物とを使用しているのが環境安全性難燃樹脂の現状である。
また、近年、微粒子を用いた樹脂難燃化の例として、ポリアミドおよび処理されたケイ酸塩のポリマーナノコンポジット組成物や、グラフトポリマー、ホスホネートアミンおよび無機ナノ粒子を含有するポリカーボネートブレンドなどが提案されているが(例えば、特許文献1、2参照)、いずれも難燃剤として使用した場合、前記のごとき問題点が解決されていない。
特開2003−517488号公報 特開2003−509523号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、機械的物理特性の低下が少なく、かつ環境負荷の少ない新規な難燃性樹脂組成物及びそれを用いた難燃樹脂成形物に用いられる難燃性微粒子の製造方法を提供することを目的とする。具体的には、有機系難燃化合物と比較して同等の難燃性が得られ、かつポリマー物性を著しく低下させることがない新規な無機系難燃剤を得るために必要な難燃性微粒子の製造方法の提供を目的とするものである。
従来難燃剤は、粒子径が1〜50μmの範囲の難燃性粒子を、マトリックス樹脂100質量部に対し少なくとも50〜150質量部程度と多量に配合することによって、樹脂の難燃化が検討されてきた。このような粒子の多量配合により、樹脂の機械的特性や電気的特性などを劣化させてしまうため、他の添加剤もしくは他樹脂などを配合するなどの処方がとられてきた。
本発明者等は、前記課題を解決するべく、粒子の比表面積を増加させ、ポリマーとの接触面積も増加させる難燃性粒子の微粒子化について鋭意研究を重ねた結果、新規な難燃性微粒子の製造方法を見出し、これにより得られる難燃性微粒子として、特に無機微粒子の表面に、該無機微粒子と結合可能な疎水性基を有する有機化合物を配し、体積平均粒子径が1〜500nmの範囲の難燃性微粒子をポリマーに配合した所、体積平均粒子径が0.5〜50μm程度の難燃性化合物と比較して、低充填で同等の難燃性が可能であることを確認した。
すなわち本発明は、
<1> 少なくとも、疎水性基末端及び/または疎水性基中に反応基を有する有機化合物の懸濁液を形成する工程と、前記反応基に結合可能な基を有する無機化合物を前記懸濁液中に添加し、前記有機化合物と前記無機化合物とを反応させる工程と、前記反応物を水酸化する工程と、を有することを特徴とする難燃性微粒子の製造方法である。
<2> 前記難燃性微粒子が、体積平均粒子径が1〜500nmの範囲の粒状の難燃性微粒子であることを特徴とする<1>に記載の難燃性微粒子の製造方法である。
本発明によれば、粒子の比表面積が大きく、ポリマーとの接触面積も大きい難燃性微粒子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<難燃性微粒子の製造方法>
本発明の難燃性微粒子の製造方法は、少なくとも、疎水性基末端及び/または疎水性基中に反応基を有する有機化合物の懸濁液を形成する工程と、前記反応基に結合可能な基を有する無機化合物を前記懸濁液中に添加し、前記有機化合物と前記無機化合物とを反応させる工程と、前記反応による生成物を有機溶媒中にて水酸化する工程とを有することを特徴とする。
前述のように、本発明の難燃性樹脂組成物には粒子径がナノサイズで、分散度が一定範囲の均一な難燃性微粒子が用いられるが、上記本発明の難燃性微粒子の製造方法によれば、前記粒子径、分散度の範囲の難燃性微粒子を効率よく、制御性よく、しかも低コストで得ることができる。
以下、本発明の難燃性微粒子の製造方法の各工程について説明する。
(懸濁液を形成する工程)
本工程には、有機化合物として、疎水性基の末端及び/または疎水性基中に反応基を有する有機化合物を用いる。
疎水性基としては、前記本発明の難燃性樹脂組成物において例示した各種疎水性基、好ましい疎水性基を用いることができる。
また、前記反応基としては特に制限されないが、前記本発明の難燃性樹脂組成物において例示した無機微粒子と結合を形成するための結合性基、好ましい結合性基を用いることができる。なお、反応基としては、前記疎水性基の末端及び/または疎水性基中に複数存在してもよいが、好ましくは1つであり、その場合疎水性基の末端に存在することが好ましい。
上記有機化合物を用いて懸濁液を形成するには、当該有機化合物を溶解しない溶媒中に分散させればよいが、本発明のように疎水性基と反応基とを有する有機化合物では、通常液体(分散媒)中でミセルとなって懸濁液を形成する。
この場合、分散媒として水を用いるときには、前記疎水性基が内側(ミセル中心側)に、反応基が外側(分散媒側)に向いたミセルが形成される。また、分散媒として油性の溶媒を用いるときは、前記疎水性基が外側に、反応基が内側に向いたミセルが形成される。
本発明において、分散媒としては、水以外に前述の各種有機溶媒を用いることができるが、後述する疎水性基の反応基と無機化合物とを液中で反応させる場合の反応効率の点から、前記ミセルとしては、反応基が外側、疎水性基が内側に向いたミセルとすることが好ましく、分散媒として水を用いることが好ましい。
懸濁液を形成するにあたって、前記有機化合物は分散媒100質量部に対して0.1〜100質量部の範囲で添加することが好ましく、1〜10質量部の範囲で添加することがより好ましい。物質によっては、0.01〜0.1質量部の範囲外ではいわゆる臨界ミセル濃度(CMC)範囲外となり、ミセルを形成することができない場合がある。
