JP4271726B2 - 移動する紙又は厚紙ウエブの被覆方法及び装置 - Google Patents
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Description
本発明はまた、前記方法を実施するのに適した装置、即ち被覆が所望厚さの被覆層として非接触方式でウエブに直接付着されてなるアプリケーター装置を提供するものである。
紙の印刷性を改善するために、紙はミネラル顔料と結合剤成分を含むコーティング処方(formulation)で被覆される。多年にわたり、被覆の付着とレベリング(Levelling)は色々な装置を用いて実施されてきた。高いウエブ速度とプロセス効率及び紙品質の組み合わせに対する大きな要求がアプリケーター設備の開発を推進する刺激を構成する。
最初は、顔料−含有の処方はゲートロール形式のコーターを用いて実施され、その場合、コーティングミックスは先ず、1セットのトランスファーロールにそしてそこから更に移動する紙ウエブにファーニッシュ(furnish)ロールの助けをかりて計量供給された。しかし、かかるコーターの機能は400m/minを超えるウエブ速度で損なわれる。ロールのニップはコーティングミックスの跳ね返りを投げ始め、そしてコーティング被覆プロセスは許容可能な被覆品質を達成するのに必要な安定性を欠く。更に、被覆重量の良好な制御は上記技術を用いたとき達成が困難である。
特に表面サイジングのためには、下方に走行するウエブがロールによってシールされた被覆ミックスポンドを通過さられる型式のサイジングプレスが用いられる。この場合、ウエブ中の水分含量の大幅な増大と、付着したサイズ(size)の正確な量の困難な制御性とから問題が生じる。
キス(kiss)−コーティング技法では、コーティングミックスは紙ウエブ表面にキャスティング(casting)ロールから直接ニップ中に計量供給される。以前には、そして今日ですら厚紙被覆では、過剰の被覆は空気ナイフを用いて除去手入れされる。500m/minより上のウエブ速度ではスロットオリフィスから出る空気流の衝撃力はウエブ表面に付着される被覆層の有効な手入れ(doctoring)には不十分である。
コーティング速度の実質的増大は仕上げ被覆重量を制御するためのドクターブレードレベリング技法の採用により簡単化される。ブレードコーターの最初の世代では、ウエブは上から下へ走行するよう配置され、コーティングミックスは支持ロールとブレード間の凹所に形成したポンド内にポンプ送りされた。事実、同じ技法が2側面コーティングにまだ使用されている。
ブレードコーティング技法の実際のブレークスルー(break-through)はトランスファー被覆法の採用と共に起こった。この場合、被覆はトランスファーロールと支持ロール間のニップ中で直接ウエブ表面に付着される。過剰の被覆は全ウエブ幅に亘って延在するドクターブレードによって除去される。この種のコーティング技法はウエブ速度を約1300m/minに増大させることを可能にする。これより上のウエブ速度では、ニップにおける被覆の跳ね返りと移動するウエブと一緒にニップ中に連行されて、被覆ウエブにスキップ(skip)マークを生ぜしめる空気膜が、この方法に使用を、不可能にはしないにしても、極めて複雑になす。ウエブ速度が高ければ、高いほど、被覆ミックス成分の選択の自由度は小さくなる。
この場合、コーティングミックス処方は、時には最終製品の品質と妥協してさえも、ウエブランナビリティの拘束の下で選択されなければならない。
トランスファーコーターの不十分なランナビリティ(runnability)に起因して、ショート−ドエル(short-dwell)ドクターブレードコーターは軽い被覆を薄−カリパー(caliper)紙グレードに付着するための代案技法を提供するために開発された。この型式のコーターでは、ウエブはスロットオリフィスボックスを通って案内され、このボックスはショート−ドエル付着チャンバとドクターブレードによって形成されそして支持ロールに対して作動するよう適用される。この方法は当業者に極めて普及しており、有効なオン−マシン(on-machine)コーティングを簡単化した。また、この方法では、最大の実用ウエブ速度はさらなる発展のための制限ファクターとなった。1300m/minより上のウエブ速度では、アプリケーターフロー(flow)チャンバ内の乱れに起因して、ストリッピング(striping)が9g/m2より高い被覆重量で現れるだろう。更に、クロス−マシン(cross-machine)被覆形状の実質的障害が高い被覆重量で生じる。
紙の表面サイジングに典型的に使用されるフィルムトランスファー型コーターのデザインの改良はまた、これらのコーターの顔料被覆の付着への使用を拡大させた。この場合、先ず、コーティングミックスがショート−ドエルコーターに類似の装置によってトランスファーロールへ計量供給され、そこから被覆フィルムは更に2つのロールのニップ内で紙ウエブ表面に移される。この新規な技法は最初に表面サイジングに導入されそして後で異常に高いウエブ速度で顔料被覆の付着に導入された。しかし、ウエブがフィルムトランスファーニップを出たとき被覆フィルムの分割点に生じる跳ね返りと被覆ミストの形で問題が生じる。高ウエブ速度で付着したとき、10g/m2より重い被覆はオレンジ−皮組織と仕上げ最終製品に設定された仕様のすべてを満足することができない他の低−品質表面特性を欠点としてもつ。
付着ロール上で起こる被覆跳ね返りとウエブスキッピングの問題はより高いウエブ速度の方向により広い許容範囲を与えるノズル付着技法によって一般的に克服された。更に、重い被覆重量を付着するより良い能力はより長いドエルタイムによって提供される一層有効な水排出を通じて達成された。更に、被覆はドクターブレードを支持するより高い固体含量の層をベースシート表面に接近して形成し、それによってブレード安定性が改良されて、改良された平坦性をもつクロス−マシン形状が得られる。
ドクターブレードに基づくノズル付着工程と、スクレーパー素子に基づく後続のレベリング工程が同じ支持素子に対して実施されるとき、ウエブ中のフォームクリース(form creases)及び/又はバッグ(bags)のランナビリティの複雑化が一般に生じる。この問題は別個の支持素子に対して付着及びレベリング工程を実行することによって排除することができる。ドエルタイムと紙水分含量の結果として生じる増大により、若干の困難が軽量かつ高−水分−吸収紙グレードのランナビリティに生じる。
