JP2006232980A - 表面被覆難燃性粒子の製造方法 - Google Patents

表面被覆難燃性粒子の製造方法 Download PDF

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雅之 大越
Takeshi Miyamoto
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Abstract

【課題】 有機系難燃化合物と比較して同等の難燃性が得られ、かつポリマー物性を著しく低下させることがない新規な無機系難燃剤を得るために必要な難燃性微粒子の製造方法を提供することをである。
【解決手段】 少なくとも、有機化合物金属塩及び分散剤を溶解させた水溶液中に、特定の金属の水和物からなる難燃性粒子の分散液を作製する工程と、該分散液に酸性水溶液を滴下して前記難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する工程とを含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、前記水溶液における有機化合物塩の濃度を10〜50質量%の範囲、前記難燃性粒子の分散濃度を0.05〜5質量%の範囲とし、かつ、前記酸性水溶液の濃度を0.1〜50質量%の範囲、滴下速度を1〜200ml/時間の範囲としたことを特徴とする表面被覆難燃性粒子の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物及び難燃樹脂成形物に用いられる表面被覆難燃性粒子の製造方法に関するものであり、より具体的には、家電及びOA製品の筐体、電線、ケーブル、自動車車両、船舶、航空機、鉄道車両、建築材料、電子機器やプリント基板等に、火災などの熱による災害から保護する目的で使用されるものである。
マトリックス樹脂(以下、単に「樹脂」ということがある)に混合して難燃化する目的に使用される難燃剤としては、従来からハロゲン系化合物、三酸化アンチモン、リン系化合物、水和金属化合物(金属水和物)などが使用されている。これらの中で、上記ハロゲン化合物や三酸化アンチモンは、環境問題から敬遠されつつある一方、前記水和金属化合物は環境負荷を低減できるだけでなく、樹脂リサイクルの観点からも優れているため好適である。
しかし、前記水和金属化合物では、その他の有機系難燃化合物と比較して同等の難燃性を得るために多量の配合量を必要とするため、ポリマー物性を著しく低下させてしまう。ポリマー物性を低下させることなく、前記その他の有機系難燃剤と同等な難燃性を発現させるためには、小粒径の水和金属化合物をマトリックス樹脂中で凝集することなく粒子単位で均一に分散安定化させなければならない。このため、金属水和物からなる粒子を樹脂中に混合する場合、マトリックス樹脂中での分散性を担保するため、粒子表面に均一な被覆層を形成する必要がある。
粒子表面に被覆層を形成する方法として、まず、高級脂肪酸などによる表面処理、シリカ層形成などが知られているが(例えば、特許文献1、2参照)、ナノサイズ粒子に適用した場合、従来の反応条件では粒子が十分に分散しにくく、かつ、被覆反応速度がはやいため、粒子が凝集状態で被覆反応をうけてしまい、その結果、均一な被覆粒子を得ることができない。
一方、微粒子の製造方法としては、分散剤と金属イオンからなる溶液中で金属イオンを酸化・還元する方法が知られているが(例えば、特許文献3、4参照)、ナノサイズ粒子に適用した場合、従来の反応条件では粒子が十分に分散しにくく、かつ、酸化・還元反応速度がはやいため、粒子が凝集状態で結晶成長してしまい、その結果、ナノ粒子が得られる条件は制限されてしまう。
また、これらの方法により作製された粒子に表面被覆を行う場合には、前記同様、粒子が分散しにくく、かつ酸化・還元反応速度が速いため、粒子が凝集してしまう問題がある。
有機金属錯体等と鎖状高分子とを溶媒中で混合し、反応させ、鎖状高分子で取り囲まれた微粒子を形成する方法も提案されているが(例えば、特許文献5参照)、この方法では、高分子化合物が粒子表面に吸着するが、低分子化合物が表面に付着するのと比較して、表面被覆密度が低くなる。よって、樹脂への分散性は表面被覆率が高い方が有利なので、鎖状高分子で取り囲まれた微粒子を形成する方法は、低分子化合物による被覆のそれと比べて好ましくないという問題がある。
さらに、近年、微粒子を用いた樹脂難燃化の例として、ポリアミドおよび処理されたケイ酸塩のポリマーナノコンポジット組成物や、グラフトポリマー、ホスホネートアミンおよび無機ナノ粒子を含有するポリカーボネートブレンドなども提案されているが(例えば、特許文献6、7参照)、いずれも難燃剤として使用した場合、前記のごとき問題点が解決されていない。
特開昭52−30262号公報 特開2003−253266号公報 特開平9−255331号公報 特開2001−261334号公報 特開2003−92207号公報 特開2003−517488号公報 特開2003−509523号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、機械的物理特性の低下が少なく、かつ環境負荷の少ない新規な難燃性樹脂組成物及びそれを用いた難燃樹脂成形物に用いられる表面被覆難燃性粒子の製造方法を提供することを目的とする。具体的には、有機系難燃化合物(例えばハロゲン系及びリン系等)と比較して同等の難燃性が得られ、かつポリマー物性を著しく低下させることがない新規な無機系難燃剤を得るために必要な難燃性微粒子の製造方法の提供を目的とするものである。
従来難燃剤は、粒子径が1〜50μmの範囲の難燃性粒子を、マトリックス樹脂100質量部に対し少なくとも50〜150質量部程度と多量に配合することによって、樹脂の難燃化が検討されてきた。このような粒子の多量配合により、樹脂の機械的特性や電気的特性などを劣化させてしまうため、他の添加剤もしくは他樹脂などを配合するなどの処方が採られてきた。
本発明者等は、前記課題を解決するべく、粒子の比表面積を増加させ、ポリマーとの接触面積も増加させる難燃性粒子の微粒子化について鋭意研究を重ねた結果、新規な難燃性粒子の製造方法を見出した。これにより得られる難燃性粒子は、体積平均粒子径が1〜500nmの範囲であるだけでなく、特に無機微粒子の表面に、該無機微粒子と結合可能な疎水性基を有する有機化合物が均一層としてを配された表面被覆難燃性粒子であるため、これらををポリマーに配合した所、体積平均粒子径が0.5〜50μm程度の難燃性化合物と比較して、低充填で同等の難燃性が可能であることが確認された。
すなわち本発明は、
<1> 少なくとも、有機化合物金属塩及び分散剤を溶解させた水溶液中に、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属の水和物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液に酸性水溶液を滴下して前記難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する工程とを含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、
前記水溶液における有機化合物塩の濃度を10〜50質量%の範囲、前記難燃性粒子の分散濃度を0.05〜5質量%の範囲とし、かつ、前記酸性水溶液の濃度を1〜50質量%の範囲、滴下速度を1〜200ml/時間の範囲としたことを特徴とする表面被覆難燃性粒子の製造方法である。
<2> 少なくとも、水と混和する有機溶媒中に有機化合物及び分散剤を溶解した溶液中に、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属の水和物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液に水を滴下して前記難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する工程とを含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、
前記溶液における有機化合物濃度を10〜50質量%の範囲、前記難燃性粒子の分散濃度を0.05〜5質量%の範囲とし、前記水の滴下速度を1〜200ml/時間の範囲としたことを特徴とする表面被覆難燃性粒子の製造方法である。
<3> 少なくとも、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属を含む有機化合物金属塩を有機溶媒中へ展開した展開液を作製する工程と、前記有機化合物金属塩中に含まれる金属イオンに塩基を作用させて金属水酸化物とする工程とを含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、
前記展開液における有機化合物金属塩の濃度を0.1〜10質量%の範囲とすることを特徴とすることを特徴とする表面被覆難燃性粒子の製造方法である。
<4> 少なくとも、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属を含む有機化合物金属塩と、分散剤またはキレート化合物とを溶解させた水溶液を作製する工程と、該水溶液に金属イオン水溶液を滴下する工程と、該金属イオンを含む水溶液に塩基性水溶液を滴下して前記有機化合物金属塩中に含まれる金属イオンを金属水酸化物とする工程とを含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、
前記水溶液における有機化合物金属塩の濃度を10〜50質量%の範囲とし、前記金属イオン水溶液の濃度を0.1〜50質量%の範囲、滴下速度を1〜200ml/時間の範囲とすることにより前記水溶液中の金属イオンの濃度を0.1〜10質量%の範囲とし、かつ、前記塩基性溶液の濃度を0.01〜50質量%の範囲、滴下速度を1〜200ml/時間の範囲としたことを特徴とする表面被覆難燃性粒子の製造方法である。
<5> 少なくとも、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiから選ばれる1種類の金属の水和物からなり体積平均粒径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子の表面に、有機化合物からなる被覆層を形成する工程を含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、
前記被覆層を形成する工程が、前記難燃性粒子100質量部に対して前記有機化合物を10〜80質量部混合し、表面融合による乾式処理を行う工程であることを特徴とする表面被覆難燃性粒子の製造方法である。
<6> 前記表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径を、1〜500nmの範囲とすることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法である。
本発明によれば、粒子の比表面積が大きく、ポリマーとの接触面積も大きい均一な被覆層を有する表面被覆難燃性粒子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、大きく5つに分類される。これらを各々本発明の第1〜第5の表面被覆難燃性粒子の製造方法(以下、これらを各々「第1〜第5の本発明」という場合がある)とし、以下に各製造方法の内容を示す。
<第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法>
本発明の第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、少なくとも、有機化合物金属塩及び分散剤を溶解させた水溶液中に、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属の水和物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液に酸性水溶液を滴下して前記難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する工程とを含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、前記水溶液における有機化合物金属塩の濃度を10〜50質量%の範囲、前記難燃性粒子の分散濃度を0.1〜5質量%の範囲とし、かつ、前記酸性水溶液の濃度を0.1〜50質量%の範囲、滴下速度を1〜200ml/時間の範囲としたことを特徴とする。