前記ミセル(懸濁粒子)の体積平均粒径は、1〜1000nmの範囲が好ましく、1〜200nm範囲がより好ましい。体積平均粒径が1000nmを超えるとミセルが合一する場合があり、1nmに満たないと次工程で逆相化した際に粒子が小さくなり過ぎて、樹脂に混合した際に難燃性能を発揮しにくい場合がある。
(無機化合物と反応させる工程)
本工程では、前記反応基に結合可能な基を有する無機化合物を、前記のように形成された懸濁液中に添加し、前記有機化合物と無機化合物とを反応させる。
前記無機化合物としては、前記有機化合物における反応基に結合可能な基(以下、「結合可能基」という場合がある)を有するものであれば特に制限されないが、本工程においては、有機化合物における反応基としてのイオン性基(アニオン性基、カチオン性基)とイオン結合し、塩を形成する無機化合物が好ましい。
したがって、有機化合物がアニオン性基(硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基など)を有する場合には、無機化合物における結合可能基は塩基であることが好ましく、具体的には、前記に例示したものが挙げられる。また、有機化合物がカチオン性基(例えばアミノ基など)を有する場合には、無機化合物における結合可能基は酸であることが好ましく、具体的には、前記に例示したものが挙げられる。
特に本発明においては、無機化合物が結合可能性基として無機塩基(例えば、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニアなど)を有することが好ましく、このような無機塩基を有するものとして、ハロゲン化無機化合物を好ましく用いることができる。中でも塩化無機化合物がより好ましく、金属塩化物を特に好ましく用いることができる。また、この金属塩化物の具体的なものとしては、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄などが挙げられ、中でも塩化マグネシウムが好ましい。
前記有機化合物と無機化合物との反応は、前記工程で形成した有機化合物の懸濁液に無機化合物の溶液を混合することによって行うことができる。無機化合物の添加量は、懸濁液中の有機化合物100質量部に対し、1〜500質量部の範囲であることが好ましく、10〜200質量部の範囲であることがより好ましい。
なお、添加する際の無機化合物溶液の濃度は、0.1〜80質量%の範囲とすることが好ましい。また、無機化合物溶液の溶媒としては水を用いることが好ましい。
反応温度は、0〜200℃の範囲とすることが好ましく、より好ましくは室温から150℃の範囲、特に好ましくは10〜100℃の範囲である。
本発明の難燃性微粒子の製造方法では、前記のように有機化合物の懸濁液を形成する工程において、有機化合物はミセル状態の粒子となっており、好ましい態様としてそのミセルの外側(分散媒側)に反応基がある状態となっている。そして、ここに無機化合物を添加し反応基と無機化合物とが結合することにより、ミセルの外側に無機物を有する難燃性微粒子とすることができる。
本発明における難燃性微粒子には、上記ミセルの外側に無機物を有する難燃性微粒子も含まれるが、前述のように、ナノサイズの微粒子をマトリックス樹脂中に分散させるには疎水性基が外側に向いたミセルであることが好ましい。よって、前記のようにして作製したミセルの外側に無機物を有する難燃性微粒子の場合には、逆層ミセル(疎水基を外側に向けたミセル)とすることが好ましい。
上記逆層ミセルとする工程(逆ミセル化工程)は、例えば前記ミセルの外側に無機物を有する難燃性微粒子のゾルを、有機溶媒中に展開することによって容易に行うことができる。有機溶媒としては、メタノール、エチルホルムアミド、ニトロメタン、エタノール、アクリル酸、アセトニトリル、アニリン、シクロヘキサノール、n−ブタノール、メチルアミン、n−アミルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルケトン、四塩化炭素、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、イソブチルクロリド、ジエチルアミン、メチルシクロヘキサン、酢酸イソアミル、n−オクタン、n−ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メチルイソプロピルケトン、酢酸ブチル、メチルプロピルケトン、エチルベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、ピリジン、n−ヘキサノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、エチレングリコール、グリセロールホルムアミド、ジメトルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどを用いることが好ましい。
