JP2812134B2 - 拭き布の製造方法および製造装置 - Google Patents

拭き布の製造方法および製造装置

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JP2812134B2
JP2812134B2 JP10048393A JP10048393A JP2812134B2 JP 2812134 B2 JP2812134 B2 JP 2812134B2 JP 10048393 A JP10048393 A JP 10048393A JP 10048393 A JP10048393 A JP 10048393A JP 2812134 B2 JP2812134 B2 JP 2812134B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、使い捨て手拭き、ウェ
ットティシュ、ワイパー、使い捨て雑巾などとして有用
な拭き布の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、使い捨て手拭き等の拭き布と
して、パルプ繊維を嵩高に集積してなる乾式パルプシー
トに水や薬剤等をしみこませたものが使用されている。
しかしながら、乾式パルプシートは、水や薬剤等をしみ
こませた後の濡れ強度が低く、使用中に破れ易いという
欠点があった。
【0003】一方、親水性繊維であるレーヨン繊維を集
積した後、レーヨン繊維相互間をゴム系結合剤で結合し
た不織布に、水等をしみこませた拭き布も使用されてい
る。この拭き布は、レーヨン繊維相互間が結合されてい
るので、高い濡れ強度を示す。しかしながら、この拭き
布は、ゴム系結合剤を含有しているため、異臭がすると
いう欠点と、ゴム系結合剤のざらざらとした手触りのた
め拭き布の使用感が悪いという欠点があった。このた
め、ゴム系結合剤を使用せずに、レーヨン繊維相互間を
結合させた不織布を使用するという試みも行われてい
る。レーヨン繊維相互間の絡合には、レーヨン繊維が集
積されたウェブに高圧水柱流を施すことが考えられる。
このようにして得られた拭き布は、異臭がなく、またざ
らざらした手触り感がない点で好ましいものである。し
かしながら、レーヨン繊維よりなる拭き布には、以下に
示すような致命的欠点があった。即ち、レーヨン繊維は
親水性に優れているため、拭き布として使用した場合、
水をよく吸収して膨潤し、その剛性が極端に低下する。
レーヨン繊維の剛性が低下すれば、その拭き布の剛性も
低下し、拭き布を手で把持したときの反発力が低下し、
使用しにくいという致命的な欠点を惹起するのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このため、本出願人
は、上記欠点を克服しようとして種々研究を行った結
果、疎水性長繊維よりなる長繊維ウェブとパルプ繊維よ
りなる紙シートとを積層した後、該積層体の紙シート側
から長繊維ウェブ側に向けて高圧水柱流を施すことによ
り長繊維とパルプ繊維とを絡合させて得られる拭き布
は、上記の欠点がないかを見出し、さきに、特許出願を
行った。(特願平3−204875号、特願平4−89
650号および特願平4−113048号等)。この拭
き布は、水を吸収しにくい疎水性長繊維が主体となって
形態を保持しているため、使用中に剛性が低下して、手
指で把手しにくくなるという欠点は解消している。ま
た、疎水性長繊維にパルプ繊維が絡合しているため、水
の吸収力も低下せず、拭き布として好適に使用される。
【0005】しかしながら、上記の拭き布においても、
なお、解決すべき難点が見出された。すなわち、長繊維
不織布の表面に紙シートを積層し、該紙シート側から該
長繊維不織布側に貫通するように高圧水柱流を施す場
合、高圧水柱流処理前の紙シートに多数の膨れが発生し
易く、この膨れ部分が高圧水柱流を施されることによ
り、膨れ部分がシワとなり、外観の均一なシートが得ら
れないのである。これは、長繊維不織布の伸びは、湿潤
状態と乾燥状態でほとんど変化しないのに対し、紙シー
トの伸びが、湿潤状態と乾燥状態とで大きく異なり、高
圧水柱流処理前の紙シートが不均一に濡れてしまうこと