ショート−ドエルコーターのストライピング(striping)問題は被覆のフィルムトランスファーコーティング方法から既知のダム(dam)ブレード構造で軽減された。しかし、上記付着方法のすべては機械的接触とコーターによりウエブに及ぼされる負荷とによって妨げられる。特にウエブコーターでは、紙製造はベースシートの欠陥によって簡単に中断させられる。コーターラインの効率を改良するために製紙工場は強力な駆動装置をもつ。明らかに、価値ある製造時間はウエブ破断により失われる。慣例の付着技術では、ウエブ破断後に許容可能の品質を回復する時間は過度に長い時間がかかる。
ウエット−オン−ウエット(wet-on wet)コーティングのために、ブレードコーターは必ずしも最良の可能な代案ではない。このコーティング方法ではウエブの同じ側に少なくとも2つの被覆層が付着され、第1被覆上に、まだ湿っている間に、次の被覆層が中間乾燥なしに、直接付着されるようにされる。特に、前被覆の付着では、ストライピングや凹凸の如きウエブ欠陥は極めて有害である。それ故、ブレードコーターは被覆重量をその設定値に保つために連続制御を必要とする。それ故、制御された被覆付着を維持するためには前被覆重量を測定するための設備が必須である。被覆層の連続付着工程間で作動するかかる被覆重量測定システムは高価であり、時には配置することが不可能ですらある。それ故、後続の被覆層の付着とレベリングが既に付着したまだ湿っている被覆層を損ずることなく、実施できるように、安定な作業がウエット−オン−ウエットコーターに要求される。
支持されたウエブ通し(threading)の助けを借りて、製紙機械のランナビリティ(runnability)とコーティングステーションを改良する試みがなされてきた。その場合、極めて平滑な表面がコーターに使用される支持ワイヤ又はベルトから要求される。更に、支持表面の最小の不規則性は特にブレードコーターのみならずトランスファーコーターにさえにも、被覆マーキングを生ぜしめる。
高ウエブ速度では、オフ−マシン(off-machine)コーターの巻き戻し器上で満足に実施されたフライングスプライシング(flying splicing)のレート(rate)は大きく低下する。ここで要求されるスプライシング装置は高価になり、それにもかかわらず、スプライシングの正確なタイミングに問題が生じる。それ故、コーターの将来の発展は、スプライシングとロール交換に関連するかかる問題が仕上げ処理を乱すことのないオン−マシン(on-machine)コーターの実例を提供することを意図しなければならない。
ウエブに付着された被覆の手入れをなすブレードはブレード刃の下に塵集団を蓄積する傾向があるが、これは被覆のストリッピングを生じる。かかるコーティングの欠陥に起因して、大量の仕上げ紙がスクラップに転じる。
コーティングミックスの流動学的特性はブレードチップ領域の被覆ミックスに作用する高いシヤーレート(shear rate)の極めて強い界域に起因して、ウエブランナビリティの問題を生じるかも知れない。従って、可能なコーティングミックス処方の選択はしばしばブレード形状に関連する流動学的制約によって縮小される。
上記欠点を解消するために、紙コーティングは好適には、非接触法を用いて実施される。ウエブコーティングのための非接触法の使用により、ベースシートの欠陥が仕上げ処理を乱すことは防止される。ワイヤやベルトにより完全に支持されるウエブスレッディング(threading)システムで補完すれば、破断無しの完全自動化のコーティングプロセスを達成することは可能である。この場合、紙ウエブの欠陥は欠陥検出器で確認され、それらがその後の処理を妨げるのを防止するために、中間巻き取り中に除去される。高ウエブ速度用の設備の開発はウエブに加わる負荷によってはもはや妨げられない。付着被覆のオパシファイングパワーは、今日では厚紙コーターの最大速度を制限する主ファクターである空気ナイフが新規な技術によって置き換えられ得るように、良くなる。かくして、コーティングライン効率とコーターの製造処理量は、著しく高いレベルに上昇させることができる。
非接触コーティング法は例えば特許出願PCT/US91/03830、FI925404およびFI933323に記載されている。上記したコーターでは、コーティングミックスは別個のダクトを経てノズルに送られ、コーティングミックスの微粒化はノズルを通過する圧縮空気の助けを借りて行われる。しかし、本文中で詳細に後述するテストでは、不十分な微粒化は圧縮空気による送風−拡散に基づきノズルの使用からもたらされることが分かった。更に、かかる強力な空気流はコーティングミックス滴がシート面に衝突する前に、コーティングミックス滴の過剰の蒸発乾燥を生ぜしめる。被覆ミスト中の過剰サイズの滴はあばたのある、凸凹状に被覆された仕上げ表面を作り、これはクレータや山として被覆形状に現れる。
特許出願FI911390、US248,177及びPCT/FI89/00177はコーティングミックスエアゾルがガス−液体ノズル又は超音波ディフューザノズルを用いて別個のチャンバ又は装置で形成されて成るプリケーター装置を開示している。被覆エアゾルがアプリケーターノズルに送られ、この場合エアゾルがシート表面に衝突するよう別個のガス射出により指向される。ウエブに接着しないコーティングミックスエアゾルの一部分は吸引によりコーティングミックス循環部に戻される。かかる装置では、コーティングミックス滴はシート表面に達する前に蒸発させられ、それによってそれらのシートへの接着が損なわれる。続いて、紙が印刷工場で使用されるとき、多量の塵が印刷機械ロール上に堆積し、被覆がトリミング及び折り畳み設備内でダストを放出する。
特許出願PCT/FI93/00453に記載した装置では、被覆は上記方法を用いて付着され、次いでドクターユニットを用いて平坦化される。この方法は、上述の短所をもつ慣例のドクターブレード技法を除いては、一種の直接付着を意味する。
非接触コーター設備は周知であり、塗装及びコーティングシステム技術分野でしばしば使用される装置である。高圧空気無し噴霧ノズル設備は塗装用に市場で入手可能である。しかし、詳細に後述する様式でコーティングミックスを移動する紙又は厚紙ウエブに付着するために高圧空気無し噴霧ノズルを使用することは非接触付着技術の新規な応用である。
被覆すべき表面にコーティングミックス又は材料を噴霧することを可能ならしめるために、流体材料は小滴に分散させなければならない。この工程は微粒化(atomization)と称される。微粒化の基本的思想は塗装から色々な燃焼設備、エンジン、及びガススクラバーや蒸発タワーの如きマス(mass)及びヒートトランスファー用の装置に亘る多様な異なった用途をカバーする。一般的用語として、微粒化は流体材料の滴形状(即ち、丸い又は同様の形の粒子)への変換を指す。噴霧の型式は噴霧ジェットの横断面形状に従って類別される。正規には、中空又は固体円錐形又はファン形(fanned)噴霧が使用される。噴霧到達範囲(coverage)はノズルチップから或る一定距離の箇所での噴霧パターンの幅として定義される。噴霧角度はノズルにより放出される噴霧円錐体の開き角度である。