前述のように、粒子径がナノサイズの難燃性粒子を樹脂中に均一に分散させるには、粒子表面に均一な被覆層を形成する必要がある。上記本発明の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、金属水和物からなる表面積の大きいナノサイズの粒子表面に、有機化合物の被覆層を均一にしかも制御性よく形成することができる。また、第1の本発明においては、金属水和物からなる難燃性粒子を容易に分散させることができ、水和物の安定性も高いことから、表面被覆難燃性粒子の生産性を高めることができる。
以下、まず第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法の各工程について説明する。
(分散液を作製する工程)
本工程では、有機化合物金属塩及び分散剤を溶解させた水溶液中に、特定の金属の水和物からなる難燃性粒子を分散させる。
前記有機化合物金属塩としては、例えば、後述する難燃性粒子として樹脂中に分散された場合に分散性を高めるための疎水性基を有し、該疎水性基が、アニオン性の結合性基(硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基など)を介して種々の金属を含む無機塩基と塩を形成したものが挙げられる。
すなわち、前記有機化合物金属塩における有機化合物部分は、疎水性基の末端及び/または疎水性基中に、前記金属を含む無機塩基と反応して塩を形成している結合部分を有する構造となっている。
前記有機化合物金属塩における疎水性基としては、高級脂肪酸の残基を好ましく挙げることができる。
上記疎水性基を有する高級脂肪酸としては、炭素数が8以上の高級脂肪酸が好ましく、炭素数が8〜30の飽和脂肪酸、または炭素数が12〜30の不飽和脂肪酸がより好ましい。飽和脂肪酸としては炭素数10〜28の飽和脂肪酸がさらに好ましく、炭素数が12〜26の飽和脂肪酸が特に好ましい。また、不飽和脂肪酸としては、炭素数が14〜28の不飽和脂肪酸がさらに好ましく、炭素数が14〜26の不飽和脂肪酸が特に好ましい。
具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、カプリル酸、カプリン酸、ダチュリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、モンタン酸、メリシン酸などの飽和カルボン酸;エライジン酸、リノール酸、リノレン酸リンデル酸、マッコウ酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸などの不飽和カルボン酸;などが挙げられる。
また、これらの酸における疎水性基には、種々の置換基(例えば、炭素数が1〜4のアルキル基など)が置換していてもよい。
これらの中では、炭素数12〜26の飽和脂肪酸であるベヘニン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸が特に好ましい。
上記高級脂肪酸と塩を形成する無機塩基を構成する金属としては、例えば、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属など好ましく、これらの中では、マグネシウム、ナトリウムが特に好ましい。
前記分散剤としては、水に溶解し、かつ後述する難燃性粒子の分散性を向上させる分散剤であれば特に制限されないが、高分子分散剤またはポリリン酸ナトリウムなどが好ましく用いられる。高分子分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニル−2−ピロリドン、ポリプロピルセルロース、ポリアクリル酸などが好ましい。高分子分散剤の分子量としては、スチレン換算の体積平均分子量で100〜10000の範囲が好ましい。体積平均分子量が100未満であると、難燃性粒子の反応液中での分散が十分に行われず、被覆反応が不均一となる場合がある。体積平均分子量が10000を超えると、難燃性粒子表面に高分子分散剤が凝集してしまい、やはり難燃性粒子の反応液中での分散性が低下し被覆反応が均一に行われない場合がある。
第1の本発明においては、後述する難燃性粒子の表面処理に用いる溶液として、前記有機化合物金属塩及び前記分散剤を水に溶解させた水溶液を用意する。
前記有機化合物金属塩の水溶液における濃度は、難燃性粒子表面全体を均一に被覆する観点から一定範囲とする必要があり、本発明においては10〜50質量%の範囲とする。このように有機化合物金属塩の濃度を高くすることにより、ナノサイズの粒子表面に均一に被覆層を形成することができる。
上記有機化合物金属塩の濃度は10〜50質量%の範囲が好ましく、10〜40質量%の範囲がより好ましい。濃度が10質量%に満たないと、難燃性粒子表面への有機化合物の均一な被覆が困難となり、未被覆部位が発生してしまう。また、濃度が50質量%を超えると、同様に難燃性粒子表面への均一な被覆が困難となるだけでなく、凝集物が発生してしまう。
また、前記分散剤の水溶液における濃度も、前記と同様の観点から一定範囲とすることが好ましい。
具体的には、分散剤の濃度は後述する難燃性粒子量に対して1〜10質量%の範囲とすることが好ましく、1〜5質量%の範囲とすることがより好ましい。分散剤の濃度が1質量%に満たないと、難燃性粒子の反応液中での分散性が低下し被覆反応が均一に行われない場合がある、また、10質量%を超えると、反応液の濃度が高くなり被覆反応が均一に行われない場合がある。
次に、上記水溶液に分散される難燃性粒子について説明する。
本発明における難燃性粒子は、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属の水和物からなる。これらの金属の水和物は微粒子化が容易であり、また水和物として安定であるだけでなく、加熱による吸熱性、脱水反応性に優れるため優れた難燃効果を発揮する。上記金属水和化合物の中では、Mg、Al、Caの水和物が特に好ましい。
金属の水和物としては、難燃成分を保持するものであれば特に制限されないが、具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化ニッケルなどの水和金属化合物;アルミン酸カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛及びメタホウ酸バリウムの水和物などからなるもの;等が例示される。さらに、これらの複合化水和物も好適に使用される。これらの中では、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム及び水酸化カルシウムが好ましい。
上記金属の水和物からなる難燃性粒子の体積平均粒子径は、1〜500nmの範囲である。また、難燃性粒子の体積平均粒子径は1〜200nmの範囲であることが好ましく、5〜200nmの範囲であることがより好ましく、10〜200nmの範囲であることがさらに好ましい。
難燃性粒子の体積平均粒子径が1nmより小さいと、難燃性保持能が低下してしまう。また、500nmより大きいと、市販の体積平均粒子径が1μmの難燃性粒子と同等の特性となり、難燃性を得るために多量に添加することが必要となってしまう。
また、体積平均粒子径が前記範囲の難燃性粒子を用いた表面被覆難燃性粒子は、樹脂中に均一に分散する。さらに、難燃性粒子の体積平均粒子径がナノメーターサイズであると、微細な複合体を形成できることと相まって、透明性の高い難燃性樹脂組成物を得ることができる。
上記難燃性粒子表面に有機化合物を被覆させるため、前記有機化合物金属塩と分散剤とを含む水溶液中に難燃性粒子を分散させるが、本発明においては、表面被覆難燃性粒子の生産性と均一被覆との両立の観点から、難燃性粒子の分散濃度を一定の範囲とする。
なお、上記分散濃度とは、下記式(1)により求められるものである。
分散濃度(質量%)=(難燃性粒子の質量/水溶液の質量)×100 ・・・ 式(1)
第1の本発明において、難燃性粒子の分散濃度は0.1〜5質量%の範囲である。このように難燃性粒子の分散濃度を低くすることにより、ナノサイズの粒子表面に均一な被覆層を形成することができる。
上記分散濃度は0.1〜5質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜4質量%の範囲であることがより好ましい。
難燃性粒子の分散濃度が0.1質量%未満であると、均一な被覆は可能であるものの生産性の点で問題となる。また、分散濃度が5質量%を超えると、分散液中で凝集を起こしやすく、均一な被覆が困難となる。
なお、上記水溶液中への難燃性粒子の分散は、通常の攪拌装置等を用いて行うことができるが、必要に応じて超音波分散機により超音波処理を行うことにより、より均一な分散液を得ることができる。
(被覆層を形成する工程)
本工程では、前記難燃性粒子の分散液に酸性水溶液を滴下し、難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する。本発明においては、この被覆層を形成する反応を比較的緩やかにすることにより、前記条件と併せて難燃性粒子表面に均一な被覆層を形成させる。本発明では、前記酸性水溶液の濃度及び滴下速度を一定の範囲とすることにより上記均一な被覆層形成を可能とした。
前記酸性水溶液としては、塩酸、硫酸、酢酸、硝酸など一般的な酸性水溶液を用いることができるが、塩酸、酢酸が特に好ましい。
本発明において、酸性水溶液の濃度は0.1〜50質量%の範囲である。また、酸性水溶液の濃度は1〜10質量%の範囲が好ましい。
上記濃度が0.1質量%未満では、分散液中に滴下する酸性水溶液量がかなり多くなり、生産性を確保することができない。また、濃度が50質量%を超えると、滴下速度を遅くしても前記被覆層を形成する反応を緩やかにすることができず、均一な被覆層が得られない。
また、前記酸性水溶液の分散液への滴下速度は、1〜200ml/時間の範囲とする。滴下速度が200ml/時間を超えると、前記被覆層を形成する反応が速すぎ均一な被覆層が得られない。また、1ml/時間に満たないと、十分な生産性を確保することができない。
上記酸性水溶液の滴下速度は10〜200ml/時間の範囲とすることが好ましく、20〜200ml/時間の範囲とすることがより好ましい。
さらに本発明においては、前記被覆層を形成する反応を緩やかにする観点から、前記酸性水溶液滴下時あるいは滴下後の反応温度(分散液の温度)を制御することが好ましい。具体的には、反応温度は0〜100℃の範囲で行うことが好ましく、0〜50℃の範囲で行うことがより好ましく、5〜30℃の範囲とすることがさらに好ましい。
反応温度が100℃を超えると、被覆層を形成する反応速度が速くなり均一な被覆を行うことができない場合がある。一方、0℃に満たないと、粒子が凝集しやすく均一な被覆を行うことができない場合がある。
以上のようにして被覆層を形成する工程までを経た後、表面被覆難燃性粒子のゾルを遠心分離もしくは、貧溶媒とのデカンテーション等により分離し、乾燥することにより、表面被覆難燃性粒子を得ることができる。
第1の本発明により得られる表面被覆難燃性粒子における有機化合物による表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の1〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜100質量%の範囲であることがより好ましく、30〜80質量%の範囲であることがさらに好ましい。被覆量が1質量%に満たないと、マトリックス樹脂中で凝集物が生成し、分散が不均一になってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂に分散したとき樹脂が可塑化してしまう場合がある。
また、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
本発明の第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)1〜500nmの範囲のものを好適に製造することができる。表面被覆難燃性粒子として好ましくは体積平均粒径が1〜200nmの範囲、より好ましくは5〜200nmの範囲、さらに好ましくは10〜200nm(特に10〜100nm)の範囲程度である。