本発明においては、上記のようにして得られた難燃性微粒子を、さらに前記有機溶媒中で水酸化処理し、前記有機化合物に結合させた無機物を水酸化物とすることで難燃性微粒子とすることができる(水酸化する工程)。
上記水酸化する工程において、水酸化にはアルカリ溶液を用いることができ、例えば、濃アンモニア、水酸化カリウム水溶液等を用いることができる。水酸化を行うために、水酸基を1とすると0.1〜10当量のアルカリ溶液を必要とし、そのの濃度は、0.1〜80質量%の範囲とすることが好ましい。また、用いることのできる溶媒としては、前述の各種溶媒が使用できる。
なお、この水酸化する工程は水中で行ってもよく、前記有機化合物の疎水性基と親和性のある有機溶媒中で行ってもよい。
前記水酸化する工程は、前記逆ミセル化工程を行う場合には、該逆ミセル化工程の前に行ってもよく、後に行ってもよい。また、例えば前記ミセルの外側に無機物を有する難燃性微粒子に対して、前記疎水性基と親和性のある有機溶媒中で水酸化を行った場合には、水酸化と逆ミセル化とを同時に行うことができる。
以上のようにして好ましくは水酸化する工程までを経た後、難燃性微粒子のゾルを遠心分離もしくは、貧溶媒とのデカンテーション 等により分離し、乾燥することにより、難燃性微粒子を得ることができる。
本発明の難燃性微粒子の製造方法によれば、体積平均粒子径(難燃性微粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)1〜500nmの範囲のものを製造することができる。難燃性微粒子として好ましくは体積平均粒径が1〜200nmの範囲、より好ましくは5〜200nmの範囲、さらに好ましくは10〜200nm(特に10〜100nm)の範囲程度である。
難燃性微粒子の体積平均粒子径が1nmより小さいと、難燃性保持能が低下し、500nmより大きいと、市販の体積平均粒子径1μm品と同等の特性となり、難燃性を得るために多量に添加することが必要となってしまう。体積平均粒子径が前記範囲の難燃性微粒子は、樹脂中に均一に分散する。また、難燃性微粒子の体積平均粒子径がナノメーターサイズであると、微細な複合体を形成できることと相まって、透明性の高い難燃性樹脂組成物を得ることができる。
また、難燃性微粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
分散度が小さいことは、難燃性粒子の粒度分布が狭いこと、すなわち粒子の大きさがより均一であることを示しており、分散度が前記範囲にあると樹脂に分散した場合の難燃性、機械的特性も均一となる。
前記体積平均粒径、分散度は、レーザードップラーヘテロダイン型粒度分布計(UPA日機装株式会社製、MICROTRAC−UPA150)により測定した。具体的には、測定された粒度分布を基にして、体積について小粒径側から累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径とした。また、質量について粒度分布を引いて、小粒径側から累積90%となる粒径をD90、累積10%となる粒径をD10としたとき、分散度は下記式(1)で定義される。
分散度=log(D90/D10) ・・・ 式(1)
次に、本発明により得られた難燃性微粒子を用いた難燃性樹脂組成物及びその製造方法について説明する。
前記難燃性樹脂組成物は、マトリックス樹脂に、前記本発明により得られた難燃性微粒子を配合してなる。
前述のように、従来難燃剤として使用されている水和金属化合物などの難燃性粒子では、その他の有機系難燃化合物と比較して同等の難燃性を得るために多量にマトリックス樹脂中に配合させなければならず、これによりポリマー物性が著しく低下する。このため、ポリマー物性の低下を防ぐためには、難燃剤の低充填化が必要である。
上記低充填化の方法の一つとして、難燃性粒子をさらに微粒子化することにより、粒子の比表面積を増加させ、その結果、ポリマーとの接触面積を増加させることで、難燃性の効果が促進されることが期待される。
しかし、微粒子化した難燃性粒子を単純にマトリックス樹脂中に添加した場合には、微粒子化のため粒子同士が凝集しやすく、樹脂中への分散が困難であることが判明した。
上記問題に対し、本発明の難燃性微粒子の製造方法により製造された特定の難燃性微粒子を用いることにより、後述するように、マトリックス樹脂中への難燃剤の分散を向上させ、難燃性を維持しつつポリマー物性を低下させない難燃性樹脂組成物を得ることができる。
なお、上記難燃性とは、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂100質量部に対し難燃性化合物を5質量部含有させた時に、ISO5660−1に規定する最高発熱速度が難燃性化合物を含む前と比較して25%以上減少するものをいう。