微粒化ノズルは4つの異なったクラスに分類される:
1)高圧空気無し噴霧ノズル(圧力アトマイザー)
2)回転遠心微粒化に基づくアトマイザー(回転アトマイザー)
3)空気−援助及び空気−送風ノズル(双子流体アトマイザー)
4)他の方法
高圧空気無し噴霧ノズル(アトマイザー)は、微粒化がその中で起こり、微粒化される流体の内圧によってのみ駆動される点に特徴を有する。微粒化空気は使用しない。実用テストでは、微粒化のための高圧空気無し噴霧ノズルは空気送風ノズルより優れていることが分かった。
本発明のパイロット規模テストでは、噴霧技術は最初に、コーティングミックスの付着工程に適用された。付着した被覆のレベリングは慣例のドクターブレード技術を用いて行われた。しかし、この組み合わせは従来のノズル付着方法を超える利益を与えなかった。
この方法では以下の欠点が分かった:
− テストに使用したノズル型式に対しては、コーティングミックスの粘度は、平滑な被覆を付着させるのに十分なコーティングミックスの微粒化を許すには高過ぎた;
− コーティングミックス滴はシート表面に十分に接着して広がるのに十分な運動エネルギーを得られなかった;
− 流体微粒化ノズルに使用した圧力レベルはコーティングミックスの微粒化に不十分であった。
微粒化付着方法に使用したコーティングミックスは、滴を平坦化してウエブ表面に接着させるようノズルホーム(home)に形成された被覆滴をシート表面に対して打ち付けるのに十分な高い運動エネルギーをもたなければならない。また、高いウエブ速度で滴は移動するシート表面と一緒に進行する空気フィルムによって形成されたバリヤーを貫通できなければならない。これらの要件は空気送風微粒化ノズルによっては満たすことはできない。というのは、送風空気流は被覆滴を強く蒸発させ、それによってシート表面上におけるコーティングミックスの沈着と広がりを悪化させるからである。それ故、達成可能な被覆品質は不満足なままに留まる。
本発明の目的は、上記技術の欠点のない非接触式被覆付着方法を提供することにある。
本発明の目的は、高圧空気無し噴霧ノズルの助けを借りてシート表面に被覆噴霧工程を実施することによって達成される。
更に詳細には、本発明の方法は請求項1の特徴部分に挙げた構成に特徴を有する。
更に、本発明の装置は、請求項12の特徴部分に規定した構成に特徴を有する。
本発明は大きな利益を与える。
本願の、被覆の手入れ(doctoring)を何ら必要としない全体的に非接触式の被覆付着方法は、コーティング設備のランナビリティを大幅に改良することができる。この方法はウエブには強い力を負荷させず、それによってコーティングは支持ロール又はベルト上を走行するウエブに対して実施することができ、この場合ウエブは不支持とすることさえできる。高圧空気無し噴霧ノズルは極めて平滑な表面を与え、この表面は空気ナイフによって得られるものと同様の被覆形状をもつ。しかしより平滑な表面では、或る場合には手入れした被覆のものより平滑ですらある。明らかに、被覆したウエブの平滑性はベースシート形状に影響される。それ故、被覆すべきベースシートは、有利には、噴霧した被覆の付着前にプリカレンダー処理工程を通して走行させられる。この方法では、被覆はベースシート表面上に一定厚さの均一層として定着し、それによって被覆層の高いオパシファイングパワー(opacifying power)が達成される。それ故、該方法は半漂白した厚紙グレードのみをコーティングするのに特に適する。被覆重量と形状の制御はノズル数と個々の各ノズルに対する被覆ポンピング(pumping)レートを変えることによって簡単にできる。実施したテストに基づけば、シート上への被覆噴霧の衝撃はコーティングミックスからベースシート内への水の強力な移動を起こさない。該方法はウエット−オン−ウエットコーティングに極めて良く適する。というのは、ノズルによって放出される被覆噴霧は前に付着した層を攪乱せず、そして湿っているウエブに加わる負荷は低いままに留まるからである。
以下、本発明を図に基づき詳細に説明する。
本発明によれば、コーティングは、高圧空気無し噴霧ノズルによってウエブ1に付着される。高圧空気無し噴霧ノズルによれば、流体コーティングミックスがノズルヘッドで小オリフィスのノズルを通して、空気無しに加圧液体を通過させることによって微粒化される。したがって、噴霧コーター装置のコア部分は微粒化するノズル部分である。テストの結果、無空気型式の高圧空気無し噴霧ノズルは一般に好適なものであることが分かった。流体は1乃至1000バールの範囲に加圧される。しかし、典型的な圧力は100乃至300バールの範囲内で変化する。また、100バールより下の圧力は無条件にコーティングミックスを十分小さいサイズの小滴に微粒化できることが分かった。
典型的には、噴霧コーター装置はファン形噴霧を放出するよう設計したノズルを有するノズル組立体を含む。ノズルのファン形噴霧パターンの主軸はノズル組のクロス−マシン(cross-machine)主軸に関して、ほぼ7乃至15°だけ回転させられ、それによって比較的スムースな被覆形状を生じる。ノズル組立体はまた、ノズル間距離と、全ノズル組立体のベースシートからの距離の調節設備に特徴を有する。ノズル調節の最も複雑でないデザインは該システムのすべてのノズルを同時に調節して、すべてのノズルにできるだけ同じ条件を提供するようなものである。明らかに、各ノズルの個別調節はノズル噴霧パターンのクロス−マシン幅に亘る被覆形状制御に或る許容範囲を与える。更に、ノズルの個別制御は或る程度まではノズルオリフィスの摩耗の補償のために使用することができる。
実施したテストに基づき、単一ノズルによって達成可能な有効な実用的噴霧パターン幅は約10乃至30cmであることが分かった。これは10乃至30個のノズルが夫々、ウエブ幅の直線1メートル当たりに要求されることを意味する。均一な被覆品質は全ウエブ幅に亘って延在する単一線形配列によって得ることができないと思われるので、噴霧コーター装置は有利には、複数の線形ノズル配列からなる。