表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径が1nmより小さいと、難燃性保持能が低下し、500nmより大きいと、市販の体積平均粒子径1μm品と同等の特性となり、難燃性を得るために多量に添加することが必要となってしまう。体積平均粒子径が前記範囲の表面被覆難燃性粒子は、樹脂中に均一に分散する。また、表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径がナノメーターサイズであると、微細な複合体を形成できることと相まって、透明性の高い難燃性樹脂組成物を得ることができる。
また、表面被覆難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
分散度が小さいことは、表面被覆難燃性粒子の粒度分布が狭いこと、すなわち粒子の大きさがより均一であることを示しており、分散度が前記範囲にあると樹脂に分散した場合の難燃性、機械的特性も均一となる。
なお、前記体積平均粒子径(難燃性粒子も含む)、分散度は、レーザードップラーヘテロダイン型粒度分布計(UPA日機装株式会社製、MICROTRAC−UPA150)により測定した。具体的には、測定された粒度分布を基にして、体積について小粒径側から累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径とした。また、質量について粒度分布を引いて、小粒径側から累積90%となる粒径をD90、累積10%となる粒径をD10としたとき、分散度は下記式(2)で定義される。この測定法については、以下同様である。
分散度=log(D90/D10) ・・・ 式(2)
<第2の表面被覆難燃性粒子の製造方法>
本発明の第2の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、少なくとも、水と混和する有機溶媒中に有機化合物及び分散剤を溶解した溶液中に、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属の水和物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液に水を滴下して前記難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する工程とを含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、前記溶液における有機化合物濃度を10〜50質量%の範囲、前記難燃性粒子の分散濃度を0.1〜5質量%の範囲とし、前記水の滴下速度を〜200ml/時間の範囲としたことを特徴とする。
上記第2の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、前記第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法と同様、一定粒径の難燃性粒子の表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成するものであるが、難燃性粒子を分散させる溶液に関し、水の代わりに水と混和する有機溶媒を用い、有機化合物金属塩の代わりに有機化合物を用いる点、及び難燃性粒子の表面に有機化合物を析出させるための酸性水溶液の代わりに水を用いる点が異なる。
したがって、以下において第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法と共通する部分については、説明を省略する場合がある。
(分散液を作製する工程)
本工程では、まず、難燃性粒子を分散させる溶液の溶媒として、水と混合する有機溶媒が用いられる。
本発明における水と混合する有機溶媒としては、メタノール、エチルホルムアミド、ニトロメタン、エタノール、アクリル酸、アセトニトリル、アニリン、シクロヘキサノール、n−ブタノール、メチルアミン、n−アミルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルケトン、四塩化炭素、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、イソブチルクロリド、ジエチルアミン、メチルシクロヘキサン、酢酸イソアミル、n−オクタン、n−ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メチルイソプロピルケトン、酢酸ブチル、メチルプロピルケトン、エチルベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、ピリジン、n−ヘキサノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、エチレングリコール、グリセロールホルムアミド、ジメトルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどを用いることが好ましい。
また、第2の表面被覆難燃性粒子の製造方法においては、上記有機溶媒中に有機化合物を溶解し分散液に供せられる。
前記有機化合物としては、難燃性粒子と結合可能な疎水性基を有するものであることが好ましく、該疎水性基の末端に難燃性粒子と結合を形成するための結合性基を有したものが好ましい。
上記結合性基としては、例えば、ヒドロキシル基、リン酸基、ホスホニウム塩基、アミノ基、硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、親水性複素環基、多糖基(ソルビトール、ソルビット、ソルビタン、ショ糖エステル、ソルビタンエステル残基など)、ポリエーテル基(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン基などのアルキレンの炭素数が2〜4のポリオキシアルキレン基など)、加水分解性基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ基などの炭素数が1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子(臭素、塩素原子など)などが挙げられる。
このように、好ましい結合性基には、イオン性基(アニオン性基、カチオン性基)、加水分解性基が含まれ、難燃性粒子と形成される結合は、イオン結合であっても共有結合であってもよい。
前記有機化合物の疎水性基としては、界面活性剤の疎水性基として作用する基(例えば、高級脂肪酸残基、高級アルコール残基、アルキル−アリール基など)等が挙げられる。
上記高級脂肪酸残基としては、前記第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法で説明した高級脂肪酸の残基が挙げられる。
また、前記高級アルコール残基としては、例えば、オクチル、ノニル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル(セチル)、オクタデシルなどの炭素数が8〜24の高級脂肪アルコール残基、好ましくは炭素数が10〜22の高級アルコール残基、さらに好ましくは炭素数が12〜20の高級アルコール残基などが挙げられる。
また、前記アルキル−アリール基としては、例えば、ヘキシルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ドデシルフェニル、イソプロピルフェニル、ブチルフェニル、アミルフェニル、テトラデシルフェニルなどのアルキル−アリール基(好ましくは炭素数が1〜20のアルキル−炭素数が6〜18のアリール基、さらに好ましくは炭素数が6〜18のアルキル−炭素数が6〜12のアリール基、特に炭素数が6〜16のアルキル−フェニル基)などが挙げられる。
これらの疎水性基には、種々の置換基(例えば、炭素数が1〜4のアルキル基など)が置換していてもよい。
なお、第2の本発明では、前記有機化合物として、前記第1の本発明において詳述した高級脂肪酸を特に好ましく用いることができる。
その他、第2の表面被覆難燃性粒子の製造方法における分散剤、難燃性粒子及びこれらを用いた溶液、難燃性粒子の分散液の作製条件、並びに好ましい組成範囲等は、前記第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法と同様である。
なお、第2の本発明における難燃性粒子の分散濃度は、前記式(1)における「水溶液」を前記「溶液」として求めた。
(被覆層を形成する工程)
第2の表面被覆難燃性粒子の製造方法においては、難燃性粒子表面に有機化合物を析出させるために、前記分散液に水を滴下する。この場合、前記第1の本発明と同様、この被覆層を形成する反応を比較的緩やかにすることにより、前記条件と併せて難燃性粒子表面に均一な被覆層を形成させる。第2の本発明では、前記水の滴下速度を一定の範囲とすることにより上記均一な被覆層形成を可能とした。
第2の本発明において、前記水の分散液への滴下速度は、1〜200ml/時間の範囲とする。滴下速度が200ml/時間を超えると、前記被覆層を形成する反応が速すぎ均一な被覆層が得られない。また、1ml/時間に満たないと、十分な生産性を確保することができない。
上記水の滴下速度は10〜200ml/時間の範囲とすることが好ましく、20〜200ml/時間の範囲とすることがより好ましい。
その他、難燃性粒子の分散、反応温度などの条件は、前記第1の本発明と同様である。
第2の本発明により得られる表面被覆難燃性粒子における有機化合物による表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の1〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜100質量%の範囲であることがより好ましく、30〜80質量%の範囲であることはさらに好ましい。被覆量が1質量%に満たないと、マトリックス樹脂中で凝集物が生成し、分散が不均一になってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂に分散したとき樹脂が可塑化してしまう場合がある。
また、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
本発明の第2の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、第1の本発明と同様に、体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)1〜500nmの範囲のものを好適に製造することができる。表面被覆難燃性粒子として好ましくは体積平均粒径が1〜200nmの範囲、より好ましくは5〜200nmの範囲、さらに好ましくは10〜200nm(特に10〜100nm)の範囲程度である。
また、表面被覆難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
<第3の表面被覆難燃性粒子の製造方法>
本発明の第3の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、少なくとも、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属を含む有機化合物金属塩を有機溶媒中へ展開した展開液を作製する工程と、前記有機化合物金属塩中に含まれる金属イオンに塩基を作用させて金属水酸化物とする工程とを含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、前記展開液における有機化合物金属塩の濃度を0.1〜10質量%の範囲とすることを特徴とする。
上記第3の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、第1、第2の本発明と同様に、金属水和物からなる表面積の大きいナノサイズの粒子表面に、有機化合物の被覆層を均一にしかも制御性よく形成することができる。また、第3の本発明においては、前述の方法のような分散剤(界面活性剤)を必要とせず、水中でのテンプレート(疎水性基が内側、親水性基が外側に向いたコアシェル構造のミセル)を用いずに表面被覆難燃性粒子を製造することができ、表面被覆難燃性粒子の生産性を高めることができる。