本発明により得られた難燃性微粒子が分散される難燃性樹脂組成物のマトリックス樹脂としては、ゴム・プラスチックなどの高分子化合物であれば特に限定されるものではなく、具体的には、生分解性樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ASA樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、エルロールプラスチック樹脂、塩素化ポリエーテル、塩素化ポリエチレン、アリル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、FRP、アイオノマー、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、ニトリル樹脂、ポリエステル、オレフィンビニルアルコール共重合体、石油樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアリルスルフォン、ポリベンゾイミダゾール、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリケトン、メタクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリスチレン、SAN樹脂、ブタジエン−スチレン樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリ酢酸ビニル、キシレン樹脂、熱可塑性エラストマー、EPDM、CR、BR、ニトリルゴム、天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム等が挙げられる。
これらの中では、特に生分解性樹脂が特に好ましい。また、これらは、単独もしくは2つ以上で複合して使用することができる。
前記難燃性樹脂組成物には、通常配合される安定剤などを配合させることができる。これらは特に限定されるものではないが、例えば、橋掛け剤、橋掛け促進剤、橋掛け促進助剤、活性剤、橋掛け抑制剤、老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、補強剤、強化剤、発砲剤、発泡助剤、安定剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、変性剤、着色剤、カップリング剤、防腐剤、防カビ剤、改質剤、接着剤、付香剤、重合触媒、重合開始剤、重合禁止剤、重合抑制剤、重合調整剤、重合開始剤、結晶核剤、相溶化剤、分散剤、消泡剤などが挙げられる。
これらは、単独もしくは2つ以上で複合して使用することができる。
前記難燃性樹脂組成物は、以上述べた難燃性微粒子、マトリックス樹脂、及び必要に応じて難燃性化合物、安定剤などを混合し、これを混練機で混練することにより得ることができる。
上記混練機としては、特に制限されないが、3本ロールや2本ロールを用い、せん断応力と位置交換の繰り返しによって、難燃性微粒子を分散させる方法、及びニーダー、バンバリーミキサー、インターミックス、1軸押出機、2軸押出機を用い、分散機壁面の衝突力やせん断力によって分散させる方法が、高い分散性を得る観点から好ましく用いられる。
混練温度は、用いるマトリックス樹脂、難燃性微粒子の添加量等によって異なるが、50〜450℃の範囲が好ましく、60〜380℃の範囲がより好ましい。
一方、本発明における難燃性微粒子は、表面に有機層を好適に有していることから、前記ニーダー、2軸押出機及びロールなどの機械的混合のみならず、マトリックス樹脂が溶解する、もしくは膨潤する溶液中においても樹脂中に均一分散させることができる。
また、樹脂製造の重合過程において、難燃性微粒子を重合溶媒とともに混合することも可能である。このように樹脂への分散において大きな自由度を持つことは、配合量が少なくても難燃性が出現し、機械的強度を損なわないことにより、加工性が向上していると考えられる。よって、ペレット、繊維、フィルム、シート、構造物など、幅広い形状の加工品を得る加工方法への適用が可能となる。
前記マトリックス樹脂を溶解等させる溶媒あるいは重合溶媒としては、特に限定されるものではなく、メタノール、エチルホルムアミド、ニトロメタン、エタノール、アクリル酸、アセトニトリル、アニリン、シクロヘキサノール、n−ブタノール、メチルアミン、n−アミルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルケトン、四塩化炭素、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、イソブチルクロリド、ジエチルアミン、メチルシクロヘキサン、酢酸イソアミル、n−オクタン、n−ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メチルイソプロピルケトン、酢酸ブチル、メチルプロピルケトン、エチルベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、ピリジン、n−ヘキサノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、エチレングリコール、グリセロールホルムアミド、ジメトルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
これらは単独もしくは2つ以上で複合して使用することができる。
また、その際の混合温度は0〜200℃の範囲、好ましくは室温から150℃の範囲、特に好ましくは10〜100℃の範囲であり、場合によっては、圧力をかけてもよいし、かけなくてもよい。