被覆ミストの形成は有効な解決策を要する問題の1つである。被覆ミスト形成の排除は4つの仕事に類別することができる:1)コーティングミックス噴霧の条件は、ウエブ上への噴霧粒子の沈着が出来るだけ妨害されずに起こるように作られる。これは、特に、移動ウエブの表面と共に進行する空気膜の除去を意味する;2)出来るだけ均一なサイズの小滴を生じるようなノズルデザインが選択され、それによって小さいサイズと運動エネルギーをもつ小滴の数が最小限とされる;3)ウエブへの被覆小滴の接着は必ず最大限にされ、それによって小滴の静電充電、コーティングミックス処方、及びウエブに加わる流体小滴の適切な衝撃力の如き動作パラメータが評価されなければならない;4)適切な機械的ミスト収集システムが使用される。
噴霧ノズルユニットは適切な支持面に対して十分緊密にシーリングされるように配置されなければならない。かかる面は少なくともウエブ支持ロール、ベルト、フェルト又はワイヤによって提供される。このような関係において、用語、シーリングはアプリケーターユニットの周囲領域及びウエブの縁領域のシーリング、並びに噴霧コーターの送入ポート及び送出ポートにおけるウエブの制御進行を指す。かかるシーリングは離散した噴霧被覆ミストの適切な収集にとって極めて重要である。
噴霧コーティングはウエブと共に進行する空気膜を効率良く除去する必要がある。空気膜はウエブ上への噴霧粒子の沈着に対するバリヤーを形成する。また空気膜も除去は被覆ミストの形成を減少させるのを助けるので、空気膜は出来るだけ効率良く、かつ噴霧コーターユニットの送入ポートに出来るだけ接近して除去されるべきである。ウエブ面からの空気膜の除去はドクターブレード様式で、又は別法として、ウエブ進行方向に抗して吹き付ける空気ナイフを適用することによって、行うことができる。対照的に、噴霧コーターユニット内でのウエブ表面からの空気膜の除去は複雑な仕事になるが、その理由は、被覆ミストが噴霧コーターユニット内では如何なる表面にも沈着する傾向があるからである。
空気膜の手入れ(doctoring-away)は噴霧コーティング組立体の送入側の直前で実施されるべき重要な工程である。かかる空気膜のドクタリング(手入れ)は例えば、ウエブ進行方向とは逆の、空気ナイフからの空気射出に基づく逆吹き付けによって実行することができる。また、色々なドクターブレード(doctor blade)装置が空気膜の除去に適する。かかる空気層ドクタリング用アクセサリーの最適な場所は噴霧コーター送入側の直近である。アクセサリー素子はまた、噴霧コーターユニットのハウジング内に置くことができ、かかる置き換えは追加の清浄−維持装置を必要とする。
コーティングミックスは各コーティングラン(run)について別々にコーターのコーティングミックスマシンタンク内に備えなければならない。新鮮なコーティングミックスの機械タンク内への補給は連続的又はバッチ式で行うように配置される。ここで本質的要件はコーティングミックスが適切な物理的特性をもつ均質な組成をもつことである。所望のコーティングミックスの処方の成分は各ベースシート形式とグレード毎に個別に決められる。コーティングミックスの粘度と固体含量は調節され、噴霧-コーティング法と両立できるよう調節される。一般に噴霧-コーティングに最適なコーティングミックス処方はドクターブレードコーターに使用されるコーティングミックスと比較して低い固体含量と粘度をもつ。
以下、被覆付着用の噴霧-コーターユニットを用いる色々なコーティングライン装置についての実例を挙げる。噴霧-コーターユニット自体はFI Pat. Appl. No. 954,745に基づく同時係属出願に記載されている。
図1に示すのは、紙ウエブの単層2側面コーティングに適用する単一オフ-マシン(off-machine)コーティングラインである。該ラインの第1ユニットは巻き戻し器1であり、その後、ウエブは例えば2つの軟質ロールと1つの硬質ロールのニップからなるプリカレンダー2に送られる。次にプリカレンダー2の後には噴霧-コーターユニット3があり、このユニットでは所望の被覆層がウエブの第1側面に付着される。実際のコーターユニットはベルト-支持されたコーターからなり、このコーターでは被覆はベルトによって支持されたウエブに2工程で付着される。かかるコーターユニットは単一パスで強力な被覆を付着することができる。コーティングに続いて、ウエブは赤外線ドライヤー4に通され、その後空輸式ドライヤー5で、最後にシリンダドライヤー6で乾燥される。乾燥の直後、乾燥されたウエブは第2の噴霧-コーターユニット7に行き、その後赤外線ドライヤー8,空輸式ドライヤー9及びシリンダドライヤー10からなる上記設備であるもう1つの配列に送られる。乾燥に続き、紙ウエブは4つのニップから成る機械カレンダー11で再カレンダー処理され、巻き取り器で巻物に再巻き取りされる。図2のコーティングラインは巻き取り器が第2コーターとドライヤーセクションの直後に適用される点で上記システムと異なる。該ラインはカレンダー、軟質ニップカレンダー13,及びスーパーカレンダー14で補完される。
図1,2に示すコーティングラインの利点の1つはそれらの単純な構造にあるが、しかし、前及び後カレンダー処理の助けをかりて、噴霧-被覆の極めて良好なオパシファイングパワー(opacifying power)と組み合わされた非常にスムースな被覆を提供することができる。追加として、図2の設備はコーティングミックス処方及びカレンダー処理の程度を変えることによって異なった仕上げの紙グレードを作るために容易に変更できる。図3,4のコーティングラインは製紙機械15に直接連結される点を除けば、上記のものと同等である。
図5には、製紙機械15とその後に続く紙ウエブの2側面コーティング用のコーティングラインを示す。製紙機械15を出るウエブは先ず、プリカレンダー2に送られ、その後に噴霧-コーターステーション16に送られる。このステーションは図示の如く、3つの噴霧-コーターユニットからなり、これらのすべては支持ロール上で被覆をウエブに付着するために適用される。第1被覆層の付着後、ウエブは上記の手法で乾燥され、その後、ウエブの他側が支持ロール型式のコーターステーション17で被覆され、次いで、乾燥され、最後に中間カレンダー18に送られる。中間カレンダー処理の後、先ずコーターステーション19でウエブの第1側面に第2被覆層が付着され、その後赤外線ドライヤー20、空輸式ドライヤー21,及びシリンダドライヤーからなる乾燥配列が続く。ウエブの他側はコーターステーション23で被覆され、ドライヤー24,25,26で乾燥され、その後カレンダー処理工程27と巻き取り工程が続く。すべての慣例の被覆方法に亘って噴霧-コーターラインのランナビリティの改良のおかげで、該方法はオン-マシン(on-machine)式コーティングに極めて適する。図5に示す構成は極めてスムースな紙を作るが、それはプリカレンダー処理されて既に噴霧被覆された紙が比較的スムースな表面をもち、それが中間カレンダー処理によって更にスムースにされるからである。次いで、第2段階で付着された被覆層がスムースな紙面上に噴霧され、それによって最終カレンダー処理の前にその平滑性を改良し、これが更に被覆の平滑性を高める。更に、二重層コーティングは異なった種類の被覆を用いてなすことができ、それによって仕上げシートの白さ及び他の特性をかなり良くすることができる。