さらに、製造された表面被覆難燃性粒子は、その製造過程よりナトリウムなどのアルカリ金属を含まないため、マトリックス樹脂に分散された際に長期間劣化しにくく、これを用いた難燃性樹脂組成物の難燃性、機械的特性をより安定化させることができる。
以下、第3の本発明の各工程について説明する。
(展開液を作製する工程)
本工程では、特定の金属を含む有機化合物金属塩を有機溶媒中に展開し、展開液を作製する。なお、ここで上記「展開」とは、有機溶媒中に有機金属塩の集合体が二次凝集することなく分散している状態をいう。
第3の本発明においては、前記有機化合物金属としてMg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属の有機化合物金属塩を用いる。これらの有機化合物金属塩に含まれる金属は、水和物とした場合に安定であるだけでなく、加熱による吸熱性、脱水反応性に優れるため優れた難燃効果を発揮する。上記金属水和化合物の中では、Mg、Al、Caの水和物が特に好ましい。
前記有機化合物金属塩としては、例えば、後述する難燃性粒子として樹脂中に分散された場合に分散性を高めるための疎水性基を有し、該疎水性基が、アニオン性の結合性基(硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基など)を介して種々の金属を含む無機塩基と塩を形成したものが挙げられる。
すなわち、前記有機化合物金属塩における有機化合物部分は、疎水性基の末端及び/または疎水性基中に、前記金属を含む無機塩基と反応して塩を形成している結合部分を有する構造となっている。
前記疎水性基としては、高級脂肪酸の残基を好ましく挙げることができる。
上記疎水性基を有する高級脂肪酸としては、炭素数が8以上の高級脂肪酸が好ましく、炭素数が8〜30の飽和脂肪酸、または炭素数が12〜30の不飽和脂肪酸がより好ましい。飽和脂肪酸としては炭素数10〜28の飽和脂肪酸がさらに好ましく、炭素数が12〜26の飽和脂肪酸が特に好ましい。また、不飽和脂肪酸としては、炭素数が14〜28の不飽和脂肪酸がさらに好ましく、炭素数が14〜26の不飽和脂肪酸が特に好ましい。
具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、カプリル酸、カプリン酸、ダチュリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、モンタン酸、メリシン酸などの飽和カルボン酸;エライジン酸、リノール酸、リノレン酸リンデル酸、マッコウ酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸などの不飽和カルボン酸;などが挙げられる。
また、これらの酸における疎水性基には、種々の置換基(例えば、炭素数が1〜4のアルキル基など)が置換していてもよい。
これらの中では、炭素数が12〜26の飽和脂肪酸であるベヘニン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸が特に好ましい。
前記有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、メタノール、エチルホルムアミド、ニトロメタン、エタノール、アクリル酸、アセトニトリル、アニリン、シクロヘキサノール、n−ブタノール、メチルアミン、n−アミルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルケトン、四塩化炭素、ベンゾニトリル、シクロエキサン、イソブチルクロリド、ジエチルアミン、メチルシクロヘキサン、酢酸イソアミル、n−オクタン、n−ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メチルイソプロピルケトン、酢酸ブチル、メチルプロピルケトン、エチルベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、ピリジン、n−ヘキサノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、エチレングリコール、グリセロールホルムアミド、ジメトルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
これらは単独もしくは2つ以上で複合して使用することができる。
第3の本発明においては、上記有機溶媒に前記有機化合物金属塩を展開し、展開液中で前記金属イオンが内側に、疎水性基が外側に向いた、いわゆる逆相ミセルを直接形成させる。したがって、分散剤や前記テンプレートが不要であるため表面被覆難燃性粒子の生産性を向上させることができる。
また、前記有機化合物金属塩の展開液における濃度は、ナノサイズの均一な粒子を得る観点から一定範囲とする必要があり、本発明においては0.1〜10質量%の範囲とする。このように有機化合物金属塩の濃度を比較的低くすることにより、粒子径の均一な逆相ミセルを形成することができる。
上記有機化合物金属塩の濃度は0.1〜10質量%の範囲が好ましく、1〜5質量%の範囲がより好ましい。濃度が0.1質量%に満たないと、表面被覆難燃性粒子の生産性の確保が困難となってしまう。また、濃度が10質量%を超えると、ナノサイズの粒子径が均一な粒子を得ることが困難となる。
(金属水酸化物とする工程)
本工程においては、上記のようにして形成した逆相ミセルを、さらに前記有機溶媒中で水酸化処理し、前記有機化合物部分に結合された金属イオンを水酸化し水酸化物とする。
上記水酸化する工程において、水酸化には金属イオンに塩基を作用させる。該塩基としては、具体的にはアルカリ溶液を用いることができ、例えば、濃アンモニア、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等を用いることができる。水酸化を行うために、水酸基を1とすると0.1〜10当量のアルカリ溶液を必要とし、その濃度は、0.1〜80質量%の範囲とすることが好ましい。また、用いることのできる溶媒としては、前述の各種溶媒が使用できる。
反応が進行するに従い、金属イオンは金属水酸化物となる。また場合によって結晶水を取り込むこともある。反応は逆ミセル中で進行するため、得られる難燃性粒子は表面に長鎖アルキルによって被覆され、かつ粒子形状がそのまま維持される。
さらに本発明においては、前記粒子の結晶成長を抑制する観点から、前記水酸化反応の反応温度(展開液の温度)を制御することが好ましい。具体的には、反応温度は0〜100℃の範囲で行うことが好ましく、0〜50℃の範囲で行うことがより好ましく、5〜30℃の範囲とすることがさらに好ましい。
反応温度が100℃を超えると、被覆反応が速くなり均一な被覆を行うことができない場合がある。一方、0℃に満たないと、粒子が凝集しやすく均一な被覆や粒径均一化を行うことができない場合がある。
以上のようにして金属水酸化物とする工程(被覆層を形成する工程)までを経た後、表面被覆難燃性粒子のゾルを遠心分離もしくは、貧溶媒とのデカンテーション等により分離し、乾燥することにより、表面被覆難燃性粒子を得ることができる。また、有機溶媒中に分散したまま使用してもよい。
第3の本発明により得られる表面被覆難燃性粒子における有機化合物による表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の1〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜100質量%の範囲であることがより好ましく、30〜80質量%の範囲であることがさらに好ましい。被覆量が1質量%に満たないと、マトリックス樹脂中で凝集物が生成し、分散が不均一になってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂に分散したとき樹脂が可塑化してしまう場合がある。
また、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
本発明の第3の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、第1の本発明と同様に、体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)1〜500nmの範囲のものを好適に製造することができる。表面被覆難燃性粒子として好ましくは体積平均粒径が1〜200nmの範囲、より好ましくは5〜200nmの範囲、さらに好ましくは10〜200nm(特に10〜100nm)の範囲程度である。
また、表面被覆難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
<第4の表面被覆難燃性粒子の製造方法>
本発明の第4の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、少なくとも、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属を含む有機化合物金属塩と、分散剤またはキレート化合物とを溶解させた水溶液を作製する工程と、該水溶液に金属イオン水溶液を滴下する工程と、該金属イオンを含む水溶液に塩基性水溶液を滴下して前記有機化合物金属塩中に含まれる金属イオンを金属水酸化物とする工程とを含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、前記水溶液における有機化合物金属塩の濃度を10〜50質量%の範囲とし、前記金属イオン水溶液の濃度を0.1〜50質量%の範囲、滴下速度を1〜200ml/時間の範囲とすることにより前記水溶液中の金属イオンの濃度を0.1〜10質量%の範囲とし、かつ、前記塩基性水溶液の濃度を0.01〜50質量%の範囲、滴下速度を1〜200ml/時間の範囲としたことを特徴とする。
上記第4の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、前記第3の表面被覆難燃性粒子の製造方法と異なり、水中で前記疎水性基が内側(ミセル中心側)に、金属イオンが外側(水溶液側)に向いたミセル(テンプレート)を形成し、前記金属イオンを水酸化して表面被覆難燃性粒子を得る方法であるが、第4の本発明では、反応系に有機化合物金属、分散剤等及び金属イオンを共存させることで、前記水酸化の反応を緩やかにし、最終的に得られる粒子の粒度分布を単分散に近いものとすることができるとともに、均一な被覆層を形成することができる。
以下、第4の本発明の各工程について説明する。
(水溶液を作製する工程)
本工程では、特定の金属を含む有機化合物金属塩と、分散剤またはキレート化合物とを溶解させた水溶液を作製する。
前記特定の金属を含む有機化合物金属塩としては、前記第3の本発明において説明した有機化合物金属塩を同様に用いる。また、前記分散剤としては、前記第1の本発明において説明した分散剤を同様に用いる。
前記キレート化合物としては、低分子化合物だけでなく高分子化合物も含まれ、例えば、エチレンジアミン、オクサラト、アセト酢酸エチル、o−ニトロフェノールなどを用いることができる。
これらの中では、エチレンジアミンが好ましく用いられる。
第4の本発明においては、水に前記有機化合物金属塩と、前記分散剤または前記キレート化合物とを溶解し、疎水性基が内側(ミセル中心側)に、金属イオンが外側(水側)に向いたミセルを形成させる。
前記有機化合物金属塩の水溶液における濃度は、難燃性粒子表面全体を均一に被覆する観点から一定範囲とする必要があり、本発明においては10〜50質量%の範囲とする。このように有機化合物金属塩の濃度を高くすることにより、ナノサイズの粒子表面に均一に被覆層を形成することができる。
上記有機化合物金属塩の濃度は10〜50質量%の範囲が好ましく、10〜40質量%の範囲がより好ましい。濃度が10質量%に満たないと、難燃性粒子表面への有機化合物の均一な被覆が困難となり、未被覆部位が発生してしまう。また、濃度が50質量%を超えると、同様に難燃性粒子表面への均一な被覆が困難となるだけでなく、凝集物が発生してしまう。
また、前記分散剤またはキレート化合物の水溶液における濃度も、前記と同様の観点から一定範囲とすることが好ましい。