に起因する。高圧水柱流の飛沫水が高圧水柱処理前の紙
シートに付着し不均一に濡れると、濡れた部分の紙シー
トが伸び、長繊維不織布と紙シートとの間に空隙が発生
し、膨れとなる。この膨れが高圧水柱流処理装置を通過
し、長繊維不織布と絡合される際にシワとなるのであ
る。
【0006】この問題を解決する方法として、紙シート
の上方に設置した受け皿から紙シートに向けて、水をカ
ーテン状にオーバーフローさせて紙シートを濡らした
後、高圧水柱流を施す方法が考えられるが、この場合、
紙シート上に均一な流水にするために多量の水が必要で
ある。そのため高圧水柱流のエネルギーが、この水をふ
きとばすために使われる。いいかえれば、滞留水が発生
し、高圧水柱流処理効果が低下し、十分に交絡したシー
トが得られない。また、水量を減らしていくと、幅方向
に不均一に流れ落ち易くなり、得られる拭き布にシワが
発生し易い。
【0007】要するに、以上に説明した方法で拭き布を
製造した場合、拭き布に多数のシワが発生したり、長繊
維不織布と紙シートとの交絡が不十分であったりするた
め、均一で、十分に交絡した拭き布を得ることが困難で
あった。拭き布にシワが発生すると外観が劣るばかりで
なく、紙シートが重なってシワとなった部分の交絡が他
の部分に比べて不十分であるため、パルプ繊維が抜け落
ち易くなってしまう。
【0008】以上のような状況に鑑みて、本発明の目的
は、長繊維不織布に紙シートを積層し、この積層体に高
圧水柱流を施して長繊維とパルプ繊維を絡合させること
により拭き布を得る方法および装置において、シワのな
い均一な地合いの拭き布を得ることができる改良方法お
よび装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高圧水柱
流処理前に紙シートを均一にかつできるだけ少ない水量
で濡らすことで、事前に紙シート上に均一に伸びをおこ
させ、得られる拭き布のシワを防止する方法に着目し、
鋭意研究した結果、本発明に至ったものである。
【0010】上記の目的は、一面において、本発明の拭
き布の製造方法、すなわち、長繊維不織布の表面に紙シ
ートを積層し、得られた長尺シート状の積層物をコンベ
アにて移送せしめつつ、該積層物の紙シート側から該長
繊維不織布側に貫通するように高圧水柱流を施すことに
より、該紙シートを構成するパルプ繊維と該長繊維不織
布を構成する長繊維とを絡合させる拭き布の製造方法に
おいて、長繊維不織布の表面に紙シートを積層した後、
該積層物に高圧水柱流を施すに先立って、該積層物の紙
シート側面上の、幅方向に伸びる細長い領域にフラット
スプレーノズルを用いて水を均一に噴射し、該紙シート
を湿らせることを特徴とする拭き布の製造方法によって
達成される。
【0011】さらに、上記の目的は、他の一面におい
て、本発明の拭き布の製造装置、すなわち、長繊維不織
布の表面に紙シートが積層されてなる長尺シート状積層
物を移送するコンベアと、該コンベアにて移送しつつあ
る長尺シート状積層物の紙シート側に高圧水柱流を施す
処理装置とを具えた拭き布の製造装置において、高圧水
柱流処理装置より上流位置に、長尺シート状積層物の幅
方向に列をなして配置された複数のフラットスプレーノ
ズルからなるスプレー装置が設けられていることを特徴
とする拭き布の製造装置によって達成される。
【0012】本発明において用いられる長繊維不織布
は、疎水性で且つ熱可塑性の長繊維が集積されてなる長
繊維ウェブが自己融着により結合されてなるものであ
る。ここで長繊維としては、例えばポリオレフィン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の疎水性
熱可塑性樹脂を従来公知の方法で溶融紡糸して得られる
長繊維が用いられる。本発明において長繊維を使用する
理由は、長繊維よりなる長繊維不織布は、短繊維よりな
る短繊維不織布と比較して、繊維間が絡合しているウェ
ブの引張強度や形態安定性が優れているからであり、さ
らに、長繊維の場合、高圧水柱流を施しても、繊維が水
柱流とともに流失しにくいからである。
【0013】長繊維の繊度は、1〜4デニールが好まし
い。長繊維の繊度が4デニールを超えると、長繊維不織