図6の構成は紙ウエブの2側面コーティング用のオフ-マシン(off-machine)コーティングラインである。この場合、コーターステーションはベルト支持した噴霧-コーターステーション3,7,29,30であり、これらは大量の被覆を付着するために使用することができる。この場合乾燥は赤外線、空輸式ドライヤー、及びシリンダドライヤーで上記の例と同様にして実行される。第1と第2の被覆層の付着の間の中間カレンダー処理過程は省略されるが、構成は個別の軟質-ニップカレンダー13とスーパーカレンダー14で補完される。それ故、色々異なったカレンダー処理方法を使用して、仕上げシートの表面光沢に影響を及ぼして図6の構成を、コーティングミックスの処方とカレンダー処理方法をかえることによって色々な印刷目的にとって最適な紙グレードを製造するのに適するようになすべく使用することができる。
図7には二重層コーティング構成を示し、この構成では、第1被覆層が噴霧-コーティング方法で、第2層がブレードコーターによって付着される。紙仕上げは巻き戻し器1から始まり、その後プリカレンダー処理段階2と、ベルト-支持型噴霧-コーターステーション3が続く。乾燥は前の例と同様にして行われる。ウエブの他側は上述の手法で被覆され、乾燥され、続いてウエブの両側へのブレードコーティングが続く。図示の実例では、ブレードコーティングはキス(kiss)-コーターステーション31、32で行われる。キャスチングロール(casting roll)により付着される被覆は噴霧被覆と同じ手法で乾燥されるが、コーターステーション31,32の変更構造に起因して、ウエブは僅かに異なった様式で通される。ウエブの2側面コーティング及び乾燥の後、ウエブは巻き取り器へ受け取られ、必要に応じて個別の軟質-ニップ及びスーパーカレンダー13、14でカレンダー処理される。このコーター構成では、紙表面はブレードコーティングの被覆平滑特性に仕上げされ、それによってシート表面品質は噴霧-コーティングにより作られたものとは僅かに異なる。更に、ブレードコーティングは、噴霧-コーティングとは異なった被覆処方を使用することができるので、望ましくはトップ被覆に使用されるコーティングミックスが例えばその高い粘度に起因して、噴霧-コーティング用に適さない場合にはブレードコーティングを使用することができる。また、この配置は極めて高い表面品質を提供する。というのは、それはは噴霧-コーティングの良好なオパシファイニング(opacifyning)パワーをブレード-被覆シートの平滑形状及び高い表面品質と結合させるからである。
図8にはコーティングライン構成が示されており、この構成では、噴霧-コーターとブレードコーターセクションのオーダー(order)が介入している。このコーティングラインでは、ドクターブレード装置を用いる第1コーターセクションはウエブの細孔を充填することができる被覆層をシート面に付着させ、それによってウエブ面が、この平滑表面の次に付着される噴霧被覆もまた平滑仕上げ被覆形状を与えるように平滑化される。しかし、噴霧-コーティングにより得られる被覆形状は手入れ処理した表面ほど平坦でないので、最終被覆品質は図7のコーティングライン構成によって得られるものと僅かに異なる。噴霧-コーティングに起因して、極めて良好なオパシファイニングパワーが両構成で得られる。
図9のコーティング構成では、噴霧-コーターセクションはフィルムトランスファーコーターセクションと結合される。この場合、フィルムトランスファーコーティングは大部分の従来のコーター配置と同じ様式で第1付着段階として実施される。フィルムトランスファーコーティング方法はウエブに最小限のストレスを与え、かつ信頼性が高いので、図9のコーティングラインはウエブに加わる低い負荷と組み合わされる極めて良好なランナビリティを提供する。この構成では、ウエブは巻き戻し器1の直後でプリカレンダー2に通され、その後、フィルムトランスファーコーター35で第1被覆層の付着が行われる。ウエブの他側は次のフィルムトランスファーコーター36により同様に処理され、その後前の例と同様な手法で乾燥される。ウエブの両側が処理された後、ウエブは中間カレンダー18に通され、続いて、噴霧-コーター29,30で被覆され、巻き取られる。必要なときには、仕上げカレンダー処理は別々の軟質-ニップカレンダー13又はスーパーカレンダー14でなすことができる。この構成の主利点は良好なランナビリティと組み合わされた付着被覆の良好なオパシファイニングパワーである。
特に、優れたランナビリティによって、図示の構成は最も軽量のベースシートを被覆するために使用できる。
図9の構成は、第1被覆層を付着するために使用するフィルムトランスファーコーターがブレードコーター33,34によって置き換えられることを除外すれば、上記のものと同等である。それ故、この配置は、中間カレンダー18を除けば、図8のものと同様である。かかる中間カレンダー処理に起因して、この構成は図8の構成によって提供されるものより平滑な紙をも製造することが可能である。
図11,12は慣例のコーティングラインより優れたランナビリティを特徴とする構成を示す。両例では、コーティングと乾燥は非接触的に行われる。図11の構成では、巻き戻し器1にはプリカレンダーが直接後続し、そこからウエブはベルト-支持型噴霧-コーター3に通される。コーター3からウエブは、本質的にその方向を赤外線ドライヤー4にそしてそこから空輸式ドライヤー5に偏向させること無しに、真っ直ぐに通される。乾燥後、ウエブの他側は同様な様式で被覆され、乾燥され、その後第2被覆層の付着と乾燥が続く。ウエブは2つの付着段階を通るそのパスにわたり実質上真っ直ぐに通され、そして噴霧-コーターステーション3,7,29,30の支持ベルトに接触するだけである。
ウエブの二重層コーティングの後、ウエブはベルト支持型噴霧-コーター38,39,40,41上の第2二重層コーティング配列のために上方及び後方へ進むよう案内ロール37によって偏向させられる。夫々の乾燥工程をもつ第3と第4のコーティング工程のこの配列は2つの前の被覆工程のものと同様の様式で行われ、最後にウエブは巻き取り器12に送られる。必要なときには、仕上げカレンダー処理が別個の軟質-ニップカレンダー13又はスーパーカレンダー14によって行われる。