混練または上記溶液分散後の難燃性樹脂組成物中には、難燃性微粒子が一次粒径で均一に分散していることが好ましい。この分散状態については、難燃性樹脂組成物のシートについて紫外、可視光による透過率を測定することにより、簡易に測定することができる。
測定法は、テトラヒドロフラン100mLにエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デユポン製 EV260)10gを溶解させた溶液に、難燃剤微粒子0.5gを分散させた試料溶液をガラス基板上にキャストし、60℃にて3時間乾燥させ厚み20μmのフィルムを作製し、これを試料として、紫外・可視光分光光度計にて透過率を測定するものである。
上記測定法により求めた透過率は、550nmの測定において、40〜90%の範囲であることが好ましく、60〜90%の範囲であることがより好ましい。
次に、本発明により得られた難燃性微粒子を用いた難燃性樹脂成形物について説明する。上記難燃性樹脂成形物は、既述した難燃性樹脂組成物を成形機により成形したものである。
上記成形機としては、プレス成形機、インジェクション成形機、モールド成形機、ブロー成形機、押出成形機、及び紡糸成形機のうちから選択される1以上の成形機を用いることができる。したがって、これらの1つにより成形を行ってもよいし、1つの成形機により成形を行った後、他の成形機により続けて成形を行ってもよい。
成形された難燃性樹脂成形物の形状は、シート状、棒状、糸状など特に限定されるものではない。また、その大きさも制限されるものではない。
前記難燃性樹脂成形物は、例えばシート状成形物として包装及び建材などに、また構造物状成形物として複写機及びプリンターなどの筐体、内部部品等のOA機器部品などに用いることができる。
以下、本発明について実施例により具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、本発明の難燃性微粒子の製造方法を用いた難燃性微粒子の製造例を示す。また、併せてこれらの特性についても検討した。
<実施例1(難燃性微粒子Aの製造)>
n−ドテシル硫酸ナトリウム(花王社製、NS ソープ SS-40N、純度:99.8%)5.76gを水に縣濁させた懸濁液100mLに、塩化マグネシウム6水和物 2.03gを溶解させた水溶液10mLを常温で滴下し、乾燥させた。その乾燥物をトルエンに溶解させて、不溶分をろ別し、さらに、1Nの水酸化カリウム水溶液を10mL加えて、水酸化マグネシウムゾルを得た。このゾルを遠心分離機にて再びゾルを沈殿させた。その沈殿物を真空乾燥機にて乾燥させ、1.78gの水酸化マグネシウムゾル(難燃性微粒子Aゾル)を得た。
得られたゾルをトルエンに分散し、粒度分布をヘロダイン型粒度分布計(日機装社製、MICROTRAC−UPA150)で測定したところ、体積平均粒子径は10.9nmであった。また、上記ゾルを透過型電子顕微鏡(FEI Company TecnaiG2)で観察したところ、図1の写真に示すように、難燃性微粒子Aの形状は球状であり、アスペクト比は約1.0であった。さらに、熱分析による含水率は22質量%であった。
前記粒度分布の測定結果と、下記式(1)により求めた分散度をまとめて表1に示す。
分散度=log(D90/D10) ・・・ 式(1)
(式中、D90、D10は、質量について粒度分布を引いて、小粒径側から累積90%となる粒径、累積10%となる粒径を各々表す。)
表1の粒度測定結果に示すように、難燃性微粒子Aの体積平均粒径は10.9nmと小さく、分散度も0.7と小さいものであることがわかった。
<実施例2(難燃性微粒子Bの製造)>
1.0×10-3モル/Lのイソステアリン酸(東京化成製、I0281)懸濁液100mL中に、10×10-3モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液(関東化学製、37854−08)を100mL滴下し、60℃で3時間マグネチックスターラーで撹拌した。その撹拌した溶液に、3.3×10-3モル/Lの塩化マグネシウム6水和物(関東化学製、JIS特級 25009−00)水溶液100mLを滴下し、60℃で3時間マグネチックスターラーで撹拌した。その後、これに塩化ナトリウムを5g添加し、塩析した。
得られた塩析物をテトラヒドロフラン100mLに常温で溶解させ、5μmの濾紙で減圧濾過した。得られた濾物に1mLの濃アンモニア(関東化学製、JIS特級 01266−00)を加え、50℃で3時間攪拌した。その混合物をエバポレーターにて蒸留し、その残渣をさらにトルエン(関東化学製、40500−01)100mLに溶解させ、その溶解液を3μmの濾紙で減圧濾過した。得られた濾物に硫酸マグネシウム(関東化学製、鹿特級 25035−00)を加え、一昼夜放置した。その後、分液ロートにて水相を除去した溶液をエバポレーターにて蒸留し、難燃性微粒子Bを得た。
<実施例3(難燃性微粒子Cの製造)>
0.25×10-3モル/Lのドデシル硫酸エステルナトリウム懸濁液100mL中に、3.3×10-3モル/Lの塩化マグネシウム6水和物(関東化学製、JIS特級 25009−00)水溶液100mLを滴下し、60℃で3時間マグネチックスターラーで撹拌した。その後、これに塩化ナトリウムを5g添加し、塩析した。