布の柔軟性が低下し、拭き布として使用した場合の使用
感が低下する傾向が生じる。逆に、長繊維の繊度が1デ
ニール未満になると、長繊維の製造に厳密な条件が必要
になって、長繊維、ひいては長繊維不織布を高速度で効
率よく製造することが困難になる。
【0014】長繊維不織布の坪量は、5〜30g/m2
が好ましい。特に、5〜20g/m2 が最も好ましい。
長繊維不織布の坪量が30g/m2 を超えると、紙シー
トと長繊維不織布との積層シートに、紙シート側から長
繊維不織布側に向けて高圧水柱流を施しても、紙シート
を構成するパルプ繊維が長繊維不織布の裏面(紙シート
と当接していない面)に移動しにくくなり、得られる拭
き布の片面にパルプ繊維が偏在した状態となって、パル
プ繊維の少ない面における吸水性が低下する傾向が生じ
る。逆に、長繊維不織布の坪量が5g/m2 未満になる
と、長繊維不織布の形態安定性が低下し、得られる拭き
布の湿潤強度が低下する傾向がみられる。更に、長繊維
相互間の間隙が大きくなって、高圧水柱流を施したとき
に、その間隙からパルプ繊維が流出してしまい、使用後
の高圧水柱流を回収した場合、その中にパルプ繊維が大
量に混入する恐れが生じる。
【0015】長繊維ウェブを自己融着させるには、従来
公知の方法を用いることができる。例えば、長繊維ウェ
ブを加熱された凹凸ロールと平滑ロールとの間に導入
し、凹凸ロールの凸部が当接した箇所において、長繊維
を溶融または軟化させ、長繊維相互間を融着させる方法
等がある。
【0016】以上のようにして準備した長繊維不織布の
上に、紙シートを積層する。この紙シートは多数のパル
プ繊維よりなるものである。紙シートとしては、従来公
知の任意のものを使用することができる。紙シートの坪
量も、任意であって格別限定されるものではないが、特
にJIS P 8124に示された方法で測定した坪量
が10〜80g/m2 である紙シートが好ましい。紙シ
ートの坪量が10g/m2 未満であると、パルプ繊維の
絶対量が少なく、得られる拭き布に十分な吸湿性や保水
性を与え難くなるという傾向が生じる。逆に、紙シート
の坪量が80g/m2 を超えると、得られる拭き布の全
体の坪量が大きくなりすぎて、拭き布の柔軟性が低下す
る傾向がみられる。
【0017】紙シートを構成するパルプ繊維としては、
針葉樹および広葉樹木材をクラフト法、サルファイト
法、ソーダ法、ポリサルファイド法等で蒸解された未晒
パルプ繊維若しくは晒パルプ繊維、またはグランドパル
プ繊維、ケミメカニカルパルプ繊維、サーモメカニカル
パルプ繊維等の機械パルプ繊維を、単独でまたは混合し
て使用することができる。針葉樹パルプ繊維と広葉樹パ
ルプ繊維とを混合して使用する場合において、その重量
比は、好ましくは、針葉樹パルプ/広葉樹パルプ=10
0〜20/0〜80、より好ましくは100〜40/0
〜60の範囲である。広葉樹パルプが80重量%を超え
ると、高圧水柱流によるパルプの流出量が増加するばか
りでなく、絡合後のシートの柔軟性が低下しがちであ
る。
【0018】本発明で使用される紙シートの密度(JI
S P 8118に示された方法で測定)は、0.6g
/cm3 以下が好ましい。紙シートの密度が0.6g/
cm3 を超えると、紙シートの上から高圧水柱流を施し
た場合に、パルプ繊維の運動が抑制され、絡合のために
必要なエネルギー量が増大する傾向が生じる。
【0019】この紙シートは、予め準備した長繊維不織
布表面に積層される。この際、長繊維不織布の坪量と紙
シートの坪量(JIS P 8124に示された方法で
測定される)の比が、長繊維不織布:紙シート=1:1
〜1:19となるようにするのが好ましい。長繊維不織
布:紙シート=1:1未満になると、長繊維の量に対し
て、相対的にパルプ繊維の量が少ないため得られる拭き
布の吸水性や保水性が低下する傾向がある。また、長繊
維に対して、廉価なパルプ繊維の量が少ないため、得ら
れる拭き布自体が高価になる。逆に、長繊維不織布:紙
シート=1:19を超えて、紙シートの坪量が重くなる
と、紙シートを構成するパルプ繊維の全てが強固に長繊
維と絡合しにくくなり、得られる拭き布を湿潤させて使
用した場合に、パルプ繊維が脱落し易くなる傾向が生じ