図12の構成はすべてのコーティング工程が単一コーティングラインで実施される点を除外すれば、図11のものと同様である。この構成の利点はウエブの全体的な線形パスにあるが、しかしマシン方向に長い足跡をもつという不便を含んでいる。
図11、12の構成により、非接触式噴霧−コーティングの利点は最大の利益であり、それはウエブが殆ど機械的支持なしに全コーティングラインを通過するからである。更に、負荷がコーティング又は乾燥中ウエブに加わらないからである。また、利点はコスト効率の良い構造と、噴霧−コーターの小さい寸法からも生じる。これらは紙処理作業の比較的広い範囲に容易に適用できる。噴霧−コーティング方法は極めて薄い被覆を付着できるので、たとえば全体にわたる被覆厚さが比較的小さくなければならないときにも、或る種の被覆を得るために4パスまでの多層付着が経済的に実施できる。明らかに、同じコーティング方法が厚い被覆を付着することができる。それ故、この型式の多層コーティングは特別の用途に良く合わせて作ることができる改良した紙グレードを製造する新しい可能性を開く。コーティングラインは紙グレードの迅速な変化の申し出に極めて適応可能であり、それによって顧客の要請とマーケット需要の応じてより少ないロットが順応的に製造できる。
本発明の噴霧コーティング方法は前に付着した被覆層を乱さないので、上記実施例のコーティングラインはもし設備スペースの不足又は設備費の交渉の必要性によって、ドライヤーの数を減少させるのが望ましいならば、ウエット−オン−ウエット(wet-on-wet)式コーティングラインに構成することができる。この場合、本発明の1つの大きな利点が使用される、即ち、ウエブは、1つの付着工程後で次の付着工程前に、全体的に乾燥する必要は必ずしもないことである。
図13、14は噴霧−コーターユニットの2つの実施例を示す。図14のコーターユニットは支持ロール45と4つのアプリケーター組立体42からなり、その各々は3つの平行な線形ノズル配列43を含む。この様式では、4つの連続する被覆層付着の配列が単一コーターユニットに適用できる。図15のコーターユニットは3つのアプリケーター組立体をもつ。これらの実例の唯一の目的は本発明による噴霧−コーターユニットの実用的構造を提供すること及びかかるコーターの最小スペースの要求を評価することである。それらの簡単な構造と最小スペース要求のために、コーターユニットはコーティングライン中の殆どすべての位置に配置するこができ、それによってこれらのコーターはコーティングラインの広い多様性を実現するこができる。噴霧−コーターユニットの色々な構造は本出願と同じ優先権に基づく同時係属特許出願に詳細に記載されている。
本発明の方法は以下に説明する結果をもつコーティングテストに適用されている。
テストでの全−幅ウエブのコーティングは思いがけなく良好な程度にまですらも一般的に成功した。3つの隣接した噴霧領域は高いウエブ速度を得るのに十分な能力を提供しなかった。コーティング能力は220m/minウエブ速度でほぼ10g/m2であり、470m/minでほぼ5g/m2であった。コーティングミックスの固体含量は40%であった。このテストは該方法の最大性能値を決定することを意図していなかった。
噴霧−コーティングはコーティングミックス粒子による噴霧点環境の強いダスト散乱によって妨害された。小さいコーティングミックス滴の微粒化噴霧は、制御方式で収集分離されなければ、空気流と共にどこへも拡散することができる。更に、移動するウエブ面と共に進行する空気膜はダストを一緒に連れて行く傾向がある。このテスト作業では、ポリアクリレイトのシートから作ったブレードが空気膜を手入れするのに使用された。
噴霧された小滴に与えられた運動エネルギーは、噴霧がウエブ面に衝突する前ですら移動する空気膜がコーティングミックス噴霧を同伴して行くのを防止するためには、特に高いウエブ速度では十分に高くなければならない。
テストランでは、単位時間当たりのノズルの能力が測定された。ウエブに接着するコーティングミックス量が既知であるとき、環境中に失われる部分は計算することができる。吸引ファン能力の調節は付着される被覆重量に大きな影響を与えることが分かった。吸引力が強ければ強い程、ウエブ面に沈着する被覆は少なくなる。
ノズルの能力が2つの異なった型式のノズルにつき測定された。ノズルコードFF−610は60°噴霧角度と、0.010″(0.254mm)ノズルオリフィス直径をもつノズルを表す。テストされた他のノズルは同じ噴霧角度をもつが、0.012″(0.305mm)オリフィスをもっていた。
実際テストは160バール圧力でFF−610ノズルに実施され、その場合ノズル出力はウエットコーティングミックスの7.5g/sであった。異なったウエブ速度でのコーティング効率(噴霧されらコーティングミックスの全量からウエブに付着したコーティングミックスの部分)は表1に計算されている。
上記の如く、コーティング効率は83−93%の範囲内で変化した。平均では、噴霧した被覆ミックスのロスは12%であった。
ウエブはベース重量のクロス−マシン形状、アッシュ(ash)及びカリパー(caliper)につき測定された。測定を促進するため、すべての5つの形状が同じ形状プロットに連続してプリントされた。
測定結果は、個々のノズルのファン形の噴霧パターンが非常に明瞭に検出可能のままに留まり、被覆重量形状はピークとなることを示した。公称被覆重量からの形状の逸れは側面当たりに約6g/m2の大きさとすることができる。ピークはファン縁の交差点で被覆重量形状に見られる。被覆形状の検査は全被覆重量からの40−60%のピーク−対−ピーク(peak-to-peak)の逸れを与える。しかし興味ある観察は形状エラーが特に仕上げ製品には見えず、これは被覆の良好なオパシファイングパワーを示す。噴霧の縁領域はノズルの噴霧角度を広くすることにより、よりスムースに融合されることができ、高いウエブ速度で要求される噴霧領域の大きな数は最後にはファン交差(intersection)エラーを無意味なレベルまで減少させる。低いウエブ速度は単一付着領域のエラーが過度に明白になるのを防止するためにノズル低出力ノズルの使用を必要とする。3列の配列に配置されたとき、ここでテストされたノズルは220m/minウエブ速度で10g/m2の被覆重量を付着するのに十分である。440m/minのウエブ速度で同じ被覆重量を付着するためには、噴霧−コーターはウエブ速度880m/min 12−列型の組立体等について、6−列型のノズル組立体を必要とするだろう。そのとき、単一ノズルにより生じる形状エラーは夫々減少するだろう。