具体的には、分散剤またはキレート化合物の濃度は、水溶液中の金属量に対して1〜10質量%の範囲とすることが好ましく、1〜5質量%の範囲とすることがより好ましい。分散剤またはキレート化合物の濃度が1質量%に満たないと、キレート化合物が粒子表面に均一に付着しないため均一な反応が行われない場合がある、また、10質量%を超えると、キレート化合物間での凝集が起こってしまったり、反応後に不純物が多く残留してしまい十分な精製が困難になる場合がある。
(金属イオン水溶液を滴下する工程)
このようにして作製した水溶液に、前記有機金属化合物金属塩由来の金属イオンを安定化させ、後述する水酸化反応を緩やかにする目的で金属イオン水溶液を滴下する。
なお、上記金属イオン水溶液の滴下は、基本的に水酸化反応の段階で系に金属イオンを存在させればよいため、後述する金属水酸化物とする工程の前に行ってもよいし、金属水酸化物とする工程と同時に行ってもよい。
前記金属イオン水溶液に用いられる金属イオンとしては、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種または2種以上の金属のイオンであることが望ましい。金属イオン水溶液を作製するために用いる化合物の形態としては、水に溶解可能な限り、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiの塩化物、硝酸化物、硫酸化物並びに炭酸化物のいずれもが使用できる。これらの中では、各金属の塩化物が好適に用いられる。
本発明に用いる金属イオン水溶液の濃度は0.1〜50質量%の範囲である。また、金属イオン水溶液の濃度は1〜30質量%の範囲が好ましい。
上記濃度が0.1質量%未満では、溶液濃度が希薄過ぎて反応が進まない。また、濃度が50質量%を超えると、反応が進み過ぎて、粒子の結晶成長を制御することができない。
また、前記金属イオン水溶液の水溶液への滴下速度は、1〜200ml/時間の範囲とする。滴下速度が200ml/時間を超えると、粒子の結晶成長を制御できずに大粒径の粒子が生成してしまうため、均一な粒径が得られない。また、1ml/時間に満たないと、十分な生産性を確保することができない。
上記金属イオン水溶液の滴下速度は10〜200ml/時間の範囲とすることが好ましく、20〜200ml/時間の範囲とすることがより好ましい。
(金属水酸化物とする工程)
本工程においては、前記のようにして形成したミセルを水酸化処理し、前記有機化合物部分に結合された金属イオン(有機化合物金属塩中の金属イオン)を水酸化し水酸化物とする。
なお、第4の本発明では、前記のように有機化合物金属塩の水溶液を作製する工程において、有機化合物金属塩はミセル状態の粒子となっており、好ましい態様としてそのミセルの外側(水側)に金属イオンがある状態となっている。
本発明においては、最終的に表面が有機化合物で被覆された難燃性粒子とする必要があるため、前記のようにして作製したミセルの外側に金属イオン(または金属水酸化物)を有する粒子の場合には、逆層ミセル(疎水基を外側に向けたミセル)とする必要がある。
上記逆層ミセルとするには、例えば前記ミセルの外側に金属イオンあるいは金属水酸化物を有する粒子のゾルを、有機溶媒中に展開することによって容易に行うことができるが、この工程は、前記金属水酸化物とする工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。
前記水酸化する工程において、水酸化には塩基性溶液が用いられ、具体的には、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等を用いることができる。水酸化を行うために、水酸基を1とすると0.1〜10当量のアルカリ溶液を必要とし、その濃度は、0.1〜80質量%の範囲とすることが必要である。また、用いることのできる溶媒としては、前述の各種溶媒が使用できる。
上記塩基性溶液の濃度は0.1〜80質量%の範囲が好ましく、5〜50質量%の範囲がより好ましい。
また、前記塩基性溶液の水溶液への滴下速度は、1〜200ml/時間の範囲とする。滴下速度が200ml/時間を超えると、前記被覆層を形成する反応が速すぎ均一な被覆層が得られない。また1ml/時間に満たないと、十分な生産性を確保することができない。
上記塩基性溶液の滴下速度は10〜200ml/時間の範囲とすることが好ましく、20〜200ml/時間の範囲とすることがより好ましい。
その他、水酸化の反応温度などの条件は、前記第3の本発明と同様である。
第4の本発明により得られる表面被覆難燃性粒子における有機化合物による表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の1〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜100質量%の範囲であることがより好ましく、30〜80質量%の範囲であることがさらに好ましい。被覆量が1質量%に満たないと、マトリックス樹脂中で凝集物が生成し、分散が不均一になってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂に分散したとき樹脂が可塑化してしまう場合がある。
また、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
本発明の第4の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、第1の本発明と同様に、体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)1〜500nmの範囲のものを好適に製造することができる。表面被覆難燃性粒子として好ましくは体積平均粒径が1〜200nmの範囲、より好ましくは5〜200nmの範囲、さらに好ましくは10〜200nm(特に10〜100nm)の範囲程度である。
また、表面被覆難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
<第5の表面被覆難燃性粒子の製造方法>
本発明の第5の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、少なくとも、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiから選ばれる1種類の金属の水和物からなり体積平均粒径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子の表面に、有機化合物からなる被覆層を形成する工程を含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、前記被覆層を形成する工程が、前記難燃性粒子100質量部に対して前記有機化合物を10〜80質量部混合し、表面融合による乾式処理を行う工程であることを特徴とする。
上記第5の表面被覆難燃性粒子の製造方法は、表面融合により難燃性微粒子の表面に被覆層を形成するものである。ここで、「表面融合」とは、粒子に機械的エネルギーを与えてメカノケミカル的な反応を生じさせ、粒子表面に有機物を被覆する方法である。この製造方法では、溶液を使用せず乾式で均一な被覆層を形成することができる。
本製造方法には、少なくとも、前記難燃性微粒子と有機化合物とを混合し、表面融合する工程が含まれる。
前記有機化合物としては、難燃性微粒子表面に対して活性な官能基を有するものであることが好ましく、例えば脂肪族有機酸及びその塩、具体的にはステアリン酸、ラウリル酸、イソステアリン酸などが好ましく用いられる。
前記有機化合物は、難燃性粒子100質量部に対して、10〜80質量部の範囲で混合することが必要であり、20〜70質量部の範囲で混合することが好ましく、30〜50質量部の範囲で混合することがより好ましい。混合量が10質量部に満たないと、十分に難燃性粒子表面を被覆することができず、マトリックス樹脂への相溶性が悪くなる。また、80質量部を超えると、難燃性粒子表面に被覆されない有機化合物が生じるため、マトリックス樹脂と混合した際に、機械的強度の低下等、樹脂特性に悪影響を与える。
本製法においては、有機化合物からなる表面被覆層を形成する工程で、前記有機化合物に加えてシランカップリング剤やシラン化合物を併用して表面融合処理することができる。これらを併用することにより、有機化合物とシラン化合物のハイブリッド被覆粒子を合成でき、難燃性を向上させることができる。
上記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン等のビニルシラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン;その他γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
また、前記シラン化合物の例としては、メチルトリクロロシラン、トリメチルクロロシラン等のクロロシラン;デシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン;ヘキサメチルジシラザン等のシラザン;その他N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、環状シラン化合物等を挙げることができる。
前記シランカップリング剤やシラン化合物は、前記有機化合物100質量部に対して10〜80質量部の範囲とすることが好ましく、10〜60質量部の範囲とすることが好ましい。
第5の表面被覆難燃性粒子の製造方法における難燃性粒子等は、前記第1の表面被覆難燃性粒子の製造方法で用いたものと同様である。そして、難燃性微粒子と前記有機化合物等との混合は、特に限定されないが、容器回転型(容器自体が回転、振動)、機械攪拌型(容器は固定、羽根で攪拌)、流動攪拌型(空気、ガスで攪拌)、無攪拌型(重力流動と分岐板、管による流露分割)等の混合機を用いて行うことが好ましい。
本製造方法においては、上記混合物を用いて難燃性微粒子の表面に表面融合による乾式処理を行う。該乾式処理の方法としては、難燃性粒子と有機化合物、もしくは難燃性粒子と混合物とを機械的外力によって衝突させることができる処理であればよく、例えば、下記に示すメカノフュージョン法によるメカノケミカル的な反応を利用する方法が挙げられる。
図1に、前記メカノフュージョン法を実施できる装置の基本原理(断面図)を模式的に示す。
図においては、回転容器であるロータ10に投入された粉体試料30は、矢印A方向の遠心力によりその内壁に押しつけられて固定され、曲率半径の異なるインナーピース20との間で強力な圧縮・せん断力を受ける。ロータ10の壁面のスリットを通してロータ10の外側に送られた粉体原料は、それに取付けられた循環用ブレードによりロータ上部に搬送され、再び回転するロータ内に戻され、インナーピース20から強力な力を受ける。こうして、粉体原料の3次元的な循環と効果的な圧縮・せん断処理が繰り返されて、複合化処理が行われる。インナーピース20とローター10間の距離であるインナーピースクリアランスは、0.1〜10mmの範囲であることが好ましく、1〜5mmの範囲にあることがさらに好ましい。インナーピースクリアランスが0.1mmに満たないと、剪断力が過剰になるため装置自体が破損する恐れがあり、10mmを超えると剪断力が不足するため十分な表面被覆が行えない。
第5の本発明により得られる表面被覆難燃性粒子における有機化合物による表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の1〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜100質量%の範囲であることがより好ましく、30〜80質量%の範囲であることがさらに好ましい。被覆量が1質量%に満たないと、マトリックス樹脂中で凝集物が生成し、分散が不均一になってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂に分散したとき樹脂が可塑化してしまう場合がある。
また、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
本発明の第5の表面被覆難燃性粒子の製造方法によれば、第1の本発明と同様に、体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)1〜500nmの範囲のものを好適に製造することができる。表面被覆難燃性粒子として好ましくは体積平均粒径が1〜200nmの範囲、より好ましくは5〜200nmの範囲、さらに好ましくは10〜200nm(特に10〜100nm)の範囲程度である。