る。
【0020】長繊維不織布の表面に紙シートを積層して
なる長尺状積層物は、図1に示すように、金網のような
透水性材料でできた移送用コンベヤ4上に載置されて移
送され、長尺状積層物3の紙シート側から、フラットス
プレーノズル1を用いて水を噴射し、紙シートを均一に
湿らせる。フラットスプレーノズルは図2に示すよう
に、流体を長楕円錘状に噴射するノズルである。スプレ
ーノズルとしては、フラットスプレーノズルの他に、図
3に示すように円錐状に流体を噴射するフルコーンスプ
レーノズル等があるが、フルコーンスプレーノズルを用
いた場合、噴射断面が円形であるため、紙シートの幅方
向に均一に噴射することが困難となる。また、フルコー
ンスプレーノズルでは、フラットスプレーノズルと同じ
噴射角度を得るために必要な水量が、フラットスプレー
ノズルに比べて多くなるため、紙シートの幅方向に均一
にスプレーするために必要な水量が非常に多くなり、滞
留水を発生し易いという問題もある。従って、本発明で
は、フルコーンスプレーノズルではなく、フラットスプ
レーノズルを用い、その細長い噴射領域の長手方向がシ
ートの幅方向と一致するように配置して、スプレーす
る。
【0021】フラットスプレーノズルは、図1に示すよ
うに、走行しつつある長繊維不織布と紙シートとの長尺
状紙シート側に対峙して長尺シートの幅方向(横断方
向)に一列に複数個並べられている。このフラットスプ
レーノズル1は、噴射断面の幅が均一になるように隣接
するノズルの噴射領域が任意にオーバーラップするよう
に配置されている。必要ならば、幅方向に伸びるフラッ
トスプレーノズルの列を、複数設けることもできる。
【0022】フラットスプレーノズルのスプレー角度
は、60°〜130°の範囲が好ましい。最も好ましく
は80°〜120°の範囲である。スプレー角度が60
°未満であると、一つのノズルによって噴射される幅が
狭く、紙シートに与えられる水量が多くなるため、滞留
水を生じやすくなり、好ましくない。またノズルから噴
射される水の勢いも大きくなるため飛沫水も発生しやす
くなり好ましくない。逆に、スプレー角度が130°を
超えると紙シートに均一に水を噴射しにくくなる。フラ
ットスプレーノズルから紙シートまでの距離(噴射距
離)は5cm〜40cmの範囲が好ましい。最も好まし
くは10cm〜30cmの範囲である。
【0023】フラットスプレーノズルから紙シートまで
の距離(噴射距離)が5cm未満であるとノズルから噴
射される範囲が小さくなり、紙シートに与えられる水量
が多くなるため滞留水が生じやすくなる。また、ノズル
から噴射される水の勢いも大きくなるため飛沫水も発生
しやすくなる。逆に、フラットスプレーノズルと紙シー
トの間の距離(噴射距離)が40cmを超えると、紙シ
ートに水が均一に噴射されなくなる。
【0024】紙シート側に配置されているフラットスプ
レーノズルに相対して、長繊維不織布側には吸収装置
(図示せず)が配置されていて、紙シート上に噴射され
た水の一部が吸引、排出される。フラットスプレーノズ
ルから紙シートに与えられる水量は、0.1リットル/
2 〜2.0リットル/m2 が好ましい。水量が0.1
リットル/m2 未満では、紙シートに与えられる水分量
が少なく、高圧水柱流処理時の飛沫水の影響を受け、得
られる拭き布にシワが発生しやすくなる。逆に、水量が
2.0リットル/m2 を超えると、紙シートに吸収しき
れなかった水を、長繊維不織布側にノズルに相対して設
けられた吸引装置を用いて吸引、排出しきれなくなり、
紙シート上に滞留水が発生し、高圧水柱流処理効果が低
下する。
【0025】フラットスプレーノズルにより紙シート側
に均一に水を噴射された積層シートに、さらに、紙シー
トの表面から長繊維不織布に向けて高圧水柱流を施す。
即ち、積層物の紙シート側から長繊維不織布側へ高圧水
柱流が貫通するようにして、高圧水柱流を施す。
【0026】この高圧水柱流は、図1に示すような高圧
水流処理装置3の微細な直径のノズル孔を通して、高圧
で水を噴出させて得られるものである。例えば、孔径
0.01mm〜0.3mm程度のノズル孔を通して、1
0kg/cm2 〜150kg/cm2 程度の圧力で水を