シムサイザーサイズプレス(Symsizer size press)を通過した紙の被覆形状はピーク−フリー(peak-free)となり、ドライブサイド(drive side)に向かって或る量の歪みが見られる。明白な谷が被覆重量形状にドライブサイド縁に非常に接近して生じる。
テストに先立ち、最大の疑問が噴霧被覆の表面強さに関して示された。直観的に、被覆ミストはスノーフレイクと同様な様式でシート面上に定着すると予想された。しかし、シムサイザーサイズプレスを通過した紙とは異なり、被覆面強度の差は認められなかった。また、スーパーカレンダーと印刷機械のロールは被覆塵の蓄積を免れたままに留まった。更に、かかる高い被覆面強度は、ノズルを出るときコーティングミックスが相分離を受けないことを示した。
被覆紙は原寸のスーパーカレンダー上で噴霧−被覆紙のランナビリティをテストするためにそしてその挙動をシムサイザーサイズプレスを通過したスーパーカレンダー処理した紙のそれとを比較するために、スーパーカレンダー処理された。噴霧−被覆紙グレードはカレンダー上をラン(run)するのが複雑でないことが分かった。カレンダーロールは被覆塵の蓄積から免れたままに留まった。
噴霧−被覆紙グレードは容易に印刷可能であった。印刷工場から戻ったサンプルに基づけば、以下のことが観察できた:
− 噴霧−コーティングはウエブを被覆するための可変付着方法である;
− 噴霧−被覆紙を使用する印刷機械のロール上への被覆塵の蓄積は取るに足らない程度に留まる;
− 明白な差がトランスファー−被覆されかつ噴霧−被覆された紙グレードの表面間に見られ、これは高い被覆重量で一層強調される;
− 噴霧−コーティングはより平滑な外観を与えるが、印刷面の光沢及び密度はトランスファー−被覆された紙により与えられるもの程良くない。
− オレンジ−皮組織はトランスファー−被覆シート上で一層明白になる;
− ベースシートのスーパーカレンダー処理は明らかに噴霧−被覆紙の表面品質を改良する。
噴霧技術によるウエブコーティングの全結果は該方法に課される期待を著しく凌いだ。カレンダー処理及び印刷における紙表面強度は該方法のさらなる改良のために不可欠の前提条件である。少なくとも実施したテストに基づけば、被覆表面の十分な強度は達成可能と思われる。
シムサイザーサイズプレス(Symsizer size press)を通過した比較サンプルと視覚的に比較すれば、紙表面と印刷品質は平滑であり、将来有望なようである。視覚的検査では、噴霧−被覆紙の印刷光沢と密度は比較サンプルの品質レベルに到達しなかった。
紙表面は十分に不透明化(opacified)され、“クラッカービード(cracker bead)”効果(即ちシート表面上に大きな滴として被覆が跳ねかかること)のしるしは無かった。明らかに、噴霧技術により付着された被覆層の完全に順応した沈着により、該方法は若干の特別な特性をもち、かくしてコーティングプロセスに或る要件を設定する。従って、ベースシートは最大限に平滑な表面をもたなければならない。
ノズルの作業寿命は実施したテストのタイムスパン内で評価することはできない。印刷技術に使用した同様のノズルからの経験によれば、ノズル寿命が比較的制限されることが示される。というのは、ノズルの摩耗が噴霧角度を徐々に狭めて、ノズルオリフィスを広げ、それによって表面品質と被覆形状の両方が悪化するからである。それ故、コーティングミックスの噴霧におけるノズルの使用寿命は詳細に査定される必要がある。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明による第1コーティングライン構成を示す。
図2は本発明による第2コーティングライン構成を示す。
図3は本発明による第3コーティングライン構成を示す。
図4は本発明による第4コーティングライン構成を示す。
図5は本発明による第5コーティングライン構成を示す。
図6は本発明による第6コーティングライン構成を示す。
図7は本発明による第7コーティングライン構成を示す。
図8は本発明による第8コーティングライン構成を示す。
図9は本発明による第9コーティングライン構成を示す。
図10は本発明による第10コーティングライン構成を示す。
図11は本発明による第11コーティングライン構成を示す。
図12は本発明による第12コーティングライン構成を示す。
図13は単一支持ロールの回りに据え付けた3つのアプリケーター組立体を有する本発明によるコーターユニットを示す。
図14は単一支持ロールの回りに据え付けた4つのアプリケーター組立体を有する本発明によるコーターユニットを示す。
Claims (23)
- 被覆すべきウエブがコーターステーションに送られ、そこで被覆層がウエブの少なくとも1表面に付着され、そしてウエブが少なくとも或る程度乾燥されて次の処理工程に送られてなる紙又は厚紙の移動するウエブの被覆方法において、
被覆が高圧空気無し噴霧ノズルによってウエブ表面にコーティングミックスを噴霧することによって付着され、その際単一ノズルによってカバーされるパターン幅が被覆されるウエブのクロス−マシン幅より実質上狭いことを特徴とする被覆方法。 - 被覆されるウエブはコーティングに先立ってプリカレンダー処理されること特徴とする請求項1に記載の方法。
- 被覆は少なくとも2つの個別の工程で被覆すべきウエブの何れの側にでも噴霧され、噴霧された被覆はこれらの工程間で乾燥されること特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
- 被覆は少なくとも3つの個別の工程で被覆すべきウエブの何れの側にでも噴霧され、噴霧された被覆はこれらの工程間で乾燥されること特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
- 連続する被覆層がまだ湿っている前の層上に噴霧されるように被覆が少なくとも2つの個別の工程で被覆すべきウエブの何れの側にでも噴霧されること特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
- 少なくとも2つの異なった被覆処方がウエブ上に噴霧されること特徴とする請求項3から5の何れか1項に記載の方法。
- 第1被覆層が最初にロールアプリケーターによってウエブに付着され、続いて高圧空気無し噴霧ノズルによってまだ湿っている第1層上に少なくとも1つの連続被覆層が噴霧コーティングされること特徴とする請求項1に記載の方法。