また、表面被覆難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく。分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
次に、本発明により得られる表面被覆難燃性粒子を用いた難燃性樹脂組成物及びその製造方法について説明する。
前記難燃性樹脂組成物は、マトリックス樹脂に、前記本発明により得られた表面被覆難燃性粒子を配合してなる。
本発明の表面被覆難燃性粒子の製造方法により製造された特定の難燃性微粒子を用いることにより、後述するように、マトリックス樹脂中への難燃剤の分散を向上させ、難燃性を維持しつつポリマー物性を低下させない難燃性樹脂組成物を得ることができる。なお、上記難燃性とは、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂100質量部に対し難燃性化合物を5質量部含有させた時に、ISO5660−1に規定する最高発熱速度が難燃性化合物を含む前と比較して25%以上減少するものをいう。
本発明により得られた表面被覆難燃性粒子が分散される難燃性樹脂組成物のマトリックス樹脂としては、ゴム・プラスチックなどの高分子化合物であれば特に限定されるものではなく、具体的には、生分解性樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ASA樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、エルロールプラスチック樹脂、塩素化ポリエーテル、塩素化ポリエチレン、アリル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、FRP、アイオノマー、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、ニトリル樹脂、ポリエステル、オレフィンビニルアルコール共重合体、石油樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアリルスルフォン、ポリベンゾイミダゾール、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリケトン、メタクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリスチレン、SAN樹脂、ブタジエン−スチレン樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリ酢酸ビニル、キシレン樹脂、熱可塑性エラストマー、EPDM、CR、BR、ニトリルゴム、天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム等が挙げられる。
これらの中では、特に生分解性樹脂が特に好ましい。また、これらは、単独もしくは2つ以上で複合して使用することができる。
前記難燃性樹脂組成物には、通常配合される安定剤などを配合させることができる。これらは特に限定されるものではないが、例えば、橋掛け剤、橋掛け促進剤、橋掛け促進助剤、活性剤、橋掛け抑制剤、老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、補強剤、強化剤、発砲剤、発泡助剤、安定剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、変性剤、着色剤、カップリング剤、防腐剤、防カビ剤、改質剤、接着剤、付香剤、重合触媒、重合開始剤、重合禁止剤、重合抑制剤、重合調整剤、重合開始剤、結晶核剤、相溶化剤、分散剤、消泡剤などが挙げられる。
これらは、単独もしくは2つ以上で複合して使用することができる。
前記難燃性樹脂組成物には、前記表面被覆難燃性粒子のみだけではなく、さらに粒子径の大きい難燃性化合物と併用することによって、ポリマーマトリックス中において大きな粒子同志の隙間を小さな難燃性微粒子が埋める石垣のような効果により、隙間なくマトリックス樹脂中に難燃性物質を行き渡らせる効果がある。そして上記の効果によって、難燃性はさらに向上する。
前記難燃性化合物としては、体積平均粒子径が0.5〜50μmの範囲であるものが好ましく、0.5〜30μmの範囲であることがより好ましい。体積粒子径が0.5μmに満たないと、粒子が小さすぎて前記石垣のような構造を採ることができない場合がある。50μmより大きいと、ポリマーの機械的特性を低下させる原因となる。
前記難燃性化合物としては、特に制限されないが、水和金属化合物、無機水和物、窒素含有化合物、及び珪素含有無機充填剤から選択される1種以上を用いることが好ましい。
前記水和金属化合物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウムのうちから選択されるいずれかであることが好ましい。また、前記無機水和物としては、アルミン酸化カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ砂、及びカオリンクレーのうちから選択されるいずれかであることが好ましい。また、前記窒素含有化合物は硝酸ナトリウムであることが好ましい。さらに、前記珪素含有無機充填剤は、モリブデン化合物、ジルコニウム化合物、アンチモン化合物、ドーソナイト、プロゴパイト、及びスメクタイト等から選択されるいずれかであることが好ましい。
上記難燃性化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記難燃性化合物としては、前記表面被覆難燃性粒子に用いられる無機微粒子を構成する化合物と同一であっても、異なってもよい。
前記難燃性化合物の含有量は、前記表面被覆難燃性粒子100質量部に対し、0.1〜200質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜50質量部の範囲であることがより好ましい。含有量が0.1質量部に満たないと、含有量が少なすぎ前記石垣のような構造を採ることができない場合がある。200質量部を超えると、難燃性化合物の量が多くなりすぎポリマーの機械的特性が低下する場合がある。
また、本発明における表面被覆難燃性粒子のみだけではなく、有機化処理したスメクタイト類と併用することによって、マトリックス樹脂中において大きなアスペクト比のスメクタイト類粒子同志の隙間を小さな難燃性微粒子が埋める点と線のような効果により、隙間なくマトリックス樹脂中に難燃性物質を行き渡らせる効果がある。
付け加えるに、前記有機化処理したスメクタイト類が樹脂中に分散した際にその樹脂は透明になり、本発明の難燃性微粒子が可視光以下の大きさであり、かつ、樹脂に配合する際にも均一に分散するため、その併用配合樹脂は透明性に優れる。
前記難燃性樹脂組成物は、以上述べた表面被覆難燃性粒子、マトリックス樹脂、及び必要に応じて難燃性化合物、安定剤などを混合し、これを混練機で混練することにより得ることができる。
上記混練機としては、特に制限されないが、3本ロールや2本ロールを用い、せん断応力と位置交換の繰り返しによって、難燃性微粒子を分散させる方法、及びニーダー、バンバリーミキサー、インターミックス、1軸押出機、2軸押出機を用い、分散機壁面の衝突力やせん断力によって分散させる方法が、高い分散性を得る観点から好ましく用いられる。
混練温度は、用いるマトリックス樹脂、表面被覆難燃性粒子の添加量等によって異なるが、50〜450℃の範囲が好ましく、60〜380℃の範囲がより好ましい。
一方、本発明における表面被覆難燃性粒子は、表面に有機層を好適に有していることから、前記ニーダー、2軸押出機及びロールなどの機械的混合のみならず、マトリックス樹脂が溶解する、もしくは膨潤する溶液中においても樹脂中に均一分散させることができる。
また、樹脂製造の重合過程において、難燃性微粒子を重合溶媒とともに混合することも可能である。このように樹脂への分散において大きな自由度を持つことは、配合量が少なくても難燃性が出現し、機械的強度を損なわないことにより、加工性が向上していると考えられる。よって、ペレット、繊維、フィルム、シート、構造物など、幅広い形状の加工品を得る加工方法への適用が可能となる。
前記マトリックス樹脂を溶解等させる溶媒あるいは重合溶媒としては、特に限定されるものではなく、メタノール、エチルホルムアミド、ニトロメタン、エタノール、アクリル酸、アセトニトリル、アニリン、シクロヘキサノール、n−ブタノール、メチルアミン、n−アミルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エチル、トルエン、ジエチルケトン、四塩化炭素、ベンゾニトリル、シクロヘキサン、イソブチルクロリド、ジエチルアミン、メチルシクロヘキサン、酢酸イソアミル、n−オクタン、n−ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メチルイソプロピルケトン、酢酸ブチル、メチルプロピルケトン、エチルベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、ピリジン、n−ヘキサノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、エチレングリコール、グリセロールホルムアミド、ジメトルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
これらは単独もしくは2つ以上で複合して使用することができる。
また、その際の混合温度は0〜200℃の範囲、好ましくは室温から150℃の範囲、特に好ましくは10〜100℃の範囲であり、場合によっては、圧力をかけてもよいし、かけなくてもよい。
混練または上記溶液分散後の難燃性樹脂組成物中には、表面被覆難燃性粒子が一次粒径で均一に分散していることが好ましい。この分散状態については、難燃性樹脂組成物のシートについて紫外、可視光による透過率を測定することにより、簡易に測定することができる。
測定法は、テトラヒドロフラン100mLにエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デユポン製、EV260)10gを溶解させた溶液に、難燃剤微粒子0.5gを分散させた試料溶液をガラス基板上にキャストし、60℃にて3時間乾燥させ厚み20μmのフィルムを作製し、これを試料として、紫外・可視光分光光度計にて透過率を測定するものである。
上記測定法により求めた透過率は、550nmの測定において、40〜90%の範囲であることが好ましく、60〜90%の範囲であることがより好ましい。
以下、本発明について実施例により具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、本発明の表面被覆難燃性粒子の製造方法を用いた表面被覆難燃性粒子の製造例を示す。また、併せてこれらの特性についても検討した。
<実施例1(表面被覆難燃性粒子A1の製造)>
2000mlのセパラブルフラスコにイオン交換水1000mlを入れ、これに有機化合物金属塩としてイソステアリン酸ナトリウム200g(16.7質量%)と、分散剤としてポリビニルアルコール(スチレン換算重量平均分子量:2000)0.1gと加え加熱溶解させた。室温まで冷却した後、難燃性粒子として体積平均粒径が80nmの水酸化マグネシウム微粒子(宇部マテリアル社製、マグネシア500H)10g(分散濃度:0.83質量%)を加え、攪拌・超音波処理を施し分散液を作製した。
次に、この分散液に攪拌・超音波処理を行いながら、2質量%の塩酸200mlを滴下速度40ml/時間として滴下した。塩酸滴下後、分散液は水酸化マグネシウムゾルに転化した。次いで、得られた水酸化マグネシウムゾルをトルエンに溶解させ、遠心分離機にて再びゾルを沈殿させた。その沈殿物を真空乾燥機にて乾燥させ、表面被覆難燃性粒子A1を得た。
得られた表面被覆難燃性粒子A1の体積平均粒子径は80nm、分散度は0.5であった。また、表面被覆難燃性粒子A1を精秤して表面被覆量を算出したところ50質量%であり、透過型電子顕微鏡(FEI Company TecnaiG2)による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