噴出させて得られる。この高圧水柱流を積層物に施す
と、高圧水柱流は紙シートに衝突する。そして、紙シー
トはまず長繊維不織布上に密着し、次いでこの密着した
状態で、紙シートの破壊が生じ、紙シートを構成するパ
ルプ繊維を単離させ、パルプ繊維に曲げやねじれ等の変
形を起こさせると共に、パルプ繊維に運動エネルギーを
充分に与え、このパルプ繊維にランダムな運動を生じさ
せる。その結果、これらの複合作用によって、パルプ繊
維と長繊維不織布中の長繊維とが絡み合い、更に、この
パルプ繊維によって長繊維同士も絡合する。
【0027】以上にして得られる拭き布は、パルプ繊維
と長繊維が均一に絡合されて一体化したものである。そ
して、この拭き布には、所望に応じて、水やプロピレン
グリコール等の湿潤剤、アルコール類やパラ安息香酸等
の抗菌剤、防黴剤、香料等の薬剤等を付与することがで
き、使い捨て手拭き、ウェットティシュ、ワイパー、使
い捨て雑巾等として使用される。
【0028】
【実施例】
実施例1 繊度2.1デニールのポリプロピレン長繊維を多数集積
して長繊維ウェブを形成した。このウェブを加熱された
凹凸ロールとプレーンロールの間に導入して、ウェブを
熱圧着し、長繊維不織布を得た。得られた長繊維不織布
は、多数の点融着区域が間隔をおいて一様に分布したも
のであった。個々の点融着区域は直径0.6mmの円形
であり、すべての点融着区域の総面積は、長繊維不織布
の表面積に対して7面積%であった。なお、長繊維不織
布の坪量は20g/m2 であった。この長繊維不織布の
表面に、針葉樹晒クラフトパルプを用いて湿式抄紙して
得られた紙シートを積層した。この紙シートは、坪量が
40g/m2 で、またJIS P 8118に示された
方法で測定した密度が0.50g/cm3 であった。
【0029】得られた長尺状積層物は、その紙シートが
上に位置し、長繊維不織布が下に位置するようにして、
金網で形成された移送コンベア上に載置した。次いで、
この長尺状積層シートを30m/minの速度で移送さ
せながら、スプレー角度84°のフラットスプレーノズ
ルを用いて、紙シート側に水を噴射し、紙シートを濡ら
した。ノズルと紙シートの間の距離(噴射距離)および
ノズルの配置は、ノズルからの噴射水が均一に紙シート
上に噴射され、かつ飛沫水や滞留水を生じないように、
最適な距離および位置を選び、設置した。すなわち、フ
ラットスプレーノズルは紙シートから18cmの距離に
幅方向に15cmおきに等間隔で一列に設置した。フラ
ットスプレーノズル1つ当たりの噴射幅は、約24c
m、噴射水は幅方向にそれぞれ約9cmオーバラップし
て噴射された。またノズル1つあたりの噴射水量は1リ
ットル/minであった。次いで、孔径0.1mmのノ
ズル孔が1mm間隔で並んでいる高圧水柱流噴出装置を
用いて、50kg/cm2 の水圧で高圧水柱流を噴出さ
せ、紙シートの表面に高圧水柱流を施した。
【0030】以上のようにして、紙シートを構成してい
るパルプ繊維と、長繊維不織布とが絡合して、一体化さ
れた拭き布を得た。フラットスプレーノズルにより紙シ
ートに均一に水が噴射され、飛沫水、滞留水ともにほと
んど発生しなかった。
【0031】実施例2 スプレー角度115°のフラットスプレーノズルを、紙
シートから15cmの距離に35cmおきに等間隔で配
置し、積層シートの移送速度を20m/minとした以
外は実施例1と同様にして、紙シートを構成しているパ
ルプ繊維と、長繊維不織布とが絡合して、一体化された
拭き布を得た。フラットスプレーノズル1つ当たりの噴
射幅は約40cm、ノズル1つあたりの噴射水量は4リ
ットル/min、噴射水はそれぞれ約5cmずつオーバ
ーラップして、幅方向に噴射された。フラットスプレー
ノズルにより紙シートに均一に水が噴射され、飛沫水、
滞留水ともにほとんど発生しなかった。
【0032】実施例3 スプレー角度84°のフラットスプレーノズルを、紙シ
ートから10cmの距離に8cmおきに等間隔で配置
し、積層シートの移送速度を20m/minとした以外
は実施例1と同様にして、紙シートを構成しているパル
プ繊維と、長繊維不織布とが絡合して、一体化された拭