- 第1被覆層が最初にショート−ドエルアプリケーターによってウエブに付着され、続いて高圧空気無し噴霧ノズルによってまだ湿っている第1層上に少なくとも1つの連続被覆層が噴霧コーティングされること特徴とする請求項1に記載の方法。
- ウエブ表面は最初に1つのコーターステーションで2つの被覆層を付着され、続いてウエブ乾燥が行われ、そして乾燥したウエブに少なくとも1つの連続した被覆層が付着されること特徴とする請求項1に記載の方法。
- 被覆される紙ウエブの表面に少なくとも1つの被覆層が製紙機械上で付着されること特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の方法。
- 紙ウエブが少なくとも2つのコーティング工程で被覆され、そして次の被覆層の後続の付着に先立って中間カレンダー処理を施されること特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の方法。
- 紙又は厚紙の移動するウエブの被覆装置が、被覆すべきすべきウエブをコーターステーション(3)に送る手段(1)を含み、前記ステーションで被覆層がウエブの少なくとも1側に付着され、更に、ウエブを少なくとも或る程度まで乾燥させる手段(4、5、6)と、ウエブを次の処理工程に送るための手段(7)を含んでなる被覆装置において、
少なくとも1つの噴霧コーター(3)が高圧空気無し噴霧ノズルの少なくとも1つの線形配列を含み、単一噴霧によってカバーされるウエブ上のパターン幅が被覆されるウエブの幅より実質上狭いこと特徴とする被覆装置。 - プリカレンダー(2)を、移動するウエブのマシン方向に見て、第1の噴霧−コータ(3)の前に配置したことを特徴とする請求項12に記載の装置。
- 移動するウエブのマシン方向にプリカレンダー(2)と、第1噴霧コーターユニット(3)と、少なくとも1つのドライヤー(4、5、6)と、第2噴霧コーターユニット(7)と、少なくとも1つのドライヤー(8、9、10)と、カレンダーからなる配列を含むこと特徴とする請求項12に記載の装置。
- 移動するウエブのマシン方向にプリカレンダー(2)と、第1噴霧コーターユニット(3)と、少なくとも1つのドライヤー(4、5、6)と、第2噴霧コーターユニット(7)と、少なくとも1つのドライヤー(8、9、10)と、個別のカレンダー(13、14)と組み合わせた巻き取り器(12)からなる配列を含むこと特徴とする請求項12に記載の装置。
- 前記装置は製紙機械(15)と直接関連して作動するよう適用され、かつ、移動するウエブのマシン方向に前記製紙機械(15)から送られるウエブを処理するために適したプリカレンダー(2)と、第1噴霧コーターユニット(16)と、少なくとも1つのドライヤー(4、5、6)と、第2噴霧コーターユニット(17)と、少なくとも1つのドライヤー(8、9、10)と、中間カレンダー(18)と、第3噴霧コーターユニット(19)と、少なくとも1つのドライヤー(20、21、22)と第4噴霧コーターユニット(23)と、少なくとも1つのドライヤー(24、25、26)と、カレンダー(27)と、巻き取り器からなる配列を含むこと特徴とする請求項12に記載の装置。
- 移動するウエブのマシン方向に巻き戻し器(1)と、第1噴霧コーターユニット(3)と、少なくとも1つのドライヤー(4、5、6)と、第2噴霧コーターユニット(7)と、少なくとも1つのドライヤー(8、9、10)と、第3噴霧コーターユニット(29)と、少なくとも1つのドライヤー(20、21、22)と、第4噴霧コーターユニット(30)と、少なくとも1つのドライヤー(24、25、26)と、巻き取り器(12)と、少なくとも1つの個別のカレンダー(13、14)からなる配列を含むこと特徴とする請求項12に記載の装置。
- 移動するウエブのマシン方向に巻き戻し器(1)と、プリカレンダー(2)と、第1噴霧コーターユニット(3)と、少なくとも1つのドライヤー(4、5、6)と、第2噴霧コーターユニット(7)と、少なくとも1つのドライヤー(8、9、10)と、第1ブレードコーターユニット(31)と、少なくとも1つのドライヤー(20、21、22)と、第2ブレードコーターユニット(32)と、少なくとも1つのドライヤー(24、25、26)と、巻き取り器(12)からなる配列を含むこと特徴とする請求項12に記載の装置。
- 移動するウエブのマシン方向に巻き戻し器(1)と、プリカレンダー(2)と、第1ブレードコーターユニット(33)と、少なくとも1つのドライヤー(4、5、6)と、第2ブレードコーターユニット(34)と、少なくとも1つのドライヤー(8、9、10)と、第1噴霧コーターユニット(31)と、少なくとも1つのドライヤー(20、21、22)と、第2噴霧コーターユニット(32)と、少なくとも1つのドライヤー(24、25、26)と、少なくとも1つの個別のカレンダー(13、14)と組み合わせた巻き取り器(12)からなる配列を含むこと特徴とする請求項12に記載の装置。
- 移動するウエブのマシン方向に巻き戻し器(1)と、プリカレンダー(2)と、第1トランスファーコーターユニット(35)と、少なくとも1つのドライヤー(4、5、6)と、第2トランスファーコーターユニット(36)と、少なくとも1つのドライヤー(8、9、10)と、中間カレンダー(18)と、第1噴霧コーターユニット(29)と、少なくとも1つのドライヤー(20、21、22)と、第2噴霧コーターユニット(30)と、少なくとも1つのドライヤー(24、25、26)と、少なくとも1つの別個のカレンダー(13、14)と組み合わせた巻き取り器(12)からなる配列を含むこと特徴とする請求項12に記載の装置。
- 移動するウエブのマシン方向に巻き戻し器(1)と、プリカレンダー(2)と、第1ブレードコーターユニット(33)と、少なくとも1つのドライヤー(4、5、6)と、第2ブレードコーターユニット(34)と、少なくとも1つのドライヤー(8、9、10)と、第1噴霧コーターユニット(29)と、少なくとも1つのドライヤー(20、21、22)と、第2噴霧コーターユニット(30)と、少なくとも1つのドライヤー(24、25、26)と、巻き取り器(12)からなる配列を含むこと特徴とする請求項12に記載の措置。
- ドライヤーが非接触型ドライヤーからなり、前記コーターユニットの後にイン−ライン方式で配置されていて、ウエブ通路が各コーターユニットの送出側に実質上真っ直ぐに連続していること特徴とする請求項12から20の何れか1項に記載の装置。
- 少なくとも8個のコーターステーションを含むこと特徴とする請求項22に記載の装置。
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