得られた塩析物をテトラヒドロフラン100mLに常温で溶解させ、5μmの濾紙で減圧濾過した。得られた濾物に1mLの濃アンモニア(関東化学製、JIS特級 01266−00)を加え、50℃で3時間攪拌した。その混合物をエバポレーターにて蒸留し、その残渣をさらにトルエン(関東化学製、40500−01)100mLに溶解させ、その溶解液を3μmの濾紙で減圧濾過した。得られた濾物に硫酸マグネシウム(関東化学製、鹿特級 25035−00)を加え、一昼夜放置した。その後、分液ロートにて水相を除去した溶液をエバポレーターにて蒸留し、難燃性微粒子Cを得た。
<実施例4(難燃性微粒子Dの製造)>
1.5×10-3モル/Lのn−ヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム懸濁液100mL中に、3.3×10-3モル/Lの塩化マグネシウム6水和物(関東化学製、JIS特級 25009−00)水溶液100mLを滴下し、60℃で3時間マグネチックスターラーで撹拌した。その後、塩化ナトリウムを5g添加し、塩析した。
得られた塩析物をテトラヒドロフラン100mLに常温で溶解させ、5μmの濾紙で減圧濾過した。得られた濾物に1mLの濃アンモニア(関東化学製、JIS特級 01266−00)を加え、50℃で3時間攪拌した。その混合物をエバポレーターにて蒸留し、その残渣をさらにトルエン(関東化学製、40500−01)100mLに溶解させ、その溶解液を3μmの濾紙で減圧濾過した。得られた濾物に硫酸マグネシウム(関東化学製、鹿特級 25035−00)を加え、一昼夜放置した。その後、分液ロートにて水相を除去した溶液をエバポレーターにて蒸留し、難燃性微粒子Dを得た。
<実施例5(難燃性微粒子Eの製造)>
3.0×10-3モル/Lのラウリルリン酸ナトリウム懸濁液100mL中に、3.3×10-3モル/Lの塩化マグネシウム6水和物(関東化学製、JIS特級 25009−00)水溶液100mLを滴下し、60℃で3時間マグネチックスターラーで撹拌した。その後、これに塩化ナトリウムを5g添加し、塩析した。
得られた塩析物をテトラヒドロフラン100mLに常温で溶解させ、5μmの濾紙で減圧濾過した。得られた濾物に1mLの濃アンモニア(関東化学製、JIS特級 01266−00)を加え、50℃で3時間攪拌した。その混合物をエバポレーターにて蒸留し、その残渣をさらにトルエン(関東化学製、40500−01)100mLに溶解させ、その溶解液を3μmの濾紙で減圧濾過した。得られた濾物に硫酸マグネシウム(関東化学製、鹿特級 25035−00)を加え、一昼夜放置した。その後、分液ロートにて水相を除去した溶液をエバポレーターにて蒸留し、難燃性微粒子Eを得た。
得られた難燃性微粒子B〜Eについてヘロダイン型体積平均粒度分布計(日機装社製、MICROTRAC−UPA150)を用いて、粒度分布の測定を行った。測定条件は、常温及び標準溶媒をトルエンとして行った。
さらに、難燃性微粒子A〜Eについて、DSC(示差走査熱量測定)により吸熱量を測定した。測定は、示差走査型熱量計DSC−3200(島津製作所社製)を用い、窒素雰囲気下で常温から450℃まで昇温速度10℃/minで測定を行い、400℃付近の吸熱ピークのピーク面積から吸熱量を求めた。
結果を表2にまとめて示す。
表2に示すように、本発明により得られた難燃性微粒子B〜Eの体積平均粒径も20nm以下と小さく、球状であり、分散度も小さいものであることがわかった。また、吸熱量は難燃性微粒子A〜Eともに1〜50cal/gの範囲程度で同等であった。この結果から、各微粒子の難燃性等の性能は同等であると予想されるため、以下これらの難燃性微粒子を代表して難燃性微粒子Aについて評価を行った。
<難燃性微粒子の評価>
(評価例1)
−難燃性樹脂組成物、難燃性樹脂成形物の作製−
前記難燃性微粒子A:5質量部を、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA、三井デユポン製 EV260)100質量部に2軸押出機を用いて混合し、ストランドをホットカットすることで、チップ(難燃性樹脂組成物)を得た。得られたチップを加熱プレス(120℃×10分間)にて成形することによって、2mm厚のシート状成形体1(難燃性樹脂成形物)を得た。
得られたシート状成形物1は、無色透明であり、紫外・可視光分光光度計(島津製作所社製、UV−3150)により、透過率の測定を行ったところ、550nmで65%であった。
さらに、テトラヒドロフラン100mLにエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デユポン製 EV260)10gを溶解させた溶液に、上記難燃剤微粒子A:0.5gを分散させた試料溶液をガラス基板上にキャストし、60℃にて3時間乾燥させ厚み20μmのフィルムを作製し、紫外・可視光分光光度計にて透過率を測定したところ、550nmにおいて、65%であった。
−難燃性樹脂組成物、難燃性樹脂成形物の評価−
上記の如く作製したシート状成形体1について、下記の評価を行った。
・難燃性試験