き布を得た。フラットスプレーノズル1つ当たりの噴射
幅は約16cm、ノズル1つあたりの噴射水量は1リッ
トル/min、噴射水はそれぞれ約8cmずつオーバー
ラップして、幅方向に噴射された。フラットスプレーノ
ズルにより紙シートに均一に水が噴射され、飛沫水、滞
留水ともにほとんど発生しなかった。
【0033】比較例1 高圧水柱流処理前にスプレーノズルを用いて水を噴射し
なかった以外は、実施例1と同様にして拭き布を得た。
すなわち、実施例1と同様にして得た積層シートを、紙
シートが上に位置し、長繊維不織布が下に位置するよう
にして、金網で形成された移送コンベア上に載置した。
次いで、この積層シートを30m/minの速度で移送
させながら、実施例1と同様に高圧水柱流処理を施し紙
シートを構成しているパルプ繊維と、長繊維不織布とが
絡合して、一体化された拭き布を得た。高圧水柱流処理
時の大量の飛沫水が処理前の紙シートを不均一に濡ら
し、多数のシワが発生した。
【0034】比較例2 スプレー角度67°のフルコーンスプレーノズルを紙シ
ートから15cmの距離に8cmおきに等間隔で配置
し、積層シートの移送速度を30m/minとする以外
は実施例1と同様にして、紙シートを構成しているパル
プ繊維と、長繊維不織布とが絡合して、一体化された拭
き布を得た。フラットスプレーノズル1つ当たりの噴射
幅は約12cm、ノズル1つあたりの噴射水量は6.7
リットル/min、噴射水はそれぞれ約4cmずつオー
バーラップして、幅方向に噴射された。フルコーンスプ
レーノズルから紙シートの幅方向に均一に噴射されず、
多数のシワが発生した。また、フルコーンスプレーノズ
ルから噴射される水量が多く、滞留水が発生した。
【0035】比較例3 積層シートを20m/minの速度で移送しながら、フ
ラットスプレーノズルを用いて水を噴射する方法にかえ
て、実施例と同様な高圧水柱流処理装置を用いて高圧水
柱流処理を施す直前に、高圧水柱流処理装置と同様の装
置を用いて、5kg/cm2 の水圧で水柱流を噴出させ
て紙シートを濡らした以外は、実施例と同様にして高圧
水柱流処理を施し、紙シートを構成しているパルプ繊維
と、長繊維不織布とが絡合して、一体化された拭き布を
得た。水柱流により紙シートを濡らすのは消費した水量
は、幅1mあたり32リットル/minであった。水柱
流はほぼ均一に紙シートに噴射されたが、飛沫水も多く
発生した。
【0036】比較例4 積層シートを20m/minの速度で移送しながら、フ
ラットスプレーノズルを用いて水を噴射する方法にかえ
て、紙シート上方に設置した受け皿から水をカーテン状
にオーバーフローさせて紙シートを濡らした以外は、実
施例と同様にして高圧水柱流処理を施し、紙シートを構
成しているパルプ繊維と、長繊維不織布とが絡合して、
一体化された拭き布を得た。受け皿から紙シートまでの
距離は15cm、受け皿からオーバーフローされた水量
は、幅1mあたり60リットル/minであった。水
は、受け皿から紙シートへほぼ均一に流れ落ちたが、紙
シート上に滞留水が多く発生した。
【0037】実施例1〜2および比較例1〜7で紙シー
トを濡らすのに消費した水量、得られた拭き布の風合
い、接着強度、外観(地合)、シワの有無を評価した。
結果を表1に示す。
【表1】
【0038】なお、表1中の水量、風合い等の評価方法
は、以下の通りである。 (1)消費水量:高圧水柱流処理前に紙シートを濡らす
ために使用した水量を測定し、拭き布1m2 あたりに消
費した水量に換算して示した。 (2)風合い:モニター20人による触感テストで柔ら
かさを判定した。テストの方法は、試料を手指で把握し
た触感をたしかめ、表2に示す5段階で評価し、平均値
を求めた。
【0039】(3)接着強度:モニター20人による官
能テストで接着強度を判定した。テストは、試料を紙シ
ート側からピンセットで摘み、それぞれ表2に示す5段
階で評価し、平均値を求めた。 (4)外観(地合):モニター20人による目視評価で
行った。試料の外観(地合)を表2に示す5段階で評価
し、平均値を求めた。 (5)シワの有無:拭き布に発生したシワの有無を、モ
ニター20人による目視評価で行った。試料のシワの有