<実施例2(表面被覆難燃性粒子A2の製造)>
実施例1において、イソステアリン酸ナトリウム200gの代わりにオクタン酸ナトリウム500g(33.3質量%)を、ポリビニルアルコールの代わりにポリビニル−2−ピロリドンを、水酸化マグネシウム10gの代わりに体積平均粒径が10nmの水酸化アルミニウム1g(分散濃度:0.07質量%)を用い、塩酸の滴下速度を20ml/時間とした以外は同様にして、表面被覆難燃性粒子A2を製造した。
得られた表面被覆難燃性粒子A2の体積平均粒子径は10nm、分散度は0.3であった。また、表面被覆難燃性粒子A2を精秤して表面被覆量を算出したところ80質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
<実施例3(表面被覆難燃性粒子B1の製造)>
2000mlのセパラブルフラスコにエタノール1000mlを入れ、これに有機化合物金属塩としてオクタン酸200g(16.7質量%)と、分散剤としてポリビニルアルコール(スチレン換算重量平均分子量:2000)0.1gと加え加熱溶解させた。室温まで冷却した後、難燃性粒子として体積平均粒径が80nmの水酸化マグネシウム微粒子(宇部マテリアル社製、マグネシア500H)10g(分散濃度:0.83質量%)を加え、攪拌・超音波処理を施し分散液を作製した。
次に、この分散液に攪拌・超音波処理を行いながら、イオン交換水200mlを滴下速度40ml/時間で滴下した。イオン交換水滴下後、分散液は水酸化マグネシウムゾルに転化した。次いで、得られた水酸化マグネシウムゾルをトルエンに溶解させ、遠心分離機にて再びゾルを沈殿させた。その沈殿物を真空乾燥機にて乾燥させ、表面被覆難燃性粒子B1を得た。
得られた表面被覆難燃性粒子B1の体積平均粒子径は80nm、分散度は0.5であった。また、表面被覆難燃性粒子B1を精秤して表面被覆量を算出したところ40質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
<実施例4(表面被覆難燃性粒子B2の製造)>
実施例3において、オクタン酸の量を500g(33.3質量%)とし、ポリビニルアルコールの代わりにポリビニル−2−ピロリドンを、水酸化マグネシウム10gの代わりに体積平均粒径が10nmの水酸化アルミニウム1g(分散濃度:0.07質量%)を用い、イオン交換水の滴下速度を20ml/時間とした以外は同様にして、表面被覆難燃性粒子B2を製造した。
得られた表面被覆難燃性粒子B2の体積平均粒子径は10nm、分散度は0.3であった。また、表面被覆難燃性粒子B2を精秤して表面被覆量を算出したところ70質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
<比較例1(表面被覆難燃性粒子C1の製造)>
実施例1において、体積平均粒径80nmの水酸化マグネシウムの代わりに体積平均粒径が2000nmの水酸化マグネシウムを用いた以外は同様にして、表面被覆難燃性粒子C1を製造した。
得られた表面被覆難燃性粒子C1の体積平均粒子径は2000nm、分散度は3.0であった。また、表面被覆難燃性粒子C1を精秤して表面被覆率を算出したところ5質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも未被覆部の発生が確認された。
<比較例2(表面被覆難燃性粒子C2の製造)>
実施例1において、イソステアリン酸ナトリウムの量を50g(4.8質量%)とし、分散剤を使用せず、塩酸の滴下速度を250ml/時間とした以外は同様にして、表面被覆難燃性粒子C2を製造した。
得られた表面被覆難燃性粒子C2の体積平均粒子径は80nm、分散度は0.17であった。また、表面被覆難燃性粒子C2を精秤して表面被覆量を算出したところ20質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察では粒子同士が凝集していることが確認された。
なお、その他の難燃性粒子D1として、未処理の体積平均粒径が80nmの水酸化マグネシウム微粒子(宇部マテリアル社製、マグネシア500H)を用意した。
<表面被覆難燃性粒子の特性評価>
(試験例1〜12)
−難燃性樹脂組成物の作製−
前記表面被覆難燃性粒子A1〜A2、B1〜B2と、各種樹脂(ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチック製 S−2000;ABS樹脂、テクノポリマー製 600)とを、表1に示すように所定量秤量・混合した後、2軸押出機を用いて混練してストランドをホットカットすることで、チップ(難燃性樹脂組成物M1〜M12)を得た。得られたチップを加熱プレス(120℃×10分間)にて成形することによって、2mm厚の各シート状成形体を得た。
−難燃性樹脂組成物の評価−
上記の如く作製した各シート状成型体について、下記の評価を行った。
・難燃性試験
難燃性試験としては、JIS Z 2391に従い垂直燃焼試験を行った。その試料厚みは、2mmにて試験を実施した。結果は、合格の場合はV0、V1、V2の順で高いレベルとし、これらに達しないものを不合格とした。
・機械的強度試験
機械的強度試験としては、オートグラフ((株)東洋精機製作所製、V1−C)を用い、JIS K 7161に準拠して、常温にて引張速度を50mm/minとして、引張弾性率、引張強度、及び破断伸びを測定した。
・光透過度
全光線透過率の測定は、JIS K7105に準拠して測定した(ヘイズメーター:日本電色社製)。試料は、100mm×100mm×20μmのものを使用した。
さらに、テトラヒドロフラン100mlにエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デユポン製 EV260)10gを溶解させた溶液に、上記難燃剤微粒子0.5gを分散させた試料溶液をガラス基板上にキャストし、60℃にて3時間乾燥させ厚み20μmのフィルムを作製し、ヘイズメーターにて透過率を測定した。
結果を表1にまとめて示す。
Figure 2006232980
(比較試験例1〜14)
表面被覆難燃性粒子C1〜C2、及び難燃性粒子D1を用い、表2に示す配合で前記試験例と同様にして難燃性樹脂組成物M13〜M26を作製し、同様の評価を行った。
結果を表2に示す。
Figure 2006232980
<実施例5(表面被覆難燃性粒子E1の製造)>
ステアリン酸マグネシウム(関東化学製、25031−01)0.01モル(3.06g)をトルエン100mlに溶解(展開)し(濃度:3.4質量%)、この溶液に、さらに、28質量%のアンモニア水溶液を1ml加えて水酸化マグネシウムゾルを得た。このゾルを遠心分離機にて5000rpmで10分間処理し、再びゾルを沈殿させた。その沈殿物を真空乾燥機にて乾燥させ、1.63gの水酸化マグネシウムゾル(表面被覆難燃性粒子E1)を得た。
得られたゾルをトルエンに分散し、粒度分布をレーザードップラー式粒度分布計で測定したところ、体積平均粒子径は89nm、分散度は0.23であった。また、上記ゾルを透過型電子顕微鏡(FEI Company TecnaiG2)で観察したところ、表面被覆難燃性粒子E1の形状は球状であり、均一な被覆層(被覆量:35質量%)が観察された。さらに、熱分析による含水率は22質量%であった。
なお、上記含水率はDSC(示差走査熱量測定)により吸熱量を測定することにより求めた。具体的には、示差走査型熱量計DSC−3200(島津製作所社製)を用い、窒素雰囲気下で常温から160℃まで昇温速度10℃/minで測定を行い、100℃付近の吸熱ピークのピーク面積から吸熱量を求めた。
<実施例6(表面被覆難燃性粒子E2の製造)>)
ラウリン酸アルミニウム(関東化学製、01166−01)0.01モル(6.25g)をトルエン100mlに溶解し(濃度:6.7質量%)、その溶液に、さらに28質量%のアンモニア水溶液を1ml加えて、水酸化アルミニウムゾルを得た。このゾルを遠心分離機にて5000rpmで10分間処理し、再びゾルを沈殿させた。その沈殿物を真空乾燥機にて乾燥させ、1.58gの水酸化アルミニウムゾル(表面被覆難燃性粒子E2)を得た。
得られたゾルをトルエンに分散し、粒度分布をレーザードップラー式粒度分布計で測定したところ、体積平均粒子径は56nm、分散度は0.23であった。また、上記ゾルを透過型電子顕微鏡(FEI Company TecnaiG2)で観察したところ、表面被覆難燃性粒子の形状は球状であり、均一な被覆層(被覆量:35質量%)が観察された。さらに、熱分析による含水率は27質量%であった。
なお、その他の難燃性粒子F1として、未処理の体積平均粒径が1000nmの水酸化マグネシウム粒子(協和化学社製、キスマ5)を用意した。
<表面被覆難燃性粒子の特性評価>
(試験例13〜15、比較試験例15〜17)
−難燃性樹脂組成物の作製−
前記表面被覆難燃性粒子E1〜E2、F1と、ABS樹脂(テクノポリマー製 600)とを、表3に示すように所定量秤量・混合した後、2軸押出機を用いて混練してストランドをホットカットすることで、チップ(難燃性樹脂組成物)を得た。得られたチップを加熱プレス(120℃×10分間)にて成形することによって、2mm厚の各シート状成形体を得た。
−難燃性樹脂組成物の評価−
上記の如く作製した各シート状成型体について、下記の評価を行った。
・難燃性試験
難燃性試験としては、JIS Z 2391に従い垂直燃焼試験を行った。その試料厚みは、2mmにて試験を実施した。結果は、合格の場合はV0、V1、V2の順で高いレベルとし、これらに達しないものを不合格とした。
・機械的強度試験
機械的強度試験としては、オートグラフ((株)東洋精機製作所製、V1−C)を用い、JIS K 7161に準拠して、常温にて引張速度を50mm/minとして、曲げ弾性率、引張強度、及び破断伸びを測定した。
さらに、順風乾燥オーブンにて、90℃で360時間放置後の機械的特性の維持性を、放置前のそれぞれの物性からの回復率(%)として求めた。
結果を表3にまとめて示す。
Figure 2006232980
(試験例16〜18、比較試験例18〜20)
樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック製 S−2000)を用い、表4に示す配合で前記試験例と同様にして難燃性樹脂組成物を作製し、同様の評価を行った。なお、これらの試験例では機械的特性の回復率は測定せず、前記光透過率について併せて評価した。
結果を表4に示す。
Figure 2006232980
<実施例7(表面被覆難燃性粒子G1の製造)>
ステアリン酸マグネシウム(関東化学製、25031−01)10g及びキレート化合物としてエチレンジアミン1gを水100mlに溶解し(有機化合物金属塩の濃度:9.0質量%)、この水溶液に、10質量%の塩化マグネシウム水溶液50mlを滴下速度150ml/時間で滴下した。次に、これに28質量%アンモニア水溶液を10mlを滴下速度10ml/時間で滴下し、水酸化マグネシウムゾルを得た。このゾルを遠心分離機にて5000rpmで10分間処理し、再びゾルを沈殿させた。その沈殿物を真空乾燥機にて乾燥させ、4.24gの水酸化マグネシウムゾル(表面被覆難燃性粒子G1)を得た。
得られたゾルをトルエンに分散し、粒度分布をレーザードップラー式粒度分布計で測定したところ、体積平均粒子径は73nm、分散度は2.4であった。また、上記ゾルを透過型電子顕微鏡(FEI Company TecnaiG2)で観察したところ、表面被覆難燃性粒子E1の形状は球状であり、均一な被覆層(被覆量:31質量%)が観察された。さらに、熱分析による含水率は22質量%であった。
なお、その他の難燃性粒子F1として、未処理の体積平均粒径が1000nmの水酸化マグネシウム粒子(協和化学社製、キスマ5)を用意した。
<表面被覆難燃性粒子の特性評価>
(試験例19〜20、比較試験例21〜23)
−難燃性樹脂組成物の作製−
前記表面被覆難燃性粒子G1〜G2、F1と、ABS樹脂(テクノポリマー製 600)とを、表5に示すように所定量秤量・混合した後、2軸押出機を用いて混練してストランドをホットカットすることで、チップ(難燃性樹脂組成物)を得た。得られたチップを加熱プレス(120℃×10分間)にて成形することによって、2mm厚の各シート状成形体を得た。
−難燃性樹脂組成物の評価−