難燃性試験としては、コーンカロリメータ((株)東洋精機製作所製、コーンカロリメータIIIC3)を用い、ISO5660−1に準拠して、輻射熱量を50kW/m2として、燃焼時間と発熱速度との関係を調べ、また、同時に発煙量についても調べた。
・機械的強度試験
機械的強度試験としては、オートグラフ((株)東洋精機製作所製、V1−C)を用い、JIS K 7161に準拠して、常温にて引張速度を50mm/minとして、引張弾性率、引張強度、及び破断伸びを測定した。
<評価例2>
前記難燃性微粒子A:5質量部と、市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)5質量部とを、エチレン酢酸ビニル共重合体(三井デユポン製 EV260)100質量部に2軸押出機を用いて混合し、ストランドをホットカットすることで、チップを得た。得られたチップを加熱プレス(120℃×10分間)にて成形することによって、2mm厚のシート状成形体2を得た。
得られたシート状成形体2は、不透明の乳白色であった。シート成形体2について、実施例1と同様の評価を行った。
<比較評価例1>
エチレン酢酸ビニル共重合体(三井デユポン製 EV260)を、加熱プレス(120℃×10分間)にて成形することによって、2mm厚のシート状成形体3を得た。
得られたシート状成形体3は、無色透明であった。シート成形体3について、評価例1と同様の評価を行った。
<比較評価例2>
市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)5質量部を、エチレン酢酸ビニル共重合体(三井デユポン製 EV260)100質量部に2軸押出機を用いて混合し、ストランドをホットカットすることで、チップを得た。得られたチップを加熱プレス(120℃×10分間)にて成形することによって、2mm厚のシート状成形体4を得た。
得られたシート状成形体は、不透明の乳白色であった。シート成形体4について、評価例1と同様の評価を行った。さらに、テトラヒドロフラン100mLにエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デユポン製 EV260)10gを溶解させた溶液に、上記難燃剤微粒子0.5gを分散させた試料溶液をガラス基板上にキャストし、60℃にて3時間乾燥させ厚み20μmのフィルムを作製し、紫外・可視光分光光度計にて透過率を測定したところ、550nmにおいて、5%であった。
<比較評価例3>
市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)25質量部を、エチレン酢酸ビニル共重合体(三井デユポン製 EV260)100質量部に2軸押出機を用いて混合し、ストランドをホットカットすることで、チップを得た。得られたチップを加熱プレス(120℃×10分間)にて成形することによって、2mm厚のシート状成形体5を得た。
得られたシート状成形体5は、不透明の乳白色であった。シート成形体5について、評価例1と同様の評価を行った。さらに、テトラヒドロフラン100mLにエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デユポン製 EV260)10gを溶解させた溶液に、上記難燃剤微粒子0.5gを分散させた試料溶液をガラス基板上にキャストし、60℃にて3時間乾燥させた厚み20μmのフィルムを作製し、紫外・可視光分光光度計にて透過率を測定したところ、550nmにおいて、5%であった。
以上説明した、各評価例、比較評価例の配合を表3に示す。
次に、前記難燃性試験結果として、発熱速度と燃焼時間の関係を図2に、最大発熱速度を比較評価例及び評価例毎にグラフ化したものを図3に、また、比較評価例1のEVA単体の最大発熱速度に対する減少率を比較評価例及び評価例毎にグラフ化したものを図4に示す。
図2、図3に示すように、EVA単体の比較評価例1は発熱速度が大きく、最大で2000kW/m2以上の発熱量を示した。また、EVA100質量部に市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)を5質量部混合した比較例2は、EVA単体の比較評価例1と比較して最大発熱量が若干低下するものの有意差はない。しかし、EVA100質量部に、本発明の製造方法により製造された難燃性微粒子Aを5質量部混合した評価例1では、比較例1及び比較例2と比べても最大発熱量が大きく減少している。
また、評価例1では、EVA100質量部に、市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)を25質量部混合した比較評価例3よりも、最大発熱量が大きく減少している。
よって、前記難燃性微粒子Aは、市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)よりも、大きな難燃効果があることがわかる。その難燃効果としては、図4に示すように、EVA単体の比較評価例1と比べて評価例1の難燃性樹脂組成物では40%以上の最大発熱速度の減少率があった。
また、評価例1の難燃性樹脂組成物は、EVA100質量部に、市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)が同量の5質量部混合された比較評価例2と比べても、30%以上の最大発熱速度の減少率があった。