無を表2に示す5段階で評価し、平均値を求めた。
【0040】
【表2】
【0041】表1の結果より明らかなように、実施例に
かかる拭き布は、比較例1にかかる拭き布に比べて、シ
ワの発生が著しく改善されている。比較例1ではシワの
部分の接着強度が著しく劣り、またシワの存在により外
観(地合)評価も良い評価が得られなかったが、実施例
においては、非常に高い改善効果が見られる。実施例に
かかる拭き布と比較例2にかかる拭き布を比較すると、
比較例2の消費水量は実施例に比べて非常に多く、滞留
水が発生したため高圧水柱流処理効果が低くなり、風合
いが硬くなり、接着強度も低くなっている。また、比較
例2に用いたフルコーンスプレーノズルでは紙シート上
に均一に水を噴射することが困難であったため、多くの
シワの発生が見られた。
【0042】比較例3にかかる拭き布とを比較すると、
消費水量は同程度であるが、比較例3では噴射水の勢い
が大きく、飛沫水により、多くのシワが発生している。
実施例にかかる拭き布と比較例4にかかる拭き布とを比
較すると、比較例4では紙シートを均一に濡らすために
必要な水量が多く、滞留水が発生し、高圧水柱流処理効
果が低くなり、風合い、接着強度の劣ったものになって
いる。また、滞留水が紙シート上に不均一に流れるた
め、シワの発生も見られた。
【0043】
【作用および発明の効果】以上説明したように、本発明
に係る拭き布の製造方法に従って、長繊維不織布の表面
に紙シートを積層し、該積層体の紙シート側からフラッ
トスプレーノズルを用いて水を噴射すると紙シートが幅
方向に均一に濡れる。従って、積層シートが高圧水柱流
処理を施される前に、紙シートに均一な伸びが発生する
ため、高圧水柱流処理時の飛沫水による不均一な伸びが
発生することはなくなる。よって、紙シートに部分的な
膨らみの発生もなくなり、その膨らみが高圧水柱流処理
を施されることによって、膨らみ部分が折り畳まれて発
生するシワが防止できるのである。従って、拭き布の製
造に際して、シワのない均一な地合の拭き布が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る拭き布の製造装置の一例を模式的
に示す斜視図。
【図2】フラットスプレーノズルにより噴射された流体
の噴射領域を模式的に示す図。
【図3】フルコーンスプレーノズルにより噴射された流
体の噴射領域を模式的に示す図。
【符号の説明】
1 フラットスプレーノズルを具えたスプレー装置 2 高圧水柱流処理装置 3 長尺状積層物 4 積層物移送用多孔コンベア 5 フラットスプレーノズルによる流体の噴射領域 6 フルコーンスプレーノズル 7 フルコーンスプレーノズルによる流体の噴射領域

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長繊維不織布の表面に紙シートを積層
    し、得られた長尺シート状の積層物をコンベアにて移送
    せしめつつ、該積層物の紙シート側から長繊維不織布側
    に貫通するように高圧水柱流を施すことにより、該紙シ
    ートを構成するパルプ繊維と該長繊維不織布を構成する
    長繊維とを絡合させる拭き布の製造方法において、長繊
    維不織布の表面に紙シートを積層した後、該積層物に高
    圧水柱流を施すに先立って、該積層物の紙シート側面上
    の、幅方向に伸びる細長い領域にフラットスプレーノズ
    ルを用いて水を均一に噴射し、該紙シートを湿らせるこ
    とを特徴とする拭き布の製造方法。
  2. 【請求項2】 長繊維不織布の表面に紙シートが積層さ
    れてなる長尺シート状積層物を移送するコンベアと、該
    コンベアにて移送しつつある長尺シート状積層物の紙シ
    ート側に高圧水柱流を施す処理装置とを具えた拭き布の
    製造装置において、高圧水柱流処理装置より上流位置
    に、長尺シート状積層物の幅方向に列をなして配置され
    た複数のフラットスプレーノズルからなるスプレー装置
    が設けられていることを特徴とする拭き布の製造装置。
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