上記の如く作製した各シート状成型体について、下記の評価を行った。
・難燃性試験
難燃性試験としては、JIS Z 2391に従い垂直燃焼試験を行った。その試料厚みは、2mmにて試験を実施した。結果は、合格の場合はV0、V1、V2の順で高いレベルとし、これらに達しないものを不合格とした。
・機械的強度試験
機械的強度試験としては、オートグラフ((株)東洋精機製作所製、V1−C)を用い、JIS K 7161に準拠して、常温にて引張速度を50mm/minとして、曲げ弾性率、引張強度を測定した。
結果を表5にまとめて示す。
Figure 2006232980
(試験例21〜22、比較試験例24〜26)
樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック製 S−2000)を用い、表6に示す配合で前記試験例と同様にして難燃性樹脂組成物を作製し、同様の評価を行った。なお、これらの試験例では機械的特性の破断伸び、及び前記光透過率について併せて評価した。
結果を表6に示す。
Figure 2006232980
<実施例8>
(表面融合による粒子の表面処理)
表面融合のための処理装置としてメカノフュージョンシステム(AMS−Lab、ホソカワミクロン社製)を用い、1Lの容量機に難燃性粒子として体積平均粒径が80nmの水酸化マグネシウム微粒子(宇部マテリアル社製、マグネシア500H)300gと、ステアリン酸90gとを投入し、インナーピースクリアランスを5mm、回転数を2600rpmとして、負荷電力と温度の経時変化を追った。その結果を表7に示す。
得られた表面被覆難燃性粒子H1の体積平均粒子径は80nm、分散度は0.5であった。また、表面被覆難燃性粒子H1を精秤して表面被覆量を算出したところ30質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
(表面被覆性の評価)
上記のようにして作製された表面処理微粒子の表面被覆性を、下記の試験方法により調べた。
表面処理粒子0.1gを水10ml及びトルエン10mlに展開し、シェイカーにて10分間振りその相溶性を観察した。結果を表8に示す。
<実施例9>
実施例8において、水酸化マグネシウムとして体積平均粒径が200nmのもの(堺化学社製)を用い、ステアリン酸の量を30gとした以外は同様にして表面処理微粒子を作製し、同様の評価を行った。
なお、得られた表面被覆難燃性粒子H2の体積平均粒子径は200nm、分散度は0.8であった。また、表面被覆難燃性粒子H2を精秤して表面被覆量を算出したところ15質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
結果を表7、8に示す。
<実施例10>
実施例8において、ステアリン酸の量を150gとし、インナーピースクリアランスを3mmとした以外は同様にして表面処理微粒子を作製し、同様の評価を行った。
なお、得られた表面被覆難燃性粒子H3の体積平均粒子径は80nm、分散度は0.5であった。また、表面被覆難燃性粒子H3を精秤して表面被覆量を算出したところ30質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
結果を表7、8に示す。
<実施例11>
実施例9において、ステアリン酸の量を10gとし、インナーピースクリアランスを3mmとした以外は同様にして表面処理微粒子を作製し、同様の評価を行った。
なお、得られた表面被覆難燃性粒子H4の体積平均粒子径は200nm、分散度は0.8であった。また、表面被覆難燃性粒子H4を精秤して表面被覆量を算出したところ15質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
結果を表7、8に示す。
<比較例3>
容量が1Lのニーダーに、体積平均粒径が10nmの水酸化マグネシウム微粒子(宇部マテリアル社製、マグネシア500H)300gとステアリン酸150gとを投入し、回転数を100rpm(MAX)にて10分間混合した。その時の負荷電力と温度の経時変化を表7に、処理後の微粒子について実施例8と同様にして評価した結果を表8に示す。
なお、得られた表面被覆難燃性粒子I1の体積平均粒子径は10nm、分散度は0.8であった。また、表面被覆難燃性粒子I1を精秤して表面被覆量を算出したところ20質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察では、水酸化マグネシウム微粒子の凝集物に対して被覆されている粒子が存在することが確認された。
Figure 2006232980
Figure 2006232980
表面被覆難燃性粒子H1、H2を水に展開したところ、ほとんどの粒子は浮遊するものの若干の沈降物あり、トルエンでは溶液が透明になるもののやや沈降物も見られた。表面被覆難燃性粒子H3、H4は水に展開したところ、粒子は完全に浮遊し、トルエンでは溶液が透明になり相溶した。
一方、表面被覆難燃性粒子I1は水に展開したところ、ほとんどの粒子は沈降し、トルエンでもほとんど沈降した。
<表面被覆難燃性粒子の特性評価>
(試験例23〜26)
−難燃性樹脂組成物の作製−
表面被覆難燃性微粒子H1〜H4の各々50質量部と、ABS樹脂(旭化成社製、121)100質量部とを2軸押出機にて混練してストランドをホットカットすることで、チップ(難燃性樹脂組成物)を得た。得られたチップを加熱プレス(120℃×10分間)にて成形することによって2mm厚の各シート状成形体を得た。
−難燃性樹脂組成物の評価−
上記の如く作製した各シート状成形体について、下記の評価を行った。
・機械的強度試験
機械的強度試験としては、オートグラフ((株)東洋精機製作所製、V1−C)を用い、JIS K 7161に準拠して、常温にて引張速度を50mm/minとして、引っ張り強度を測定した。
・難燃性試験
難燃性試験としては、JIS Z 2391に従い垂直燃焼試験を行った。その試料厚みは、2mmにて試験を実施した。結果は、合格の場合はV0、V1、V2の順で高いレベルとし、これらに達しないものを不合格とした。
結果を表9にまとめて示す。
(比較試験例27〜29)
表面被覆難燃性粒子I1(比較試験例27)、及び難燃性粒子として体積平均粒径80nmの水酸化マグネシウム未処理品(比較試験例28)、体積平均粒径200nmの水酸化マグネシウム未処理品(比較試験例29)を用い、同様にして難燃性樹脂組成物を作製し、同様の評価を行った。
なお、前記ABS樹脂単独の引張強度は42MPaであり、難燃性はV2不合格であった。
結果を表9に示す。
Figure 2006232980
試験例23〜26と比較試験例27では押出成形することができた。また、表9に示すように、引張強度もABS樹脂のみと比較してやや劣るものの大きな低下はなかった。難燃性は、試験例23〜26はV2合格、比較試験例27は不合格であった。
一方、比較試験例28、29の未処理組成物は増粘し、2軸押出機が止まってしまい、ABS樹脂100質量部に50質量部を混合することができなかった。
よって、表面融合による表面処理は有効であり、その効果も認められた。
以上の結果から、本発明により得られる表面被覆難燃性粒子を配合した難燃性樹脂組成物は、高い難燃性を有し、かつ、機械的特性を損なわず、透明性がある概観を有することがわかる。また、通常の難燃剤(難燃性化合物)と併用した場合においても、高い難燃性を有し、かつ機械的特性を損なわないこともわかった。
本発明における乾式処理を行う装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
10 ロータ
20 インナーピース
50 粉体試料

Claims (6)

  1. 少なくとも、有機化合物金属塩及び分散剤を溶解させた水溶液中に、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属の水和物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液に酸性水溶液を滴下して前記難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する工程とを含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、
    前記水溶液における有機化合物塩の濃度を10〜50質量%の範囲、前記難燃性粒子の分散濃度を0.05〜5質量%の範囲とし、かつ、前記酸性水溶液の濃度を0.1〜50質量%の範囲、滴下速度を1〜200ml/時間の範囲としたことを特徴とする表面被覆難燃性粒子の製造方法。
  2. 少なくとも、水と混和する有機溶媒中に有機化合物及び分散剤を溶解した溶液中に、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属の水和物からなり体積平均粒子径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子を分散させて分散液を作製する工程と、該分散液に水を滴下して前記難燃性粒子表面に有機化合物を析出させて被覆層を形成する工程とを含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、
    前記溶液における有機化合物濃度を10〜50質量%の範囲、前記難燃性粒子の分散濃度を0.05〜5質量%の範囲とし、前記水の滴下速度を1〜200ml/時間の範囲としたことを特徴とする表面被覆難燃性粒子の製造方法。
  3. 少なくとも、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属を含む有機化合物金属塩を有機溶媒中へ展開した展開液を作製する工程と、前記有機化合物金属塩中に含まれる金属イオンに塩基を作用させて金属水酸化物とする工程とを含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、
    前記展開液における有機化合物金属塩の濃度を0.1〜10質量%の範囲とすることを特徴とすることを特徴とする表面被覆難燃性粒子の製造方法。
  4. 少なくとも、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属を含む有機化合物金属塩と、分散剤またはキレート化合物とを溶解させた水溶液を作製する工程と、該水溶液に金属イオン水溶液を滴下する工程と、該金属イオンを含む水溶液に塩基性水溶液を滴下して前記有機化合物金属塩中に含まれる金属イオンを金属水酸化物とする工程とを含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、
    前記水溶液における有機化合物金属塩の濃度を10〜50質量%の範囲とし、前記金属イオン水溶液の濃度を0.1〜50質量%の範囲、滴下速度を1〜200ml/時間の範囲とすることにより前記水溶液中の金属イオンの濃度を0.1〜10質量%の範囲とし、かつ、前記塩基性溶液の濃度を0.01〜50質量%の範囲、滴下速度を1〜200ml/時間の範囲としたことを特徴とする表面被覆難燃性粒子の製造方法。
  5. 少なくとも、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiから選ばれる1種類の金属の水和物からなり体積平均粒径が1〜500nmの範囲である難燃性粒子の表面に、有機化合物からなる被覆層を形成する工程を含む表面被覆難燃性粒子の製造方法であって、
    前記被覆層を形成する工程が、前記難燃性粒子100質量部に対して前記有機化合物を10〜80質量部混合し、表面融合による乾式処理を行う工程であることを特徴とする表面被覆難燃性粒子の製造方法。
  6. 前記表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径を、1〜500nmの範囲とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表面被覆難燃性粒子の製造方法。
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JP2018162400A (ja) * 2017-03-27 2018-10-18 大東化成工業株式会社 顔料粉体の表面処理方法

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