さらに、EVA100質量部に対し、前記難燃性微粒子を5質量部と、市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)を5質量部混合した評価例2は、評価例1よりもさらにEVA単体の比較評価例1に対する最大発熱速度の減少率が大きかった。
すなわち、前記難燃性微粒子Aは、市販品の粒子径の大きなものと組合せでも、大きな難燃効果を示すことがわかった。
次に、図5に各評価例、比較評価例についての燃焼時の発煙量を示す。
図5に示すように、EVA単体の比較評価例1では、発煙量が多く400m2/kg以上を示した。また、EVA100質量部に市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)を5質量部混合した比較評価例2では、EVA単体の比較評価例1と比較して最大発熱量が若干低下するものの有意差はない。しかし、EVA100質量部に、前記難燃性微粒子Aを5質量部混合した評価例1では、比較評価例1及び比較評価例2と比べても発煙量が大きく減少している。
また、評価例1では、EVA100質量部に市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)25質量部混合した比較評価例3よりも、発煙量が大きく減少している。
よって、本発明により得られる難燃性微粒子Aは、市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)よりも、大きな低発煙効果がある。
また、EVA100質量部に対し、前記難燃性微粒子5質量部と市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)5質量部とを混合した評価例2では、評価例1よりもさらにEVA単体の比較評価例1に対する発煙量が低下した。
このように、本発明により得られる難燃性微粒子Aは、市販品の粒子径の大きなものと組合せでも、さらに大きな低発煙効果があることがわかった。
次に、表4に前記機械的強度試験における、各評価例、比較評価例の弾性率、引張強さ、及び破断伸びを示す。
表4に示すように、EVA100質量部に市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)を5質量部混合した比較例2では、EVA単体の比較評価例1と比べて、特性の大きな変化はない。一方、EVA100質量部に、前記難燃性微粒子Aを5質量部混合した評価例1でも、比較評価例1と比べて大きく変化はなかった。
よって、評価例1では、EVA100質量部に市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)を5質量部混合した比較評価例2及びEVA単体の比較例1とほぼ同等の特性であり、機械的特性の低下はないことがわかった。
また、EVA100質量部に、前記難燃性微粒子A:5質量部と市販されている水酸化マグネシウム(協和化学製、商品名キスマ5A、体積平均粒子径:1μm)5質量部とを混合した評価例2でも、比較評価例2及びEVA単体の比較評価例1と比べて大きく変化はみられない。
よって、本発明により得られる難燃性微粒子Aは、粒子径の大きな難燃性化合物と複合化しても、樹脂単体とほぼ同等の特性であり、機械的特性の低下はないことがわかった。
以上の結果から、本発明により得られる難燃性微粒子Aを配合した難燃性樹脂組成物は、高い難燃性と低発煙性とを有し、かつ、機械的特性を損なわず、透明性がある概観を有することがわかった。また、通常の難燃剤(難燃性化合物)と併用した場合においても、高い難燃性を有し、かつ機械的特性を損なわないこともわかった。
なお、この結果から、前記難燃性微粒子B〜Eを用いた難燃性樹脂組成物においても難燃性微粒子Aと同等の難燃性、機械的特性が得られるものと予想される。
本発明により製造される難燃性微粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 各評価例、比較評価例の燃焼時間と発熱速度との関係を示す図である。 各評価例、比較評価例の最大燃焼速度を示すグラフである。 EVA単体に対する各評価例、比較評価例の最大燃焼速度の減少率を示すグラフである。 各評価例、比較評価例の発煙量を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 少なくとも、疎水性基末端及び/または疎水性基中に反応基を有する有機化合物の懸濁液を形成する工程と、前記反応基に結合可能な基を有する無機化合物を前記懸濁液中に添加し、前記有機化合物と前記無機化合物とを反応させる工程と、前記反応物を水酸化する工程と、を有することを特徴とする難燃性微粒子の製造方法。
  2. 前記難燃性微粒子が、体積平均粒子径が1〜500nmの範囲の粒状の難燃性微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性微粒子の製造方法。
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